超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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どうも、ご無沙汰です!


自分やっぱり仮面ライダーが好きなんだな、と実感している白宇宙です!

今回から始まる、“波乱のライダーメモリー編”!
果たして宗谷の前に待ち受けるものとは!

それでは最新話、お楽しみください!


突入、メモリーワールド! 波乱のライダーメモリー編
stage,22 俺と黒い謎、そして邂逅


人気がなくなった、コバツバ遺跡。

崩れた天井から朝焼けの光が差し込み始めた頃、そこから朝の陽ざしに紛れて、一つの光が遺跡の中に飛び込んできた。

 

光は地面に降り立つと、人型のシルエットを形成する。

 

『たしか、最後に奴の気を感じたのはここらへんだったな』

 

その人物はがっしりとした筋骨隆々の体に紺のアンダーシャツ、その上に橙色の道着を着た黒髪の男だ。

体格が相当がっしりしてはいるが、顔つきはどこか幼くまだ青年と言っても通じるくらいだ。

 

彼は辺りを探るように目を凝らしてから、目を閉じ精神を集中させる。

 

 

『………やっぱだめだ、どこにもいねぇ』

 

 

暫しあってから目を開けて、険しい目つきで腕を組む。

そこにどこからかもう一つの光が飛んできた。

その光も人型のシルエットを形成し、彼と同じように地面に降り立つ。

 

その人物は体をほとんど緑の服と帽子で身を包み、背中には大きめの盾と紫の柄と鍔を持つ両刃の剣を携えた金髪の青年だった。

 

『よぉ、“リンク”じゃねぇか!』

 

『“悟空さん”、あなたも来てたんですね』

 

互いの名を呼び合った2人。

 

そう、彼らもまたヒーローメモリーに選ばれた主人公キャラの二人だ。

 

最強の武道家であり、最強のサイヤ人、世界を巻き込み幾度となく強敵達と世界を揺るがす超絶的な戦いを繰り広げたZ戦士、そう呼ばれた彼の名は、『ドラゴンボール』の『孫悟空』。

 

そしてもう一人は、ハイラルと呼ばれた世界を幾度となく襲った闇を、背中に携えた剣でなぎ払った“勇気のトライフォース”を持つ、ハイラルの勇者、『ゼルダの伝説』の『リンク』。

 

2人の戦士は互いに拳をぶつけ、軽い挨拶を交わすとここに来た理由について話し始めた。

 

『ここに来たという事は、悟空さんも気付いたんですか?』

 

『ああ、オラはここから相当離れてっけど、あいつの“気”は感じてたんだ、それが急になくなったもんだからすっ飛んで来たんだが………』

 

『やっぱり…僕も似たような感じです、もっとも感じたのは気じゃなくて、嫌な予感ですけど』

 

険しい表情でそう話し合う2人、彼ら二人がここに来た理由は共通しているようだ。

それもそのはず、彼らがここに来る数時間前、ここである人物と彼らと同じ宿命を持った人物が争ったのだ。

そして、その後二人とも姿を消した。

 

『何かあったにしても、僕達ヒーローメモリーに共通している意識共有まで遮断されているのはさすがにおかしい、何かあったとしか思えません………』

 

『たぶんな………ん?』

 

その時、一瞬だが悟空が何かを感じ取り、眉を少し持ち上げた。

 

『どうかしたんですか?』

 

『………ああ、すげー一瞬でかなり弱かったたけど確かに感じた、あいつの…“1号”の気だ』

 

『え!? どこですか!?』

 

『まだ微かに残ってるな……場所は……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時を同じくして、リーンボックス教会。

雪国を彷彿とさせるルウィーとは対照的なこの国は、まさに南国、温暖な気候と住みやすい環境で国民からの人気も熱い。

その国を治める女神、グリーンハートことベールは今日も今日とて自室に籠り、ある事に没頭していた。

 

「この…もう、しつこいですわ…」

 

オンラインゲームである。

今日は大事なイベントクエストの最終日、彼女を筆頭としたギルドがイベントボスを討伐しようと奮戦中である。

もちろんベールもコントローラを手放すことなく、忙しくボタンとスティックを動かす。

 

