超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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どうも、白宇宙です。

コラボストーリー第三話、今回は激しく、熱い、そして激動のバトルが見所です!

そして、シンシアに悲劇が!?


それではお楽しみください、どうぞ…。


V stage,3 僕と再始動

「ここにもいない……どこにいるんだろう」

 

ヴィクトリオン・ハートは遺跡の南側で一人、捜索行動を続行していた。

ステラは東側の捜索に向かってもらい、今は彼一人で捜索している。

南側にはアーチ状に建てられた遺跡の門がいくつも並んでいる特徴的な作りをしていて、隠れる場所は少ないがもしもの時のため彼は念入りにくまなく探していた。

柱の陰から、近くの崩れた壁の裏、道端に落ちている石ころの下まで、隠れているかもしれないと思える場所を徹底的にしらみつぶしにしていく。

 

「せめて、シンシアだけでも早く見つけないと」

 

同じ探している目的の一つ、今は自分の家族同然の存在となっているシンシアを思い浮かべながら彼はアーチ状の門を潜り抜けた。

 

今思えば、彼女とは一番紆余曲折があったものだった。

自分が最初にぶつかった、最初の存在、初めて会ったときは厄介な存在でしかなかった彼女の“本当の姿”を知ったときは衝撃を受けたものだった。

でも、だからこそ、思ったのだ…。

 

“守ってあげないと”、と……。

 

彼女は孤独に震え、いつも泣いていた。

それでも、国のためにと自分を無理矢理奮い立たせ、鬱憤を晴らすかのように女神の力を行使した。

そんな彼女の姿がひどく辛そうに見えて、どうしても放っておくことができなかった…救わなければと思った…。

 

最後に、互いの全力を出し切って戦った時のことはよく覚えている……。

 

自分の思い、彼女へ刺し伸ばしたいと願った手、そしてその手を掴んでくれた時の彼女の表情。

 

でも、それでも……運命はあまりにも残酷で……。

 

 

 

―――お前は、間違った選択をしたんだよ……あいつらはここで死ぬべきだった、お前が倒してな、それが正しい運命になってお前は“英雄”になるはずだった………世界も救われたはずなのによ……。

 

 

 

その時に行動を共にしていた、彼女の言葉が脳裏に蘇る。

世界を救う魔神としての使命を受けながら、彼はそこで救うべき対象を間違えた。

故に世界は、逸脱したルートを辿った…。

 

「だとしても………みんなを殺すなんて、出来るはずがない………そんなの、本当のハッピーエンドじゃないだろ」

 

立ち止まり、空を見上げるヴィクトリオン・ハート。

 

自分が救うはずだったこの世界と今ある彼女たちの存在…。

あの時自分がどちらも救おうとして、失敗したからこの世界は危機を迎えようとしている…。

でも、自分は無理でも………彼ならこの世界を救えるはずだ。

 

 

0からスタートした、彼なら……。

 

 

そう強く願い、ヴィクトリオン・ハートが再び捜索に戻る。

今自分にできることは、彼を見守ることと同時に今ある彼女たちを守り抜くことなのだから…。

 

だがその時……。

 

 

 

「っ! ………誰?」

 

 

 

何かの気配を察知したのか、ヴィクトオン・ハートが後ろを振り向く。

呼びかけるように彼がアーチの下にある柱の内の一本に視線を向け、貫かんばかりに見つめ続ける。

すると、その柱の陰から何者かがそっと出てきた。

 

「あれ? 君は確かプラネテューヌの……いや、でも違う……誰かな?」

 

その姿はプラネテューヌの女神、ネプテューヌが女神化した姿、パープルハートととてもよく似ていた。

だが、髪の色は金塊を細い糸にしたかのように輝く美しく後ろに流れる金髪で、服もまるで神聖な物であるかのような純白の衣を身に纏っている。

似ているようで非なる存在だと、直感的に察したヴィクトリオン・ハートは目の前に現れた謎の女性に問いかける。

すると、女性はヴィクトリオン・ハートを見つめ、そっと手を出した。

 

 

『気を付けて……今この世界に、災厄が訪れている』

 

「………災厄?」

 

『……私のいた世界、そこで暴虐の限りを尽くそうとした悪魔……そいつがあなたの世界に現れている』

 

「………君は、もしかして僕が呼び出したもう一つの反応なのかな?」

 

 

私のいた世界、と言うことは彼女はこことは違う世界から来たのだと理解した彼は一か八か女性にそう聞くが、女性は手を下ろして首を左右に振った。

 

『………私は見守りに来ただけ、あなたが呼び出したその災厄を打ち破る可能性を秘めた、彼を………』

 

その言葉にヴィクトリオン・ハートは何かを感じたのか、はっ、と表情を変えた。

見守る、その言葉が今の自分の立場とよく似ていたのだ。

 

 

「………君も、見守る側なんだね」

 

『……それは、あなたも同じでしょう? 世界を救いきれなかった魔神……ヴィクトリオン・ハート』

 

 

彼の言葉に対し、女性は予想外の言葉を返した。

彼女は知っているのだ、自分がどんな存在なのかを、自分が何をしたのかを…。

だが、ヴィクトリオン・ハートは取り乱すような動揺は見せずに、冷静に彼女を見据える。

 

「………もしかして、君は他の世界のことを知ることが出来るの?」

 

彼の言葉に対し、女性は静かに頷いた。

 

『でも、この力を持っていてもあなたみたいに干渉はできない……既に肉体のない私にできるのは彼を見守る事だけ、あなたみたいに手助けをすることはできない』

 

