超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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どうも、白宇宙です!

今回のお話で遂に、今回の異世界の万事屋編も完結!

果たして、イストワールが突然現れた理由とは…

それではお楽しみください、どうぞ…。


stage,58 俺と繋がる奇跡

 

宗谷たちがラステイションに出かけて半日が経過しようとしていた。

ギャバンに言われてプラネテューヌに残っていたネプテューヌ、ネプギア、イストワールの三人は宗谷の無事を祈りつついつも通りの生活を送っていた。

一通りの仕事を済ませ、昼食もとったイストワール。

午後からの仕事に備え、休憩を取ろうとベランダに出た時だった。

 

「?」

 

突然、右腕に嵌めていたブレスレット型のアイテムが僅かに光り始めたのだ。

中央の液晶に何やら文字列が浮かび上がり、ピコピコと点滅している。

 

「これは……」

 

そっとそれに手を添えてみるイストワール。

すると、突然彼女の脳裏に何かが流れ込んできた。

 

それは、宗谷がDr.トロイの操るイノベイタ・ヴァルキリーの放ったエネルギーキャノンの中に飛び込もうとしているまさにその瞬間だった。

 

「宗谷さん……!? あの人はまたあんな無茶をして……!」

 

今宗谷が置かれている状況を感じ取ったイストワール、しかし同時に彼が何を考えているのかもすべて感じ取っていた。

彼が何のために無茶をするのか、何のために可能性に賭け、手を伸ばすのか…。

ノワールが今どういう状況なのか、ラステイションがなぜ危機に瀕しているのかをすべて知ったイストワールはこくりと頷いた。

 

 

その瞬間、彼女の目の前に白い光が瞬いた。

 

 

それは円形上に広がるぽっかりと空間にあいた穴だった。

奥の方に続く様に、科学的な数字の列がチラチラと見える。

彼女はその空間が突然現れて一瞬驚いたが、すぐにそれがどこに繋がっているのかを悟った。

すべて、このブレスレットが導いてくれているのだと…。

 

「すぐに行きます、宗谷さん……!」

 

彼女は意を決して、その空間の中に思い切り飛び込んだ。

彼女がその中に飛び込んだ瞬間、空間の入り口は閉じた。

白い空間の中を滑り台のように奥へ奥へと進んでいく、徐々にスピードが上がっていき少し先にだが出口と思われる光が見えてきた…。

 

 

 

そして、現在に至る。

 

 

 

空間を飛び越え、宗谷の元に駆け付けたイストワールは直前に防御魔法を最大で展開し、宗谷を守った。

宗谷はなぜ彼女がここにいるのか最初は驚いたが、すぐにそれがなぜ起きたのか理解することとなった。

 

「宗谷、無事だったか!」

 

ギャバンを筆頭に後ろにいた仲間たちが彼の元に駆け寄ってくる。

 

「ていうか、なんでイストワールさんがここに? 教会にいたんじゃ…」

 

そしてすぐに宗谷と同じ疑問を感じたブラックシスターが問いかけてきた。

そんな彼女に、宗谷は右手に持っている赤剣を彼女に見せる。

 

「これのおかげみたいだ」

 

「え? あれ、このアプリって確か……」

 

宗谷が見せたV.phoneの画面にはかつて、宗谷がイストワールと連絡を取るために自主制作したオリジナルアプリ、“いつでもいーすん”のアイコンが新たな姿へと変わっていた。

 

「なんでかは知らないけど、いつでもいーすんがアップグレードして作動したんだ、それでいーすんがここに来たんだと思う」

 

本来、ホログラムを投影して彼女と連絡を取るためのアプリだったいつでもいーすん。

 

それが何の因果か突然変化し、彼女そのものをこの場に呼び出すためのアプリへと変化したのだ。

 

「つまり、ワープ機能ってこと?」

 

「まあ、そうなるな……にしても、どうして急に……」

 

「………きっと、宗谷さんが可能性に賭けた結果ではないでしょうか?」

 

不思議がる宗谷にイストワールがそう言った。

この状況でそんな奇跡が起きる物なのだろうか?

 

………いや、奇跡は起こすものじゃない、起きるべくして起こるものなのだ。

 

これも何かの縁なのかもしれないと、宗谷は割り切るとイストワールの方に視線を向けてこくりと頷いた。

 

『貴様ら……!』

 

そんな会話をしているうちに、イノベイタ・ヴァルキリーが再び戦闘モードに入った。

腕を振り上げて今にも襲い掛かりそうなその鉄の巨体を宗谷達は見上げる。

コクピットに乗っていたDr.トロイは血走った目で彼らを見下ろし、今にも噛みつきそうなほど血気迫った表情を浮かべている。

 

『なぜ潰れない、なぜ排除できない! なぜお前はそこに立っている! 私の夢のために貴様はここで倒れるべきなのに!!』

 

あまりにも身勝手な発言を迸らせ、Dr.トロイが激怒する。

 

