超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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どうも、ご無沙汰しています!

最近になってリアルの方が再び忙しくなり始めました、白宇宙です。
実は自分、まだ学生の身でして…最後のテストやらなんやらで今月は忙しくなりそうです。

まあ、隙を見てちょっとずつ書いてるんですが…
進路はもう決まってますし、特に焦ることもないので(笑)


それではお待たせしました、最新話です!
どうぞ…


異変は突然に… イストワールと宗谷の約束編
stage,18 俺、知りました


そこは、何とも不思議な空間だった。

一見すると、和風旅館の高級露天風呂にしか見えない、その点はいたって普通、あるいはちょっとした和やかな雰囲気を感じる場所だ。

だが、不思議なのはその露天風呂を彩る景色だ。

 

その露天風呂を覆うかのように四本の大きな木が露天風呂の周りを囲んでいるからだ。

 

一本は桜の花が満開に咲き、もう一本は青々とした緑の葉が生き生きと生い茂り、もう一本は真っ赤な紅葉が木を彩り、もう一本の木には白い雪が被っている。

そして、その木の間から覗くのは三日月。 しかし、その三日月の周りの暗い空は夜空と言うにはどこか虚ろで、まるで張りぼての様な空虚さを感じさせる。

 

春夏秋冬の四つの木が囲む不思議なこの露天風呂、絶え間なく流れるお湯は湯気を生み出し、それはある意味、独創的で幻想的な風景を作り出していた。

 

その露天風呂に体を沈める、二人の影。

 

「ふぃ~……人生の垢がすべて洗い流されるようですね~…」

 

「どんな垢が溜まっとるんや…」

 

トランスと、白髪ポニーテールの女性だ。

今は入浴中のためポニーテールの女性は髪をまとめ上げ、タオルで巻いているのでポニーテールではないが…

対してトランスは頭に手拭いを乗せて、露天風呂に浸かり日ごろの疲れを癒している最中だ。

もちろん入浴中なので二人とも一切衣服は身につけていない。

 

「この後、私達にまた仕事があると考えると……出るのが嫌になってきますね……」

 

「上気せるで? さっきまで二日酔いでしんどそうにしとったのに…」

 

「やらなきゃいけないのは分かってるんですよ? 分かってるんですけど、ポテンシャルってあるじゃないですか」

 

トランスはそう言うと、一旦湯船から上がり、近くに設置されたシャワーの方に向かう。

水滴で濡れた髪や、元々のプロポーションもあってかその姿は独特の色気を感じさせてやまない。

 

トランスは湯船に一番近いシャワーの前に座ると、シャワーと手に取り、栓を回して丁度いい温度に調節したお湯を出すと、頭からそれを被る。

 

「言うてもあんた、そっちの仕事はそれほど面倒な内容でもないやろ?」

 

いつ間にか、ポニーテールの女性も湯船から上がり、トランスの隣に座る。

こちらは近場に置かれていたスポンジにボディーソープをかけて泡立て、体を洗い始める。

トランスとは違い、バランスのいい体系をしている白髪ポニーテールの所謂トランジスタグラマーと呼ばれる体が白い泡に覆われていく。

 

「面倒ですよ! いや、仕事の内容はそうでもないですけど……個人的に言うと、私は定期的にストレスを発散したいんです」

 

「あんた普段からアクティブな人間やからなぁ…」

 

「問題は私以外のメンバーですよ」

 

トランスはそう言うと、目の前に置かれたシャンプーを手に取り泡立てて髪を洗い始める。

長い髪なので洗うのに一苦労だが、欠かせない作業には変わりない。

 

「ロボティックはいいとしても…もう一人の方ですよ」

 

「まあ、“あの子”はしゃあないやろ、元々恥ずかしがり屋な子なんやから」

 

「だからって、一週間近くも部屋に引きこもりますかね……それっきり私彼女の姿を見ていないのですが…」

 

