超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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どうも、お待たせしました。

ここ最近急に親戚の新年会やらなんやらに付き合わされた白宇宙です。

今回のテーマは、お正月。
もうお正月気分も抜け始める時期かと思いますが、是非楽しんでいってください。

それでは、どうぞ…


stage,17 俺、たまにはのんびりしたいんです…

 

今日も今日とて寒いこの国、ルウィー。

外には真っ白な雪が降り積もり、冷たい風が人の肌を容赦なく撫でる。

 

本来なら、ルウィーに残った俺がまずすべきことはこの国にあるかもしれない、他のヒーローメモリーの探索だ。 おそらくだが、メモリーはまだまだあるはずだからな…

 

でも…

 

 

 

「……あぁ、おいし」

 

 

 

たまには、休んでもいいよね?

 

今俺はルウィー教会の一室、ブランが特別に用意してくれた俺の寝床となる部屋に、こたつを持ち込み、その上に蜜柑をかごに入れて置き、端っこに手のひらサイズの小さな門松をディスプレイしている。

そんでもって、こたつに入ってぬくぬくとしている俺は…今現在自作のお雑煮を食べているわけで…すごいんだぜこの部屋、給湯室まで完備されてんだから。

ちなみに何気に門松を手に入れるのに苦労したんだよね、こっちの世界だと時期が違うみたいだから。

 

え? なんでこんなことしているのかって?

 

理由は簡単、俺の世界では俺がこの世界に来た日数を数えると丁度今頃はお正月の時期だ。

なので、せめて今だけでもお正月気分を味わいたい訳で…

 

決してサボりたい訳ではないのであしからず…

 

「目的と今している行動が違う気がするのだけれど?」

 

俺がお雑煮の餅をもちもちと食べていると、ブランが俺の部屋にいつの間にやら来ていた。

 

「ほ、ふらんほふう? ほひひいほ?」※訳 お、ブランも食う? おいしいぞ?

 

「…せめて口にあるものを飲み込んでから喋って…聞こえづらいわ」

 

ジト目で俺を見つめて言ったブラン、俺は口に入れてた餅を何度かしっかり咀嚼して飲み込むと、手に持っていた雑煮のお椀をこたつの上に置く。

 

「まあ、それについても一度説明するからとりあえず部屋に入ってくれ」

 

俺が手招きしてブランを呼ぶと、ブランはしばし考えるように目線を逸らし、小さくため息を一つ吐くと渋々と俺の部屋の中に入ってきた。

そして、ごく自然にこたつの中に入り、俺と対面する形で座るとまた俺のことをジト目で見てくる。

 

「まあまあ、そう睨むなよ、実はな…これは俺の世界の事なんだけどな?」

 

俺はそう言いつつ、空になったお椀とお箸を手早く片づけ、給湯室の方に向かい水につけて素早くこたつに戻る。

 

「俺の世界では今の時期、年始に入ったはずなんだ」

 

「……つまりお正月ってこと?」

 

「そう、だからせめて気分でも味わいたいから、出来る限りで俺のお正月風景を再現したって訳だ」

 

俺がそう言って聞かせるとブランは納得していないのか…複雑な表情を浮かべる。

まあ、こっちの世界でお正月って言っても時期がずれているから無理があるか…

 

「…いくらなんでも、無理があるんじゃない? 私達の世界でお正月って言ってもまだまだ先なんだし…」

 

「まあ、細かいことは気にしないで、今日一日はブランも大事を取って休めって言われてるんだし、今日はブランも一緒にゆっくりしようぜ? ……あ、ちょっと待っといて」

 

俺はブランにそう言うと、再び給湯室に向かい、手早くまだ使っていないお椀とお箸を用意し、温めてあったお雑煮を入れるとすぐさまブランの待つこたつへと戻る。

 

俺はブランの前に湯気がほかほかと上がるお雑煮を置く。

 

「俺特製のお雑煮だ、温まるぞ?」

 

「……」

 