だが、それに対して宗谷とイストワールは何も言わずに並び立つと自分たちの前に立ちはだかるDr.トロイを睨み付けてから、宗谷は赤剣を、イストワールは右腕のブレスレット型のアイテムを自分たちの前に掲げる。

 

「頼むぜ、いーすん!」

 

「はい、一緒に行きましょう…宗谷さん!」

 

二人は同時に赤剣とブレスレットを思い切り振り上げ、コールする。

 

 

 

 

「「フォーチュンリンク・オン!!」」

 

 

 

 

途端にブレスレットとV.phoneに軌道を示す文字列が浮かび上がり、二つのアイテムがリンクするように光の線が浮かび上がる。

 

すると、どうしたことか、突然宗谷の変身が解け、糸が切れたように彼は失神してしまった。

 

あまりにも突然の事に、近場にいた日本一が宗谷の身体を支える。

 

それに対して、隣にいるイストワールの身体は光に包まれ始める。

彼女の体を前進くまなく覆った光は一瞬だけ膨れ上がると、弾ける様にその光を霧散させた。

そして、弾けた光の中から姿をがらりと変え、“変身”したイストワールの姿があった。

 

その姿はマジェコンヌとの戦いの際に見せた彼女の、いや、“イストワールと宗谷の新たな姿”である。

 

白銀の装甲に身を包んだ彼女は、手を下ろしくるりと後ろを振り返ってから気を失った宗谷を抱えている日本一を見る。

 

『日本一、俺の体、頼んだぜ?』

 

「え、その声……宗谷!?」

 

「でも、この姿はイストワールさんが……なんで!?」

 

イストワールであるはずの人物から突然宗谷の声が聞こえたので困惑する日本一とブラックシスター、だがそんな二人にお構いなしに新たな姿に変身したイストワールは再びDr.トロイに向き直ると一歩前に出る。

 

「思った通り、こういうことになりましたね宗谷さん?」

 

『ああ、やっぱりこの変身はだいぶ特殊だな、仮面ライダーWを思い出すぜ』

 

一人の体のはずなのに、会話をしている。

とてつもなくシュールな絵面に呆然とする四人。

 

『こけおどしが……なにをごちゃごちゃと!!』

 

そんな彼らにDr.トロイが痺れを切らし、イノベイタ・ヴァルキリーの鉄拳を振り下ろした。

 

だが………。

 

―――ガシィン!

 

その拳は届かなかった。

当たる直前に止められたのだ、イストワールに………しかも、片手で難なく。

 

『なっ!?』

 

「今の私は………“私たち”はただ変身しただけじゃありません」

 

『この変身は、いーすんの体に俺の意識を飛ばすことで文字通り一心同体になり、より強力なパワーアップを果たしている』

 

そう言うと、彼女は右腕で止めていた鉄拳を横にいなし、くるりと身を回転させて思い切り足を振り上げる。

 

「『ハアッ!!』」

 

イノベイタ・ヴァルキリーの鉄腕に、彼女の回し蹴りがヒットする。

すると、驚くことにあの3mはあろうかと言う巨体と共に横倒しに倒れてしまったではないか。

さっきまで変身していた宗谷でもここまでの威力は出なかったであろう、この変身は互いの意識を一つの体に共有させるのだけでなく、本当にパワーも数倍にアップさせている様だ。

 

『これでわかっただろう、Dr.トロイ』

 

宗谷が彼に向かってそう言う。

 

今の攻撃を喰らった影響か、イノベイタ・ヴァルキリーの肩の部分から火花が散っている、関節の部分にダメージが響いたようだ。

再び身を起こし、白銀の装甲に身を包んだ戦士を見下ろすDr.トロイ。

倒れた影響で割れてしまったのか、ひび割れたモノクルを乱暴に外して操縦桿を思い切り掴んだ。

 

『貴様ら……貴様ら如きにぃぃぃぃい!! 私の技術を、私の革命を邪魔できやしない!! 貴様らはここで排除する、排除するぅぅぅぅぅううううう!!』

 

完全にキレた様子のDr.トロイは怒鳴り散らし、イノベイタ・ヴァルキリーのコンソールを操作し始める。

 

『こうなれば、この機体のフルパワーを持ってして全力でお前たちを排除してやる! ノワールの変わりなどそこにいる半人前の女神を手に入れれば十分だぁ!!』

 

『させねぇよ、お前なんかに二人を好きになんかさせねぇ………』

 

宗谷はそう言うと一心同体になったことで共有できているイストワールの視界と自分の視界をリンクさせてカプセルの中に捕らわれているノワールを見つめる。

 

 

『お前も、こんなこと嫌だろ? そんな所、嫌だろ? ノワール………戻って来い、ノワール!!』

 

 

彼女を見つめ語り掛ける宗谷。

彼の必至な思いが込められた言葉がアリーナに響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうして……?

 

どうして壊れないの?

 

なんで壊せないの? なんで私はまだ独りぼっちなの?

 

どうすればここから出られるの?

 

どうすればこの暗闇が壊れるの……?