肉体のない、つまり今の自分と違ってこの女性は特殊な存在なのだと彼は理解した。

肉体が滅んでも尚、ある者の行く末を見守ろうとする彼女と……。

役目を終え、今は彼を見守る側に回った自分……。

 

 

「……なんだか似てるかもね………僕達」

 

 

動揺するでもなく、親近感が湧いたからなのか微笑みを見せるヴィクトリオン・ハートに女性は不思議そうな表情を浮かべるも、何も返さずにその場を去ろうと振り返った。

 

「あ、ちょっと待ってよ! 君も見守る側ならなぜ僕の前に現れたの?」

 

彼女を呼び止めようと、ヴィクトリオン・ハートが問いかける。

すると、女性は立ち止まった。 顔をこちらには向けていないが言葉には反応したらしい。

そして、次の瞬間、予想外の言葉を口にした。

 

 

『その災厄があなたの守ろうとした子たちと戦っている……それに、そいつの狙いは花飾りをした女の子……』

 

「え………それって………まさか!」

 

『あなたの守りたい物はあなたが守りなさい……それに彼を呼び出した以上、あなたにはどうあっても彼をこちらに返して貰わないといけない……厄介なことになる前に急いで』

 

 

女性はそう言い残すと、再び歩き出した。

 

 

 

『………もしもの時は彼の事、お願い』

 

 

 

最後にそう言い残して、女性は姿を消してしまった。

残されたヴィクトリオン・ハートは初めて動揺した表情を顔に浮かべてその場に立ち尽くしていた。

彼女の言葉の意味、それが彼の予想通りなら……。

 

彼はすぐに表情を強張らせ、革のグローブに包まれた拳を強く握りしめる。

 

「パパ………こっち、には何も………パパ?」

 

そこへ、ステラが現れて彼に近づいた。

表情の変化にすぐに気づいたステラが首を傾げると、ヴィクトリオン・ハートは彼女と同じ目線になるために身を低くしそっと彼女と視線を交わした。

 

「ステラ、行こう………みんなが危ない!」

 

その時、ステラが目にしたのは“魔神としての意思が籠った”彼の強い感情をあらわにした瞳だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

耳をつんざくような銃声が何発も立て続けに鳴り響く。

これはヤエが放った改造拳銃のトリガーを引いたことにより、弾丸が放たれた合図だった。

遺跡の物陰から物陰へと移動しながらヤエは銃を撃つ、放った弾丸の弾道はすべて標的となっているファートゥスへと直撃するコースだ。

遅れて次々と弾丸がファートゥスへと直撃し、火花が上がる。

 

『なんだぁ? 今の豆鉄砲は……』

 

「なっ!? そんなあほな……」

 

しかし、ファートゥスは無傷だった。

彼女の銃はステラのチューンアップを受けて相当強化されている、以前にヒーローメモリーの1号と対峙した時は彼に痛烈なダメージを与えたはずのこの銃が効かないのだ。

驚くヤエだが、ファートゥスはそんなことお構いなしと言いたげに動きを止めたヤエに向かって接近する。

 

『うらぁ!!』

 

「くっ!」

 

放たれた横薙ぎの拳を、身を屈めてやり過ごす。

すぐさまカーボンブレイドを振るい、反撃しようと首元を狙うが頑強な両腕に防がれ、その腕にさえ刃が通らず、反対に押し返されてしまった。

 

やはり、データとして作り上げられた、ショッカーライダー・パーフェクトの時よりも格段にパワーアップしている様だ。

 

『吹っ飛べぇ!!』

 

お返しとばかりにファートゥスは投げ飛ばそうとしてか、ヤエのコートを乱暴に掴むと思いきり後ろに向かって腕を振るい、投げ飛ばす。

宙に浮いた、彼女の黒いコート。

 

だが、そこに彼女の体はなかった。

 

『あん?』

 

「この、スケベ!!」

 

罵声と共にファートゥスの側頭部に衝撃が走った。

ヤエによる背後からの襲撃である、投げ飛ばされる瞬間に彼女は来ていたコートを脱ぎ捨てたのだ。

その証として、彼女が黒いコートの下に着用している痛々しい厨二センスばりばりの衣服が露わになっている。

 

彼女の上段蹴りを喰らったファートゥス、だが彼はよろめく様子すら見せない。

 

『………いいセンスじゃねぇか、でも、その服はどうかと思うぜ!』

 

「ちっ!」

 

そう言ったファートゥスは反撃とばかりに後ろ回し蹴りを放ってきた、それに対してバク宙を切って回避したヤエだったが、立て続けに放たれたファートゥスの蹴り込みが彼女の腹部にヒットする。

 

「うっ……」

 

苦悶の表情を浮かべるヤエ、ファートゥスがさらに追い打ちをかけようと拳を振り上げるが……。

 

「はぁぁぁあああああ!!」

 

ライラの変身した仮面ライダーマルスがソードブリンガーを振り上げながら横合いから飛び掛かる。

しかし、ファートゥスは狼狽える様子もなく…。

 

「なっ!?」

 

『あぎゃぎゃぎゃ……』

 

なんと、ダメージを受けてまともに動けないヤエの腕を引き首に自分の腕をかけ、身動きを封じ、盾代わりにしたのだ。

この行動に予想がつかなかったのか、マルスは動きが鈍る。

その一瞬を、ファートゥスは見逃さなかった。

 

『甘いんだよ!!』

 

「ぐっ……うぁぁああああああ!!」

 

ヤエの持っていたハンドガンを無理矢理奪い取り、マルスに向けて乱射する。

アップルリフレクターによる防御も間に合わず、マルスは強化された弾丸をまともに喰らい、数歩後退した。

 

