かなり気分が乗って描きました! ていうか、この後にちょっとやりたい事もあるので、その事も踏まえると余計に筆が進んだと言うか(笑)
今回はデスリュウジャーとのバトル!
だが、同時に新たな謎が…て言うか、本当に謎だらけだなおい……。
そしてそして、あとがきの方では重大発表が!
それではお楽しみください、どうぞ!
挑発の意味を込めて指を二回曲げたデスリュウジャーを、俺はフルフェイスのマスクの下から睨みつけながらじりじりと足の幅を広げ、赤剣を両手で持って体の正中線に合わせて真っすぐに構える。
対するデスリュウジャーは左手を前に突き出し、右手に持ったフルートバスターを肩に担ぐようにし、腰を落とした姿勢で俺の出方を窺っているようだった。
「………あいつ何者なの、隙が全く見えない」
俺の後ろでなんとか立ち上がったノワールがショートソードを構えつつ俺にそう聞いてきた。
確かに彼女の言うとおり今のあいつには付け入る隙が全く窺えない、まさにこれから獲物を仕留めようと身構える獣だ。
「………只者じゃないのは確かだ」
詳しく説明しているとその間に向こうが襲って来そうなので俺は簡潔に、そうとだけ説明した。
しかし、それだけで十分だったのかノワールはそれ以上は聞かずに臨戦態勢に再び入る。
どちらから仕掛けると言うわけでもなく、ただ時間が過ぎる……。
すると、
「背中ががら空きだよ!」
デスリュウジャーの背後の草むらからさっき蹴り飛ばされたネプテューヌが刀を大上段に構えて飛び出してきた。
突然の不意打ちを仕掛けられたデスリュウジャー、流石にこれは対応しきれないかと思ったが、
「ふんっ!」
右肩に担いだフルートバスターを軽く上に上げただけでネプテューヌの攻撃をあっさりと受け止めてしまった。
まさか奴はこうなる事を予測できていたのか? だとしたら本当にこいつは一体、どれだけの力量を持っているんだ…。
「鬱陶しい!!」
「そうそう何度もやられないよ!」
デスリュウジャーはそのままネプテューヌの刀を押し返しながら振り返り、勢いを乗せた斬撃を繰り出すが、ネプテューヌは悠々とその斬撃をジャンプで躱し、デスリュウジャーの上を飛び越え、着地と同時にロンダートからバック宙を切って俺とノワールの前に躍り出た。
「さっきはあっさり飛ばされちゃったけど、あんなキック一発で私は倒せないよ! なぜなら私は、原作シリーズで第二作目とリメイクの二作目以外の主人公だから! ドヤっ!」
「何言ってんだお前…?」
「気にしたらだめよ、宗谷……」
訳の分からない説明と一緒にドヤ顔でピースサインを見せるネプテューヌが何を言っているのか俺には分からないが…まあ、すごい事なんだと思う事にしとこう。
隣のノワールは少々呆れ顔でネプテューヌの事を見ているが…
でも、これでこちらは三人、向こうは一人、こっちが有利なのは変わりない。
いくらあいつでも女神二人の相手をしながら俺を相手取るのは不利と感じているはずだ…。
だが、そんな俺の予想はあっさりと裏切られることとなる…。
「……面白い、なら見せてもらおうか? 今のゲイムギョウ界の女神の力をな!」
奴は動揺するどころか、まるでこの状況を楽しんでいるように高揚しているようだった。
戦闘狂、まさにそんな言葉がぴったりに感じる。
デスリュウジャーは声を張り上げてそう言った後、フルートバスターを折り曲げ、ブーメラン状態にすると、左手で何かを取りだした。
それは乾電池の様な形をしたアイテムだった。 黒い縁取りがなされ、恐竜の様な装飾が施されたそのアイテムを俺は知っている。
あれは、キョウリュウジャーが変身や、戦闘のアシストのために用いるためのアイテム、“獣電池”だ、本来は銀色の縁取りが施されているがデスリュウジャーの獣電池は悪の力に染まったせいで黒くなっているのが特徴だ。
あれを取りだしたということは………まずい!
