超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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どうも、白宇宙です。

さて、今回はアニメの第一の山場、そのお話の第一の架橋……

女神たちに迫る、魔の手…。

その時宗谷は…

それではお楽しみください、どうぞ


stage,39 俺と絶望の聖域

 

 

モンスターが多数出現したという、ズーネ地区の離れ小島に向かったネプテューヌたち女神の四人。

彼女たちは女神化によって展開した背中の飛行ユニットで、暗闇に包まれた海の上の飛び続ける。

目を凝らしてもよく見えないほど夜の海は暗いと言うが、雲によってたまに隠れるものの、その間から覗く僅かな月明かりが海の上をぼんやりと照らし出した。

 

「…見えてきましたわよ」

 

ベールが女神化した姿、グリーンハートがいち早く海の上に浮かぶ小さな島を見つけた。

今は引き潮の時間帯になり、陸続きとなっているその島こそ、ズーネ地区の廃棄物処理場の離れ小島である。

そして、マシン系モンスターの特徴である赤い光点がちらちらと瞬いているのが見て取れた。

報告にあった通り、一つや二つではなくおびただしい数である。 数十匹では利かないかもしれない

 

「けっ……うじゃうじゃいやがる」

 

「でも、数が多いだけでたいしたことのない奴らばっかじゃない」

 

悪態をつくブランに対し、面白がっている様子のノワール。

勝ち気な性格が強くなった彼女にはこの数はどうということはないらしい

 

「………この程度なら、宗谷がいなくても……」

 

「……お前、本当は宗谷を置いてきたの気にしてんのか?」

 

「な、勘違いしないでよ! あいつに頼ってばっかじゃ女神としての威厳にかかわるし、それに……あいつには………」

 

その時、ノワールの脳裏に船の上でイストワールと楽しそうに談笑していた宗谷の姿が浮かび上がった。

その途端、の心中に何やらむかむかとした苛立ちが募り始めた。

 

「………あ~~!! もう!! とにかく早く片付けるわよ!」

 

「………素直じゃないですわね、ノワールは」

 

やれやれと言いたげに首を振るグリーンハートに、ノワールと同様にどこか不機嫌そうなホワイトハート、その三人を遠巻きに見ていたパープルハートが彼女たちに声をかけた。

 

「おしゃべりもそこまでにしておきましょう? 奴らが街に渡らないように、ここで早めに――—っ!」

 

その時だった。

島の地面を割り砕き、地中からほかのモンスターよりも遥かに巨大なモンスターが現れた。

四足の機械の足を持ち、二つの巨大な砲身を持つそのモンスターは、上位危険種に分類されている、“九十九式戦車”である。

 

突然の上位危険種の登場に驚き、空中で止まった女神達。

九十九式戦車は待っていたかのように女神たちに照準を合わせると、四機同時に砲撃を開始した。

 

しかし、女神たちは最初の一撃を回避した後それぞれの武器を呼び出し、すぐさま攻撃に対応する。

地上から放たれる無数の砲撃を、刀で、剣で、戦斧で、槍で弾き飛ばす。

 

「あのデカブツが真打か!」

 

「敵に不足なしですわね?」

 

「お誂え向きに一人一体……競争ね!」

 

「抜け駆けはさせねぇ! こっちだってムカついてたんだ!」

 

歯ごたえの有りそうなモンスターを前に気分を良くしたのか、三人の女神たちはブラックハートを先頭にやる気満々で突撃していった。

 

「三人とも待って! ここはみんなで一体ずつ倒していくのがセオリーじゃ…」

 

「……腰抜けのセオリーね?」

 

ただ一人出遅れ、三人に注意を促したパープルハートだったが、三人は聞く耳を持たず島に一直線に向かっていく。

 

「……まったく、変身するとみんな妙に強気なんだから……」

 

女神化することによって性格に若干の変化が現れる彼女たちの背中を呆れ気味に見つめるパープルハート、しかし、そんな彼女も変身によって正確に急激な変化がみられる。

三人と違って、冷静な大人な女性へと変身するネプテューヌ……。

 