そして、ファートゥスは人質代わりに使ったヤエを離すと、その体に膝蹴りを撃ち込み二発ほど殴りつけた後、彼女の首に手をかけてぎりぎりと締め上げる。

 

「……あ……ぐぅ……ぅ…ぁ」

 

カーボンブレイドを手放し、苦しそうな表情を浮かべるヤエ。

意識が薄れ、遠のいていく………いよいよ意識を失う直前に入ったとき、ファートゥスが突然その手を離した。

 

『ハハァ!!』

 

助かったと思ったのもつかの間、ファートゥスは意識を失いかけていた彼女を思いきり蹴飛ばしたのだ。

宙に舞い上がり、地面に倒れ伏したヤエは窒息しかけた苦しみと体に受けたダメージによって完全に戦闘不能に陥ってしまった。

 

「ヤエ! ………貴様ぁ!!」

 

目の前でヤエが倒れたことに激怒したマルスは戦極ドライバーのカッティングブレードを一回倒した。

 

『カモン! ゴールデンスカッシュ!』

 

脚に黄金のオーラを纏わせながら、マルスは思い切り飛び上がり反撃のキックを撃ちこもうとする。

だが、それに対し、ファートゥスも同じように飛び上がり、右足を前に突き出した。

 

二人の必殺キックが空中で激しく衝突する………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女性の言葉を聞き、ヴィクトリオン・ハートはすぐに遺跡の西側に向かった。

逸る気持ちを抑えつつ、嫌に静かなあたりをステラと共にきょろきょろと見回しつつ何か異変がないかを探し続ける。

 

「………! パパ、あそこ……!」

 

「……あ!」

 

ステラが何かを見つけたのか、ヴィクトリオン・ハートにある一点を指さしながらそれを知らせた。

彼がステラの指刺す方を見ると、そこには彼の嫌な予感を現実となっている光景が広がっていた。

 

ぼろぼろに崩れた遺跡の柱や壁、不自然に穿たれた地面の穴。

そして、その中で倒れている二人の女性。

ヤエとライラの二人だった。

 

「ヤエ! ライラ!!」

 

すぐに二人の元に駆け寄ったヴィクトリオン・ハートは近場にいたヤエを抱き起し無事かどうかを確認する。

体のいたるところに怪我を負い、意識を失っている様だった。

だが、彼女がここまでやられるとは………ヤエは四人の中でも特に純粋な戦闘能力に優れているというのに………。

 

「……まったく……とんでもない奴に…出会ってしまいましたよ」

 

すると、彼の耳に聞き覚えのある声が聞こえてきた。

途切れ途切れでだいぶ弱っている印象を感じるが、その声は間違いなくライラの声だった。

 

「ライラ! 大丈夫!?」

 

「これで私が大丈夫と言えたら、彼女も大丈夫でしょうね……」

 

意識は繋ぎ止めているようだったライラだが、こちらも負けない程ひどい有様だった。

ジャージの所々を破けさせ、口元からたらりと血を流している。

体に受けた傷も酷かった、ヤエと同じかそれ以上の傷を受けているのに意識があるのが不思議なくらいだ。

 

二人とも相当なダメージを受けている、この世界に来た災厄と言うのはかなりの実力を持っているようだった。

 

「まずいですよ…あのコソ泥の狙いは……」

 

自分たちをこんな状態にした者の目的を、ライラがヴィクトリオン・ハートに伝えようとする。

だが、彼はヤエを近場に残されていた壁に凭れさせると、今度はライラを肩を貸すようにして起こし、同じように楽な体制にさせる。

 

「知ってる……そいつの狙いがシンシアだってことも……」

 

彼は途中でそう言うと、立ち上がりジャケットの中に手を入れる。

そして、そこからある物を取り出した…。

 

「それは………まさか、あなた!」

 

ただ事ではなさそうにライラが慌てるが、ダメージがさらに広がらない様にそれをステラが抑え込む。

そして、代わりにステラがヴィクトリオン・ハートに向き直った。

 

「パパ……やるの?」

 

「うん……こうなったら、しかたないからね」

 

「でも、パパは………!」

 

心配から来るのか、必死な様子が窺える彼女の制止を彼は彼女の頭を撫でることで誤魔化す。

いつものように優しい笑みを浮かべてみせる彼だが、今から彼がやることはあまり安心してその場で待っていられるようなものではない。

 

 

“魔神の力”を解放することは、今の彼にとって危険な物なのだ。

 

 

 

「………大丈夫、ちゃんと調整はするよ……シンシアと一緒に、みんなで帰ろう」

 

「………パパ」

 

 

 

だが、それでも彼は止まらない。

今の彼が守るべきものを守るために、かれは再びその力を使う覚悟を決めたのだ。

 

彼そう言うとはその場から離れ、持っていたゲーム機の様なバックルを腰に当てる。

それを合図にしたように、バックルが彼の腰に回されそれはベルトに変わった。

 

「………言った以上、無理だけはしないで下さいよ」

 

「……うん」

 

ライラの言葉を背に受け、ヴィクトリオン・ハートはバックルに備えられているダイヤルを調節し始める。

そして、調節を終えたのか彼はバックルの中央にセットされているROMカセット型のアイテムを押し込む。

 

 

 

「……再始動、だな」

 

 

『カ・セーーーット!』

 

 

 

電子音が鳴り響き、バックルが起動した。

駆動音のような音が鳴り響く中、ヴィクトリオン・ハートはバックルのもう片方に備え付けられたボタンに手を添えるとそれをオンに切り替える。

 

 

「チェンジ………オン」

 

『ナウ・ローディング! チェーーーンジ! ヴィクトリオン・ハート!!』

 

 

