超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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どうも、白宇宙です。

お待たせしました、第23話です!

2月、まだまだ微妙に寒い時期ですね、こんな時は暖かい部屋でまったりしながらゲームを………
したい所なんですが、まだまだ進学関係で忙しい毎日…。

あー、とりあえず3月発売のsaoロストソングがやりたい。


まあ、それは置いといて、それではお楽しみください!


stage,23 俺と二人の仮面ライダー

 

「あなた達は…?」

 

いーすんが目の前に現れた突然の乱入者に問うが、二人は特に返答は返さず、ただ俺達の方を見て頷くと再び戦闘員達の方に向き直る。

俺の方は呆気に取られ声を出すのも忘れていた。

その間に戦闘員達は次の標的を、俺達から二人へと変え一斉に襲いかかり始める、しかし、二人は臆することなくショッカーの戦闘員の軍勢に立ち向かって行った!

 

 

「はっ! てぇあ!!」

 

 

鎧武の紘汰さんが持っていた鉄パイプを振り回し、次々と戦闘員達を蹴散らすようにしてその中に飛び込んで行く。

そして、紘汰さんに注意を向けた戦闘員を…。

 

―――パァン! パァン! パァン!

 

「イッ!?」

 

後ろに続いていた進ノ介さんが持っていた拳銃を発砲、戦闘不能にする。

息の合った連携を見せた二人、尚も戦闘員相手に負けず劣らない戦いぶりを見せる。

 

 

紘汰さんは近くに置かれていた廃材の上に飛び乗り、高低差を利用して何人かの戦闘員の頭を上から鉄パイプで打ち付けた後、別の戦闘員めがけて飛びかかり後頭部を地面に叩きつける。

そのまま勢いを殺すことなく近場にいたもう一人の足に足払いをかけ、とどめに上から鉄パイプの痛烈な一撃をお見舞いする。

 

「はぁっ!!」

 

さらに得意のバック宙を利用した蹴りで二人纏めて撃退し、続けざまに短刀を振りおろして攻撃して来た戦闘員の攻撃をパイプで防御し、鳩尾に蹴り込みを一発!

 

「うらぁっ!」

 

「イィーっ!?」

 

怯んだ所を頭に鉄パイプをフルスイングして、撃退!

 

 

 

そして、進ノ介さんの方はと言うと、こちらは刑事と言う事だけあって落ち着いた動きで戦闘員達を次々と倒して行っている。

 

「ふっ! はぁっ!」

 

向かって来た戦闘員を柔術で後ろに投げ飛ばし、遅れてきたもう一人の短刀による刺突を回避、腹部に肘打ちを叩きこんで、顔面に強烈な右フックで追撃する。

不意打ちで横合いから戦闘員が飛びかかってきたが、内側からその腕を絡め取り、肘の関節を決めて地面に叩き伏せ、顔面に拳を叩きこみ返り討ちにする!

 

さらに、腰に戻していた拳銃を再び抜いて、二発を続けて撃つ!

 

「イィッ!」

 

「イーーー!?」

 

二発とも見事に急所に命中したようだ、後ろにばたりと二人の戦闘員が倒れる。

5発撃った所で弾切れになったのか、リボルバータイプの拳銃の弾層を新しいものに素早く交換する。

 

「っ!」

 

―――パァン!

 

短刀を振りかぶり、近づいてきた戦闘員の手に発砲し、短刀を手から弾き落とす!

そして、その隙を見逃さず自分から一気に距離を縮め、跳び膝蹴りでその戦闘員をノックアウトした!

 

連携攻撃と、二人の流れるような攻撃に戦闘員達は次々とダウンしていく。

 

二人のヒーローを目の前にして、俺は食い入るように二人の事を見つめる。

流石と言うか、なんというか、変身しなくてもここまで戦えるなんて…尊敬するわ…。

 

もちろん戦闘員もショッカーによって強化改造されている。

それをものともしない二人は本当に無駄のない動きと、正確に急所を打ち込んでいる、本当に本物の戦いを経験していないとここまで出来ないはずだ…。

 

 

 

「………?」

 

俺が二人の戦いを見守っている中、俺の後ろにいたいーすんが何かに気づいたように俺がさっきまでいた廃工場の屋根の方を見た。

 

「ん? どうしたいーすん?」

 

俺も釣られて屋根の方を見る。

すると、そこには………

 

 

 

「っ! 二人とも上っ!!」

 

 

 

俺が叫ぶよりも早く、屋根の上にいたそいつは二人めがけて攻撃を開始した。

 

 

 

「エレキファイヤー!」

 

 

 

二人のすぐ近くに、野球ボールくらいの大きさの火球が剛速球で投げられた!

