今週は学校のレポートやらなんやらで忙しく投稿がいつもより遅くなりました(汗
今回のお話は、前回ちょろっと登場した彼と、最後の方に出てきた彼が出てきます。
だが、何やらその雲行きはどこか怪しく…?
それではお楽しみください、どうぞ!
日本一の勘違いのせいで起きたいーすん裏切り疑惑事件もひと段落し、一日が経った。
彼女のお騒がせのせいでひやひやしたが、まあ何もなくて良かった。
ただ………。
「なぜこうなった……?」
朝起きてまだ体が気だるい中、目を覚ました俺がまず体に感じたものは身体に纏わりつく妙な重さだった。
何かと思って布団を開けてみれば…。
「くぅ……むにゃ……」
俺のお腹の上に乗ったまま気持ちよさそうに寝息を立てるパジャマ姿の日本一の姿があった。
まず、なぜ彼女がここにいるのかから説明するとしよう…
実は昨日、クロ服ヤマトの皆様にこっぴどく絞られた彼女はその後教会を訪ねてきたのだまさかまだいーすんの事を疑っているのかと思ったのだが、どうにもそうではないらしく…。
『ラステイションで捜査中の仲間から連絡が入るまでしばらくここに泊めてもらえないかな? ……実は、寝泊りするところも……お金もなくて……』
と、涙目で切実に頼んできたもんだから相談した結果しばらくここに泊めてやることにしたというわけだ。
今現在金欠らしく、今回の勘違い騒動の大本とはいえ、彼女を野ざらしにするのも罪悪感があったので、教会の仕事を手伝うという条件付きで住まわせてやることにしたわけだ。
だが、その彼女がなぜ俺のベッドの中にいるんだ………?
……大方寝ぼけて部屋を間違えたとかか?
天啓的すぎるだろう……。
俺は俺の身体に絡められている彼女の腕や足をゆっくり外して、その場を脱出する。
彼女がもう少しグラマラスに発達していたらこうはいかなかったかもしれないが、なにぶんほぼ未成熟な体の彼女には男を惑わす色香がやはり欠けている。
そのおかげで過ちを犯さないで済みそうだ。
「んぅ~……まてぇ~…」
もう少しで彼女の身体と俺の体を離せそうと思った矢先、寝ぼけた日本一が俺にしがみ付いてきた。
こいつ寝相悪いな…。
俺がそう思っていると……。
「うぇへへ~……おっきいハンバーガー…♪」
「は?」
「はむっ……」
「んなっ!?」
こ、こいつ……! ね、寝ぼけて俺の耳に噛みついてきた!?
い、いや違う……噛みつくっていうより、本当、ちょっとだけ、はむはむしてる感じの所謂甘噛みってやつだ。
安心した様なそうじゃないような……。
「んぅ……うむ……あむ……」
「っ………」
………前言撤回、全然安心できません。
な、なんだこの感覚は……耳を唇と歯で軽く噛まれるのってこんな感覚なのか?
痛くはないけど、なんかくすぐったい……。
い、いかん……これはあまりよろしくない。
さっきの体制と違ってしがみ付いてきたせいで日本一の顔がすぐ近くにあるし、なによりそのせいでクチナシの様ないい香りが俺の鼻腔をくすぐってくる。
色気がないとか思ってたけど、何なんだよこいつ……十分、女の子じゃないか!
このままではいけない、そう感じた俺はもう一度彼女のホールドから離れようとするが…。
「こんどは……あいすぅ……♪」
―――ぺろり…。
「はふぇっ!?」
突然の事に変な声が出た。
いや、出て当然だぞこんなの……。
寝ぼけているとはいえ、お、女の子に耳を舐められたんだぞ!?
耳の外側から中にかけてぬるりと生暖かい、湿った感覚が駆け巡る。
その度に俺の背筋にぞわりとした感覚と、変な快感が走る…。
……あれ? なんかこれ、いいかも……。
ってそうじゃない!!
い、一刻も早く、ここから脱出しないと!!
