超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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どうも、白宇宙です!

昨日、無事に高校を卒業する事が出来ました!
お世話になった家族と友人に感謝です。

さて、そんな卒業シーズン真っ盛りに投稿する最新話はシンシアが主体のお話です。
今回でシンシアの意外な一面が露わになります。

それではお楽しみください、どうぞ!


stage,32 俺と意外な白少女

 

「と言う事は……この人が、私の事を治してくれた方なんですか?」

 

「そう、名前はシンシア、何をしているのかは俺には分からないけど…」

 

俺の事を探して林の中で合流したいーすんにシンシアの事を簡潔に説明した俺はなんとか変な誤解を生まないように話を誤魔化してなんとかその場を丸く収める事が出来た。

 

鳴いているシンシアと必死になっている俺を見て、いーすんは俺が何かをしでかしたんじゃないかとものすごい見幕で俺の事を睨みつけて、本の角を構えたから焦ったものの…どうにか本の角による制裁は免れることはできた…。

 

いーすんが視線を俺から木の側で座り込んだまま未だにしゃくりあげて涙を目に溜めているシンシアに移す。

ちなみにシンシアは今俺がさっき誤って中を見てしまった18禁イラスト集であるスケッチブックを両手で大事そうに抱えている。

余程見られたくなかったのだろうか…、だとしたら悪い事をしたなぁ…。

ちなみに、いーすんはそのスケッチブックが彼女にとって大切な物だとしか説明していないので、中身については知らない。

 

「………えいっ」

 

「痛っ!? ちょ、なんで角!?」

 

「当たり前です、いくらなんでもその人の大事にしている物を勝手に見たのはいけない事ですよ?」

 

結局本の角を喰らった俺はいーすんに窘められて再び反省…、シンシアにもう一回謝ろうとゆっくり近づく。

 

「あー……シンシア?」

 

「………ぅ」

 

声をかけるなり明らかに警戒心と怒ってますよって言うハイブリットな感情がむき出しの目で睨まれた…。

あー…なんか辛いぞこれ…、俺絶対嫌われたなこれ……。

 

でもまあ、せめてちゃんと謝るのが礼儀ってもんだろう。

俺はその場に膝をついて、座り込んでいる彼女と目線を合わせる。

 

「ごめん、勝手に見たのは本当に悪かったと思ってる……本当、ごめん!」

 

「………」

 

「………でも、あの絵……その、すっげー良かったと思う」

 

俺は素直な気持ちを述べて、謝罪の意思を表す。

反射的にあのイラストを見た時の素直な感想を言って空気を変えようと思ったのだが、効果はあるだろうか?

 

あのイラストは、正直びっくりしたが、よくよく見るとすごくいい出来のイラストだった。

俺も18歳になっていくつかエロゲーをプレイした事はある…。 ちゃんとジャンルは健全な純愛物だぞ!

その観点から言わしてもらうと、さっき見た彼女の絵は本当になんというか……エロくて、綺麗で、可愛かったと感じたんだ。

 

こんな状態になってしまっている彼女に、今さらこんなこと言ってもやっぱり効果はないかもしれないが………。

 

「………」(じっ…

 

あれ?

なんか、予想外…と言うより予想以上に効果あった?

 

ふと彼女の顔を見ると、何やら俺の事を頬を赤くしつつキラキラした目で見ていたのだ。

なんというか、褒められて喜んでいる子犬………と言った感じの目だろうか?

 

「ほん……と……?」

 

「あ、ああ! 最初はびっくりしたけど、すっげー良かったぜ? 俺もそういう文化には詳しいから自信持って言えるよ、すっげーうまいよ、シンシアのイラスト!」

 

俺は好機と見るや、彼女のイラストの事をいーすんに悟られないように注意しながら思った事を伝えて褒め言葉で畳みかける。

すると、次第にシンシアの目に溜まっている涙が引いていき、どこか表情が柔らかくなった。

 

俺はほっと一安心して、胸を撫で下ろす。

 

「初めて……男の人に……褒められた……」

 

ぽつりと、シンシアが俺に聞こえるくらいの声量で小さく呟いた。

 

「………私、こう言うの……描いて、ばかりだから……褒めて、くれる人、少ないの……」

 

まあ、傍から見たらこう言うイラストを褒める方が難しいんじゃないか?

