超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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どうも、白宇宙です!

今回はpixivで活動中の“ドラグアロー”さんとのコラボストーリー編です!
今回のストーリーは前、中、後の三部構成で行きたいと思います。


初めてのコラボ企画でうまくできたか不安ですが、どうかお楽しみください!

それでは、どうぞ…


コラボステージ その名はクエストハンター“ヒロム”編
Collabo stage 俺と異世界の勇者 (前篇)


マグマが燃えたぎる地底シェルター型ダンジョンの最下層、体感温度が地上よりも明らかに熱いその場所で、一人の青年が名状しがたい見るもおぞましいモンスターと対峙していた。

 

男性にしては長い茶髪と特徴的なバックルのベルトを巻いた黒いデニムズボンを履き、赤いシャツの上に白いコートを羽織った青年は両手に白く煌めく二振りの剣を構え、モンスターを睨みつける。

対するモンスターはおどろおどろしい色をした無数の触手を忙しなく蠢かせて、青年に向かって触手の中枢にある本体が、かなり特徴のある鳴き声を上げて今にも襲いかかろうとしている。

 

「ったく、新種のモンスターが出たから退治してくれって内容のクエストが来たから覚悟はしてきたが……まさかこんなキモいモンスターとは………貧乏くじ引いたかなぁ…」

 

ぶつぶつと愚痴りながら深くため息をついた青年。

 

彼の二つ名は“クエストハンター”。

 

ギルドのクエストが無くなってしまうほどの八面六臂の大活躍をした事によってつけられたあだ名である。

彼は今日もプラネテューヌのギルドに更新されたクエストを受注し、それら全てを攻略し、残った最後のクエストに赴き、今この状態に陥ったのである。

 

 

そんな青年、“ヒロム”の事など露知らず……。

 

 

モンスターの触手が彼目掛けて襲いかかり始めた!

 

「おっと!!」

 

殺到する触手の間を潜り抜け、受け身を取りながら回避したヒロムはそのまま止まることなく足を動かし続けモンスターの周りを走り続ける。

当然、見逃すはずもなくモンスターは触手でヒロムを捕らえようとする。

 

一本の触手がヒロムの眼前に現れ、彼の体を捕らえようと襲いかかる。

だが、

 

「せりゃぁああ!!」

 

右手に握りしめた剣、“ツインガンブレード”の片方を閃かせ、目前の触手を容赦なく斬り飛ばした。

斬られた触手は痛がるように動くと後ろの方に引っ込んで行った。

しかし、他の触手は休む事を知らないように次々とヒロムに接近する。

 

一本一本切って行ってもキリがないと判断したヒロムはただ走り続ける事をやめて横に向かって跳躍した。

 

その先にあるのはそびえ立つ巨大な岩。

彼はそれに向かって自分の身体能力に物を言わせて飛び付き、空中で体を翻してその岩を更に蹴って反転ジャンプ、彼を追いかけてきた無数の触手の上を飛び越した!

 

「迅旋風!!」

 

そのまま竜巻の如く己を軸にして回転、両手の二刀の刃で自分が飛び越した触手の群れを纏めて切り刻む!

 

「男の触手プレイなんて、誰得だよ?」

 

追いかけてきた触手を全て斬ったヒロムは地面に綺麗に着地するとすぐさま標的をモンスターの本体へと変え、再び走り出す。

モンスターはそれに気付き、彼を寄せ付けまいと触手をまた数本彼に向けて殺到させる。

 

だが、ヒロムは殺到する触手をツインガンブレードを巧みに操り、次々と斬り飛ばしていく。

 

正面から来た一本は低く屈んでから左の剣を跳ね上げて斬り、追い撃ちで来たもう一本を右の剣を横薙ぎに振るって斬り、さらに二本同時に襲いかかって来た触手を両手の剣でⅩを描くようにして斬り伏せると、そのまま勢いをつけてジャンプし前宙を切り、そのまま体重を乗せて触手を踏みつけ、剣を突き立てて更に別の二本を剣で切り刻む!

 

常人を超えた反応速度と、身体能力を最大限に生かし、モンスターの攻撃を寄せ付けない彼を恐れてか、一瞬触手たちの動きが鈍くなった。

 

(今だっ!)