俺は慌てて日本一のホールドから抜け出そうとするが、いかんせん耳を舐められる感覚のせいでうまく力が入らない…。
「あむ……れるっ……ちゅっぷ……」
「うっ……ぁっ…お、おいもう! ん、くっ……!」
ああ……まさか、俺が襲われる側になるなんて……!
舐めるのと甘噛みを組み合わせたコンビネーションで俺をまだ食べ物と勘違いして未だに物理的に食べようとする日本一。
ま、まずいぞ……そろそろ本気で……我慢が……い、いいや待て! こ、こんな状態で理性を失うな俺! 不健全極まりない行為はするべきじゃない!
だ、だがこの感覚……あ、やべぇ……やっぱ癖になる……じゃない!! 正気を保つんだ!
「このっ……!」
いい加減痺れを切らした俺は一か八か……
「いい加減にせんかぁぁぁあああああああ!!」
「うきゃうっ!?」
渾身の力を振り絞って日本一を無理矢理引っぺがした。
何とも間の抜けた声を上げつつベッドの上を転がった日本一、よろよろと反動で起き上った彼女はまだ若干寝ぼけ眼だ。
「ったく……お前なぁ! 健全な道を生きると決めた俺だから良かったものの、寝ぼけて変なことをするな! もし俺の様な気の迷いを許さない人間じゃなかったらお前が逆に食べられてたんだぞ!?」
朝からベッドの上で仁王立ちして日本一に説教を開始する。
今後こういうことがないように、今のうちにしっかり教訓を与えるべきだと判断したからだ。
「………?」
だが、目覚めて間もない日本一は何が起こってるのかわからないと言いたげにまだうつらうつらとした状態だ。
まったく、これじゃあ説教の意味がないじゃねぇか……。
ていうか、お前どこ見てるんだよ。
人が説教してるんだからせめて寝ぼけてても人の目を見ろ、目を。
……まあ、寝ぼけてるから仕方ないか……。
「………しゃあない、この続きはお前が目を覚ました後で」
―――つんつん
「………へ?」
俺はこの時、完全に油断していた。
仁王立ちになったが故にできてしまった、座っている状態の彼女との高低差によって生まれる位置関係。
そして、朝であるが故に起きる、“男性特有の生理現象”。
その二つが会いまみえたことで完成してしまった、大いなるハプニングを……俺は予想していなかった……。
「………てんと?」
寝ぼけながらある一転を見据えて、つんつんとその先端を突っつくのは日本一。
そして、彼女の前で仁王立ちしているのは当然俺な訳で………。
………まあ、つまりは………
朝日を浴びて覚醒した俺の約束された勝利の棒を、ズボン越しに日本一が突ついているというわけで……。
要するに………
初めて女の子に、あれを触られた……。
「………いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああ!!」
人生で一番の絶叫を上げて、俺は一目散にその場から逃げ出す。
だって当然だろ! 初めてだぞ! 俺の初タッチを寝ぼけた女の子に触られたんだぞ!! 初めては好きな人とって決めてたのに! 決めてたのにぃぃぃぃいいいい!!
目から迸る涙のスパーキングと共に、俺は叫びながら教会の中を駆け巡り、一目散に外に飛び出す。
こんな汚れた体でみんなと会えるわけがない! あ、そうだ! 旅に出よう! 誰もいないどこか遠い国に!
なんてことを考えつつ、全力疾走する俺の前に………。
………彼は突然現れた。
「うるっせぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええ!!」
「ぎゃぁぁあああああ!?」
教会を飛び出した俺の叫びに対してなのかは知らないが、その人物は同じくらいの声量で叫びながら俺に向かって強烈なドロップキックを撃ち込んできた。
痛い……冗談抜きで素で痛い……。
………ていうか、何やってんだ俺。
いくら取り乱したからって叫びながら教会飛び出すって……。
痛む背中をさすりながら、俺はそっと状態を起こす。
ていうか誰だよ、いきなりドロップキックしてきたのは? 結構痛かったんだぞ?