ついにボスモンスターが最後の咆哮を上げて倒れ、イベントクエストが終了した時にはすでに5回目の朝だった。

彼女の座るPCが置かれた机の横にある、空の食料の空き箱や、ペットボトルがそれを物語っている。

 

「ふぅ………今回のイベントはなかなか手こずりましたわ、まさかあんな条件が揃わないとエンカウントできないなんて、予想してませんでしたわ……」

 

ギルドメンバーにねぎらいのコメントを送り、セーブを確認、ゲームを終了し、ヘッドホンを外してコントローラーを卓上に置く。

両手を上げて盛大な欠伸をしたベールは、そのまま眠ろうかとも思ったが、まずはひどいありさまとなっている周りのごみをなんとかしない事にはいけないかと思い、手早くゴミを拾い始める。

自分で散らかしたものは自分で片付ける、その辺りはちゃんとしているベールであった。

 

そして、その片づけの最中、彼女はあるものに気付いた…。

 

 

「あら? これは………?」

 

 

部屋に無造作に、ごみと共に床に転がっていた、黒い靄が内側に広がっている謎のクリスタルがある事に………

 

彼女がそれを拾い上げ、しげしげと見つめていると…。

 

 

 

―――彼を…呼んでくれ…

 

 

 

「え?」

 

一瞬、彼女の脳裏に何者かの声が聞こえた。

部屋の中を見渡すがもちろん誰もいない、ゲームで徹夜を覚悟した日は誰も自室には立ち入ることが出来ないようにしているから尚更である。

 

 

―――頼む、彼を………宗谷を呼んでくれ!

 

 

脳裏に再び響く声、先程とはまた違ったタイプの声だった。

聞こえたのは二つの声は間違いなく男性、恐らく青年と言った方が正しい声だった。

この声が何者なのかは知らないが、何より気になったのは自分も知っている、彼の名を呼んだ事…。

何故彼の事を求めているのか、尚も黒い靄が広がりつつあるクリスタルを見つめるベール。

 

 

 

 

 

―――このままだと…1号が…彼の意思が消えてしまう!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても、どうしたんだろうな…ベールが急に呼び出すなんて」

 

とりあえず、解説しよう。

俺は、プラネテューヌから朝一、相当な早い時間に叩き起こされた。

いーすんとのお出かけから帰って、寝てから夜が明けたばかりの頃、突然俺のブイホに通信が入った。

相手は、リーンボックスにいるはずのベールからだった。

 

「………もしもし? どうかした…? ていうか今何時だと………」

 

『宗谷! 今すぐこちらに来てくださいまし!』

 

「………はい?」

 

『理由は後で話しますから今すぐに! イストワールもご一緒に!!』

 

と言う切羽詰まった呼び出しを受けて、俺はいーすんと共に朝一の船に乗ってリーンボックスに到着。

船の中で仮眠は取ったものの、それでも眠いぜ…、もう昼前だけどな…

 

「はい、それに関しては私も同感です…宗谷さんならまだしも、私まで呼び出すなんて…」

 

「………そこなんだよなぁ、なんでいーすんも呼び出す必要があったんだ?」

 

おかげでネプテューヌにお土産買ってきてね~っておねだりされたんだけど………

何であいつ、いつもは遅いのに今日に限ってあんなに早いんだよ。

まあ、俺達が準備でばたついてたからだと思うけど…。

謎が尽きないが…とにかく眠い…

俺は寝ぼけ眼を擦りながら、欠伸をひとつ、港を出てリーンボックスの市内へと向かう。

 

そして………

 

 

 

「おぉ……」

 

 

 

リーンボックスの街並みを見て、俺のさっきまでの眠気は何処かに消えた。

まさに、南国のリゾート地、そんなイメージを強く感じる国だ。

ベールの国だからちょっと心配だったんだけど、いらん心配だったみたいだな。

 

え? 何が心配だったのかって?

