超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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どうも、白宇宙です!


さてさて、今回のお話は……特別編!

主役は魔神様こと、ヴィクトリオン・ハート! そして、



満を持しての、コラボストーリー第二弾!!


今回、コラボしてくれたのはこのハーメルンで活動中のソルヒートさんの作品

超次元ゲイムネプテューヌ ~嵐の仮面ライダー~

で、ございます!


二つの作品の物語が交差し、新たな出会いが生まれる……。


それでは、お楽しみください!
どうぞ!




コラボステージⅡ 吹きすさぶは白銀の嵐! 魔神と異世界の来訪者編
V stage,1 僕と世界を超えた侵入者


 

 

 

これは宗谷たちがDr.トロイが起こしたラステイション革命計画を阻止しようと奮闘していた頃に起きた、とある場所にいる、とある人物たちに起きた、“世界を超えた”とある大騒動の物語である。

 

 

 

 

 

それは、あまりにも突然で、偶然に偶然が重なって起きた奇妙な出来事だった。

 

 

 

覚えているだろうか?

かつてこことは違うゲイムギョウ界から一人の来訪者が現れた出来事のことを…。

 

 

これはその原因を作り出した、次元をつなげるための装置が置かれている、ロボティックの部屋から始まった。

 

誰もいない無人の部屋、静まり返ったその部屋に置かれていた装置は今は役目を一時的に終えて、沈黙している。

 

だが、突如としてその装置が作動し、その部屋の天井にぽっかりと大きな穴が開いたのだ。

空虚な何もないぽっかりと開いた穴の先は一向に見えない。

すると、その穴からふわりふわりと何かが出てきた。

ゆらゆらと揺れながらあたりを漂うそれは、霞のようにはっきりとしていない不定形であり、怪しげな雰囲気を感じさせる所謂、人魂とも呼べるものだった。

 

『どうやら次元を超えることには成功したみてぇだな………それじゃ、早速………』

 

突如として現れた人魂は何かを探すようにあたりを動き回り始める。

 

すると、人魂は何かの前でぴたりと止まった。

じっと見つめるように人魂が浮遊している先にはコンピューターがあった。

このコンピューターは部品からすべてこだわったロボティックの自作の物であり、機能、性能共に並のコンピューターではない。

故にこの中には多くのデータが保存されており、今までに彼女阿知が起こしてきた行動に使用したデータはもちろん、それに関する情報も記録されている。

 

そして人魂は何を思ったのかそのコンピューターのデスクトップに飛び込んだ。

 

完全にコンピューターのサーバーの中に侵入した人魂は、しばらくその中に入り込み、回線の中を駆け巡る。

コンピューターの中には様々なデータや記録が残されており、人魂はそのデータを品定めするかのように電子の世界を駆け抜けていく。

そして人魂はそのいくつものデータの中で目を引く、一つのデータを見つけた。

 

 

『あぎゃぎゃぎゃ……いいもの見つけたぜぇ』

 

 

人魂はそのデータを取り込むと、すぐさまパソコンの中から出てきた。

 

『後は実体化するための体を………あん?』

 

そして、人魂は部屋の片隅に置かれていた一つのマネキンのような人型をした機械に気付いた。

すぐさまそのマネキンのような機械に近づく人魂。

それは以前にマジェコンヌが四女神を捕らえ、宗谷と激闘を繰り広げた際にマジェコンヌのサポートとして魔進チェイサー、カオスウルトラマン・カラミティ、アバレキラーを実体化させるために用意したコピーロイドと呼ばれるものだった。

 

『俺はとことんついてるみてぇだ……!』

 

人魂はさっそくコピーロイドの内、一体の内部に侵入する。

すると、身動き一つ取らなかったマネキン同然のコピーロイドが突然動き出し、その体を怪しく光る炎のようなエネルギーで包み込んだではないか。

 

そのままコピーロイドは人魂が出てきた穴の中に飛び込む。

それを合図にしたかのように穴は何事もなかったかのように閉じ、再び部屋に沈黙が訪れた。

 

 

 

穴の中に飛び込んだ人魂はコピーロイドと言う機械の体を得て、自分がここに来た時と同じように再び“次元を飛ぶ”。

 

そう、この人魂はこことは違う世界から自力で飛んできたのだ。

 

元あった一つの魂をいくつもの数に分けて、様々な世界へと飛ばすことで……。

 

ある目的のために体を手に入れたそれは、次元の狭間を飛びながら、近場の出口を探した。

そして、一つの出口を見つけるとすぐにそこから外の世界へと出る。

勢いよく再び発生した次元の穴から飛び出したコピーロイドは大きく膝を曲げて地面に着地する。

 