常識人ならまず褒めると言っても素直に、エロい、くらいしか言わないだろうな常識的に考えて…。

それだと褒めた事にはならないだろうし、さっきみたいな褒め方をされたのは彼女にとっては初めての経験だったようだ。

 

「……そうか……なら、もっと胸を張っていいと思うぜ? シンシアにはそれぐらいの実力があると、俺は感じたからな」

 

少しばかり心を開いてくれたシンシアに、俺も素直な気持ちで答えた。

 

「………ぅ」(こくり

 

小さく頷いたシンシアはさっきよりも警戒を解いてくれたのか、必要以上におどおどする様子は見られなかった。

信じてくれた、と言うよりかは、慣れてくれたと言うべきだろうか?

 

「……男の人はみんな……女の子を……肉奴隷に……調教しようとする人、ばかりだって思ってた……」

 

「それは間違いだ、そんな奴らばっかりだったら世界が滅びる…」

 

むしろ滅びてしまえそんな世界!

やはり、彼女はどこか異性に対してどこか変わった感性を持っているようだ…。

 

「でも、あなたは違う………目が、綺麗だから……分かる」

 

「……目?」

 

「………ぅ」(こくこく

 

………やっぱり、どこかずれているようだけど………それでも、彼女なりに人の印象の判別は出来るみたいだ。

目が綺麗だからいい人って言うのも、どうかと思うけどな…。

 

「あなただったら……調教されても……いい………」

 

「それはおかしい」

 

やっぱり、どこか違う………なんなんだ、この子は………。

 

俺が多少困惑した頭を落ちつけようと、小さく息を吐いた所に今まで後ろで様子を見守っていたいーすんが俺の隣にまで歩いてきて、俺と同じように座り込み彼女と目線を合わせた。

 

「あの…初めまして、私はイストワールと申します、あの時は助けていただいて本当にありがとうございました、おかげでこうして元気になりました……体は大きくなってしまいましたけど」

 

いーすんが優しい雰囲気を感じさせる頬笑みでシンシアに話しかける、でも彼女の人見知りは正直言って度を越しているからな…、たぶんいーすんに対しても一度会って治療したとはいえ、俺の時みたいに震えて後ずさるのが……

 

 

「………」

 

「………? どうかしましたか?」

 

 

あれ? 変化がない? というかさっきとは違ってかなり落ち着いている?

 

何故かはわからないが、シンシアは俺の時とは打って変わって話すのが初めてのはずのいーすんに怯えるような仕草を一切見せていない、やけに落ち着いてじっと彼女の事を見つめている。

 

これは初めてのパターンだな……どういう事なんだろうか?

俺が不思議に思い、首を傾げているとシンシアは右手でいーすんの頬をそっと、手で触った。

 

 

 

「………イストワール………」

 

「は、はい…」

 

「………元気?」

 

「え、ええ…あれから特に熱を出したりと言う事はありません」

 

 

 

シンシアの問いにいーすんが答えると、シンシアは手を彼女の頬から離した。

 

 

「………良かった」

 

 

そう言って彼女は、俺が見る限り、初めて笑顔を浮かべた。

慈愛、慈しみ、安心…それらをすべて織り交ぜたような、柔らかくて、ほっとする、そんな笑顔を………

 

これは………この笑顔は………

 

 

 

 

 

――――母さん………

 

 

 

 

 

ふと、俺の頭の中にそんな言葉が横切った。

俺はそれがどうしてなのかは理解できず、少し訳が分からなくなってしまった。

 

俺は母親と言う物がどういうものなのか知らない、孤児院で育った俺にとっては母さんと言う存在がいまいち理解できない…。

でも、どうしてだろうか…いーすんの事を見つめるシンシアの笑顔を見て、俺はふとそう感じたんだ…。

 

見た目がほとんど俺よりも年下にしか見えない彼女から感じたこの感覚は……一体、なんなんだ?

