超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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第三話です!

はたして、宗谷に襲いかかった三人組は何者なのか?

それではお楽しみください、どうぞ・・・


stage,3 俺、初戦闘しました

もう、何がどうなってんだよ!!

簡潔に説明しよう! 俺は今殺されそうになっている、三人の謎の影軍団によって!!

そして全力で逃げ回っているというのが今の現状だ。

 

こっちが話しかけようとしたら急に襲いかかってきたんだ。

いくらなんでも展開が急すぎるだろ!!

 

事前に説明しといてくれよ! こちとら説明書もないんだよ!! 生まれた時から人生という無理ゲーを強いられてきた哀れな人類なんだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!

とにかく今は逃げるしかない、戦う手段を持っていない以上、無理に突っ込んでも自滅するだけだ…

 

っと、思ったら俺を追いかけていた三人の内の一人が俺の上飛び越えて…

 

『っ!!』

 

「ぐっ・・・げはっっ!!」

 

俺の鳩尾に思いっきりパンチしてきた…

 

痛ぇ………これ、マジで痛ぇ……イストワールさんの本の角攻撃なんか目じゃないほど痛ぇ…

 

肺の空気が全部押し出された感覚に俺は必死に呼吸を整えようとするけど、ここで立ち止まったら本当に命がない…次を食らったら本気でヤバい…

なんとか崩れ落ちないように足を踏ん張って、俺を殴ってきた奴から距離をとった、途中で足がもつれてこけたけどな…

 

でもそれが功を奏した……

 

 

―――パアアアアアアアアア!!

 

 

転倒した俺の頭上を青白い光が通過した、目標を見失ったことで一直線に空を駆けていき…

 

はるか前方の方で爆発した……

 

おいおい、ビームって…あんなの食らったらガチで死ぬって!

いや、元々あいつらもそのつもりで攻撃してきたんだ、このくらいはして当然か…にしてもビームって…

ビームが飛んできた方を見ると、俺を殴った影の隣にもう一人が立っていた、おそらくビームを出したのはあいつだろう…

 

そして、俺に最初に襲いかかってきた剣持ちがそいつらの前に立つ。

どうあっても俺を殺りたいのかこいつら……

 

 

「…冗談じゃねぇ…」

 

 

訳も分からないまま死ぬのもごめんだが…

まだ、俺はやってないことがあるんだよ……

 

 

イストワールさんの仕事を全面協力するってことを!!

 

 

だからまだ死ねない!! 死ぬわけにはいかないんだ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここはプラネテューヌ教会の宗谷さんの部屋です。

急作りであまり充実したものは用意できませんでしたが、必要最低限の物を用意したこの部屋のベッドの上で、私、司書イストワールは彼の隣に座っています。

 

あの遺跡で剣を握ろうとした宗谷さんは不思議な体験をしました。

怪我もなく、剣もなくなったと言うだけでも不思議な話しなのに……今度はなぜか、彼の体の上に置かれていた三つのクリスタルを彼に手渡した瞬間、彼がまるで糸の切れた人形のように倒れてしまったのです…。

 

その後、なんとかアイエフさんとネプテューヌさんにコンタクトをとれて、彼を教会まで運べたのはいいのですが…彼は未だに目を覚ましません…

もう何時間寝ているのでしょうか、一体何があったのでしょうか…

 

唯一のヒントは彼に変化を起こしたこのクリスタルだけ…

 

「……待っていてください、宗谷さん」

 

少々時間はかかると思いますが、調べてみないことには何も変わらないでしょう。

現物が目の前にあるのでさすがに3日と言うほど長くはならないはず…

 

「失礼します…あ、いーすんさんどうかしたんですか?」

 

「あ、ネプギアさん……ちょっと調べたいことがあるので、その間彼を・・・宗谷さんの事をお願いできますか?」

 

「いいですけど……宗谷さん大丈夫なんでしょうか…」

 

「今はまだ分かりません…ですが何もしないわけにはいきませんから…」

 

私はそれだけ言うと、私の自室へと向かうことにしました。

ネプギアさんが宗谷さんのそばにいてくれればとりあえずは一安心です…。

 