そう思い、そのドロップキックした犯人の顔を見てやろうと、振り返ると……。
「ぎゃーぎゃーぎゃーぎゃー、朝からやかましんだよ、発情期ですかコノヤロー…こちとら二日酔いで頭痛いんだよ、叫んだら頭に響くだろうが」
「………マジで?」
無造作にぼさぼさにされた銀色の天然パーマの髪、着崩した白と水色の和服と黒のシャツを合わせたような服装、腰に刺した一本の木刀、そして、代名詞ともいえる彼の死んだ魚のような目……。
その眼で俺を見下ろし、気だるそうに頭を掻く彼を見た俺は、予想外と思わずにはいられなかった……。
間違いない、この人は………この人は………!
“銀魂”の“坂田銀時”………!
「はい、この作品を読んでるお前、俺が前回と番外編でだけちらっと登場した出オチとか思ってたやつはケツバットな?」
………いや、誰に言ってんだよ!?
「………で、なんであんたがここにいるんだよ?」
あれから少し時間を空けて、ネプテューヌたちが起きてきた後、俺は改めて教会に戻り、みんなを集めていつの間にか教会の前に来ていた銀さんに質問した。
ちなみに、今いるのは俺を含めるとネプテューヌ、ネプギア、いーすんの四人。
日本一は、まだ起きていない……というか、もう起きて来ないでほしい……顔を合わせづらい。
……まあ、それはいいとして当の問題となっている銀さんは気だるそうに耳を小指で掻きながら欠伸をする。
「………ねえ、ソウヤ、この人だれ?」
「……俺の世界にあった漫画の主人公、坂田銀時、通称銀さんだ」
目の前にいる彼のことを知らないネプテューヌに俺は銀さんに変わって彼の名前を説明する。
それを横で聞いていたネプギアは何かに気付いたように銀さんのことを見る。
「宗谷さんの世界の漫画の主人公……ってことは、この人って」
「ああ、たぶん……ヒーローメモリーだな」
考えられる可能性としたら、それしかなかった…。
いや、これはさすがに予想外だった……。
まさか銀さんもヒーローメモリーのカテゴリに加えられていたなんて……今までのヒーローとはまた違った癖のあるキャラだけど、さすがにこのパターンはどうなんだろうか?
俺も悪かったとはいえ、教会の外に飛び出したらいきなりドロップキックだぞ?
さすがにそれはどうかと思うぜ?
「おい、とりあえずよ、お前が天条宗谷ってことでいいんだよな?」
「あ、ああ……そうだけど?」
いきなり俺の方を見て声をかけてきた銀さん、俺はこくりと頷きながら返事を
「モノローグ長いんだよ、いちいちいちいち、小説だか何だか知んねぇけどもう少しコンパクトに纏めろよ」
「……はい?」
「お前さ、目の前に銀さんいるんだよ? 一応これでもジャンプの主人公で、さらに言えば最近になってアニメも再会した今を輝く主人公が出てんだよ? それなのに何お前心の中でベラベラベラベラ喋ってんだよ、銀さんの出番が少なくなっていくだろうが」
「いやいやいやいや! あんた出てきていきなり何言ってんの!?」
「それに今回の出だし、なにあれ、いきなりエロネタってどうなの? なに、お前は何になりたいの? スクエアに連載されたいの?」
「何故そのことを知っているんだあんたは!!」
突然何を言い出すのかこの人は……ていうか、さらっとこの人、人の心を読んでるし、何、どうなってんの?
ていうか、あんたいつのどこから見てたの?
「そもそもさ、この作品のコンセプト多重クロスも含んでるんだろ? だったらさ、何なの俺らの立ち位置、何だよヒーローメモリーって、出てきてお前鍛えたらはい出番終わりってどういうことだコラぁ!」
「いや、俺に怒られてもわかんないんだけど……」
「そうだよ、そう言うのは作者本人に直接言ってくれないと!」
「ネプテューヌも便乗するな!!」
まずい、なんかやばい、このままだと世界観が崩壊してしまいかねない……。
っていうか、さっきから何言ってんだよこの人、何をそんなに不満げに話してるの? 何がそんなに気に入らないの!?