 

「………」

 

「……宗谷さん?」

 

「え………ああ、ごめん、ちょっとぼーっとしてた………」

 

俺は考え事をしているとどうも表情が変わりやすいらしい、いーすんに指摘されて俺はその場は誤魔化しておいた。

だが、いーすんはまだ少し俺の事を気にするように心配している眼差しで俺の事を見ている。

 

「…大丈夫、ただ考え事してただけだから」

 

「……なら、いいのですが……」

 

まだ若干気にしている様子のいーすんだったけど、笑顔を見せてその場は流す。

いーすんも納得してくれたのか、さっきみたいな心配している表情ではなくなった。

 

 

 

「きゃっ!」

 

 

 

すると、今度は突然いーすんが可愛らしい短い悲鳴を上げて慌てて視線を前の方に戻した。

俺も釣られてそちらに目を向けると…

 

「………」(さわさわ…

 

「あ、あの…シンシアさん何を…?」

 

シンシアが何故かいーすんの胸のあたりを右手で撫でるように触っていたのだ。

俺はシンシアの突然の行動を理解できずにその場でフリーズする。 いーすんも困惑気味に彼女を見ているが、シンシアはそんなことお構いなしでじっといーすんの胸のあたりを見ながら右手をさわさわと動かいている。

 

今のシンシアの目はさっきの優しい笑顔を浮かべた時の目とは打って変わって真剣な目になっている。

 

 

「………やっぱり、服の上からだと分かりづらい」

 

「え?」

 

「えい」

 

―――ばさっ

 

 

呟くと同時、シンシアが突然行動を起こした。

 

 

それは、簡潔に言うといーすんの上着を両手でめくりあげると言う彼女の性格からはなかなか考え付かない積極的な行動だった。

 

 

 

「え?」

 

「………かわいいブラ………」

 

「………きゃぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!?」

 

「………私より小さめかな? ……サイズ的にBに近いA?」

 

 

 

一体どうしたことか、驚きのあまりいーすんが叫んでいるのを前にしてもシンシアは特に微動だにすることなくめくり上げた服を持ったままじっといーすんの下着に包まれた胸を凝視して、挙句の果てにその下着すらもめくり上げると言う行動を起こした。

 

角度的にいーすんの発達が少々芳しくない胸が直接見える事がないので、俺はびっくりしたが冷静に状況を判断する事が出来た。

俺が見える角度でこんなことされると確実に俺は後が怖いので、しかたなく目を逸らすだろうが…。

 

「えっと…シンシア、これは一体?」

 

「………人によって、おっぱいの大きさが違うのと同じで形も違うの、だから資料として見ておきたいから」

 

「ああ……さいでっか……」

 

今までの人見知りのシンシアはどこへやら、さっきまでの口数の少ないシンシアとは別人のようにすっごい饒舌に喋っているのに俺は押されつつも返事を返す。

 

 

 

そう言えば……白ジャージさんこと、ライラさんが言ってたな……“スイッチ入るとやる事やるって”。

………もしかしてそれは仕事だけじゃなく趣味の方にも言えると言う事だろうか?

 

 

 

仮説を立てるとすると、シンシアは普段こそ人見知りでかなり大人しい女の子だけど、仕事や趣味の面でのスイッチが入るとかなり積極的になる…と言う事だろうか?

とはいえ、男がいる前でその知り合いの女の子の服を目の前でめくり上げて胸を直接見るのはどうかと思うが…。

 

「ちょ、ちょっと宗谷さん! 見てないで助けてください! ていうか、せめて別の方向を向いていてください!」

 

「うーん、なんか矛盾を感じる言葉だな……まあ、大丈夫、俺の位置からはいーすんの胸は見えてないから、安心して」

 

「そうじゃなくて…ひゃっ!?」

 

助けを求めるいーすんを余所にシンシアは更に右手で直にいーすんの胸を揉み始めると言う暴挙に出た。

お、俺ですらいーすんの胸を不可抗力で直に触ったことすらないと言うのに……

これはさすがに止めるべきか?