 

チャンスと見たヒロムは己の中にある魔力を剣先に込め、本体にダメージを与えるべく、魔法を生成する。

白い魔法陣が彼の足もとに浮かび上がり、ヒロムの眼前に大型の剣の形をした魔力の塊が生成される。

 

「行け、シューティングブレイド!!」

 

ツインガンブレードを付き出すようにして叫び、魔力によって生成された魔法剣が投擲され凄まじい勢いで触手モンスターに肉薄する。

 

しかし、モンスターは自分の周りにある触手をいくつも絡め、本体を守るようにして触手の壁を作る。

それにより、シューティングブレイドはその触手の壁に突き刺さり停止、本体にはダメージを与えられなかった。

 

「ちっ! なら、直接斬る!!」

 

ヒロムはめげることなく地を蹴り、本体に向かって走り出す。

本体を覆い隠す触手の壁を突破するために、己の持つ連続剣撃を持ってして全てを斬り裂こうと考えたのだ。

 

勢い良く触手の壁の前に走り込んだヒロムはツインガンブレードを強く握りしめて、触手の壁に最初の一撃を振り下ろす!

 

「紅蓮螺旋剣舞!!」

 

技の名を言い放ち、最初の一撃をスタートの合図にして、次々と刃を触手の壁に叩きこむ。

 

 

――――斬、斬、斬、斬斬、斬斬斬、斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬!!

 

 

どんどんとスピードが上がり剣が舞うように閃き、それに合わせて触手の切れ端が次々と宙を舞い、その壁の薄さを徐々にしかし確実にすり減らしていく。

最後の一撃を振るった頃には、もうモンスターの本体が見えていた。

驚くように目を見開いたモンスターの目がヒロムを見つめている。

 

 

「これで、決まりだ!!」

 

 

止めの一刺しをそのモンスターの目に突き立てようとした………

 

 

 

その時だった、

 

 

 

一瞬、ヒロムとモンスターを包み込むように強い光が発生したのだ。

 

「なっ!?」

 

それがなんなのかを理解する前に、ヒロム、そしてモンスターにふわりとした浮遊感が襲いかかり、やがて………

 

 

 

二つの存在がまるで霧の如く、消えた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………むぅ」

 

とある一室、と言ってもここは彼女、ロボティックの自室兼専用のドッグである。

ここでこの部屋の主、ロボティックが目の前に置いてある重厚な機械を不満げに見上げつつ、小さく肩をすくめた。

すぐそばには彼女のお付きを務めている彼女が作った二体のロボ、ギガントールとSARUTOBIの二機がその様子を見守っている。

 

するとそこに普段着ているはずの黒いコートを脱ぎ、普段着に着換えたエネミーが彼女の部屋を訪れた。

 

「ロボティック? なんや変な音してたけど、どないしたん?」

 

「………」

 

「ん? なんや?」

 

入って来た彼女をじっと見つめるロボティック。

 

 

ちなみに彼女の服装は黒いコートに包まれていたので分からなかったが………なんと言うか、痛々しい厨二センスばりばりのものになっていた。

 

 

黒色のシャツには白の髑髏のプリントに文字のロゴデザインが施されており、書かれている文章の内容、加えて首元には十字架デザインのネックレスというコンビネーションが加わってかなり厨二臭い。

ズボンはホットパンツなのだが…これまたチェーンのアクセサリーが腰回りに施されている。

足もとにあるのは妙に先が上に尖っているデザインのブーツ、これまた黒で必要性があるのか分からないがベルトの様な装飾が施されている。

極めつけは手元のオープンフィンガーグローブ、これは言わずもがな厨二病を患った人なら誰しも憧れた物であろう………。

 

 

まあ、要約するとかなりの厨二病患者の服装センスだった…。

 

 

 

「………SARUTOBI、ブラックコーヒー………」

 

『……御意』

 

「服装か!? 服装見て選んだやろそれ!!」

 

 

気を使ったのかは知らないが、ロボティックが出そうとした飲み物に全力で抗議するエネミー。

それもそのはず、既に彼女はそれらの厨二的な物とは縁を切った………つもりなのだ。

 

 

「はぁ………だから嫌やったんや、コート洗濯するの……それなのに、いつの間にかレヴォリューションが洗濯に出し取るし……」

 

「………普段着で、その服装はどうかと思う」

 

「………でも、かっこええやん」

 

「やっぱり、治ってない………ブラックコーヒーで」

 

『………御意』

 

「ココア! サルトビはん断じてココア!! もう好きでもない苦いコーヒーを無理して飲むのはごめんやねん!!」

 

 

