学校もあるのに執筆欲が収まらない…。
今回のお話はユニに注目!
前回銀時に励まされたユニを加えた万事屋銀ちゃんゲイムギョウカイ支部が再び戦いに身を投じる。
そしてその時、彼女は……
それではお楽しみください、どうぞ。
列と日本一が捕らわれている牢屋があるエリアでは、ブレイブが精神統一をするかのように通路のど真ん中に座り込んでいた。
何も言わずその場に胡坐をかいて大剣を右手に持つその姿はまさしく、歴戦の勇士と言っても過言ではない佇まいである。
「……なあブレイブ、一つ聞いてもいいか」
そんな彼に列が声をかける。
磔されている状態ではあるが、口は動かせる。 無駄かもしれないが何か聞き出せるかもしれないと思ったための行動である。
しかし、ブレイブは列の問いかけには返答するようなそぶりは見せない。
それでも列はさらに言葉をつづける。
「お前はなぜここにいる? なぜ、ここの用心棒なんかを務めているんだ?」
列が感じたブレイブの本質、それと矛盾を感じる大きな謎である。
「ブレイブ……お前の剣にはその名に恥じない強い覚悟の様な物を感じる、だが、なぜだ? なぜそれほどまでの思いを持っているお前がこんなことをする奴らに加担する」
彼と剣を交えたギャバンだからこそ感じた彼のまっすぐな剣技、そしてその剣に乗せて伝わってきた彼の強い思念。
それを間近に感じた列だからこそ、彼が今身を置いている状況に対する矛盾を不思議に感じてならなかったのだ。
しかし、列の問いかけに対して、ブレイブは……。
「………守りたい物のため、ただそれだけだ」
それだけを返した。
守りたい物、犯罪組織の用心棒を務めることがその守りたいものを守ることとどうつながるのだろうか…。
「守りたい物……? なら尚更、悪事の協力なんかして何になるの!?」
ブレイブの言葉に対し、今度は反対側の牢屋の中に両手の自由を奪われた状態で閉じ込められている日本一が問い詰める。
彼女もブレイブに手当てをされた手前、多少なりとも感じているのだろう、彼の正々堂々としたまっすぐな本質を…。
「お前達にはわかるまい、お前たちの知らない所で苦しむ尊い者たちのことなどな…」
「その尊い者って何なの!? あんたにとってこんなことをしてまで守りたい物ってなんなのさ!?」
「この手を汚す覚悟など、とうの昔にできている……なりふり構ってなどいられないのだ!」
声を強めてそう言ったブレイブは座っている態勢を解き、その巨躯持ち上げ、立ち上がる。
「たとえ女神であっても、なんであっても……この世界は変えねばならん、なんとしてでも!」
雄々しく、鉄格子の向こう側で立ち上がる白い装甲に秘めた強い覚悟と、思い。
だがそれ故に、この場所に立つ彼の姿が列には不釣り合いにしか思えなかった。
彼が剣を振るにふさわしい場所は本当にこの様な暗く、欲望渦巻くような場所なのか……この場に身をとどめ、彼が守りたい物とは一体なんなのか?
その輝く双眸に鬼気迫る強い意志が宿し、ブレイブは通路の先にある一枚の扉を見つめ、彼の愛刀の柄にその手を伸ばした。
「な、なんなんだこいつらは!!」
黒い重装備に身を包んだ男が、目を防護するために装備したゴーグルの下で驚きのあまりに目を見開いていた。
こちらは防護服を身に纏い、手には連射性の高く攻撃に優れているマシンガンを持っている。
防御力、攻撃力共に申し分ない装備を揃えている上に人数も数十人といる、高々三人しかいない敵を制圧するのに手間など取るはずがない。
だが、その予想は大きく裏切られることとなった………。
トリガーを引いたことで発生する連続した銃声とマズルフラッシュ、そして飛び交う銃弾を相手にして………。
目の前にいる三人は物怖じひとつせず、応戦し、圧倒している。
女神が一人いるとはいえ、状況はこちらが有利なはずなのに、自分たちが押されているという事実をこのとこは信じられずにいた。
目の前に現れた赤い装甲に身を包み、一本の剣でだけで戦う青年に男はマシンガンの銃口を向けトリガーを引く。