 

「おい、シンシア? そろそろ、いーすんの事を………」

 

「………」

 

「………あの~?」

 

「………」(じろっ…

 

無反応のままスルーするシンシアに再度声をかけようとするが、シンシアは無言で俺の方を見てむっとした目つき睨んできたので俺は何も言えずにその場で引き下がった…。

目が訴えているんだよね、邪魔するなって…

 

「……悪い、いーすん……シンシアは気が済むまでやりたいそうだ」

 

「そ、そんなっ、ふぁっ!」

 

「………小さいけど、柔らかい………ここは?」

 

「やっ……そ、そこは、だ……んぁっ、ふやぁん!」

 

「………一応フォローしておくと、悪気はないみたいだからな?」

 

「そ、そうは言われても……んっ! あんっ!」

 

目の前で行われてるゆりんゆりんな展開をもうしばらく眺めておきたいが…、これ以上は俺が見ていると不健全だと言う事で後になっていーすんに怒られそうなので、俺は目線を後ろに向けて彼女達の戯れが終わるまで素数を数えることにした。

 

 

「………感度いい………摘まんだらどうなるかな?」

 

「や、だ、ダメです! そんな、そんなことしたら………やぁぁぁん!!」

 

 

………少しだけ見ちゃダメかな?

 

 

 

 

 

 

 

その後、数分間にわたってシンシアの資料調査が続けられた。

いーすんの声が落ち着き始めたのを見計らって視線を元に戻すと、シンシアはどこか満足そうな顔をしてスケッチブックに鉛筆を走らせ、いーすんは服を元の状態に着直してどこか沈んだ表情で疲れ切ったように項垂れていた。

 

「………」(かきかきかき

 

「………私、最近こんなのばっかりです………」

 

温度差が見て取れるくらい違う二人に俺は苦笑いを浮かべることしかできなかった。

とりあえず、今はシンシアの邪魔をするわけにはいかないのでいーすんの方に声をかけることにした。

 

「いーすん、大丈夫……需要はあったよ、俺にとっては!」

 

「………宗谷さんのバカっ!」

 

「ごめんなさいっ!?」

 

問答無用で本の角をフルスウィングされた俺は謝りながらその場に倒れ伏した。

涙目のいーすんは息を荒くして持ち前の最強の鈍器こと、いーすんの本を抱えて明らかに怒った目つきで俺の事を睨んでいる。

 

いやぁ、だってラノベとかだと百合展開って結構俺にとってはおいしいんだよ、まあ、シンシアの目力に押されたってのもあるけど…。

でもそんないい訳が通るとは思えないのでその場で必死に頭を下げていーすんに謝る。

 

「………あの」

 

すると、さっきまでスケッチブックに向き合っていたシンシアが俺達の方を見て声をかけてきた。

 

明らかにいーすんは不機嫌な目で彼女の事を見ているので、これにはシンシアは素直に反応、前のシンシアと同じようにびくりと体を震わせて木の後ろに隠れてしまった。

 

「ご………ごめん、なさい……その……あの……む、夢中に…なっちゃうと……いつもこんなことに………だから………ごめん…なさい…」

 

顔の半分を木の後ろから出して小声でそう言ったシンシア、涙目で震えながらそう言われたのでいーすんも怒るに怒れないようだ。

 

いーすんは暫く考え込むように黙っていたが、ややあって深くため息をついてその場で立ち上がりシンシアの方に向き直った。

 

「………はぁ、わかりました、だからそんな今にも泣き出しそうな目で私を見ないでください」

 

いーすんがそう言うと、シンシアは少し安心したのか木の後ろから出てきてくれた。

 

「でも、急にあんなことをするのはもうやめてくださいね?」

 

「………ぅ」(こくり

 

いーすんの言葉にシンシアはすぐに頷くといーすんもよろしいと言って笑顔を浮かべた。

なんだ、結構怒ってるのかと思ったけどそうでもないのか。

俺が一安心してその場で立ち上がる。

 

「それにしても、良く許したな? 普通なら結構怒ると思うんだけど…」

 

「……あんなことされましたけど、一瞬見た時のシンシアさんの目が真剣そのものでしたから……それに……」

 

いーすんはそう言うと俺の方に視線を戻す。

 

 

 

「彼女が助けてくれなかったら、私はどうなっていたか分かりませんし…」

 

 

 

笑顔でそう言ったいーすんに俺はちょっとした安心感を感じて同じように頬笑みを浮かべて答えた。

そうだよな、シンシアが助けてくれなかったらどうなっていたことか…想像するのだけでも怖い…。

 