必死になってSARUTOBIにココアを所望するエネミー。

 

これでも、昔と比べたら大分改善されたのはロボティックも理解している。 今のようにブラックコーヒーを頼まない事や、今の彼女の口調を見る限りはだいぶましになったと言えるだろう。

服装はまだ抜けていないようだが……まあ、隠すようにコートを着るようにしているらしいが……それでもまだその下にこの類の服装を着ている辺り、完全完治とは行かないだろう……。

なんとも中途半端である……。

 

「………わかった、から……これでも見て、落ち着いて」

 

そう言って彼女はギガントールの前に立ち、その赤く巨大な腹部のあたりの装甲を二回くらい叩く。

すると、丁度お腹のあたりに液晶モニターが出てきた。

ネットにも繋がるし、ワンセグでテレビも見られる優れ物、しかも高画質、至れり尽くせりの機能である。

 

そして、エネミーがきょとんとしながらそのモニターを見つめる中、ロボティックは躊躇することなくモニターにある物を映し出した。

 

 

 

 

 

『口の減らない亡者どもが………俺の闇夜の牙の前に、ひれ伏せ!!』

 

 

 

 

 

「………いぃぃぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!」

 

瞬間、その画面を目を見ていたエネミーが絶叫し、その場に倒れ込んだ。

さらに両手で顔を覆い隠してごろごろとその場をすごい勢いで転げ回る。

 

映し出されていたのは彼女がまさに“現役”だったころの映像だ。

今と変わらない服装で口調も変えて剣を構えるエネミーの姿はまさにキャラに入っていると言っていいが、それがかなり痛い。 さらに言えば口調も“俺”にしているのも踏まえると余計に痛々しい。

 

「消して!消して消して消して!! ほんまお願い! 消して! リライトしてぇ!!」

 

『………でも、この後、亡者どもとの激戦が』

 

「恥ずかしいからほんまに消してくれんかなぁ!! でないと、私この場で首吊って死ぬで!?」

 

「………ギガントール、消して」

 

『……O.K.』

 

羞恥のあまり自殺宣言するエネミー、さすがにそれは困ると判断したロボティックはたまの楽しみであるエネミー弄りを切り上げることにした。

弄りの餌食となったエネミーは活動を停止し、映像で自分で言っていた言葉とは逆に地面に自分がひれ伏した状態になっている。

 

「恥ずかしい死にたい……あ、私簡単に死ねない……ならせめてあの時の記憶を消したい……」

 

「………落ち着いて、はいココア」

 

そんな彼女を労わってのつもりか、SARUTOBIがいれたココアを差し出すロボティック。

涙目で見上げたエネミーがマグカップを見るとそっと起き上り持ち手に指を通して一口飲む。

優しい甘さが口に広がり、ほっと一息つく。

 

「………私、これ飲んだらあの日の記憶を消すんや……」

 

「それは、失敗………というか、死亡フラグ………」

 

ただそれだけ言い残してロボティックはさっき見上げていた機械の前に歩み寄る。

 

「………そう言えば、それは?」

 

「………次元直列移送、を目的とした、大型次元座標演算処理システム」

 

「………要約すると?」

 

「………別のゲイムギョウ界と、このゲイムギョウ界を、繋げるためのマシン」

 

その言葉を聞いた時、エネミーは驚いたように目を見開いた。

このマシンは、今後、彼女たちが遂行しようとしている“最初の決戦”に必要になるであろうマシンなのだ。

まだ完成にはいたっていないのでこのマシンの製作はロボティックが進めていたのだ…。

 

しかし、まさか彼女が本当に完成させるとは思ってもみなかった…。

 

 

 

「遂に完成したんか?」

 

「………まだ、してない……“未完成”」

 

 

 

落ち込むように俯いたロボティック、なら先程自分が聞いた電撃の様な音は試運転によるものなのだろうかとエネミーは判断した。

でも、全体的にはもうできているようにも見えるが、後は何が足りないのだろうか?