 

いや、どこまでのレベルかは知らないけど…ベール、確実にゲーマーだからこう、そこかしこにゲーセンやらゲームショップやら家電店やらってネオンがバリバリに光ってる、そう言う電気街的な国なんじゃないかって…

 

でも、まあ、それは俺の考えすぎだったみたいで安心した。

 

「宗谷さんはリーンボックスには初めて、ですよね?」

 

「ああ、いーすんは?」

 

「私はだいぶ前に少し、仕事で」

 

「ああ、なるほど…」

 

俺といーすんはそんな会話をしつつ、リーンボックスの街並みを歩く。

青い空に良く生える、どこかの国の港町の様な街並みと、近代的な建物が入り混じったような風景が点々と並び、俺達が歩く道の脇にはヤシの木の様な木が並んでいる。

ぱっと横を向けば、さっきまで俺といーすんが船に乗って突き進んできた海が見える。

 

俺が辺りを見渡しながら、進んでいると…

 

「あ、宗谷さんあれ!」

 

「ん? …なんだ?」

 

いーすんが突然指差した先には大きな電光掲示板が設置されていた。

そこには結構露出が多めの服を着た可愛らしい女の子がギター片手に歌を歌っていた。

ヘッドホンをしたサファイアブルーの髪のその子の歌は、かなりノリが良くて俺は嫌いじゃない。 むしろ好きな感じだ。

 

「いい曲だな…アイドルか?」

 

「はい、最近全国で大人気のトップアーティスト、“5pb.”さんです」

 

電光掲示板に映っている彼女の名前は5pb.、と言う名前らしい。

なんでも、リーンボックスを中心に各国でも活動している人気のトップアーティストだそうだ。

彼女の歌を聞いていると、それも頷ける。

確かに澄んだ声だ、それにかなり音域も広い…。

俺は無意識のうちに彼女の歌声に聞き入ってしまっていた。

うん、後で彼女について調べておこう。

 

結構音楽とかも好きなんだよね、まあ、主にボカロとアニソンだったけど…。

 

 

 

このリーンボックスで現在活動中のアイドルか………もしかしたらどこかで会えるかも…

なんて、都合が良すぎかな?

 

 

 

 

 

 

そんな感じで街を歩いて行き、やっとの思いで教会の前まで来た。

結構港から離れていたから、歩き疲れたよ…。

 

どこかの宮殿を思わせる外見をした、リーンボックス教会。

その姿に圧巻されるように俺といーすんが見入っていると、教会の入り口が開き、中から誰かが飛び出してきた。

 

「もう、遅いですわ!」

 

ベールだった。

いや、遅いって…これでも朝一の船で来たんだぞ?

 

「もう呼び出して5時間以上は経過しているではありませんか!」

 

「いやいやプラネテューヌからここまでの距離を考えたら当然だと思うぞ…?」

 

俺はベールに軽く悪態をついて見せるが、ベールはお構いなしに俺といーすんの腕を引っ張り、教会の中に連れ込む。

 

「さあ、急いでくださいまし、時間はあまりありませんの!」

 

「ちょちょちょ、急に引っ張るなって!!」

 

「あのベールさん、一体どうしたんですか?!」

 

これでどうでもいい用事だったら、速攻で帰ってやろう…。

俺はこの時そう誓った…。

 

 

でも、その誓いはすぐに崩れることになった。

 

 

 

 

リーンボックス教会に入り、俺達が通されたのはベールの自室らしい部屋だった。

部屋の中は予想通り、ゲームやらタペストリーやらフィギュアやらなんやらでぎっしりの部屋だったので、俺は前にイメージしていたベールのイメージがこの時にもう完全に崩れた…。

 

まあ、薄々予想はしていたから、そこまでショックではなかったのだけれど…。

 

そして、部屋の中に置かれたいかにも高そうな造りの椅子に腰かけた俺達、それに続いてベールが俺達と向かい合うように座った。

 

 

 

「さて……お二人を呼んだ理由についてですが……」

 

 

 

急にベールがいかにもシリアスな雰囲気を出して俺達にそう言って来た。

 