永い、本当に永い時を経て、人知れずにとある少年を見守っていた魔神が再びその姿を現した。

 

 

今自分が守るべき物のために、魔神は再びその拳を握る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遺跡の近くの森でも、また別の戦いが繰り広げられていた。

 

「うぉぉぉおお!!」

 

猛然と振り上げられた巨大なハルバード、ジャッジが目の前で変身し、立ちはだかったメテオ、仮面ライダーストームを両断せんと凄まじい勢いをつけてその刃を振り下ろす。

大地さえも割り裂かん勢いで迫るジャッジの攻撃、だがストームは慌てる様子もなくその一撃を横に跳んで回避する。

 

逃がすまいと立て続けに振るわれるジャッジの斬撃、それを素早く、尚且つあっさりと回避し続けるストーム、出だしはどちら付かずの状態で始まった。

 

「ちょっこまかと!!」

 

回避し続けるストームに対し、痺れを切らしたのかジャッジがハルバードを横薙ぎに振るった。

まわりの木も巻き込みつつ、斬撃がストームに迫る。

 

「トォ!」

 

しかし、ストームはその攻撃が当たる前に自身が改造人間故に持っている、バッタ並の脚力を使った人並み外れた高さのジャンプによって回避し、ジャッジの鼻先まで一気に距離を詰める。

 

「オラァ!!」

 

「なっ、グゴっ!?」

 

そのまま横薙ぎにはなった回し蹴りでジャッジの顔面を蹴り、先制を取った。

地面に着地したストームはさらに懐へと潜り込み、体格差のある黒い巨躯の胴体目がけて強烈な一撃を叩きこもうと左の拳を握りしめる。

 

「ライダーパンチ!!」

 

純粋な拳による一撃。

されど、その一撃は鉄球よりも重く、強烈な一撃だった。

まっすぐに放たれた痛烈な正拳突きがジャッジの胴体に寸分の狂いなく直撃し、その巨体を揺らした。

数歩後退ったジャッジ、攻撃を受けた部分を抑えながらもその爛々と輝く双眸はまだはっきりとストームを捉えていた。

 

「貴様ぁ………図に乗るなよぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!」

 

怒りに任せた咆哮と共に、再びジャッジがストームに迫る。

ハルバードを思い切り振りかぶり、迫りくるジャッジに対し、ストームはそっと腰を落し、両手を広げるような構えを取り、ジャッジの攻撃を迎え撃つ。

 

あまりにも隙だらけな体制、好機とばかりにジャッジがハルバードを思い切り突き出し刺突を繰り出す。

 

だが、ストームはその攻撃を待っていた。

ハルバードの刃が届く寸前、身を横に傾けて回避し、ハルバードの柄に両手を宛がう。

 

「ライダー返しっ!!」

 

「何っ!? うぉぉぉおおおおおおおお!?」

 

そこからジャッジが突撃に使用した勢いをそのまま利用し、自身のパワーもプラスしてまるで一本背負いの如くジャッジの巨躯をハルバードを中心にするようにぐるりと回転させて投げ飛ばす。

相当な勢いをつけていたのか、森の中を転がり続けるジャッジ、それをストームも追いかける。

 

 

ようやくジャッジが止まった時には、いつの間にか二人とも森ではなく遺跡の中に入り込んでいた。

一番大きな建物の壁を突き破って中に入ったジャッジはぐらりとその巨躯を持ち上げながらもまだ戦う意思を見せている。

 

「まだだ……こんな奴にこの俺が負けるかぁぁぁぁぁあ!!」

 

叫ぶように言い放ったジャッジの視線の先、そこには自分が明けた壁の穴から同じように中に入っていたストームの姿があった。

 

 

「そうかよ、でも俺も負けるつもりは……ないんでね!」

 

『soldier form』

 

 

ストームドライバーから電子音が鳴り響き、ストームの体が変化する。

仮面ライダーストームは徒手格闘による格闘戦を主体にした通常の形態、“ファイターフォーム”の他に、いくつかの戦闘形態を有している。

 

そして、今変身したこの姿は“ソルジャーフォーム”と呼ばれており、彼特有の6本の剣をその身に携えた武装形態である。

 

左腕に装備している彼の固有武装、銃剣“エクシア”を筆頭に、右腕のリストバンドに内蔵された二本の“ビームサーベル”、右の腰に携えている“ロングブレード”、腰の後ろ側に折り畳まれている“ビームダガーピストル”が二丁、そして右肩に装備された巨大な盾、“Dシールド”。

 

全身くまなく武装したこの形態はより攻撃的な戦闘を可能にする派生形態なのだ。

 

「こけおどしがぁぁあああああああああああああ!!」

 

姿を変えたストームにジャッジが再び迫る。

三度振り下ろされるジャッジの攻撃、だがストームは左腕の銃剣、エクシアの巨大な刃を起動させると真正面からその攻撃を受け止めて見せた。

 

「はぁぁあああ!!」

 

さらに、右腕のビームサーベルを起動させるとまるでトンファーのように右腕からまっすぐに伸びた光の刃が、ストームが打ち上げたハルバードの柄を真っ二つに断ち切る。

 

「バカなっ! 俺の攻撃を押し返すなど!」

 

「言っただろ、容赦はしねぇってな!!」

 

押し返されてノックバックしたジャッジの巨躯、その隙を見逃さずにストームは一気に勝負を仕掛ける。

 

まずは、右腕のビームサーベルで横薙ぎにジャッジを切り付け、さらに左手で取り出したもう一本のビームサーベルを抜いて追撃。

ビームサーベルを納めると次は右腰のロングブレードを抜き、それでXを描く様に切り付ける。

そして、そのまま真上に大きくジャンプし、取り出したビームダガーピストルを上から惜しげもなく掃射し、付け入る隙を与えない。

 

