超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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どうも、白宇宙です!

今回はコラボステージの第二話!

前回、シンシアと出会った謎の青年は何者なのか!
一体どうなるのか!

さっそく、お楽しみください、どうぞ!


V stage,2 僕と捜索開始

 

 

 

 

シンシアやヴィクトリオン・ハート、強いては宗谷達がいる次元のゲイムギョウ界とは異なる次元のゲイムギョウ界。

似ているようで非なるルートを辿っているこの世界には、とある一人の戦士がいた。

 

彼は元々、この世界にいた人間ではない、いや、“人間ですらない”。

 

ある日を境に、このゲイムギョウ界に進出してきた謎の組織、“ダークトゥダークネス”。

 

彼はその組織によって人ならざる存在に変えられてしまった。

しかし、命からがら逃げだした彼は、そこで世界を蝕む強大な悪と戦う、15人の戦士たちと出会い、彼らから力を、技を、覚悟を受け取った。

 

その時から彼もまた、同じようにダークネスから世界を守ろうと誓い、戦士として戦う道を選んだ…。

 

ダークトゥダークネスの罠に一度は落ち、世界から忌み嫌われたこともあった。

 

そのせいで、一度はこの力を拒絶し、己の過去に恐怖した。

 

だが、そんな苦難を乗り越え、この世界の女神達と共に立ち上がり、再びダークトゥダークネスを討伐を誓い、この世界の平和を守るために拳を振るう戦士。

 

彼の名は…。

 

 

 

 

―――“メテオ・ソルヒート”。

 

 

 

 

時は数十分前に遡る。

 

 

 

 

この次元のゲイムギョウ界のプラネテューヌ教会。

その教会のシンボルともいえる、プラネタワーの屋上では青年、メテオ・ソルヒートが一時の休息を満喫していた。

 

「………いい天気だ」

 

雲一つない青空を見上げて、テラスに置かれたベンチの上に寝そべるメテオはふとそんなことを呟いた。

 

『マスターがそんな呑気なことを言うとは、これは今日は雪か槍が降りますよ』

 

「もし降るんなら雪の方を全力で所望するぜ…」

 

そんな彼に言葉を返したのは彼が腰に巻いているベルト、人工知能を搭載した彼の変身用ベルト“ストームドライバー”こと、“デスティニー”である。

 

「いやな……あいつとの戦いが終わったのかって思ったら、こんな言葉も出てくるって」

 

『勝って兜の尾を絞めよ、と言う言葉があるように油断は禁物ですよマスター、あの悪魔を倒してもダークネスはまだ滅んだわけではありませんから』

 

「………まあ、そうだけどよ」

 

彼の言うあいつ、それはメテオにとって最も因縁深い敵の事である。

 

“ハイブリッドクリーチャー”、“ファートゥス・クライム”…。

 

ダークトゥダークネス四天王と呼ばれる幹部の一人であり、“狂乱の大罪人”の異名を持つ、まさしく悪魔の様な敵だった。

自分の遺伝子を元に作り上げられたクローンであり、メテオの心に深い傷を負わせるほどの罠を仕掛けた張本人である。

 

しかし、彼はもうメテオと女神達の手によって倒された。

 

己の因縁に終止符を打った彼は今、その達成感からなのかただ安心してるのか、わからないが何となく落ち着いた雰囲気になっていたのだ。

 

「………本当に、終わったんだよな? デスティニー」

 

『……ええ、確かに奴は倒したはずです』

 

「……だよな」

 

だが、それでも一抹の不安を感じずにはいられない…。

本当に俺で終わったのか、二度も自分の目の前に現れ、苦戦を強いられた因縁の相手、奴が本当にそう簡単にくたばっているのか?

やはり、どうしてもそんな不安に駆られてしまう。

ひょっとしたら、まだどこかで生きているのではないのか?

自分がこうしている間にも、何処かでまた現れるチャンスを狙っているのではないのか?

 

 

「………考えすぎか」

 

 

キリがないと一度そこで思考を断ち切ったメテオは一度目を閉じる。

今は何も事件は起きていないし、少しの間でも休息を取るとしよう。

 

 

 

しかし、異変は起きた。

 

 

 

「っ!?」

 

『マスター!』

 

 

 

突如として、自分の体に違和感を感じたのだ。

ふわりと浮かぶような一瞬の浮遊感、空中を漂っているかのような錯覚を覚えた瞬間、それに驚いたメテオが慌てて目を開ける。

すると、さっきまで雲一つない青空だった目の前の光景が、上下左右どこを見ても白一面の空間になってしまっているではないか。

あまりのことに驚き、困惑するメテオ。

 

『マスター、落ち着いてください! こういう時は素数を、素数を数えるんです!』

 

「いやお前が一番落ち着け! そんなこと言ってる場合じゃねぇだろ!!」

 

自分が過去に見限りをつけてからと言うもの、このベルトはどこに向かっているのかたまにおかしなことを言うようになった。

メテオはこの状況を含めた二重の意味で頭を抱える。

 

 

すると、突然自分の体を包んでいた浮遊感が無くなった。

何も違和感がない状態に戻り、僅かにほっとしたのもつかの間、メテオはそのままドシンと盛大に尻餅をついた。

 

「痛ぇ!? あー……ケツが……大丈夫? これ割れてない? 俺のケツ割れてない? ………あ、やべ! 真っ二つに割れてんじゃん!」

 

『マスター、心配しなくてもマスターのお尻は元々割れています』

 