『Skill Chain! Hidan no ARIA! Sword art online!』
しかし、その銃弾は彼を撃ちぬくことはなかった。
弾丸はすべて、彼に当たる直前にすべて両断されてしまったから…。
「う、嘘だろ!?」
空になったマガジンを早く交換し弾幕を張ろうと試み柄う男、だがその願いは叶うことはなかった。
次の瞬間には自分の目前に赤い拳が迫っていた。
防護服に身を包んだ部隊の内の一人の攻撃をスキルチェインによる遠距離攻撃用対策防護スキル、バレットスラッシャーで凌いだ宗谷は射撃が終わったタイミングを見計らって一気に距離を詰め、ゴーグルやマスクで包み込まれた顔面を思い切り左の拳で殴り飛ばす。
後ろに跳んだ男はそのまま壁に激突し、気を失った。
「あ、あいつ何者なんだ!?」
「取り囲んで撃て! これ以上好きにさせるな!!」
宗谷の戦いぶりに焦りを見せる防護服たちは彼を取り囲んで一気に勝負を突けようとする。
「させるか!!」
だが宗谷は新たにスキルリンクを発動させ、先手を打つ。
『Skill Link! Infinite Stratos』
「イグニッション、ドライブ!」
体に伝わる風の様な疾走感、それが全身に行き渡ったのを感じた瞬間に宗谷は床を蹴り、目にも止まらぬ速さで防護服たちに接近する。
遅れて聞こえる甲高い金属音の様な物と、鈍い音、そして方々に吹き飛んでいく防護服の男たち。
地面には赤剣によって両断されたマシンガンだったものの破片が散らばり、宗谷はそれを踏みしめ、赤剣を左右に切り払う。
「この野郎!」
不意に上の方から声が聞こえた、宗谷が上を見上げると通路の上から宗谷を狙おうとマシンガンを構える防護服が一人いた。
反射的に身構える宗谷の耳に銃声が響く、だがその音は上にいる防護服のマシンガンの物とは違った。
「うぉぉぉぉぉおおおお!?」
通路から吹き飛び、落ちてくる防護服。
近くに置かれていた機材の上に落ちたのを確認し、宗谷は再び通路の上に視線を移す。
「さすがユニ」
そこには銃口から煙を上げる得物の銃を構えるユニの姿があった。
「そんだけ分厚い防護服着てたら、散弾を撃ち込まれても死にはしないわよね? まあ、死ぬほど痛いと思うけど」
さっきまで落ち込んでいたとは思えない過激な発言をしたユニはそのまま通路の上から飛び降りると宗谷の後ろに降り、そのまままっすぐに新たに表れた防護服の集団へと突っ込んでいく。
ちなみに女神化していないのは、力のセーブと今後来るであろう強敵との戦いに備えるためだ。
しかし、女神化してはいなくともユニの実力はノワール譲りである。
「はぁぁぁぁああ!!」
自分に向けられ、放たれるマシンガン。
だがユニはそれを動き回って回避すると防護服のすぐ近くにガスタンクが置かれていることに気付き、そこに向けて銃を二発撃つ。
甲高い音と共にガスタンクに穴が開き、そこに二つ目の銃弾が当たったことによって発生した火花が引火。
可燃性のガスが詰まったガスタンクは爆発を起こし、防護服たちを纏めて吹き飛ばす。
「今日のあたしは………容赦しないわよ!」
いつにも増してアクティブな戦い方を見せるユニ、その様子からはこの戦いに賭ける思いの強さが窺える。
今度こそ、ノワールを救い出すという思いがあるからだろうか。
そして、
「てぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!」
最後の一人、坂田銀時。
ヒーローメモリーと言えどその実力は三人の中でも群を抜いている、腰に刺した木刀、洞爺湖を振りかざし銃弾の雨を物ともせず駆け抜け、防護服たちに迫る。
大きく外側から回り込むように接近した銀時は洞爺湖を袈裟懸けに振り下ろし、まずは一人を倒す。
次に二人目の脇腹に打ち据え、三人目の持っていたマシンガンを蹴り飛ばすとすぐさま両者の顎を正確に狙い、横薙ぎに振るった一撃で打倒してしまう。
銀時の勢いはそれだえに留まらず、すぐに次の標的に狙いを定めると再び走り出す。
もちろん応戦するためにマシンガンを撃つ防護服たちだが……