暴走気味な所もあるけど根はいい子なんだよ…。

あの時、苦しんでいるいーすんを見ている時のシンシアの目は……本当に目の前の人の事を思っていないと出来ない、真剣と言う感情を通り越した、そんな目をしていたから…。

 

 

―――ぐぅぅぅぅ……

 

「………ぁぅ」

 

 

突然、シンシアのお腹からある現象を告げる音が鳴った。

どうやら、シンシアはまだ何も食べていないらしい、お腹が鳴った瞬間力が抜けたようにその場に座り込んでしまった。

 

「あ、あの大丈夫ですか?」

 

「ふぇぇ………」

 

「食べ物は……持ってなさそうだな……いーすん、確か弁当まだ残ってたっけ?」

 

「はい、確かおにぎりがいくつか…」

 

「なら話は決まりだな…一旦戻ろうか、このままお腹空かしたまま放置するのも可哀想だし…」

 

「そうですね、私も同感です」

 

俺達は互いに頷いた後、いーすんがシンシアの手を取って立ち上がらせて俺が先導する形で林から出ることにした。

 

この時も、人見知りが極端なシンシアは何故かいーすんには警戒することなくすんなりとその後に付いて行った、一体何で彼女はいーすんにここまで心を開いているのだろうか?

そんな疑問を残しつつ、俺達は林の中を歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………♪」

 

「それにしても、良かったなぁ、コンパさんが残ってくれてて」

 

無事に林から抜け出した俺達はコンパさんがお留守番していた所にまで戻ると、コンパさんに頼んで残っていたおにぎりを出してもらい、シンシアに渡した。

最初こそコンパさんを見て警戒の意思を見せていたシンシアだったけど、空腹には勝てず今はコンパさんのおにぎりをはむはむと食べている真っ最中だ。

 

さながら木の実を頬袋に詰め込む子リスの如き愛らしさを感じさせる食べ方だ。

見ていると心が和むなぁ…。

 

「みなさん宗谷さんを探しに行ったままですけど、もうじき帰って来ると思うです」

 

「みんなには迷惑かけちまったな、後で謝っとかないと…」

 

「私は宗谷さんが見つかった事より、いーすんさんを助けてくれた…えっと…シンシアちゃんを連れてきた事にびっくりしたです」

 

コンパさんがシンシアを見た時はそりゃあもうびっくりしてたよ、まさかコンパさんもこんな感じの再開になるとは思ってなかっただろうしな。

 

「シンシアちゃん、この前は本当にありがとうございますです」

 

「………っ」

 

コンパさんがシンシアにお礼を言うが、シンシアはおにぎりを食べる手を一旦止めてやはり警戒した様子でいーすんの後ろに隠れてしまった。

 

う~ん、やっぱりいーすんには警戒の意思を示していないようだ。

 

コンパさんに会った時は、さっきいーすんにしたような服をめくり上げると言う行動はしなかったし………。

いーすんには安心する何かがあるのか?

 

「………あ、シンシアさん、これ」

 

いーすんが側に落ちていた彼女のスケッチブックを手に取り、後ろにいるシンシアに手渡す。

おにぎりの最後の一口を食べ終えたシンシアは手渡されたスケッチブックを受け取ると、いーすんに小さく会釈した。

 

「あり……がと……」

 

「大事な物なんですよね? だったら、もっと大切に持ってないとだめですよ?」

 

「………ぅ」(こくり

 

描かれている内容をまだ知らないいーすんだからいいけど、その内容を知っている俺としてはなんか妙にそわそわしてしまうんだよな…。

事実を知ったらいーすんはどうなるんだろう?

 

「そう言えば、シンシアさんはどんな絵を描いてるんですか?」

 

「ふぇ!?」

 

行ったそばからいきなり突っ込んだよいーすん!

