超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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どうも、白宇宙です!

今回のお話は前回のシリアスモードから若干熱い展開になります。

そして今回、新たなヒーローメモリーが追加されます!

それではお楽しみください、どうぞ!


stage,42 俺と猛特訓開始!

夜が明けて朝日がリーンボックスを照らし始めたころ、ズーネ地区で捕らわれたままのネプテューヌたちは自分たちの足元に溜まっているものを見ていた。

 

アンチクリスタルの中に閉じ込められた彼女たちに程なくして起きた異変、それは彼女たちの下に徐々に溜まり始めたこの黒い何かである。

 

 

彼女たちの足元に突如として蓄積し始めた、黒い液体状の何かは……徐々に、そして着々と彼女たちに迫らんとその量を増し続けていた。

 

 

彼女たちを捕らえた張本人であるマジェコンヌ曰く、これは自分たちを苦しめ、死に至らしめるらしいが…。

 

自分たちの姿が映りこむ、この黒い液体のようなものから感じる肌が泡立つような異様な感覚からして、それもあながち嘘ではないのだろう…。

今こうしている間にも、多少の恐怖を感じているのだから…。

 

「………あ~、やっぱり暇~!」

 

だが、こんな状況でもこんな風に喚けるネプテューヌにはある意味で感心する。

不謹慎と言えば、不謹慎だが……。

 

「あなたねぇ……本当に今の状況わかってんの?」

 

「だって、丸一晩この状態だよ? そりゃあ退屈にもなるし、寝たくても寝にくいしでこうでも言わないとやってられないよ」

 

「お気楽ですわねぇ、まあ、それがネプテューヌのいいところでもありますけど」

 

僅かにだがその場の空気が和んだような気がした。

どんな危機的状況でも常に前向きなネプテューヌのメンタルには相変わらず呆れもするが、驚かされる。

 

「………ロム、ラム……」

 

ふと、ブランが自身の妹たちの名前を呟いた。

こんなことになって二人はどうしているのだろうか、気になっているようである。

 

「……大丈夫ですわブラン、向こうには宗谷とイストワールもいるのですし」

 

「………でも、あなたも見たでしょう? あの時の宗谷の姿を」

 

ブランが返してきたその言葉を聞いたとき、ベールは昨夜のことを思い出した。

ネプギアたちと一緒にここまで来てしまった宗谷が、突然起こしたあの異変…。

 

僅かに見た、彼の姿を……。

 

 

「あの時の宗谷は……いつもの宗谷じゃなかった……正気を取り戻したみたいだけど、その後の精神はまともな状態に見えなかった……」

 

「………確かにそうですが……」

 

 

あの時に見た彼の姿。

 

装甲の銀色のラインが黒く染まり、赤い部分がブラッドレッドになったあの姿は彼女たち自身も何か恐ろしいものを感じた気がする。

 

彼に何が起こったのかはわからないが、今回の彼の異変はまともな事とは言えないのも確かである…。

 

「………まあ、なんとかなるっしょ? だって宗谷だし」

 

しかし、彼女たちの危惧など眼中にないと言いたげにネプテューヌがあっさりと、まるで当たり前のことのように言った。

確かに、このような状況になって今動けるのは彼しかいない。

 

「………宗谷」

 

ふとノワールが目を落とすと、また若干黒い液体状の何かの量が増えている気がした……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネプテューヌ、ノワール、ブラン、ベール……。

 

捕らわれた四人を救出する決意を固めた俺は部屋を出て、ある場所へと向かっていた。

みんなが集まっているはずのベールに自室である。

理由は、ネプギア達の様子を見ることだ。

 

昨日の今日で彼女たちの心境に何か変化があるかはわからないが……昨日の様子を見る限り、今は状況が落ち着くまでみんなは安全なところに返した方がいいのかもしれないな……。

こうなった以上、誰かがネプテューヌたちを救わなければならない。

もしも、彼女たちがその気なら俺はみんなも一緒にと言ってやりたいのだが……。

 

ロムちゃんとラムちゃんはまだ小さいし、ネプギアもかなり落ち込んでいた………。

ユニちゃんは………また、怒鳴られるかな……。

 

「宗谷さん、何か考え事ですか?」

 

「ん、まあ、ちょっとな……」

 

でもまあ、それも仕方ないか…。

あの時俺が何もできなかったのは事実だ。 どんな風に言われても俺は口答えするつもりもないし、言い訳もしない…。

 

そんなことを考えながらいーすんと廊下を並んで歩いていると……。

 

 

 

「ネバーギブ………幼女アーーーーーーップ!」

 

 

 

……なんだ今の?