「な、なんだあいつ!」
「ほかの二人ならまだしも、あいつはただの人間と変わりないはずなのに……なんて速さだ!」
大多数の敵味方がひしめく戦場を駆け抜けた銀時のスピードは並ではない。
照準を合わせてトリガーを引いても、銀時の動きについていけず弾丸は標的に当たることなく壁にめり込んでいく。
動揺する防護服たち、銀時は彼らの好きを見逃さず追撃に入る。
目の前に転がっていたドラム缶、それを思い切り洞爺湖で打ち上げて防護服たちに直撃させる。
数人纏めてドラム缶攻撃に巻き込まれた防護服たちは当たり所が悪かったのかそのまま気絶、銀時は洞爺湖を一度切り払ってから担ぐように自分の肩に置く。
「昨日今日戦い始めたようなひよっこに負けるほど、俺は衰えちゃいねぇよ」
自分が相手取っていた防護服たちを見下ろしてそう言い放つ銀時。
一通り撃退したおかげか、やけに静かになったので宗谷が二人の方を見る。
「銀さん、ユニ、けがはないか?」
「うん、あたしは大丈夫……あんたは、しぶとく生き残ってるみたいね」
「おーおー、さっきまでめそめそ泣いてたのに、威勢がよくなりやがって」
「なっ!? あ、あたしは別に泣いてなんか!」
「そんだけいえりゃ、まだまだ元気そうだな」
「と、当然よ! あたしは絶対、お姉ちゃんを助けるんだから」
二人の会話を見る限り、これと言った外傷もなさそうだと判断した宗谷はふと自分たちが倒した防護服の集団へと目を向ける。
「それにしても、どこからここまでの装備を調達したんだ?」
宗谷はそう言うと、近場に落ちていたマシンガンを手に取って眺める。
彼らが所有していた武器、並びに防護服も決して安いものではない、それをここまでの数を集めているのはどうにも腑に落ちないのが宗谷の考え方であった。
情報では劣化コピーのゲームを高値で売りさばいているだけのはずだが、あくまでそれは何か別の目的があっての行動なのだろうか。
宗谷が不思議に思い、首を傾げていると銀時が宗谷の隣に来てマシンガンを横から取り上げる。
「まあ、ろくでもないことに変わりはねぇだろうな」
銀時はそう言うと、そのマシンガンを投げ捨てる。
「急繕いの兵士に大層な武器の数、せこい商売の儲けで手に入れた駒でなんか企んでるのは間違いねぇだろうな」
「確かに……防衛手段にしては装備にお金を賭けすぎてる気がするわ」
一体これほどまでの武器をそろえて何を企んでいるのか、宗谷の脳裏には疑問符ばかりが浮かぶ。
そして、Dr.トロイがノワールを捕まえた理由とはいったい何なのだろうか…。
謎が募る中、突然彼らの耳にまた別の何かが近づいてくる音が聞こえる。
「新手か……」
「やっと倒せたと思ったらすぐこれか……仕方ない、強行突破だ!」
ここで立ち止まってるわけにはいかない、宗谷はそう判断すると再び赤剣を握る手に力を込める。
それに合わせて、ユニと銀時も同様にそれぞれの獲物を構えなおす。
万事屋銀ちゃんゲイムギョウカイ支部の戦いはさらに激化の色を見せていた。
一方、Dr.トロイのいる研究室でも宗谷達が脱出したことによる異変の知らせは届いていた。
Dr.トロイはパソコンのデスクトップを一瞥するとふん、と鼻を鳴らして得意げな表情を浮かべる。
「どんな手を使ったか知らないが、どうやらネズミが逃げ出したらしいですね…」
Dr.トロイはそう言うとデスクトップから目を離し、モノクルの位置を直して口元に微笑を浮かべる。
「まあいいでしょう、そんなにケージに入れられるのが退屈なら実験台のモルモットにしてあげますよ………とはいえ、念には念を入れておきましょうか」
彼はそう言うと、近場に置いてあったマイクがつなげられている機材のスイッチを押す。
「私です、もうじき脱獄した敵がそちらに来ます、あなたは予定通りその場の守備に努めてください」
そう言って機材の電源を切ると、Dr.トロイは白衣を翻して再びノワールの元へとやってくる。
彼女は近づいてきたDr.トロイを睨み付ける。
さっきまでの彼の言葉で一緒に捕まった仲間の誰かが脱出に成功したのだと知ったノワールは強気な表情を浮かべる。