少々呆れ気味に呟いた言葉に女性は苦笑いを浮かべる、こればっかりは今に始まったことではないから何とも言えないのだ。

あまり、この話題で時間を潰すのもいい気はしないので、女性は話題を変えるべく、最近報告された、ある事を口に出した。

 

 

「そう言えば……“リンカー”に兆候が見られたって」

 

 

それを聞いたトランスの手が一瞬、ぴたりと止まるが、すぐさま何もなかったかのように髪をシャンプーで洗い始める。

 

「……今回の場合はいつ来てもおかしくない状態でしたから…私からしたらやっと来たかって感じですよ」

 

白髪ポニーテールの言う、“リンカー”。

それが何を示しているのか知っているトランスは、そう言いながら背中に流れる後ろ髪にもしっかりシャンプーを施す。

 

彼女たちにとって、この“リンカー”と呼ばれる存在は今後の予定に多大な影響を与える重要なものなのだ。

 

「重要だからこそ、早く来てくれてありがたいんですけどねぇ…」

 

ボディーソープとシャンプーの泡が彼女たちの体を伝い、床に流れる。

一通りシャンプーで髪を洗ったトランスは一足先にシャワーでそれを流す。

 

 

「……こちらも早く手を打たないと、“リンカー”の体が持たない可能性がありますからね」

 

 

トランスはそう呟くと、シャワーを止めて再び湯船に戻ろうとする。

するとそこへ…

 

―――カラカラカラ…

 

脱衣所の方に設置されたスライド式のドアが開き、そこから異状に巨大なシルエットが出てきた。

優に三メートルを超すであろうその巨体は鋼鉄の赤い金属で覆われ、無骨なボディにとてつもなく巨大な剛腕。 頭部にはらんらんと輝く赤い二つの目を持ち、ガシンガシンと音を立てて露天風呂に入ってきた。

西洋の騎士を思わせるシルエットをしたロボットはあたりを見渡すように首を振る。

 

トランスと白髪ポニーテールの女性はその姿を見ても特に驚く様子もなく、『ああ、またこいつか』と言いたげな目をしている。

 

すると、そのロボットの横から小さい、ロボットと比べるとあまりにも小さい少女が出てきた。

ロボティックである、もちろん彼女も衣服は身につけていない。

 

「ややや! ロボティックも来たんですね! さあさあこっちに! 一緒に入ってだれにも邪魔されずランデブーを!」

 

「……駄肉、うるさい」

 

相も変わらず辛辣な言葉で流したロボティックは三メートル級のロボットを見上げる。

 

「……ギガントール、待機……」

 

『O.K.…』

 

ギガントールと呼ばれたロボットは無機質な電子音声でそう答えるとその場で立ち尽くしたまま動かなくなった。

ロボティックはそれを見届けると、ギガントールの後ろに回り込み、何かを引っ張り出そうとする。

 

「……一緒、行こ?」

 

「だ、ダメだよロボちゃん、そんな急に出られないよぉ……」

 

不意にギガントールの後ろから弱弱しく、儚げな声が聞こえてきた。

それを聞いたトランスと白髪ポニーテールの女性が、まさか…、と言いたげにその様子を見つめる。

 

「……むぅ……SARUTOBI……」

 

ロボティックが痺れを切らし、不満げな表情で呟くと、ばしゃ、と言う水音が湯船から響き、そこから洗礼されたシャープなフォルムをした忍者の様な人型ロボットが飛び出して来た。

SARUTOBIと呼ばれたロボットは素早い動きでロボティックに近づく。

 

「………脱衣、お願い」

 

『…御意…』

 

「へ? あ、ちょっ、ちょっと待っ、ひゃあああああああ!!」

 