 

彼がこうなってしまったのには私にも責任があります…

 

宗谷さんのあの時の顔…冒険と言って調査を楽しんでいた表情に釣られてあの状況を私も自然と楽しんでいました……

 

これが冒険、なんだと…

 

歴史を記録するしか能がなかった私に初めて教えてくれたあの感情…

 

私はあなたにお礼を言いたいんです。冒険の楽しさを教えてくれて、ありがとうございますと…

 

だから、早く起きてください宗谷さん……でないと、次のお仕事……いえ、冒険がなくなっちゃいますよ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いーすんさんがいなくなった宗谷さんの部屋で私は彼の様子を見守ることにしました。

 

それにしても、いーすんさんがあんなに深刻そうな顔をするなんて……最近じゃめったになかったことなのに……

宗谷さんの身にそれほど大変なことがあったのかな……

 

「おーい、ネプギア~、いる~?」

 

あ、お姉ちゃんだ。

 

ゆっくりとドアを開けて、そろ~っと部屋の中に入ってきたお姉ちゃんの右手にはプラネテューヌではポピュラーな市販のプリンがいくつか入ったビニール袋が握られている。

 

「お姉ちゃん、それって…」

 

「うん、ソウヤが起きた時にみんなで食べようと思ってね」

 

お姉ちゃんも宗谷さんのことを心配してたんだ…。

まあ、確かにお姉ちゃん、宗谷さんと一緒にゲームしてたり楽しそうだったからね。

私も宗谷さんに自作の機械を見てもらって褒められたりしてうれしかったし…

 

また、宗谷さんと一緒にいろんなことがしたい…

 

彼が来てから、この教会の雰囲気が更に明るくなったというか、活気づいたというか…

何でかは分からないけど、彼が来てから毎日がさらに楽しくなった。

 

「ソウヤ…早く起きるといいね…」

 

「うん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もうここに来てどれくらいたった?

 

時間間隔なんてもう分らなくなってきた…

 

あれから必死に逃げ回り、隠れたりして、もういい加減疲れた…

 

でも、長い間あいつらを相手にして分かったことはある……

それぞれに特徴があることだ。

 

まず、最初に襲いかかってきた二刀流の影、俺はこいつを“影1号”と名付けた。

こいつは飛んでもなく素早い動きをする上に、剣の扱いに長けている。

もう何度斬り飛ばされそうになった事かわからないくらいだ……

 

そして、俺の鳩尾を殴った“影2号”。

どうやら影1号と違ってパンチやキックによる格闘術に優れているらしい、だからパワーも半端ない、それに余裕で岩も砕いちゃう程だったからな…

 

最後に、ビームを撃てる“影3号”。

こいつは基本ビームで攻撃してくる、でもパターンは二つ、強力な破壊光線とレーザーブレードみたいなビームの二つだ。

なんとか直撃はしていないが、おそらく三人の中ではこいつが一番厄介だ、しかも……力も2号以上に強い……

 

“影三人組”の異常な攻撃力を前に普通の人間が太刀打ちできるわけもない…

 

せめて、なんかあればなぁ……

 

俺はため息をついて駆け込んできた岩場の影に座り込む。

服ももうボロボロだ、体もあちこち痛い。

 

このまま死んでしまうのかな…

 

 

その考えに導かれるように……奴が来た……

 

 

影1号だ。

両手の剣のうち、左手に握った剣を俺に向けてくる…

ゆっくりと俺に近づいてくる影1号…刃の切っ先はもう目と鼻の先だ……

 

ああ、もう今度こそ絶対絶命だ…

本気でヤバい…

 

影1号がゆっくりと剣を振り上げて俺にとどめを刺そうとする……

 

 

死ぬな、うん……

 

ごめんな、ネプテューヌ…もう、ゲームの対戦相手も協力プレもしてやれないわ…

 

ごめんな、ネプギアちゃん…自作ロボットの製作、手伝うって約束、果たせそうにない…

 

ごめんな、アイエフさん…あんたの好きそうなダークヒーロー、最後まで教えられなかった…

 

ごめんな、コンパさん…看護実習の練習台、うまく出来なくって迷惑かけて…

 