「デスヨネー」

 

茶目っ気のあるボケに相棒のツッコミを受け、メテオはそっとその場から起き上がった。

そして、周りの光景を見て再び思考回路を困惑させる。

 

「……どこだここ?」

 

そこは、人気のない森の中だった。

 

空は周りの木々が生やした鬱蒼とした枝によって覆われ、地面は土と落ち葉で覆われている。

明らかに自分がさっきまでいたプラネテューヌ教会のテラスとは違う。

一瞬にして見覚えのない場所に足を、というか尻を落としたメテオはあたりを見回しながら不思議そうな表情を浮かべる。

 

「見覚えのない場所だ……少なくとも、プラネテューヌの外にもこんなフィールドがあったかどうか……」

 

『こちらも出来る限りの範囲で何が起こったのかを調べてみましたが……まったくわかりません……不思議なこともある物です……まさに、スピリチュアルやね!』

 

「なんでそこで関西弁になるんだよ」

 

デスティニーの発言を場を和ませようとしての発言と受け取ることにしたメテオは近場の木に触れてみたりして状況を確認する。

手の平に感じるしっかりとした幹の感触、落ちている土も落ち葉も栄養源が高い証拠だ。

少なくともここは女神、シェアの恩恵を受けていない土地でないのはわかった。

だが、なぜこんな所に自分はいるのだろうか?

 

「………とにかく、調べ物は足で探せってことか」

 

千里の道も一歩から、まずは自分で動いてみるのが先決と判断したメテオはその場を離れ歩き出した。

 

 

 

 

 

そして、今に至る。

 

 

「お、おいデスティニー……ありのまま、今起こったことを説明するぜ? ここがどこかわからないまま、闇雲に草の根掻き分けて進んでいたらいつの間にか河原に出てて、目の前にパンツを自分で丸出しにしてる女の子がいた……」

 

『大丈夫です、マスター、要はあの少女は属にいる露出趣味を持っているということですね』

 

「ストレートすぎるだろおい、もっとオブラートに包めよ!」

 

 

あまりにも突然の出会い、しかも衝撃的すぎる対面の仕方に動揺を隠せないメテオ。

まあ、幾らかラッキーと思うところがあるだろう、しかし、そうは行ってられない。

なぜなら……

 

 

 

「ひっ……うぇぇ……えぐっ……ふぇぇぇええええ……!」

 

 

 

現に目の前で露出少女の疑いを賭けられている少女が、メテオと目を合わせた瞬間その場に崩れ落ち、目からぽろぽろと涙を流し、泣き始めたからである。

まだこちらとしては何もしていない、というかある意味被害者ともいえる気がするメテオだったが、さすがにこのまま放置と言うのもどうかと思うし、なによりなぜかは知らないが罪悪感がふつふつと刺激されて申し訳ない気持ちになっている。 別に何も悪いことはしていないのだが……。

 

「なあ、デスティニー…こういう場合どうしたらいい?」

 

『おばあさんが言っていました、男の子がしてはいけない事はご飯を粗末にする事と、女の子を泣かせる事だと』

 

「それ総司兄さんの言葉! ていうか、言ってること反対だったし、なによりそれだと俺が悪いみたいじゃねぇか!」

 

『ですがマスター、このままこの場を去るのはいい考えとは言えないのも事実です、何を考えていたのかはさておき、あの少女ならここがどこなのか何かしら知っているかもしれませんし』

 

ふざけながらもまじめな回答をする相棒に、メテオは不満げな表情を浮かべつつも、それには同意せざるを得なかった。

出会いは最悪でも、こちらは被害者、しかもここがどこかわからないというアクシデントに見舞われている以上、情報が欲しいところなのだ。

 

しかし、肝心の目の前の少女は未だに泣いている状態。

大丈夫かどうか不安に感じつつ、メテオは一か八か林の中から出てくる。

 

「な、なあ、ちょっといいか?」

 

「ひっ……!?」

 

声を掛けただけなのにものすごい警戒の意思が籠った涙目で見られ、後ずさりされた。

傍から見たら完全にメテオが悪者に見える構図である。

それでも彼は諦めず説得を試みる。

 

「お、落ち着け、大丈夫だ、俺は何も見ていないから、何かあったのかもしれないけど何も見ていないから」

 

『ピンクの花柄とか知りませんよ~』

 

「ちょっと黙ってろ! ……ごほん、あのさ俺はただ道が知りたいだけなんだ、だからここがどこなのか教えてくれないか?」

 

なるべくやさしい口調で、変な刺激を与えないように気を付けつつ、ついでにデスティニーのボケも封殺しつつ、メテオは少女に問いかける。

 

「ひくっ………ぅ」(じっ……

 

「………っ」

 

不覚にも、この時メテオは少女にじっと見つめられた瞬間、きゅんとこころがときめいた気がした。

何というのだろうか、捨てられた子犬を見たときの様なそんな感覚だ。

 

 

(か、かわいいな……なんというか、着てる服のせいかもしれないけど不思議の国のお姫様って感じだ……)

 

 

あんなことをしていたとはいえ、目の前の少女はメテオがそう思えてしまうほどの可愛さを秘めているのだ。

白い花代りをしたまるで白百合の花の様な白髪に、真珠のように透き通る肌。

ぱっちりとした紫の瞳に、少女特有の儚さと幼気な雰囲気を併せ持っている彼女だからこそなのか……

 

(………尚更申し訳ない気持ちになってきた)