俺の声に気付いた二人は上を見て、回避行動を取ろうとするも…

 

「がぁぁぁああ!?」

 

「うわぁぁぁっ!?」

 

火球が大爆発を起こし、二人は強力な爆風に吹き飛ばされ、俺達の隣に置かれてあった廃材に吹き飛ばされ思い切り体を叩きつけられてしまった。

 

「きゃっ!」

 

爆発により起きた爆風が俺達にも襲いかかるが、咄嗟に俺がいーすんに覆いかぶさって何とか受け流す事が出来た。

この距離でこの強さの爆風、なんつー威力だ………。

 

今の攻撃…間違いない、あいつは…

 

「……“エレキボタル”、だよな」

 

ショッカーによって作り出された蛍型の改造人間、その名も『エレキボタル』。

武器は、頭に備え付けられた球体を外し、蓄積した高圧電流を火球にして投げる、エレキファイヤー…。

今の攻撃は奴の仕業か…。

 

「くっそ……」

 

「ってて…大丈夫か、神様?」

 

「ああ、なんとかな……」

 

二人はなんとか廃材の残骸の中から、よろりと出てきた。

しかし、やはりダメージはあるようだ…。

まともには喰らわなかったけど、不意打ちでなくてもあんな攻撃されたらひとたまりもないのは、離れた位置にいたのに爆風の威力を身にしみて感じた俺達にも分かる。

 

 

 

 

「せめて…変身出来れば…」

 

 

 

 

 

この時、俺は紘汰さんが発した言葉をしっかりと聞いた…。

聞いてしまった…。

 

そう言えば、二人とも戦闘員達と戦ってる時も変身してなかったな…。

それは、ただ“変身せずとも十分戦える”って訳じゃなくて、ただ単に………“変身出来ない”から?

 

おいおい、マジかよ…。

 

 

「あ、あの…宗谷さん…近いです……」

 

「…え? ああ、ごめん!」

 

 

いろいろな事が起きてて気付かなかったが、今俺といーすんの体制は大変よろしくないものになっていた。

俺がいーすんの上に覆いかぶさっているせいで、俺がいーすんを押し倒してしまっている体勢になってしまっていた。

こんな状況なのに、何でこんなことになるかな!?

 

俺は慌てていーすんの上から飛び退いて、いーすんはすぐさま体勢を起き上らせる。

 

 

「リュリュリュリュリュリュリュリュ!!」

 

 

エレキボタルは背中の翅を広げて、空中に飛び上がり両手で頭に備え付けてあったあの赤い玉を取り出した。

 

「やべっ…」

 

俺は反射的に持っていたブイホを慌ててタップし、スキルリンクアプリを発動させる!

 

「エレキファイヤー!!」

 

奴が二連続でエレキファイヤーを放った瞬間、俺は赤剣を地面に突き立てて右手を前に突き出す!

 

 

『Skill Link! Toaru majyutuno index』

 

 

激しい轟音と共に、強烈な爆風と閃光が俺達の目の前に広がる。

だが、それらが俺達に牙をむき、襲いかかって来る事はなかった…。

 

爆発によるすべての衝撃を今発動したスキルアビリティで相殺したんだ…。

 

“スキル とある魔術の禁忌目録”の能力は、あらゆる攻撃を一度だけ無力化して相殺する事が出来る。

ただし、連続での使用はできないというデメリットがあるから、使用するタイミングが重要になる…。

 

よし、爆発で出来た土煙に紛れて次のスキルを発動させてエレキボタルと残りの戦闘員を一気に………

 

 

「………今の内にここから離れるぞ!」

 

 

爆風による土煙があたりに広がる中、俺といーすんの手を取って進ノ介さんが特殊な形状をした赤いスポーツカー、“トライドロン”へと向かう。

 

「えっ!? なんで撤退!?」

 

「お前、空飛べるスキル持ってるのか?」

 

「…持ってないっす!」

 

「なら無理して戦うな、今は状況が不利すぎる!」

 

 

ぴしゃりとそう言われ、俺といーすんはトライドロンの助手席へと無理やり乗せられた。

 

「わわっ!?」

 

「ひゃっ!?」

 

っていうか、無理!? 流石に狭い狭い!!