 

「まあ、私もだけど!」

 

 

しかし、根っこの部分は変わらないのだ。

三人と同じように勝ち気な笑みを浮かべた彼女は足元に展開した光の足場を蹴り、島へと突撃した。

 

 

 

 

 

 

 

一方、離れ小島と陸続きになった海岸では、島に向かうことを決意したネプギア、アイエフ、宗谷、そして、イストワールの四人が二台のバイクに乗ってまっすぐに小島に向かっていた。

 

「いい、ネプギア? 絶対に無理はしないで……少しでも危険を感じたら、撤退だからね!」

 

「うん、ありがとう…アイエフさん……宗谷さんも!」

 

「ああ!」

 

アイエフが私物のバイクにまたがりアクセルを噴かせつつ、後部座席に座らせているネプギアにそう呼びかける。

 

練習のおかげでどうにか走ることに慣れてきた宗谷は二人と並走するようにスキル 仮面ライダーで呼び出したマシンヴィクトラーを走らせる。

その後ろにはイストワールも乗っている。

 

「……なあ、いーすん…なんでいーすんも着いてきたんだ?」

 

「いやな予感を感じているのが、宗谷さんやネプギアさんだけだと思わないでください。 私だって感じているんです……それに、目を離すと宗谷さんは何をするかわかりませんから」

 

「………俺、そんな危なっかしい?」

 

「ええ、私にはそう見えます……特に今のあなたは」

 

不安そうな表情を浮かべたイストワールがぎゅっと彼の体に回していた腕に力を込める。

 

「………なるべく、気をつけるよ」

 

ただそれだけ返した宗谷は前を見続けたまま、マシンヴィクトラーのアクセルを回す。

 

 

 

 

 

 

 

「レイシーズ・ダンス!」

 

ブラックハートの剣技が空を切り裂き、九十九式戦車のボディをも真っ二つに切り裂いた。

戦闘が始まって数十分、おびただしい数のモンスターの筆頭に立った四体の上位危険種を先に打ち取ったのはブラックハートだった。

 

彼女は大剣を振りぬいた体制のまま、勝利の笑みを浮かべる。

 

「……私が一番ね」

 

それに続いたのはブランことホワイトハートだった。

 

気合を込めた咆哮とともに巨大な戦斧を振り上げ、体ごと回転しながら凄まじい勢いを載せて九十九式戦車に振り下ろす。

 

「テンツェリントロンぺ!」

 

重く、鈍い音を立てて戦斧の刃が機械のボディに食い込み、九十九式戦車はそれが致命傷となったため粒子となり消滅した。

惜しくも一番乗りを逃したホワイトハートは戦斧を下ろしつつ舌打ちする。

 

「ちっ……二番かよ」

 

「……あっちはまだみたいね」

 

ホワイトハートの隣に降りてきたブラックハートが今も戦っているグリーンハートとパープルハートに視線を向ける。

だが、二人の戦いもそろそろ決着がつきそうなのは見て取れた。

 

既に九十九式戦車はダメージで弱っているうえに、二人とも大技を繰り出そうとしているからである。

 

「レイニーラトナビュラ!」

 

「クロス・コンビネーション!!」

 

グリーンハートの怒涛の槍と、パープルハートの刀の連撃がほぼ同時に九十九式戦車に直撃し、撃退する。

 

「………二人は引き分けかしら?」

 

「どっちもビリ、ともいうな」

 

二人には同時に倒したように見えたため、結果は一位ノワール、二位ブラン、同着三位でベールとネプテューヌということになりそうなのだが、その結果にグリーンハートが待ったをかけた。

 

「私の方がほんの少しだけ早かったですわよ?」

 

皮肉気にパープルハートを見ながら呟いたグリーンハートにパープルハートは呆れ気味にため息をつく。

それほど差はなかったように見えるが、彼女は同着というのは気に入らないらしい。

 

