それではどうぞ、お楽しみください
あれから何週間が過ぎて、俺はすっかりこの世界での生活に慣れた。
必要最低限の言語、通貨の基準、仕事内容に家事全般、ほとんど全部いーすんに手伝ってもらったんだが、この数週間ですっかり馴染んじまった。
戦闘能力も、キリト、リュウ、ウルトラマンに叩きこんでもらったおかげで雑魚モンスター退治には困らなくなった。
はじめてクエストをこなした時、いーすん、アイエフさん、コンパさんに褒められたくらいだ。
教会のみんなともすっかり馴染んだ。ゲームしたり、機械の部品選び手伝ったり、俺の世界の漫画の話をしたり、家事手伝いをしたり・・・。
人間の適応力ってすごい・・・。
改めて感じたよ、人間って常に進化していくんだって、この調子なら、俺純粋種のイノベイターになれる気がする。
まあ、雑談はこのくらいにして・・・
俺は絶賛仕事中。
仕事内容は・・・・・・プラネテューヌの今現在のシェアをグラフにするということで・・・
うわぁ・・・なんか俺から見てもひどいな、どんどん下がっていってるじゃん・・・
まあ、そらそうか・・・
シェアとはつまり女神様の信仰の証、女神が国民に支持されることで得られるものだ。
それが低下しているということはネプテューヌが支持されなくなっているということ。
「・・・ここ最近あいつ何してたっけ?」
俺はふとここ最近のあいつの活動を振り返ってみる。
朝起きてみんなでコンパさんの作った朝ごはん食べて、昼までゲーム、昼ごはん食べてからは夜までゲーム、晩御飯食べた後はネプギアとお風呂に入って、プリン食って寝る。
あー、そりゃ落ちるわ・・・うん、俺が言うのもなんだけど・・・ニートと変わりないもん。
え、俺?
もうニートではありませんが何か?
・・・・・・まあ、俺も仕事が終わったらあいつと一緒にゲームしてたけどさ・・・
そうこうしているうちに、プリント完了っと
早速いーすんに届けるか・・・
俺の部屋を出てみんなのいるリビングに向かう、すると・・・中から声が聞こえるぞ?
この声は・・・いーすんとネプテューヌか?
ドアに耳を当てて、中で何が起こっているのか聞いてみる・・・
・・・・・・ああ、これはいーすんの堪忍袋が切れかけだな・・・
お説教タイムってとこだな、まあ、今回のことを考えると当然か・・・
俺は今回はいーすんに味方することを決めてドアノブを回し、リビングに入る。
「いーすん、頼まれた資料出来た・・・」
「い・い・加減に!してくださぁぁぁぁぁぁああああいっ!!」
いーすんが努号と共にネプテューヌがプレイしていたと思われるゲームのコンセントを強制的に引きぬいた、サイズ差もあってかさながらハンマー投げのようにくるくる回るいーすん。
おいおい、いくらなんでもそれは・・・・・・
「ねぷ!?それやっちゃだめって説明書に書かれてるのに!?」
「今回はお前に非があると俺は思う」
「ねぷぷ!ソウヤはいーすんの味方なの!?」
俺は無言で刻々と頷くと、ネプテューヌはその場でがっくりと項垂れる、その隣にいるネプギアは苦笑いを浮かべている。
全くこの先大丈夫か?この国は・・・
「あああああぁぁぁぁぁ・・・あっ・・・」
いーすんが手に持っていたゲームのコンセントがその小さな手から離れ、その無骨な四角の角が俺の鼻先にヒットしたことで、とりあえずその場での荒ぶるいーすんは止まった・・・
よい子はとよいゲーマーはプレイ中にゲームのコンセントを抜いて、振り回さないでね?