流石のシンシアもこれは言いたくないのか、顔を真っ赤にして口ごもっている。

 

「ぅ…あぅ………あうあう……」

 

「?」

 

「あ~、いーすん、シンシアはあまり人に自分の絵を見せたくないんだって…だから、さっき俺も泣かれたわけで…」

 

見ていられなくなった俺はすかさずフォローに入る。

 

「そうなんですか? ……さっきあんなことされたのでちょっと気になったんですが……まあ、無理に見るのはシンシアさんにも申し訳ありませんしね」

 

「そ、そうそう! さっきのも、絵を描くのに必要なデッサンだったんだよ! ほら、美術館とかにある絵とか結構体のラインがはっきりした絵とかあるし、な?」

 

「………?」

 

フォローのつもりでまくし立てるも、シンシアはそれをいまいち理解してくれなかったのか首を傾げた。

そこは便乗して欲しかったんだけどなぁ…。 やっぱシンシアが興味あるのはエロい絵だけなのか…。

 

俺が乾いた笑いを浮かべてその場を誤魔化していると……

 

 

 

「あ、ソウヤ帰ってたんだ! やっほー!」

 

「もう、心配掛けさせといて勝手に帰ってるなんて……非常識じゃない?」

 

 

俺を探して林に入っていたネプテューヌとノワールが返って来た。

その後ろにはネプギアとユニちゃんも一緒にいる。

 

どうやら一度こちらに戻って来ようと思ったみたいだな、でも丁度良かった今度は俺がみんなを探しに行こうと思ってた所だったからな。

 

「あれ? 宗谷さんその人って…」

 

「っ………ぁぅ」

 

ネプギアがシンシアに気付いて俺に聞くが、それよりも先にシンシアはネプテューヌ達に気付いてすぐさま見えないようにいーすんを壁にして隠れてしまった。

 

「あー! いーすんのこと治してくれた人だ! 何でここにいるの?」

 

「林の中で偶然会ってな、お腹空いてたみたいだからおにぎりを分けてあげたんだ」

 

「そうだったんですか、その節はありがとうございます」

 

ネプギアが礼儀正しく頭を下げて挨拶をするが、シンシアは人数が増えたせいか余計に警戒して声すら出なくなってしまった。

そんな様子のシンシアを見てネプギアが首を傾げる。

 

「ネプギア、シンシアは人見知りなんだ…だから、悪気があるわけじゃないから分かってやってくれ」

 

「あ、そうなんですか、ごめんなさいシンシアさん…」

 

一応これで理解はしてくれたと思うが、シンシアとの接し方はやっぱりいろいろ大変そうだな…。

 

「へ~、シンシアって言うんだ~! 私、ネプテューヌ、よろしく!」

 

「ひにゃっ!?」

 

「人見知りだから急に驚かすような挨拶をするな!」

 

人の話を聞いていないネプテューヌに軽くチョップを落として制裁しつつ、シンシアが余計に警戒していないかを確認する。

 

 

「………」

 

 

すると、さっきのでまた涙目で震えているのかと思ったのに対してシンシアはまた森で初めていーすんと会った時と同じようにネプテューヌの事をじっと見つめていた。

ネプテューヌにも何か興味を示しているのだろうか?

 

「……いやぁ、なんかそんなに見つめられると逆に照れちゃうよ」

 

俺が真剣な思考をしているのに対してネプテューヌはお気楽にそう言って流す、まあ、ネプテューヌはこれがデフォだからいいとして、一体どうしたのだろうか?

シンシアはじっとネプテューヌを見つめたまま動こうとしない。

 

 

 

「今の………紫の………女神………」

 

 

 

ふと、彼女の口からそんな呟きが聞こえた。

それは一番彼女の近くにいたいーすんも聞こえていたようで、シンシアの方に振り返っているがシンシアはそう言った途端に目線を逸らして元の警戒状態に戻ってしまった。

 

どういう事だ? シンシアは一体何を思って今の言葉を呟いたんだ?