こちらも電子音を鳴らして答えると、すぐさまギガントールと呼ばれたロボットの後ろに回り込みなにやらごちゃごちゃと騒ぎ始めた。

絹を裂くような悲鳴が聞こえ、ギガントールの後ろでぽいぽいと次々に衣服と思われる布が投げ捨てられていく。

それは所謂、エプロンドレスと呼ばれるもので、それに続きフリル付きの下着類が放り投げられる、それをすぐさまロボティックが拾い上げて脱衣所に放り込む。

 

そして、ロボティックが戻ってくるころには、SARUTOBIGAが何かを抱えてギガントールの上を飛び越え、湯船の近くに着地していた。

 

SARUTOBIがゆっくりと腕に抱えていた物を床に下ろすと、それはぺたんと音を立ててその場に座り込んでしまった。

 

 

「ふぇぇぇ………」

 

 

一糸纏わぬ姿で現れたのは、10代後半程の少女だった。

トランスほどではないが、髪は肩にかかるくらいに長く、頭には白い花の髪飾りをしているまるでおとぎの国から来たかのような雰囲気の少女だった。

弱弱しい声と今の反応も相まってかなり臆病な様子のその少女は、自分の体、主にトランスと対をなす、小ぶりな胸部のあたりを両手で隠すようにして今にも泣きだしそうにしている。

 

怯える子ウサギの様なその少女を見た白髪ポニーテールとトランスは一瞬目を疑うように彼女に見入ってしまっていた。

 

「…ロボティック、あんたようこの娘を部屋から出せたな…」

 

「……むふん」

 

白髪ポニーテールの言葉に鼻を鳴らして胸を張り、えっへんと言いたげなロボティック。

 

実のところを言うと、性格的な意味合いでロボティックと少女は多少なりとも似通っている部分があるため、長い説得の末に少女をここまで連れてきたのだ。

最後は完全に力づくだったが…

 

「引きこもり同士、シンパシーを感じてるんでしょうか…なぜかロボティックとは仲がいいんですよね…」

 

トランスはそう言うと、少女に近づき桶に入ったお湯をゆっくりと体に浴びせる。

いきなり被せられたお湯に少女はびくりと体を震わせ、今にも泣き出しそうな潤んだ紫の瞳でトランスを見る。

 

「そんな目で私を見ないでください…別に悪い事してないのに申し訳ない気持ちになります…」

 

「ほら、とりあえず体洗ってお風呂入り、風邪ひいてまうで?」

 

2人係で少女をシャワーへと誘導し、トランスが手早くスポンジにボディーソープをかけて彼女の体を洗おうとする。

すると、少女はそのスポンジを自分から手に取った。

 

「じ…自分で……でき、ます…」

 

「……何でそんなにかしこまるんですか、もう何年もの付き合いでしょう?」

 

「だ……だって……あの、の……そ…ぅぅ……」

 

少女は口をもごもごさせ、やはり自分の裸体が気になるのか必死に手で隠そうとしている。

その場にいる三人は既に少女がこういう性格とは知っているものの、日増しに人見知りが激しくなるこの少女特有の癖にはどうにも慣れないものだ。

 

「まあなぁ…みんなと会うのはもう一週間かそこらぶりやもんな?」

 

「……ぅ」

 

白髪ポニーテールの言葉に少女は小さくこくりと頷くのみ。

一体彼女は一週間もの間何をしていたのか気になる所だが余計な詮索はこの際無用とトランスは割り切って、少女にスポンジを渡す。

 

「とりあえず、温まったらお仕事行きますよ?」

 

「………やっ」

 

少女はトランスの言葉を聞いて、先程よりも更に二倍増しくらいに顔を赤くさせて首を横に振る。

 

 

「こんな……かっこで……外なんて……」

 

「だれも全裸で外に行けなんて言ってませんよ……私がやるなら大歓迎ですけど」

 

「あんたちょっと黙っとれ」

 

 

白髪ポニーテールが風呂桶で軽くトランスの頭を小突いてから、少女の隣に座りやさしい笑顔を向ける。

 

「大丈夫やよ? そんなに難しい仕事やないし、主なことはトランスがやってくれるから、な?」

 