「申し訳ありません・・・」
「いや、気にしなくていい・・・・・・すっげー、痛いけど」
「あははははは!もう~ソウヤってばおもしろすぎだよ~、鼻にコンセントがスコーンって、あはははははは!」
「お、お姉ちゃん笑いすぎだよ・・・」
俺達は今、薄暗い部屋の中央にいる。
鼻に絆創膏を貼る俺、俺の隣で申し訳なさそうに肩をすくめるいーすん、腹を抱えて大爆笑するネプテューヌ、そんな姉を諭すネプギア。
各々がそれぞれの反応を示している。
・・・主にネプテューヌに対して俺はひくひくと顔をひきつらせる、主に怒りの意味で・・・
「あははははははっ・・・はっ・・・は・・・そ、ソウヤ?なんだか笑顔が黒いよ?何で目のあたりに影が差してるのかな~?あははは・・・」
「・・・ネプテューヌ」
たぶん今の俺の口元は笑顔だけど、笑顔じゃないと思う・・・。
今なら自覚できるぜ、それほどまでの笑顔をネプテューヌに向けてやると、徐々に爆笑していたネプテューヌの表情もひきつってきた。
「お前もやられてみるか?」
「ごめんなさいマジすんませんしたもう笑わないからそれだけは勘弁プリーズ」
俺的にはものすごいいい笑顔だったんだが、そんなに怯えなくていいんだぞネプテューヌ?
痛みは一瞬だから、ふっふっふ・・・
俺が俺の鼻にクリティカルヒットしたゲームコンセントをちらつかせていると、いーすんが小さく咳払いをした。
おっと、おふざけが過ぎたかな?
「ま、冗談はこれくらいにして・・・」
「え?冗談なの?な~んだ~、怖がって損したよ~、よかった~」
「冗談じゃない方がいいか?」
「滅相もないです!ほんとすんませんした!!」
「よし、話を戻そうか」
最近ネプテューヌへの扱いも慣れてきたな、これもいーすんの指導のおかげだ。
「それでは、お二人とも、見てくださいこれを!」
いーすんが二人に向かってそう言うが、二人はいーすんが示したものとは全く別のものを見ているようだ。
じー、と見つめるのはいーすんの小さな人形のような真白なふともものあたりか?
それともその奥にあるいーすんが身につけている純白の魅惑の三角形か?
え?なんでそんなこと知っているのかって?
洗濯をしている際に不可抗力で発見した・・・とだけ言っておこう。
いーすんはどうやら白がお気に入りのようだ、ちなみに衣服も教祖用の衣服意外にパジャマとかスーツとかいたって普通だがあまりこれらの服を着ている姿を見たことがないものはもちろん、何故あるかは知らないがふりふりの、所謂白ゴスっぽい衣服も確認している。
いったい彼女、プライベートではどんな生活をしているのだろうか?
といっても、ほとんどいーすんのプライベートって夜中くらいのもんだけどな?
一応言っておくが、これらの情報は俺が洗濯をしている際に、『不可抗力』、あくまで偶然
洗濯ものとして出されたものの中に入っていたという、不可抗力が働いているから安心してほしい、別に俺には覗きとかをする度胸はない!
あくまで、健全に!ねじ曲がった不健全なものは楽しまない!!それが思春期18歳のジャスティス!!
「二人とも“シェアクリスタル”を見てください!宗谷さんも何か変なこと考えているならやめてください!」
ぎく。
なに、いーすん、最近俺が何考えてるか分かってきたの?読心術でも使えるようになったの?
さすが、いーすん、俺には到底できないぜ!そこに痺れる憧れるぅ!!
「ていっ!」
「ぎゃっ!!?」
また角!今日は本を開いた状態で表紙の方の角を使って眉間に角を当ててきやがった!!
痛い!これはこれで痛い!!しかも本ごと回転してきたから遠心力もあって余計に痛い!!
まったくなんでいーすんは本の角で攻撃することに長けてきてるんだ?
「まったく・・・どうせまたエッチなことでも考えてたんでしょう?顔に出てますよ・・・」
「ぐぅぅ・・・違うぞいーすん、それは悲しい誤解だ、これは男にとっては健全で安心な毎日を送るために、同時に男たちの夢と希望を捨てないために必要な思考なのだよ・・・」
「それって遠まわしに自分の考えていたこと、認めてますよ?」
「ぎくっ・・・」
ふっ・・・いーすんにはかなわないぜ・・・
このままいくとらちが明かないといーすんは諦めたのか、再びシェアクリスタルと呼ばれるものの近くへと飛ぶ。
俺もそれに付いていって彼女の隣に立つ。
いーすんの近くでふわふわ浮きながらきらきら輝いているこれが“シェアクリスタル”、いーすん曰く、国民の信仰を集めて女神の力の源になるシェアエナジーを作り出すためのもの、らしい。
ようは女神の力のエンジン部分ってわけらしい。
「シェアクリスタルがどうかしたんですか?」
ネプギアの質問に対して、いーすんは今時俺の世界でもなかなかみない丸メガネをかけて俺に先程プリントアウトしたグラフを見せるように言って来た。
俺は手に持っていたグラフを広げて見せる。
「クリスタルに集まる、我が国のシェアエナジーが最近下降傾向にあるんです!」
「まだたくさんあるでしょ?そんなに心配することなくない?」
「でも、このままだとヤバいのは事実だぞ?」
さっきも言ったと思うが、女神の力は国民の信仰の心、それが下降傾向にあること、これすなわちしごく単純に言うと?