 

こういう幼さの残る少女を泣かせたことに対する罪悪感も尚の事大きくなるというものだ。

 

「………その、ごめんな? 驚かすつもりはなかったんだ、だけど偶然出てきたら君がいたから……その、なんか、ごめん」

 

別に何も悪いことはしていないはずなのに、謝らずにはいられなかった。

そうでないと、気が保てなさそうになったから。

 

すると、彼の言葉に何かを感じたのか少女はまだ警戒の意思を強めながらもメテオの事をじっと見つめる。

 

そして、そっと口を動かした。

 

 

 

「………犯さないで…」

 

「………はい?」

 

 

 

小声だが、ある意味特大の爆弾を落とした発言だったが……。

 

少女が突然放った問いかけに再び困惑するメテオ、未だに怯えた表情と涙目で自分のことを見つめる少女、一体何を考えているのか、彼女の思考がいまいち理解できない。

 

「あー……えっと、なに?」

 

「………ここで、裸にして……押し倒して……好きかってにして……性奴隷に、したり……」

 

「………」

 

なぜこんな可憐な少女がここまでえぐい発言をするのだろうか、メテオはもう訳が分からなくなり頭を抱えるしかなかった。

 

「………なんなんだ……なんなんだよ一体……」

 

『マスター、人は見た目によらないということなのでしょう、きっと彼女はこの見た目で相当なビ○チなのです、そう言うことにしましょう、そうでないと私も思考回路を保てそうにありません』

 

「だからお前、オブラートに包めって!! ていうか思考回路爆発しそうなのは俺もいっしょだよ!!」

 

デスティニーからも出た爆弾発言に大声を出して反論するメテオ。

その影響か、急に大声を上げたメテオに驚いてか少女が再びびくりと体を振るわせ、目からまた涙を流し始めた。

不注意で大声を上げてしまったせいで余計に怖がらせてしまったと慌てるメテオ。

 

「あうっ……ひっ……っ!」

 

「あ、ちょっ!!」

 

遂には少女が逃げ出してしまった。

完全に怖がられてしまったのかと、慌てるメテオ、追いかけるべきなのか迷いうまく行動することができない。

だが、

 

 

「あうっ!?」

 

「あ、転んだ」

 

 

走り出してすぐに、彼女は河原の石に足を取られ、盛大に転倒してしまった。

ふわりとスカートが再び舞い上がり、彼女の履いていた花柄のショーツがまた見えるが、メテオはそれよりもとすぐさま少女に駆け寄った。

 

「うぅ………ひぐっ……いたい……」

 

「おい、大丈夫か? ちょっと見せてみろ」

 

「ひっ! うぅ……」

 

「大丈夫だって、怪我を見るだけで何もしないから!

 

転倒した際に擦りむいたのか、少女は膝を痛そうに抱えてまた泣き出しそうになる。

だが、メテオがすぐに駆けつけ、彼女のけがを見る。

幸いにもそれほど大きな怪我でもない、これならとメテオはポケットに念のためと忍ばせておいた絆創膏を取り出す。

プラネテューヌの町でポケットティッシュと一緒に配っていたものだ。

 

「………」

 

「このくらいなら大したことねぇな、これを貼って、と……どうだ? 痛むか?」

 

少女の膝の怪我に絆創膏を貼ったメテオは少女に問いかける。

痛むかどうかという質問に対して、否定の意思なのか首を小さく左右に振る少女に、メテオはそっと手を出す。

 

「立てるか?」

 

「………ぅ」(こくり

 

彼の手を取ったシンシアがそっとメテオに手を引かれて立ち上がる。

まだ若干涙目ながらも、じっと自分の目を見つめる彼女には先程よりも警戒した意志は見られなかった。

 

「………あり…がとう」

 

「いいって、気にすんなよ、それよりも本当に悪かったな怖がらせちまって……」

 

「………もういい」

 

そう言うと少女は目元の涙をぬぐってメテオに向き直った。

 

 

「あなたは……きれいな目をしてる………悪い人じゃない」

 

「……お、おう」

 

 

先程目を見たからそう思ったのか、少女の言葉にメテオは反射的に頷いた。

どうにかこちらが危害を加えるつもりはないと受け取ったくれたようだと、ほっと胸を撫で下ろす。

これで何とかまともに会話が出来そうだとメテオは安堵する。

 

「まあ、とにかく誤解が解けてよかった……俺の名前はメテオ・ソルヒート、よろしくな」

 

『私はストームドライバー、マスターからはデスティニーと言う愛称で呼ばれています、以後お見知りおきを』

 

まず話をするには自己紹介から、また警戒されるよりも先に自分のことを明かしておいた方が幾分か距離は縮まるはずだと、二人は自分の名を名乗る。

すると、少女はまだもじもじと恥ずかしそうに眼を泳がせながらも、小声で返した。

 

 

「………シンシア」

 

「シンシア、か……いい名前だな」

 

「あぅ……」

 

 

とにかく、これで厄介ごとにはならずに済みそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、拠点のステラ・ラボに侵入したと思われる謎の反応を追ってきたヴィクトリオン・ハートたちは次元の扉を抜けて、外の世界へと降り立った。

降りたのは古代遺跡型のダンジョン、周り壁や柱は既にひび割れて相当時間が経っているであろう様子が見て取れる。

神殿の様な建物の外、丁度その建物に続く通路の真ん中でヴィクトリオン・ハート、ライラ、ヤエ、ステラが集まっていた。

 