「…………ぅ」

 

少女はそれを聞いて少しばかり安心したのかまた小さく頷くと、トランスもやれやれと言って湯船の方に戻って行った。

 

それを見送った白髪ポニーテールの女性は泡につつまれた体を風呂桶のお湯で流してから、ゆっくりと立ち上がり、少女に、頑張ってな、と一声かけて脱衣所の方へと向かった。

 

「………は……はぃ……」

 

小さく返事した少女に、軽く手を振ってから、ロボティックの隣を通り過ぎる女性。

すると、ロボティックがSARUTOBIに何かを伝える。

伝令を受けたSARUTOBIが素早くその場を後にし、またすぐさまその場に戻ってきた。

その手には冷やしたてのコーヒー牛乳が握られている。

 

「……仕事前の、一杯……」

 

「……ありがとさん、ロボティック、サルトビはん」

 

SARUTOBIから手渡されたコーヒー牛乳を手に、女性は脱衣所へと向かう。

 

 

 

「……気を、付けて…“エネミー”」

 

「…その名前、あんま好きちゃうねんてよ」

 

 

 

ロボティックの言葉に、女性、“エネミー”は頭に巻いていたタオルを解いて、背中に付くほどの白髪をなびかせて見せる。

そして一瞬、彼女の背中から何かが飛び出した、いや……生えた。

 

「……自分自身の糧が抜けても……これだけは抜けへん……ほんま、嫌になるわ」

 

それはまるでカラスを思わせるほどに黒く、それでいて重厚な機械で出来た翼の様だったが、それは一瞬で消え去り、後には何もないただの白く、美しい背中だけが残っていた。

 

ここにいる少女は皆、髪が白い…だが、彼女だけが色の付いた翼をその身に持っている。

それは、彼女の受けた宿命による物…。 永久に消えることがなかった、彼女と言う存在の証明…。

 

エネミーはそれだけを言い残すと、脱衣所に入って行った。

残された三人は、露天風呂で次の仕事に備え、それぞれの疲れを癒すのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うらぁっ!!」

 

気合と共に、俺は拳を突き上げ、目の前の硬い甲羅に覆われたモンスターに“スキル ストリートファイター”により強化された痛烈なアッパーカット、“ドラゴンライジング”を打ち込む。

 

しかし、変身状態で打ちこんだ攻撃は決定打には至らずモンスターは多少ダメージが入った程度でまだ健在、まだ抵抗の意思を見せて、両腕の巨大なハサミを振り上げる。

 

今、俺が相手取っているのは上位危険種モンスターの“モリガニ”。

 

そしてここは、ルウィーの洞窟型ダンジョンの奥深くに位置する場所だ。

なぜ俺がここで上位危険種を相手取っているのかと言うと…それは俺のベルトを見てくれると一目瞭然だ。

 

俺のベルトが反応しているんだ、あのモリガニから…

 

「いい加減に吐き出してくんないかな……」

 

そう、実はあのモリガ二の中にはヒーローメモリーがある。

 

 

事の発端は数十分前に遡る…。

 

俺がしっかり休養を取った翌日、俺は本来の目的のヒーローメモリー探索のためにこのダンジョンに入ると、微弱だがベルトに反応があり、それを頼りに進んで行くと…

丁度、ダンジョンの一番奥であのモリガニが、俺の目の前でヒーローメモリーを飲み込みやがったんだ…

俺はそりゃあもう絶叫したよ、震度7位の地震が起こりそうなくらい。

 

蟹のくせにそんなもん食うなよ…もっと食べれる物ならあったろ…

 

まあ、文句を言っていてもしょうがないので、俺は変身して何度もモリガニを攻撃してヒーローメモリーを吐き出さないか待っているわけだが、いっこうにその気配はなし。

 

こうなったら、倒すしかないかな…。

 

「行けるか? ブラン」

 