「その通りです!この下降傾向はすなわち、国民の皆さんの心がネプテューヌさんから少しずつ離れているということなのです!」
はい、いーすんの言うとおりです。
このままいくと、ネプテューヌは女神という地位も危うい状態になりかねんと言うことだ。
「え~?嫌われるようなことした覚えないよ~?」
「ん~・・・・・・好かれるようなことも、最近してないかも・・・」
はい、ネプギアよく言ったその通りだ!
俺はバツの悪そうな顔をするネプテューヌに更に危機感を与えてやるべく、更に追いたてる手段をとる。
許せネプテューヌ、これも俺の仕事なんだ、愛の鞭なんだ・・・
「最近のネプテューヌの一日を見ている限り、ゲームしてご飯食べてごろごろしてプリン食って風呂入って寝る、という行動を繰り返しているわけだが・・・・・・これは正直言って女子力的に考えてもどうかと思うぞ?」
「ねぷぷぷぅぅ!?」
女子力、そうこれこそ女の子が気にする女の子が女の子であるがための秘められたパゥワー!
これが足りていない、それすなわち、女の子としては非っっっ常にやばいということ、さすがにネプテューヌだって女の子なんだ、これを言われちゃダメージは確実だろう・・・。
がっくりとその場で四つん這いになるネプテューヌ、許せ、ネプテューヌよ。
獅子は子を戦陣の谷に突き落とすものなのだ・・・
俺、お前のお父さんじゃないけど!
「ネプギアと宗谷の言うとおりよ、ネプ子」
おっと、ここでアイエフとコンパさんが帰宅してきたようだな。
ちなみに、アイエフとはもう既に呼び捨てで呼び合う仲だ。
なぜかって?・・・シンパシーを感じるものに、遠慮してちゃ、いつまでも距離は埋まらないぜ?
「すみません、イストワール様・・・話が聞こえたもので」
「アイエフさんとコンパさんなら別に・・・」
「むしろもっと言ってやってくれ」
「ソウヤひどいっ!!こんないたいけな女の子をいじめて、良心が痛まないの!?」
「さっき俺の悲劇を見て大爆笑していた奴に言われたくない」
俺がぴしゃりと言い放つと再びネプテューヌはがっくりとうなだれる。それにつられていーすんも思い出したのか、再び申し訳なさそうな顔になったけどね・・・
「あいちゃんまでいーすんと宗谷の味方して~・・・こんぱは違うよね~?」
「ねぷねぷ?これ見るです」
そう言ってコンパさんが見せたのは一枚のチラシだった。
書かれている内容は・・・・・・うわ、こりゃひどい・・・
「女神、いらない・・・はうあぁっ!!?」
あー、ついにはアンチが出てしまったなぁ・・・
まあ、大方予想はついてたけど、どこの世界にも反抗勢力っているんだな。
このままこいつらを野放しにしてたら、デモとか起きそうだな・・・グウタラ女神を追い出せぇ、的な・・・
そうならないように念のためいろいろ調べておこうかな・・・
「こういう人たちにねぷねぷのことを分かってもらうためには・・・お仕事もっと頑張らないとです」
最後あたりのコンパさんの表情が異様に威圧感を感じるが・・・
言っていることは間違ってないので良しとしよう。
「おおう!?これぞ四面楚歌!私大ピンチ!?」
「ピンチなのはこの国の方です!」
いーすんからは愛のあるお説教のプレゼントだ。
これで少しでも、ネプテューヌが仕事をしてくれることを願おう、元ヒモニートとして俺は応援するぞネプテューヌ・・・怒る時は怒るけど
(う~・・・お説教やだなぁ・・・)
やっほ~、みんなのアイドル!ねぷねぷことネプテューヌだよ!