ちなみに、言い忘れていたが、いーすんが大きくなった事はもう既に女神のみんなには連絡済みなのでもう知っている。

だから、おっきいーすんを見てもベールは落ち着いてるん訳だ。

 

俺といーすんはここまでの道中で眠気が完全に消えた事もあってか、反射的に意識を強張らせる。

 

そして、ベールは………。

 

「まずはこちらを…」

 

―――ふにゅ

 

「ぶっ!?」

 

突然ベールは胸の開いたドレスを利用した、すっごい珍しい収納スペースに手を入れた。

まあ、なんだ…用は、胸の谷間に自身の手を突っ込むって言う、どこの不二子ちゃんだよって言う事で…

 

あまりの唐突な行動に俺は椅子の上で盛大にずっこけた、隣のいーすんも苦笑いだ。

 

「もう、人が真剣な話をしているのに何をしているんですの!?」

 

「真剣な話するなら、そんな行動をするな! TPO! 時と場合と……あれ、なんだっけ? ……とにかく、タイミング大事!」

 

やるのは別にかまわない、俺はそんなに嫌いじゃないし、むしろそこに何かを仕舞い込むのは結構だけど、目の保養にはなるけども、さっきの空気でそれをやるのは違うだろ!

いくら胸の大きなベールでもやっていいタイミングってのがあるんだよ!

 

俺が抗議したことで、ベールはどこか不満そうな表情は残しつつも、胸の間に収納していたものを渋々取り出した。

そして、それを机の上に置いた時、俺といーすんの視線はそれに釘づけになってしまった…。

 

 

「ヒーローメモリー!」

 

 

そう、机の上に転がっていたのはヒーローメモリーだったからだ。

 

だけど…どこか様子がおかしい…。

 

今までのメモリーと全然違う…。

 

メモリーは本来、透き通るような綺麗な翡翠色をしているのに、このメモリーは奥のからじわりじわりと黒い靄の様な物が広がっている…。

それは今も止まることなく、徐々に黒くなって行っている。

 

一体このメモリーは何なのか…俺の思考は疑問符でいっぱいになりつつあった…。

 

 

「やはり、これがヒーローメモリでしたのね…」

 

 

ベールはそう呟くと、いーすんの方に視線を向けた。

いーすんはこくりと頷くと、今度は俺の方に視線を向けてきた。

 

「実は前にベールさんには私からヒーローメモリーの事を説明していたんです、もしかしたら何かのきっかけで発見してくれるかもと思いまして…」

 

「実物の見るのは初めてでしたので、もしやとは思っていたのですが………」

 

「ああ……でも、なんでこんなに黒く濁って……」

 

俺は机の上に置かれている五割近く黒く濁っているヒーローメモリーを見つめつつ、ベールに聞く。

 

「…実は、そのメモリーは私の部屋に何故か転がっていましたの…もちろん、手に入れた覚えなんてありませんし、何故あるのかもわかりませんわ………ただ」

 

ベールはそう言うと、俺と同じようにヒーローメモリーへと視線を向ける。

 

 

 

「そのメモリーから声が聞こえましたの………宗谷を呼んでくれ、早くしないと、“1号”の意思が消えてしまう、と………」

 

 

 

俺はその時、背筋に嫌な悪寒が走ったのを感じた。

1号、もしかして………このメモリーの中にいるのは………

 

それに消える?

それってつまり………

 

 

 

 

 

―――バタンっ!

 

「っ!?」

 

「えっ!?」

 

「なんですの!?」

 

 

俺の思考がそこまで至った瞬間、突然、部屋の窓が一人で開け放たれた!