 

「そう言えば宗谷さん、アイエフさん見ませんでしたか?」

 

俺が疑問を感じていると、ネプギアが俺にそう言って来た。

そう言えば、まだアイエフだけがここに戻ってきていないな……。

 

「一緒じゃなかったのか?」

 

「いえ、先に林に入って宗谷さんを探してくると言っていたので…」

 

と言う事は、もしかしたらまだ林の中で俺の事を探しているのかもな…。

 

だとしたら、林の奥の方に行く前に見つけないとややこしい事になりそうだ。

俺はすぐさま立ち上がってアイエフを探すべく林の方に向かって歩き出す。

 

「あ、待ちなさい宗谷、私達も手伝うわ」

 

「え~、また行くの~?」

 

「文句言わないの! あなた友達でしょ、あなたも探さないでどうするのよ!」

 

駄々をこねるネプテューヌをノワールが言いくるめ、再び女神様ご一行が協力してくれる形で今度は俺でなく、アイエフ捜索隊が結成された。

 

「あ、待ってください宗谷さん、私も手伝います」

 

そう言っていーすんも立ち上がり、俺に付いて来るがいーすんと一緒にシンシアも付いてきた。

一応、いーすんには待ってもらおうと思ってるんだけどな…、て言うかなぜシンシアまで?

 

「………ぅ」(ぎゅ…

 

「えっと………どうしましょう?」

 

「………まあ、人数は多いに越した事はないし」

 

いーすんの服の袖をぎゅっと握ったままのシンシアを見て俺は一応、シンシアも同行すると言う形でアイエフの捜索を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

林に入って、俺達はすぐにそれぞれのグループに分かれてアイエフの捜索を開始した。

グループとしては、俺とネプテューヌとノワール、ネプギアとユニちゃんとコンパさん、いーすんとシンシア、と言う感じだ。

 

 

俺とネプテューヌ、ノワールの三人グループは俺が林の中に突っ込んでやっと止まる事が出来た場所から少し西側の辺りを調べることにした。

 

 

「あいちゃ~ん、いないの~?」

 

ネプテューヌが声を上げてアイエフを呼ぶが、返答はない。

もしかしたらもっと奥の方に行ったのかもしれないな…。

 

「………? 宗谷、これって…」

 

「ん?」

 

すると、ノワールが何かを見つけてそれを手に取り俺に見せてきた。

それは青いカバーが特徴的な携帯電話だった。

あれ? 確かこれって…

 

「ソウヤ! これって、あいちゃんのだよ!」

 

「…ああ、間違いないな」

 

どうやらアイエフはこの近くに来たようだな…。

これが落ちていると言う事は向こうから連絡が来ないのはこう言うことだったのか…。

でも林の中は電波が悪いから電話は繋がりそうもないから元も子もないか…。

 

…でも、なんでケータイを落としたんだ?

少なくともケータイを必須アイテムにしているアイエフがケータイを落とすなんてミス、なかなかしないと思うんだけどなぁ…。

 

 

………何かあったのか? 変に嫌な予感がするぜ………

 

 

一抹の不安を感じつつ、俺はアイエフのケータイに視線を落とす。

 

 

 

 

その時だった、

 

 

 

 

 

「フルートバスター!」

 

 

 

 

 

「っ! 宗谷、ネプテューヌ、伏せて!!」

 

ノワールがその声を聞いた後、何かに気付き俺達にそう呼び掛けた。

俺とネプテューヌは驚きつつもすぐさま体勢を低くしてその場に伏せる。

 

その直後、何かが空気を切り裂くような唸り声を上げて俺達の頭上を飛んで行った。

それは、ブーメランのよう回転しながら木を切り裂きながら、空中で弧を描いて旋回、俺達の上をまた通り過ぎると俺とネプテューヌの後ろの方に飛んで行った。

 

俺達はすぐさま振りかえり、一体何が起こったのかを確認する。

 

そして、俺達の視線の先にいたのは……

 

 

 

「お前は………デスリュウジャー!」

 

「また会えたな、天条宗谷」

 

 

 

藍色のボディースーツにド派手な牙の様なぎざぎざ模様の黄色の装甲を袈裟がけに装備した恐竜スピノサウルスを思わせるマスクの戦士…。

獣電戦隊キョウリュウジャーで“獣電竜トバスピノ”を操り、暴虐の限りを尽くした悪の戦士、デスリュウジャーがブーメランの形に変形させた奴の得物、“フルートバスター”を片手に俺達の目の前に立っていた。

 

俺はデスリュウジャーが目の前にいる事にも驚いたが、それよりも気になる事があった。

こいつは今、“また会えたな”、と言っていた…。

でも、俺は少なくとも映画でデスリュウジャーの事を見たことはあっても実際にあった事はないはずだ。

 

「あの時よりも、強くなっているか……試させてもらうぞ?」

 

デスリュウジャーが首に回すようにブーメラン状態のフルートバスターを構える。

 

あの時………? 試す………?