ブランは暫し俺のお雑煮を見つめていたが、朝ご飯をまだ食べていなかったのかお箸を手に取り、お椀を左手で持ち上げてまず、お雑煮の汁を飲む。

 

「っ! ……」

 

ブランは続けてお餅を箸で摘まんで口に運び、もにゅ~、と伸ばしながら餅を食べる。

結構伸びたが、歯で噛み千切り口に含んだお餅をもちもちと咀嚼する。

まるで、木の実をかじるリスとかの小動物の様でめちゃくちゃ癒される…。

 

その時のブランの顔が少し緩み、嬉しそうに見えた。

それも相まってか、ますます小動物の様な愛らしさを感じさせてならない…。

 

「……ぅん……おいしい、わね」

 

「だろ?」

 

「って、そうじゃなくて…!」

 

「え、おいしくなかった?」

 

「いやっ……おいしかったけど…」

 

俺がわざとらしくしゅん、となったり笑顔で聞いたりするとブランは素直に答えてくれるのでとても面白い。

最初は素直じゃない子かと俺は思っていたけど、思ってたより律儀なんだな、ブランって…。 もう少しこのやり取りを続けようかな?

 

「………あなた、私で遊んでない?」

 

「いえそんなことは全く滅相もありませんはっはっは」

 

さすがブラン、勘が鋭い所はいーすん以上だぜ…。

いきなり目つきを鋭くして、声色も低くして凄まれたら、流石にこれ以上のちょっかいはできないからな。

 

俺は慌てて言葉をまくし立てて誤魔化すとブランもむすっとした表情のままだったが、それ以上の追及はしてこなかった。

 

代わりにブランはまた小さくため息をつくと、手に持っていたお椀をことん、とこたつの上に置いた。

 

「……まあ、私も今日一日は休めと言われているんだし…お言葉に甘えさせてもらうけど……今日だけよ?」

 

「今日だけ正月気分を味わえるなら、十分だよ、明日は今日の分もしっかりやるべき事はやるさ」

 

俺はそう言って、目の前の籠に積まれた蜜柑を手に取り皮をむく。

ブランも少し複雑な表情をしていたが、またお雑煮の汁を飲むとまた少し表情が緩んだ。

 

 

 

 

 

 

数十分後…。

 

 

 

―――カタカタカタ……

 

 

 

こたつの温かさに釣られてか、俺が少々うとうととしていると何やら聞き慣れた音が聞こえてきた。

この音は確か……俺がデスクワークでもだいぶお世話になっているキーボードの音だ。

 

俺はこたつに突っ伏していた顔を持ち上げて俺の目の前から聞こえる音の方を見ると、そこにはブランの前に置かれているお手軽なサイズのノートパソコンが真っ先に俺の目に入ってきた。

 

「……何してんだ?」

 

「……趣味の範疇で書いていた小説を久々に書いてるだけよ……気にしなくていいわ」

 

「……それが原因で寝不足になったんじゃないのか?」

 

「言ったでしょ? 趣味の範疇だって……」

 

ブランはちらりと俺を見てから再びキーボードを叩く指を忙しく動かす。

 

……どうやら、同人誌として出すのと、普段から書いているので多少の違いがあるらしい。

前者のは昨日に終えたから、今は息抜きに別のを書いているというわけか。

 

…気になるじゃないか…

 

よし、ここは意を決して…いざ、突入。

俺はこっそりとブランの視界から外れるように寝転がり、そのままこたつ内部へと潜入…途端に心地よい熱気を全身くまなく浴びることになるが、幸いそれほどむしむししていないので案外大丈夫だった。

 

「どんなの書いてるんだ?」

 

「っ!?」

 

俺は開いているブランの隣からにょきっと頭だけ出してブランに声をかける。

急な登場でブランもびっくりしたのか、俺の方にハッ、と顔を向けた。

 

「……なんで、そんな所から……」

 

「お構いなく」

 

「構うわよ……あっ、ちょっと!」

 

俺は体もこたつから引き出し、上半身をブランの方に傾けてノートパソコンのモニターを見る。

 

ん? この内容は…

 

 

「学園ラブコメか?」

 

「っ!! み、見るなぁ!!」

 

 

ブランが瞬時に顔を真っ赤に染めて俺の体を無理やり押し返す。

そんなに見られたくないものだったのかな? もしかして内容は結構過激だったり?