「ネプテューヌ、ノワール! 今すぐ変身して後退するんだ!」
「え? ソウヤ急にどうしたの?」
「いいから急げ!!」
俺は急かすように二人に言うと、二人は渋々女神化を開始する。
その間にもデスリュウジャーは獣電池の先端のスイッチを押し、エネルギーをチャージする。
「デーボスイン…」
そして、獣電池をフルートバスターに装填、禍々しいどす黒い力がフルートバスターの刃に集まる。
まずい、やっぱりいきなり出す気だ、デスリュウジャーの必殺技を…っ!
「魔楽章、デーボスフィニッシュ!!」
叫び、奴が勢いをつけてフルートバスターを振るう。
すると、その斬撃はエネルギーとして前方に放たれ、まるで恐竜の様な姿へと変わり、俺達三人目掛けて襲いかかって来た。
流石にまずいと感じ取った俺を除く二人は、女神化を完了すると同時に後ろに向かって飛ぶ。
俺もすぐさま後ろに向かって走りだすが………
―――――ドォォォオオオオン………
「っ!?」
宗谷達がいる地点から反対側の東側で捜索を続けていたイストワールは、微かに聞こえたその音を聞き取り、聞こえてきた方角に目を向けた。
それがなんなのかは音からして理解する事が出来たが、それが余計に彼女の不安を駆り立てる。
隣で彼女と行動を共にしていたシンシアも音に気付いたのか同じ方角を見る。
「………まさか」
イストワールは普段は出していないのに慣れ始めていた背中の翅を生成し、飛翔、木の枝の間を縫って林の上へと飛び出す。
すると、それほど大きくはないが西側の方角で黒煙が上がっているのが見て取れた。
「あそこは……宗谷さんとネプテューヌさん達が向かった方角!」
気付くや否や、すぐさま地面に降り立ち一緒に同行していたシンシアに向き直る。
「シンシアさん、すみません私少し様子を見てきます、心細いかもしれませんがさっきいた場所に戻る事は出来ますか?」
今何が起きているのかは分からないが、さすがにただ事ではないのが確かなのは目に見えて明らかだ。
シンシアを危険な目に会わせないようにするためにそう判断したイストワールは彼女にそう提案する。
シンシアは暫し間を開けてから小さく頷いて承諾した。
「……道は分かりますか?」
「………ぅ」(こくり
「では、お気をつけて……」
イストワールはそう言うや否や、すぐさま駆け出し爆音がした方角に向かって走る。
「………ライラ………」
その姿を見送るように見つめるシンシアの呟きを彼女は聞きとる事は出来なかった…。
「………ぎ、ギリギリ助かった…」
「なんなのよあいつ、無茶苦茶じゃない!」
間一髪、奴の必殺技の“魔楽章・デーボスフィニッシュ”が直撃する事はなかったがそのおかげで俺達は奴の必殺技が炸裂したことにより発生した爆風で林の外にまで吹き飛ばされた。
ここまで飛ばされるのに木にぶつからなかったのが奇跡にも感じるが、考えただけでぞっとする…。
もし、あの攻撃が直撃したらと考えると恐ろしくて仕方ない…。
開けた野原に出た俺達は、飛ばされた方を見ながら立ち上がりそれぞれの武器を握る。
女神化したノワールが毒づきながら大剣を両手で握り、女神化したネプテューヌは黙って刀を振りあげる。
「………無駄口を叩いてる暇はないみたいね」
ネプテューヌが呟いたのと時を同じくして、林の中からデスリュウジャーがゆっくりと出てきた。
そして、俺達を見つけると再びフルートバスターを構えて戦闘態勢に入る。
「どうした? 怖気づいたか?」
「そんな訳ないでしょ、このトカゲもどき! さっきの分も踏まえて倍返ししてやるわ!」
女神化した影響で勝気な性格が前面に出たノワールがそう言い放った。
恐らく、逃げると言う選択肢はないだろうし、デスリュウジャーの方もさせるつもりはないだろう。
こうなったら徹底的にやるしかなさそうだ…。
「二人とも、一気に行くぞ……」
「………分かったわ」
「ええ!」
二人が頷くと同時、俺は赤剣を右手で持ち、一気に地面を蹴り走り出す!