「残念ね、すべてがあなたの思い通りになるってことじゃないってことよ」
しかし、Dr.トロイはその言葉を受けても表情を一つも変えずに彼女の入ったカプセルの近くに設置されていたキーボードに指を走らせる。
「実験において、想定外の事態は付き物です……ですがいい機会だ、せっかくなので私が手に入れた最高の技術をお見せ致しましょう」
彼はそう言うとキーボードのエンターキーを軽やかな音と共に押し込む。
すると、カプセルの上に設置されていた装置が作動したのか、機械的な駆動音を響かせて何かがノワールの頭へと降りてきた。
「何するつもり? 言っとくけど、あんたの変な野望なんか私の妹と宗谷達が…」
「果たしてそううまくいきますかね?」
彼女の言葉を遮るようにしてDr.トロイはそう言うと口元に浮かべていた微笑をにやりとした粘着質な笑みへと変えた。
「ノワール様、今からあなたは歯車になる……私の最高傑作を動かすための重要な歯車にねぇ……」
「なにを……っ!」
その瞬間、降りてきていたヘルメットがノワールの頭にかぶせられ彼女の視界を塞いでしまった。
頭を振ったりしてそのヘルメットを振り落とそうとするノワールだったが、抵抗も虚しくヘルメットはそう簡単に取れそうもない。
「さあ、ついに動き出す時が来た………新たな時代を作り上げる変革の時が、動き出す瞬間だ!!」
高揚した様子の言葉がノワールの耳に響いたのを最後に、ノワールの体全身に電撃が流されたような衝撃が走り、その影響でノワールは意識を手放してしまった。
(ユ……ニ……宗………谷………)
「………来たか」
二つの牢屋を挟んだ通路の真ん中で座り込んでいたブレイブがそう言って大剣を握り、振り上げ、構える。
ブレイブが突然見せたこの一連の無駄のない動作が何を示しているのか、列と日本一はこの後すぐに知ることとなった。
徐々に近づいてくるように大きくなる、衝突音、銃撃音、爆発音に金属音。
落ち着きのなくそれでいて切羽詰った鬼気迫る勢いを感じさせるその異変がなんなのか、二人は反射的に悟った。
今からここが、戦いの場となる言うことを………。
激しく、けたたましい音と共にブレイブが見つめる通路の先に会った扉が轟音と共に勢いよく開け放たれた。
いや、正確には吹き飛ばされた、と言った方が正しいかもしれない。
まるで砲撃を喰らったかのように吹き飛んだ二枚の扉だった鉄の板がブレイブへと迫る。
だが、彼は構えた大剣を振りかざして難なくその二枚の金属板を切り捨てると吹き飛び、扉だった名残りなど一切感じさせない場所を見据える。
朦々と立ち込める煙の中を掻き分けて、そこから三人の人影が現れた。
「また会ったな、パチモン勇者王」
「宗谷……銀時……ユニ!」
銀時を筆頭にした三人が煙の中から現れ、宗谷が代表するようにそう言い放つ。
「ほお、この工場内の警備をすべて突破してきたようだな……」
ブレイブはそう言うと大剣を再び身構えて宗谷達を睨み付ける。
反射的に身構える宗谷だったが、それを何故か銀時が制止した。
「銀さん?」
銀時の行動が何を意味するのか分からないと言いたげに宗谷が首を傾げる。
「やり合う前にちょっと聞かせてくれねぇか、てめぇは何のために剣を振るう?」
銀時が突然言い放った言葉に、ブレイブはピクリと剣を震わせた。
「………そんなことを聞いてどうする?」
「てめぇと戦った後、ずっと気になってたことがあってな……あの時、周りには既にテメェの仲間がいたはずだ、それなのにそいつらの協力を借りずにてめぇはてめぇ一人だけで俺達を倒そうとした………敵さんの割にはやたら正々堂々としてねぇかって気になってな」
確かに、と宗谷は銀時の話を聞いて感じた。
あの時、既に仲間が到着していたのならすぐさま協力してもらうことができたはず、しかしブレイブは数で勝っている宗谷達に対してDr.トロイの横入りが来るまでは自分一人で戦い続けていた。
いつでも形勢は逆転できたはずなのにだ。
「貴様には関係ない事だろう…」
