超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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どうも、白宇宙です!

今回はリーンボックスに向かうまでの幕間編と言うわけで、まずは簡単な茶番話をば…。
ちょっと後半があれな気がしますが…。

まあ、まずは見ていただきましょう!

それではお楽しみください、どうぞ!


stage,31 俺と再会の白少女

リーンボックスから帰ってきて数日が経った。

次にリーンボックスに行くのは一ヶ月後、それまでの期間を利用して俺はある場所に来ていた。

ここは、プラネテューヌでも有数の見晴らしのいい野原や爽やかな風が吹き抜ける林がある、隠れた名所。

つまり、今日と言う日に行うこの“イベント”を行うには絶好の場所だ…。

 

 

 

だだっ広い野原、ここで俺はある人物と睨み合っている。

俺は変身した状態で赤剣を構え、その先ではリーンボックスの女神候補生のユニちゃんが自分の得物の銃を構え、銃口をこちらに向けている。

 

精神を研ぎ澄まして視線を彼女が構えている銃の銃口に向ける。

呼吸を整え、その機会が来るのを待つ………

 

そして…

 

 

 

―――ドォン! ドォン! ドォン!

 

 

 

けたたましい銃声が鳴り響き、銃口から弾丸が飛び出す直前、彼女がトリガーに指を引っかけた瞬間に俺は赤剣と連結した状態のブイホの画面にある二つのスキルを素早くタップする。

この二つの組み合わせを使えば、俺の予想が正しければ“あれ”が出来るはずだ…。

しかし、

 

 

『Disconnect…』

 

 

「え? のわっ!?」

 

ブイホからそんなボイスが鳴り響き、スキルチェインが…発動しなかった。

俺はその瞬間集中が途切れ、ユニちゃんが放った訓練用の弾丸が俺の装甲にめり込んだ。

それなりの衝撃が俺の体に響き、俺はたまらず後ろ倒しに倒れ込んだ。

 

う~ん、やっぱり…発動しないなぁ…。

 

実はあのメモリーワールドでの戦い以来、スキルコネクトを発動する事が出来ないんだ……。

 

いや、本当はできるはずなんだろうけど、なんていうか……たぶん条件が合ってないんだと思う……。

そう思った理由は俺の首元に巻かれているはずのマフラーがない事だ…。

どうも、あれからこの完全変身状態になってもあの時に巻かれたはずのマフラーだけが出てこないんだよな……。

 

一応、こうして“修業”しているんだが……やっぱり、あの時みたいなパワーは出しきれない……。

 

う~ん………何が足りないんだろう?

 

「ご、ごめんなさい宗谷さん! 大丈夫ですか!?」

 

ユニちゃんが慌てて俺の方に駆け寄って来たので、俺は体をむくりと起き上がらせて変身を一旦解除する。

 

「ああ、大丈夫大丈夫、訓練用の弾だったからそんなに痛くなかったし」

 

「そ、そうですか? ……ならいいけど……」

 

俺はユニちゃんを安心させるために笑顔を浮かべる。 それを見てユニちゃんもほっと胸を撫で下ろしてくれたのを確認すると俺は視線を少し離れた場所で俺とは別の“修行”に取り組んでいる彼女に視線を向ける。

 

「やっ!」

 

「まだまだ、腰が入ってないわよイストワール!」

 

「きゃっ!?」

 

モードアクティブの状態になっているいーすんがノワールに果敢に挑んでいるが、やはり経験の差なのか簡単にショートソードで細剣による突きをいなされた。

攻撃を受け流され、勢い余ってその場に可愛い声を上げて尻もちをついたいーすんだけど、めげずにすぐに立ち上がって白い細剣を構える。

 

やっぱり、いーすんもまだまだ戦闘には不慣れなんだな…。

 

でもまあ、今日はそのあたりの穴を埋めるための“修行”を兼ねてみんなでここに来たわけだし。

 