「はいはい……私がビリで…っ?」

 

まだモンスターが残っていて無駄な時間を過ごしたくないため、パープルハートが素直にここは引き下がろうとした時…。

 

 

 

彼女は自分たちに向けられる何かを感じ取った。

 

 

 

「っ! みんな避けて!」

 

いち早く気付いた彼女に促がされ、ほかの三人の女神は慌てて回避行動をとった。

すると、時間差をおいて彼女たちがいた地点にさっきとはまた違ったタイプの攻撃が遠距離から打ち込まれた。

 

「何事ですの!?」

 

「……おい、あそこ!」

 

攻撃が放たれた方角を指さしたホワイトハート、その先には三人の異様な姿をした何者かが並び立っていた。

 

「あの姿……あの時戦った奴に似てる?」

 

「ええ、二人ほど似てるのがいるわ…でも、前とは違うみたい…」

 

以前、修行兼ピクニックの時に戦ったデスリュウジャーとダークメフィストのことを覚えていたブラックハートとパープルハートは並び立つ三人の両隣にいる二人を見てそう呟いた。

 

 

そう、この三人こそロボティックが作りだしたコピペロイドのコピー戦士。

宗谷が憧れたヒーローたちを苦しめた強敵達だ。

 

 

右に立つのは、慈愛の勇者と呼ばれた“ウルトラマンコスモス”を倒すために“カオスヘッダー”と呼ばれる光のウィルスがパワーアップしたコスモスの力をコピーして誕生させた悪のウルトラマン、“カオスウルトラマン・カラミティ”。

 

左に立っているのは、“爆竜戦隊アバレンジャー”の雛形になったプロトタイプでありながら、戦いをゲームとして楽しみ、アバレンジャーを苦しめた強敵となった戦士、“アバレキラー”。

 

そして、中央に立つのは“仮面ライダードライブ”のプロトタイプ、“プロトドライブ”としての使命を封印され、ドライブと敵対する“ロイミュード”の死神としてドライブを抹殺しようとした戦士、“魔進チェイサー”。

 

ウルトラマン、戦隊、仮面ライダーを窮地に追い込んだことのある宿敵の三人である。

 

 

「こいつらも私たちの敵ってわけ?」

 

「今の攻撃から察するに……おそらくは、ね」

 

 

警戒して悪の三戦士を睨む二人の疑問を、聞いてたのかそうではないのか、三人の戦士は彼女たちに向けて駆け出し、そのまま攻撃を再開した。

 

「問答無用かよ!」

 

「まあ、覚悟はしていましたけど!」

 

魔進チェイサーの銃撃、カオスウルトラマン・カラミティの破壊光弾、アバレキラーが放つ光の弓矢、それらの同時攻撃を回避した四人にそれぞれの戦士が追いすがり戦闘が開始された。

 

「この野郎!!」

 

先手必勝と、ホワイトハートが自分に接近してきたカオスウルトラマン・カラミティに戦斧を横薙ぎに振りぬいて攻撃するが、その攻撃はカオスウルトラマンが直前に跳躍し、彼女の上を攻撃ごと飛び越えたことで不発に終わった。

 

「なにっ!?」

 

『ハアァ!』

 

「うわっ!?」

 

動揺した彼女に、カオスウルトラマンは着地と同時に右腕から放つ光弾を浴びせかけて攻撃し、さらに追い打ちで跳び蹴りを叩きこんだ。

 

 

 

 

グリーンハートは自分の目前に立ったアバレキラーに槍の先を向けて、出方を伺う。

しかし、アバレキラーは手に持っている羽根ペン型の武器、“ウィングペンタクト”をやる気もなさそうにだらんと垂れ下げた手に持ったままこちらを見ているだけで動こうとはしない。

 

「隙だらけ……ですわ!」

 

隙と見たグリーンハートは自分の持ち前のスピードを最大限に発揮し、アバレキラーとの距離を詰める。

だが、

 

『……ふっ』

 