 

 

 

 

妙な叫び声が部屋の中でしたので、俺といーすんが急いで部屋の中に入ると、ちょうど開けたドアの真ん前に小柄で目立つピンクのフリフリがたくさん付いた服が特徴的な何者かが倒れていた。

 

……あれ? こいつって確か……?

 

「あいたたた……やっぱりこれ、幼女らしい遊びとは思えないわ」

 

「あんた、確かルウィーの誘拐事件の時の……」

 

「ん? あーーー! あの時のお邪魔男!」

 

頭をさすりながら身を起こした彼女は、駆け寄った俺の姿を見るや否や俺の方を指さしながら怪訝そうな表情を浮かべた。

確か名前は……“アブネス”だったか?

 

「ここであったが百年目よ! あの時全世界の幼年幼女の前で私に恥をかかせた恨み、晴らしてやるわ!」

 

アブネスがそう言いながら仁王立ちして、今にも俺に飛び掛かってきそうな体制を取る。

ていうか待て、お前がここにいるのかが俺は知りたいんだが!?

 

すると、

 

 

「「待て~~!」」

 

 

「ん? ……ひいっ!?」

 

おそろいのロッドを振りかぶり、アブネス目がけて一直線に迫る二人の小さな足音が元気のいい声とともに聞こえてきた。

ロムちゃんとラムちゃんだ。

 

アブネスは二人の姿を見るや否や、すぐさま物陰に隠れてしまった。

 

一体何がどうなってんだ?

 

「あ、そうやお兄ちゃん!」

 

「ラムちゃん、これは……?」

 

「特訓……女神に変身するための……」

 

「特訓って……これ、ベールの用意したゲームだよな?」

 

俺が二人の話を聞いて、彼女たちの後ろ、俺から見れば部屋の奥に目をやると、そこは一面のどかな草原に変わっていた。

それは、昨夜ベールがパーティー用に用意した新開発のゲームによる立体映像によるものだ。

でも、一体なんで特訓を……

 

 

まさか……

 

 

「宗谷さん、いーすんさん!」

 

「ネプギア!? お前まで…」

 

 

案の定、得物であるビームソードを持った彼女、ネプギアもこちらに駆け寄ってきた。

さらに、ネプギアの後ろの方に視線を向けるとユニちゃんも銃をもってこちらの方を見ていた。

 

「……ネプギア……もう、大丈夫なのか? それに、特訓って……」

 

俺は目の前にまで来たネプギアに聞くと、彼女は昨日とは別人のような表情でしっかりと頷いた。

昨日の彼女の目には見えなかった、固く、そして強い決心の意思が見て取れる瞳がじっと俺のことを見つめている。

 

「……私、思ったんです……このままじゃダメなんだって……今、お姉ちゃんを助けられるのは私たちしかいないんだって」

 

「ネプギアさん……」

 

「………」

 

「私たちも、女神の力を受け継いでいるなら……賭けてみたいんです!」

 

揺るぎのない信念のようなものを、感じた気がした。

そう思わせるほどに意思が籠った言葉だった…。

 

「宗谷…さん……」

 

「……ユニちゃん」

 

遅れて、後ろの方にいたユニちゃんが俺たちの方に歩み寄ってきた。

構えていた銃をおろし、じっと俺のことを見つめるがその瞳はネプギアのものとは裏腹にどこか陰りのようなものが見える。

俯いたままどこか申し訳なさそうな表情をしているユニちゃんはそのまま何かを言い出そうとしているのか視線を右往左往させながら口をゆっくりと開き始めた。

 

「あの……私……」

 

「………ごめんな、ユニちゃん」

 

彼女が何か言おうとするより先に、俺は最初から言おうと思っていた言葉を彼女に言った。

ユニちゃんは呆気にとられたような表情を浮かべた。

 

「どうして……どうして、宗谷さんが謝るの? 悪いのは……悪いのは二人にひどいことを言った私なのに……」

 

「……それでも、ユニちゃんが言っていたことは正しい……俺も、悪いんだ」

 