といっても、絶賛いーすんのお説教タイムなんだけどね・・・あ~あ~、嫌だな~、せっかくほかの国のみんなと友好条約結んだんだし、ちょっとくらい遊んでもいいじゃん。
・・・でも、女子力が少ないのはやばいかな・・・
よくよく考えたら、宗谷の方がいろいろ家事できるし・・・あれ?ひょっとして向こうの方が女子力上じゃね?
・・・・・・・・・・・
ま、まあ!それは置いといて・・・
なんとかこの場から逃げられないかな・・・・・・・
う~ん、考えろ~私の脳細胞~、スタート・ねぷ・エンジン!!
・・・あ、そうだ!!
さすが私の脳細胞、いいアイデア出ちゃったよ!
これなら、さすがのいーすんと宗谷でも文句は言わせないよ!!
「私!女神の心得を教わってくるよ!」
「「・・・・・・へ?」」
突然立ち上がっていーすんにびしっと指をさし、そう言ったネプテューヌに俺といーすんは声を揃えてあっけに取られた。
・・・・・・まあ、悪いことじゃないとは思うけど・・・
「教わるって・・・誰にです?」
「えっと・・・ノワール!」
「「「「「ええっ!?」」」」」
今度はその場の全員の声が揃った。
いきなり何を言い出すかと思えば、同じ女神に女神の心得を教えてもらうって・・・一体何考えてんだこいつは・・・?
「“ラステイション”の、ノワール!」
・・・・・と、言うわけで俺はネプテューヌ達と一緒にノワールさんのいるラステイションへ向かうことになった。
・・・・・まあ、いっか、ラステイションへは始めて行くし、久々に新しい冒険と考えれば、悪くはないか!
遠路はるばる、ラステイションへと到着した俺達は早速、この国の女神様、ノワールさんに女神の心得を教わるべく、教会へと向かった。
ここまでは良かった・・・良かったのに・・・
「ねえ、よくわからないんだけど・・・・・・どうしてお隣の国の女神が家の教会で寝てるのかしら!?」
「ほんとすいません、うちの駄女神が本当に申し訳ありません」
ついてそうそう教会のベランダでデッキチェアに寝転がりくーかーくーかー寝息を立てるネプテューヌに変わり、俺は気をつけ&斜め四十五度で何度も謝罪をする。
この野郎、まさかこのためにいい加減なこと言いやがったわけじゃないだろうな!
もしそうだったら俺の鉄拳が火を噴くことになるぜ!?いいのか?いいんだな!?男が女を殴るもんじゃない?そんなこと言っていられるか!俺は、男を捨てるぞ!ネプテューヌぅぅぅぅ!!
・・・・・・あ、横目であいつのいる方を向いて分かったけど、この角度だともう少しでネプテューヌの魅惑の逆三角形が・・・・・
「あなた、どれだけ深くお辞儀してるのよ?」
「え!?あ、いやこれは決して断じて不健全なものではありません、はい!」
「不健全?・・・まあ、いいわ」
ノワールさんに言われて慌てて頭を上げて弁解する。
危なかった、もう少しであらぬ誤解をされるところだったぜ・・・
ノワールさんは小さくため息をついてから俺を見て、何やら同情のまなざしを向けてくる。
「・・・あなたも大変ね、異世界にやっと慣れてきて・・・お世話になっているとこの女神がこれじゃあ、ね」
「ええ、まあ・・・でも大丈夫です、世話やくのはなれてますし、嫌いじゃないので」
俺に気を使って言ってくれたみたいだが、それは不要だ。
なにせ、俺は一応大人数いた環境で育ったからな、こう言うのにはもう慣れっこだ。
「あ~、ノワールは変わらずお仕事して~、私気にしないから~」
「私が気にするわよ!」
「ごめんなさいノワールさん!お姉ちゃんも起きて~、女神の心得を教わるんじゃないの?」
ネプテューヌの言葉に反論するノワールさん。
全くごもっともですノワールさん、もっと言ってやってください。
ネプギア、そんなにやさしくしてもネプテューヌは起きやしないぞ?
こう言うのは水でもぶっかけてやんないと最後まで粘るタチだからな・・・
それに・・・相乗効果でネプテューヌの服が肌にぴったりと張り付くはず・・・
・・・・・・いや、やめておこう、グラマラスな変身状態ならまだしも、今のこいつの体格からしてもあまり期待はできないし、たぶん俺の性格上、変な罪悪感を感じそうな気がするからだ。
まったく、こういう面ではヘタレって呼ばれるんだよな・・・言動とかでは大丈夫だけど行動には移せないって言う・・・
これじゃ、いざ彼女が出来てもリードできない・・・。
・・・・・・まあ、出来る見込みもないけどね?