槍先がアバレキラーに当たる直前、アバレキラーは彼女と同等、いやそれ以上の速さで彼女の攻撃をあっさりと回避した。

 

「なっ…きゃあ!」

 

しかも、高速移動を保ったまま何度も彼女に攻撃を仕掛ける。

すれ違いざまにウィングペンタクトを振るい、彼女に反撃の隙を与えようとしない。

 

 

 

 

「このぉ!」

 

ブラックハートとパープルハートは魔進チェイサーとの激闘を繰り広げていた。

ブラックハートは大剣を大上段から振り下ろして魔進チェイサーに攻撃を仕掛けるが、

 

『Break…』

 

魔進チェイサーが変身にも使う拳銃とメリケンサックを合わせたような武器、“ブレイクガンナー”を接近戦用のブレイクモードに切り替え彼女の攻撃を受け止めると、その攻撃を難なく押し返し、怯んだ彼女の体にブレイクガンナーを使った重い一撃を打ち付ける。

 

「くはっ……!」

 

「ノワール! よくも…っ!」

 

後ろに飛ばされたブラックハートに続いて、今度はネプテューヌが低空飛行で魔進チェイサーに接近し、下から上へ跳ね上げるように剣を振るうが、魔進チェイサーは後ろに跳び退って回避する。

 

『Gun…』

 

魔進チェイサーはブレイクガンナーの銃口を手のひらで軽く押し込み遠距離用のガンモードに切り替え、トリガーを引き、躊躇なくパープルハートに向けて弾丸を連射する。

 

「きゃああああああああ!?」

 

銃撃を受け、ブラックハートと同様に弾き飛ばされたパープルハートは地面を転がり、やがて失速し止まるとすぐに立ち上がり魔進チェイサーを睨み付けるが、気づくと他の三人も自分の近くに吹き飛ばされ、纏めて追い込まれている状態に陥っていた。

 

「みんな……」

 

「何なのよ……この前の奴と言い、こいつらは!」

 

「なんつー力だ……」

 

「……やはり、彼らはあの世界で戦った者たちと同じ…」

 

ダメージを受け、まともに動けそうにない四人の女神。

彼女たちを追い詰める三人の戦士は攻撃の手を休めようとしない…。

 

『Tune chaser bat…』

 

『オオオォォ……ハアッ!!』

 

『………はっ!』

 

魔進チェイサーは蝙蝠の形をしたミニカー、“チェイサーバットバイラルコア”をブレイクガンナーにセットして銀色の巨大な蝙蝠の羽根のような武装を右手に装備した武装チェイサーとなり、遠距離から放つ強力な光線を、カオスウルトラマン・カラミティは右腕から放つ必殺光線“カラミュームショット”を、アバレキラーはウィングペンタクトによって宙に描いた小型のミサイルを実体化させ、タイミングを合わせた三位一体の攻撃を女神たちに浴びせかけた。

 

「「「「きゃぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!」」」」

 

 

凄まじい爆発が起こり、その勢いによって宙に投げ出された四人。

すると、それを待っていたかの様に地中から何かが飛び出し、彼女たちの体に巻き付いた。

 

 

「くっ、な、なに!?」

 

それは機械のコードのようなもので、細長いが強靭な力で空中に浮かび上がった女神たちの四肢と体を締め付け彼女たちの体の自由を奪った。

 

「……こんなもの!」

 

先程の攻撃でダメージは残っているものの、このくらいのコードは切れると判断したのかグリーンハートをはじめに、四人はそのコードを引きちぎりにかかった。

しかし、体に走る痛みもあり、本調子といかない彼女たちはコードをすぐに引きちぎることができなかった。

 

 

 

「………予想以上にうまくいったな、なるほど確かに使える奴ららしい」

 

 

 

どこからか、そのようなつぶやきが聞こえてきた。

真っ先に気づいたパープルハートが声の聞こえてきた方向に目を向けると、そこには見慣れない紫の薔薇の装飾をあしらった魔女のような三角帽子に露出の多い服装をした三白眼の女性がこちらを見ていた。