荒ぶる、嵐の様な連続攻撃にジャッジは着実にダメージを負っている、今がチャンスと見たストームは左腕のエクシアを起動し、落下の速度を利用した素早い一撃を振り下ろす。

 

 

 

「剣閃乱舞! ライダー! ソードブレイクッ!!」

 

「うっ……ごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!」

 

 

 

嵐の様な剣撃の連続攻撃を受けたジャッジは体から激しく火花を上げる、そしてとどめの一撃を撃ち込むべく、銃モードに切り替えたエクシアを至近距離で構える。

 

『Look ON! Destiny charge!』

 

「ぶっ飛べぇぇぇぇぇええええええ!!」

 

銃口から迸った光の束が、ジャッジを飲み込んだ。

 

 

「お、俺は………俺はまだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああ!」

 

 

遺跡の中を貫く様に伸び続けるその砲撃が収まるころには、ジャッジの姿はどこにも見当たらなかった。

姿は見えないが、倒しきれていなかったとしてもあれだけのダメージを与えれば早々にまた現れることもないだろう。

ソルジャーフォームを解除したストームが変身した状態のまま一度胸を撫で下ろす。

 

「なんとかなったか……あ、そうだ! シンシアは!」

 

戦いに夢中になっていて気付かなかったが、シンシアから大分離れてしまったのではないかとストームが入り込んだ遺跡の壁の穴に目を向ける。

ジャッジが突き破っただけはある巨大な穴からは外の景色が見て取れる、ジャッジが転がってきたことによって荒れた森の様子も見て取れる。

 

それと……

 

 

「………」

 

 

壁の穴の陰からひょっこりと顔を出す、見覚えのある少女の姿も見えた。

どうやら、付いて来ていたらしい。

 

ほっと胸を撫で下ろしたストームはシンシアに向けて手を振る。

すべてが終わったのかと安堵したのか、シンシアも表情にうっすらと微笑みを浮かべて壁の後ろから出てきて彼に近づこうと穴を通り抜けた。

 

 

 

 

 

その時だった。

 

 

 

 

 

「っ!? きゃっ!?」

 

「シンシア………!?」

 

突然、彼女が何かに引かれるように後ろに下がったのだ。

 

一体何事かと慌てるストームだが、その原因はすぐに分かった。

彼女の背後に、何者かが立っていたからだ。

その何者かが彼女の髪を乱暴に掴み、自分の方へと引き寄せたことでシンシアは後ろへと強制的に下がったのだ。

 

吊り上げるように髪を上に引き上げる黒い姿をした何者かは、シンシアをじっくりと、上から下へと視線を巡らせる。

 

『ようやく見つけたぜ、テメェがシンシアだな?』

 

「ひっ………やっ……離して…」

 

『そうはいかねぇな、こっちにも事情ってのがあるんだよ…』

 

髪を引っ張られる痛みと、恐怖を表情に浮かべるシンシアに黒い何者かはそう言い放つ。

 

そして、ストームは……メテオは突然現れたその何者かの姿を見て驚愕することとなった。

黒を基調としたその者の姿、仮面で顔を覆ったその姿はまさしく自分と同じ、仮面ライダーの姿と酷似していたからだ。

 

「仮面ライダー……なのか?」

 

だが、その姿には自分の知っている仮面ライダーとしての雰囲気を感じなかった。

あまりにも醜悪すぎるのだ。

寒気を感じ、憎悪を無条件にこちらに植え付けるようなこの嫌な感覚は、仮面ライダーとしての物ではない。

 

「………おい、お前何者だ!! その子を離せ!!」

 

仮面ライダーの姿をした何者かに、ストームは怒りを込めてそう言い放つ。

 

『あ? ………ん? おぉ? ………おぉぉぉ!』

 

それによって、ようやくこちらに気付いたのか黒い仮面ライダーが首を傾げながらこちらを見る。

すると、どうしたことかどんどんと声を高揚させていき、何やら大げさな反応を見せ始めたのだ。

何事かと、ストームが警戒するが黒い仮面ライダーは次第に身を震わせ始めた。

 

 

 

『いいね、いいねぇ……本当に今の俺はラッキーだ……ラッキーすぎて笑いが止まらねぇよ………あぎゃ、あぎゃぎゃぎゃ………あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!』

 

「っ!! その笑い声………お前、まさか………!」

 

 

 

彼にとっては嫌と言うほど聞き覚えのある、特徴的な下品な笑い声。

以前に互いの命を懸けて激闘を繰り広げ、ようやく倒すことのできたメテオにとっての因縁の宿敵の笑い声…。

 

それを聞いた瞬間、メテオの肌が泡立つような感覚に襲われた。

なぜ目の前にこいつがいるのか、どうして今その姿で目の前に現れたのか、なぜシンシアを捕まえているのか、聞きたいことは山ほどあった。

 

だがそれ以前に、目の前にその存在がいるのを信じられなかった。

 

 

 

『そうさぁ! 俺だよ兄弟!! ファートゥスだよ………お前に倒され、恨めしさのあまりにも幽霊モドキになった、ファートゥス・クライムご本人様だよぉ!!』

 

 

 

狂乱の大罪人、ファートゥス・クライム。

 

倒したはずの存在が目の前に現れた衝撃のあまりに、メテオは言葉を失った。

仮面の下で目をいっぱいに見開き、黒い仮面ライダーの姿をしたファートゥスを見据える。

 

「なぜ………なぜこんな所にいる! ファートゥス!!」

 