あまりにも唐突な事で何が起きたのかとその場にいた全員が窓の外を凝視する。

すると、窓を通って二つの光がゆらゆらと部屋の中に入って来た。

 

「これは……」

 

「………この光、もしかして」

 

光はゆらゆらと漂いながら、俺達のそばまで近寄ってくると、更に大きく輝きを増し、部屋の中を照らした。

昼間近いというのに、それに負けない位の眩い光を放ち、その二つの光の正体は部屋の床にすとんと降り立った。

 

光から目を守るために覆っていた手をゆっくりと話して、瞼を持ち上げる、すると、そこには予想外の来客の姿があった。

 

 

「悟空! それに、リンク!?」

 

『オス! おめーが宗谷だな?』

 

『会うのは初めてだね。よろしく』

 

左手を上げて軽く挨拶をしてくれたのはあの俺の世界でも有名な漫画、ドラゴンボールの悟空、そして、爽やかな笑顔を向けてくれたのは、ゲームのゼルダシリーズの主人公、リンク。

二人の主人公キャラの登場に、俺は歓喜しそうになるが、二人は有無を言わさず机の上に置かれているヒーローメモリーへとすぐさま視線を向けた。

 

『やっぱり…嫌な予感が当たっちまったな』

 

悟空がヒーローメモリーを手に取り、そう呟いた。

隣にいるリンクの表情もどこか険しいものになっている。

 

 

「あの、宗谷…この方達は?」

 

「え? ああ…そうか、ベールといーすんは知らないんだよな」

 

 

俺の肩をとんとんと叩いて聞いてきたベールにこの二人がどういう人物なのかを簡潔に説明した。

何者で、どんな世界にいて、どんな奴らと戦って来たのかを…。

 

 

 

説明を終えると、二人は目の前の歴戦の勇士を興味深そうに見つめていた。

 

「このお二人が、宗谷さんの憧れたヒーロー………」

 

「確かに、只者ではないというのは分かりますわ……」

 

そんな二人の視線に気づいたのか、リンクが悟空の肩を叩いた。

それに気づいた悟空も俺達の方に慌てて視線を戻す。

 

『ん?………おっと、悪りぃな突然来て黙りっぱなしで』

 

『僕らの方も、緊急事態でしたので…』

 

「緊急? やっぱり何かあったのか…そのメモリーに…」

 

リンクの言葉に俺はそう追及した。

ただでさえ今までになかったことも起きてるんだ、それにさっき感じた嫌な予感…。

2人が駆けつけた事を考えると、状況が良くないのは明白だ。

 

俺の質問にリンクは深刻そうに縦に首を振った。

 

『確かに、君の言うように、今起きているのはただ事じゃないようだ…』

 

リンクの言葉に続くように悟空がヒーローメモリーを持った手を俺達に見せるように前に出す。

 

『今、こいつに何が起きてんのかはオラ達にもわかんねぇ、ただオラ達に分かるのはこのメモリーの中で何かが起きてるってことぐれぇだ…』

 

「やっぱり………」

 

悟空の顔もどこか深刻そうだ。

徐々に黒く染まって行くメモリーが、事態の深刻さを物語っているようにも見える。

 

 

「あの、私…そのメモリーから声を聞きましたの…宗谷を、呼んでくれと…このままだと1号の意思が消えてしまうと…」

 

 

ベールが俺の前に出て、二人にさっき俺達にも話した事を説明する。

それを聞いた二人の表情が何かを確信したかのようなものに変わった…。

2人は互いに頷くとヒーローメモリーを再び机の上に置く。

 

『宗谷、君は薄々分かっていると思うけど……このメモリーは、“仮面ライダー”の記憶を宿したメモリーなんだ』

 

「………ああ、大方の予想はついてたよ」

 

1号、その言葉を聞いた時になんとなく感じていたんだ。

もしかしたら、1号と言うのは仮面ライダー1号の事じゃないのかって…。

 

俺の言葉をきてリンクは頷き、話を続けた。

 

 

『恐らく今、このメモリーの中にある仮面ライダー1号の意識が………何らかの理由で消滅しかかっている』

 

 

俺はその言葉を聞いて流石に驚きを隠せなかった。

 

消滅? 消えるって本当にそう言うことだったのかよ…

 

『………僕たちヒーローメモリーには別々のキャラと意識を通わすことはできても、メモリーの中に入り込み、干渉する事は出来ない………』

 

『そこで、宗谷、おめぇに頼みてぇ事がある………』

 