 

辺りはすっかり暗くなった夜、そこはどこかの遺跡のような場所だった。

 

 

外へと出ることに成功したコピーロイドは身を起こすと、体から溢れ出す怪しげなエネルギーを溢れさせ、その姿を変化させ始めた。

 

無機質でのっぺりとしたマネキン同然だった体がどんどん色味を帯び、その姿を変質させていく。

 

上半身、下半身が黒を基調としたボディースーツに、両手と両足は真黒な手袋とブーツに包まれる。

顔はバッタを模したような仮面に変化し、腰には黒い風車が付いたベルトが巻かれている。

そして、首にはためく漆黒のマフラー……。

 

 

 

そう、その姿は以前に仮面ライダーのメモリーワールドに先兵として送り込まれ、宗谷と激闘を繰り広げた悪のライダー、“ショッカーライダー・パーフェクト”だった。

 

 

 

だが、変化はそれだけに収まらなかった。

 

ショッカーライダー・パーフェクトの体がさらに変化し始めたのだ。

 

どす黒い血の様な赤色をした目が白に変わり、肩の部分がまるで地獄の炎を体現したかのような装飾に覆われる。

肘や踵には刺々しい角の様な物が現れ、黒いマフラーにも白いファイヤーパターンのマークが刻まれる。

そして最後に口のクラッシャーの部分が“悪魔”を思わせるようなより凶悪な牙を模した形に変化したところでショッカーライダー・パーフェクトの変化は止まった。

 

 

 

『あぎゃぎゃぎゃ……誰だか知らねぇが、いい物を考えた奴がいたもんだなぁ……この体、そしてこの姿、まさしく俺の復讐には持って来いの素敵ボディだぜ……!』

 

 

 

自分の体を確かめるように手の平を見つめるショッカーライダー・パーフェクトだった人物。

 

彼にはある目的があった……。

 

それは、こことは違う世界で自分を倒した女神達と、再びその力を開花させた自分のオリジナル……。

 

“白銀の嵐”の異名を持つ、“一人の仮面ライダーへの復讐”……。

 

彼はそのために己の魂をいくつにも分け、世界を超えたのだ。

復讐に燃える、彼は新たに手に入れた体を溜めそうと歩き始める。

 

 

 

『まずは手始めに、この世界をぶっ潰して……』

 

 

 

「おっ、なんだなんだ? なんかおもしろそーな奴がいるな?」

 

 

 

突然、彼の耳に聞き覚えのない声が聞こえてきた。

声が聞こえた方に目を向けると、そこにはあまりにもアンバランスな身長差のある二つの影があった。

 

「よっ、お前そんなところでなにしてんだよ?」

 

その内の片方、黒いワンピースを着た小麦色の肌の少女が彼に声をかけてきたのである。

そう、彼女はクロワール、何かの目的のためにこの世界に留まっている謎の少女である。

 

『おいおいお嬢ちゃん、夜道を出歩くのは危ないぜ? 俺みたいな化けもんに、襲われるかもしれねぇのによぉ……!』

 

彼が拳を握り、目の前に現れた彼女を最初の腕試しに使おうとする。

 

だが、少女はそれに対して動揺するような動作もなくにやりと笑うとびしりと彼のことを指さした。

 

「まあ待てよ、話を聞けって……お前、この世界の奴じゃないだろ?」

 

『………ほぉ、なんだよお嬢ちゃん、俺がどこから来たのかわかるのか?』

 

「これでもいくつかの世界に跳べる能力は持ってるんでな、なんとなくわかるんだよ」

 

意外な発言をしたクロワールに彼は興味を抱いたのか握っていた拳を解いた。

 

『あぎゃぎゃぎゃ…なるほどな……で、なんで俺に声をかけた? 下手をすればお前を殺っちまうかもしれねぇんだぜ?』

 

「おっと、そいつはこえーな………でもさ、その前にもっと面白いことをしてみねぇか?」

 

クロワールはそう言うと、後ろの方にいた巨大な黒い影を手招きした。

何処か不満げなのか、持っていたハルバードを握る力を強めているその影が彼女の隣に並び立つと、クロワールは彼にあることを話し始めた。

 

「オレはちょっとした目的のためにあることを考えてる、“この世界を根底からひっくり返す”くらいのおもしれーことをな♪」

 

『……なるほどな、そいつはただ事じゃなさそうだ』

 