 

もう、疲れた……。

 

このまま、もう………眠りたい………。

 

 

 

………。

 

 

 

 

 

――――!

 

 

 

 

 

………え?

 

 

 

今、誰かの声が……?

 

 

 

―――――!!

 

 

 

誰……誰なの?

 

私を……呼んでる?

 

この声って………

 

 

 

―――戻って来い、ノワール!!

 

 

 

………っ!

 

 

 

「宗谷!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼の呼びかけに答える者はいなかった、未だに気を失っているノワールは何の反応も示さず、Dr.トロイは口から笑い声を漏らしながらイノベイタ・ヴァルキリーを操作する。

 

『バカめ!! いくら呼びかけても無駄だと、なぜ理解しない!! さあ、フルパワーになったこの機体の恐ろしさを、見るがいい!!』

 

そう言ってコクピットのコンソールを乱暴に叩いたDr.トロイ。

遂にイノベイタ・ヴァルキリーがフルパワーを発動させようとしているとわかり、焦りの表情を見せるブラックシスターたち。

それに対してなぜか冷静な様子を見せる宗谷とイストワール。

これですべてが終わると、Dr.トロイは確信した。

 

彼が勝利を確信し、操縦席に備えられたモニターを確認したその時だった。

彼の目が三度驚愕で見開かれることとなったのは…。

 

 

 

「………な、なぜだ……なぜ、パワーが上がらない!!」

 

 

 

イノベイタ・ヴァルキリーのパワーを示す数値が全く変動していないのだ。

しかもそれだけではない、シェアエナジーの供給が完全にストップしている。

これではこの機体が本来生み出すことができるパワーを十分に出し切れない。

途端に焦りを見せるDr.トロイ。

そんな彼にイストワールと宗谷が変身した白銀の戦士がゆっくりと迫る。

 

「ま、待て!! くそ、なぜだ、なぜこんなことに!? 機体のチューンナップは完全だったはずだ!!」

 

「それは、あなたが女神さまを利用したからです」

 

混乱するDr.トロイにイストワールがそう言い放った。

 

 

「どれだけすごい技術を生み出そうとも、女神様を心まで掌握し思い通りに利用しようとすることはできません。 あなたの培った英知は根底からしてそもそも不可能な技術だったのです」

 

『ノワールのツンデレは伊達じゃないぜ? 墓穴を掘ったな、ゲス科学者……さあ、覚悟しろよ?』

 

 

左手に白い細剣を、右手に赤剣を呼び出した白銀の戦士は二刀を構えてイノベイタ・ヴァルキリーを睨み付ける。

 

まさか、ノワールの意識がこのトラブルを引き起こしているとでもいうのか…。

信じられないと言いたげにDr.トロイが体を振るわせる。

 

そして、白銀の戦士を筆頭にブラックシスター、銀時、ギャバン、日本一の四人も戦闘態勢に入った。

 

これで勝負を決める…。

 

 

 

『行くぞ!!』

 

「「「「「おお!!」」」」」

 

 

 

宗谷の声に答え、全員が一気に走り始める。

万事休すとなったDr.トロイだったが、最後の抵抗のつもりか操縦桿を再び握りイノベイタ・ヴァルキリーを再び動かす。

シェアエナジーがなくとも、本体はまだ動けると言うのか……。

 

『おのれぇぇぇぇえええええええええええええええ!!』

 

叫び、イノベイタ・ヴァルキリーの鉄腕を振り下ろす。

だが、五人はその攻撃を掻く方々に散らばることで回避すると、一気に決着をつけるべくそれぞれの最大限の技を引き出す態勢に入った。

 

まずは、宗谷の身体を安全な場所に置いてきた日本一が走り出し、身をかがめてから大きくジャンプ。

そして空中でムーンサルトを決めてから、ドリルのように体を回転させて右足を突き出す。

 

 

「ジャスティス! 超回転ドリルキィーーーーーック!!」

 

 

その名の通り、ドリルのようなすさまじい回転と共に放たれた日本一の強力な跳び蹴りがイノベイタ・ヴァルキリーの右腕に彼女の必殺キックが直撃する。

右腕のひじから先に亀裂が入り、爆発を起こした右腕を庇うように後退したイノベイタ・ヴァルキリーだが、そこに続けてギャバンが立ちふさがった。

 

「お前の様な腐った悪は、絶対に許さない!! レーザー……ブレーーード!!」

 

ギャバンはそう言うとレーザーブレードを抜き放ち、その刀身に眩い光を纏わせる。

そのまま構え、一直線に走り出したギャバンにDr.トロイは機体の脚を使った横蹴りで応戦しようとするが、その攻撃をもギャバンは飛び越えると空中で一回転し思い切り、レーザーブレードを振り下ろした!

 

 

「ギャバンダイナミック!!」

 

 

レーザーブレードの凄まじい一閃がイノベイタ・ヴァルキリーの左腕を根元から切り裂いた!