「まあそう言うなって、俺らの時代じゃ名の知れた侍が互いの名を名乗ってなんのために戦うか自己紹介する事なんかざらにあったぜ?」
ブレイブの言葉にそう返した銀時、ブレイブはしばらく黙り込んでいたがやがて大剣を見下ろしながら、ぽつりとつぶやいた。
「………すべての子供たちが笑顔でいてくれる、そんな世界を作るため」
それが列も気になっていたブレイブの剣に賭ける思いだった。
そして、列が感じていた通りその思いはこんな場所とは大いにかけ離れていたものだった。
「子供たちの、笑顔……?」
ブレイブの言葉を反復するように宗谷が言うと、ブレイブは大剣を一度下ろして頷く様に下へと目線を傾ける。
「世の中には貧しいがために娯楽に飢え、笑顔を失った子供がいるのだ………ゲームで遊べぬが故に仲間外れにされ、孤独になり、楽しむという感情を知らぬ子供がどれだけいる……俺はそんな子供たちの思いをいくつも見てきた」
「貧しい子供たち………」
「女神の恩恵を受け発展を続けた国とは違い、遠く離れた村や集落ではそんな子供が必ずいるのだ、最も恵まれた環境で育った貴様らにはわからんだろうがな!」
強い口調でそう言い放つブレイブに、宗谷とユニが食って掛かった。
「だからってこんなのおかしいわよ! 子供たちが娯楽に飢えてるからって、ゲームで遊べないからってこんな劣化コピーの工場を守って流通を手伝うなんて……矛盾してるわ!」
「それに、何もゲームだけが子供たちの楽しみじゃないだろう! 他にもいろんな繋がりがある、そんな理由で人は孤独になんてなりはしない!」
「理屈ではどうにもならんのだ! 現に今でもゲームで遊びたくても遊べない子供がいる……そのためにもこの国から変えていかねばならんのだ!」
「変えていく……それが、お前の目的なのか?」
激昂するように腕を振り上げたブレイブ、興奮している影響かその瞳の輝きがより一層強くなっている。
目の前にいる戦士の覚悟、それは揺るぎ名のないものだ。
しかし、そのやり方は正しい事とは言えない。
「この国に革命を起こせば貧しい子供たちにもゲームを行渡らせることができる世界ができるはずだ! この工場も、そうなれば有能な生産ラインとなってくれるだろう」
つまり、ブレイブの大本の目的とは今のラステイションの技術を使って劣化コピーを大量生産し、世界に行渡らせるということらしい。
彼の剣に乗せた思い、子供たちの笑顔のために振るう剣、その思いこそまっすぐなものだった。
だが、それが故に今彼が目指している理想とその剣に乗せる思いは、非常にアンバランスなものだった。
「違う………そんなの、そんなの間違ってる!!」
「ユニ……」
ユニがすぐさま前に出てブレイブに強い口調で言い放つ。
「何が違うというのだ……現に劣化コピーを求める人間がいる、それこそが答えだ……故にたとえコピーでも子供たちは娯楽に飢えることはない!」
「違法な手段で作られたものなんかで遊んでも心から楽しめるわけがないじゃない!」
「話にならんな……コピーと言えど人間はそれを求める、それが答えではないか!?」
「例えそうだとしても、間違ってるものは間違ってるって言わなくちゃいけないのよ!」
二人の言葉が飛び交う中、次第にユニの体に光が灯り始める。
それはマジェコンヌとの戦いでも見た、シェアエナジーの光……。
「それにラステイションの技術をそんなことのために使わせはしない………お姉ちゃんが作ってきたこの国をそんなことのために、利用させたりなんかしないんだから!!」
ずっとそばにいたユニだからこそ見ていた。
ノワールがどれだけ、この国をよりよくし、自分を信仰してくれる人たちのためにどれだけの苦労を重ねて女神としての責務に努めてきたか。
………だからこそ、ユニはノワールの背中を追いかけた。
彼女が愛するこの国を二人で一緒により良くしていきたい。
例え力が及ばなくても、もう立ち止まりはしない。
ノワール、そして宗谷やみんなと共に……この国に、この世界に住む人々全員が笑顔になる未来のために………!