同時に二人も地面を蹴り、低空飛行でデスリュウジャーに向けて一気に距離を詰める。
「いいぞ……そうだ、そう来ないとなぁ!!」
それを待っていたかのようにデスリュウジャーがフルートバスターを強く握り直して真っ向から突っ込んできた。
俺達とデスリュウジャーとの間合いが一気に縮まり、あっという間にそれぞれの武器の間合いに入った。
まず仕掛けたのは俺だった。
「せぇええ!」
右手に握った赤剣を横薙ぎに思い切り振るう。
だがデスリュウジャーはフルートバスターでこの攻撃もあっさりと受け返すと、すぐさまフルートバスターの刃を翻し、俺の装甲にフルートバスターの刃を二回叩きつけ、さらに追撃の蹴り込みを打ち込んできた。
「ぐはっ!」
溜まらず後ろに飛ばされた俺の横を後続のノワールが横切った。
「このぉ!!」
大剣を振りかぶり、下から上へと跳ね上げるように放ったノワールの攻撃はデスリュウジャーが側宙で横に回避したことで不発に終わった。
更にデスリュウジャーは、攻撃が躱され動きが一瞬止まったノワールに獣の如く素早く飛びかかる。
「うらぁっ!!」
「ふぐっ!? きゃっ!」
体をひねるように回転させて飛びかかったデスリュウジャーは、強靭な脚を曲げてノワールの頭に膝裏を引っかけて勢いをつけたままそのまま地面にたたき伏せた。
そのまま追撃のつもりか、拳を振り上げるが…、
「ハアアァァ!」
横合いから飛び込んだネプテューヌが刀を真一文字に振るってデスリュウジャーを攻撃する。
だが、いち早く気づいたデスリュウジャーは上にジャンプしこの攻撃もすんなりと回避する。
「フルートバスター!」
「くっ! このぉ………やぁっ!」
同時にフルートバスターをブーメラン状態にしてネプテューヌ目掛けて投げつける。
飢えた野獣のように縦横無尽に動き回るそれを何とかネプテューヌは刀で撃ち返してやり過ごす。
その間に俺は体勢を立て直して、赤剣に連結したブイホの画面を操作、スキルリンクを発動する。
『Skill Link! Street Fighter』
「サイクロンアサルト!」
スキル ストリートファイターの発動と同時に跳躍した俺は体を竜巻の如く回転させながら、凄まじい勢いを乗せた回し蹴りを奴目掛けて放つ。
だが、
その攻撃はあっさりとデスリュウジャーの右手で受け止められた。
受け止めた際の衝撃で、奴の足もとの地面が浅く横流しに抉れているのに奴はダメージを負った様子は微塵も感じさせない…。
「おいおい、うそだろ……」
「いや大したもんだ……スキルリンクの技の派生版を使えるだけでも十分な成長だ、だが……」
奴が静かにそう呟くと同時に、異変は起こった……。
俺の蹴りを受けとめた右手がノイズの様な光に包まれ、変化を始めたのだ。
次第にそれは右腕、肩、そして全身へと広がり……。
その姿を全く別の存在へと“変身”させた……。
「俺を倒すにはまだ足りないな…」
「まさかとは思ってたけど、マジかよ…」
そいつは毒々しい黒と赤のラインが走る体に、胸の中央にはどす黒く染まった水晶。
銀色の顔にある大きな黒い双眸が特徴的で、その姿はまさに悪魔を思わせる…。
そう、今のこいつはデスリュウジャーとは違う、また別の戦士に姿を変えた。
今のこいつは、光の絆の戦士、“ウルトラマンネクサス”と死闘を繰り広げた闇の戦士、ウルティノイド……またの名を……
「今度は“ダークメフィスト”かよ!」
人間大の大きさだが、それは間違いなくダークメフィストだった。
俺は毒づくと同時に逆手に握った赤剣を奴に突き立てるが、俺の足を奴が押し返したことで体勢を崩し、不発に終わる。
更に奴は右腕に装備した籠手、“アームドメフィスト”から凶悪なイメージを感じさせる鋭い爪を伸ばし、クロー状態にしたアームドメフィストを思い切り振りまわした。
「うわぁっ!?」
爪が俺の装甲を削り、火花を上げて俺を上へと跳ね飛ばす。
地面に落ちる寸前に俺はなんとか受け身の体勢を取って地面を転がりながらもすぐさま立ち上がる。
隙を見逃すまいと追撃を仕掛けてきたダークメフィストのクローが容赦なく俺の眼前に突き出される。
しかし、俺は赤剣でその攻撃をなんとか弾き、反撃の斬り上げを見舞うが体を斜め後ろに傾けたダークメフィストはなんなくそれを回避、負けじと今度は上から刃を振り下ろすがクローを横に構えてその攻撃も防御される。
「ふっ………」
「ちぃぃ……!」
俺は歯噛みしながら奴を睨み、対するダークメフィストは不敵に鼻で笑う。
痺れを切らした俺は奴の腰を蹴って距離を取ろうとするが、同時に奴も俺の腰を蹴り互いに距離を離す。
「レイシーズ・ダンス!」
「クロスコンビネーション!!」
距離を離した瞬間、ノワールとネプテューヌがそれぞれの得意技でダークメフィストに仕掛けた。
ネプテューヌは休みなく剣撃の嵐を叩きこむ技を、ノワールはダンスの如く鮮麗された見事な剣技を、それぞれ時間差をつけてダークメフィストに放った!