「誰に聞いてんだ? こっちはいつでも絶好調だぜ!」

 

俺の真上で戦斧を構えてる今日一緒に探索を手伝ってもらっている、女神化した状態のブランに声をかけてから、俺は相棒である赤剣を呼びだし、左手でブイホを構える。

 

そして、稲妻よりも早く真正面からモリガニに攻撃を仕掛けたのはブランだった。

あまり高くない天井のある洞窟だが、ブランは天井に当たるか当らないかの距離ぎりぎりを滑空して急降下、モリガニに正面から戦斧を叩きつけようとする。

 

しかし、モリガニも黙ってやられるつもりはないらしく、蟹らしく口から泡を出して反撃を開始し始めた。

モリガニの泡には微量な消火液が含まれているから、受け続けるとやばい…。

 

しかし、ブランの持ち前のパワーの前にはそんなの無意味だった。

 

「おらおらおら邪魔だぁ!!」

 

構えていた戦斧を片手で軽々と振り回し、泡を次々と叩き割っていく。

 

俺はブランがモリガニの注意を引いている隙にスキルリンクアプリを起動させ、奴に接近する。

 

『Skill Link! MARIO』

 

“スキル マリオ”を発動させて一気に接近、近場の壁に向かってジャンプし、岸壁を蹴って更に跳躍、一気にモリガニの足の付け根にまで辿り着く。

 

俺はそのままモリガニの足の付け根あたりに赤剣の刃を突き立てる!

 

さすがに甲羅のない関節の部分にはダメージが入ったのか、モリガニは泡を出すのをやめて俺を振り落とさんと暴れ始めるが、柄をしっかりと握った俺はそう簡単に振り落とされるつもりはない。

 

「大人しくしろっ!」

 

右手で赤剣を握ったまま、左手でモリガニの背中の甲羅に炎を纏わせた掌底を一発打ちこむ。

最近気づいたんだが、スキル マリオ発動中の時は、炎を多少操れる能力も備わるみたいだ。

 

小爆発と共に、ぐらりと足場となっているモリガニの甲羅が揺れる。

 

そろそろ、決めるか…。

 

「ブラン、任せた!!」

 

「おうよ! 巻き込まれないようにしろよ!!」

 

接近したブランが戦斧を思い切り振りかぶり、今までで一番重い一撃をモリガニに見舞う!

 

鈍い音と共に、モリガニの体が一瞬激しく揺れ、ゆっくりとその場に倒れ伏した。

地面に倒れる直前、関節部から赤剣の刃を抜いた俺は地面に着地し、それに続いてブランも地面に降りる。

 

しばらくしてモリガニの体が光に包まれて消滅した。

 

空中を漂う、光の粒子に紛れて地面にカランと音を立てて何かが二つ転がった。

 

俺が慌ててそれを拾おうと駆け寄る。

間違いなく、それはヒーローメモリーに他ならなかった、しかも二つとは……一つだけ飲み込んだわけじゃなかったんだな。

 

食いしん坊な蟹にも困ったもんだ…。

 

そう思って俺が深く息を吐いた、その時…

地面に落ちてあったヒーローメモリーが急に発光しだした。

 

二つのヒーローメモリーは並ぶように俺の目の前に浮かび上がる。 一方は0と数字が書かれており、もう片方は、弾丸のマークの様だ。

 

 

『はぁ…まさか、蟹に飲み込まれるなんて……不幸だ…』

 

『俺も大概厄介事には巻き込まれてるが……まさか、蟹に飲み込まれるとは思ってもみなかった……』

 

 

ヒーローメモリーから2人の男の声が聞こえ、ぼんやりとだがメモリーを核にしてその姿を現した。

 

おお、今回はラノベの主人公キャラか!