 

連結部からバチバチと火花を上げて、斬り捨てられた腕が地面に落ちるのを見たDr.トロイは再び歯ぎしりをする。

だが、攻撃はまだ終わらない。

今度は機体の脚部に何発もの銃撃が浴びせられ始めたのだ。

 

そして、銃撃を行っているのは……。

 

「覚悟しなさい!!」

 

ブラックシスターだった。

 

彼女はX・M・Bを次々と休みなく発射し続け、イノベイタ・ヴァルキリーを惜しみなく攻撃し続ける。

そして、限界を迎えたのか機体の脚に小爆発が起こり、イノベイタ・ヴァルキリーが遂に膝をついた。

 

『まだだ、まだこの機体には武器が残されているぅぅぅぅぅぅぅぅうううううう!!』

 

こんな状況でもまだ抵抗しようとするDr.トロイは何かのボタンを押すと、イノベイタ・ヴァルキリーの両肩から巨大なレールキャノンが出てきた。

それで一気に反撃しようとするDr.トロイ。

 

 

「いい加減、大人しくしやがれ! このタコ助ぇぇぇえええええええええええ!!」

 

 

だが、いつの間にいたのかイノベイタ・ヴァルキリーの真上から銀時が木刀と宗谷から手渡された別の剣を振りかぶり、降下してきて片方のレールキャノンに木刀を突き立てると、もう片方にもうひと振りを投擲し、貫いた。

一瞬にして使い物にならなくなった武器、Dr.トロイはいよいよもってして後がなくなってしまった。

 

『だから言っただろ!』

 

そこへ、背中に白く光る翼を展開した白銀の戦士が二振りの剣を振りかざして迫ってくる。

 

『お前の身勝手な夢も理想も全部叩っ斬るてな!!』

 

『ま、待て………落ち着け!! 下手に攻撃すればノワールも巻き込むぞ!? それでもいいのか!!』

 

『待てと言われて、お前は待つのかよ!! それにこうも言ったはずだ……ノワールは必ず助けるって!!』

 

白銀の戦士はまず、左手に持っていた白い細剣を思い切り引いて、勢いよく投擲する。

その切っ先は流星の如くまっすぐに空中をかけていき、ノワールが捉えられていたカプセルに直撃、ガラスのようにそのカプセルを粉々に砕くと白い細剣は役目を終えたかのように消滅した。

 

 

 

『理想も夢も考えるのはいいが、他人を犠牲にする理想なんざ………見る価値もない!!』

 

「あなたの理想をこのゲイムギョウ界から消去します!!」

 

 

 

右腕に持っていた赤剣を思い切り振り上げた白銀の戦士はそう言い放ち、空高く舞い上がるとそのまま一気に急降下し始める。

画面にある、フィニッシュブレイクアプリをタッチし、エネルギーを刀身に乗せて宗谷とイストワールは回転しながら思い切り赤剣を振り下ろした!

 

 

「『ストレイザーーーー!! V!!』」

 

 

巨体を切り裂くV字の斬撃、右肩から袈裟懸けに入ったその強力な斬撃は見事にノワールのいる胸部を避け、左肩へと抜けていた。

眩い火花を上げて機能を停止させるイノベイタ・ヴァルキリー。

その前に、白銀の戦士は胸部のカプセルに向かって飛び込むように飛翔すると、捕らわれていたノワールのヘルメットを強引に引っぺがし、彼女の体を抱きかかえてその場をすぐさま脱出した。

 

何とか救出できたノワールは目を閉じているものの、ちゃんと息はしている。

無事を確認した白銀の戦士はほっと胸を撫で下ろし、着地する。

 

「………ん………んぅ」

 

程なくして、ノワールが閉じていた瞼を持ち上げた。

まだ微睡みの中にいるノワールははっきりとしない目つきで自分を抱える白銀の戦士を見る。

 

 

 

(………宗谷、なのね)

 

 

 

まだはっきりとは見えてなかったが、彼女には確かに分かった。

自分を抱えるこの腕から伝わる優しい温もりは確実に宗谷のものだと。

 

正しくは自分を抱えているこの二本の腕はイストワールの身体なのだが、彼女は無意識にそう感じ取ったのだ。

身体に伝わってくる宗谷の温もりと安心感それに身を任せるように彼女は再び、目を閉じる。

 

 

 

 

 

「なぜだ………私の最高の英知が………なぜ」

 

限界を迎え、激震するコクピットの中でDr.トロイはまだ今の現状が信じられないと言いたげに頭を抱えていた。

そこら中から緊急を知らせるアラートが鳴り響き、白煙と共に火花が散る。

目を見開き、前のめりになって呆然とするDr.トロイの耳に何か別の雑音が聞こえてきた。

壊れかけていた通信機が何かを受信したようだ。

 

『ハァーイ♪ ご苦労様、Dr』

 

「………貴様は」

 

通信機から聞こえてきたのは若干ノイズが入っているが、ひと声聞いただけでわかる特徴的な“オネエ口調”の人物だった。

この人物はイノベイタ・ヴァルキリーを製作する際に、動力源となるノワールの身体能力を現すデータを提供してくれたり、シェアエナジーを供給する装置の基礎理論を元に設計データを組んでくれた協力者だ。