ふと俺達とは別の場所でもう一つの目的の準備をしているネプテューヌ達の方を見る。

 

そこには嬉々とした表情で忙しくレジャーシートを広げるネプテューヌとネプギア、そして、持ってきたお弁当を用意するコンパさんとアイエフの姿があった。

 

 

 

そう、俺達は今………。

 

 

 

修行を兼ねて、みんなでピクニックに来ています。

 

 

 

「みなさ~ん、そろそろお昼にするですよ~!」

 

 

 

用意が出来たようで、コンパさんが俺達の事を呼んだ。

それに反応した俺はユニちゃんと一緒に、そして遅れてノワールといーすんも構えていた武器を仕舞ってネプテューヌ達のいる方へと向かった。

 

待ってましたと言わんばかりに俺は急いでレジャーシートの上に座る、そして同じように非常にwktkした状態がすぐに見てとれるネプテューヌが隣に座ったのを皮切りに、今日集まった全員がレジャーシートの上に腰を下ろした。

 

「いやぁ~、やっぱりたまにはこうして外でご飯って言うのもいいよねぇ~♪」

 

そう言ってちゃっかりコンパさんの持ってきたお弁当に手を出そうとしていたネプテューヌの手を俺は素早くはたく。

 

「こら、ちゃんといただきますをしてからだ」

 

「ぶぅ~…ソウヤのケチ!」

 

「まったく、もう少しあなたは遠慮ってことを覚えなさいよ……ていうか、何で私達まで呼ばれたの?」

 

俺と対面する形で座っているノワールがそう言って来たのだが、ちゃんと理由はある。

 

と言うのも、俺が個人的に試したかったスキルチェインのためには唯一銃を使って戦うユニちゃんの協力が欲しかったと言うのと、接近戦に不慣れないーすんに戦闘教えられるのはノワールが一番ではないのかと言う俺の判断なのだが…。

 

ネプテューヌだと、自分のテンションでごり押しするのがデフォだから、戦闘経験が浅いいーすんと相性がいいとは言えないんだよな…。

やっぱ訓練するならそれなりに教えるセンスがある人が一番だろうし。

 

「まあ、そう言うなよ、おかげでいーすんも俺もだいぶいい練習になってるし、な?」

 

「はい、やっぱりノワールさんはしっかりした人ですから、教えるのも上手ですし」

 

「そうだね~、最近やけにノワールの出番が少なかったから丁度いい機会でもあったし」

 

「ネプテューヌ、シャラップ」

 

俺は危ない発言をしたネプテューヌの口をすぐさま封じる、今のでノワールの機嫌を損ねるのはあまり芳しくないからな…。

あ、でも…

 

「そ、そう…? まあ、私も丁度仕事もなくて暇だったからいいんだけど……」

 

それほど心配する事でもないみたいだな、満更でもないみたいだ。

ちなみにピクニックのお誘いは3日前にしておいた。

まあ、休みと言いつつ本当は必死こいて仕事を終わらせたんじゃないかな? うん、その光景がすぐに目に浮かぶわ。

 

ちなみにブランとベールもお誘いしたんだけど、二人とも忙しいようで来れないらしい…。

 

「人数が多いにこしたことはないです、みんなで食べる方がご飯もおいしいですよ♪」

 

「そうですよ、私も久しぶりにユニちゃんと会えましたし」

 

「ネプギア…ま、まあ、私も丁度暇してたから来たんだけど!」

 

「最初は二人のレベルアップを兼ねてのピクニックって聞いて大丈夫かと思ったんだけど、ノワールさんがいれば安心ですし」

 

「ねえねえ、それよりお腹すいたよ~…ご飯まだ~?」

 

「もう、ネプテューヌさんったら……」

 

でもまあ、みんなこうして楽しそうにしているわけだし、予定しておいて損はなかったみたいだな。

よし、そろそろ時間もいい頃だし、さっそく…。

 

「準備も出来た事だし、弁当タイムと行くか?」

 