 

 

「上条当麻と遠山キンジか!」

 

 

俺に名前を呼ばれて、目の前のそれぞれ違う学制服に身を包んだ2人組、黒髪のツンツンヘア、『とある魔術の禁書目録』の『上条当麻』と、こちらもまた黒髪だが、さらりとした髪質で、少々目付きが悪いのが特徴的な『緋弾のアリア』の『遠山キンジ』の二人が俺の方を同時に向いた。

 

『お、あんたが天条宗谷か…いやぁ、サンキューな』

 

『外に出てこようにも、そうする前に飲み込まれたからな……悪いな、おかげで助かった』

 

二人はそう言うと、俺の姿を上から下へと見て行って、顔を見合わせた後、手の平を上に向けて何かを念じるように目を瞑る。

しばらくすると、二人の手の平から二つの光が浮かび上がった。

 

『これは助けてくれたお礼ってことで』

 

『十分お前が強くなっているのは分かったからな…それに俺達は特定の条件が揃わないとまともに戦えないしな』

 

キンジはそう言うと、自分の体を見て皮肉気味に苦笑いを浮かべた。

確かに、二人とも他のキャラクターとは違って特殊な能力持ちだな…。

 

当麻は“幻想殺し”を持っているって言っても、それ以外は普通の喧嘩慣れした高校生だし、キンジは“ヒステリアモード”が発動すれば相当強くなるけど…修行するとして、どうやってそうなるつもりなのか分からないし、本人もあまりヒステリアモードは好んでいない訳だしな。

 

もしかしたら、二人とも、最初から俺の力量を図っていたのだろうか…

でも、蟹に飲み込まれるのはさすがに違うと…信じたい…。

 

2人の手の平に浮かんでいた光がゆっくりと俺のブイホに吸い込まれ、ブイホに新たなスキルリンクアプリが更新された。

そして…

 

―――キィィイイイン!

 

「っ!?」

 

俺の両腕が急に光だした!

そして、俺の両腕が何かに包みこまれるような感覚を感じ取り、光が収まると、そこには赤く輝く装甲が両腕に追加されていた。

 

俺はそれを確認して再び二人に視線を戻すが、二人の姿はもう既にそこに無かった…。

 

この装甲も二人がくれた物なのかな、俺はそう思いながら両腕に新たに追加された装甲を見つめた。

 

「今のも、お前の憧れたヒーローってことか?」

 

「ん? まあ、そんなとこかな」

 

俺に訪ねてきたブランに俺はそう言うと、ブイホを操作して変身を解除する。

ブランも女神化を解いて、元の姿に戻り、互いにそれほど大きなダメージがないのを確認すると、その場を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「え? 大昔の文献?」

 

俺がルウィーの教会に戻り、人休みにブランの部屋で二人一緒に紅茶をいただいている最中、ブランが唐突にそんなことを言い出したのだ。

 

俺が聞き返すと、ブランは小さく頷き、手に持っていたティーカップを机の上に置いた。

 

「この前、小説の参考になるものがないか書庫で本を探していたの……そしたら、これが出てきた……」

 

ブランはそう言うとどこから取り出したのか、少々分厚い古びた本を机の上に置いた。

特に装飾もなく、古びて埃をかぶってそうな地味な本だが、逆に考えれば歴史を感じさせる雰囲気はあるな。

 

しかし、これが一体何だと言うのか…

 

「これに出てくる内容に……気になる所があるの」

 

「気になる所?」

 

「……この本はゲイムギョウ界創造期に起きたことが記録されていたわ…私達が生まれるずっとずっと昔のことよ……」

 

ブランはそう言うと、文献のページをぱらりと開いて、その内容を俺に見せた。

 

 

「当時、まだ女神という概念が存在しなかったこの世界は、秩序も何もない、荒廃した世界だったそうよ……」

 

 

ブランが指示したページには確かに、同じような内容とそれを記録した絵が描かれていた。

まだ、国と言う概念がないんだもんな、生きるのに必死な人たちが溢れていてもおかしくないか…

 

 

「しかし、ある日突然……その荒廃した世界に5人の女神が降り立った」

 

 

次のページには、当時の女神様を模したと思われる絵が記録されていた。

 

この世界でブランやネプテューヌ達が女神になる前の女神……どんな人たちだったんだろう?