「あの、銀時さんでしたよね? とりあえず今は、なぜあなたがここにいるのかをお聞きしたいのですが……」
見兼ねたいーすんがほぼ無理やりだけど、話を元の路線に戻してくれた。
このままいくと本当に危ないことになりそうだったからな……まったく、ひやひやするぜ。
「あん? それはお前、あれだよ………あれ………あれ? あれってなんだったっけ?」
「覚えてないんかい!」
いーすんの気遣いも虚しく、目的をすっぽり忘れていた銀さんに俺はすかさずツッコミを入れる。
いや、いくらなんでも出てきて早々目的を忘れるってどうなの!?
「あー……確かここに来る前に実体化したはいいんだけど、道がわかんなくて金髪の二つ結びの姉ちゃんに道を聞こうとしてたのは覚えてんだよ……ただその後、急に後ろから誰かに蹴り飛ばされてよぉ……気が付いたら夜中になってて」
………なんだろう、すっごい身に覚えがあるような、ないような………。
まあ、あまり気にしないでおこう……。
少なくとも、8割くらい悪いのはあいつのはずだし…。
昨日日本一がしでかした犠牲者に心の中で合掌しつつ、俺は再び銀さんに向き直る。
「で、その後はどうしたんだよ?」
「あぁ、なんかわかんねぇけどもう夜中だしよ、今日はやめとくかって感じになってその日はここに来るのをやめたんだよ……で、その後適当な店で飲んだんだっけか?」
ああ、さっき言ってた二日酔いは多分ここからだな……。
大方飲みすぎて二日酔いになったんだろうな、実体化して世界が違っててもこの人はどこでも飲めるのか?
歌舞伎町とか関係なく、この人にとっては飲めればどこでもいいのだろうか?
銀さんの一連の事情は大体把握した。
要するに、何らかの目的で実体化した後、俺に会うために教会を訪れたようとしたが思わぬ邪魔が入り、やけになってどこかのバーで飲んで、二日酔いになりながらもここに到着して、叫びながら教会を飛び出した俺にドロップキックして、今に至ると……。
………なんだこれ?
漫画でもかなり破天荒な人だとは思ってたけど、まさかこれほどとはな…。
万事屋の新八の気持ちが今になってわかる気がする…。
「………あの、宗谷さん」
隣に座ってたいーすんが俺に小声で話しかけてきた。
その表情はどこか訝しげなものだった。
「この人は、本当に宗谷さんが憧れた方の一人なんですか? どうにも、その様には感じないのですけど……」
「ああ……まあ、言いたいことはわかる」
いーすんからしてみれば銀さんは到底ヒーローメモリーに選ばれるような人には見えないそうだ。
普段の生活の態度が見た目にありありと出ているからなおさらなのかもな…。
「でも、これでもすごい人なんだぜ? 昔起きた戦争で大活躍して“白夜叉”ってあだ名をつけられたくらいの人なんだ、それにこんなでも決めるところは決める人だからさ…」
「………そうでしょうか」
俺がフォローを入れてもいーすんはまだ銀さんを訝しげな眼で見つめている。
うーん、相性が悪いのかな?