 

「………別の世界にゲートを開いて、そこにある物をこちらに引き寄せることには…成功………だけど、そのゲートを維持する事は出来ない、だから……未完成」

 

「もう、実験はしたんか?」

 

「………適当に座標を打ち込んで、出来た………」

 

そう説明したロボティックがマシンのコンソールを出して素早く操作し、画面に何かを表示した。

すると、そこには同じ反応を示す二つの物体がこちらの世界に来たと言う内容のデータ表示されていた。

 

「……既に確認済み……」

 

「ふぅん……で、この反応はこのままこっちの世界に留まるんか?」

 

「それは、分からない……時間がくれば、消えると思うけど………まだ未確定」

 

ロボティックがそう言うと、エネミーは考えるようにモニターを見つめながらココアをもう一口飲んだ。

 

「理想としては、こっちと別の世界を行ったり来たりできるゲートが欲しいんやけどなぁ……」

 

「あと、もう少し………調整が必要」

 

一体彼女達はこのマシンを完成させ、何を目論むのか……。

“最初の決戦”とは………一体?

 

「………所でこの二つの反応、このままにしといてええの?」

 

「………いいんじゃ、ない?」

 

「………丸投げかいな」

 

「……ご都合展開、というのがある」

 

「なんやそら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

所は変わってプラネテューヌの郊外、そこに一つの遺跡のような場所があった。

ここは最近、ギルドの調査で新たに発見したダンジョンだ。

しかし、このダンジョンで何やら奇妙な反応があったとの報告が教会に入った。

 

そこでその一報を受けたプラネテューヌ教会が、実際にその遺跡を調査すると言う事になった。

 

そして、今、新たに発見された遺跡に四人の人物が訪れた…。

 

「えっと……ここが“サンチピンチ遺跡”か……」

 

「なんでもこの遺跡の中から奇妙な反応が確認されたそうです」

 

「それを私達が調べてなんなのか調査するんですね?」

 

「まあ、私達の手にかかればすぐに終わるよね~、早く帰ってこんぱのプリン食べよ~っと」

 

その四人とは……我らが萌えの正義と燃える展開をお約束する異世界から来たオタク青年、天条宗谷。

 

類まれなる知性を持つが、大体調べるのに三日かかるのがたまにキズの教祖、イストワール。

 

しっかり者で姉思い、でも普段は扱いが悪いと言われこの作品でもそんなにいい出番がない女神候補生、ネプギア。

 

そして、このプラネテューヌの女神でありながら、ろくに仕事していないにもかかわらずなぜか彼女を信仰する人がいる女神、ネプテューヌ。

 

この四人が今、謎の遺跡に秘められた秘密の調査に挑む!

果たしてどんな苦難と困難が待ち受けているのだろうか!

彼らの運命やいかに!?

 

 

 

「………なんだ、今のナレーションみたいなの?」

 

「………なぜか妙に気に障る内容の紹介をされたような……」

 

「気にしてるのに………気にしてたのに………」

 

「ちょっと、いくら事実を教えるのがいい事でも言っていいのと悪いのがあるよ! ネプギアなんかなにげに気にしてたのに、今にも泣きそうじゃん!」

 

 

 

………それぞれの意思を胸に、彼ら四人は遺跡の謎に挑む!!

 

 

 

「ねぷ!? 無視した!? 今私の苦情無視したよね! ねえ!!」

 

「ネプテューヌ、なんで空に向かって叫んでんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遺跡の前で何かしらのいざこざはあったが、彼らは気にすることなく遺跡の中に足を踏み入れた。

中はかなり鉾っぽく、所々がひび割れて如何にもな雰囲気を感じさせる。

 

壁には蔦が絡み、足元には草やコケが生えていることからかなり時間が経過しているのが見て取れる。

 

「……薄気味悪いなぁ」

 

「お姉ちゃん大丈夫? 足元気をつけてね?」

 

「平気だよ~、こんな所で転ぶほど私はやわに出来ていないよ!」

 

「前に宗谷さんと私で調査した神殿以上ですね…」

 

辺りを見渡しつつ歩を進める一行。

しかし、ここで宗谷がある事に気付いた。

 

「……おかしいな、モンスターが一匹もいない?」

 

そう、遺跡の中に潜入してもう数十分は経過すると言うのにまだモンスターとのエンカウントがないのだ。

周りを見てもそれらしい影が一つも見えない、隠れていると言うには不気味なまでに静かすぎる。

 

流石におかしいと思った宗谷は辺りをきょろきょろと見渡しつつ歩を進める。

 

 

「…あれ? なんだろうこれ?」

 

 

すると、彼の後ろを歩いていたネプギアが何かを見つけそれを指で押した。

それを聞いた宗谷が反射的に後ろを向く。

 

―――カチッ

 

と言う音と共に、ネプギアが円形に出っ張ったそれを指で押してしまった。

 

「………ネプギア、何でそれを押した?」

 

「へ? いや……特に理由は」

 

ない、と言おうとした瞬間だった。

 

―――ガコンッ!