 

 

「5人の女神は、それぞれに国を創った……“ウラノイア”、“セサン”、“コンファー”、“メガイブ”……そして、“タリ”……」

 

 

当時にも今のように国が出来た様だ、違うのは国の数が5つと言うことだが…。

 

当時の地図が記されたと思われるページが開かれる、それぞれの国は星を描くように配置されていて、距離もそれほど離れていなかったようだ。

 

 

「だけども…国が設立されて間もなく……国同士での戦いが勃発した……我らの国こそが一番だ……すべてを、この世界を牛耳るにふさわしいのは我が国だ…そう主張して、5つの国は互いを食い合い、戦いが激化していった……」

 

「………今とは正反対だな」

 

「ええ、そうね……」

 

 

今でこそ、ネプテューヌが友好条約を結んだからいいものの、当時の女神にはその概念がなかったのだろうか…

 

俺の国でも戦争やらなんやらってのはあったが…ここまで幼稚な内容の戦争は聞いて呆れるな…。

 

 

「そして、ある決定的な出来事が起きた……ある国の女神が他国を潰すことに執着し、国民を無下に扱ったがために……シェアを失い、国民からも見限られ、国を追放された……最初に脱落した国は、“タリ”………“タリ・ショック”、と呼ばれる事件よ……」

 

 

ありがちな独裁者の末路か……敵を潰すことに執着しすぎたがためにもっと大事なことを見失ったんだな…。

 

「それを皮切りに、他の四国の女神たちもシェアを失い………女神の力が弱まった、それを見逃さなかったかのように、一人の戦士が現れたそうよ…」

 

ブランはそう言うと、ページを指していた指をひとつのシンボルが描かれた所に移動させた。

 

 

 

「……“魔神 ヴィクトリオン・ハート”……」

 

 

 

魔神……そう呼ばれたらしいその戦士が描かれたそのページには、俺も食い入るものが描かれていた

魔神のシンボル…それがあまりにも似ているのだ…

 

 

 

俺の変身状態の装甲、ヘルメットの額に描かれている…Vとパソコンの起動マークを合わせたかのような印に……

 

ブランもじっと俺のことを見ているから、たぶんブランが気になってた事ってのはこれの事なんだろうな…。

 

「……ヴィクトリオン・ハートが何者なのかは詳しくは記されてはいないわ……この本には、女神と対をなす存在、創造神から遣わされた救世主、はたまた神そのものだとか……はっきりした内容は記載されていない……唯一、ヴィクトリオン・ハートのことで記載されていることと言えば……」

 

ブランはそこまで言ってから、一度押し黙り、変わらぬ無表情で重くその続きを言った。

 

 

 

「……最後は女神を自分諸共、次元の果てに飛ばした……と言う事……」

 

 

 

「つまり、そいつが登場したがために……世界の抗争は終わりを告げ、女神は姿を消した……」

 

 

俺の言葉にブランはこくりと頷いた。

俺は何も言わずにティーカップを机に置き、押し黙った。

 

まさか、こんなとこでヒントになりそうなものが見つかるとは思ってもみなかったからだ…

しかも、それは……女神を追放させた魔神との共通点、冗談でも今のこのゲイムギョウ界の状況からしてみれば笑えない……。

俺自身もそんな奴と共通点があるなんて、驚きだ…。

 

女神からしてみれば、あまり喜ばしい存在じゃないからな、嫌でも気になるか…。

ちらりとブランの表情を窺う俺、しかし、ブランの表情は相変わらず変わっていない。

すると、ブランが再び魔神のシンボルマークを指でトントンと叩いた。

 

「……この文献に描かれているマーク、あなたのマークと似ているけれど……あまり気にしなくていいんじゃないかしら」

 