「おい、貴様何をごちゃごちゃ言っている! 早く俺を戦わせろ!!」

 

「わかったからちょっと待ってろよ……そこでだ、その計画をあんたも手伝っちゃくれねぇか? 今ならおもしれー相手と戦えるチャンスもあるぜ? “その体を試す”には十分な、相手が……な?」

 

すべてを見透かしたような発言をするクロワールに、彼はピクリと反応した。

 

『へえ、要は俺の体を試させる相手を用意する代わりに協力しろってことか』

 

彼はそう呟くと、徐々に体を震わせ始める。

そして顔を上げて、夜空を見上げると大きく体を震わせ、下卑た笑いを上げ始めた。

 

 

 

『あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!』

 

 

 

特徴的な高笑いをした後、彼はクロワールへと視線を戻した。

 

『……いいぜお嬢ちゃん、今回はお前の提案に乗ってやる……俺も俺の目的を果たす前にこの体に慣れ、さらに力を蓄える必要があったからな……まずはこの世界をぶっ潰そうとも考えていた所だし、丁度いい』

 

「交渉、成立だな♪」

 

彼を引き込んだクロワールはにやりと再び笑みを浮かべると、フィンガースナップを鳴らして、ある画像を彼の目の前に出して見せた。

 

その画像は先に黒い巨躯の持ち主にも見せた一人の少女の画像だった………。

 

「まずは手始めにこいつを捕まえてくれよ、どんな手を使ってもいいからよ」

 

『………こいつは?』

 

「力を蓄えるってんなら、それにうってつけの“能力”を秘めてるやつだ……それとあと一人、この世界でめちゃくちゃ強ぇ奴も知ってるぜ」

 

『なるほどなぁ、と言うことはそいつらをとっ捕まえりゃあ俺もさらに力を手に入れられるってことか………で、そのめちゃくちゃ強ぇ奴ってのは?』

 

クロワールの提案に対し、彼はそう返答する。

すると、クロワールは口元にまた不敵な笑みを浮かべる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔神ヴィクトリオン・ハート………この世界を“救いきれなかった”救世主さまってやつだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこは薄暗い部屋の中だった。

 

 

明かりと言った明かりは存在せず、動くものもいない、薄暗い空間の中にあるのは力なく横たわる人影のみ。

 

白い髪をしていてとても小柄な体躯の一人の幼い少女と茶髪の一人の青年だった。

少し離れているところには白い長髪の女性が倒れているのも確認できる。

 

倒れていた幼い少女が、そばにいる青年に寄り添うように身を寄せそっとその手で青年の体に触れた。

しかし、青年は閉じたままの目を開けようとしない。 だが少女はわかってはいてもそうせずにはいられなかった。

例えこのまま彼が目を覚まさなくても、彼のそばにずっといたい、離れたくない、彼女にはもうすでにそれなりの覚悟ができていた。

 

「………パパ」

 

少女は青年のことを呼びながらそっと彼の腕に抱き付く。

もう絶対に離れはしない、このまま運命を共にする覚悟はいつでもできていた。

 

彼が目を覚まさないのなら、自分もこうしている必要はないはずだ。

 

そっと目を閉じ、このまま彼と共に行こう……。

 

それが、自分の切なる願い。

 

また別れるくらいならいっそこのまま………。

 

「ずっと一緒、だよ………パパ……」

 

本当の父親ではないのはわかっている、でも、彼女にとっては唯一無二の大切な存在に変わりはなかった。

 

身体が重い、意識も遠のいてきた……どうやら限界が近いらしい。

 

すべてを察した彼女は、そっと彼と同じように目を閉じた。

彼と運命を共にするために、意識を手放し彼と同じ所へと………。

 

 

 

 

「はい、もう起きる時間やで~」

 

 

 

 

薄暗い部屋に光が灯ったと同時に聞きなれた関西弁の女性の声が部屋の中に響き渡った。

その声に促がされ部屋の床に敷かれた布団の上で未だに夢の世界に旅立とうとしていた住人達に目覚めの時を知らせた。

 

真っ先に目を開けたのは若干目を覚ましていながらも再び二度寝に入ろうとしていた少女、ロボティックこと、ステラだった。

 

しかし、彼女の表情は二度寝に興じようとしていたのに起床の合図を出した張本人であるエネミーこと、ヤエに対する不満げな表情に満ちていた。

余計な邪魔を入れられた上に寝起きの彼女は不機嫌そうにヤエをちらりと一瞥するが、再び身を縮こませて抵抗の意思を示そうとする。

 

「あと、5分55秒………」

 