2人は俺の事をじっと見つめる。

俺は無意識のうちに拳をぎゅっと握り絞めていた、手の平にはじんわりと手汗が滲んでいるのがわかる。

 

 

 

『メモリーの中に入って、1号の事を助けてくれないか?』

 

 

 

俺はそう質問された時、迷う事はなかった。

 

ヒーローメモリーを集める事は、俺に課せられたこの世界での課題…。

その先に何があるのかはまだ何も分からない…。

予想だにしない危険なものがあるのかもしれない…、俺は元の世界に戻るのかもしれない…。

でも、そんな事はこの際関係ない…。

 

 

 

「NO、なんて言うのは場違いだろ?」

 

 

 

俺は覚悟を決め、YESと答えた。

 

たとえこの先に何があろうと、俺は前に進む。

今はそれしかできないから、そうするしかないんだ。

 

それに、なにより、俺が………

 

“俺が最初に憧れたヒーロー”のピンチなら、助けないなんて野暮ってもんだ!

 

俺の答えを出すと、それに続くようにベールといーすんが俺の隣に並んだ。

2人も何かを決意したかのような目をしている。

 

 

「私たちも、お手伝いしますわ!」

 

「ベール…」

 

「宗谷さん、目を離すと無茶してばかりですから………今回ばかりは私もついて行きますよ?」

 

「いーすんまで…」

 

 

予想だにしない援軍の参戦に、流石の2人も戸惑っているようだ。

真剣な眼差しで二人を見る悟空とリンク。

 

『これは宗谷が今までやってきた修業とは違う、メモリーの中に入る以上、何が起きてもおかしくねぇ』

 

『それでも、行くんですか?』

 

ベールといーすんは間を開けることなくしっかりと頷いた。

それを見た悟空とリンクも、ややあって互いに頷いた…。

 

『何が起きるか分からない以上、彼一人だと危険かもしれないからね』

 

『仲間は多い方が心強ぇからな!』

 

2人の承諾を得たことで、俺達三人が1号のメモリーに起きている謎を調査することが決定した。

まあ、確かに、ベールは女神だし、いざという時は頼りになる。

いーすんは俺以上にしっかりしてるし、なにより“グレードアップ”した分、何かあった時も大丈夫なはずだ。

それでも、二人に頼ってばかりではいられないから、俺もやるべきことはやるけどな?

 

悟空とリンクは俺達を順に見てから、互いを見て頷き合い、悟空は左手を、リンクは右手を机の上にあるヒーローメモリーに伸ばす。

 

『………はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!』

 

『………ぉぉぉぉぉぉぉおおお!』

 

気合を込めた声が響き、二人の体を光が包み込む。

そして、その光が黒く濁りつつあるメモリーに流れ込むように手から流れ出した。

 

すると、仮面ライダーのヒーローメモリーが浮かび上がり、俺達の前に空中をふわふわと漂うように動き始めた。

 

そして、ひと際大きく輝き、俺達の前に魔法陣の様な円形の何かが浮かび上がった!

 

 

『それはメモリーの中へと繋がるゲートだ』

 

『オラ達の力でおめぇ達をメモリーの中に送る、オラ達に出来るのはこれが精いっぱいだ…頼んだぞ!』

 

 

俺は二人の言葉を聞き、大きく頷く。

ふと、隣にいるベールを見ると、彼女の表情があの優しい、ルウィーの時で見せたあの優しい笑顔になっていた。

 

「私はいつでもOKですわ、宗谷」

 

「ああ、頼りにしてるぜ…ベール」

 

「任せてくださいな♪」

 

ぱっと明るい笑顔を見せたベール。

俺は続いて、反対側のいーすんの方を見る。

 

「……まさか、こんなに早く冒険に行けるなんて思いませんでした」

 

「…そうだな、でも相当危ないと思うぜ?」

 

俺の呼びかけにいーすんは首を左右に振る。

 

「ちょっとくらい危なくても、私は付いて行きます、絶対に…」

 

その時のいーすんの目を見て、俺はこれ以上言っても無駄だと悟った。

強い決意の瞳、その時のいーすんの瞳の輝きはまさにそれだったからだ。

 

いつもと違う異色のパーティーメンバを組んだ俺達三人は………

 

「………行くぞ!」

 

その言葉をスタートの合図に、短距離走の如く駈け出し、目の前に広がるゲートの中に思いっきり飛び込んだ!