生真面目な性格のいーすんだからあまりよく見えないのは当然なのかもしれない、でもさっきも言った通りこの人はこの人で大分すごい人なのを俺は知っている。
かつて“攘夷戦争”と呼ばれた大きな戦で多くの敵を倒した彼の強さはジャンプヒーローの中でも十分なほどの強さのはずだ、ランキングにするとどのあたりに位置するかはわからないがそれでも悪くないランクに入るのではないだろうか…。
普段こそこのようなだらしない姿だけど、決める時はさりげなく決める、それが銀さんだしな。
「………まあ、銀さん、あんたが何を目的にここに来たのかはこの際どうでもいいとして」
「え、さらっとスルーすんの? 俺の考えは無視か?」
「あんたはヒーローメモリーとしてこの世界に存在している、それについては間違いないんだよな?」
俺が銀さんに何を今更と思うだろう質問を投げかけると、銀さんは一応肯定の意思を示してくれたのか天然パーマの銀髪を掻きながら、まあな、と返してくれた。
「なら、銀さん………あんたも俺も修行相手になってくれるのか?」
俺が銀さんの目を見てそう聞くと、銀さんは珍しくシリアスな瞳を浮かべて俺のことを見つめ返してくる。
自然と他のみんなの空気も張りつめたものになり、その場の空気は緊張状態に陥る。
「………言っておくが、俺の修業は他の奴らと同じくらいしんどいぜ、それでもいいのか?」
「そんなの、覚悟の上だ」
俺は頷きながらそう返事をすると、銀さんはふっと口元に笑みを浮かべた。
「………わかった、なら早速始めるか」
遂に、俺の新たな修行が始まる………。
「まず、この亀の甲羅を背中に背負え、そんでここに“銀”と書いた石がある、これを窓から思い切り分投げるからお前はそれを探して拾って来い」
「丸パクリじゃねぇかぁぁぁぁあああああああああ!!」
「おぶふぉぉぉぉぉおおお!?」
重苦しい雰囲気を一気にぶち壊した銀さんに俺は思い切り背負わされていた亀の網羅をぶん投げる。
亀の甲羅は見事に直撃し、銀さんはそのまま亀の甲羅の下敷きになった。
「めちゃくちゃ見たことのある修行法じゃんか! 修業を始めるって言っておきながら何余裕でパクってんだよ!」
「え、なに? これじゃなくてピンポン玉を避けるやつがよかった?」
「ボクシングするつもりねぇよ!!」
「しかたねぇな、じゃあこの強制ギプスを体に装着して……」
「野球もしねぇよ! 星一徹に謝って来い!!」
パクりの修行法を伝授しようとしている銀さんに俺は全力で抗議するが、銀さんは顔色一つ変えることなくあっけらかんとした態度を貫く。
「なんなんだよ文句ばっかりいいやがって、そんなにこの修行をしたくないなら、よその子にでもなりなさい!」
「お母さん!? なんでここでお母さん出てきた!? だからそうじゃなくてパクリの修行法とかじゃダメなんだよ! 銀さんオリジナルの、こう……剣撃とかを主体にしたやつ!」
「なんか正直そういうのめんどくせぇんだよなぁ……修行とか言われても俺そう言うガラじゃねぇし、なにが悲しくてチェリーのガキの面倒見なきゃいけねぇんだって話だよ」
「ぶっちゃけやがったなこの天パぁぁぁあああああああああ!!」
「あんだこらぁぁぁぁぁあああ!! てめぇに天パの苦しみが分かんのかコラァァアアアアアアアア!!」
絶対に聞き逃すことのできない発言をした銀さんに俺は叫びながら掴み掛かり、そこから取っ組み合いの喧嘩に発展する。
この人、実際に会うとこんなにイライラする人だったのか……なんか憧れて損した気分だ。
「ちょ、ソウヤ落ち着いて! 喧嘩してもいいことないって、ね?」
「ネプテューヌ、ちょっと引っ込んでろ! 俺は今猛烈にこの人を殴りたい!」
「あの銀時さんも落ち着いて…」
「うるっせぇ! 姉と比べたら第一印象薄そうな性格の妹キャラは黙ってろ!」
「………そうですよね………私、お姉ちゃんと比べたら第一印象、薄いですよね………ぐすっ」
「ああ、ネプギアさん大丈夫ですよ! あなただってちゃんと女神候補生と言う役目があるじゃないですか!」
まさに一触即発。
一瞬にして大騒ぎになった部屋の中で俺と銀さんを止める者はいないかもしれない…。
いよいよ収拾がつかなくなってきた、その時………。
「まったく、相変わらず不真面目なのは変わりないな」
そう言って何者かが大騒ぎする俺達のいる部屋の中に入ってきた。
俺達はその声の主が何者なのかを確認するために、その声が聞こえた咆哮に目を向ける。
「てめぇは………」
「………あ、あなたは!」
その姿を見たとき、俺は再び目を見開いた。
目の前にいる彼の存在に、俺は今日二回目の心の躍動を感じた。
体中を覆う、メタリックシルバーのコンバットスーツ。