「いくら言うても朝の疾走する本能には逆らえんで~、こうしてる間にも時間は過ぎていくんやから、ほらさっさと起き! トランスもやで!」

 

「んぅ……にゅふふふ……あとジョッキ三杯追加で………」

 

再び夢の世界に身を投じようとしているステラを揺さぶりつつ、ヤエは少し離れた位置で未だに口元から涎を出しながら眠っている白ジャージの女性、トランスこと、ライラにも呼びかける。

だがライラは寝ぼけながら布団を蹴飛ばすといういかにもな寝相の悪さを体現しながら未だに夢の世界で飲んだくれているようである。

昨晩もあれほど飲んだというのに、夢の中でも飲むとは……。

ヤエは呆れを通り越して、むしろ称賛に値すると感じた。

 

ちなみに彼女は寝るときは下着一枚になる主義で、今は完全にショーツ一枚になっている。

 

よってその豊満な乳房が今現在恥ずかしげも、惜しげもなく、これでもかと存在を主張するかのように晒されている。

なんともまあ、色っぽいのかだらしないのかわからない姿だった。

 

「まったくもうこのあほは……もう女だけの生活ちゃうねんからもう少し気をつかわなあかんやんか」

 

そうは言うが、おそらくは無理だろう。

何せ彼女はそのあたりに関しては隠すよりもむしろ見てくださいと言うオープンな性癖の持ち主だ、普段から直ジャージの時点でおそらくはもう手遅れなのだ。

 

「ほらトランス、ロボティック、いつまでも寝てないでさっさと起きんかい」

 

「……せっかくパパと寝てた、のに……」

 

「ふへへ~……おつまみはねぎまとたこわさで……」

 

「仕事帰りのサラリーマンかっ!」

 

「ふげっ!?」

 

夢の世界で居酒屋にでもいるのであろうライラの腹部にストンピングをお見舞いして無理矢理叩き起こしたヤエは、未だに寝ぼけ眼なステラに視線を移す。

 

「ロボティック、そろそろそいつも起こしたって」

 

「うっ……ぐおぉ……あ、朝からこんなユニークな起こし方をするなんて……エネミー、あなた今日はもしかしてあの日」

 

「違うわあほんだら」

 

余計なことを言ったライラに対してヤエが鉄拳制裁を行うのを横目に、ステラが自分の隣で眠っていた青年の体を揺さぶる。

 

「パパ、パパ……エネミーが、うるさい」

 

「う、ん………ん?」

 

彼女の小さな手で体を揺さぶられ、青年が微睡みの中から意識を覚醒へと引き上げた。

掛け布団をめくり上げながらむくりと起き上がった青年は大きな欠伸を一つして自分を起こしたステラをちらりと見る。

 

「ふぁ、あふ……おはよう、ステラ」

 

「………おはよう、パパ」

 

彼、ヴィクトリオン・ハートは座り込んで自分を見つめるステラに朝の挨拶をすると優しげな微笑みを彼女に向ける。

すると、ステラは返事を返した後何も言わずに自分の頭を差し出すように俯いた。

これは彼女なりのおねだりの姿勢である。

一体何をおねだりしているのかというと………。

 

「はい、ありがとう、起こしてくれて」

 

「………うん♪」

 

この“朝のなでなで”である。

 

ステラにとって、この行為は彼と一緒にいる時のお馴染みの習慣の様な物だ。 ヴィクトリオン・ハートがいるときにこれをしてもらわないと彼女の一日は始まらない。

ご満悦なのか、若干口元に笑みを浮かべたステラはそのまま彼の膝に自分の頭を置く、所謂膝枕である。

 

「ん? どうしたのステラ?」

 

「………パパがいなかった、から……その分の、補充……」

 

「ああ、そういうことね……」

 

しばらく会えなかったので今のうちに目いっぱい甘えようという考えのようだ。

波打つ彼女の柔らかな髪が、ヴィクトリオン・ハートの手の動きに合わせてするりと彼の手の中で踊る。

くすぐったいような何とも言えない感触だが、ステラはこの感触が大好きだった。

 

「はいそこ、いつまでも親子の営みしとらんと朝の支度手伝って! それにあんたとライラは今日は“アップデート”の日やろ! ステラもいつまでもそうしとらんで朝ご飯食べて準備したり!」

 

「むぅ……」

 

「あはは、ごめんね」

 