 

イストワールさん……ごめんなさい、あの時…卑怯な手を使って仕事もらっちゃって……でも、あの時は本当にうれしかった……

 

 

……また、冒険したかったな……今度はみんなで、一緒に………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっぱり…死ぬわけにはいかないな…

 

 

 

 

「っ! らあっ!!」

 

『っ!?』

 

 

俺は最後の力を振り絞って剣を振り下ろそうとした影1号に前蹴りを見舞う。

不意打ちに対応しきれなったみたいだな、うまいことヒットしたぜ…

 

 

……もう、逃げるコマンドは使わない……

 

こっからは戦うコマンドオンリーだ!

こうなったらもうヤケクソだ、そっちがその気なら俺も戦ってやる!! 剣だろうがパンチだろうがビームだろうが、受けて立ってやろうじゃねぇか!!

 

 

影三人組が俺の目の前に集結した。

上等だ、三人纏めて相手してやるぜ…

 

 

その時、俺は右手に何か違和感を感じた…

 

何かを握っている感じだった、ふと俺の右手を見ると…

 

 

 

「・・・あの時の剣・・・」

 

いつの間にか、俺の腹を刺そうとした剣を握っていた。

しかも、翡翠色から赤い色に変わり、手にも真っ赤な機械の様な装甲が装着されている……

どこから出てきたのかは分からない…でも、これだけはなぜかわかった。

この剣と、俺の腰に付いているベルトが、戦えって言っている…。

 

準備は万全だな…腹も括ったし、武器も手に入れた……

 

 

「さあ、ゲームスタートだ……コンティニューは、効かないぜ?」

 

 

俺はなんとなく言ってみた決め台詞を言いながら剣の切っ先を奴らに向ける。

奴らが構えをとると同時に、俺も地面を蹴り、奴らに突進した…。

 

 

「うおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからはもうがむしゃらだった。

影1号の剣を受け止めては隙を見て反撃し、影2号の攻撃は極力避けて剣をふるって牽制、影3号はビームを何とか回避しながら距離を詰めて攻撃……。

 

そんな戦い方でなんとか生き残ってきた…

 

もうほんとどのくらいたったかわからな…

 

でも、そんなん考えている余裕もない…

 

今は戦うんだ、生きるために、あいつらのところへ、今の俺の居場所に変えるために……たった三日の付き合いだけど……俺にとってはあの場所のみんなはもう、三日暮らした家族なんだ!!

 

「はあああ!!」

 

気合を込めて上から影1号目がけて剣を振り下ろす。

案の定両手の剣で防がれたけど、想定通りだ。

 

俺はそのまま体重を全部前にかけて影とほとんど密着するような体制に持ち込む、そしてそのまま、奴のがに股の両足の間に片足を突っ込んで、左足を払う!!

 

体制を崩した影1号に左手で顔面のあたりを殴り飛ばす!!

 

 

それを見た影2号が俺めがけて思いっきり跳躍、そのまま空中でまるでコマのように回転し超大技と思われる回し蹴りを俺めがけて撃ち込んでこようとする。

 

「もう、見飽きたぜその技!!」

 

俺は跳躍によってできた奴と地面の間を受け身を取るようにくぐりぬけて回避、着地した奴の背中にヤクザキックを喰らわしてやる。

もう何回あの技を喰らいそうになったことか……もう大体どんな技か把握できたぜ。

 

 

影3号が光線を撃とうとしている、奴は光線を撃つ前に何かポーズをとる…。

たぶんあの体制は、破壊光線!

 

「やれるもんならやってみろぉぉぉぉおおお!!」

 

俺は光線が撃たれる前に駈け出して奴との距離を埋める、そして奴の手が一番光った瞬間に横に飛ぶ!!

 

案の定、放たれた光線は俺の横を通過して行った。

でも、やっぱり熱いな……ちょっと服焦げたっぽい……

 

でも、チャンスは一度!!

 

一気に距離を詰めて思いっきりジャンプ!

そして…

 

「うらああああああああああああ!!」

 

小学生のころ、年下の奴らをいじめてた奴らに、施設の何人かで喧嘩を売った時にやけくそでやったドロップキック。

あれを一か八か奴に喰らわしてやった!