「……そうね、私もいい感じにお腹が減って来た事だし」

 

俺とノワールのやり取りを聞いたネプテューヌが待ってましたと言わんばかりに立ちあがり、いつの間にかジュースを注いでいた紙コップを掲げる。

 

「それじゃあ、みんなで!」

 

 

 

「「「「「「「「いただきます!」」」」」」」

 

律儀に手を合わせて、みんなで声を合わせる。

懐かしいなぁ、小学校の頃の遠足みたいだ。

 

そしてすぐさま、コンパさんが今日のために腕によりをかけて作ったらしいお弁当が開けられた。

 

おお、これは………

 

「うぉぉぉおお!! すっごい豪華!! さすがこんぱ!」

 

「本当…これ全部コンパさんが作ったんですか?」

 

「実はあいちゃんにも手伝ってもらったです、けどそのおかげで今までで一番いい出来のお弁当になったですよ」

 

4段に重ねられた大きな弁当箱、それぞれの段別にいろんなおにぎりやおかず、果物と分けられた構造になっているそれを見てネプテューヌが目を輝かせ、ネプギアも感嘆の声を漏らす。

 

いや、でも確かにこれはすごいな…。 食べきれるかな?

 

待ちきれなくなったのか、ネプテューヌがおかずのから揚げに早速手を出し始めたのに続いて、俺も手早く唐揚げを箸でつまみ口に運ぶ。

歯で噛んだ瞬間に衣に包まれた鶏肉の淡白な旨みと肉汁が溢れて、何とも言えない…。

 

「ん~♪ やっぱこんぱの作る料理はおいしいね!」

 

「ああ、まったくだ、いいお嫁さんになるぜ?」

 

「そんな、大げさですよ…」

 

コンパさんが頬を赤くして否定したが、こっちとしてはマジでそう感じてる。

やっぱり、どんな女性でも料理がうまい人はポイント高いからな、リアルでもラノベでも。

 

ふと視線を向かい側にいるノワールに向ける。

何やら後ろを気にしながら妙に落ち着かない様子だった、何かを隠しているようにも見えるが…

 

「なあ、ノワールなに隠してるんだ?」

 

「ベ、別に何も隠してないわよ!」

 

「ちょっと見えてるんだけど? 籠みたいな何かが」

 

「うぐっ……」

 

ノワールはそこで押し黙って、観念したのか後ろに隠していた籠に入った何かを取りだした。

それはいろんな種類の本格的なサンドイッチだった。

反射的に俺はおぉ、と声を漏らしてまじまじとそのサンドイッチを見る。

 

綺麗に形を揃えて斬り分けられたパンに挟まれている具は様々で、サラダサンドに玉子サンド、ベーコンサンドにチーズハム、コンパさんの弁当とはまた違うが、こちらはこちらで何とも食欲をそそる出来だ。

 

ちらりと視線をノワールの顔に向けると、頬を赤くしてしきりに他のみんなを気にしているような素振りを見せている。

 

ああ、これはたぶん張り切ってお弁当を作ってきたはいいけど、コンパさんの弁当の出来に圧倒されてなんだか自分の弁当を出しづらくなってしまったってとこか?

 

「おぉ~! このサンドイッチ、ノワールが作ったの!?」

 

「た、たまたま昨日の夜食にと思って作ったのが余っただけよ……作りすぎたの!」

 

ノワールはそう言って目を輝かせているネプテューヌに言い聞かせるが、たぶんこれ本当は今朝から急いで作ったんじゃないかな?