『復讐だよぉ! お前と、そしてお前の世界にいる女神共に復讐するために、俺は思念体にまでなってこつこつと力を蓄えるために世界をはるばる飛び越えてきたんだよぉ!』

 

「世界を、飛び越えて……?」

 

意味不明な言動を口走るファートゥス、世界を飛び越えるとはどういう意味なのかメテオが疑問を感じていると、ファートゥスはまた下品な笑いを上げた。

 

『あぎゃぎゃぎゃ、お前は知らないのか兄弟、ここは俺達がいた次元のゲイムギョウ界じゃない………同じゲイムギョウ界でも、まったく違う、別次元のゲイムギョウ界なんだよ』

 

「別の次元!? ……そんな……」

 

『俺はこの世界に来てからかなりラッキーだったぜ兄弟、新しい体を手に入れた上にお前にも会えたんだからな』

 

ファートゥスはそう言うと、シンシアの髪を掴んだまま移動し始め、遺跡の中へと足を踏み入れた。

痛みに顔を歪めるシンシアを見て、ストームがすぐに向かおうとするがファートゥスは視線だけでそれを制止させる。

今の状態では、ファートゥスが何をするかわからないからだ……。

 

ストームが足を止めたのを確認したファートゥスはそのまま得意げに話を続け始めた。

 

『いいだろう、この体………目には目を、歯には歯を、仮面ライダーには仮面ライダーをってなぁ!』

 

「仮面ライダー、だと………?」

 

『そうさ! 今のこの体は仮面ライダーとしてのお前と大差ない力を秘めている、これでお前とまた楽しい殺し合いが出来るってもんだ……』

 

ファートゥスの発言にストームは拳を握りしめる力を強める。

 

 

『せっかくだから名前も変えるか……今の俺の名前は………そうさなぁ、“仮面ライダーファートゥス”ってことで、どうだ兄弟?』

 

「ふざけるな!! テメェみたいな下衆に仮面ライダーを名乗る資格はない!!」

 

 

激昂したストームがそう言い放つ。

だが、ファートゥスは反応することもなくむしろ余裕綽々と言いたげな態度を見せてくる。

 

『あぎゃぎゃぎゃ……資格はない、ねぇ……果たしてそれはお前が言えた義理かな?』

 

「!」

 

『まあ、いいさ……兄弟、俺はまたお前と戦えるのが楽しみで仕方ない……でもよ、俺はこいつを捕まえなきゃなんねぇんだよ』

 

ファートゥスは右手で捕まえているシンシアを見せつけるようにしてそう言うと、髪を掴んでいたその手を離し彼女の肩を抱く様に右腕を回した。

 

『こいつにはなぁ、ある特別な力が眠ってるそうなんだよ……俺はそいつを手に入れてより力を蓄えたいのさ』

 

「っ!」

 

ファートゥスの発言にシンシアはすぐに反応し、逃げ出そうと抵抗するも強靭な力を持っているファートゥスの腕からは逃げることが出来なかった。

 

「そんなことさせるか! シンシアには帰るべき場所があるんだ、お前がその子に手を出すって言うんなら、俺はもう一度お前をぶっ潰す!」

 

『ほぉ……そうかい、なら相手をしてもらおうか』

 

身構えるストームを前にして、ファートゥスはそう言うとシンシアを捕まえた状態で一歩前に出た。

 

『賭けるのは、このお嬢ちゃんってことでいいよな?』

 

「………テメェをぶっ潰してな」

 

『あぎゃぎゃぎゃ……そうかい、そうかい……』

 

確認を取るようにそう言ったファートゥスは二回ほど頷いてから、ぱっと彼女を捕まえていた右腕を離した。

確かに捕まえた状態で戦うのは不利だとは思うが、ファートゥスの突然の行動にストームは何事かと目を疑う。

だが、自由になったシンシアはこのチャンスを逃すまいとその場から逃げようとする。

 

 

 

『景品が、逃げんじゃねぇよ!!』

 

 

 

しかし、ファートゥスがそれを見逃すような性格ではないことをストームは……メテオは知っていた。

知っているはずだったのに、予想できなかった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――ボキン………。

 

 

 

 

 

 

 

 

はっきりと聞こえた、何か、固い棒状の物が折れるような音。

 

 

 

 

 

「っ………ああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 

 

遅れて聞こえた、シンシアの叫び声。

その原因は、彼女の右足に振り下ろされたファートゥスの蹴りによるものだと彼は瞬時に理解した。

膝から足首までの、本来まっすぐであるはずの部分が残酷にも、くの字に折れている。

脛骨を今の蹴りで折られたのだ。

 

骨折による痛みのあまり、その場に倒れこむシンシア。

折れた脛骨のあたりを抑え、激痛に顔をしかめ、涙を流している。

 

「っ! シンシアぁぁぁあああ!!」

 

ストームが彼女の名を呼ぶが、痛みに体を震わせてまともに立つことさえできない彼女にその声に反応する余裕はない。

 

「あぐっ………うぅ……い、たい……痛いよぉ………」

 

『ああ、そうかい……そりゃ、痛くて当然だろうよぉ!!』

 

ファートゥスが再び、足を振り上げて踏み潰すようにシンシアの左足を思い切り踏みつけた。

バキン、と言う音と共に左足までも曲がってはいけない方向に無理矢理曲げられる。

 

「やぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ! ……っ、あぁぁ……ぁぁ……!」

 

両足の骨をファートゥスによって折られたシンシアは意味もなく声を漏らし、その場に蹲った。

もはやこれでは逃げることはもちろん、立つ事もできない、完全に彼女の逃げる方法を潰したのだ。

 

『これで景品が逃げることはねぇ………準備はいつでもいいぜ、兄弟』

 