いつまでたっても離れようとしない二人を注意したヤエに諭され、ステラは渋々とヴィクトリオン・ハートの膝から起き上がり、彼もまた布団から体を出す。

寝ぼけ眼をこすりつつ、立ち上がったヴィクトリオン・ハートは早速自分が使っていた布団の片づけを始める。

手早く掛け布団、敷布団を畳み、枕をその上に置くと近くの収納スペースの中に入れる。

そして、あらかじめ用意しておいた全員分の着換えから純白のジャージを取り出すとそれをまだ眠そうにしているライラに渡した。

 

「ほら、ライラ、これ早く来て起きないと、またヤエに怒られるよ?」

 

「ん~……私、朝は裸で過ごす主義なので」

 

「はいはい、風邪ひくからさっさと着替えなさい」

 

裸になっているライラに物怖じすることなく彼女の体にジャージを羽織らせると、彼はすぐに布団を畳むのに悪戦苦闘しているステラの手伝いに向かった。

 

「………やっぱり何も感じてくれないのはちょっぴり心外です」

 

「いまさら何言うてんのや、あんたこの前、もう諦めた言うた所やろ?」

 

「まあ、それはそうなんですけどねぇ……はあ、初々しい反応を見せてくれた少年くんのリアクションが恋しいです」

 

そうぼやきながらライラは羽織っていたジャージに袖を通してチャックを閉める、もちろんブラは付けずに、これでよく胸の形が崩れずに保てているから不思議である。

そんな彼女の愚痴を聞き流し、ヤエは自分の分の布団を畳むとすぐに部屋を出て行こうとする。

今日は彼女が朝食の当番なのだ。

 

「あれ、そう言えばヤエ、シンシアは?」

 

部屋を出ようとするヤエを、ヴィクトリオン・ハートが呼び止めた。

彼の言う通り、この部屋には彼を含めて5人で寝ていたはずなのにさっきから一人足りないのだ。

 

 

レヴォリューションのコードネームを持つ少女、シンシアのことである。

 

 

彼女が寝ていたはずの布団は既に、かなり苦労したのかきれいとまではいかないが畳まれており、パジャマも既に脱いで着替えた形跡が残っている。

 

「ああ、レヴォ……シンシアなら先に起きたで、もう朝ごはんも食べたし、今はどうしてるのか知らんけど」

 

「そっか……どこに行ったのかな?」

 

「大方、また18禁イラストのネタ探しに外の世界に出てるんじゃないですか? この前は私同班でしたけど、人気のない場所なら彼女一人でもいけますし」

 

ライラはそう言いながらジャージのズボンを履くと腰のあたりまである長髪を手でぱっと広げるようにして直し、ヤエについていくように部屋を出た。

 

「う~ん……何もなければいいけど……」

 

「パパ……心配、しすぎ」

 

自分の娘を心配する父親のような表情を見せる彼に、ステラがそう言う。

 

これが、彼らの慌ただしい一日の始まりだった……。

 

 

 

 

 

 

手早く朝食を済ませたヴィクトリオン・ハートとライラ、ヤエ、ステラたち三人は早速、朝のうちに済ませておきたいことをするべくある部屋を訪れた。

 

そこはステラの部屋、通称“ステラ・ラボ”と呼ばれる部屋だ。

 

ここで彼女は様々なものの開発、研究を行っており、彼らの今の目的に必要となる機械もいくつか置かれている。

マジェコンヌ事件の際に彼女に提供したライバルカードと、コピーロイドもここに置かれている。

 

そして、この部屋はそれとは別に、ヴィクトリオン・ハートや彼女たちにとって、絶対にしなくてはいけない作業をするための部屋でもあるのだ。

 

朝のうちに済ませたい作業と言うのはそのことであり、今もその作業の真っ最中である。

 

 

円形のダンスステージを思わせる形をした機械の上で、ライラが瞼を閉じて立っている。

その傍らでステラが機械のコンソールを操作して忙しなく何かを入力していく。

そして、それに合わせてかステージ型のマシンが動き始め、なにか数式や文字がライラの体の中に流れ込むように駆け巡り、消えていく。

バチバチと音を立ててマシンが停止すると、ライラは瞳を開けて両手を握ったり開いたりする。

 

「どうや? 調子は」

 

近くで彼女のことを見守っていたヤエがライラに聞くと、彼女はふむと呟いて腰に手を当ててみせる。

 

 

「データ、インストール…」

 

 

そう呟くと、彼女の腰の周りに数式や文字列の光が集まり、何かの形を形成し始めた。

それは所謂ベルトと呼ばれるものだった。

赤い色合いが特徴的で、ジューサーを思わせる見た目をしたそのベルトは宗谷の世界で放送されていた“仮面ライダー鎧武”に登場した、“ゲネシスドライバー”と呼ばれるタイプの変身ベルトそのものだった。