メタルヒーローとも言われた彼の最大の特徴を一言でいうならそれしかないだろう…。
そう、彼は………。
「“宇宙刑事、ギャバン”!」
キレのある動きと共に名乗りながら右こぶしを自分の前に持ってくるようにして構えた彼、“宇宙刑事ギャバン”の登場に驚いた俺は俺にのしかかってた銀さんを思い切り押しのけてギャバンの方に一目散に向かった。
「ギャバンが何でここに!? あ、あの! お会いできて光栄です! 俺、天条宗谷と言います! ヒーローを目指しています!」
彼の手を取って自己紹介する俺をギャバンは頷きながら握り返してくれた。
「よく知っているともさ、宗谷、よろしくな」
「は、はい!」
「なにあいつ、別のヒーロー出てきた瞬間俺よりあっちの方に行ったぞ、ていうか何あの態度、俺の時と全く違うんだけど?」
嬉々として頷き返す俺の後ろで何か聞こえた気がするが、気にしないでおこう。
それよりか、なぜギャバンがここに来ているか、まずはそこが気になるところだ。
「あの、ギャバンはなんでここに?」
「ああ、そのことなんだが……ここに一人の女の子が来ていないか?」
「え、女の子………もしかして」
いーすんが心当たりのある、一人の人物の名前を出そうとした瞬間、リビングから廊下へと繋がるドアがガチャリと空いてそこから噂の人物が出てきた。
ぼさぼさの長髪のまま、パジャマ姿で出てきた彼女はまだ眠いのか目をこすっている。
「朝から騒がしいけど……なにがあったの~…?」
欠伸交じりにそう言った彼女の姿を見た瞬間、ギャバンはコンバットスーツを解除し人間としての姿に戻った。
「やっぱりここにいたのか、日本一」
「ん~………あ、ギャバン! 何でここに!?」
寝ぼけている様子だった日本一が彼の姿を見た瞬間一変、一気に目が覚めたのか目をぱっちりとさせてギャバンに詰め寄った。
え? ていうか、お知り合い?
………そう言えば、昨日、日本一がギャバンの歌のセリフを言っていたことがあったっけ?
それに、仲間が別口で捜査していたって言っていたような……。
………まさか
「なあ、日本一、お前の仲間って……もしかして」
俺が恐る恐る聞くと、彼女はエッヘンと無い胸を張った。
「紹介しよう、今捜査している違法コピー業者事件でアタシと組んでいる仲間のギャバン!」
………予想が当たった。
まさか、仲間がギャバンの事だったなんて……。
「彼女とはちょっと前に出会った仲でね、その時にウマが合って今はこうしてバディとして組んでいるんだ」
「そうだったのか……」
簡易的な説明をしてくれたギャバン、そして彼はその後再び彼女に向き直る。
「それはそうと、日本一……遂に、奴らのアジトが分かったぞ」
「っ! それ、本当なの!?」
「ああ、間違いない」
急にシリアスな顔つきになった日本一、気になったのかネプテューヌがその間に入って何事かを聞く。
「ねえ、捜査って行ってたけど何があったの?」
その言葉に日本一が腕組みをしてなにやら重大なことを言いたげな雰囲気を醸し出す。
「前にちょっと言った気がするけど、以前からこのあたりで違法コピーしたゲームソフトの違法売買が秘密裏に行われていると言う情報がとある筋から流れていたんだ、アタシとギャバンはその真実を確かめるべく二手に分かれて調査をしていたというわけ」
「情報によると、売買によって手に入れた金でなにかを企んでいるというようなのだが……まだその点についてははっきりとは分かっていない」
ギャバンはそう付け足した後、そこでだ、と言いながら俺の方を指さしてくる。
「天条宗谷、君にこの操作を協力してもらいたい」
「え、俺に?」
あまりにも突然の提案に、俺はきょとんとしてしまった。
だって、この状況でいきなり俺の名前が出てくるとは予想もしていなかったからだ。
「そうだ、私たちと共にその犯罪組織のアジトに潜入し、悪事の証拠を掴むのを手伝ってほしい、修行を兼ねて君の能力も見させてもらいたいからな」
どうやらギャバンはこの操作に俺をスカウトしたのは彼なりの修業を兼ねてのことだったらしい。
そう言うことなら………。
「………わかった、着いていきます!」
俺が力強くそう答える。
「あの、私たちはどうすれば?」
ネプギアがどこか不安そうな表情でギャバンに問う、だがギャバンは首を左右に振ってその質問を拒否した。
「今回は彼自身の能力を見させてもらいたい、それにあまり大人数なのは潜入捜査には向かないからな、すでに向こうには私が協力を頼んでいる人がいる、すまないが君たちを連れていくことはできない」
「そう、ですか……」
そう言われたネプギアはしゅんとなって俯いてしまった。
彼女なりに俺を心配してくれたのかな…?