 

「あの!二人乗りのスポーツカーの助手席に二人乗せるのは無理がありませんか!? ていうか刑事なのにこんな乗せ方していいんですか!?」

 

進ノ介さんに強引に助手席に放り込まれたせいで俺といーすんは今、再びとんでもない体勢になってしまっている。

 

俺は普通に座席に座れているのだが、今度はいーすんが俺と向かい合う形で覆いかぶさってて両手で俺が壁どんされてるみたいな感じだ。

ちなみに俺の両方の太股をいーすんの内股が挟むようにしているので嫌がおうにも彼女の感触がズボン越しでも伝わってしまう…だっていーすんスカートだもの!

 

「今回ばかりは状況が状況だから見逃してやるけど、今回だけだからな! 俺刑事だけど、今回だけな! いいな! それと、彼女に怪我させたくないなら変身解除して!」

 

運転席に座った進ノ介さんがまくし立てるように言うと、大急ぎでトライドロンのエンジンを入れて、ギアも入れる。

俺は慌てて言われた通り変身を解除する、でも解除したせいでこれはこれでヤバい事にならないか?

もしこのまま急発進なんてされたら…

 

「飛ばすぞ、シートベルトはしたか!?」

 

「す、すみません無理があります!!」

 

「なら、せめてしっかり掴まって!!」

 

その瞬間、トライドロンが激しいエンジン音を上げて急発進した!

 

「ひゃああああっ!?」

 

「わぷっ!!」

 

 

 

そのせいでいーすんが俺の方に寄りかかってきて………

 

 

座った位置の関係で出来た高低差で………

 

 

いーすんの、胸が………ヘルメットないから感触が………直に、俺の顔に………

 

 

 

「神様! 付いてきてるか!?」

 

「ちょ、急ぎすぎだろ! 俺だけ置いてけぼりにされる所だったぞ!?」

 

運転席の方の進ノ介さんがたぶん外にいる紘汰さんと会話しているのが聞こえる…。

エンジン音が二重に聞こえる事を考えると、たぶん紘汰さんの方はロックビークルと呼ばれるバイクの“サクラハリケーン”に乗ってるのかな?

 

でも、そんなことより………

 

 

「………いーすん」

 

「な、なん、ですか……?」

 

「……………やわこい」

 

「っ!!」

 

 

不謹慎なのは分かってる、状況が状況だけにそれは分かっている。

でも、言わせてほしい………

いーすん、意外と………あるんだよ。

 

 

俺の言葉に対していーすんの体がびくりと跳ねるのと、トライドロンの中がジェットコースターよろしく激しい揺れと横に引っ張られるようなG感じるのは一緒だった…。

 

 

 

 

 

 

宗谷とイストワール、進ノ介の三人を乗せたトライドロンと紘汰が跨るサクラハリケーンが廃工場のフェンスを突き破り、車道に出たのに続いて、エレキボタルも上空からその後を追って来ていた。

車道を走る車とバイク、空には蛍型の怪人という異様な追跡劇が始まる。

 

「リュリュリュ………エレキファイヤー!!」

 

エレキボタルが再び高電圧火炎球、エレキファイヤーを連続で投げつける!

 

進ノ介が操るトライドロンと、紘汰が操るサクラハリケーンはハンドルを左右に切り、当たらないように回避する。

二台が走った後に続くように爆発が起き、さながらハリウッド映画顔負けのアクションシーンだ。

しかし、これはまぎれもない本物、爆炎は巻き込まれれば一瞬で彼らの体を焼き尽くし、最悪、火球が命中すれば木っ端みじんになるのは想像するのに難しくない…。

 

「逃走する犯人の気持ちが、分かる日が来るなんてな…!」

 

トライドロンのハンドルを回し、アクセルを踏む進ノ介が皮肉気味にサイドミラーでエレキボタルの様子を見ながら言い放つ、隣ではさっきなんとか救出できた二人が何かもぞもぞしているような気がするが今はそれを気にしている場合じゃない。

 

「とにかく今は振り切るしかねぇ!」

 

隣を並走する紘汰がバイクのアクセルを回し、更に加速する。

 

進ノ介もそれに続くようにトライドロンのスピードを更に上げる。

 