まあ、その点を踏まえてノワールは素直じゃないので、言っておこう。

 

「ツンデレ乙」

 

「だからツンデレ言うな!」

 

すっかりテンプレになりつつあるこのやり取りもだいぶ馴染んだ物だ。

俺はそう思いつつ、ノワールの持ってきたサンドイッチに手を伸ばす。

 

「ひとつ、貰っていいか?」

 

「…す、好きにすれば?」

 

「じゃあ、ノワールのご厚意に甘えて……玉子サンドを…」

 

俺は自分に一番近い位置にあった玉子サンドを手に取り、一口。

 

うん………これは、なかなか………

 

「ど、どう?」

 

ノワールがそわそわしながら感想を聞いてきたので、俺は口の中にあった玉子サンドを胃袋に押し込んだ。

 

「ここでまずいって言うキャラはいないだろ? ……だから、俺は素直に言う………うまい!」

 

満面の笑顔で俺が言うと、途端にノワールの表情がぱっと明るくなった。

 

「ま、まあ、私が作ったんだから当然と言えば当然よね!」

 

「自信過剰乙」

 

「んなっ!? ……今なんて言った宗谷?」

 

「ベツニナンデモナイヨー」

 

「何で棒読みなのよ!!」

 

そうは言っているが、顔に嬉しそうな表情が張り付いている辺り心の中ではほっとしているんじゃないだろうか?

世に言うツンデレヒロインは大体そう言う心理を持っていると俺は考えている。

 

その点から言うと、ノワールはほんと俺にとって理想のツンデレヒロインだわぁ…。

だから、そんなノワールをたまに弄って遊ぶのが楽しかったりする。

別にやらしい意味じゃないよ! 言葉での方だよ!

 

「にしし、まあ、うまかったのは本当だ、料理うまいんだなノワールも」

 

「……と、当然よ、私だって女神だもの、このくらいは出来ないとね」

 

そっぽは向いているものの、表情は妙にうれしそうなノワール、やっぱり満更でもないみたいだな。

 

 

 

「そう言えばソウヤ、この後はどうするの?」

 

ノワールのハムサンドを頬張りつつ俺にそう聞いてきたネプテューヌ、確かにご飯を食べ終わったら当初の目的通りに、レベルアップのための修行に移るつもりではある。

 

午前の方はスキルチェインを使用できるか否かのチェックと、完全変身状態に慣れるための修行だったから、午後からは……

 

「ちょっと、練習したいスキルがあってな、アイエフ、手伝ってくれるか?」

 

「へ? 私?」

 

突然指名されて驚いたアイエフに俺は頷いて返した。

 

「このスキルはアイエフの協力がないと使いこなせそうにないんだ、だから頼めるか?」

 

「まあ、それなら別にかまわないけど、どんなスキルなの?」

 

「見ればわかる」

 

俺は簡潔にそう答えるが、アイエフはいまいち分からないのか首を傾げたままだった。

まあ、このスキルに関しては本当、見てもらった方が早いからな。

 

「それと、いーすんの方なんだけど…午後からはネプギアとユニちゃんの二人で練習相手になってくれないかな?」

 

「私達ですか?」

 

「でも、なんで?」

 

ネプギアとユニちゃんが食事中の手を止める、不思議そうな顔で俺を見る二人にネプテューヌ座っている方とは反対側に座っていたいーすんが答えた。

 

「ネプギアさんは近接戦闘を、ユニさんは遠距離戦闘を得意としていますので、まだ戦闘に不慣れな私にとってはその両方に対処するための練習に一番適している相手なのです」

 

「でも、いきなり二人を相手にするなんて難しいんじゃあ…」

 

「その点は大丈夫よ」

 

ユニちゃんの言葉を遮るようにノワールが説明を始めた。

 

「その辺りの指導とサポートは私がやるわ、二人は練習メニューにあった通りに動いてくれれば十分よ」

 

練習メニューとはいーすんの今日の修行をテキスト化した物で事前にノワールに手渡していたいる。

午前は基礎的な動きの反復練習、午後からは少しレベルを上げて、戦闘経験を積んでおこうと言うのがいーすんの狙い目である。

 

モンスターの種類によっては近接だけじゃなく、遠距離の攻撃もしてくるので、その辺の対処も早めに覚えておいた方がいいだろうという事だ。

 

「ねえねえ、私は? 私は何かすることある?」

 