「ハッ!」
「っ! 飛んだ!?」
「あーー! もう! 姿を変えたり飛んだり、なんなのよあいつ!」
しかし、二人の攻撃はダークメフィストが上空に飛翔したことで命中することなく空振りに終わった。
二人は逃がすまいとプロセッサユニットのウィングに物を言わせ、ダークメフィストを追いかけるべく飛び立つ。
飛行能力を持たない俺は一緒に追いかける事は出来ないが、スキルを使えば援護射撃はできる、俺はすぐさま赤剣の画面に指を這わせてスキルを選択する。
その間に、既に空中では激しい空中戦が展開されていた。
「……ハァッ!!」
ダークメフィストがアームドメフィストから強力な破壊光弾を乱射し、二人を近づけまいと応戦する。
しかし、二人は次々とその光弾を回避しつつダークメフィストにどんどん近付いていく。
「ここまで近づけば!」
先手を打ったのはネプテューヌだ、斜めに振り下ろした刀がダークメフィストに肉薄する。
だが、これもまたあっさりと防御され、クローによる反撃が逆にネプテューヌに襲いかかる。
でも、ネプテューヌも負けていない、反撃で放たれたクローの斬撃を刀で弾き、負けじと刃を数回振るう。
防いで反撃の連鎖がしばらく続き、金属質の衝突音が響き渡る。
「ノワール!!」
「やぁぁぁぁああっ!!」
突然ネプテューヌが後ろに下がったと思ったら、彼女の後ろにいたノワールが入れ替わるように飛び出し大剣を大上段から思い切り振り下ろす。
流石にこれは当たるかと思ったが…
「フンッ!」
「なっ!?」
奴はなんと大剣の刀身の腹に蹴りを入れて無理やり斬撃の軌道を逸らした。
恐れを知らぬ防御方法に呆気に取られたノワールに、ダークメフィストは容赦なく体をひねりながら放った鋭い回し蹴りでノワールを地面に叩き落とす。
「きゃああああ!?」
「オオオオォォ!!」
更に奴は追い打ちで流星の如く急降下しながらの蹴りをノワールに叩きこもうとする。
だが、ノワールはなんとか空中で体勢を整え大剣を体の前に横倒しに構えてその蹴りをガード、直撃は避ける事が出来た。
「くっ……重っ…!」
しかし、勢いは殺しきれない…このままだとノワールは地面に激突する。
俺はすぐさま発動したスキルで彼女のアシストに入ろうと身構えた。
『Skill Link! ULTRAMAN』
両腕にスペシウムコネクターを装備した俺は、一旦赤剣を地面に突き立てておき、フリーになった右腕を思い切り引いて勢い良く前に振り下ろす!