すべては世界を変えるため、同じ目的を持っていたはずのこの人物をトロイはいい利用価値だと思っていた。

 

なぜ、今になって……トロイは疑問を感じるがオネエ口調の人物は言葉をつづけた。

 

『あなたのロボット、なかなか素敵そうだったからアタシもちょっと手伝ってみたんだけど………やっぱり、失敗したみたいね』

 

「……マシントラブルが起きた……一体どうして……」

 

『そりゃあそうよ、だってあのマシン、そもそも使い方が違うもの』

 

「………何?」

 

聞き捨てならない言葉が聞こえた。

いや、しかしとDr.トロイは眉を潜めた。 あの技術は彼の目線から見ても完璧なものだった。

しかし、使い方が違うというのはいったい……。

 

『そもそもねぇDr、シェアエナジーを供給してアタシたち人間が扱うなんて無理に等しいのよ、あれは女神に力を注ぐ大事なエネルギーなんだから……結局あれは女神にしか使えないってことよ』

 

「………だが、途中まではうまくいっていた!」

 

『それはあくまで一時的なもの……遅かれ早かれトラブルは起きてたわよ、まったくDrってば、目の前のことにばかり気を取られているからそうなるのよ、アタシみたいなやつの噛ませ犬にされても……おかしくないわよ?』

 

この時、すべてを悟った。

 

この人物は自分を利用したのだと。

 

「貴様………私の技術を否定した上に、この私を利用するとは!!」

 

『うふふふ♪ おかげでなかなかいいものが見れたわ、アタシの大好きなノワールちゃんのいろんな姿と………あの坊や………アタシのこれから作ろうとしてるもののための貴重なデータもとれたから万々歳ってことで、それじゃ…チャオ~♪』

 

その言葉を最後に、通信機は完全に停止した。

 

 

 

「おのれ………おのれおのれおのれおのれおのれおのれ!! 謀ったな!! “アノネデス”!!」

 

 

 

Dr.トロイの呪詛の言葉がそろそろ限界を迎えそうなコクピットの中で響き渡る

 

そして、間もなくイノベイタ・ヴァルキリーは大爆発を起こした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大爆発を起こし、工場の大半であった需要な施設は半壊、残された従業員は遅れて到着したラステイションの警察によって一斉摘発されて御用となった。

その中にはいつの間に脱出していたのか、今回の事件の主犯格であるDr.トロイの姿も交じっていた。

今回の事件を引き起こした彼には、後々重い罪が下されることだろう。

 

ただの調査のつもりが思わぬ大取物となった今回の出来事を終えた宗谷たちは少し離れたところで座り込み、一休みをしていた。

 

あの後、なんとか爆発には巻き込まれずに済んだ彼らはラステイション警察に通報し応援を要請した。

すべてを終えた彼らは今までの疲れがどっと出たのか変身も武装も解除している。

そして、救出に成功したノワールはと言うと、今は完全に目を覚まし宗谷の隣に座り込んでいる。

 

「ノワール、もう大丈夫か?」

 

そんな彼女を心配して宗谷が声をかける。

すると彼女はこくりと頷いて返事を返した。

 

「ええ……まあ、なんとか……」

 

「よかった……それにしても、まさかこんなことになるなんてな」

 

「ええ、そうね……」

 

宗谷の言葉に対して上っ面な返事を返してくるノワールに、彼は疑問を感じる。

よく見ると彼女の頬が赤い、疲れが出ている影響だろうか?

そう思った宗谷が首を傾げていると、ノワールは縮こまるようにそっと顔を俯かせる。

一瞬見えたその横顔は、何処か暗い、沈んだものだった。

 

「………ノワール?」

 

頬っておけないと思った宗谷は再び彼女に声をかける。

 

「………あの科学者に捕まって……変なものをかぶせられた後のこと……思い出してたの」

 

静かに、呟くようにそう告げるノワール。

変なものを被せられた、おそらくそれは彼女がイノベイタ・ヴァルキリーに乗せられたときに被っていた奇妙なヘルメットの事だろう。

 

「………暗くて、何もない……冷たいところだった……誰の声も聞こえない暗闇で、私は自分の事すらもわからなくなって………挙句の果てに暴れまわって………私は、宗谷……あなたたちを……」

 

その身に刻まれたのは、確かな恐怖だった。

何もわからず、誰もいない、暗闇の中でやみくもに暴れまわる。

どれだけの恐怖と不安がその時の彼女を支配していたことだろうか、宗谷は容易に想像できた。

実際に彼女はその時のことがフラッシュバックしているのか小刻みに身を震わせている。

 

「………笑っちゃうわよね、女神である私が……利用されて、こんな……」

 

震えはじめた声に、若干涙声が含まれ始めた。

すると、宗谷は彼女の頭をつん、と突いた。

 

「それさ、ユニも言ってたぜ?」

 

「………え?」

 