さらにライラは手の平に何かを出現させるとそれをゲネシスドライバーにはめ込み、セットする。

 

『ドラゴンフルーツエナジー!』

 

『ロックオン………ソーダァ!』

 

透き通った赤色が特徴的なドラゴンフルーツを模した装飾をした南京錠型のアイテム、“ドラゴンフルーツエナジーロックシード”をゲネシスドライバーにセットしたライラは、ベルトのシーボルコンポレッサーと呼ばれるハンドルを押し込み、作動させる。

 

『ドラゴンエナジーアームズ!』

 

途端に、彼女の頭上から赤いドラゴンフルーツを模した鋼鉄の鎧が覆いかぶさり、その姿を全く別物に変身させて見せた。

スカイブルーのアンダースーツに銀色の装甲が所々に当てがわれ、上半身は赤い果実の鎧が包み込んでいる。

顔は西洋の騎士の兜を思わせる仮面をかぶっているこの姿は、“仮面ライダーデューク ドラゴンエナジーアームズ”と呼ばれる戦士の姿である。

 

「まあ、こんなところでしょうか?」

 

「“アップデート”はうまくいったみたいやな」

 

確認を完了し、ご満悦な様子の彼女はヤエの方を見てそう言うと、変身を解除した。

 

アップデートとは、その名の通り彼女たちの体のなかにある能力のデータを定期的に更新する事である。

今回はライラがその時期に迫っていたので、アップデートを行ったのだ。

 

ちなみに今回のアップデート内容は彼女の変身能力の追加、および再現率の向上である。

 

 

「これで私の“トランススキル”のレパートリーがまた増えました、良きかな良きかな♪」

 

「今すぐにでも試したいって言いたげやな……」

 

「ええ、また少年くんに相手してもらうときが楽しみですよ」

 

 

ライラはそう言うと、むふんと胸を張って見せる。

彼女の豊かな胸のふくらみがジャージの上からでもわかるくらいにこれでもかと自己主張しているのをヤエは横目にして、今度はその隣にあるマシンに目を移した。

 

ヤエが見つめるもう一つのマシンの方も現在絶賛稼動中であり、ステージの上に立っている彼、ヴィクトリオン・ハートのアップデートの真っ最中だった。

 

ちらちらと電子文字がちらつき、消えていく。

やがてマシンの駆動が終わると、ヴィクトリオン・ハートもライラと同じく目を開けてマシンから降りてきた。

 

「ふぅ……」

 

「アップデート完了……パパ、お疲れ様」

 

「うん、ありがとうステラ」

 

彼はステラにお礼を言うと彼女が捜査していたコンソールを覗き込む。

そこには何かの数式や文字が並んでおり、何かの値を示しているように見えた。

 

「調整は、完了………でも、無理は禁物」

 

「わかっているよ、自分の体のことは自分が一番分かっているから」

 

彼はそう言うとステラの頭を撫でてから、彼女と手をつないでヤエとライラの元に戻る。

 

「お疲れ様です、どうでした?」

 

「どうもこうも、相変わらずだよ、僕は二人やステラとは違って微調整だけだからね」

 

「それでも………です」

 

ライラはそう言うと彼の胸に自分の拳を当てて彼をじっと見つめる。

何かを訴えるような目つきに彼は一瞬真剣な表情になるが、すぐに柔和な笑みを浮かべるとこくりと頷いた。

 

「大丈夫、今はまだそんな無茶をするときじゃないし……少なくとも、ライラが心配するほどのことは起きないよ」

 

「………どうでしょうね」

 

ライラはそう言い残すと、彼から離れる。

すると入れ替わりにステラが身の回りの世話を手伝わせるために作ったロボット、SARUTOBIがヴィクトリオン・ハートの前に現れて何かを差し出してきた。

 

 

それはベルトのバックル部分によく似ていた。

一昔前のゲーム機を思わせる機械的なデザインで、左右には何かのメーターと思われるダイヤルとSTARTの文字が書かれたスイッチがあしらわれており、中央にはROMカセットの様なアイテムがセットされている。

 

 

「ありがとう、SARUTOBI」

 

「それ、まだ持っとったんやな」

 

「……もうしばらく使ってないけど、またいつ必要になるかわからないし」

 

 

バックルを手に取る彼がそう言うと、ヤエは複雑そうな表情を浮かべた。

そのバックルが何のために必要なものか知っているから……。

そして、それはあまり彼女たちにとってよろしくないことであることも、彼にとっても良くないことも、すべてを知っているから。

 