それはそれで、男として探究心をくすぐられるな…あ、いや決してエロい目的ではなくてね、文学的な意味合いでね?

と言うことでこっそりチェック!

 

「ブランってバトルファンタジー以外にも書いてたんだな? こっちの方は出版しないのか?」

 

「こ、これは別にいいの! ………今日始めたばっかりだし……」

 

「その割にはキャラしっかり考えてるな……小説家を目指す文学少女と突然現れたしっかり者の青年……でも、青年が特撮オタクってヒロインとどこに接点が?」

 

「だから見るなって言ってんだろっ!?」

 

無意識にブランの口調が女神化状態になって俺をノートパソコンの画面から引きはがそうとする。

こっそりって言ってもこの距離感じゃ無理があったか…

でも、俺も譲らない。 ちょっと俺も押し返しつつブランも押しつつでさながらちょっとしたおしくらまんじゅうだ。

しばらくその状態を繰り返していると……

 

 

 

―――ぷにっ…

 

 

「っ!?」

 

不意に俺の肘が何かに当たった気がしたが…こたつではないよな? 今の感覚からすると結構柔らかめだ。

 

「お、お前今……どこ触った!?」

 

「え?」

 

一体どうしたことか、ブランが急にこたつから飛び出し、頬を赤く染めながら俺を睨みつけた。

あれ? 俺なんかした?

なんか、ブランが今までにないくらい俺を威嚇してるんだけど…

さながら唸っている小さめの犬のようだ。

 

 

「い、今お前……わ、私の胸触っただろ!!」

 

「はい!?」

 

 

突然そんなことを言われたので俺もおっかなびっくり、慌てて右手を顔の前でぶんぶんと振り、触ってないと言うことをアピールする。

しかし、それでブランは許してくれるつもりもないらしい、未だに俺を睨んでいるままだ。

 

「ウソつけ! しっかり胸に触っただろうが!!」

 

「いやいやいや! 触ってない! 肘が当たっただけ!」

 

今度は両手を振って違うと言うことをアピールする。

それでも、ブランは収まる気配なし…

というか、当たる当たってない以前に…

 

 

 

「正直、胸だったかどうかも分からなかったんだけど……」

 

 

 

瞬間、ぷちーん、と何かが切れるような効果音が聞こえた……様な気がした。

 

しまった、つい、本音を口に!? 何でよりによってこう言う時に口が緩いんだよ俺! ラブコメのワンシーンじゃないんだぞ!?

 

ブランはゆっくりとその場に立ちあがると、上から俺のことをギロリと見下ろした。

あれ? 普段は小動物に見えるブランが、何か…巨大な猛獣に見えるんだけど?

 

「ほう……つまりてめーは私の胸は胸であるかどうかも怪しいまな板だと言いてぇ訳だな?」

 

「いやいやいやいやいや!! そこまで言ってない!!」

 

俺はその場で全力で両手と頭も左右に振って否定アピールをするも、鎖を噛み千切った猛獣は止まることを知らない…

 

「……宗谷、覚悟はいいか?」

 

右手で拳を作り、俺を絶対零度の眼差しで見つめるブラン…

あ、ヤバい…俺死んだわ…今回ばかりはガチで死んだわ…。

誰も触れてはならない物に、俺は触れてしまったんだきっと…ああ、ごめんいーすん、俺帰れそうにないわ…。

 

俺が半ば覚悟して目を閉じた……

その時…

 

 

 

「宗谷お兄ちゃーん!」

 

「お邪魔します……」

 

救いの女神キターーーーーーーーーーーーー!!

 

ナイスタイミングロムちゃん&ラムちゃん!!