俺は目を離さないようにしっかりと彼女を見つめる。

 

「あの時、俺は……ネプテューヌとブランと約束したのに……捕まったみんなを助けることができなかった……助けようとしなかった……俺自身が弱かったから……」

 

「そんな……宗谷さんは十分」

 

「いいや、強くなんかない……見てくれだけの強さに、意味はないんだ」

 

俺はそっとポケットの中に入っているブイホを取り出すとそれに視線を落としてから、画面をユニちゃんの方に向ける。

 

「この力はただ使えばいいってものじゃない、これを使うのに見合った強い意志と覚悟が必要なんだ……俺はそう自分に言い聞かせてきたのに、それを見失いかけた……」

 

「宗谷さん……」

 

「………でも、俺はもう見失わないと決めた」

 

ブイホを再びポケットの中に閉まった俺は強く拳を握りしめて自分の胸、心臓の部分にそれを思い切り打ち付けた。

 

どん、という音が部屋の中に響くのが俺の耳にも聞こえた……。

 

 

 

「だから必ずみんなを救って見せる! ……たぶん、これが今の俺にできることだから」

 

 

 

俺の精いっぱいの決意の言葉が部屋の中に響き、しばらく部屋の中を沈黙が包んだ。

 

さっきまで目線を泳がせていたユニちゃんも、その傍にいたネプギアも、ロムちゃんもラムちゃんも俺の方を見ている。

俺はそっと胸に当てた右手を下ろして四人を順にみていく。

 

「……私も」

 

不意に、ユニちゃんが小さく呟いた。

 

「私も……今はまだ弱いけど……でも特訓して変身できるようになって……強くなって、お姉ちゃんを助けたい!」

 

「………」

 

「宗谷さん……あの時はひどいことを言ってごめんなさい……あの時、私……悔しくて……こんなことになって何もできない私が……自分自身が悔しかったから、それで……」

 

「ああ、わかってる……だから、そのための特訓なんだろ?」

 

俺は彼女の言葉を受け止めて、そっと手をユニちゃんの頭の上に乗せた。

ラステイションで別れ際にやった、あのおまじないの時と同じように……。

 

やっぱり、そうだったんだな…。

この特訓は、女神候補生のみんなが決めたこと……ネプテューヌたちを助けるために考えたことなんだ。

………考えていることは一緒だったんだ。

 

彼女たちも、俺と同じで……。

 

 

「みんなを助けるぞ………ユニ、ロム、ラム、ネプギア」

 

 

順にみんなを見ていき、名前を呼ぶとみんなは強く頷いて返事を返してくれた。

今更止めても無駄なんだ、だったらみんなで行った方がもっと心強い……そういうもんだからな。

 

さて、当初の予定で返すつもりだったんだけど……

 

「いいよな、いーすん?」

 

俺は不意帰りながらいーすんに聞くと、いーすんは最初は不満げな表情を浮かべていたがやがてそれは苦笑いに変わった。 もう何を言っても聞かない子供を見てやれやれと言いたげな表情を浮かべている母親のような反応だ。

 

「だめ、と言っても聞かないのはもう目に見えてますからね……」

 

「いーすんさん、それじゃあ!」

 

「ただし、危険な戦いになるのは確かです……みなさん、そのあたりを忘れないでください」

 

最後にそう一括したいーすんに俺たちはすぐさま頷いて返した。

 

これで心強い仲間が増えたな。

よし! さっそくみんなの特訓に俺も参加して……

 

 

 

「お取込み中悪いけど、宗谷、あんたにお客さんよ?」

 

 

 

突然ドアの方から聞こえたアイエフの声に反応した俺は、すぐに後ろを振り向いた。

そこにはドアの前に立つアイエフと、物陰に隠れたアブネスを包帯でぐるぐる巻きにしているコンパさんの姿があった。

 

そして、

 

 

「ケイブさん! 5pb.!」

 

 

更にその後ろには、ケイブさんと、5pb.の姿があった。

俺はすぐに二人に駆け寄る。

 

「なんで二人がここに?」

 

「あなたに渡したいものがあるんだって、さすがに予想外で私もびっくりしたわ」

 

二人の代わりにアイエフが説明してくれた後に続いて、ケイブさんがこくりと頷いた。

 

「話は彼女から聞いてるわ……ベール様の危機、本来なら私一人ででも島に乗り込むところなんだけど……」

 

ケイブさんはそういうと、右手に握っていた何かを俺の前に差し出した。

 

「……これって!」

 

「ヒーローメモリーよ、あなたがリーンボックスを出た後、5pb.と一緒に見つけておいたの…」

 

「うん、だからボクからも……はい!」

 

さらに5pb.までもがヒーローメモリーを取り出して俺に差し出してきた。

でも、一体どうして……?