「あいつも同じようなこと言ってたよ、女神の力があるのに、何もできない……一人じゃ何もできない半人前だってな、でもよ……ほら」

 

彼はそう言うと、別の方角に目線を向ける。

それにつられてノワールが目を向けると、そこにはユニが今回の戦いを共にした仲間たちとたむろしている様子があった。

 

銀時が彼女を茶化し、ユニがそれに怒るのを列と日本一がイストワールと一緒に笑顔で見つめている。

 

一見すると、そんなことを言っていたようには見えない様子だった。

 

「………たとえ孤独になっても心の底からの独りぼっちになることはきっとないんだよ、きっと……実際にユニは俺達と一緒に戦うって決めたときは強くなったみたいだぜ? あのブレイブを倒したんだとさ」

 

「………ユニが」

 

「心の繋がりってのは舐めたものじゃないぜ? だからこそあの奇跡も起きたのかもしれないしな…」

 

その奇跡と言うのはイストワールを呼び出した、いつでもいーすんの変化のことだ。

あれもまた、彼とイストワールの繋がり、心のリンクが起こした奇跡なのかもしれない。

 

ノワールはユニがこの短期間に大きな変化を遂げたことに驚いていた。

確かに、あの時の、ブレイブとの戦いで見せた血気迫る表情は今はもう見られない、時折ではあるが銀時との会話にも楽しそう笑みが浮かんでいる。

 

「………人の繋がりってのは、人をいくらでも強くする………お前もあの時は何もできなかったのかもしれない、でもさ………答えてくれただろ? 俺の声に」

 

「………あ」

 

そう言われて、彼女は思い出した。

最後に、一瞬だけ、本当の一瞬だけ、しっかりと聞こえた声があったことを……。

それは聞き間違うはずもない、自分の思い人の声だった…。

 

 

 

 

「心を伝えれば、必ず心で帰ってくる………」

 

 

 

 

彼はそう言うと、自分の心臓のあたりを拳で二回たたいた。

 

「最後の最後で、お前が答えてくれたからトロイに勝つことができたんだ、俺はそう信じてる」

 

まっすぐに彼女を見つめ、そう言った宗谷の言葉が染み込んでいくようだった。

彼女の胸に熱く、じんわりと暖かい何かが広がっていく。

 

(………心を伝える、か)

 

彼女は復唱するようにそう言うとこくりと頷いてすっと、立ち上がった。

 

「……そうよね、私がこんなことでへこんでたらユニにも示しがつかないし……ありがとう、宗谷……ちょっと、元気が出たわ」

 

「お、珍しくノワールが素直」

 

「う、うるさいわね! それに珍しいってどういうことよ!」

 

その思いが彼女を元気づけたのか、ノワールはすっかり元の調子に戻ったようだった。

安心した宗谷は彼女と同じに立ち上がる、するとそこにさっきまで雑談にふけっていたユニ達が駆け寄ってきた。

 

「お姉ちゃん! 体、もう大丈夫なの?」

 

「ええ、もう大丈夫よ……心配かけたわね、ユニ。 ………ありがとう」

 

「………お姉ちゃん」

 

互いに微笑みを浮かべる黒い女神の姉妹を、周りの人物たちはほほえましく見守る。

彼女の頭を撫でていたノワールが、今度は宗谷たちにも目線を向けた。

 

「みんなもありがとう、おかげで助かったわ……」

 

「まあ、そう気にすんなよ、俺ぁ依頼を受けただけだ」

 

「ふん……相変わらず生意気なことを……」

 

「ああん? なんだとレトロヒーロー?」

 

列の言葉に聞き捨てならないと銀時がまた突っかかり、再び険悪ムードに突入する、かと思われたが………。

 

 

「だが、まあ……悪くはないな、たまにはお前と共に戦うのも一興だ」

 

「………けっ、素直じゃねぇポリだぜ」

 

 

そう言って銀時と列は互いに口元に笑みを浮かべるとそれ以降は言い合いもせずに互いに引き下がった。

 

「さて、いろいろあったが……宗谷」

 

そして、列は宗谷に向き直ると真剣な眼差しを向けて彼を見つめる。

宗谷も反射的にどこか緊張した表情になり、列と視線を交わす。

 

「今回の戦いを通して、お前を見させてもらった………感じたぞ、お前の心に秘めた正義の光を!」

 

列はそう言うと宗谷の肩に手を置き、明るい笑みを浮かべる。

 

「お前に授けよう、俺のスキルを」

 

「ギャバン………!」

 

「列でいい、よく頑張ったな、宗谷」

 

「……ありがとう、列さん!」

 

二人はそのままがっちりと固い握手を交わす、その瞬間宗谷の腕を伝って不思議な光がポケットの中にしまってあるV.phoneの中に流れ込んでいった。

これはおそらく彼のスキルが追加された証だろう。

 

列から新スキルをもらった宗谷、そして今度は入れ替わりに銀時が宗谷の前に立つ。

 

「……俺から言うことはこれだけだ、てめぇの信念、曲げんじゃねぇぞ? 守りたいものがあるなら、最後まできっちり守れ、これはそのために使いな」

 