俺は二人に視線を向けて、すぐさま話題を変えるべく2人に声をかける。

 

「い、いらっしゃい二人とも!! さあ上がって! 用はなくてもいいからとにかく上がって!!」

 

「……二人とも起きてたのね?」

 

おお、ブランも二人の登場に一旦怒りを鎮めたみたいだ…。

妹の存在は偉大なり…

 

……いや、安心するのはまだ早いな、二人が居なくなった途端、急に刑を執行されそうな気がするからな……

どんな刑かって? 死刑に決まってんだろ!!

 

「宗谷お兄ちゃん、お姉ちゃんこれ見て!」

 

「ん?」

 

ラムちゃんがテンション高めで俺達に差し出してきたのは。何やら文字が書かれた少し大きめの箱の様なもの、その箱には赤と白を半と半に振り分けして彩られた文字でこう書かれていた。

 

 

「お正月……お楽しみセット?」

 

 

 

 

 

 

 

「げええぇぇぇぇ…」

 

「せやからあんた言うたやろ、飲み会するんはええけど吐くまで飲むなって」

 

ルウィーの街中の路地裏にて、物陰に何やらキラキラしたものをリバースする白い長髪の女性とそれを介抱する関西弁の女性がいた。

 

白い長髪の現在絶賛リバース中なのは、TGSの際に宗谷の前に突然現れたあの白直ジャージの謎の女性、トランス。

対して彼女の背中をさすり、関西弁で彼女を嗜めるのはトランスよりも少し灰色が入った白髪のポニーテールの女性だ。 白いジャージのトランスとは対照的に、こちらは黒のロングコートを着用している。

マットブラックの瞳で切れ長な目をしていながらも世話焼きな様子が手に取るように分かる女性は、白ジャージの女性と同等なほどに美麗な顔立ちをしているが…状況が状況だけに直視しづらい。

 

「いや……せっかく年始に入ったんで、せめて私も新年会気分で盛り上がってみたくて…うぷっ」

 

「そんなん言うたかて、それはあのお兄さんの世界での話やんか……なんであんたも飲む必要があるんや」

 

「飲んでも飲まれるなと言いますがね? 時に飲まれることで人はお酒のおいしさと快感をより一層強め…うえぇぇぇぇぇぇ…」

 

「その結果がこれやろが! ああもう、飲み会行く前にちゃんとおにぎり食うたんか? ちょっとでも酔い回るのが遅くなるから食べとけ言うたやろ?」

 

どうやら、トランスも宗谷の世界の年始の気分にあやかって新年会代わりの飲み会を開いたらしいのだが…結果、翌日になるまで飲みまくった挙句、盛大にリバースする羽目になったのだ。

連絡を受けた黒コートの女性はそんな彼女を迎えに来たらしいが、ここで気になるのはこの女性も宗谷のことを少なからず知っているということだ。

 

謎めいた二人だが、こんな状態なのでそんなに緊張感を感じられないのは…この際目を瞑っていただきたい。

 

「いやぁ…でも、すべてが悪いことにはなってませんよ? ちゃんと彼が今いる教会に届け物は渡してきましたから…」

 

「ん? なんや届け物て?」

 

「彼にとってこの上なくお正月を満喫できるものを…少し、ね、うぷっ…」

 

トランスはそう言うと、再び何かが込み上げ始めたが、黒コートの女性が慌てて介抱する。

 

「なんや分からんけど…もうとりあえず帰るで? ほら立てるか?」

 

「あー……早く横になりたい……」

 

「はいはい、頼むから家帰るまで私の方に吐かんといてな?」

 

「うげぇぇぇぇ…」

 

「言うてるそばから吐くなや!!」

 

トランスに肩を貸して、女性は彼女の歩くペースに合わせてゆっくりと歩き出す。

その様子はさながら歴戦を生き残った勇士の帰還のようだが、決してこれはそんな清々しいものではない…

 

 

 

 

 

 

 

 