「悪いけどお断りよ、私、敵に塩を送るつもりはないから」
そう言って、俺の隣を通りすぎてさらにネプテューヌの隣も通り過ぎていくノワールさん。
敵に塩、か・・・前から思っていたけど、今の言動からしてもやっぱりツンデレっぽいなこの人。
ツインテールのヒロインはたいていツンデレが多いからな。漫画でもラノベでも、思い当たるヒロインがいるし。
「えー、友好条約を結んだんだし、もう敵ってのはないんじゃない?」
「シェアを奪い合うのには変わりないだし、敵よ」
「もう~、そん言う可愛くないこと言うから、友達いない~って言われるんだよ?」
ピシャリと言ったノワールさんに対してそう返したネプテューヌ、確かに建前上の友好条約ならそういうのも無理はないと思うが、こいつの性格からして建前がどうとかそういう難しいことは抜きにした上で、友好条約を結んだというのは分かっている。
でも、それはノワールさんもどう思っているかだな・・・。
向こうが建前上という判断なら、最悪もしかしたら・・・
「と、友達ならいるわよ!?」
はい、心配無用でした~。
顔真っ赤にして、ネプテューヌの言葉にこの食いかかり、さらにはさっきとは打って変わっての焦り具合、間違いない、俺は確信した。
ノワールさんは確実にツンデレだ!
本当は心の奥底では言いたいことをひた隠しているんだろうが、あえてそれ以上は追及しないでおこう、ノワールさんのために・・・。
「宗谷さん、なんでニヤニヤしてるです?」
「え?そ、そうかな?べ、別に普通だと思うんだけどな~、あはは、あは!」
いかん、ついついにやけ顔になってしまった。
だって、かわいいんだもん!リアルなツンデレヒロインって!現実世界でお目にかかれるもんじゃないぞ!!
リアルツンデレヒロインを目の前にしてそう言うのが好きな男なら何も感じずにはいられないのが世の情けってもんでしょぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!
「・・・・・・ねえ、宗谷、私最初にあんたに会った時はそう言うキャラじゃないと思ってたんだけど?」
「あの時はまだ自制してたからね、でも、ラノベ読者としてこういうイベントやヒロインに悶えるのは当然と思っ・・・・・・なに、アイエフ?お前も俺の思考読めるの?」
「顔に出して床をバンバン叩いてればいやでもわかるわよ、趣味の話で一番あんたと話してる私が分からないとでも?」
ガッッッッッッッッデムッ!!!!
信頼の深さがこのように仇となるとは思わなかったぜ・・・。
・・・まあ、萌えるのはこのくらいにしてここからは真面目になろう。
あくまでこれもお仕事の一環だ。
緩んだネクタイを上に戻して、心のギアを入れる!
いや、別に何も変わらないけどね?
視線を戻すと、ノワールの友達は誰かとネプテューヌが聞いている真っ最中でノワールさんがたじろいでいるご様子だった。
うんうん、俺にはわかるよノワールさん、強がってたんだよね、恥ずかしかったから言えなかったんだよね?
するとそこへ、以前パーティーの時に会った、ノワールさんの妹の確か、ユニちゃんだったかな?
その子が分厚い書類の束を持って部屋にやってきた。
「あ、お姉ちゃんこっちの書類終わったよ」
「あ、あら、ユニお疲れ様、そこに置いといて」
ノワールさんがそう言った後、俺の隣にいたネプギアが彼女に向かって手を振ったので、俺もそれに合わせて軽く会釈する。
すると、ユニちゃんもネプギアに気付いたのか少し笑顔を見せて、俺の方にも会釈を返してくれた。
うん、ユニちゃんはノワールさんに似てしっかり者だな。
でもなんで、うちはネプギアとネプテューヌでこうも差が出るのだろう・・・不思議だ。
「そ、それでねお姉ちゃん・・・その、今回早かったでしょ?私すごく頑張って・・・」
「そうね、普通レベルにはなったわね」
ノワールさんがそう言ったことで、さっきとは打って変わり期待に満ちた笑みからどこか残念そうな表情になったユニちゃん。
・・・なるほど、お姉ちゃんがしっかりしてるから、自分もしっかりしなきゃと思って自然と似てくるわけか・・・
今の表情の変化をみる限り、多少なりともは姉であるノワールさんに褒めてほしかったんだろうな。
頑張ったわねって、だけど、帰ってきた言葉があれじゃあね・・・
「あ!もしかして友達ってユニちゃんのこと?妹は友達と呼べないんじゃないかな?」
「な!?ち、違うわよ!他にちゃんと・・・」
「とか言って~、ほんとはボッチなんじゃないの~?」
「そんなことないから!!」
まったく、ネプテューヌめ・・・ノワールさんをぼっちぼっちといじりやがって・・・うらやま・・・実にけしからん!