「反応があったのはこのあたりのはずです」

 

「それに……転送、したもう一つも………この近くにいる、はず」

 

ライラとステラが状況を確認する。

侵入した未知のエネルギーの情報を得るため、一か八か別世界からそれと似た反応を呼び寄せた以上、その反応と共にそれも捜索しなければならない。

どこにいるのかまでは把握できないが、この近くにいるのなら探せば見つかるかもしれない。

 

「……そう言えば、ここってシンシアの散歩コースやなかったっけ?」

 

「あ、そう言えば……」

 

ヤエが思い出したかのようにそう言うと、ヴィクトリオン・ハートもそのことに気付いた。

確かに、このあたりはシンシアがよく、ネタに詰まった時などに、息抜きで散歩する道だとライラから聞かされていたことがあった。

今朝からシンシアは出かけている、と言うことはもしかしたらこの近くにいるかもしれない。

未知のエネルギーが安全とは言い切れない以上、もし彼女がここにいるなら放っておくことはできない。

 

「やること、増えた……」

 

「………また、タイミングの悪い時にあの子は…」

 

シンシアがいるかもしれないという可能性が浮上した瞬間、ライラがなぜか眉を潜めた。

 

「だね……よし、じゃあ、ここからはみんなで別れよう、僕とステラは東と南に、ヤエとライラは西と北をお願い」

 

早速、彼がそれぞれに指示を飛ばすと、その場にいた全員は強く頷き各自がそれぞれの方向へと向かい走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

指示を受け、遺跡ダンジョンの西側と北側を捜索することとなったライラとヤエ。

手始めにとまずは西側を歩き回り、様子を探ることにした二人はあたりを見回しながら目的の何かがないかを探し続ける。

 

「それにしても、いきなりこんなアクシデントとは………この前の事と言い、予定がうまいこと進みませんねぇ」

 

「こうなることは覚悟の上やったとはいえ、あまりいい気はせぇへんな」

 

自分たちの目的のために宗谷と言う可能性を見出し、それを育成するために様々な計画を立てている彼女達。

だがここ最近はうまく事が運ばず、アクシデントにばかり見舞われている。

現に今も、彼が予定にない変身を遂げてしまい頭を悩ませている最中だというのに、この事態だ。

 

「これ以上悪い方向に行かんように、早いとこその反応見つけへんとな…データが盗まれて悪用なんかされたら、えらいこっちゃや」

 

「まあ、それもそうなんですが……」

 

そう言うと、ライラは悩ましげにため息をついた。

 

「なんやねん?」

 

「仮に、もし仮にですよ? その反応が何かしらよくない物だったとして、それがシンシアに接触したらどうなると思いますか?」

 

先程、彼女が一瞬だけ眉を潜めた理由。

それは謎の反応ではなく、シンシアの方に対する危惧からくるものだった。

 

「どうなるって……まあ、怯えるのがあの子の反応なんちゃう?」

 

「今の彼女ならそうでしょう、でも………“彼女の力に気付いてしまった”なら?」

 

「え……?」

 

ライラの言葉に、ヤエはどこか緊張した面持ちになった。

 

「あの子の能力は私たちの中でも特殊なものです、もしその反応が彼女の能力に気付いてしまったら……厄介なことこの上ありませんよ?」

 

「ああ、そうやった……あの子の力、昔から厄介やったな……」

 

ゲイムギョウ界創世記。

 

ライラたちがまだ女神としての力を持っていた頃、彼女たちはいつ終わるかもわからない果てしない戦いの中に身を投じていた。

 

ある者は力を、ある者は権力を、ある者は殺戮を、そしてある者は破壊を……。

 

今と比べると相当荒れていた時代ともいえる時を、彼女たちは過ごしていたのだ。

 

だが、そんな彼女たちはある時を境にその自分たちと決別した。

 

そのきっかけを作ったのが、魔神ヴィクトリオン・ハートそのものだったのだ。

 

謝った過去を見つめ直し、今は“破滅のルート”を辿りつつあるこの世界を守るために尽力する彼女たちは、その時を境に今の自分たちへと生まれ変わったのだ。

 

その証として、自分たちが犯した罪を象るように、今の能力をその身に宿して…。

 

 

「けど、あの子の能力は昔の時とあんま変わらんかったな…」

 

「ええ、彼女の特殊すぎる能力は、昔も私たちにとって“一番の脅威”でしたからね……」

 

 

ふと二人は、当時のシンシアの姿を思い出し始めた。

まだ、戦乱に明け暮れていた頃もちろん彼女たち自身も敵として何度もぶつかり合った経験があった。

 

その際に、彼女たちにとって一番厄介な存在なのは、紛れもないシンシアだった。

 

 

もっとも、今のシンシアはかなり丸くなったと言っていい……。

 

 

“女神化した時のシンシアはまさに恐怖の存在でしかなかった”……。

 

 

「………あの子がほんまはあんな子だったって知ったときは、めっちゃ驚いたわぁ」

 

「それに関しては同意です、私もびっくりしましたよ……」

 

昔の干渉に浸りつつあった二人だが、すぐに我に返り思考を本題に戻す。

かつてのシンシアはこの際いいとして、問題は彼女の能力にこの世界に侵入した何者かが気づいた時だ。

 

「シンシアが捕まって、あの能力を利用されでもしたら、それこそ今よりもさらに面倒なことになります……それだけは何とか阻止せねば」

 