今、自分たちには戦う力がない。

それでも、この世界を元に戻せるかもしれない可能性を秘めた二人を、なんとしても守ることが今の進ノ介達の使命。

この二人は仮面ライダーの“魂”を繋ぎ止める最後の希望なのだから…。

 

「うおっ!? やべぇ!!」

 

その時、紘汰が咄嗟にサクラハリケーンを停車させた。

目の前に倒れたビルの瓦礫が積み上げられ、先に進む事が出来なくなってしまっているためだ。

トライドロンも停車し、進ノ介がドアの窓を開けてエレキボタルが追ってきている方角を見る。

 

やはりエレキボタルはまだ付いてきていた。

 

ギラリと光る赤い目が二台のマシンに狙いを定める…。

 

 

 

「畜生………また救えねぇのか!」

 

 

 

進ノ介が歯痒さと悔しさからか拳を握り、やり場のない思いを募らせる。

サクラハリケーンから降りた紘汰も空にいるエレキボタルを睨む。

 

 

エレキボタルが止めを刺そうとして再びエレキファイヤーを放とうと頭に手を伸ばした…。

 

 

「エレキ……ッ!?」

 

 

しかし、その手が火球を放つ事はなかった。

代わりにエレキボタルの周りに一陣の烈風が吹き荒れる…。

 

「やっと、追いつきましたわ………」

 

そして、エレキボタルの背後から深緑の一閃が駆け巡った!

 

エレキボタルをすれ違いざまに切り裂いたのは、長大な槍を手にした一人の女神だった…。

 

白い露出の多い戦闘装備と6枚の輝く光の翼を広げた、プロセッサユニットと呼ばれる装備で豊かな体を包み、美しく、誰もが見とれる顔立ちをした彼女は…。

 

「さあ、覚悟なさい!!」

 

リーンボックスを収める、緑の守護女神、ベールこと“グリーンハート”!

 

 

 

「リュリュリュリュ!!」

 

突然の乱入者に怒りを覚えたのか、エレキボタルはエレキファイヤーをグリーンハートに闇雲に投げつける。

だが、グリーンハートはまるで掴みどころのない疾風の如く、エレキファイヤーを次々と躱し、エレキボタルとの距離を縮めていく。

 

「せぇい!!」

 

鋭い長槍の一撃が、エレキボタルに迫る!

しかし、エレキボタルは体を横に傾けただけで回避し、後退、再びエレキファイヤーを投げつけようと頭に手を伸ばすが…。

 

「遅い!」

 

それよりも早く、エレキボタルの背後にグリーンハートは回り込んでいた。

気付いた時にはもう遅い、横薙ぎに払われた槍先がエレキボタルの背中を切りつける!

 

「狂瀾怒濤の槍、受けてみなさい! レイニーラトナビュラ!」

 

「リュリュリュ!?」

 

更に嵐の如き槍の連続攻撃を浴びせかけられたエレキボタルは溜まらず後ろに吹き飛ばされる。

只者ではないと判断したのか、エレキボタルはグリーンハートに背を向け、その場から逃走を図ろうとする。

しかし、彼女はそれを許さなかった。

 

「逃がしはしませんわ…シレットスピアー!!」

 

瞬間、エレキボタルの真下の地面から天に向かって垂直に、一本の巨大な魔力で生成された槍がとてつもない勢いで伸び、エレキボタル目掛けて迫る!

 

「リュ………っ!?」

 

ザクッ、とでも言うような音と共に、エレキボタルの体がその巨大な槍で貫かれた。

 

刹那、体内に蓄積されていた高圧電流が漏電、バチバチという音を立てながら火花が上がり、やがて………

 

「リュリュリューーーーー!!」

 

大爆発を起こし、エレキボタルは爆散した。

 

 

 

「ふぅ………」

 

地面に降り立つグリーンハート、その様子を見ていた進ノ介と紘汰の二人は自分たちを助けてくれた彼女を驚いたような目で見つめる。

それに気付いたグリーンハートは頬笑みを返し…

 

「とりあえず、お話を聞かせてくれませんこと?」

 

温厚で、優しい笑みを浮かべて槍を自分たちに向けられ、反射的に紘汰と進ノ介は両手を上げてしまった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ようやくジェットコースター張りのカーチェイスが終わり、ようやく停車したかと思えばしばらくしてまた発進するし、いつまでこの状態が続くのかな…?