すると、円形のビームカッターが飛び出し、ダークメフィストに向かって飛んで行った。
「八つ裂き光輪ならぬ………“スラッシュレイザー”ってとこか!」
これもさっきと同じで、スキル ウルトラマンの派生技だ。 パワーアップを果たしたおかげで幾つかこう言う技が出せるようになって技のレパートリーが増えたのだ。
俺が放ったスラッシュレイザーはどんどんとダークメフィストに接近し、光の刃で奴を切り裂かんとする。
だが、
「っ! ハッ!」
それよりも早く気付いたダークメフィストが上に飛び上がり回避、当たる事はなかった。
でもこれでノワールへの負担はなくなった、ノワールはそのまま地面に急降下して言ったがギリギリのところで受け身の体勢を取り、ダメージをうまく受け流して着地した。
「はあああぁぁぁっ!!」
横合いから飛び込んだネプテューヌが再びダークメフィストに接近する。
対するダークメフィストはすぐさまクローから破壊光弾を発射、ネプテューヌに向けて撃ち続ける。
「きゃぁぁぁぁあああああ!?」
回避を続けながら接近していたネプテューヌだが、ついに被弾してしまった。
ネプテューヌはそのまま地面に墜落して行った。
「ネプテューヌ!! お前ぇ…!」
俺は反射的にダークメフィストを睨みつける。
「………フン! ハァァアア……」
上空に浮かび上がったままのダークメフィストは俺の視線を一瞥すると、両腕を交差させて漆黒のエネルギーを両腕にチャージし始めた。
俺はそれに対抗するべく、両腕を十字にクロスさせる…。
「ハアァッ!!」
「当たれぇぇぇえええええええええ!!」
ダークメフィストの必殺光線、“ダークレイ・シュトローム”と俺の“スペシウムイレイザー”が全く同じタイミングで放たれ、空中で激突する!
激しいスパークの光と火花をあげて互いの光線が押し合い、どっちつかずと言った具合でぶつかり続ける。
「あんたは一体何が目的だ! なぜ俺と戦う! なぜ俺の知っている戦士の姿に変身できる!!」
俺は光線の出力を更に上げつつ、ダークメフィストの姿をしている何者かに半ば叫ぶようにして問いただす。
「………この姿をしているのはお前が盛り上がるだろうと思ったのと、俺が授かった能力だからだ」
「なに!?」
帰って来た返答に俺はすぐさま反応した、同時に奴から今までと違う何か別の感情を感じ取ったような気がしたが、今は光線の押し返すのに精いっぱいでそれを読み取る余裕がない。
「俺は………“私”は昔、多くの人々のために自分を偽った……優れた指導者であるために、人々の希望であるために………だが、それは所詮紛い物だった………私は全てを失った」
「なにを言って……!?」
「………ただの昔話だ、気にするな」
涼しげに帰ってきた言葉と共に、奴の光線のパワーが更に上がった。
「俺がお前の前に立つ理由は、お前に強くなってもらわなくてはならないからだ」
「………何のために!」
「それを知るのは、まだ早い!」
そう吐き捨てたダークメフィストが更に光線に力を注ぐ、俺は押し込まれまいとスペシウムイレイザーの出力を最大にして対抗する。
そして、
激しい線香と共に、互いの光線が衝突していた所を中心にして激しい光と爆発が起こった。
どうやら互いの光線を相殺して、爆発を起こしたらしい。
俺は発生した爆風に耐えきれず、その場に膝をついた……。
激しい風が弱まった時、俺はこの行動を起こした事が間違いだったと気付いた…。
「宗谷、避けて!!」
ノワールが叫ぶようにして俺にそう言った。
視線を上げると、もうすぐそこまでの距離に、奴が光線が相殺されたことによる爆風に合わせて放ったと思われる、ひと際巨大な破壊光弾が迫っていた。
避けようにも間に合いそうもない、直撃はしなくても大ダメージは必須だ…。
俺は咄嗟に地面に突き立てた赤剣に手を伸ばす。
「宗谷さん!!」
その時だった、俺と破壊光弾の間に割って入るように誰かが駆けつけた。
その人物とは……美しく透き通った蝶の様な翅を背中に広げた、いーすんだった。
彼女は両腕を大きく広げ、俺の前に立ち、光弾をじっと睨みつけている。
「イストワールっ!!」
俺は咄嗟に彼女のあだ名ではなく本当の名を呼んだ、破壊光弾がもう目の前まで迫っている…。
間に合わない………!