「同意や、なら早いところシンシアを見つけなな……」

 

最優先事項は、まずシンシアだと再確認した二人は早速捜索を再開する。

これ以上厄介ごとが増えたら、いよいよ自分たちでは処理しきれなくなる。

そうなる前に早く事を終息させねばと、二人は少し慌てた様子で周りを探し始める。

 

 

 

『ほう、そのシンシアってやつはそんなに面白い力を持ってるのか?』

 

 

 

シンシアを探し続ける二人の耳に突然そう話しかける何者かの声があった。

その声にすぐさま反応し、警戒を強めたヤエとライラ。

しかし、一向に姿は見えない……。

何処かに隠れているのだろうか…。

 

「……エネミー」

 

「わかっとる…」

 

ならばと、ライラはヤエに指示を出し、彼女に能力を使うように指示を出した。

 

ヤエはそっと目を閉じると、意識を広範囲に広げるように集中する。

自分の周りにある物の中で、自分たちに対して特定の意識を向けている存在を探るために…。

 

 

“エネミースキル”、ヤエの能力は敵意を自在に操り、敵となりえる存在の情報を読み取る能力を持ち得ている。

存在を読み取る能力を応用すれば、レーダーのように自分たちに意識を向けている何かの位置を把握するのも難しくはないのだ。

 

 

己のスキルを使い、辺りを探るヤエ、すると突然彼女が目を見開き、コートの中に隠していたハンドガンを抜き、自分たちの後方、右斜め後ろの方角に向けて三発ほど連射した。

 

もろくひび割れた壁は銃弾を受けてあっさりと砕ける。

それと同時にその後ろに隠れていた何者かが飛び出し、ヤエとライラの目の前に降り立った。

 

 

『あぎゃぎゃぎゃぎゃ……見つかっちまったなぁ』

 

「っ!? ショッカーライダー・パーフェクト!?」

 

「いや、よく見てください………細部の形状が異なっています」

 

 

二人の前に現れた何者か、ショッカーライダー・パーフェクトに似ているが細かいところが変化している。

得体のしれない何者かを前にして、二人はさらに警戒を強めると二人の目の前にいた何者かは唸り声のような声を上げて首を傾げた。

 

『うぅん? 俺のこの姿の元を知ってるのか? ………ああ、そうか、てことはあんたらがこの素敵ボディを考えてくれたってことか! いやはや、感謝するぜお二人さん! おかげで俺は最高にいい体を手に入れることができたぜ!』

 

「その発言、どうやらあなたが私たちの拠点に侵入した泥棒さんの様ですね」

 

『ご名答、あそこに出るつもりはなかったんだが、偶然出てなぁ……いやぁ、本当に俺はラッキーだぜ』

 

どうやらステラが確認した未知のエネルギーも目の前のコソ泥らしい。

勝手に土足で人の家に上がり込み、盗みを働いてこの態度とは、かなりたちが悪い性格をしている様だ。

ライラは目の前にいる何者かを強気な目つきで睨み付けるとそっと腰に手を当てた。

 

「なぜあなたがその体を手にしたかは知りませんが、とりあえず面倒なことになりそうなのでここで排除させてもらいます」

 

「大人しく、その体を返してこの世界から去るんなら見逃してやらんこともないで?」

 

付け加えるようにヤエがそう言うが、何者かはそれに対して返答を返す処か下卑た笑いを上げ始めた。

 

 

『あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ! 冗談じゃねぇ、俺にはやらなくちゃいけないことがあるんだよ、そのためにもこの体は貰う………そして、あんたらのお仲間のシンシアってやつもなぁ?』

 

 

最後に何者かが言った言葉に、二人は動揺を隠せず表情を強張らせた。

聞かれていた、今の会話を…。

この何者かはもうすでにシンシアが何かしらの利用価値があると踏んでいる、故に彼女を手に入れようとしている。

二人はそれだけは阻止しなければいけないと反射的に悟ると、一気に戦闘態勢に入った。

 

「残念ですが、あの子は渡しません……あなたはここで、排除することにしましたから」

 

「手加減はせぇへん……全力で行く!」

 

『あぎゃぎゃぎゃ……そう来なくっちゃなぁ! こっちもこの体を試すのに丁度いいやつが出来て嬉しいぜぇ!』

 

二人は構えを取ると、それぞれの武器を取り出す。

ヤエはコートの下に隠していたもう一つの武器、ステラ特性の強化カーボンブレイドを逆手に持ち、ハンドガンと共に構える。

 

そして、ライラは腰にトランススキルで作り上げたベルト、今回は鎧武の戦極ドライバーを装着すると、右手に黒の縁取りで真ん中には金色のリンゴを模した錠前を握り、それを開錠する。

ドライバーの中央に錠前をはめ込み、右側にある刀型のレバーを下ろすと、彼女の体がノイズのような光に包まれ、変化し始める。

 

『ゴールデン…』

 

『ロックオン! カモン!』

 

『ゴールデンアームズ… 黄金の果実…』

 

光が止むと、ライラの体はリンゴを象ったような黄金の鎧に身を包んだ戦士の姿へと変化していた。

西洋の騎士を思わせる風貌に、左手には巨大な盾、“アップルリフレクター”とそれに収納されている片手剣、“ソードブリンガー”が握られている。

かつて、知恵の実と呼ばれる果実を超える存在になろうと画策し、戦いを促したこの戦士は“仮面ライダーマルス”と呼ばれている。

 