悪びれる様子もなく、ファートゥスがストームにそう告げる。

 

対するストームはそれに対し、何も言わず、拳を震わせるほど力を込めて握り、そのオレンジに輝く複眼でファートゥスを睨み付けていた。

その仮面の下にある瞳には、激しい怒りの意思を迸らせている。

 

 

「ファートゥス………お前は………お前だけは………!」

 

『Destroy form… Awayking take off』

 

 

怒りに身を震わせ始めたストーム、やがてその複眼がオレンジから血の様な赤色に染まった。

 

それを合図にしたかのように、彼の体の全身に血管の様な光り輝く赤い色のライン“デストロオーラ”が浮かび上がり、口元のクラッシャーが左右に展開し中の放熱板のようなフェイスカバーが露わになった。

口元から蒸気を吐き出し、ストームはその血の様な複眼をまっすぐにファートゥスへと向けた。

 

「お前だけは………俺がぶっ潰す!!」

 

この姿は、仮面ライダーストームが現段階で有している最強の姿……。

 

“究極の破壊”をもたらすと言われる、その姿はまさに破壊神を体現したかのよう……。

 

“デストロイフォーム”、すべての敵を抹殺する戦闘本能と怒りの塊……。

 

 

 

「ファァァァァァァァァァトゥスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」

 

『いいぜ、兄弟ぃ!! その姿を待ってたぜぇ!!』

 

 

 

駆けだした二人、戦い、そして倒す、どちらかが倒れるその時まで、ただ拳を振るう。

 

怒りに身を任せたストームの拳と、ファートゥスの悪意に満ちた拳が激突する。

 

激しい衝突音と共に、遺跡の中全体がビリビリと揺れる。

人の域を超えた者同士の激突、それはあまりにも強烈で第三者が割り込むような隙すらも与えない激しい攻撃の応酬だった。

 

「ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!」

 

『あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぁあ!!』

 

次々と繰り出される互いの拳、互いの攻撃がぶつかり合い、時にはストームの一撃がファートゥスに当たり、また時にはファートゥスの攻撃がストームを捉える。

互いに一歩も引かない殴り合い、殴り、殴られ、また殴る、まさに闘争本能に満ちた獣同士の戦いの様な光景だった。

 

『おらよぉ!!』

 

「グッ……! らぁぁぁああああああああ!!」

 

不意に放ったファートゥスの蹴りが、ストームを一瞬だけ押し返した。

反撃しようとするストームだが、怒りと共に放った目にも止まらないスピードのその拳はあっさりと回避されてしまい、逆に隙を生み出してしまう。

 

その隙を見逃さずに、ファートゥスはストームの鳩尾に蹴りを撃ち込んだ。

さらに、ファートゥスは反撃の隙を与えないように膝蹴りを数発打ち込むと、右手で手刀を作り、下にだらんと下げる。

 

 

 

『ライダー………デスサイズ!!』

 

 

 

勢いよくそのまま跳ね上げた手刀がストームを死神の鎌で切り裂く様に切り裂いた。

ファートゥスの強烈なチョップによろけるストームだが、すぐに反撃に出ようとファートゥスに飛び掛かる。

デストロイフォームによって向上した戦闘能力を最大限に引き出し、拳、蹴り、チョップと次々に攻撃を繰り出すが、その攻撃すべてが躱されてしまう。

以前に戦った時、デストロイフォームに変身したメテオはファートゥスを圧倒した、だが今は逆に向こうが有利に立っている。

 

『まさか………あの体はデストロイフォームになったマスターと互角のパワーを……!』

 

『どうだ兄弟、俺の新しい体は!! その姿になったお前とも対等に渡り合える、この力ぁ!!』

 

そう言い放ったファートゥスがストームの鳩尾に拳を撃ち込む。

 

「ぐふっ!?」

 

『ある意味最高の出会いだぜこれは……まさか、仮面ライダーの体がこれほど居心地がいいとは思ってもみなかったからよぉ!!』

 

さらに容赦のない回し蹴りがストームを打ち据える。

 

さらに、突然ファートゥスの腕が蛇のように伸び、ストームの首を掴むと軽々とその体を持ち上げて近くの柱にストームを叩きつける。

これはファートゥスが持っていた固有能力、“軟体体質”だ。

柱を破壊するほどの勢いで叩きつけられ、地面を転がるストーム。

 

「うあっ……がはっ!」

 

『おいどうした兄弟! 究極の破壊の力はそんなもんか、ええ? まだまだここからだってのによぉ!!』

 

そう言うと、ファートゥスは右手を広げてストームに向けて構える。

すると、突然ストームの体から火が上がり、彼の身体を焼き始めたのだ。

 

「あぁぁあああああ!! ぐっ!! うあぁぁあああああ!?」

 

『あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!! どうだ兄弟? お前の大先輩の技、“パイロキネシス”の味は?』

 

熱さのあまりに転げまわるストーム、それをファートゥスはあざ笑うかのように見下ろす。

今の能力もまた、ファートゥスの持つ能力の一つだ。

“ラーニング能力”、一度見て、受けた技を自分のものにするという恐ろしい能力である。

今発動したのは、仮面ライダークウガのパイロキネシスだ。

 

『まだ使える能力に限りがあるみたいだが、いずれ他の技も使えるようになるだろうよ………後は、あのシンシアってお嬢ちゃんの力と、“この世界の魔神の力”を手にすればいよいよ持って俺様は無敵だ!!』

 

「っ……シ……ン……シア………!」

 