程なくして、青い光が視界いっぱいに広がり、激しい爆発音と閃光が俺の視界に広がった……。
彼女がここに駆けつけたのは、爆発が起きたであろう現場に辿り着き、程なくして聞こえてきた何者かの声と金属質の衝突音が聞こえたからだった。
不安を感じた彼女は、それが聞こえる方角に足を運び、それがなんなのかを知った。
そこにはネプテューヌ、ノワール、そして宗谷の三人が赤と黒の体をした何者かと激闘を繰り広げている光景が広がっていた。
林から彼女が飛び出した時には、宗谷の放った白い光線と敵と思われる何者かが放った漆黒の光線がぶつかり合い、弾けた所だった。
その時、彼女は見た…。
光線がはじける直前、敵が右腕から何かを放ったのを………
それに気付くや否や、彼女は翅を広げ、宗谷に向かって無我夢中で飛び出した。
爆風を無理やり掻き分けて、自分の出せる最大スピードで飛び続ける。
「宗谷さん!!」
彼の名を呼び、咄嗟に彼の前に割って入り、両腕を広げ彼の盾になる。
「イストワール!!」
彼が自分の名を呼んでいる、だが、もう避ける事も防御する事も出来ない距離にまで光弾が迫っている。
(あ………私、またこんな無茶を………)
つい先日も似たような無茶をした所だった…。
死の恐怖に怯えながらも、彼には心配をかけさせまいと振る舞い、凶刃を前にして待ち構えた…。
(また…怒られちゃいますね…こんなことしたら…)
そう思いながら、イストワールは自分に襲いかかるであろう衝撃に備えるため、目を強く瞑った…。
宗谷とイストワールがいたあたりを濃い爆炎が包み、静寂も時を同じくしてその場を包み込んだ。
その様子を見ていたネプテューヌとノワールは愕然とした表情で二人がいた場所を見つめる。
「今の………いーすん?」
「そんな………ウソでしょ?」
目を見開き、信じられないと言った表情の二人。
対するダークメフィストは、予想外とはいえ二人を手に賭けたことよりも、その直前に“割り込んだイストワール”とは違う何かを気にしていた。
(今のは………まさか………)
ふと視線を自分たちがさっきまでいた林の方に向ける。
すると、
(………なるほど、あなたですか)
そこには先程イストワールと離れたはずのシンシアの姿があった。
だが、その姿は先程までと少し違う…。
白銀の機械の翼を背中に広げているのだ。
あれは、彼女が今の彼女になる前にも使っていた力の一端…。
昔と変わらない、彼女が持つ加護の力…。
「ということは……」
ふと視線を爆炎が立ち込める地点に向ける。
次第に煙が晴れ、二人がいた場所の光景がはっきりと見てとれるようになる。
「………え?」
「これは……?」
宗谷とイストワールの二人は死んではいなかった、むしろ傷一つない状態だ。
しかも、驚く事に宗谷は完全変身のフルパワー状態になっている。
恐らく、イストワールが乱入したことで咄嗟にトリガーが作動して変身できたのだろう…。
先程までなかった首のマフラーが何よりの証拠だ。
攻撃に関しては彼女の加護の力を受ければあの程度の攻撃はたやすく相殺できる、それが“全てを乗り越え、先に進む力”を授かったシンシアの能力。
二人を包み込むようにして展開されている光のドームがそれを物語っている…。
(さしずめ、二人の持つ防御力を“防御壁”として変換し展開、更に自分の力を加えてあの攻撃を相殺したってところですかね……全くやることなす事、彼女らしいと言うか、変わらないと言うか……)
再び視線をシンシアのいる方に向けると………
「………」
当の彼女は自分の事を完全に敵視した目で睨みつけていた。
まあ、それも当然だろう…、不可抗力とは言え“リンカー”であり、彼女にとって最も重要な存在のイストワールを危うく傷つける所だったのだから。
流石にあの時は焦りを感じたが、一瞬見えた彼女の翼の一部が見た時は少し安心した。
(これ以上続けたら後がめんどくさそうですね……主にあの子が……今回はここまでですかね?)