(それが、あたしの思い! あたしの
彼女の強い思いが解き放たれた瞬間、彼女の体から溢れ出しいたシェアエナジーの光が弾け飛びブラックシスターへと変身させる。
ブラックシスターはより重厚になった銃、X・M・Bを構えブレイブと再び相対する。
「あなたが子供たちの笑顔を守るためにこんなことをするなら、あたしはそれを全力で邪魔する! ………子供たちの本当の幸せと笑顔のために!」
「やはり小娘、貴様とは相容れぬようだ……お前が全力で邪魔をするというのなら、俺はこの剣に誓う! 貧しき子供たちの笑顔のために、貴様をここで斬り捨てる!!」
再び会い見える二人は互いの譲れない思いを胸に武器を取る。
「宗谷さん、それと……銀時……、ここはあたしに任せて二人は先にお姉ちゃんの所に行って」
「え………でも、ユニ一人でなんて!」
一度戦い、敗れた相手に再び挑もうとするブラックシスターを宗谷は心配するが、彼女は前の戦いとは違った穏やかな表情を浮かべて宗谷を見つめる。
「大丈夫、今のあたしは一人じゃない………もう一度言うわ、“ここはあたしに任せて”………」
瞳の奥に強い輝きの様な物が見えた気がした。
その言葉が差す意味はさっきまでの自分ではないという意味なのか、それともまた別の何かなのか宗谷には理解できなかったが、彼女の強い意志はひしひしと彼の心に伝わってきた。
それは隣にいた銀時も同じようで、彼は何も言わずに腰に洞爺湖を納める。
「それに終わったらすぐにあたしも向かうわ、お姉ちゃんを助けるのはあたしなんだから」
「………わかった、無理はするなよ」
宗谷はそう言うと、銀時と目を合わせて一度頷き、ブラックシスターの前に出た。
その時、銀時はすれ違いざまにユニの肩に手を置き、
「いい目、してるぜ……ぶちかまして来い」
ただそれだけを呟いて銀時は彼女の前に出た。
不意打ち気味に言われたせいか、若干戸惑い気味のブラックシスターが宗谷の隣に並び立った銀時に念を押す。
「あ、あたしが合流した時にまたふざけてたら今度こそあんたを撃ちぬいてやるからね!」
「そいつは怖ぇな……まあ、任せとけ、“依頼”を受けた以上、期待は裏切らねぇよ」
銀時はそう言うと、後ろに振り向きブラックシスターをまっすぐに見つめる。
「正直、俺にはこの世界に守るもんなんてねぇ、でもよ……せめて今は………お前の守りたい物を俺も守ってやる」
今までに見せたことのないまっすぐな目で言われた言葉に、一瞬、ほんの一瞬だけブラックシスターの動悸が早まった気がした。
だが、すぐさま頭を振って雑念を飛ばした彼女は気を引き締めて銃を再び構える。
「か、勝手なこと言うんじゃないわよ!」
「何をもたもたしている! 来ないならこちらから行くぞ!!」
痺れを切らしたブレイブが大剣を振りかざして宗谷と銀時に迫る。
だが、その瞬間、ブラックシスターがトリガーを引いてそれを迎え撃つ。
「二人とも、今!!」
同時に出された彼女の合図、その瞬間宗谷と銀時は床を思い切り蹴り前へと踏み出す。
ブラックシスターが放った銃撃がブレイブに真っ向から迫る。
ブレイブはそれを大剣で大上段から真っ二つに切り裂き、薙ぎ払うが……。
「何……!?」
その瞬間、ブレイブの両脇を俊敏な動きで宗谷と銀時が駆け抜けていった。
そう、ブラックシスターが放った一撃は二人を先に進ませるための囮、ブラックシスターはこれを狙っていたのだ。
「行かせん! ここは何としてでも死守する!!」
「それはこっちのセリフよ!!」
すぐにブレイブが宗谷と銀時を追おうと振り返るがブラックシスターが背後からブレイブを攻撃し、それを許さない。
彼女がブレイブの注意を引きつけている隙に二人は走り続け、先に進む。
気付けば既に二人の姿は見えなくなっていた。
広めな通路に取り残されたのはブレイブとブラックシスターの二人だけ、まさに一騎打ちである。
「………貴様、どういうつもりだ……お前と俺の力量の差は既に知っているだろう、無駄に命を散らすつもりか?」
ブレイブがブラックシスターを睨み、そう言うが彼女は動じることなくその輝く双眸を睨み返す。
「わからない? 今のあたしはさっきまでのあたしじゃない……せっかくだから、あんたにも言ってあげる……今のあたしは一人じゃない!」
何かを確信している表情、一体何を根拠にしての言葉なのか、ブレイブには理解できなかった。
しかし、今はそんなことに構っているつもりはない。
目の前にいる敵を倒し己の信じる物を守るためにブレイブは大剣を握る腕に力を込める。
「血迷ったか!!」
無益な殺生を好まないブレイブでも今はなりふり構ってはいられなかった、すべては彼の悲願のため、そのためにもDr.トロイの革命は完遂させねばいけない。
ブレイブは大剣を横に構えると大振りに大剣を振るってブラックシスターを攻撃する。