そう言うと、銀時は手から銀色に輝く光を生み出した。

それはゆっくりと空中を浮遊した後、宗谷のポケットの中に吸い込まれていった。

恐らく、銀時も彼に授けたのだろう、彼のスキルを…。

 

「………銀さん、ありがとうな……たまにイラッとするときもあったけど、楽しかったぜ」

 

「そうかい、まあ、こっちはいい暇つぶしにはなったよ」

 

そう返した銀時は手をひらひらと振りながら、身を翻してギャバンと並びたった。

 

「そんじゃ、俺らはそろそろ退散するとするかね」

 

「ああ、俺達の役目は終わったからな」

 

「え、もう行っちゃうの!?」

 

役目を終えたヒーローメモリーである二人はこの場を去ろうとした時、日本一とユニが二人に駆け寄った。

日本一は列の元に、ユニが銀時の元に近づく。

 

「まあな、俺達のヒーローメモリーとしての役目は果たしたからな」

 

「……じゃあ、もう会えないの?」

 

日本一はどこか寂しそうな表情を浮かべて列を見つめる。

一時的とはいえ、バディとして組んでいた日本一と列、やはり別れとなると寂しくなるもののようだ。

そもそも彼らは宗谷を鍛えるための役割を担っている、その役目を終えた後はどうするのかは宗谷にもわからない。

 

 

「そんな顔をするな日本一、心配しなくても信じていれば俺はいつでもお前の元に駆け付ける」

 

 

列は寂しそうな表情を浮かべている日本一に手を差し出しながら笑みを浮かべる。

その言葉の意味を受け取った日本一は表情尾をぱっと明るくするとその手をがっしりと掴み、握手を交わした。

 

「本当!? また、会える?」

 

「ああ、なんて言ったって、お前はこの世界で出来た俺の相棒だからな」

 

「………うん!」

 

再会することを約束した列はその手をしっかりと握り返した後、手を離すとちらりと宗谷達の方を見てから、拳を自分の前に構える仕草を見せた後、光に包まれてどこかに消えてしまった。

一度、自分のメモリーワールドに帰ったのだろう、でもいつか二人はまた再開することがあるかもしれない。

そう考えながら、宗谷はぎゅっと拳を握りしめる日本一の後姿を見ていた。

 

「………そんじゃ、俺もそろそろ」

 

「待ちなさいよ」

 

列が先に帰ったのを見届けた銀時が自分も帰ろうとした時だった、ユニが彼を呼び止めたのだ。

 

「銀時……あんたはこれからどうするの? あんたはもうこっちには出てこないの?」

 

「さあな、俺の役目は終わったんだ、適当に後は隠居生活を送るさ」

 

「………要は何もすることがないって言いたいのね」

 

「人を暇人みたいに言うんじゃねぇよ」

 

ユニの言葉を聞き捨てならないとそう返した銀時に対して、ユニはどこか落ち着かない様子で視線をそらし、ながらもちらちらと目を忙しなく動かしている。

今は夕方になっているので気のせいなのかもしれないが、その頬の色が若干朱色を帯びているように見えるのは光の加減なのだろうか…。

 

「だったら………ど、どうせ暇なら……たまには、顔出しなさいよ……か、勘違いしないでよ? い、一応、あんたには借りがあるし、パフェの一つくらい奢ってやらないこともないってだけなんだから!」

 

そっぽを向き、どこかぎこちない話し方でそう言ったユニ。

素直じゃないツンデレ気質の喋り方に銀時は眉を潜めるが、パフェと言う言葉に反応してかすぐに笑顔を浮かべた。

 

 

「そうかい、そんじゃま、その時は特別うめぇ奴を頼むわ……そんじゃ、またな、ユニ」

 

「あ……」

 

 

その言葉を最後に、銀時は列と同じように光に包まれて姿を消した。

残されたユニは彼のいた場所を見つめながら、ぽつりと呟いた。

 

 

 

「………絶対来なさいよ、銀時………待ってるから」

 

 

 

微笑みを浮かべながらそう呟いたユニ。

銀時とユニが再開するのは、また近いうちなのかもしれない…。

 

 

 

二人の主人公を見送った宗谷とノワール、そしてイストワールは同じようにその主人公たちと何か特別なつながりを得た二人を見守っていた。

 

「あれも、心の繋がり……“リンク”なのかもしれませんね?」

 

「ああ、きっとな……」

 

心の繋がり、“絆”の力はどんな困難も乗り越える。

そう信じる宗谷はこの出会いもまた何か特別な意味が込められているのかもしれないと、感じていた。

そんな彼の肩を、隣にいたノワールがとんとんと叩いた。

 

「……ねえ、宗谷、ちょっと目を瞑って」

 

「ん? 急にどうした?」

 

「いいから、早くする!」

 

「お、おう……こうか?」

 

強い口調で言われた宗谷は戸惑いながらも彼女に言われた通り、そっと目を瞑った。

一体どうしたというのか訳も分からず、宗谷が立ち尽くしていると…。

 