 

突然前を歩いていた宗谷とネプギアの足もとだけに穴が開いた…。

 

 

「………やっぱりトラップだったぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああぁぁぁぁぁ………!」

 

「きゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………!」

 

 

「ちょ、ソウヤ!? ネプギア!?」

 

万有引力の法則に従い、足場がなくなったことで宗谷とネプギアの二人は真っ逆さまに穴の中に落ちて行ってしまった。

まさかこんなトラップがあるとは露知らず、ネプテューヌとイストワールは呆然と二人が落ちて行った穴を見つめる。

 

「い、今すぐ助けに行った方がいいのでは!?」

 

「あー…大丈夫じゃないかな? 落とし穴トラップで下に落ちても上のステージに戻れるっていう場合もあるし」

 

「そんな無責任な!?」

 

「だって竹槍とかあるなら流石にだけど、そんな風には見えなかったよ?」

 

何故か自信ありげにそう言うネプテューヌに疑わしい眼を向けるイストワール、しかしこちらも穴に落ちるわけにはいかないのは彼女も分かっている。

仕方なくここはネプテューヌの意見を信じる方がいいのだろうと思ったイストワールは二人が落ちて行った穴をしばらく見つめる。

 

 

 

「………あ、今ドシンって言う音聞こえたよ?」

 

「………本当ですか?」

 

 

 

 

 

 

二組に分断された一行、果たして宗谷とネプギアは無事なのか今の二人には分からないが今は進むしか選択肢はない。

二人が無事であることを祈ってイストワールとネプテューヌの二人は更に遺跡の奥の方へと進むことにした。 もちろんトラップがないか気をつけながら。

 

「それにしても何でこの遺跡、サンチピンチ遺跡って名前なの?」

 

ふとネプテューヌが隣を歩くイストワールにそう問いかけた。

確かに、ピンチと言う言葉が名前に付いている辺り気になる所ではある、冗談でも縁起がいいとは言えないが…。

 

「なんでも、最初このダンジョンを見つけた時は言葉で言い表せないようなおぞましいモンスターがたくさんいたそうです、それでSAN値ががりがり削られそうだという第一発見者の言葉からこの名前が付いたとか…」

 

「へ~、邪神様でもいたのかな?」

 

かなりマニアックな言葉が出てきたが、そのあたりは置いておくとしよう…。

この時イストワールは最初に宗谷も感じていた違和感を気にし始めていた。

 

最初に発見された時は見たこともない名状しがたいモンスターがうようよいたらしいのに、今はそれが影一つ見当たらない。

まるですべてが死に絶えたかのように思えるほどだ。

しかし、よくよく考えれば第一発見者がこの遺跡を発見した時の興奮のあまり話を盛ったと言う可能性もあるかもしれない、だとしたら迷惑な話なのだが…。

 

イストワールが自分なりの考えを纏めるために俯きながら歩を進めていると……。

 

「………ねえ、いーすん」

 

「はい? ネプテューヌさん、どうかしましたか?」

 

後ろを歩くネプテューヌが前を歩くイストワールに声をかけた。

彼女の声に釣られ後ろを振り向いたイストワール、当のネプテューヌは目線を自分よりも上の方に向けている。

 

「さっきの話にあった、おぞましいモンスターって……こんな感じ?」

 

そう言ってネプテューヌは丁度イストワールの上あたりを指差した。

イストワールはそれに従って視線を前に移しゆっくりと上を見上げるように視線を向ける。

 

 

そこには、妙にぬめり気のある粘液を纏った、うねうねと動くおどろおどろしい色合いの数十本の触手がこちらを見下ろすように蠢いていた。

 

 

テラテラと怪しく光る粘液を滴らせつつ、イストワールとネプテューヌの前に現れた触手はゆらゆらと揺れながらこちらの様子を窺っているようにも見える。

 

「………たぶん、そうなんじゃないでしょうか?」

 

「………思った以上にキモいね」

 

「………そうですね」

 

どこから来たのだろうかと言う考えが浮かべながらも冷静にやり取りを交わす二人、そんな二人の思考がある答えを唐突に、それでいて咄嗟に浮かび上がらせた。

 

 

逃げろ、と………

 

 

「……逃げるが勝ちだよ!!」

 

「お、置いて行かないでくださいぃ!!」

 