しかし、ブラックシスターは背中のウィングを使い飛翔、斬撃を回避するとX・M・Bを構え、乱射する。
「無駄だ!」
それに対しブレイブは大剣をまたプロペラの様に振り回して銃撃を弾き返す、周りに飛び交うブラックシスターの銃撃、それによって巻き起こる爆音と硝煙。
ブレイブは彼女の攻撃をすべて弾くと、大剣を持ち直しブラックシスターの姿を探す。
弾幕を張って姿を煙の中に眩ませたのか、姿が見えない。
だが、ブレイブとて自分の悲願のため、貧しき子供たちの笑顔のために己の剣に磨きをかけてきた。
目くらまし如き、とブレイブは精神を集中させる。
………。
「………そこだ!!」
感じ取った僅かな気配を頼りに、ブレイブは背中の砲身をその方角に向けてエネルギーの砲弾を発射する。
程なくして巻き起こる凄まじい衝撃と轟音。
そして、煙の中から飛び出した一人の影。
ブラックシスターだ。
あぶり出しに成功したブレイブは追撃のために大剣を再び構える。
だが、ユニはすぐさま反撃の体制に入るとトリガーを引き、ブレイブを攻撃する。
「あたりはせん!」
しかし、その攻撃はあっさりと避けられてしまう。
背後に強い衝撃を感じつつ、ブレイブは大剣を振りかざして大きく跳躍、目の前にいるブラックシスターに向かって思い切り振りおろす。
反射的にX・M・Bで防御に入るブラックシスターだが、ブレイブの重い一太刀は彼女を防御ごと押し込み、凄まじい勢いで彼女を床にたたきつけた。
「あぐっ!?」
煙が徐々に晴れていく中、ブレイブは床に着地し大剣の切っ先を彼女に向ける。
「これでわかっただろう、貴様がどれだけ立ち上がろうともそれはただの精神論にすぎん……お前が一人で立ち向かってることに変わりはない!」
そう言い放つブレイブ、だが彼女はダメージの影響か膝をつきながらも身を起こしながらも、なぜか………笑っていた。
「それはどうかしらね、よく見てみなさいよ」
「なんだと?」
苦し紛れの負け惜しみかと、ブレイブは黄色く輝くその眼で彼女を見据える。
だが、そう見ても彼女は一人だ。
勝てる相手じゃないとわかっていながらたった一人で挑み、現にこうして膝をついている。
何をどう見ればひとりではないというのか…。
しかし、
「………?」
ブレイブの目に、徐々に移り始めた。
それはまだ残る煙の中で確かに、いた。
彼女の後ろで立っていた。
「………バカな」
信じられなかった、体の自由を奪われた状態でどうやってそこに立っていられたのか。
煙が晴れ、ブラックシスターの後ろにいた人影が徐々にその姿を現す。
そこにいたのは………
「一条寺列……!」
そう、牢屋の中に閉じ込められ磔にされていたはずの一条寺列本人だった。
一体、彼がどうして………。
しかも、彼だけでない、その隣には彼の向かい側の牢屋に捕らわれていたはずの日本一もいるではないか…。
一体何が起こったのか、ブレイブは思考回路をフルに使い、さっきまでの状況を整理する。
やがて、彼はあることに気が付いた。
「………すべて、このための布石だったというのか!」
布石、それは彼女の放っていた攻撃。
ブラックシスターが最初に放った弾幕、それをブレイブが弾くことで牢屋の鉄格子に直撃させてダメージを負わせる。
次に弱った鉄格子に強力な一撃、ブレイブの砲撃を加えることで鉄格子を完全に破壊する。
後は彼女の銃の威力を調整し、彼を磔にしている腕輪や足輪を破壊する。
そして最後は日本一が閉じ込められる牢屋に強力な一撃を放ち、牢屋と一緒に日本一の拘束具も纏めて破壊する。
そう、この流れこそ彼女の真の狙い。
彼女が一人じゃないといった理由、彼女がこの場を引き受けた真の狙い
「名前……覚えてくれてたんだな、ブレイブ」
列はそう言いながらブラックシスターの前に出てくる。
「ブレイブ……今から教えてやる、真の正義を……本当の思いの強さを!!」
列はそう言い放つと左手で拳を作り、自分の顔の前に持ってくる。
「蒸着!!」
両腕を大きく振り回し、自分の前で交差させ、右腕を天に向けて大きく伸ばす。
すると、列の体を光が包み込み、瞬きも許さぬほどの速さで彼の体を銀色のコンバットスーツが包み込んだ。
―――宇宙刑事ギャバンは戦闘の際、コンバットスーツを蒸着するタイムはわずか0.05秒に過ぎない、では、変身プロセスをもう一度見てみよう。
一連の流れは先程の動きと、蒸着の声に反応し、上空に現れたギャバンの“移動用超光速宇宙船ドルギラン”のコンピュータがそのサインをキャッチし、コンバットスーツを転送する。
『リョウカイ、コンバットスーツ、電送シマス!』
電子音と共に、ドルギラン内部に格納されていたコンバットスーツが粒子状に分解され列へと送られる。
そして、彼の体を包み込むように再びその形を成し、装着される。
これが、ギャバンの蒸着プロセスである!