…まあ、もうしばらくこのままでもいいけど…。

 

そう言えば、いーすんがさっきからプルプルと震えたまま何も言わないんだけど…。

でも、変に動いたりしたら危ないからな、俺が彼女の腰に手を回してるのもシートベルト代りだ! 発進した時に咄嗟にやったことだが仕方ない事だよな! 怪我したら危ないし!

 

そんな事を考えていると、再びトライドロンが停車した。

 

そして、俺達の座る助手席が開けられ…その瞬間、いーすんが俺を投げ飛ばすように外へと放りだした。

そこは、どこかの廃屋の駐車場と思われる場所だった

 

「うええっ!?」

 

訳も分からず地面に叩き伏せられた俺の上に、誰かが馬乗りにのしかかって来る。

 

「宗谷さんなんて宗谷さんなんて宗谷さんなんてぇ!!」

 

「痛い痛い痛い!! ちょ、多い多い! いーすん久々だけどいつもより多い!」

 

「知りません知りません!もう宗谷さんなんて………宗谷さんなんてぇ!!」

 

「ごめんなさい! 本当は調子に乗ってました! 本当にすみませんでした!!」

 

呪詛の言葉を投げかけるように俺の事を言い放ちながら、俺の後頭部を本の角で何度も殴っているのを考えると間違いなく俺の上に乗っているのはいーすんだろう…。

心当たりはある。

 

「いくらなんでも、私の……む、胸に顔を埋めるなんてぇ!!」

 

やっぱりか…。

 

だって、おっきいーすんになったことでもちろんそっちも人間サイズになってるからな、不可抗力でこう言うことになってもおかしくはないだろう。

でも、いーすん、いくらこう言うイベントに慣れてないからってここまで人を殴るヒロインはそうそういないと思うよ!?

 

「あらあら、一体どうしましたの?」

 

俺の後頭部が痛みという感覚を超越して、燃えるような錯覚を感じ始めた時、聞き覚えのある柔らかな声が聞こえた。

それによっていーすんの本の角の嵐が止み、危うく俺が撲殺されるというバッドエンドは回避された…。

 

俺といーすんが声に釣られて顔を上げると…。

 

「ベール!」

 

「ようやく合流できましたわ♪」

 

この世界に一緒に飛び込んだもう一人の仲間、ベールがトライドロンの後ろから出てきた。

 

「一体、どこにいたんですか?」

 

俺の上から慌てて飛びのいたいーすんがそう聞く。

 

「どこ、と言われましても………ただ、目が覚めた時にあなた方が乗った車を見かけたので追いかけてきましたの、途中変なモンスターもいましたのでそちらの方は倒してしまいましたけど」

 

あっさりそう言ってくれるベールだけど、それってあのエレキボタルを倒したってことだよね?

いや、かなりのスピードで走ってたはずのトライドロンに追いつくのも相当だと思うけども…。

やっぱ、女神ってだけあるよな…。

 

「あら? 宗谷…頭の後ろが…」

 

「へ?」

 

ベールがそう言って俺がさっきまでいーすんに本の角で殴られまくっていた所を優しく撫でる。

俺の方にベールが近づいて…

 

「まあ…やっぱり少し腫れていますわ…」

 

ベールの綺麗な顔が俺の視界いっぱいに広がり、少し目線を下にずらすと彼女の豊かな二つのふくらみがその存在をこれでもかと主張する。

俺は目の前に広がる二つの芸術に見とれてしまい、声を出すのも忘れてしまった…。

 

「………むぅ」

 

いーすんが俺に向けて何か言いたげな視線を向けてきたことで俺はようやく我に返り、ベールと距離を離した。

 

「だ、大丈夫だから、気にしなくていい!」

 

「え? でも…」

 

「いや、本当、ほんと大丈夫だから!」

 

「そ、そうですの?」

 

俺はこくこくと頷いてベールは理解してくれたのか、俺の後頭部から手を離してくれた。

 

「でも、ご無事で何よりですわ…ただ事ではない状況でしたので、二人にもしもの事があったらと思うと…」

 

「だからって、俺達に槍を向けるのはさすがに…」

 

そう言って、いつの間にいたのか、トライドロンの開いている助手席のドアの後ろにいた進ノ介さんが苦笑いでそう言った。

 

「いえ、その、もしや誘拐犯かと思ってしまって…」

 