炎を何とか振り払ったものの、ダメージがひどい状態のストームはいき絶え絶えになりながらも立ち上がった。

デストロイフォームになり、怒りに身を任せながらも彼はまだ戦う理由を忘れていなかったのだ。

シンシアにこれ以上手出しをさせるわけにはいかない……。

 

例えこの姿になったとしても、それだけは譲れなかった……。

 

あの時に誓ったから、この力にはもう呑まれないと……。

守るためにこの力を使うと……。

 

「あの子には………あの子には手出しさせない!!」

 

立ち上がったストーム、だがファートゥスはその姿になぜか落胆した様子を見せた。

 

『………兄弟、お前弱くなったな』

 

「何……?」

 

『前に戦ったときのお前はまさに破壊衝動の塊みたいなやつだった……正直あの時のお前が一番強かった気がするぜ………だが、今はどうだ? あの戦いで何を学んだか知らねぇが、破壊の力で何かを守ることなんざ、出来やしねぇんだよ!』

 

そう言い放ったファートゥスは腰を落とすと、右足を前にだし、ぐっと体を縮こませる。

 

『破壊はぶち壊す力だ、それを忘れたお前なんかじゃ、尚更俺には勝てねぇよ!!』

 

体に秘めたばねの力を一気に解き放つように、ファートゥスが勢い良く飛び上がった。

空中でムーンサルトを決め、そのまま右足を前に出すと漆黒の炎を纏わせた蹴りが、隕石の如き速さでストームへと迫った。

 

 

 

『ダークネス、ライダーキィィィィィィック!!』

 

 

 

咄嗟にその攻撃を受け止めようと腕を交差させたストーム。

しかし、ファートゥスの放ったダークネスライダーキックはその防御をも貫き、ストームを大きく後ろに蹴り飛ばした。

 

 

「うぁぁぁああああああああああああああああああ!?」

 

 

攻撃を受けた影響で、変身を強制解除されてしまったメテオ。

地面を転がり、倒れ伏しながらもメテオは顔を上げてファートゥスを睨み付ける。

 

強靭な新しい肉体を手に入れ、圧倒的な力を見せつけるファートゥス、だがここで諦めればシンシアが……。

 

(ダメだ……! シンシアを……シンシアをあいつの好き勝手にさせてたまるかよ……!)

 

自分と同じように、過去に深い傷を持つシンシア。

 

その原因がファートゥスの言う能力に由来するのなら、なおさら彼にシンシアを渡すわけにはいかなかった。

自分と同じ様な辛い思いを彼女にさせるわけにはいかない、なんとしてでも立ち上がらねば…。

だが、そんなメテオの思いとは裏腹に体は言うことを聞いてくれない。

体に受けたダメージが大きすぎたのだ。

 

 

『拍子抜けだな兄弟、まあ、お前はそこでくたばってな……俺が無敵になった暁には、お前を最初にぶっ殺してやるよ……手も足も出せない屈辱を与えて、惨めになぁ……あぎゃぎゃぎゃ!』

 

 

そう言い残して、ファートゥスは離れた位置で痛みのあまりに蹲っているシンシアの方に向かおうとする。

メテオが必死に動こうと手を伸ばすが、うまく体が動かない。

 

「待て………待てよ、ファートゥス……!!」

 

このまま自分は何もできないのか………。

 

そう思った時だった。

 

 

 

不意にファートゥスが足を止めた。

 

 

 

そして、何者かの足音があたりに響き渡っていた。

 

 

 

『………なんだぁ、お前は』

 

 

 

何者かがファートゥスの前に現れたらしい、メテオは誰が現れたのか確認するために視線をファートゥスの前へと移した。

 

そこには、あまりにも特殊な姿をした人物が立っていた。

 

白い、純白の革製のジャケットと黒のズボン、そして両手には黒い革のグローブを嵌めている。

服装としてここまではいい、だが問題だったのはその他だった。

 

腰にはゲーム機を模したような特殊な形状のベルトを巻いている。

一昔前のROMカセット対応のゲームハードを思わせる白いバックルが特徴的だった。

 

そして、何よりも顔を覆う“仮面(マスク)”。

 

仮面ライダーとはまたタイプが違う、シンプルなデザインでありながらもヒーロー物に出てきそうなそのデザインはかなり存在感を放っていた。

体は普通だが、仮面だけをつけた何者かの突然の乱入にメテオもファートゥスも呆気にとられていた。

 

 

 

「………あの子には手出しさせない」

 

 

 

仮面を被った何者かがそう言った。

だが、ファートゥスはその程度の言葉を聞くような性格ではない。

 

『邪魔だ、どけよ……!』

 

予想通り、邪魔ものを排除しようと拳を振り上げるファートゥス。

メテオが仮面を被った何者かに逃げろと訴えようとする。

だが、この距離では間に合わない………。

次の瞬間にはファートゥスの拳がその仮面を粉々に………。

 

 

 

―――ドンっ!」

 

 

 

………砕かなかった。

 

それどころか………。

 

 

 

『………何ぃ?』

 

 

 

受け止めたのだ。

 

しかも、片手で………。

 

 

 

「うん、いいパンチだ………でも、君は弱い」

 

 

 

あっさりとそう言い放った仮面の人物、そっと彼の手を押し返すと、両手に嵌めていたグローブを嵌め直し、ジャケットの襟を直した。

その仮面の下で、どんな表情をしているのだろうか、メテオは突然現れたその存在に目を奪われていた。

 

 

 

「さあ、対戦ゲームを始めようか………」

 

 

 

 




いかがでしたか?

次回、ファートゥスの前に現れた仮面の実力が露わに!
そして、ファートゥスによって足の骨を折られたシンシアの運命やいかに!!


……すべては次回! コラボストーリー最終章!


それでは次回でお会いしましょう!
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