そう思った俺は俯く彼女の頭にそっと右手を置いて、優しく撫でてやる。
「ありがとうなネプギア、心配してくれて…」
「い、いえ! だ、大丈夫です……」
ネプギアはそうされた瞬間、顔を真っ赤にしてさらに俯いてしまった。
あれ? もしかして、いやだったのか?
そそくさと下がってしまったネプギアに俺は首を傾げる。
「あの、宗谷さん……お気をつけて」
「………ああ、わかってるよ、いーすん」
いーすんにもそう返した俺はいよいよ覚悟を決めてギャバンに付いていこうとする。
だが、そこへ待ったをかける人物がいた。
「おい、ちょっと待てよ、てめぇ横から出てきておいて何出番横取りしてんだよ」
まるでチンピラのようにギャバンに絡むのは、すっかり蚊帳の外にされていた銀さんだった。
不機嫌そうにギャバンを睨み付ける彼に対し、ギャバンは動じることもなく彼を睨み返す。
「やる気がないのだろう? ならば、別にお前の修業を優先させなくてもいいはずだ」
「それとこれとは話が別だ、こっちは二話分ちょろっと出ながら今回でやっと出てこれたんだぞ、いきなり横入りして出しゃばんじゃねーよ」
「出番ができたと浮かれてやりたい放題なお前に言われたくない、普段からヒーローメモリーの役目をそっちのけで外をふらふら出歩くようなお前には尚更宗谷を任せるわけにはいかない」
いきなり二人が睨みあって口喧嘩を始めたので、再び周りにた俺達は一触即発のムードに晒されてしまう。
なんなの、なんでこの二人こんなに仲が悪いの?
「けっ、ちょっとレトロな正義の味方が口出しすんじゃねぇよ、とにかくいきなり出てきて出番を横取りすんじゃねぇ!」
「やはり銀髪の天然パーマにろくなやつはいないという言葉は本当だな、口が悪いのは治らないらしい、なぜ貴様の様な男がヒーローメモリーに選ばれたのか俺には理解できないな」
「あ、あの、二人ともその辺で……」
俺が見兼ねて二人の間に割って入って喧嘩を制裁しようとするが…。
「上等だよ、ならてめぇの捜査俺も付いていってやらぁ、宇宙のポリだか何だか知らねぇが、万事屋銀ちゃんの実力を嫌と言うほど見せてやろうじゃねーか」
「ふん、お前の協力がなくても十分すぎるくらいだ、せいぜい、足を引っ張るないようにな」
………なんか、銀さんまでついてくることになったんですけど………。
未だに互いに火花を散らす両者に口を出そうにも、とばっちりを喰らいそうで他の奴らも近寄ることができないようだ。
日本一に至ってはギャバンの後ろについて、銀さんのことを一緒に睨み付ける始末…。
なんで、こうなるんだよ…。
あんたらヒーローメモリー同士、仲良くやってくれよ…。
かくして、この日、二人の銀色の主人公に振り回されて、俺は新たな修行を開始することになりました……。
いかがでしたか?
次回、ギャバンに連れられて日本一、銀時と共にラステイションを訪れた宗谷。
果たして、犯罪組織への潜入調査はうまくいくのか…。
次回をお楽しみください、それでは!