その顔には悪寒を感じさせる不敵な笑みが浮かんでいる。

 

「あいつが……黒幕?」

 

女性は不敵な笑みを浮かべたまま、右手に持っていた赤い十字型の小石を左手に持つ手のひらサイズの小さなケースの中に放り込む。

 

 

「女神達よ、我が聖域(サンクチュアリ)へと堕ちるがいい!」

 

 

そう言って、小石の入ったケースを女性は勢いよく投げつけた。

 

ケースは一直線に空中を飛び、それはやがてコードに捕らえられた女神たちの真上に到達する。

 

そして、その瞬間

 

 

「ああっ!?」

 

 

上空にあるケース、そして地面にも隠されていた同様のものが三つ、それらが怪しく光り輝き彼女たちを囲む、ピラミッド型のフィールドが生成された。

 

途端に彼女たちは何かに力が吸い取られるようにどんどんと体から本来の力が弱まっていくのを感じ始めた。

 

「こ、この光は……」

 

「力が……どうし、て…」

 

力が抜けていく中、パープルハートはこの状況を打開する方法を考え、そして、あることに気づいた。

 

「あの石……あれを破壊すれば!」

 

そう、力が失われ始めたのはあの石が入ったケースが自分たちの真上に到達した瞬間だった。

ならそれを破壊すれば、このフィールドも消滅するはず。

彼女はその可能性に賭け、右手に握りしめていた刀をコードに腕を取られながらもわずかに残る力を振り絞り真上にあるケースに向けて投擲する。

 

しかし、刀の刃の先がケースに直撃する寸前、刀が跡形もなく消滅してしまった。

 

「なっ!? あうぅっ!」

 

驚く彼女に追い打ちをかけるように、さらにコードが体をきつく縛り上げる。

 

「ふっ……シェアエナジーを力の源にするものはその石には近づけない、それが武器であろうが女神自身であろうがな?」

 

不敵な笑みを崩さずに、目の前で体の自由が利かずうめき声をあげる四人にそう言った女性にベールは問いただした。

 

「どういうことですの…?」

 

「その石の名は、“アンチクリスタル”……お前たちの力の源であるシェアクリスタルとお前達とのリンクを遮断する力を秘めた石だ」

 

「アンチクリスタル……」

 

つまりは、アンチクリスタルと呼ばれるこの石が作り出したこのフィールドがある限り自分たちは満足に力を振るえない。

先程、刀が跡形もなく消えたのもアンチクリスタルの力によるものだろう…。

彼女の言った説明からそう推察したパープルハート。

 

そんな時、彼女の耳にこの状況からは不釣り合いな、軽快なカメラのシャッター音が聞こえてきた。

 

「う~ん♪ いい写真っちゅね~、これは世界に大旋風を巻き起こすっちゅ」

 

そう言って尚もカメラのシャッターを切り続けるネズミのマスコットの様な何者か…。

その言葉が指し示す意味、それを彼女は反射的に悟り歯噛みするもこの状況ではそれを阻止したくてもろくに動くことすらできない……。

 

他の三人も同様で、悔しそうな表情を浮かべているもののまともに体を動かすこともできないようだ。

 

「こんなこと……ただじゃ済まさないわよ……すぐにぶっ飛ばしてやるんだから!!」

 

それでも、ブラックハートが負けじと怒声を女性とネズミに向けて放つ。

しかし、完全に有利な体制にある二人は眉をぴくりとも動かさず、涼しい表情でその怒声を聞き流す。

 

 

「さて、どうかな? アンチクリスタルの結界の中では女神は力を失っていく……お前たちの勝ち目は、刻一刻と、確実になくなるのだ………ふふふ…あーーーっははははははは!」

 

 

捕らえられた女神を見下ろし、勝ち誇った高笑いをあげる女性。

 

絶望の時計の秒針が、今、動き始めた……。

 