 

「………まだ、引退ってわけにはいかないからね」

 

 

彼は最後に付け加えるようにそう言うとヤエが持っていた着換えを受け取った。

ヴィクトリオン・ハートは白いジャケットを羽織り袖を通すと、バックルをジャケットの内ポケットに仕舞う。

 

「………できれば、使うことがないことを祈っとくわ」

 

呟くようにそう言ったヤエに、彼は苦笑いを浮かべて返し、その場を後にしようとする。

 

すると、

 

 

 

「………?」

 

 

 

ステラが何かに気付いたのか、突然首を傾げたかと思ったら足早に何かの機械の前に向かう。

それは、大型次元座標演算処理システムと呼ばれる、彼女曰くこの世界と違う次元をつなげるための機械だ。

 

彼女はそれの前に来ると、機械のモニターを覗き込む。

すると、ステラは訝しげに眉を潜める。

 

 

「どうかしたんですか?」

 

「………何かが、次元を超えて……ここに侵入、した…形跡、がある」

 

 

ステラの発言を聞いてライラだけでなく、ヤエとヴィクトリオン・ハートもすぐに顔つきが真剣なものに変わり、ステラの近くに集まる。

 

「………これは………小さなエネルギーみたいだ、でも単体で次元を超えることができるということは相当な力を秘めている可能性があるね」

 

「………それにこのエネルギーと…似た反応を、違う世界に確認……」

 

「………何かしらの関係があるのかな」

 

「それだけじゃないみたいですよ」

 

突然、ライラがその会話に割り込んできた。

別のコンピューターを操作していた彼女はデスクトップを見ながら真剣な面持ちをしている。

 

「保存してあったはずのショッカーライダー・パーフェクトのデータが盗まれています、しかもそこに置いてあるコピーロイドも一体無くなっている……よほど大胆な泥棒さんが侵入したようですね」

 

「この部屋に侵入してその二つを? ………何が目的なんや?」

 

ヴィクトリオン・ハートはモニターを見つめながら何かを考え始める。

こちらの世界に侵入し、この部屋で一つのデータとコピーロイドを盗んだと思われる何かしらの反応と、こことは違う世界でそれに似た反応を示す別個体の存在……。

この二つが突然確認されたというのは、どうにも無関係とは思えない。

何かしらの理由があると考えていいはずだ。

ヴィクトリオン・ハートはしばらく考えた末に、ある結論に至り、それをステラに指示した。

 

「ステラ、そのもう一つの反応をこちらの世界に転送させることはできる?」

 

「………できるには、できる……けど、どうして?」

 

「同じ反応の個体なら、無関係とは言えないはずだ……こちら側で何か影響が出る前に、何かわかるなら情報を得たい、あわよくばこちらの世界に侵入したエネルギーが何なのかをね……」

 

「けど、必ずしも安全とは言えませんよ」

 

ライラの言う通り、あくまで反応だけを装置がキャッチしているのであり、それが必ずしも安全なものとは限らない。

最悪の場合は敵対する存在をこちら側に転送する可能性がある。

ただでさえ、“最初の決戦”の時期が近づいていてややこしいことになっているのに、これ以上事を荒立てるのは酷である。

 

 

「けど、このまま放置もできないし不確定要素が多くても確認しないことには何も変化は起きない、なら一か八か試すのもありじゃないかな?」

 

「あんたこういう時にだけ行動的になるのは相変わらずやな………」

 

 

呆れ気味にヤエが言うと彼はまた苦笑いを浮かべる。

すると、ライラが彼の方をちらりと見た後にステラの肩に手を置いた。

 

「……ロボティック、転送をお願いします」

 

「………了解」

 

「ちょ、あんたらなぁ……!」

 

彼の言うことをすぐに実行し始めた二人に、ヤエがすぐに注意しようとするが、それよりも早くライラが彼女の口をふさいだ。

 

「仮にこの反応がよろしくない物だったら私とあなたで排除すればいいだけです、なにもなければそれでいいし、ここは行動あるのみだと私は考えます」

 

「………本音は?」

 

「新しいトランススキルを試してみたいです♪」

 

自分の欲望に忠実な返答が帰って来て、ヤエは呆れたように首を振る。

そろそろ胃が痛くなってきそうだった。

 

でも、こちら側も実際に被害を出ている。

データが盗まれた上に、コピーロイドが盗まれているのだ、実際に関係があったとしたら放ってはおけない。

 