「今回はこの姿で相手をしてやろう……アップデートした力を試すには丁度いい」

 

「遊びやないんやで、トランス」

 

「わかっている」

 

口調や声色まで変えたライラの変身したマルスはそう言うと、ソードブリンガーを引き抜き、目の前にいる敵に向けて刃を突きつける。

だが、数では不利であるはずなのに、何者かは動揺するでも、訝しげな態度を見せるでもなくただ二人を見据えて準備運動でもするかのように手足をプラプラとさせていた。

 

『………準備はいいみたいだな、なら……早く始めようぜぇ?』

 

「っ!」

 

敵意と呼ばれる感情には一際敏感に感じ取るヤエ。

そんな彼女はこの時、目の前にいる何者かから感じ取った敵意の様などす黒い感情に身震いした。

いや、これはもはや敵意とは呼べない…。

 

 

破壊、殺戮、快楽、復讐、憎悪、どれをとっても当てはまらないようなどす黒い、おぞましい何か……。

 

 

(あかん……こいつ、ほんまにやばい!)

 

緊張感をより強めながら、ヤエは武器を握る手に力を込める。

 

 

 

『そう言えば。まだ言ってなかったなぁ………俺は“ファートゥス”、好きな物は………虐殺その他もろもろってことで……そこん所! よろしくぅ!!』

 

 

 

“ファートゥス”と名乗ったその人物はショッカーライダーの体のスペックに物言わせて二人に目がけて走りこんでくる。

目の前の標的に向けて走りこんでくるその姿は、まるで地に飢えた獣の様であり……。

戦いを望むようなその言動と意志は………悪魔その物の様だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何とか自分に何もする意思はないと受け取って貰うことができたメテオは、シンシアと共に森の中を歩いていた。

目的地はまだ決まっていないが、彼女の住む場所にシンシアを見送るという理由もかねての事だった。

ついでに道中、ここがどこなのか聞いてみた所、ここはプラネテューヌから大分離れている場所であるということ以外はわからかった。

どうにも曖昧な回答をするシンシアだが、人見知りの気が激しいのかうまく会話をするのも一苦労なのだ。

 

「とりあえず、今ここがどこなのかわかったはいいが……俺が何でそんな距離を飛んできたのかもわかんねぇしな……」

 

「………?」

 

メテオの独り言に、シンシアが首を傾げる。

それに気づいたメテオはなぜ自分がここにいるのか聞きたいのかと察し、その経緯について話し始める。

 

「実はさ、いつの間にかこの近くにいたっていうかなんというか………気づいたらこの場所にいたんだよ……何がどうなってんのかわからないんだ」

 

困り顔を浮かべるメテオに対し、シンシアもよくわからないのか首を傾げ続けている。

さすがにこんなことを言っても彼女にはわからないかとメテオは反省し、すぐに話題を変えようと考えた。

 

「悪いな、こんなこと話してもわからないか、そう言えばさシンシアはこのあたりに住んでるのか?」

 

「………ぅ」

 

メテオの問いかけに対し、シンシアは首を左右に振る。

否定の意思らしい。

 

「じゃあ、ちょっと遠い所?」

 

「………うん」

 

肯定の意思。

縦に小さく頷いたのを確認したメテオは尚更不思議に思っていた、ならなぜこんな子が一人で遠く離れた場所にいたのか。

意を決してメテオはそのことについて聞いてみようかと思ったが、さすがに率直なのはまた彼女を困らせてしまうかもしれないと遠まわしに話を進めることにする。

 

「ってことは、ここには家族と?」

 

「………今日は……違う……でも、みんなとはすぐ会える」

 

みんな、と言うことは彼女一人ではないということらしい。

 

「………そうか、お父さんとかがこの近くにいるのか?」

 

メテオの問いかけに、シンシアは反応を示さずそこで俯いてしまった。

何事かとメテオは首を傾げる。

 

 

「………お父さんも、お母さんも………いない……生まれたときから、わたし、一人………」

 

「あ………」

 

 

失言だったとメテオはそこで反省した。

今の発言、もしかしたらこの子は孤児なのではないのかと察したからだ、家族と言うのは孤児院かどこかにいる同じ境遇の子ども達の事かもしれない、そう仮説を立てたメテオは自分の軽はずみな発言を振り返り、申し訳なさそうな表情を浮かべる。

 

「……ごめんな、俺……」

 

「………大丈夫………慣れてる」

 

シンシアはそう言うと、何かを見つけたのか近場にあった木に近寄り、しゃがみ込むとその根元に生えていた一輪の花に目を落とした。

 

「………ひとりになって、当然だったから………」

 

「………え?」

 

「……わたしは、みんなと違う……みんなと仲良くできない……だから、わたしはいつもひとりぼっちだった……」

 

しゃがみ込んでいる彼女の後姿は寂しげで、今にも崩れてしまいそうなほど儚く見えた。

メテオはそっと彼女に近づくと同じようにその場にしゃがみ込んで花を見下ろす。

 

「この子も……本当は友達がほしいはず……でも、まわりに友達になれそうな子がいなかった……だからひとりぼっちだった……」

 

ぽつりぽつりと呟くシンシア、その横顔はどこか悲しげで、目元には涙が浮かんでいるように見えた。

 

「だから………わたしは………わたしは………!」

 

その時、彼女の脳裏に、ある光景がフラッシュバックした。

 

 

 

 

 

燃え盛る建物の中、無数に倒れ伏し血を流している人々、空は黒い煙に覆われ、外では阿鼻叫喚の悲鳴が飛び交っている。

 