ブランはそう言うと、本をパタンと閉じて俺をじっと見つめた。

 

「…少なくともあなたは今の私達と敵対するつもりはないんでしょう?」

 

「……当然」

 

「なら、大丈夫……宗谷は宗谷、この本に記された魔神とは違う」

 

ブランは俺に小さく微笑みながら、机に置いてあったティーカップを再び手に取り、一口飲んだ。

 

……当時その魔神が女神を追放したって言っても、それは昔のことだ。

そいつのことは気になるけど、今の俺は最近異世界から迷い込んだ、ただの人間だ。

この力も俺がこの世界に来てやらなければいけないことに必要な物だ、決してそんなことには使わない。

今までだって、この力でネプテューヌ達と一緒に戦って来たんだからな。

何かの関係があるにしても、それは今と昔じゃ違う、はずだ…。

きっと、そうだ……俺はそう信じる。

 

俺は自分の中でそう判断し、ブランに笑顔を向ける。

 

「…サンキューな」

 

ブランはそう言われてほんの少し頬を染めた…。

照れくさいのかな?

 

すると、突然、俺のブイホに誰かから着信が入ってきた。

いーすんかな? 最近連絡なかったし…

 

俺はジャケットからブイホを取り出し、画面を見ると…掛けてきたのはネプテューヌからだ。

一体どうしたんだ? これでお土産の催促とかだったらすぐに切ってやろう。

俺はそう心に決めて、着信に出る。

 

「どうした? お土産の催促なら…」

 

お断り、そう言おうとするよりも早く、ネプテューヌは慌てた様子で俺に告げた。

 

 

 

『ソウヤ大変だよ!! いーすんが……いーすんが!!』

 

 

その言葉は、俺に一抹の不安を覚えさせた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は数分前に遡る……。

プラネテューヌ教会ではいつものようにネプテューヌがリビングでゲームに勤しみ、ネプギアはその隣で姉の様子を見守り、アイエフとコンパは共に夕飯の献立を考えていた時だった。

 

「……」

 

リビングのドアを開けて何者かがその中に入ってきた。

イストワールだ、しかし、どこか様子がおかしい……

 

妙に表情が暗く、飛び方も安定していないように見える。

 

「あ、いーすんお帰り~……どうかした?」

 

「あ、はい…大丈夫です…私は、別、に……」

 

イストワールはその言葉を最後まで言うことなく、突然本から体を滑らせ、地面に落ちた。

遅れて本も地面に落下し、あたりに緊迫した空気が流れ始めた…。

 

「ねぷ!? いーすん! どうしたの、いーすん!!」

 

「いーすんさん! 大丈夫ですか!?」

 

慌ててネプテューヌとネプギアが駆け寄り、ネプテューヌがイストワールを両手で抱きあげる。

その時、ネプテューヌは両手にある感覚を感じ取った…。

 

熱い、と…

 

咄嗟に見たイストワールの顔は赤く、呼吸が乱れ、汗が流れている。

尋常ならざる事態に2人はどうしていいか分からなかった、しかし、その様子を見てアイエフがすぐに動いた。

 

「落ち着きなさい二人とも! コンパ、医者を呼んで! 早く! ねぷ子は宗谷に連絡してこのことを伝えて! ネプギア手伝って、イストワール様を楽な姿勢にさせるから、簡易ベッドを用意して!」

 

素早く指示を飛ばすアイエフ、それを受けて、その場の全員が慌ただしく動きだした。

イストワールは呼吸を荒くしたまま、ピクリとも動こうとしない…。

今までこんなことは彼女には起こらなかったはず、一体彼女に何が起こったと言うのか……。

 

 

 

 

 

俺はこの日、急いでプラネテューヌに戻ることにしました…

 




いかがでしたか?

いーすんに異変、それを知った宗谷は…

急展開になってしまいましたが、次回、いーすんに何かが起きる!?

それでは、またお会いしましょう!
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