「まあ、いいじゃねぇか、この人も味方になってくれるって言ってるんだしさ?」

 

そう言って、トライドロンの後ろの方から紘汰さんも出てきた。

いきなりの二人の登場に、俺は反射的に立ち上がった。

 

「ど、ドライブの進ノ介さんと鎧武の紘汰さんですよね!?」

 

「お、おお…」

 

「うっはぁぁああああああ! 本物だぁ………マジもんなんだぁ!!」

 

「あの、宗谷?」

 

「はっ!?」

 

いかん、ついいつもの感じで……。

トリップしかけていた思考をベールの声で真面目モードに切り替えて、緩んでた顔を引き締めるために両頬を手で叩く。

 

「す、すんません………つい」

 

「いや、いいさ気にすんなよ、それよりか…ありがとうな、この世界に来てくれて」

 

「…それはどういう?」

 

いーすんが首をかしげてそう聞くと、進ノ介さんと紘汰さんの顔が真剣な表情へと変わった、隣にいたベールもそれと一緒に真剣なものへと変わる。

 

「実は…頼みたい事があるんだ…」

 

進ノ介さんが重そうに口を開いた…。

 

 

 

「頼む、1号を探し出すのを手伝ってくれ!」

 

 

 

「1号を探す?」

 

俺は進ノ介さんの言った言葉を復唱するようにそう言うと、二人は同時に首を縦に振った。

 

「この世界は、もう宗谷は気付いているだろうけど…仮面ライダーのヒーローメモリーが作り出した“メモリーワールド”と呼ばれる世界なんだ」

 

「つまり、メモリーの中にあるもう一つの世界、という事ですね?」

 

いーすんは紘汰さんの言葉を元に分かりやすく纏める。

 

「ああ、そして…このメモリーワールドは今、相当危険な状態だ………」

 

「それってどういう?」

 

「…メモリーワールドは本来、メモリーの中に記録されたキャラの意識を核にして広がる疑似的に広がっている世界だ、そして同時にメモリーの“核”を守るためのセキュリティウォールでもある」

 

「セキュリティウォール?」

 

「パソコンで言うセキュリティシステムと一緒だ」

 

なるほど、と俺といーすんがこくこくと頷き合う。

でも、そのセキュリティであるメモリーワールドがこの有り様なのは一体どういう事なのだろう?

 

「そのメモリーワールドが、今、外部から来たバグによって壊滅の危機に陥っている…」

 

「壊滅!?」

 

紘汰さんの言葉に俺は声を上げて驚いた。

 

「そのバグというのは、先程の…?」

 

「ああ、あの“ショッカー”だ」

 

「奴らは何故かこのメモリーワールドに現れ、暴れ回った…それで、この有り様だ」

 

進ノ介さんが街の方を見てそう言った。

この街はメモリーの中にあるセキュリティを担っている世界…それがここまでボロボロだという事は…。

 

 

 

「このままだと、仮面ライダーのメモリーがメモリーとしての機能を失ってしまう………」

 

 

 

メモリーとしての機能を失う、それがどういう結果を招くのかは分からないが…少なくとも良くないという事は分かる。

メモリーは何より、俺にとってはこの世界で集めなければいけないものだ、そして、同時に俺の憧れた主人公達の存在の証明でもある。

それが失われる、そう聞いた時、俺の中で不安や怒りとも言い難い感情が流れた。

 

「………俺達はパソコンで言うウィルスバスターみたいなものでな、本来なら変身して今回みたいにバグが発生した時に排除するために戦う所なんだが………奴らが現れた時、何故か変身する事が出来なくなってしまったんだ」

 

そうか、だからさっき紘汰さんは変身が出来ないようなことを言っていたのか…。

 

「それだけじゃなく、動けるのは俺達を含めた“四人”だけ………他のライダー達は起動する事も出来なかった、その上、メモリーの核である1号も姿を消した………」

 

「だから、メモリーワールドがここまで…」

 

守るべき物がいなければ、攻める側はやりたい放題だ。

ここまで街がボロボロなのはそう言うことなのだろう…。

 

「…でも、まだ希望はある…」

 

紘汰さんはそう言うと、俺をじっと見つめて来た。

 

「1号を見つけ出して、メモリーの本来の力を取り戻せればあのショッカーをなんとかできるかもしれない!」

 

「だから、宗谷………力を貸してくれないか?」

 

 

そう言ってくる紘汰さんと進ノ介さん。

 