 

 

 

―――チュ………

 

 

 

 

不意に、彼の右の頬に何か柔らかい感触が当たった。

 

 

「………え?」

 

 

突然の事に驚き、反射的に目を開けてしまった宗谷。

頬に当たっていた何かの感触はすぐ離れはしたが、温かく、柔らかな感触のはなおも彼の頬に残っている気がした。

ふと、ノワールの方に視線を向けると、彼女は頬どころか、顔を真っ赤にしてこちらを見ていた。

 

「か、勘違いしないでよね! これは、その、助けてくれたお礼ってだけ、それだけなんだから!!」

 

いつにも増してツンデレ度合いが増した発言を聞かされた宗谷は頬を自分の右手で撫でながら、呆然とする。

そして、しばらく自分の脳内で考えをまとめた結果………ある考えに至った。

 

 

(今のは、まさか………!?)

 

 

対して、目の前で何が起きたのかを目の当たりにしたイストワールは頬を真っ赤にして驚いていた。

まあ、無理もないだろう、いきなり目の前で自分の思い人にあんな大胆なことをされれば驚きもするというものだ。

そんな彼女を様子に向かい側にいたノワールが気づくと、彼女に何か意志を込めた視線を送る。

そして、同じくその視線に気づいたイストワールも同じように視線を向ける。

 

 

 

「行っておくけど…負けないわよ、イストワール」

 

「………こ、こればかりはノワールさんでも譲れません!」

 

 

 

この時、イストワールは理解した。

ノワールは今まさにこの時から、自分の恋のライバルになったのだと………。

 

 

 

(………マジでか、おい)

 

 

 

対して、そんなことを露知らずで呆然とし続けている宗谷は何とも言いきれない高揚感と言うか、予想外の事態についていけず若干上の空になっていた。

 

 

 

まあ、何はともあれ………。

 

 

 

 

 

俺はこの日、初めてほっぺにちゅーされた………まあ、お礼変わりだけど………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………本当の勇気、か」

 

あの戦いに敗れ、姿を消したブレイブは人気のない森を歩き続けていた。

どうすれば、その勇気と言うものを見つけられるのか悩みながら歩を進めるブレイブ。

そもそも、自分は今までやってきたことこそが、己の正義だと疑わなかった。

だが、それは間違いだったと気付かされた今、どうすればいいのかとブレイブは途方に暮れていた。

 

すると………。

 

 

 

『信念を見失った者よ……』

 

 

 

突然、彼の耳に何者かの声が聞こえてきたのだ。

響くような違和感を含めた声に、ブレイブは警戒して辺りを見渡すが姿は見えない。

 

「………何者だ、どこにいる!!」

 

問いかけるが、応答はない。

こんな深い森で声がするというのは違和感しか感じない奇妙なことだ。

だが裏を返せば、ここは人があまり寄り付かない場所だ、何かの聞き間違いだったのかもしれない。

ブレイブはそう思い、一瞬だけ警戒を緩めた………その時だった。

 

「ぐあっ!?」

 

突然、彼の背後から何かが飛びついてきたのだ。

途端に体の自由が奪われ、何かが彼の体を包み込んでいく。

 

「こ、これは………!?」

 

『己の剣を失い、迷う器よ……その体を俺に献上しろ!』

 

「き、貴様は………!」

 

薄れ行く意識の中、揺らめく紫の炎に包まれていくブレイブはその中で自分の体を覆いつくそうとする何かを見た気がした。

 

 

『俺はマジェコンヌ四天王が一人、“ブレイブ・ザ・ハード”! その体、我らの新たな主君のために、使わせてもらうぞ!』

 

 

同じ名前、同じ容姿を持った者に自身の身体が支配されていく。

薄れ行く意識の中で、ブレイブは抵抗しようと試みるがダメージを受けた体ではそれは叶わなかった……。

 

大きく膨れ上がった紫の炎がはじけ飛び、辺りには再び静寂が訪れた。

 

そして、ブレイブがいた場所にはさっきまでとは違い人間台の大きさになりながらも異質な気配を放つ何者かが立っていた。

白かった装甲は黒と白が入り混じった物となり西洋の騎士甲冑を思わせるフォルムを持ち、頭にはチェスのナイトの駒を思わせる馬の兜をしている。

右手に一振りの剣を携えたその人物は、高々にその剣を振り上げると夜の闇に包まれかけていた天を仰ぎみる。

 

 

 

「転生完了、我が名は新・犯罪神様に使えし騎士! “ブレイブ・ザ・ナイト”!!」

 

 

 

怪しげな影がまた一つ、動き始めていた………。

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

今回のお話もだいぶ長くなりましたが、書いていてとても楽しかったですよ(笑)

まあ、いろいろと思わせぶりな描写もありましたが…。

さて、次回はあのヴィクトリオン・ハートと古代女神の四人にスポットライトが当たります!

一体彼らに何が起こるのか!

次回でお会いしましょう、それでは!
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