いつまでたっても痛みはなかった、その上、目の前に割って入ってきたいーすんも無傷だった…。
何が何だか分からないまま、俺はすぐにいーすんの駆け寄り、問いただした。
「いーすん、何でまたあんな無茶したんだ!!」
それに対していーすんは広げていた背中の翅を仕舞い、申し訳なさそうに俯いた。
「……すみません、気が付いたら無我夢中で……」
「……勝手に死ぬような危ないまねはもうやめてくれ、でなきゃ……」
俺の脳裏にふと、あの時の光景が浮かび上がる…。
血だまりの中に倒れ、彼女の胸に付き立っている一本のナイフ………。
降りしきる雨の中、俺はそいつの名を叫び、隣にいる俺と同じ施設の仲間が泣きながら俺に背中にすがりつく……。
俺は必死に叫びながら尚もどくどくと流れる血に染まりながらも必死に彼女を助けようと叫び、手を握る…。
でも、非常にもその手に力が戻る事はなかった……。
次第に冷たくなっていくその手が俺の手から滑り落ちる……。
俺はその直後、絶望と悲しみを吐き出すように天に向かって、吠えた……。
………“恵理”を救う事は出来なかった………。
「………宗谷さん?」
「っ!?」
一瞬、目の前にいたいーすんの姿と恵理の姿が重なった気がして、俺は反射的に体を強張らせてしまった。
……何をしているんだ俺は……今はあの時の事を思い出しても仕方がないだろう。
俺は心を落ち着かせるように深く深呼吸してから、いーすんの頭を軽く指でつつく。
「とにかく、もう無茶はしないでくれ………心臓に悪いから…お願いだ」
「………わかりました」
そう言って頷いたいーすんに俺は軽い返事で答えて、話題を変えるように視線を俺達の前に突然に張られた光のバリヤーに移す。
「それにしてもすごいなこれ……いーすんってこんな魔法も使えたのか?」
「え? これ、宗谷さんのスキルじゃないんですか?」
「え? いや、俺何もしてないけど?」
どういう事だ? じゃあ、このバリヤーは一体…?
俺の頭に疑問符が浮かぶ中、ネプテューヌとノワールの二人がこちらに駆け寄って来た。
「二人とも、無事だったのね!」
「まったく、ひやひやしたわ……でも、良かった」
そう言って胸を撫で下ろす二人だが、まだ安心するのは早い…。
問題の奴はまだいるんだからな…。
俺は空にいるダークメフィストを睨みつけるように見る。
だが、それに対して奴は特に殺気や闘志を滲ませている様子もなくどこか落ち着いた態度で俺達の事を見下ろしていた。
一体どうしたんだ…? さっきまでとは打って変わって静かだ…。
すると奴は、ゆっくりと俺達から距離を離しどこかへと飛び立とうと移動を始めた。
まさか、あいつ逃げる気か!?
「おい待て! アイエフはどこにやった!!」
「あの茶髪の女は林の南側で寝かせてある、今頃お前の仲間が見つけている頃だろう…」
食って掛かった俺の問いにすんなりと答えたダークメフィストは徐々に飛行スピードを上げて旋回する。
「その姿になるには、高ぶるお前の闘志が必要だ……次に会う時までに精々使いこなせるようになっておくんだな!」
奴はそう言うと、闇に包まれてその姿をどこかへと消した。
ネプテューヌとノワールはその後を追いかけようとしたが、姿を消したことで追跡が出来なくなり大人しくその場は引き下がることとなった。
そう言えば、その姿って、どういうことだ?
俺はふと、自分の姿を確認するように見下ろすと、なんといつの間にか俺の首元に今まで巻かれていなかったマフラーが巻かれているじゃないか!
その姿と言うのはこれの事だろうか?
だとすると最後に言ったあいつの言葉……。
高ぶる闘志、それがこの力を引き出す最後のピースなのか?
多くの謎を残したまま、ダークメフィストとデスリュウジャーの姿をした何者かはどこかへ去って行った…。
しばらくして、南側を捜索していたネプギアとユニちゃん、そしてコンパさんからの連絡で無事にアイエフが発見された事が確認された。
意識を失ってはいたようだが、すぐに目覚めたので命に別条はないそうだ。
ただ、持っていたケータイを紛失したのが原因とかでキャラが代わっていたそうだ、生憎俺が確保していたケータイを先に向かったネプテューヌが届けたことでキャラが変わったアイエフを見る事は出来なかったが、意外な一面を知ったな…。
今度はそのキャラが変わったアイエフを見てみたいものだ。
そして、シンシアなのだが……。
彼女は俺達がピクニックに来ていた場所に一枚の置き手紙を残して先に帰ってしまった。
『今日はありがとう、おにぎり美味しかったです』
ただ一文そう書かれた手紙を残してどこかに去って行ったシンシア、いつか会う日は来るのだろうか?