 

でも、さすがに防がれたみたいだ…。

 

 

ここまで反撃したのは、これで初めてだ。

 

たぶん奴らもここからは本気で来る…。

 

うし、また様子を見ながら対策を………。

 

 

取ろうとした時、急に影三人組が臨戦態勢を解いた。

 

あれ? どうしたんだ急に……さっきまでやる気満々だったじゃん?

 

俺が訳も分からないままでいると、影1号が両手の剣を背中のあたりに戻したのが見えた。

 

 

 

『合格、ゲームクリアだ』

 

 

 

ふと影1号から声が聞こえた。

今まで聞いたこともなかった奴の声に俺は内心マジで驚いている。

こいつ、喋るぞ!? 見たいな感じで…

 

『よくここまで戦えたものだ……形はなってないが、その闘志ははっきりと感じた』

 

『君の諦めない心、それが今の反撃を生み出すチャンスになったんだ』

 

1号に続いて影2号に3号までが喋り始めた!?

こいつら一体…

 

俺は一旦深呼吸して奴らの様子をじっくり観察する。

 

今まではっきりとその姿を見たことはなった……

でも、落ち着いてじっくり奴らを見ると………輪郭がうっすらと浮かんできたぞ?

 

 

影1号は俺と同じくらいの背丈……背中には何度も俺を攻撃してきた二本の剣が納められている。

着ている服は……ロングコートか?

それに、この声…どこかで聞きおぼえがあるぞ?

 

 

 

誰だっけ…………………………?

 

 

 

あの見た目と声……………………………………………

 

 

 

 

………まさか、ウソだろ?

おいおいおいおい、俺今飛んでもない状況にいるんじゃねぇか!!?

さっきとは比べ物にならない位のとてつもなく! たぶんこの先一生ない位のビックイベントに、今いるんじゃないのか!?

 

 

「…もしかして…お前…」

 

 

 

俺が恐る恐る奴の、影1号の本当の名前を言おうとした時だった。

 

彼を覆っていた黒い影が霧が晴れるようになくなった。

 

そこから現れたのは見間違うはずもない……何度も読んで何度も見て、何度も憧れたVRMMOで愛する人と元の世界に変えるために戦った黒ずくめの二刀流使い……

 

 

 

 

 

『ソードアート・オンライン』の『キリト』だった!!

 

 

 

 

………マジでか………

 

『ん? …どうした? ラグってんのか?』

 

キリトはそう言って呆然としている俺の目の前を手で振って大丈夫かどうか確認する……。

大丈夫です、意識はハッキリしてます、はい…

 

でも、落ち着いてはいられるものか!!

俺は右手に持っていた剣を地面に思いっきり突き立てて斜め四十五度の礼を見せる!

 

 

「は、初めましてキリトさん! 自分、天条宗谷18歳、好きなものはラノベ、ゲーム、特撮、漫画、ヒーローが出るならなんでも! と、特にラノベではキリトさんのことが大好きでした!! あ、いや、好きといっても恋愛感情ではなくて! あくまで憧れでして!! すみません失礼だと思いますけど背中の剣見てもいいですか!? あ! サインももらっていいですか!! まさか二次元の壁を越えてキリトさんに会えるなんて! ああどうしようサイン色紙持ってなかった!! ジイイイイイイイイィィィィィィザスッ!!」

 

『お、おお、わかった! 分かったから落ち着けって! それに俺はお前のことをよく知ってるから!』

 

 

あまりにトリップして訳も分からないまま、興奮状態になった俺をなんとか落ち着かせようとしてくれるキリトさん。

ああ、そうだ、落ち着け、ここで取りみだしたら第一印象悪くなるだろ俺!