俺は、“対ネプテューヌ用対策最終手段”を使うことを決心したと同時に、二人の言い争いの途中にユニちゃんが部屋を出て行ってしまった。
深く思い悩んでいる顔だったな・・・あれは・・・。
すると、ネプギアが俺の横を通り過ぎて行った。
と思ったら、その場で体を百八十度回転、俺の方を向く。
「ちょっと、私ユニちゃんのとこに行ってきます!」
「おう、いってらっしゃい、友情は心の風邪の特効薬だ、なんてな」
俺は手をひらひらさせてそう言うと、ネプギアも笑顔で頷いてその場を後にした。
こう言うのは大の親友に話を聞いてもらうもんだ、それで少しでも心のもやもやは晴れるだろう。
それにしてもやっぱりネプテューヌとは違って出来た妹だわぁ・・・、どうしてこうも違うかな・・・・・・あ、そうか、姉があれだから自分がしっかりしなきゃと思うわけか!
所謂反面教師と言うやつね、そう言うところでネプテューヌはネプギアに貢献してたわけだ、なるほど納得!
さて、俺はこのへんで俺はネプテューヌに少しお灸をすえてやるとしますか・・・。
俺はジャケットのポケットから以前の修行で手に入れた“ブイホ”を取り出して、画面を操作、この前いーすんとの協力でインストールしたある“アプリ”を起動する。
そして、起動を確認、画面を今もやいやい言っているネプテューヌとノワールの方に向けると・・・・・・
『ネプテューヌさん!!女神の心得を教わるのではなかったのですか!?』
ブイホから突然、“この場にいない”はずのいーすんの声が響いた。
「ひいっ!?いーすんごめんなさいぃ・・・・・・ってあれ?いーすんは今うちの教会にいるはずなのに、なんで声が・・・い~す~ん!どこ~?」
「ここにいるぞ?ここに」
突然のいーすんの声にビビった様子のネプテューヌ、隣できょとんとしてネプテューヌと一緒にあたりをきょろきょろしていたノワールさんのためにも、さらに言えば後ろで同じようにびっくりしているアイエフ&コンパさんのためにも、俺は種明かしの意味を込めてブイホを指差す。
すると、ブイホの液晶画面から光が浮き上がり、それはいーすんのすがたへと変化する。
ただし、これはいーすんであるのに間違いはないのだが、いーすんがここにワープしてきたわけでもない。
所謂、立体映像、ホログラムみたいなものだ。
よく見れば、今ここにいるいーすんには多少のノイズが走っている。
でも、時間がたてばよりくっきり鮮明に、高画質になるのがこのブイホのすごいとこなのだ。
「ねぷぷっ!?いーすんが出てきた!!?・・・ってあれ?いつも乗って本がないよ?」
「ホログラム・・・?でもそんな小さな機械でこんな精密な立体映像を作るなんて・・・」
二人とも違う反応を見せてくれたな。
俺は自信満々に腰に手を当てて、ホログラムのいーすんとエッヘンと胸を張る。
「これぞ“対ネプテューヌ用対策最終手段アプリ”!その名も!“いつでもいーすん”!」
『ちなみに私はちゃんと教会でお留守番してますよ?』
「い、いつでもいーすん・・・?」
アイエフが後ろで首をかしげて微妙そうな顔をしているのでさらに補足させてもらおう。
このアプリはブイホの性能を細かく!三日かけていーすんが分析してくれたおかげでいーすんとブイホの間に何か特別な繋がり、“リンク”が発生し、それを元にいーすんと俺で作り上げたアプリなのだ!
ブイホの性能は通常のスマホの何倍も高いことがわかったので、それを最大限生かし、ホログラムの投影機能をネプギアに頼んで搭載してもらい、そのプログラムをブイホにいーすんがインストール!