 

 

 

待ってろよ、仮面ライダー………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん………ぅ…ここは?」

 

目が覚めると、そこはゲームとその付属品で溢れた部屋とは違った景色が広がっていた。

空は鈍色の雲が広がり、俺が目覚めた場所は変に埃っぽい場所だった…。

そして、なんとか体制を起こして周りを見渡すと…俺は驚愕のあまり目を見開いた…。

 

 

 

「なんだよ………これ?」

 

 

 

そこは廃墟だった…。

ただ廃墟になった建物とかじゃない、まるでミサイルとかの爆撃を受けた街だった。

 

人っ子ひとりいない街のビルなどの建物はボロボロに崩れ、焼け焦げた様にそこら辺が黒くなっている。

まさにゴーストタウン、そんな言葉が似合う状況だった…。

 

俺は自分の周りの様子を確認する、どうやら俺がいるのはどこかの建物の屋根の上の様だ…。

下の方を見ると、周りにはフェンスやら煙突やら、機材やらが多くどうやら廃工場のようにも窺える。

 

こうして見ると、そこら中がボロボロだけど、何となくわかる…。

この景色、俺が元いた世界…地球の日本の風景によく似ている…。

 

一瞬、俺は元の世界に戻ってきたのかと思ったがすぐにそれは違うという事を理解した。

 

 

………ここはきっと、仮面ライダーのメモリーの中の世界だ。

 

 

「それにしても、何だよこれ………何が起こってるんだよ」

 

俺は目の前のこの光景を理解できず、顔をしかめる。

そして、ある事に気付いた…。

 

 

 

「…いーすんとベールは?」

 

 

 

 

 

――――きゃあああああっ!

 

 

二人の姿を探そうと、周りを見渡した時、聞き覚えのある声が悲鳴となって聞こえてきた。

俺は反射的に悲鳴が聞こえた方角、俺の後ろを見て屋根の上を走る。

反対側へとたどり着き、下を覗き込むと………

 

 

「イーッ!」

 

「イーッ!!」

 

「いやっ! は、離してっ!」

 

 

俺にとってはものすごく見覚えのある、全身黒色のタイツに骨の様な模様を胸のあたりあしらった何人もの人影がいた。

奇妙な掛け声を上げているそいつらの内の二人が誰かの腕を掴み、身動きが出来ないように押さえつけている。

 

「いーすん!!」

 

捕らえられているのはいーすんだった。

俺は反射的にブイホを取り出して、すぐさま変身アプリを起動させる!

 

「リンク・オン!」

 

体に装甲を身に纏いつつ、屋根から飛び降りいーすんを捕まえている二人の黒ずくめに呼び出した赤剣を振り下ろす。

 

「はあっ!」

 

「イーッ!?」

 

「イーーー!?」

 

溜まらず倒れた二人組からいーすんを引き離すように手を取ると、彼女を俺の後ろへと避難させる。

 

「大丈夫かいーすん?」

 

「は、はい……」

 

後ろにいるいーすんの声がほんの少し震えていた。

急にあんな奴らに捕まえられたんだ、怖くて当然か…。

というか、それよりもだ………

 

 

 

「なんでお前らがいるんだよ………“ショッカー”」

 

 

 

突然乱入した俺を威嚇するように、目の前にわらわらと現れた黒ずくめの“ショッカー戦闘員”があの特徴的な掛け声を上げながら群がってくる。

数はざっと、20くらいか?

 

なんで、メモリーの中に仮面ライダーの宿敵だったショッカーが?

 

そんな疑問をかき消すように………

 

「イーッ!!」

 

「「「「「「イーーー!!」」」」」」

 

一人の戦闘員の合図を皮切りに、戦闘員の集団が俺達目掛けて突撃してきた。

 

「ちっ………こうなりゃヤケだ!!」

 

俺は右手に握る赤剣を構えて、突撃してくる戦闘員に向かって走り出す。

 

「らあっ!!」

 

まずは目の前に真っ先に近づいてきた戦闘員を上から斬り付け、後続のもう一人に続けざまに横一閃!