 

「これは、あの時のお礼かな……ボクはケイブさんみたいに強くないし、うまく戦えないから……せめてこういう形で、恩返しをしたかったんだ」

 

「5pb.……」

 

「宗谷さん、ベール様のこと……お願い!」

 

「……ああ!」

 

俺は5pb.とケイブさんが見つけてくれた二つのヒーローメモリーを受け取るとそれを強く握りしめた。

 

………まだ小さい希望だが、可能性が見えてきた気がするぜ。

 

あとはネプギア達だけど……

 

「私も女神候補生様たちのサポートをさせてもらうわ……だから、心配はしないで」

 

「ケイブさん……ありがとう!」

 

俺はケイブさんにお礼を言うと、早速ヒーローメモリーを使うべく、部屋のドアへと向かおうとしたがあることを思い出しすぐさま立ち止まって、いーすんの方に近づく。

 

「忘れるところだった…いーすん、夜の引き潮の時間までアンチクリスタルのことについて調べておいてくれないか?」

 

「え、でも……みっかかかってしまいますよ?」

 

「全部じゃなくてもいい、何か重要なことを何でもいいから押さえておいてくれ、頼む!」

 

俺が彼女に強く頼み込むと、しばらく間をあけてからいーすんは小さく頷いた。

 

「わかりました……できるだけやってみます」

 

「……サンキュー、いーすん!」

 

俺は彼女にお礼を言うと、最後にネプギアの方に視線を向ける。

彼女と視線を合わせてから俺は彼女に向けて拳をまっすぐに突き出した。

 

「………勝とうぜ、ネプギア!」

 

「………はい!」

 

そう答えたネプギアは、俺の拳に自身の拳を軽くぶつけた。

 

タイムリミットは次の引き潮が来る夜までの間……

 

さあ、特訓開始だ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さっそく俺が寝泊まりに使っていた部屋に戻った俺はベッドの上に寝転がり、精神をヒーローメモリーへと集中させた。

まだこれが切り札になるとは言い切れないが、今は少しでもいいこの状況を切り抜く“きっかけ”が欲しいんだ。

 

俺はそのきっかけを探すべくメモリーワールドに精神リンクさせる。

もうすっかり慣れたわずかな浮遊感の後、俺の目の前の視界はがらりと変わった。

 

今日のは……学校、か?

 

俺の通っていた高校ではないがなじみのある白い壁が特徴的な校舎と独特の建物の作りで一瞬でそうだと分かった。

ここは学校とかにありそうな廊下、俺はそこに一人立ち尽くしていた。

 

でも、なんでよりによって学校の校舎の中なんだ?

 

「あんたが宗谷か…待ってたぜ?」

 

「っ!」

 

突然声が聞こえ、後ろを振り向くと……

 

そこには今回のヒーローメモリーに宿っていた主人公キャラの姿があった。

 

白い近未来のようなデザインをした制服に身を包んだ、黒髪のその青年は挨拶代りのつもりか白い機械の腕輪をはめた右手を、よっ、と上げた。

 

一人目は……あんただったのか……

 

彼は女しか使えないパワードスーツを唯一動かした、世界でたった一人の男の“IS”操縦者……。

世界最強、ブリュンヒルデと呼ばれた姉を持ち、自分の守りたいもののためなら、どこまでも強くなれる彼は……

 

 

「“織斑一夏”……だよな」

 

「おう、よろしくな!」

 

 

人当たりのよさそうな明るい笑みを浮かべる彼、ラノベ“インフィニット・ストラトス”の

主人公である一夏に俺は同じように笑顔を返して答える。

 

 

「事情は把握している……早速始めるか」

 

 

更に今度は反対方向から声がした。

遅れてがらりと教室のドアが開き、その中から一人の人物が出てきた。

 