そして出来上がったのが・・・・・・“いつでもどこでも好きな時にいーすんを呼びだしていーすんといつでも旅ができるアプリ”!
だから略して!“いつでもいーすん”!
俺が長々と説明してからびしっと決めポーズを決めると、その場にいた全員はぽかーんとした状態だった・・・。
さすがにポーズはいらなかったかな?
『でも、これで、いつどこでネプテューヌさんがお仕事をさぼっていても、宗谷さんを通して私は監視できるようになったわけです!』
「ねぷーーー!?せっかくお説教から逃げ出したと思ったのに!!?」
「ついでに言えばブイホがあればいつでもいーすんと冒険できるわけだ!」
俺が補足説明をして置き、ホログラムのいーすんをネプテューヌに近づける。
『さあ、ネプテューヌさん・・・観念してください』
「ひぃぃ、これぞ本当に万事休す!」
「諦めなさいネプテューヌ、これは当然の罰よ」
「ノワールにも見捨てられたぁ!!」
残念だったな、ネプテューヌ・・・お前に逃げ場はないのだよ。
悲しいけどこれ、お仕事なのよね・・・
俺はブイホをずいずいと差し出しながらネプテューヌと距離を縮める。
おっと、そう言えば、まだ言ってないことがあったな。
「あー、いーすんのお説教前に補足説明をもうひとつ」
俺はそう言って人差し指を立てるとその場にいた全員が俺の方に注目する。
こほんと咳払いをしてブイホを動かすと、それに吊られていーすんもブイホと同じように移動する。
「さっきネプテューヌの言ったとおり、この“いつでもいーすん”はあくまでいーすんの姿の身を映し出すアプリだ。ゆえにいつもいーすんが乗っている本は映らない。さらに言えばホログラムをブイホで投影している影響で、ブイホを動かさないといーすんも動けない・・・なので・・・」
―――くるん
『へ?』
俺はブイホを縦にすると、それと同じようにいーすんの体制も自然と変わる。
液晶が俺の方を向いているので、
体勢的にはちょうど、ネプテューヌの方に足元を向けて寝ている感じに。
「このようにブイホの画面を変な方に動かすといーすんの体制が変わってしまう」
『ちょ、ちょっと宗谷さん何するんですか!!』
「いーすんまだ説明中、ちょっと静かに・・・えー、さらに言うと・・・・・・あれ、何だっけ?」
「ほうほうなるほど・・・普段いーすんを下からのぞくことがないから気付かなかったけど、普段からこんなのを履いてたんだ・・・・・・」
『や、やだっ!見ないでくださいネプテューヌさん!!』
なんだよ、騒がしいな、今説明中なのに・・・
それにネプテューヌ、なんで自分からこっちに近づいて、いったい何を覗き込んでるんだ?
それにいーすんも何をそんなに騒いでるんだ?今の体制がなれないのは分かるけど、ちょっと我慢しててくれよ。
「いや~・・・予想してたのとは違うなぁ、まさかこんなにきれいな白の・・・」
『や~め~て~く~だ~さ~いぃ~~!!!見ないでくださいぃ!!』
「え~っと・・・何だっけ?・・・あ、そうだそうだ、ゆくゆくはいーすんをブイホを会してワープさせるのが最終的な目的で・・・」
「・・・イストワール、同情するわ・・・ほんとに」
その後、説明が終わるころにはなぜかネプテューヌがニヤニヤした顔でいーすんを見ており、いーすんはなぜか顔を真っ赤にして涙目になっていた。
周りのみんなもなぜかやれやれと言いたげな表情・・・あれ?なんで?
「なあ、いーすん・・・俺なんか変なこと言ったか?」
『・・・・・・宗谷さんなんか嫌いです・・・・・・』
「なんで!?」
そう言って頬を赤くしたまま涙目でそっぽを向くいーすん、本当に俺何した?俺はただ“いつでもいーすん”の欠点を説明してただけなのに、なんで顔を赤くする必要があるんだ?
・・・・・・謎だ
この日、俺はネプテューヌに連れられてラステイションに行き、なぜかいーすんがご機嫌斜めになりました
・・・本当に何で?
えー、宗谷のキャラですが・・・これが本性です(きっぱり
なので、キャラ崩壊では・・・ない、はず・・・
今までひた隠していたわけなんですね、慣れって怖いですね、普段見せない本性を見てしまうことってありますから・・・
それでは、また次回でお会いしましょう