 

考えるや否や、すぐさま振り返り脱兎のごとく走り出した二人、戦うよりも先に感じたこの異様な不快感に忠実に従った二人は一目散に触手から逃げ出した。

だが、そんな二人の行動を見ていた触手は当然のようにその後を追いかけ始めた。

無数に伸びる触手の群れが二人を捕まえようとうねうね動きながら迫る。

 

「うわぁ、やっばぁ……いーすん速く走って!」

 

「そ、そう言われても…私、走るのはまだ得意じゃ…」

 

身体能力が高いネプテューヌに対し、イストワールはそれほど走るのが得意じゃない、そのためこの二人の距離は次第に離れる、そのため触手が遅れているイストワールに狙いを定めるのは当然の摂理だった。

 

「きゃっ……!」

 

遂に二人を追いかける触手の内の一本がイストワールの足に絡みつく。

足を取られ前のめりに転倒したイストワールに後続の触手の群れが迫りくる……。

 

「てやぁぁぁぁあああああ!!」

 

しかし、その群れを彼女の危機を察し、駆けつけたネプテューヌが刀で切り伏せて追い払った。

すぐさまイストワールの足に絡みついていた触手も切り捨て、なんとか彼女を立ち上がらせる。

 

「いーすん大丈夫?」

 

「は、はい…なんとか…」

 

「そっか、じゃあ急いでここから……っ!」

 

彼女の手を取り再び走り出そうとした直後、ネプテューヌが手に持っていた刀に触手が纏わりつき、その手から刀を奪い取ってしまった。

武器を手放してしまったネプテューヌ、最悪な事に他の触手が彼女の腕に巻き付き始め彼女の体を余裕で持ち上げられてしまった。

 

「ねぷぅぅぅ!? 離せぇぇぇぇぇ! この触手のお化けぇぇぇええ!」

 

「ネプテューヌさん! ひゃっ!?」

 

さらにはイストワールの足もとにまた別の触手が巻き付き更には彼女の体にもうねうねと動きながら巻き付き始めた。

 

「ちょ、これ服の中に入って来たんだけど!? ひぃぃ! ぬめぬめするぅ!」

 

「やっ、ぅ……く、苦しいっ……」

 

二人の体を触手が這いまわり、締め上げるように、体を嬲るように動き始める。

 

「ふぁぁっ!? ちょ、ぱ、パンツの中にまで……ひぃぅっ! やぁっ、そんな、とこに…巻きついちゃだめだよ…R指定になっちゃうよぉ…!」

 

「ね、ネプテューヌ……さ、ん……んっ! …はぁ、はぁ…やっ! ふあぁぁ…」

 

服の中、果てには下着の中にまで入り込んだ触手がまるで彼女たちの体を調べるかのごとく動き、彼女達は不快な感覚に身を捩じらせる、振り払おうにも空中では力が入らずうまく払う事も出来ない。

 

すると、イストワールの目の前に黄色い縞模様をした一本の触手が現れた。

それは一番最初に彼女の服の中に入り込んできた触手だ。

ゆっくりと、しかし着実に彼女の顔に近づいて行く触手にイストワールは嫌悪感を覚える。

だが同時に、彼女の体に妙な感覚が走った。

 

(か、体が……痺れて……)

 

この時初めて知った、彼女の体が麻痺した状態に陥っている事に…。

一体なぜなのかは知らないが恐らくこの触手が服の中に入り込んで直接体に巻き付いた時からだろう。

狙ったかのように触手がピクリと動き、その先端がゆっくりと彼女の口元にまで迫って来た…。

抵抗するために必死に口を閉じたイストワール…。

 

 

 

(……誰か、助けて! ………宗谷さん………宗谷さん!)

 

 

 

祈るように、願うように彼女は彼の名を思い浮かべた。

 

しかし、非常にも触手はイストワールの口元に触れる一歩手前まで先端を近づけさせる。

 

 

 

 

 

その時、

 

 

 

彼女の願いに答えるように、どこからか勢いのいい足音が聞こえてきた…。

 

 

 

 

「スターダスト………エクストリーム!!」

 

 

 

 

何者かの声と共に、触手の群れの中に飛び込んできたその影が両手に持つ二本の光を縦横無尽に閃かせて彼女達の体に巻きついていた触手が細切れに切り刻んだ。

 

切り刻まれた触手の根元はまるで逃げかえるようにどこかへと引っ込んで行く。

 