この世界は疑似的にと言っても、メモリーワールドと呼ばれる独自の世界というのに変わりはない。

 

二人の表情から相当必死だというのも分かるし、なにより…

他のメモリーのキャラには、この世界で生き、戦うための術を教えてもらった。

俺はその恩返しをしたい…。

 

実際に彼らの修行がなかったら、今の俺はまともに戦う事も出来なかっただろう…。

 

「………分かりました」

 

俺は頷き、いーすんとベールもそれに続くように頷いていた。

 

「宗谷さんがそう言うなら…」

 

「私たちも文句はありませんわ」

 

二人の言葉を聞いて、紘汰さんと進ノ介さんの表情が明るいものへと変わって行った。

 

「…ありがとう、みんな」

 

進ノ介さんがそう言うと、俺は彼の手をしっかりと握り、がっちりと握手を交わした。

 

「………うし、そうと決まれば早速1号を探さないとな!」

 

紘汰さんがそう言って、俺と進ノ介さんの肩を抱き寄せる。

 

今、1号がどこにいるのかは分からないが、必ず見つけてみせる、約束した以上この世界を救うために、俺もできる限りの事をしよう。

 

憧れたヒーローのピンチ、それを見逃すなんてファン失格だからな?

 

俺は進ノ介さんと紘汰さん、二人ともう一度しっかりと硬い握手を交わした。

 

 

これが、俺と二人のライダーとの約束………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほう、外から来た奴がいる、だと?」

 

薄暗い部屋の中で、地球を足で掴んだ鷲の様なエンブレムを背にした、軍服を着た眼帯の男が一人のショッカー戦闘員の報告を聞き返す。

頷く戦闘員に男は唸りながら手に持っていた鞭を弄び何かを考えるように俯く。

 

「そんなこと………想定しておるわ!!」

 

「イーっ!?」

 

突然声を荒げ、電磁鞭を戦闘員に振り下ろした!

戦闘員の体に電流が流れ、戦闘員はその場に倒れる。

 

「………やはり、来たようだな、ゾル大佐」

 

「ああ、そのようだな…死神博士」

 

深い緑の軍服を着た男、かつてショッカーと呼ばれる組織の大幹部を務めた“ゾル大佐”。

その後ろに現れた黒いマントを着た男、“死神博士”。

 

そう、ここはメモリーワールドに現れたショッカーの拠点基地。

 

ここを牛耳る二人の大幹部、それに続くように部屋の奥から更に二人の人影が現れる。

 

一人はゾル大佐とは違う特徴的な黒い軍服を身に纏った男と、古代エジプトのファラオの冠をかぶった男だ。

 

「そう慌てる必要はないだろう…」

 

「…“ブラック将軍”…“地獄大使”」

 

「その通り、既にこの世界は我らの手中にあるも同然!」

 

かつて、“ゲルショッカー”と呼ばれたショッカーの後継組織の幹部である“ブラック将軍”、そして、ショッカーの最後の幹部となった“地獄大使”が不敵な笑みを浮かべる。

 

「………そうだな、このメモリーの中枢である奴は、既に我らの手中にある」

 

そう言った、ゾル大佐の視線の先には………

 

 

 

 

黒い十字架の様な形をした機械に閉じ込められた、仮面ライダー1号の姿があった。

 

 

 

 

「奴の魂を完全に闇に沈め、このメモリーを悪のメモリー、“ショッカーメモリー”に作り替え、外のゲイムギョウ界へと進行する………」

 

「あと、もう少しだ…」

 

「その前に、邪魔者を排除しなければな……?」

 

「ああ、その通りだ」

 

ゾル大佐、死神博士、地獄大使、ブラック将軍。

 

ショッカーの歴代大幹部が1号の閉じ込められた機械の前に並び立つ。

 

彼らの目の前には、おびただしい数の戦闘員とショッカーによって生み出された改造人間達が並び立つ。

 

 

「必ずや、邪魔者共を血祭りにあげ、我らの計画を成功させるのだ!!」

 

 

――――イーーーー!!

 

 

 

薄暗い大部屋の中に邪悪な組織の声が響き渡った!

 

 

 

 

 

 

 

―――………おのれ、ショッカー………

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

メモリーワールドに現れたショッカ―、彼らの野望を阻止できるのか!
そして、1号の運命は!

次回、再びお会いしましょう!

それでは…
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