 

 

 

 

 

引き潮により、陸続きになった海岸を走り抜け、何とか島に上陸した宗谷達四人は島の奥へとバイクを走らせ続けていた。

彼らが二台のバイクから響かせるエンジン音が、あたりにけたたましく響くがそれ以外は何も聞こえない……。

 

「静かね…」

 

「もう、退治し終わっちゃったのかな…?」

 

「……なんだか、怖いです……静かすぎて、逆に不気味なくらい……」

 

「ああ、同感だ……」

 

あまりの静けさに不吉な感覚を覚える四人、そんな不安をさらに煽り立てるようにそれは突然現れる。

 

二台のバイクが並んで走る先の岩陰から突然、マシン系モンスターR-4が飛び出してきたのだ。

 

「モンスター!」

 

宗谷は慌ててV.phoneを取り出そうとするも、まだ片手で運転するほど操縦も慣れていないうえに後ろにイストワールも乗せているため転倒の危険を感じ取りハンドルを切ろうとした。

だが、それよりも早く隣にいたアイエフが片手でコートの下に隠してあったハンドガンを取り出しモンスターに三発ほど弾丸を撃ち込む。

正確に急所を打ち抜かれたR-4は光の粒子となって消滅したが、四人は安堵ではなく不安の方がより強くなった。

 

「まだいるじゃない、ねぷ子たちは…?」

 

アイエフがあたりに視線を送りネプテューヌたちを探すがそれらしい姿は見つからない。

 

「………みんな」

 

不吉な予感に表情を曇らせる宗谷もまた、あたりを見回す。

すると、

 

 

「……! アイエフさん、宗谷さん、いーすんさん、あれ!」

 

 

ネプギアが何かを見つけ、その方角を指さし、三人に何かを示した。

その方角の先には、何やら怪しげな光がぼんやりと周りを照らし出しているのが見えた。

 

「あれは……」

 

イストワールがその光を見て、声を漏らす。

 

(………白い髪)

 

宗谷の脳裏に、ライラ、そしてシンシアの二人の姿が浮かび上がる。

彼はすぐに首を振ってその思考を掻き消すと怪しげな光を見つめる。

 

(あの二人が……そんな……そんなことあるはずない!)

 

信じたくないことを脳裏に浮かばせた宗谷は、それを振り切るようにアクセルを更に噴かせ、スピードを速めた。

 

 

 

 

 

 

そんな四人が乗るバイクを高い位置にある岩場の上で見つめる二人がいた、ライラとシンシア、いや、トランスとレヴォリューションである。

トランスはジャージの中に手を突っ込み、胸の谷間の間に収納していた通信端末を取り出すとそれを耳に当て通話を開始する。

 

「こちらトランス、今少年くんとリンカー、そして紫の女神ちゃんの妹さんとあともう一人がそちらの方に向かいました。 もう間もなくでコンタクトするかと…」

 

『りょーかい、あとは任しとき……おつかれさん』

 

通話相手だったエネミーが通話を切り、トランスも再び端末を胸の間にしまい込む。

 

「………さて、あとは彼らがうまくやってくれるでしょう、私たちは移動し…」

 

そう言って彼女がレヴォリューションの方を向くと、彼女は不安げな表情を浮かべて走り去る二台のバイクを見つめたまま動こうとはしなかった。

 

「……どうかしましたか?」

 

「………こわい」

 

「はい……?」

 

首を傾げるトランスに、レヴォリューションは不安げに声を震わせ続ける。

 

「………怖い……怖い……こわいよぉ、ライラぁ…」

 

身をすくめ、宗谷のことを見ながら声を震わせるレヴォリューション。

それを見たトランスは、まさかと思い宗谷を見るも特にこれといった変化は見受けられない。

だが、彼女がここまで怯えるのは……。

 

 

「………まさか」

 

 

目に涙を浮かべ、こちらに縋り付いてきた彼女を、慣れないながらも優しく撫でる彼女は一番嫌な展開をこの時覚悟した……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宗谷達がズーネ地区の小島の中央で、怪しい光を放つ地点に到着した。