その中で、彼女は……“女神だった頃の彼女”は一人、その物建物の中で倒れ伏した人々の亡骸を乗り越えるように進みながら、目の前にいる人物と対峙する。

 

今は和解し、共にある目的のために手を取り合おうと誓った、仲間……。

 

 

だが、この頃の彼女達にとって互いの存在は、排除すべき敵でしかなかった……。

 

 

『………やってくれましたね』

 

自分を敵意に満ちた瞳で見据える彼女は己が一番使い込んでいた武器、己自身の拳を握りしめてすぐにでも戦闘ができる体制に入る。

対して、自分は自分の中に秘められた力を惜しげもなく、見せつけるように展開する。

一瞬だけ、苦悶の表情を見せた彼女はそれを振り払うかのように頭を振り、拳を握る力をさらに強めるとその拳を振りかぶりこちらに向かって走りこんできた。

 

 

『この、化け物め!! いい加減に………消えろぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!』

 

 

自分に向けて飛び掛かってくる敵。

 

化け物、何を言っているのか、この力を得たその時から自分たちは人ならざる存在になっているというのに……。

 

シンシアはそっと、右手を彼女に向けて突き出すとその先に力を込める。

 

すべての敵を乗り越え、己が前に進むために障害を排除するために得た……。

 

おぞましい自分の力を、解き放つ……。

 

 

 

 

 

 

 

『………消えろ………』

 

 

 

 

 

 

 

「っ!」

 

はっと我に返ったシンシアは飛び跳ねるように体を起こし、数歩後ずさりした後ペタンとその場に再び座り込んでしまった。

 

「おい、シンシア? どうした?」

 

メテオが何事かと慌てて彼女に駆け寄る。

すると、シンシアはまた目元に涙を浮かべ、ぽろぽろと涙を流し始めたのだ。

 

ただ、さっきの驚きのあまりに流した物とは明らかに違う、感情に何かの淀みを感じさせるような………悲しげな涙だった。

 

 

 

「っ……わたし……わた……し……っ……あんな………あんなこと……本当はしたくなかったのに……でも、わから……なくて……どうしていいか、わからなくて………本当はなにをすればいいのかわからなくて………! ごめん、なさい………ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……!」

 

 

 

頭を抱え、身を震わせ、涙を流し続け、何かを恐れるように謝り続けるシンシア。

 

それを見たメテオは、彼女に何があったのか不思議に感じると同時に、どこか放っておけない気持ちになっていた。

 

 

………“似ているのだ”、かつての自分に………。

 

 

自分が望まず手に入れた、この力に絶望し、なぜこうなってしまったかを呪いながらダークネスから逃げ続けていた子供の頃。

 

そして、ある事件をきっかけに自身の力を恐れ、罪の意識に苛まれていた時の自分自身に…。

 

過去を恐れ、今の自分がどうあるべきか迷っていた頃の自分も心のどこかでこうして泣いていたのかもしれない。

 

目の前にいるシンシアと、かつての自分が重なったメテオ。

 

体を震わせる彼女を見つめながら、彼は意を決して、そっと彼女に近づいた。

 

そして、メテオは………。

 

「シンシア……」

 

「ごめんなさい……ごめんなさい………」

 

「………大丈夫だ……大丈夫だから、落ち着け……な?」

 

目の前で体を震わせ、恐怖の感情を露わにして泣いている少女の姿がどことなく、その時の自分に似ていたから…。

彼女に何があったかまではわからない、けど、だとしても、彼には放っておくことはできなかった。

 

そっと彼女の頭に手を伸ばし、優しく撫でながら自分の方へと彼女の体を引き寄せたメテオはもう片方の手で彼女を優しく抱きしめる。

壊れやすい何かを扱うように、優しく…。

 

すると、シンシアは驚いているのかそうでないのか、謝り続けるのをやめた。

 

「………怖かったよな、辛かったよな……でも、もういい……もう泣くな、お前はもう……一人じゃない……そうだろ?」

 

「………ぅ」

 

あの時の自分を振り返る様に、メテオはそう言いながら彼女の背中を優しく撫でる。

 

「俺もそうだった………昔の自分が嫌だった……なんでこんなことになったのかって、何度も呪った………でも、それじゃダメなんだって気づかされたんだ」

 

「………」

 

そっと一度シンシアの体から自分の体を離し、今度はじっと彼女の目を見つめる。

 

「シンシア、今の仲間は大切か?」

 

「………ぅ」

 

「今の仲間との暮らしは楽しいか?」

 

「ぅ……ライラも、ロボちゃんもヤエさんも……あの人も……いる……だから」

 

メテオの問いかけに頷き続けるシンシア。

言葉の雰囲気に流されてではなく、彼女自身の意思の籠った肯定の表れだと、メテオは確信した。

 

「なら、もう怖がるな、大切な人が傍にいるならその人たちと一緒にいたいと願うなら、変わるんだシンシア………“変身”だよ」

 

「………変わる?」

 

「ああ、過去を恐れていたら、何も変わらない……先に進むために、人は変わるんだ」

 

強い意志を込めた言葉、シンシアはしばらくそこで黙り込み俯いてしまうが、幾分か落ち着いたのか涙は収まっていた。

すぐ理解するのは無理かもしれない、でも、彼女には自分と同じような恐怖を抱いてほしくない。

そう感じたメテオの必至の問いかけはシンシアに届いたのだろうか…。

 