ネプテューヌが俺に体を近づけてそう聞いてくる。

俺は肩でそれを押し返しつつ返事を返した。

 

「ネプテューヌはノワールの付添いかな? でもまあ、ほとんどの事はノワールがやってくれるだろうし、見とくだけでいいと思うが…」

 

「え~、何それ~! 主人公の私は出番はなし?」

 

「だって、お前……この前いーすんの特訓相手になった時、テンション上がっていきなり32式エクスブレイドぶっ放したろ? あの時はマジ焦ったぞ…」

 

この前、空いた時間を利用して行った特訓の事を持ちだすと、ネプテューヌは視線を明後日の方向に向けて乾いた笑いを口から漏らした。

本当、あの時は途中までいい感じだったんだけど、まさかあんな大技を出すとは思わなかったぜ…。 その場のテンションに身を任せるのはネプテューヌの悪い癖らしいな…。

すんでの所で俺がスキル とある魔術の禁忌目録で相殺したからよかったものの…。

 

ちなみにその後ネプテューヌには俺から3時間正座したまま説教と言うプレゼントを渡しておいた。

 

「あはは、そんなことあったっけ?」

 

「………あの時はさすがに死ぬかと思いました」

 

「うぐっ…マジすんません」

 

「分かればよし」

 

俺はそう言ってその場を収めると、隣でその時の事を思い出したのか青い顔をしているいーすんを宥めつつ、もう片方の手でコンパさんお手製のおにぎりを頬張る。 ちなみに中は梅干しだった。

 

 

 

 

 

 

食事も一段落して、俺といーすんはそれぞれ午後の修行に入った。

今頃いーすんはノワールとネプテューヌに見てもらいながらネプギアとユニちゃんを相手取っている頃だろう、もしもの時のためにコンパさんもいる事だし、一応安心して俺の修行に集中できるってもんだ。

 

それで、問題の俺の方の修行は……

 

「へえ………これが新しいスキル?」

 

「そう、“スキル 仮面ライダー”で生成された、名付けて“マシンヴィクトラー”だ!」

 

俺がそう言って見せたのは、赤いボディーにカウル部分のVマークが特徴的な、マシンヴィクトラーと名付けられたバイクだ。

そう、午後からはこのマシンヴィクトラ―の操縦訓練だ。

 

こいつを乗りこなすための訓練ってことで、ちゃんと変身した状態だから安全面もばっちり!

一応、こっちに来る前の世界でもなんとかバイクの免許は取れたから無免許運転にはならない! 車のは持ってないけど!

 

「……て言うかあんた、こっちの世界の免許持ってたっけ?」

 

「……こっちの世界のバイク免許は持ってない……向こうのはある」

 

「………乗った回数は?」

 

「………まだ、二回くらいしか経験してない」

 

「………忘れたから教えてほしいと?」

 

「イグザクトリー!」

 

アイエフが頭を左右に振ってため息をついた。

 

しかたないだろ、こっちに来てかなり時間が過ぎたんだから! ちょくちょく乗っとかないと最初の内は忘れちまうんだよ!

 

 

………いや、まあ俺の覚えが悪いのかもしれないけど………

 

 

未だに“ヴィクトリーネプテューン”の操縦があやしい点を考えると、乗り物と相性悪いのかな? 俺って…

そんな訳で、唯一教会メンバーでバイクを運転できるアイエフにこっちの世界で久々のバイク運転を教えてもらおうと思った次第な訳で…。

 

「……今回は特別に許してあげるけど、帰ったらちゃんとこっちの世界の免許、発行するのよ? 手続きはしておくから」

 

「あざーっす!!」

 

アイエフが特別に許してくれたので、俺は久々に90度のお辞儀をして感謝の意を見せる。

変身してる状態だからはたから見たらすごいシュールなんだろうなぁ…。

 

まあ、なんとか承諾してくれたのでさっそく練習に入る。

 

マシンヴィクトラーに跨って、アクセルを握る。

エンジンは既にかかってるので、後は操作するだけだ。

 

「………じゃあ、まずは左手のクラッチを握ったまま左足でギアを一足に入れてみて」

 

「ん、確かギアは……これだな」

 

「そう、それでその後アクセルを回す、クラッチは“握ったまま”ね」

 

俺は言われた通りに、クラッチを握ったままアクセルを回す。 エンジン音が激しくなり、いつでも走りだせそうだ。

 

…あれ? でも、教習所の人はこんな風に言ってたっけかな?