一夏と違って高校生らしいブレザータイプの制服を着たその人物は両手に深紅と銀色のグローブにさらに両方の中指に指輪を嵌めていた。

かわいらしくデフォルメされたライオンの子供のようなデザインが刻まれ、彼と言う存在を象徴する“ファミリーのシンボルマーク”が施された指輪を嵌めている。

 

そして何より、特に目を引くのは額に揺らめくオレンジ色の“炎”……。

 

 

「……ボンゴレ10代目のご登場か……」

 

 

“死ぬ気の炎”と呼ばれる特別な炎を額に灯している彼は、ボンゴレファミリーと呼ばれるマフィアの10代目ボスに選ばれた中学生、誰よりもやさしく、そして、仲間のためならだれよりも強くなれた男…。

 

 

漫画、“家庭教師ヒットマン リボーン”の“沢田綱吉”だ。

 

 

なるほど、学生だから部隊が学校ってわけか……。

 

「……いつもの俺なら、あんたたちといろいろ話したいことはあるんだけど……今は時間が惜しいんだ」

 

「ああ、わかってる………だが、俺達も手加減をするつもりはない……」

 

普段の彼ではなく、既に“超死ぬ気モード”になった綱吉こと、ツナは落ち着いた話し方で拳を握り両手の“Ⅹグローブ”に彼の力、“大空の死ぬ気の炎”が灯る。

 

「お前にも守りたいものがあるんだろ? なら、全力でぶつかって来い、俺たちがしっかり見極めてやる!」

 

一夏はそういうと、右腕にはめた白いブレスレットを掲げる。

 

「来い、“白式”!」

 

力強く、彼が自身の相棒の名を呼ぶとそれに答えるように一夏の体の周りを白い光が包み込んだ。

そして、その光が晴れると、一夏の体を重厚なパワードスーツが包み込んだ。

 

これが、彼が駆り、操ったIS……“白式”。

 

 

俺はブイホと赤剣を取り出し、俺を挟む立ち位置にいる二人を順に見る。

 

 

 

(俺は……強くなる……もう、俺の中の怒りに呑まれないくらい…強くなってみせる!)

 

「リンク・オン!」

 

 

 

俺の修業が、始まった……。

 

 

 

 

 

 

 

「これでとどめです!」

 

ネプギアは渾身の一撃を決めるべく、ビームソードを構え地面を滑るように駆ける。

そしてビームソードの刃のリーチにエンシェントドラゴンが入った瞬間、力いっぱいビームソードを振りぬいた。

 

ドラゴンは最後の一鳴きの後、ぐらりと体制を崩しそのまま粒子となって消滅した。

 

「すごいです! みんなでエンシェントドラゴンをやっつけたです~!」

 

「あいった! ちょっともっと優しくしてよ、このやぶナース!」

 

女神候補生四人の特訓はまだ続いていた。

初級モンスターから始まったシュミレーションモードの戦闘訓練は、遂にエンシェントドラゴンが現れるまでの高レベルに突入していた。

 

四人の奮闘をヴァーチャルの木の下で見守るコンパは特訓につき合わされたアブネスの手当てをしつつ、四人に対して感嘆の声を漏らした。

 

「もうずいぶん倒したと思うけど……まだ変身できるようにはならないわね」

 

しかし、ここまでの高レベルに突入するまでにシュミレーションとはいえ多くのモンスターと戦ってきたが、未だに女神候補生の四人は変身する兆しを見せなかった…。

戦闘経験はだいぶ積んだはずなのだが、まだ足りないというのだろうか……?

 

「うん、でももっといっぱい倒せば……」

 

「残念だけど、もうそんな時間はないみたいよ」

 

諦めず、まだ続けようとするネプギアだが彼女の言葉をアイエフが真剣な面持ちで口にした言葉で遮った。

そして、ネプギアとユニに手に持っていたスマホの画面を見せる。

 

「あっ……」

 

そこに写っていたのは、コードで体を縛り上げられたパープルハートの画像だった。

 

「四女神が捕らわれたことは間もなく世界中に広まるわ…」

 

この画像がもし世界中に知れ渡ったらどうなることか、それはネプギアでも考え付く簡単な答えだった。

この話を聞いたアブネスが何やら喚いていたが、コンパが口にまで包帯を巻きつけて彼女の口を封じる様子を横目にアイエフは話を続ける。

 