ロムちゃんとラムちゃんが俺の部屋に持ってきたお正月お楽しみセットなる物は二人曰く、朝起きたら二人の部屋に置かれていたらしいのだ。

一体誰が置いたかは知らないが、念のため危険なものがないか確認して中を確認するとそこから出てきたのは…

 

「……なつかしいなぁ……」

 

昔、施設でもみんなでやったことのある昔懐かしのお正月お遊びアイテム、独楽に羽根突き、かるたの三点セットだ。

これに後凧とすごろくがあったら完ぺきだったんだが箱の大きさ的に無理があったみたいだ。

 

「お姉ちゃん……これ、何?」

 

「……昔懐かしのおもちゃ、のはずだけど……」

 

「これってどうやって遊ぶの?」

 

ロムちゃんとラムちゃんは実物を見たことがないのか、遊び方をブランに聞いているみたいだが、ブランもやり方はあまり知らないようだな。

最近の子供はゲームが主だって話だもんな…

 

見かねた俺は箱の中にあった独楽をひとつ手に取り、独楽の下にある軸に紐を巻きつけていく。

 

「こうやって、独楽の裏にある軸の方に紐を回して……そらっ」

 

左胸に構えた独楽を、誰もいない安全な床の方に放り投げ、すぐさま紐を勢いよく引き、独楽を回してみせる。

この投げ方は“ひきゴマ”って言う投げ方で一番スタンダードな投げ方だ。

 

「わあっ♪ 回ってる!」

 

「ぐるぐる……♪」

 

床に投げられた独楽はしっかりと軸で立って勢い良く回転し、その様子を二人は物珍しそうに眺めている。

 

「やってみるか?」

 

「うん!」

 

「やってみたい…♪」

 

俺が二人にそう言うと、二人は目をキラキラさせて俺の方を見つめてきたので、俺は箱の中に入っていたもう一つの独楽をラムちゃんに、たった今回転が止まったもう一つをロムちゃんに手渡した。

 

「ん?…えっと……こう?」

 

「ああ、ロムちゃん違う違う、こっちの紐の先を独楽の端につけて…そうそう、軸の方にあてがって三回ほどきつく巻いてから、軸に沿って渦巻き状に巻くんだ」

 

「んっしょ…出来た! こんな感じ? 宗谷お兄ちゃん」

 

「そうそう、そんな感じだラムちゃん」

 

俺は二人に巻き方を教えてから投げ方を簡単に教える。

すると、二人は早速立ち上がり、何もない所に向かって…

 

「行っけー!」

 

「えいっ……!」

 

教えた通りのひきゴマの投げ方でほぼ同じタイミングで投げる。

すると、見事に二つの独楽はくるくると地面を回り始めた。

 

「わーい! 出来た!」

 

「やったね? ラムちゃん♪」

 

二人もうまく回せて楽しそうだ。

遊びがうまく行くと、どんな子供でも嬉しいものだよな、たとえ世界は違ってもそれは変わらないみたいだ。

 

すると、独楽がカチンという音を立ててぶつかり合い始めた。

 

「お、喧嘩ゴマだな」

 

「「喧嘩ゴマ?」」

 

「そう、どっちかの独楽が止まるまでぶつかり合って勝負するんだ」

 

二人にそう言うと、二人はふんふんと頷いてじっと独楽の様子を窺い始めた。

さすが双子だな、見入ってる姿もそっくりだ。

互いにがんばれと自分の回した独楽を応援しながら、勝負の行方を探っている。

 

結果的に、二人の独楽は同時に止まって勝負は引き分けに収まった。

 

「あー…止まっちゃった…」

 

「私も……」

 

止まった独楽を拾い上げてしゅんとなる二人に、俺は笑顔を向ける。

 

「勝負がつかなかったのは、二人とも仲良しの証拠だ、仲がいいから勝負がつかない、良かったな二人とも?」

 

俺がそう言うと、二人は互いを見つめあってから笑顔を浮かべた。

うん、やっぱり仲良しだな、二人は…。

 

「……手慣れてるのね? こういう遊び……」

 

ブランは意外そうに俺を見てそう言う。

今思えば、こういう時間を過ごすのはこっちに来て初めてだった気がするな…。

やっぱ、小さい子供が居るからかな?