再び宇宙刑事としての姿に変身した列、いや、ギャバンはマスクの下でじっとブレイブを見据えると、両腕を横に伸ばし、身をかがめて自分の目の前に拳を持ってくる。
同じように隣にいた日本一も傷を負った体でありながらそれを感じさせない動きでポーズを決める。
「宇宙刑事! ギャバン!!」
「ゲイムギョウ界のヒーロー、日本一!」
名乗りを終えた二人はポーズを解き、ブラックシスターの両隣に並び立つ。
「言ったでしょう、今のあたしは一人じゃないって………」
再び立ち上がったブラックシスターが銃を構えなおしながらそう言った。
「信じられる仲間と、信じてくれるみんなと一緒ならどんな困難だって乗り越えられる……前だってそうだった……だから、今度は負けないわ! 絶対にあんたを倒して、お姉ちゃんの所に辿り着いてみせる!」
より強い言葉と共にブラックシスターを筆頭にギャバンと日本一、そしてそれを見ていたブレイブも再び臨戦態勢に入る。
ブラックシスターたちとブレイブのリベンジマッチの火ぶたが切って落とされようとしていた。
ブラックシスターがブレイブを引きつけて、隙を作ってくれたおかげで宗谷と銀時は通路の奥へと進むことができた。
そして、二人がたどり着いた先には、異様な存在感を放つ一枚の重厚な扉があった。
「他の部屋はしらみつぶしにしたからな………残ってるのはこの部屋だけか」
「ああ、たぶん……いや、きっとノワールはここにいるはずだ」
宗谷と銀時は扉の目の前で確認を取ると、その扉の前に並び立つ。
そして、思い切り身を低くかがめるとタイミングを合わせ、二人同時にその扉を蹴破って中に突入する。
そこは案外広い部屋でちょっとしたアリーナを思わせる部屋だった。
軽く野球場くらいありそうなその部屋に突入した二人はすぐにノワールの姿を探すが、これと言ってそれらしき姿は見えない。
あるのは鉄の壁と機械染みた橋が上にある程度だ。
『待っていましたよ、哀れなモルモットさん』
突然、どこからか聞き覚えのある男の声が聞こえた。
Dr.トロイの声だ。
すぐに二人は警戒し、辺りを見渡すがそれらしき姿はどこにも見えない。
しかし、姿は見えずとも声は聞こえる、一体どこに潜んでいるのか…。
「Dr.トロイ! ノワールをどこにやった! 返答次第ではお前をぶっ飛ばす!」
『野蛮なモルモットですね、慌てずともすぐに合わせてあげますよ…』
トロイの言葉に銀時は眉を潜める。
「なに? ………! 宗谷、上だ!!」
辺りを見回していた銀時が上を見上げた瞬間、宗谷にそう言い放ち後ろに下がった。
銀時の警告を受けて、宗谷も慌てて後ろに跳び退る。
すると、程なくして……二人がいた場所に一体の大きな巨体が落ちてきた。
いや、降りてきたというべきだろうか。
身体は重厚な金属でおおわれ、洗礼された人型のシルエットをしているそれはまさしく100%純粋なまでのロボットだった。
ブレイブ以上の体躯を誇るそのロボットを見上げる宗谷と銀時、すると彼らはすぐにあることに気付いた。
そのロボットの中央に、透明なカプセルが埋め込まれていることに…。
そして、その中にヘルメットの様な物で顔の半分を覆われたノワールがいることに……。
「ノワール!!」
宗谷がすぐさま彼女を呼ぶがノワールは反応を示さない。
どうやら気を失っている様だ。
唖然とする宗谷の耳にそのロボットの頭部から再びDr.トロイの声が聞こえてきた。
ロボットの頭を見上げると、そこにはDr.トロイが薄気味悪い笑みを浮かべてこちらを見下ろしていた。
『どうだい、モルモット諸君! これこそがラステイションに新たな技術革命をもたらす革命の証! 戦闘ロボ、“イノベイタ・ヴァルキリー”だ!!』
革新の戦乙女の名を持つロボを前に、宗谷と銀時が警戒の色を見せる。
ラステイション、そして、ノワールの運命を賭けた戦いが幕を開ける……。
いかがでしたか?
次回は、それぞれの激闘がより激しさを増す。
果たして宗谷達はイノベイタ・ヴァルキリーに捕らわれたノワールを救い出せるのか!!
そしてユニ達とブレイブの対決の行方は!
次回でお会いしましょう! それでは!