シンシアが落ち着きを取り戻し始めたのを確認したメテオはそっと彼女から離れた。

 

もう少しして彼女を仲間たちの所に送り届けて、彼女の仲間に会ったら、そこで彼女がどんな子なのか聞いてみたいし、今の彼女の仲間がどんな人達なのかも気になったから……。

 

そんなことを考えつつ、メテオは微笑みを浮かべる。

 

 

 

 

「見つけたぞ………!」

 

 

 

 

突然、背後から声が聞こえた。

 

そして、同時に聞こえた空気を切り裂くような、何かを振り下ろすような音。

それは確実にこちらを狙った、攻撃の意思だった。

 

「シンシア!!」

 

すぐさまメテオは彼女の体を抱え、その攻撃から守るべく地面を転がった。

さっきまで彼女がいた場所の地面が大きく抉られる。

そして、それを証明するかのようにそこには斧と槍が合わさったような武器、大きなハルバードが突き立っていた。

 

 

「ちぃ、外したか……まあいい、そこのガキ! この俺を楽しませるためにさっさと大人しくこちらに来い!!」

 

 

ハルバードを振り下ろしたと思われる何者かはシンシアを見下ろしてそう言い放った。

どうやら狙いはシンシアらしい。

メテオは彼女を庇うように前に出ると、身構え目の前の巨躯を見上げる。

 

脚がなく、浮遊しているその体は全身を黒色で包み、まるで死神を思わせるような頑強ながらも迫力のあるその見た目と、顔で翡翠色にギラギラと輝く双眸は凶悪さをこれでもかと体現させるかのように吊り上がっている。

 

持っていたハルバードを片手で振り回し、死神モドキは目の前に現れたメテオに視線を向ける。

 

「なんだお前は……邪魔をするのか?」

 

「まあな、目的がこの子なうえにただ事じゃないみたいだからな……不満か?」

 

挑発を込めたメテオの発言に、死神モドキは首をごきりと鳴らす。

 

 

 

「いいや、むしろ好都合だ! そんなつまらなそうなガキ一人を捕まえるくらいじゃ、この“ジャッジ”様の渇きを癒せそうにないからなぁ!!」

 

 

 

ハルバードを振り上げて意気揚々とそう言った、ジャッジと名乗った死神モドキは標的をメテオに変えてすぐさま戦闘態勢に入った。

どうやら相当なバトルマニアの様だ、目的は二の次と言うことだろうか…。

 

(だとしたら、シンシアを狙う目的を持った別の奴がいるはずだな…)

 

冷静にそう判断したメテオは周囲を警戒するが、ジャッジ以外にそれらしき怪しい気配は感じ取れない。

何処かに隠れているのか、はたまた元からジャッジ一人か…。

 

どちらにせよ、このままにはしておけないと判断したメテオは後ろに言うシンシアに視線を向けて離れる様に促す。

 

「シンシア、何処か安全な所に隠れてろ! でも、なるべく離れすぎないようにな!」

 

「っ………ぅ!」

 

彼女が頷いたのを確認した、メテオはそっと自分の腰に巻かれている相棒に手をかける。

 

「行くぜ、デスティニー」

 

『いつでもOKです、マスター』

 

勢いよく両足を広げたメテオは、腰を落し両腕に力を込める。

 

「悪いが手加減をするつもりはねぇ………あの子に手を出すってんなら、俺は最初から全力で行かせてもらうぜ?」

 

ジャッジに向けてそう言ったメテオはすぐに己の姿を変えるスイッチを起動させるべく、ある動作に写る。

それは自分を戦士へと変えるための、覚悟の表れ…。

 

 

左腕を内側に振りかぶり、素早くそれを反対側に…。

同時に右腕を左腕のある位置へと動かし、両腕を交差させるとメテオは黙祷するように顔を俯かせる。

 

 

 

「ライダー………」

 

 

 

顔を静かに上げながら、彼は閉じていた目を見開く。

 

 

 

「変身!!」

 

 

 

叫び、右の拳を腰に、左腕を右斜め上に伸ばした後、両腕を腰辺りで広げる構えを取る。

 

すると、辺りに風が吹き始めた。

そよ風程度だったその風は、徐々にその風力を増していき、徐々にメテオを中心に大きくなっていく。

 

やがて、凄まじい風となり彼を中心にして包み込んだその風の有様は、まるで“嵐”……。

 

 

「………!」

 

 

そして、その様子を少し離れた大き目の木の陰でシンシアは見ていた。

 

 

 

嵐が止み、その中から現れたのは仮面を被った一人の戦士…。

 

 

光り輝くダイヤモンドの様な頑強な装甲と白いアンダースーツが目立つ上半身。

 

紺色の下地に、脛の部分に何枚も連なった銀色のプレートで覆われた下半身。

 

この世界を救う可能性を秘めた、彼と同じように……首ではためく、深紅のマフラー……。

 

オレンジの複眼のバッタの様な仮面で顔を覆った、その戦士の名は………。

 

 

 

“白銀の嵐”と呼ばれた、“異世界の仮面ライダー”。

 

 

 

「さあ、腹ぁ括れよ!!」

 

 

 

―――“仮面ライダーストーム”。

 




いかがでしたか?

次回は、メテオ君こと、ストームvsジャッジ!

そして、ファートゥスと戦闘を開始したライラとヤエ……。
異変を感じとったヴィクトリオンは!

次回でお会いしましょう!
それでは!
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