 

「よし、それじゃクラッチをぱっと離して」

 

考えている途中に言われたせいで、俺は反射的に握っていた左手のクラッチを離した。

その結果……

 

 

 

「おぉぉぉぉぉぉおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉおおおお!?」

 

 

 

急にバイクの前輪が跳ね上がり、所謂ウィリーの状態でマシンヴィクトラーが突然走り出した。

俺はこの時、思い出したのだがクラッチを握ったまま急に離すとこのような事になるから絶対にやるなと教習所のおっさんが言っていたことを思い出した。

もう少し早く思い出してればなぁ…。

 

「ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

アクセルを回した状態のまま急発進したせいで止める事を忘れ、俺はそのままマシンヴィクトラーに振り回される形で離れた所にある林の方に突っ込むことになった…。

 

謀ったな、アイエフ!!

 

 

 

「………本当に忘れてたのね………まさか、間違ったやり方をこうも素直にやるなんて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ~…ひどい目にあったぜ…。

 

マシンヴィクトラーに振り回されつつ突っ込んだ林の中で、俺は木に頭と足が逆さの状態で叩きつけられたことでやっと止まる事が出来た。

マシンヴィクトラーも、乗り手がいなくなった事で沈黙、俺のそばで横倒しになっている。

 

まったく、変身してなかったら普通に大怪我してる所だ……。

ギャグでも済まされない事だってあるんだぞ!

…やっぱり、こっちの世界の教習所に通うべきだなぁ…。

 

とりあえず俺はいい加減頭に血が上りそうなので、体勢を元の状態に戻して変身を解除した。

それに合わせてマシンヴィクトラーも消滅したのを確認すると、肩やら腰やらを回して異状がないかを確認する。

よし、特に大きな怪我はしてないみたいだな、さすが変身状態は頑丈だぜ。

 

 

 

「………ふぇぇ」

 

 

 

「ん?」

 

ふと、どこからか弱弱しい女の子の声聞こえてきた。

すぐさま辺りを見渡すが、それらしき影が見当たらない…。

 

と言うかこの声、どっかで聞き覚えが………。

 

「ひぃぅ………お、落ちちゃう……」

 

「………落ちる?」

 

小さいがはっきりと聞こえた言葉に反応して、俺は反射的に上を向いた。

するとそこには、

 

「………クマさん?」

 

見事な円形に広がる空色の布の中に、白く、儚げな肌色の人の足が二本、そしてその付け根部分には可愛らしいクマのバックプリントが施された白い下着で包み込まれた小さなお尻…。

 

ていうか……俺の真上?

 

「ひ、ひにゃああああ!?」

 

俺の呟きが聞こえたのか、そのクマさんパンツの主がスカートを抑えた。

でも、そのせいで恐らく必死に落ちないようにしていた支えを離してしまったのであろう、万有引力の法則に従ってそのまま俺の真上に急降下…。

 

「のぉぉぉぉおおおおおおおっ!?」

 

俺はそのクマさんパンツのお尻に下敷きにされることとなった…。

 

………言っとくけど、これ不可抗力だからね!!