さらに、もう一人を蹴り飛ばし、振りかぶった赤剣を横薙ぎに振るって三人くらいを纏めて斬る!

 

「イー!」

 

「っと!」

 

横合いから短刀を持って斬りかかって来た戦闘員の攻撃を片手で持った赤剣で防ぎ、後ろから近づいてきた二人目を裏拳で寄せ付けず、短刀持ちの懐にもストレートをお見舞いして、さらに追い打ちで赤剣で二度斬る!

 

「おわっ!?」

 

一瞬の隙を突かれて、別の戦闘員に後ろから羽交い絞めにされた。

他の戦闘員が前から攻撃してこようと迫るが、なんとか蹴りで寄せ付けまいと抵抗する。

しかし、なかなか俺を羽交い絞めにしている戦闘員を振り払えない…。

すると…

 

 

「えいっ!」

 

「イッ!?」

 

 

突然、俺の後ろにいた戦闘員が鈍い音と一緒に拘束を解いて、その場にばたんと倒れてしまった。

後ろを振り向くと、そこには片手にあの分厚い本を持ったいーすんの姿があった。

 

どうやら伝家の宝刀、いーすんの本の角で戦闘員を戦闘不能にしてしまったらしい。

ていうか、前から思ってたけどその本の角まったくひしゃげたりしないよな? そこだけ鉄になってたりするのかな?

 

「さすがいーすん、てんきゅ!」

 

「宗谷さん、まだ来ます!」

 

いーすんにお礼を言っている暇を与えないかのように、戦闘員が再び殺到する。

 

俺が寄せ付けまいと、ブイホを取り出した……その時!

 

 

 

―――バシュ! バシュ! バシュ!

 

 

「「「「「イーーーーーっ!?」」」」」

 

どこからか、赤い光線が飛んできて戦闘員達を何人か戦闘不能にしてくれた。

光線が来た方向を俺といーすんが見ると……

 

―――ブゥゥウウウウン!!

 

「あれは!!」

 

こちらに向かって颯爽と走りぬけてくる、一台の“赤い特殊な形状をしたスポーツカー”。

 

それは、光線をもう一度発射しつつ、俺達の目の前に来ると、俺達の周りに群がろうとしていた戦闘員を追い払うようにぐるぐるとドリフト回転して、戦闘員達を牽制する。

 

そして、俺達の後ろで停車すると、その赤いスポーツカーのドアが開き、中から二人の人物が出てきた。

 

「よし、なんとか間に合ったな!」

 

「神様、忘れもの!」

 

「おう、サンキュー!」

 

車の助手席から先に出て来て神様と呼ばれた一人は、オレンジのベストを着た、俺と同い年くらいの青年。

運転席の方から出てきたのは、紺色のスーツに身を包んだ俺より少し年上の様な男性。

 

 

この二人を、俺は知っていた…。

いや、知らないはずがなかった。

 

なんせ俺がこの世界に来る前に見ていた………

 

 

 

 

最新の仮面ライダーの2人組みなのだから!

 

 

 

「しゃあ! 行くぜ!!」

 

「この二人には指一本触れさせない!」

 

手渡された鉄パイプを肩に担ぐようにして構える、“仮面ライダー鎧武”の“葛葉紘汰”と、腰のホルスターから取り出した拳銃の銃口を戦闘員に向けた“仮面ライダードライブ”の“泊進ノ介”が戦闘員に向けてそう叫んだ…。

 

 

 

 

 

これが、俺の仮面ライダーのメモリーの世界での最初の邂逅………。

 




いかがでしたか?


先に言っておきます、悟空とリンクにはちゃんとこの後役割がありますからね!!
出落ちとかじゃないですからね!?

そして、次回、二人の最新平成ライダーの登場だが、二人にはある異変が…

それでは、次回でお会いしましょう……
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