 

 

………ん? 今、キリトが俺のことを知っているって……

 

 

「俺のことを知っているって、一体どういう?」

 

さっきまでのトリップ状態を無理やり抑え込んでキリトにそれを尋ねると、彼も縦に首を振って頷いた。

 

『俺がじゃなくて、俺達がだけどな?』

 

そう言うとキリトは俺の後ろにいる影2号と影3号に目をやる。

俺も釣られてそっちを見ると、二人の影もいつの間にか消えていた。

 

影2号は筋骨隆々の体に空手の道着を着こんでいる、袖がもうかなりボロボロだが、それが逆に風格すら感じる、いかにも男らしい顔つきに頭には赤い鉢巻……

 

間違いない……ゲーム、『ストリートファイター』の『リュウ』だ!!

 

 

影3号の方はシルエットは完全の人型だけど、見た目はかなり違う。

赤と銀の体に銀色の顔に光り輝く丸い目、胸には青く輝く水晶。

 

あれは…幾度となく地球を怪獣や宇宙人から救った、光の国の勇者…

 

『ウルトラマン』だ……間違いなく『ウルトラマン』だ!!

 

 

俺が憧れたヒーローたちが何故……

 

俺があまりのことに呆然としていると、キリトは二人の前に移動した。

 

『俺達は確かにお前の言うラノベや特撮、ゲームのキャラクターだ』

 

『だが、ここにいる俺達はそのキャラクターの情報をクリスタルに詰めた情報体』

 

『言うなれば、“ヒーローメモリー”に記憶されたキャラクターの精神体だ』

 

キリト、リュウ、ウルトラマンの順でそう説明してくれる。

つまり、俺の目の前にいるのは確かにキリトやリュウ、ウルトラマンそのものだけれど実物ってわけじゃない……ってことらしい。

 

 

「なら、何であなたたちは俺を殺そうと?」

 

『修行だ』

 

 

俺がそう聞くとリュウがきっぱりとそう言った。

しゅ、修行ですか……

この人が言うと本当に修行って言葉が似合うなぁ……

 

『俺達の役目はこの世界に来た宗谷、君に必要最低限の戦う力を与えることだったんだ』

 

ああ、そう言うことか…

だから、最初にキリトは俺を斬ったんだ、本気で戦わないとやばいって状況を作り出すために…

 

そう言えば、俺が本気で戦う気を起したときはそれほど積極的な攻撃をしてこなかったな……

たぶんそれまではキリトもリュウもウルトラマンも持ち前の力をバンバン使ってたはずなのに……

 

『結果として、君はその剣を扱えるようになり、“力”の一端も発動することができた』

 

「力の一端? ていうか何のために俺はこの世界に……」

 

『おっと、それ以上はネタバレになるぜ?』

 

俺がウルトラマンに問いただそうとした時、キリトがそう言ってきた。

どうやら、それに関してはまだ言う気はないらしい。

でも、わざわざこんなことをしてどういうつもりなんだ? まるで、“力をつけないといけない”何かがあるみたいじゃないか……

 

『このゲイムギョウ界には、俺達のようなヒーローメモリーに記録された英雄たちの思念がお前を求めている』

 

『真実を知りたいなら、それらを集め、力をつけるんだ』

 

『この世界でいずれ起きる、来るべき戦いに備えて』

 

彼らはそう言うと、右手から何か光り輝くボールみたいなものを浮かび上がらせた。

それはふわふわと浮かびながら、俺のベルトの中に吸収されていく。

 

『それは私たちの力の一部だ』

 

『いざという時はそれを使ってくれ』

 

そして、俺の目の前にも光が集まり、何かを形成する。

 

光が集まってできたのは四角い、俺の世界で言うスマホと似たようなものだった、でも装飾が真っ赤で妙にメカメカしい……

すると液晶画面に何か文字が浮かび上がった。

 

「……V.phone?」

 

俺はそのスマホ、V.phoneを手にする。

 

 

『じゃあな、また対戦しようぜ?』

 

 

キリトのその言葉を最後に俺の意識はそこで途絶えた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めると、プラネテューヌでイストワールさんが俺にくれた生活を送るための自室だった。

ベッドの横でイストワールさんが本に座ったまま寝息を立てている。

 

やべ、かわい…と、いかんいかん……

 

俺はあの時みたいに彼女の頭をつついて彼女をゆすってやると…

 

「うにゅ……ぅん?」

 

かわいい声を出して、目をこすりながら俺を見てきた。

俺は久々に会った感じがするイストワールさんに、あの神殿の階段で見せた笑顔を見せてみる。

 

「おはよう、イストワールさん」

 

すると、イストワールさんの目がきょとんとしたまま動かなくなった。

あれ? 俺なんかまずいことしたかな?