 

俺はただ笑顔を向けてまあな、と返すと再び二人に視線を戻す。

たまにはこういうほのぼのした時間を過ごすのも、悪くないか…。

すると、いつの間にやら二人は箱の中からまた別のを取り出してきた。

 

今度はかるただな。

 

「次はこれ!」

 

「おうよ、じゃあこれはみんなでやるか!」

 

俺はブランの方を見てそう言うと、彼女も頷き、今いる三人と俺の四人でかるた大会が始まった。

 

 

 

「ルールは簡単、俺が詠んだ言葉の頭文字が書かれた札を、三人はこの中から探し、誰よりも早く取ればいい」

 

俺はできるだけ簡潔にそう言うと、三人は頷いて、三人の目の前に無造作に散らばっている絵札に目を凝らす。

それぞれにはあいうえおの平仮名が振り分けられて絵札もある。

スタンダードなタイプのかるただが…なんだろう絵札がなんか特徴的な気がするな…

 

まあ、とりあえず進めるか。

 

 

 

「じゃあ、早速……えーっと……『俺は、人間をやめるぞっ!!』…」

 

 

 

……あれ? なんだこれ?

 

「えっと、あ! 見つけた!」

 

ラムちゃんがすぐさま頭文字が“お”の絵札を見つけてそれを取った。

 

「宗谷お兄ちゃん、これでいいの?」

 

「え?…あ、ああ…そう、そういうやり方でOK」

 

俺は苦笑いでそう言うけど…

 

なんだこのかるたの内容…めちゃくちゃ聞いたことがあるんだけど…石仮面的な…

 

「…どうかしたの? 宗谷」

 

「……いや、別に何でもない……」

 

うんそうだ、きっと偶然、偶然似ているだけだ。

他のは案外違うかもしれないし…

よし、次の札を詠もうか…えっと、今度は…“も”、だな…

 

「それじゃあ、次は……『もう、何も怖くない…』」

 

「……あった!」

 

……何? 死亡フラグビンビンの聞いたことあるこのセリフ?

 

この後の状況が目に浮かぶよ? この後絶対頭噛み千切られるパターンだよ!?

 

俺がなんかこの妙な悪意を感じるかるたに心の中で抗議しつつも、“も”の絵札を取ったロムちゃんはそんなことお構いなしにラムちゃんと一緒に喜んでる。

二人は元ネタ知らないだろうからいいけど…よりにもよって何でこれをかるたにしちゃったの? て言うかこのかるた作ったの誰!?

 

「宗谷…2人が次を待ってるわ…」

 

「……お、おう」

 

ブランに急かされ、俺はしぶしぶ次の札を詠むことにする。

……このパターンからすると、嫌な予感ありまくりなんだけどな……

 

「…『悲しいけどこれ、戦争なのよね?』…」

 

「っ!」

 

俺が詠み終えた瞬間、ブランが真っ先にその札を取りに行った。 かなり速かったな…。

ロムちゃんとラムちゃんもびっくりしてる。

 

「すごいお姉ちゃん! すっごい早かった!」

 

「びっくり……」

 

「……まあ、こんなものよ」

 

ブランは二人に褒められてすごい嬉しそう…

一見すると微笑ましく見えるんだけど、俺はこのかるたの内容の元ネタを知っているからなんかそっちの方のインパクトが強すぎて……

 

その後も、かるたは続いた訳で…

ダイジェストでどんな札があったかと言うと…

 

 

「…『我が生涯に一片の悔いなし!』…」

 

「えいっ!」

 

「…『黙ってろよ クズ』…」

 

「……あ、見つけた♪」

 

「…『マヨネーズが足りないんだけどぉぉぉぉおおおお!!』…」

 

「見つけたわ……っ!」

 

 

なんか……なんか違うぅぅぅううううう!!

なんかこのかるた違うっ! 全然子供喜ぶ内容じゃないものこれぇ!!