「………わかった、ほんなら急いで段取り済ませてその反応を追うで」

 

「うん……ステラ、お願い」

 

「了解………次元直列、開始」

 

ヴィクトリオン・ハートの指示を受けて、ステラが装置を起動させる。

それを合図にしたかのように、四人は慌ただしく動き始めた。

ヴィクトリオン・ハートは近場に置いてあった革製の黒い手袋を手に取りそれを手に嵌める。

 

 

 

(………言った傍から、この展開か)

 

 

 

一抹の不安を感じつつ、同じ革製の純白のジャケットのファスナーを閉めて、彼はライラたちと共に部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、シンシアは一人で外の世界に出ていた。

目的は単に、新しいイラストのアイデア作りのためだった、たまにはこうして外に出て何かヒントを得ることも必要なのだ。

と言っても、場所は限られる。

人見知りが極端にひどい彼女はあまり人目がない、静かな場所を好んでいる。

彼女が今いる場所もまた、人気の全くない河原だ、人里離れたこの場所に立ち寄る人は少ないし、モンスターもあまり生息していないから彼女は安心した様子で河原の岸に座り込んでいた。

 

「………静かだなぁ」

 

こう静かな場所だと、落ち着いていろんな事を考えれそうだった。

シンシアが水面を見つめていると、突然彼女の脳裏に何かが駆け抜けた。

 

「……人気のないところで露出……いいかも♪」

 

どうやら、新しいイラストのアイデアが浮かんだらしい。

少し嬉しそうに笑みを浮かべるが、彼女の見た目とは相反する思考であり、何か台無しな感じが漂う。

 

すると、シンシアはここである疑問を感じた。

 

「………露出してるときって……どんな気持ちなのかな?」

 

イラストを描く以上は細部にもこだわりたいし、心境にもこだわるタイプのシンシア。

露出をしている際のキャラはどんな思考なのか、それをまずは理解しなければという考えに至ったのだ。

しばらく考え込むように首を傾げるシンシアだったが、何かを思いついたのかそっと立ち上がった。

 

「ちょっとだけ……」

 

自分の好きなことに関しては戸惑い無く進み続けるシンシア。

以前にイストワールの胸をモデルにした時、実際に触ったのと同じように分からなければ実際に確かめるのが彼女なりのやり方なのだ。

 

やり方はとてもじゃないがまともとは言えないかもしれない、けど天才は奇なりと言う言葉があるように、イラストには妥協を許さない性格だからこその行動なのだ、それ以外に他意はない。

 

故にシンシアは周りに人がいないのを確認した後、大きく深呼吸をして覚悟を決めるとすぐに行動に入る。

 

「………さすがにいきなり裸は無理だから、下着だけ」

 

しかし、やはり羞恥心と言うものがあるのか今は出来る限り可能なレベルで押さえておこうと自重はしたシンシア。

彼女は決意すると、さっそくエプロンドレスのスカートをたくし上げて今日履いていた花柄のショーツへと手を………。

 

 

 

―――がさりっ

 

 

 

「ふえっ!?」

 

後ろの茂みの方から聞こえた突然すぎる物音に、シンシアは慌てて後ろを見た。

すると、そこには………。

 

 

 

「………あ」

 

 

 

見覚えのない、一人の青年の姿があった。

 

 

フード付きの白いパーカーとポケットの数が多い特殊な緑のズボンを着た茶色い癖っ毛、所謂天然パーマと呼ばれる髪型が特徴的な中性的な顔立ち、顔つきの割には目つきが若干鋭く白い瞳をした青年はシンシアの方を一点に見つめながら、硬直してしまっていた。

 

それもそうだろう、なにせ目の前で中学生くらいの少女が自分でスカートを捲りあげて花柄のショーツに包まれたお尻を見せていたら誰しもが一度は硬直するはずだ。

 

「え……えっと……」

 

「あ……あぁ……ぁあ…!」

 

いきなりのことで困惑と気まずさを交えた様な表情を浮かべている青年を前に、シンシアは急速に顔を真っ赤にさせ、涙目になりわなわなと体を震わせる。

 

 

 

 

「ひにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!?」

 

 

 

 

彼女の羞恥に満ちた甲高い悲鳴が、辺りに響き渡る。

 

 

 

これが、異世界から来た“来訪者”と古代の女神シンシアの最初の邂逅だった。

 




いかがでしたか?

いきなりのコラボステージでしたが、なかなか面白い展開を書けそうです。
ちなみに、このお話でいくつかの謎が開かされる……はず。

それでは、次回でお会いしましょう!
ではでは…
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