 

「あうぅ……痛い……? っ!?」

 

クマさんパンツの持ち主さんが、俺に気付いたのかすぐさま俺から離れた。

まだ顔にその人の非っ常に柔らかな感触が残っているのを、感しゃ…じゃなくて感じつつ、俺は体を起き上らせた。

まさか、人生で二回も急降下していた女の子の下敷きになるとはな…。

 

「あててて……でもなぜだろう、そんなに悪い気分じゃないな……あれ………シンシア?」

 

「あうぅぅ……」

 

俺が体を起き上らせ、視線を向けた先にいたクマさんパンツの主は、いーすんの高熱を治してくれたシンシアだった。

相変わらず、人が苦手なのか生まれたての小鹿の如くプルプルと震えてその場にしゃがみ込んでいる。

なんだろう、5pb.と気が合いそうだな、人見知り的な所で…

 

「あ~……大丈夫か? 怪我とかしてないか?」

 

「………」(ぷるぷるぷる…

 

「………怪我はしてないみたいだな………」

 

「………」(ぷるぷるぷる…ぷるぷるぷる…

 

なんだろう、すっごい申し訳ない気持ちになる…。

俺別に悪いことしてないと思うんだけどな…。

 

それよりか、何でシンシアは木の枝に掴まってたんだ?

 

「………あ」

 

「…?」

 

ふとシンシアが視線を別の方に向けた、そこには二羽の小鳥が戯れている光景があった。

そこは俺がさっき体を叩きつけた木であり、さっきまでシンシアが掴まっていた木の枝の上だ。

 

「なあ…」

 

「っ!」(びくっ

 

「……あの鳥を近くで見たかったのか?」

 

「………ぅ」(こくり

 

「なるほどな…」

 

恐らく、シンシアがあの木に登って小鳥を近くで見ようとしてた所に俺がマシンヴィクトラーに乗ったまま突っ込んで来て、木にぶつかったせいでシンシアは危うく落下しそうになったと言うところらしいな、鳥は飛んで難を逃れたらしいが…。

 

だとしたら、悪い事をしたな…

 

「その、ごめんな? 急に突っ込んだりして…」

 

「ひっ!?」

 

俺が謝ろうと彼女に近づいたら、たちまちシンシアは後ろに後ずさって木に凭れかかり、涙目で俺の事を警戒した目で見つめる。

うわぁ…、すっげーかわいいんだけど、同時に罪悪感が…。

 

「あの……驚かしたならごめん、そんなつもりは…」

 

「………ないで………」

 

「ん?」

 

小さくシンシアが何かを呟いていたので、俺はその声に耳を傾ける。 そうしないと聞こえないほどの声量でシンシアはこう言っていた。

 

 

 

「犯さ、ないでぇ………」

 

 

 

………what?

 

なんだろう、俺の聞き間違いかな?

すっごい衝撃的な発言が聞こえた気がするんだけど?

 

「あの……一応フォローしておくと、別にそんなつもりはないんだけど……」

 

「う、うそ………」

 

「いや、ウソじゃないよ!? これマジで!」

 

必死に誤解を生まないようにそう言ってはみるが、俺のフォローに対してこの反応を見る限り、さっきの俺が聞いた言葉は間違いではなさそうだ…。

 

 

「だ、だって……男の、人は……人気のない場所で、女の子を………犯すんでしょ?」

 

「すっごい偏った知識だよそれ! 男全員が犯罪者みたいだよそれ!」

 

「無理、やり…脱がして…体を舐めて、弄り…まわして……性奴隷に…しちゃんでしょ…?」

 

「違うよ!? 少なくとも俺はそんな目的で生きてはいないから!!」

 

 

なんなの!? なんでこんないたいけな中学生くらいの女の子が涙目でこんなあまりにも不健全な事を言うのかな!?

なんか、俺が思ってたシンシアのイメージと違うんだけど!?