何でよりにもよってこう言う妙なセリフばっか入ってんの!? それよりか何でみんなはそんな平然と楽しそうにしてるの!? 俺三人の横ですごいへんなセリフばっか言ってるのに!!

 

……もう、一気に疲れた……

 

かるたが全部終わるころ、俺は肩を上下させて息をするほど主に精神的な意味で疲労困憊…

かるた勝負の結果はロムちゃんが一番多く取って、ロムちゃんの優勝だった。

 

「えへへ…やった♪」

 

「むー…三枚持ってればラムちゃんの勝ちだったのにぃ!」

 

「すごいわ、ロム……ラムもよく頑張ったわ……」

 

三人とも和気藹々としている所なんだけど、俺はなんか素直に喜べないんだよね…

なんなんだ、このかるた…すっごい悪意を感じる…

 

なんか、腑に落ちない点もあるが…とりあえず今はこの気分を変えたい、別のことをしたい。

確か、まだ羽根突きが残ってたっけな?

 

「……よし、次は羽根突き行くか? ていうかマジで行こう、はい外にレッツゴー!」

 

 

 

 

三人を誘って、教会の外に出た俺はブランに羽子板を渡して、俺も羽子板を持つ。

羽根をぽんぽんと手で弄びながら、ブランに軽くルール説明をする。

 

「ルールは簡単、この羽根を羽子板で打ちあって、先に地面に落とした方が負けだ、負けた奴は罰ゲームで顔に墨を塗るってことで、分かったか?」

 

「……理解したわ」

 

ブランはそう言って頷くと羽子板を構える。

その様子をロムちゃんとラムちゃんの二人は離れたとこで見守っている。 2人の手には、あらかじめ用意していた真っ黒な墨と筆。

 

まあ、これなら別にさっきのかるたみたいなことはないはずだ。

なんせ体を動かす遊びだからな、寒いのは勘弁だがもってこいの遊びだ。

 

「うし、じゃあ行くぞ…っと!」

 

俺は羽根軽く上に放って、タイミングを見計らって下打ちでブランに羽根を返す。

 

「……っ!」

 

ん? 今一瞬ブランの目が鋭くなったような…

 

俺がそう思った刹那…

甲高い音と共に、俺の顔面の真横すれすれを猛スピードで何かが横切った。

 

弾丸の如く俺の顔の横を通り過ぎたそれは、雪が積もる地面に弾痕のような穴を穿ち、なぜか煙が上がっていた…

 

……え? 何今の?

 

「あら…ごめんなさい、ちょっと力の加減が……難しいわ」

 

「え? あ、ああ…さいですか…」

 

あー、そうか…きっとブランが初めてだから力加減を間違ったんだな。

うん、だからさっき見たいなスピードが出たわけだ、そりゃそうだよな、変身してない状態でもあんなでっかいハンマー振り回せるんだから。

 

「宗谷お兄ちゃんの負けー!」

 

「罰ゲーム……」

 

2人がめちゃくちゃのりのりで俺の所まで来て墨をべったり付けた筆をスタンバイする。

俺は甘んじてそれを受け入れ、二人の筆で俺の顔に落書きを描かせる。

 

たぶん、感覚的に言うと、俺の両方のほっぺに猫のひげの様な落書きが施されたはずだ…。

 

「あははは! 宗谷お兄ちゃん猫ちゃんみたい!」

 

「…かわいい♪」

 

「そ、そうか?」

 

俺は苦笑いでそう流すと、再びブランに向きなおる。

地面に刺さった羽根をなんとか引き抜いて、ブランにパスする。 次はブランから始めるからだ。

 

「……じゃあ、行くわよ?」

 

 

上に高く放り投げられた羽根は、ブランの頭上近くまで降りてくると…

 

 

「っ!!」

 

 

テニスのサーブの様な打ち方で思いっきり打ち返された羽根は再び甲高い音を立てて、とんでもないスピードでこっちに迫る。

咄嗟に俺は身を低くしてそれを回避、羽根は俺の頭の上すれすれを通過した…

あれ? ていうか…今の絶対狙ってない?