体が自由になり、すとん、と地面に落ちたイストワールの目の前にその影の正体は降り立った。

 

(宗谷さん? ………違う、宗谷さんじゃない)

 

自分が名を呼んだ彼とは違い、対照的な白いコートを身に纏い、長めの茶髪をした赤い目の青年は両手に持っていた剣を収めて自分の方に振り向いた。

 

「間に合ったみたいだな、大丈夫……」

 

「……ねぷぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 

「え?」

 

ちなみに、イストワールとは違ってネプテューヌは彼女よりも上の位置に持ち上げられていたため、当然落ちるタイミングは上にいたネプテューヌの方が遅い。

そのため、

 

 

「うぎゃあああああああ!?」

 

 

丁度その下に降りた彼の上に落ちてくるのは当然の摂理である。

 

 

「いたたた……あぅぅ、お尻打っちゃったぁ……ふひゃっ!?」

 

腰を強打したのか痛がるネプテューヌ、すると突然彼女は自分のお尻のあたりが妙にもぞもぞする感覚を感じた。

 

「ふぐっ…ふぐぐぅ~~!!」

 

ふと視線を自分の下に向けると、仰向けに倒れた誰かの上に自分がのしかかっている体勢になっているのがわかった。

ちなみにその誰かの顔は自分のスカートの中、つまり自分のお尻で下敷きにしてしまっているのに気づいたネプテューヌはスカートを抑えながら慌ててその人物の上から飛びのいた。

 

「ちょ、触手プレイの次はいきなりセクハラ!? さすがにこれはどうかと思うよ! ただエロいイベントがあればいいってもんじゃないよ!?」

 

「なに訳分からんこと言ってんだよネプ子! 急に人の上に落ちてくるなよ!」

 

「へ? なんで私のニックネーム知ってるの? それ、あいちゃんしか使わないのに……」

 

起き上って自分に抗議してきた青年を不思議そうに見つめるネプテューヌ、それに対して青年は訝しげな表情を浮かべて首を傾けた。

 

「は? どうしたネプ子? プリンの食べすぎで頭までプリン並みの柔らかさになったのか?」

 

「ねぷっ!? なんか知んないけど初対面の人にバカにされた!?」

 

「………初対面?」

 

再び頭に疑問符を浮かべる青年、ふと彼は視線を自分の隣に座り込んでいるイストワールに向けた。

すると、彼女は苦しそうな表情を浮かべて息を荒げていた。

それに気付いた青年は彼女にすぐさま駆け寄ってイストワールの肩に手を置き彼女の安否を気遣い声をかける。

 

「おい、大丈夫か……って、イースン!? え…なんでこんなに体が大きく!?」

 

「いーすんの事も知ってるの? ていうか、ちょっと前からいーすんはこのサイズだよ?」

 

「マジで!? ………どうなってんだ一体?」

 

ネプテューヌの言葉に更に不思議そうな表情を浮かべる青年、だが今は目前の彼女が最優先と判断し彼女の体を上から下と確認するように見る。

 

「………これは麻痺毒のある触手にやられたんだな? ………よし、エスティナで治療を………」

 

そう言って青年がイストワールの体に手を伸ばした時だった……。

 

 

 

「はぁ……やっと……やっと、出られ………た?」

 

 

 

近くの通路の奥から疲労困憊と言いたげに、変身状態になった宗谷が現れた。

彼は目の前にいる三人に気付くと歩みを止めて、じっと三人の事を見つめた。

 

息を荒くして、着崩した衣服を着たイストワール。

 

そんな彼女の体に手を伸ばす白いコートを着た、見たこともない青年。

 

隣には同じく着崩れた衣服を着たネプテューヌがスカートを抑えた状態で座り込んでいる。

 

これらの光景を目にした宗谷は、ある答えを己の中で導き出した。

 

宗谷は静かに赤剣の切っ先をイストワールに手を伸ばした状態のままこちらを見ている青年に向ける。

 

 

 

「………いーすんから離れろ、 この強姦野郎!」

 

「………はあ!?」

 

 

 

 

 

 

 

これが、異世界から来た青年と別のゲイムギョウ界から来た勇者の出会い………。

 




いかがでしたでしょうか?

次回、中編。
勘違いをしてしまった宗谷と、突然自分がいたゲイムギョウ界とは違うゲイムギョウ界に来てしまったヒロム君が大暴れ!?


次回をお楽しみください、それでは!
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