バイクのブレーキをすぐさま掛け、バイクを止めた四人が見たもの、それは信じたくない光景だった。

 

 

 

女神たちがピラミッド型の光の結界の中に閉じ込められ、体の自由を奪われ、拘束された姿だ……。

 

 

 

「………お姉、ちゃん」

 

「そんな……ネプテューヌさんたちが……」

 

目を見開くネプギアとイストワール。

ネプギアがよろよろとバイクを降り、四人の元に歩を進めるがそれをアイエフが彼女の手を掴んで制止する。

そして、イストワールは口元を抑え、見開いた目で彼女たちを見つめ続ける。

 

「………ネプテューヌ……ノワール……ブラン……ベール」

 

宗谷もまた、信じられないと言いたげにうわ言のように呟き、バイクから降りた。

 

そして、その表情は今まで彼が見せたことのないような激しい怒りの表情をあらわにさせた。

 

 

 

「誰が……誰がこんなことをしやがった!」

 

 

 

言い放つと同時に駆け出した宗谷、イストワールとアイエフはそれに気づき彼を引き戻そうとするが彼は聞こえていないのか、はたまた聞く耳を持っていないのか立ち止まることはない。

 

「宗谷さん!!」

 

「待ちなさい宗谷! 今は何があるのかわからないのよ!!」

 

走りながら赤剣を取り出し、V.phoneをいつもの変身コールもなしに連結させ変身した宗谷は円形に窪んだ地形を滑り降りようと急な角度の傾斜に足を出した。

 

が、それを阻止するかのように、彼の足元に数発の火花が散り、けたたましい銃声があたりに鳴り響いた。

 

 

「邪魔をするな、今いいところなんだよ……そこで見物してろ」

 

 

弾丸が放たれた方向に首を動かして、何者かを確認する宗谷。

 

それは黒を基調としたロングコートを着た人物だった。

宗谷自身も黒のジャケットを着ているが、彼よりもどこか痛々しいデザインが施されているタイプである。

髪型は長い白髪のポニーテール、顔は白と黒が半分ずつ塗られた仮面をつけているため見えない、ロングコートの前も止められているため体系もわかりづらい。

先程こちらに向けて言い放った声も、変成器の様なものを通しているのかどちらかわからない仕様になっている。

 

さらに、その後ろには魔進チェイサー、カオスウルトラマン・カラミティ、アバレキラーの三人もいる。

 

 

だが、いつもなら驚く宗谷がこの時は全くそのような動作を見せなかった……。

 

 

「………お前が黒幕か?」

 

「いいや、俺は用心棒みたいなものだ……だから、邪魔されたら困るんだよ、俺の仕事に差支えが出ちまうからな」

 

「そうかよ………なら、どけよ」

 

この時、ロングコートを着て仮面をかぶり、正体を隠していたエネミーは彼から今までにない強力な威圧感を感じ取った。

 

(……なんや、この感覚……)

 

予想以上の気迫を放ち続ける目の前の青年に、エネミーは反射的に腰元に隠していたブレードを取り出し、身構えた。

 

 

 

 

「俺は今………虫の居所が悪いんだ」

 

 

 

 

そして、僅かに……

 

 

彼を包む燃えるような赤い装甲と、フルフェイスマスクの光り輝く目が……

 

 

 

 

 

血の如く、どす黒い赤に染まった………。

 

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?

かなり物々しい雰囲気で終わりましたが、まずはこのあたりで…

さて、大変なのはここからだぞ…。


そして、僕は今月から晴れて専門学校に通い始めます。
なので、また執筆活動が以前より遅くなる可能性があります(汗

これからも白宇宙とネプおばをよろしくお願いします!

それでは次回…。

怒る宗谷、それを見たイストワールは……
そして、トランスとシンシアが感じたのはいったい…

それでは、またお会いしましょう。
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