 

もう、どうしたらいいのか分からず四苦八苦する俺は一旦心を落ち着かせようと、視線を足もとに向けた。

すると、

 

「……なんだこれ?」

 

そこには誰かの物と思われるスケッチブックが落ちてあった。

俺はそれを手に取り、表紙を裏表と確認して、ページを開く…。

 

「っ!? だ―――」

 

シンシアが何かを訴えようとするが時すでに遅し、俺はそのページを……開いてしまった。

 

その、とんでもない物が描かれた…スケッチブックを…。

 

 

 

「こ、これは………」

 

 

 

あまりにも過激なため、すっごい極端な表現で表すと…

 

 

ネプテューヌ(のような女の子)がベッドの上で全裸で絶賛ドッキング中のイラスト…。

 

ノワール(らしき女の子)が恍惚とした表情を浮かべて約束された勝利の棒(エクスカリバー)を舐めているイラスト…。

 

ブラン(らしきry)がお風呂場で男性に体を密着させて、こちらも全裸でドッキングした状態で抱きあっているイラスト…。

 

ベール(らry)がもちろん全裸の状態でベッドの上で四つん這いの状態でドッキングしているイラスト…。

 

 

…まあ、要するにあれだ…完全にエロマンガのイラストだ…。

 

おおっと、沈まれ俺のエクスカリバー…。

 

あまりの事で言葉を失って俺は食い入るようにそれを見てしまった…。 男はなぜこう言う物を目にした時無言になるのだろうか?

更にページをめくると、そこにはシンシアとよく似た女の子が半裸の状態で木に手をついて後ろから襲われているイラストがあった…。

更にパラパラとページをめくると、様々なシチュエーションの18禁物のイラストの多くがシンシアに似た女の子のイラストで、律儀にもイラストが描かれたページの下の方には律儀にもサインが書かれている、その主はもちろん……

 

 

 

「これ…シンシアのか?」

 

 

 

俺が視線を彼女に向けてそう言うと、シンシアは顔を真っ赤にした状態で目から大粒の涙を流し始めた。

 

「ひぐっ……えうぅ……ぐすっ…ふぇぇぇ…」

 

「あ…あぁ!? 悪い、ごめん、勝手に見たのは謝る! だから落ち着いて、な?」

 

「あ、ここいたんですか宗谷さん……って、何で女の子を泣かせてるんですか!!」

 

「すっげータイミング悪い時に、いーすん来ちゃったよ!!」

 

どうやら、俺の事を探すために修行をいったん中止して来てくれたみたいだけど…タイミング悪すぎだよいーすん…。

 

 

 

これが、俺と恩人の彼女との再会…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「宗谷、どこに行ったのかしら…」

 

一方その頃、宗谷達とは離れた林でアイエフは彼の事を探していた。

念のため他のメンバーにも伝えて協力はしてもらっているが、原因を作った手前、自分は特に手を抜かずにしっかりと彼の事を探さなくては…。

 

そう思いつつ林を掻き分けて彼の事を探すアイエフ。

 

すると、

 

「っ!」

 

急に何かを感じ取ったアイエフは勢い良く後ろを振り向き、辺りを見渡す…。

 

しかし、何もいない…。

 

「……気のせいかしら?」

 

殺気の様なものを感じたので、モンスターでも紛れているのかとも思ったが、特に見当たらないのでそう言う事にして流した…。

だが、

 

 

 

「残念ながら気のせいじゃないぜ?」

 

「なっ! ぐっ……」

 

 

 

突然目の前に現れた人物に驚くアイエフだったが、反応する前に鳩尾に拳を打ち込まれ、彼女は意識を失ってしまった。

気を失ったアイエフを肩に担いだその人物は、林の奥深くへとゆっくりと歩き出した。

 

藍色のボディースーツが特徴的な戦士、デスリュウジャーへと変身したトランスがマスクの下でにやりと笑う。

 

(さあ、どうしますかね? 少年くん)

 

 

 




いかがでしたか?

シンシアの設定、(後付けじゃないよ!)とりあえず皆さんが抱いているシンシアのイメージをぶっ壊そうと思った次第です。
なので、エロいイラスト好きと言う事に…本当にどうしてこうなった…。

まあ、それはさておき…

次回、シンシアと再会した宗谷とイストワールは…


次回でお会いしましょう、それでは…
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