「……国民が女神のこんな画像を観たら、急激にシェアが下がるかもしれないわ」

 

「もう、あまり時間は残されていない……」

 

アイエフの隣にいたケイブが真剣な面持ちでそう呟く。

 

「もし、そうなってしまったら……シェクリスタルから送られてくる私たちの力が少なくなる……」

 

「なら、影響が出る前に早くお姉ちゃんたちを助けないと!」

 

残り時間はわずか、まだ女神候補生の四人は女神化をなしていない上に、宗谷とイストワールもまだ戻ってこない。

 

このまま教会で時間を食いつぶしているわけにはいかない……。

 

時間は刻一刻と過ぎていく……。

 

 

「ネプギアさん、行ってください」

 

 

その時、部屋の奥からさっきまで調べ物をしていたはずの彼女の声が聞こえてきた。

ネプギアが声が聞こえた方に目を向けると、そこにはイストワールが立っていた。

 

「いーすんさん……」

 

「宗谷さんが修行を終え次第、私も彼と一緒に合流します、皆さんは先に行ってください」

 

イストワールの強い決意の言葉に、ネプギアはややあって首を強く縦に振った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方の宗谷はかなりの激戦を繰り広げていた。

 

「うぉぉぉぉおおおおお!!」

 

完全変身状態になった宗谷は校舎の窓ガラスを突き破り、外に向かって飛び出した。

変身したことで上昇した身体能力を駆使し、空中で身を翻して中庭に着地すると、宗谷が突き破った窓から白式を身に纏った一夏が固有武装の接近戦ブレード、“雪片弐型”を構えて宗谷目がけて急降下をしながら攻撃を仕掛けてきた。

 

「はああっ!!」

 

「らああああっ!」

 

己の目前に迫る一夏の斬撃を赤剣の刃をぶつけて防御した宗谷は、白式のブースターによって上昇したパワーに押されて、つばぜり合いの状態で地面を抉りながら後ろに交代する。

 

一定の距離を押し込まれた宗谷を一夏はさらに雪片弐型を翻して弾き飛ばし、宗谷をさらに追い詰める。

 

「くっ!」

 

だが宗谷も負けてはいない、何とか空中で姿勢を安定させると、そのまま自分が飛ばされた先にある壁を蹴って反転ジャンプ、自分の体を軸に回転させながら放物線を描きつつ一夏との距離を一気に埋めると、落下と同時に赤剣を振り下ろした。

 

「おっと!」

 

しかし、その攻撃は一夏が横に体を動かしたことで回避された。

 

「くそっ! ……っ!」

 

すぐさま追い打ちをかけようと一夏の方を向いた宗谷だったが、何かを感じ取りすぐさま正面に向き直った。

 

そして次の瞬間、宗谷目がけて恐ろしいスピードを出しながら何かが突っ込んできた。

 

「ぅ………ぐぁっ!」

 

咄嗟に防御しようと腕をクロスさせる宗谷だったが、その防御さえも突き破った攻撃は彼をさらに後ろへと吹っ飛ばしてしまった。

 

「どうした? ………この程度か?」

 

それは綱吉の死ぬ気の炎による超スピードの突進から放った拳だった。

両手のグローブに灯った死ぬ気の炎をジェット機に如く噴き出すことによって得る、彼の推進力は計り知れない攻撃力を生み出す。

 

彼のパンチを食らった宗谷は地面を転がりながらも、何とか立ち上がり離さずにしっかりと握っていた赤剣を構えなおすと反撃するべく素早くV.phoneの画面を二回タップした。

 

既に宗谷はフルパワーの状態、スキルチェインを発動することはできる。

 

「まだまだ……終わらねぇよ!」

 

起死回生の一撃、それを狙った宗谷が発動させたのはスキル ワンピースとスキル ウルトラマンの二つ。

 

『Skill Chain! ONE PIECE! ULTRAMAN!』

 

電子音が響いた後、宗谷は持っていた赤剣を左手に持ち直し、右手で拳を握りこの二つを繋げることで発動するためにそれを天に向かって突き出した。

 

途端に、彼の右腕から巨大な赤いエネルギーでできた剛腕が出現する。

腕の横幅だけで5メートルはありそうなその剛腕を、宗谷は思い切り綱吉目がけて振り下ろした。

 

「エレファント・シュラーク!!」

 

伸縮自在な巨大エネルギーアームによる攻撃は大地を割り盛ん勢いで綱吉に迫る。

 

はずだった、

 

 

「隙がデカすぎる……!」

 

「なっ!?」

 

 

なんと綱吉は、いつの間にか宗谷の後ろに回りこんでいた。

一体いつの間に移動したのか……。

 

(まさか……“超直感”か!)