 

………まさか、こいつは………

 

「あんた、TGSの時のエターナルか?」

 

「………そう言う事だ!!」

 

デスリュウジャーはそう言うとフルートバスターを俺達めがけて投げつけてきた。

俺はブイホを取り出し赤剣と連結させようとする。

 

だが、

 

(速い…っ!)

 

それよりも早くフルートバスターが俺に近づいてくる。

唸り声を上げるフルートバスターの切っ先が俺を切り付けんと肉薄する。

 

「てりゃぁあ!!」

 

しかし、ネプテューヌが俺の前にすぐさま移動し、取り出した刀を振り上げてフルートバスターを弾き返した。

生き物の如く飛びまわるフルートバスターだが、それ以上の追撃はせずにすぐにデスリュウジャーの手元に戻る。

 

「なんかよくわかんないけど、ソウヤの敵なら私の敵だよ!」

 

「私達は今ちょっと取り込んでるの、邪魔をするなら……容赦しないわよ!」

 

ノワールもショートソードを呼びだして、ネプテューヌと一緒に切っ先をデスリュウジャーに向けて言い放つ。

しかし、デスリュウジャーは特に反応を見せることなく、ふん、と鼻で笑うとフルートバスターをV字型から一直線の剣撃モードに切り替えて構える。

 

「探してるんだろ? 知ってるぜ? 一つ結びの茶髪の女のこと」

 

「っ! お前、アイエフを………まさか!」

 

「さてな……知りたければ、俺と戦え!」

 

デスリュウジャーはそう言い捨てるとフルートバスターを振りあげて俺達に向かって走り出してきた。

俺はすぐさま、ブイホを呼びだした赤剣と連結させて変身する。

 

「リンク・オン!」

 

「ハァァァアアア!!」

 

デスリュウジャーが上に振り上げたフルートバスターを斜めに振り下ろす、だが、その刃をネプテューヌとノワールの二人の剣の刃が受け止める。

 

「あいちゃんに手を出したんなら、余計に黙っていられないよ! こうなったら、徹底的にねっぷねぷにしてあいちゃんのこと全部話してもらうからね!!」

 

ネプテューヌはそう言うとデスリュウジャーの胸のあたりに蹴りを入れて後ろへと後退させると、すぐさま地面を蹴り奴との距離を埋める。

刀のリーチに入ったと同時に横薙ぎに刀を振るうが、デスリュウジャーはフルートバスターで難なくそれを防御、そしてネプテューヌの刀を押し返し、上段後ろ回し蹴りでネプテューヌを横に蹴り飛ばした。

 

「ねぷぅっ!?」

 

「ネプテューヌ! この………っ!」

 

ネプテューヌが草むらの中に突っ込んだのを見たノワールがショートソードを構えデスリュウジャーに切りかかる。

横一文字に二回切り払い、下から振りあげて奴を攻撃するも、全ての攻撃はあっさりと回避され、逆に反撃の蹴りを腹部に打ち込まれてしまう。

 

「あぐっ…」

 

「邪魔だ!!」

 

さらに、獣の如き獰猛な動きでノワールに掴みかかると信じられない力で彼女を振りまわし、ハンマー投げよろしくあっさりと投げ飛ばした。

投げ飛ばされた方には少しい大きめの木がる、まずい、このままじゃ木にぶつかる!

 

俺はすぐさまノワールを受けとめるべく走り出し、木に激突する前になんとか受け止めることに成功する。

 

「大丈夫かノワール!?」

 

「え……ええ、なんとか……けほっ」

 

軽くむせつつも返事をしたノワールに代わって、俺は前に出て赤剣を握る。

デスリュウジャーはフルートバスターを左右に切り払い、挑発の意味を込めてか人差し指を出してくいくい、と二回曲げる。

 

 

 

「さあ、楽しませてくれよ………俺を!!」

 

 

 

俺はこの日、また、奴と出合った…。

 




いかがでしたか?

次回、デスリュウジャーに変身したトランスと宗谷達が大激突!

それでは、また次回でお会いしましょう…。
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