 

すると、今度は小さな体に合った小さなサイズだけど大きくてくりっとした小さな目から大粒の涙が流れ始めた!

え!? どうしたのいきなり!?

 

「そ、そう……や、さん…っぐ、ひぐっ…」

 

「お、おおおおおおいどうしたんだよ!? 急に!? お、俺そんなに心配かけた!?」

 

「う、うぐっ……ひぐっ、ぇぇえ…」

 

「ああ、大丈夫! 大丈夫だから!! 俺この通り生きてるから!! むしろ、たぶんだけど……パワーアップして帰ってきたからサイヤ人みたいに!!」

 

あまりに焦って口調が素になっている俺の頑張りも空しく、イストワールさんはそのミニマムな体に合わないほどのマキシマムな声で号泣してしまい。

さらにその声に反応したネプテューヌ達が俺の部屋に殺到することで、俺は危うく死にかけた……

 

いきなりネプテューヌが飛びついてくるんだもん……

 

ほかのみんなもイストワールほどじゃないけど涙目になってたし……

 

イストワールさんに至っては泣きながら本の角で俺の頭を何回も叩いてきたからね?

一体俺があの世界で大変な目にあっている間に、彼女に何が起きたのか……

 

 

 

 

後になって聞いたが、俺はあの神殿でぶっ倒れて、それから約三日眠っていたらしい。

 

あの世界でボロボロになったはずの衣服も元通りだったことを考えると、どうやら俺の意識はあのクリスタルによって所謂精神世界に飛んでいたらしい。

今でも、あの時の戦いの感覚が残っている……。

落ち着いて考えてみると、俺はたぶんあの世界で少なくとも一年以上は戦っていたと思う……それでも体に影響がないのが不思議なくらいだ……

 

そして、俺が起きたと同時にあの三つのクリスタル、“ヒーローメモリー”が消えていた。

その代わりに俺があの世界でキリト、リュウ、ウルトラマンとの別れ際にもらったV.phoneがあった。

俺は呼びづらいので“ブイホ”と呼ぶことにした。

 

イストワールさんも俺が寝ている間、ヒーローメモリーについて調べていたらしい。

結構時間がかかったようだけど、おかげで説明は必要なかった。

 

 

「本当にあの時は心配したんですよ? このまま起きないんじゃないかと思ってました……」

 

「それについては散々謝ったんだけどな?」

 

「そんなんじゃ足りません!」

 

ふくれっ面になって怒るいーすんに俺は今日何回目かの苦笑いを浮かべる。

あれから、俺は素の自分を彼女に見せたこともあり、かしこまってイストワールさんと呼ぶのをやめて、親しみを込めて、いーすんと呼ぶようにしている。

 

最初はいーすんも恥ずかしそうにしてたけど、今はもう慣れたようだ。

 

こうしてたまに外に出てプラネテューヌの街並みを見て回りながら、ご機嫌をとっているのも日課になりつつある。

 

「……でも、よかったです……また、あなたが戻ってきてくれて……」

 

いーすんはそう言うと、俺の頭の上にちょこんと座った、ちなみに本ごと、地味に重い……けど口には出さない、失礼になるからな……

 

「これで、また新しい冒険に行けますね?」

 

頭の上でそう言う彼女に俺は自然と心からの笑顔を浮かべた。

 

「ああ、そうだな……また、どこかに行こうぜ? いーすん」

 

「はい、宗谷さん!」

 

俺達は約束を交わして、再びプラネテューヌの街並みを歩き始めた。

さぁて、次はどこに行こうかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

この日、俺は死闘の末、憧れのヒーローと出合い、修行を終えて…いーすんと仲良くなった

 




いかがでしたか?

満を持して三人の主人公キャラが登場しました。
この先、彼らの協力が物語のキーポイントとなってきます


次回からはラステイション編です

それではまた、お会いしましょう。
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