 

唯一考えられる可能性、それは綱吉の特殊能力……“超直感”。

 

それはボンゴレファミリーのボスに継承される、情人を遥かに超えた直観力。

彼は宗谷がこの一撃を放つことをあらかじめ直感し、スキルチェインが発動するよりも早く回避体制に入っていたのだ。

 

「はっ!」

 

「あぐっ!?」

 

背後を取った綱吉の裏拳が宗谷の眉間にヒットし、宗谷はスキルチェインを強制解除し、横に跳んだ。

さらにその先には一夏が待ち受けていた。

 

「うぉぉぉおおお!」

 

弾き飛ばされた宗谷を掴み、白式のパワーにものを言わせて宗谷を思い切り校舎へと投げ飛ばす。

窓ガラスどころか、壁をも突き破った宗谷は再び校舎の中に戻される

鈍い痛みが体に響く…。

 

だが、宗谷はへこたれることもなく赤剣を杖のように廊下に突き立てて何とか立ち上がった。

 

「ま……だ、まだぁああああ!!」

 

気合とともに走り出した宗谷は、勢いに任せて赤剣を振りかぶり一夏に迫った。

距離がほぼほぼ埋まったところで、宗谷は思い切り切っ先を前へと突き出すが一夏は白式のスラスターを噴かせてその攻撃を難なく回避する。

 

「行くぞ……白式!」

 

そのままのスピードを保ったまま一夏は旋回、宗谷の周りを飛び回る。

 

更に時折、宗谷に接近してはすれ違いざまに雪片弐型を振り、追撃を続ける。

 

「くっ……うっ…! 早い……!」

 

この時、宗谷は気づいた。

彼がすれ違うごとにそのスピードを断続的に上昇させていることに……

 

ただ徐々に上げているわけではなく、一気に加速し続けている。

この戦い方を、宗谷は知っていた……。

 

「“イグニッション・ブースト”………!」

 

スラスターが本体に向けて放つエネルギーで空間にエネルギーの流れを作り出し、それを一気に点火して急加速を行うISの接近戦闘技能、“イグニッション・ブースト”。

そのスピードは戦闘機にも劣らない……。

 

「どうした! そんなことじゃ、お前の守りたいものを守ることなんてできないぜ?」

 

「くっ!」

 

イグニッション・ブーストによる超スピードを保ったまま、一夏は宗谷の正面に周り込み、そのまま思い切り横殴りの斬撃を繰り出した。

宗谷はとっさに赤剣で防御するも、勢いに押され後ろに三度吹き飛ばされる。

 

「わあああああああああっ!!」

 

地面をゴロゴロと転がる宗谷、断続的な衝撃と装甲を纏っていても響いてくる鈍重な痛みが彼を襲う。

やっとのことで止めることができた宗谷は、また立ち上がろうとするが……それよりも先にある危険を察知した。

 

「……っ!? 上!」

 

咄嗟に感じた強い威圧感に導かれ、宗谷は真上を見上げる。

すると、そこには自分に狙いを定めて超ド級の一撃を撃ち込もうとしている綱吉の姿があった。

 

左手から放つ炎を自分の後方に向け、構えた右手を宗谷の方に向けている。

この体制は、彼が未来で得た、あの技の体制……。

 

修行の末に編み出した、彼の必殺技……。

 

 

 

Ⅹ BURNER AIR(イクス バーナー エアー)!」

 

 

 

次の瞬間、宗谷の視界を綱吉が放った猛烈な勢いの死ぬ気の炎が包み込んだ……。

 

 

 

 

 

………残り時間はあとわずか、果たして宗谷は、ネプギア達は、四女神を救い出せることができるのか。

 

 

 




いかがでしたか?

修行編と言うことで、今回はこのあたりで…。

次回、離れ小島に向かったネプギア達、そんな中宗谷は無事に修行を終えられえるのか!

次回でお会いしましょう、それでは…
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