 

「あら…まだ狙いが甘いみたいね……」

 

「今、狙いって言った? 今の絶対俺のおでこに打ち込む気だったよね!?」

 

俺が上ずった声でブランに抗議すると、ブランは文句のつけようのない穏やかな笑顔を浮かべて俺を見つめる。

 

「何を言っているの? これは遊びなんだから、いろんな戦術を立ててプレイするのも一つの手じゃない……さあ、続きを始めましょう?」

 

まさかブラン…さっきのこたつでの事…まだ根に持ってたのか!?

絶対そうだ! あの目、一見普段のブランの目だけど、瞳の奥が物語っているもの! 次は当てるぞって!!

 

「さあ、やるわよ? 宗谷……」

 

「ちょ、ちょっと待って!」

 

「…っ!」

 

「のぉぉぉおおおおおおおおおおおおおお!?」

 

 

 

 

結果、俺はブランに散々弾丸の如きスピードを出す羽子板に付き合わされ、俺の顔面は真っ黒にされた…

これで、命があったのが幸いか……その代償として何度も死にそうな目にはあったけどな?

 

「あはははは! 宗谷お兄ちゃん真っ黒ー!」

 

「真っ黒…♪」

 

2人は無邪気に笑ってるけど…もう俺には笑える余裕はないよ。

 

対してブランは…

 

「……なんだか、すっきりしたわ……たまにはいいわね? こう言うのも…」

 

めっちゃくちゃ清々しい笑顔を浮かべてるし…

なんなの? 今のでこんなに気持ちのいい笑顔って出来るものなの? 少なくとも付き合わされた俺はそういう気分になれない…

 

……でも、まあ、楽しかったには楽しかったからいいか……

 

俺が見つめる先では、ブランのさっきのプレイを見てブランを絶賛するロムちゃんとラムちゃんの姿…

これで、また三人の仲が良くなったと思えば、悪いもんじゃないか…

 

このお正月お楽しみセットをくれた人には感謝だな…

 

「…宗谷、中に入りましょう? この子たちにあなたのお雑煮を食べさせてあげて?」

 

「私、お餅大きいのがいい!」

 

「私も……ワクワク♪」

 

「…おっしゃ、分かった!」

 

俺がそう言うと、三人はすぐに教会の方に行ってしまった。

俺は遅れて三人の後をついて行こうとするが…お正月お楽しみセットを置いてきたことを思い出し、すぐさまそれを手に取る。

 

「ん?」

 

持ち上げて気付いたが、何やらはこの中にもう一つ別の何かが入ってるのが分かった…。

なんだこれ?

 

俺はそれを箱の中から取り出すと、それは何やら手のひらサイズの小さなボタンの様だった。

 

「…押してみろってか?」

 

俺は特に躊躇することもなくボタンに指を添えてボタンを押しこむ。

何かわからなければ、押すべし! 何故かって? そこにボタンがあるからさ!

 

―――ポチっ

 

―――デデーン!

 

 

『宗谷、アウトー』

 

 

「……は?」

 

突然どこからか聞こえた、めちゃくちゃ聞き覚えのある音声。

すると、それを合図にしたかのように、どこからか黒タイツに身を包んだ何者かが、やけにしなる棒を持って現れた。

 

「え!? なんで? ちょっ、待ってなにがなんだか…痛ったぁぁ!?」

 

黒タイツは俺の体をお尻を突き出した様な体勢にさせると、その棒で思いっきり俺のお尻をしばいて、どこかへと去っていってしまった…

 

……俺別に笑ってないのに……

 

 

 

俺はこの日、正月気分を満喫しました……

 




いかがでしたか?

急に忙しくなってなかなか書く意欲がなかったのですが、なんとか書き終えて、皆さんに指摘された反省を生かして、しっかりと見直しもしました。

それでも誤字脱字がありましたら、すみません…


それでは、皆さん、次回でお会いしましょう!
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