なんやかんやのドタバタはあったが、この日はなんとか無事に終える事が出来た…。
だが、この騒動のすべてが終わったわけではない……。
たぶん、奴はまた俺の前に現れるだろう……いや、きっとそうだ……あいつは一体何者なんだ?
そして、俺達を奴の破壊光弾から守ったあのバリヤーは一体……。
多くの謎は、まだ残ったままだ……。
俺はこの日、ヒーローメモリー集めだけが俺のやるべき事じゃないのを何となく理解しました…。
夕暮れに染まるプラネテューヌから少し離れた古びた遺跡型ダンジョン、ここを元の姿に戻ったトランスと、シンシアが二人並んで歩いていた。
ジャージの前を開けて状態で堂々と歩くトランスに対して、シンシアは何か言いたげに俯いたまま歩き続ける。
「………許してもらえるとは思ってませんが………一応謝っといた方がいいですか?」
この妙に重苦しい空気に耐えきれなくなったのか、トランスがシンシアに聞くが、シンシアは特に返事を返すでもなくただ首を振った。
「別に怒ってる訳じゃない……あれはあの子がした事、悪いのはライラじゃない」
「……ご理解していただけるのはありがたいのですが……」
トランスはそう言うと、その場に姿勢を低くするためにしゃがみ、シンシアの顔を覗き込む。
「怒って当然だと思いますよ? 誰だって大切な“娘”が危ない目にあったのを見たらそう思って当然です」
トランスはただそう言うと、再び立ち上がり歩を進める。
シンシアはその言葉に答えず、ただ黙りその場に立ち尽くす。
娘………果たしてそう言えるのだろうか?
自分が彼女を創りだしたのは確かだ、でも育てた訳でも、お腹を痛めて産んだ訳でもない…。
だがあの時は、本当に慌てた…。
自分が極力出さないようにしていた自分の本来の力を発動してまで彼女を守ろうと思った。
なぜなのかは理解できない、ただ、守りたかったのだ…。
「私は………」
「あなたはあなた、彼女は彼女、でも彼女がいるのはあなたのおかげ、それに今日のやり取りを見てるだけでも十分親子の様にも見えましたよ? まあ、服をめくり上げたのは別ですが…」
「………見てたんだ」
「ええ、もちろん」
監視がトランスの仕事とはいえ、あまり見られるのはいい気分ではない。
それに親子と言っても、自分はそれがどういうものなのか分からない…。
彼と、宗谷と同じように…。
トランスはそれ以上は何も言わずに、遺跡の奥にある開けた空間に出ると右手上げてフィンガースナップを鳴らし、その場に空間の裂け目を創りだす。
これは自分たちが今の本拠としている場所へのゲートだ。
「さあ、帰りますよ? ………“エヴォリューション”」
今の自分の名を呼ばれたシンシアは少しむっとした表情を浮かべ、不満そうに頬を少し膨らませた。
「………私は、シンシア!」
「あーはいはい、分かりましたよ………行きますよ、シンシア?」
「………ぅ」(こくり
シンシアは頷いてそのゲートの中に飛び込む。
(私は………シンシア………今はそうじゃなくなったけど………みんなと同じ、“女神だった”人の一人………)
自分の存在を再確認するように、彼女は…シンシアは空間の中を進む。
隣にいる自分と同じかつて女神だったライラと共に、自分たちの新たな役目を果たし、彼女達は一度自分たちの今の居場所へと戻った…。
いかがでしたか?
ということで、少し判明しましたがシンシア達の正体は大昔に存在した女神だったのです。
そろそろそのあたりのことを明らかにしておいた方が後々の展開に繋げやすいと思いまして(汗
そして、重大発表!
みなさんのおかげで、晴れてこの“ネプおば”こと超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!のお気に入り件数が100件を超えました!!
これもひとえにこの小説を読んでいただいている皆さんのおかげです!
と言うわけでお気に入り100件を記念してのこの企画を始動します。
第一回、ネプシリーズコラボイベント!
と言うわけで、次回このネプおばとpixivで活動中の“ドラグアロー”さんが執筆しているネプシリーズの二次創作、“神次元ゲイムネプテューヌVA”の主人公、ヒロム君とのコラボストーリをしたいと思います!
ネプおば本編にも関わってくるお話なのでその辺も含めて、お楽しみにしててください!
それでは次回、お楽しみに!