超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

70 / 120
どうも、白宇宙です。

ちょっと、今週はいろいろ忙しくてなかなか執筆する時間がなかったため投稿がいつもより遅くなりました…(汗

しかし、なんとか最新話を掛けました(笑)

さて、今回のお話から始まる新たな長編……。

始まりは、まさかの事態からスタートします。

それではお楽しみください、どうぞ…


プラネテューヌ大騒動! 動き出す、新・犯罪神 編
stage,59 俺とまさかの事態


 

 

「あらあら、ラステイションでそんなことが…」

 

「ああ、今思えば結構大変だったぜ……まあ、何とかなったけどな」

 

 

 

『お兄ちゃん……3日後、私たちはまた戦いに行くんだよね…』

 

 

 

「試練代わりの任務のつもりが、まさかのあんな大事件に繋がるなんて予想もできないって普通」

 

「予想だにしない展開とは、まさにこのことですわね」

 

 

 

『今度も、ちゃんと一緒に帰ってこれるかな?』

 

 

 

「………ある意味すっげー物も、貰っちゃったしな」

 

「? 宗谷、顔が赤いですわよ?」

 

「気にしないでくれ」

 

 

 

『ねえ、お兄ちゃん、明日ね……私、行きたいところあるんだ……お兄ちゃんと行きたいの』

 

 

 

『俺と?』

『別にかまわない』

『また、今度にしよう』

 

 

 

「選択肢わかりやすいなぁ……」

 

「だからと言って、定番を選ぶのも考え物ですわよ?」

 

「いやでも、向こうから誘って来てここで断るのはおかしいだろ」

 

「宗谷、あなたこのゲームをそんじょそこらの恋愛ゲームと一緒にしていたら泣くことになりますわよ」

 

「え、なに? もしかして俺ルート間違えた……?」

 

とりあえず、俺が今どこにいて何をしているのかだけ説明しておこう。

まず俺がいるのは、ベールの納める国リーンボックス。 そしてここはリーンボックス教会にあるベールのゲーム部屋。

 

ベールの性格とこの部屋の利用する目的を考慮すれば、誰しもがわかってしまうと思うが……。

俺は今現在、ベールと一緒にゲームに没頭している。

ジャンルは恋愛ゲームだ、18禁の方じゃないぞ? 女性とエロゲプレイは不健全ダメゼッタイ、これ基本中の基本通り越してもはや禁忌と言っても過言ではないからな?

 

え? 前にベールに誘われてなかったかって?

 

過去を振り返るな、人間は明日を見て歩く生き物なんだよ。

………あの時は危なかったなぁ………。

 

まあ、それはそれとして…。

 

「それにしても、このゲームだいぶ変わった趣味と言うか、プレイヤーの好みがかなり限定されてないか?」

 

俺はテレビ画面の横で俺の選ぶ選択肢に対し、コメントや反応を返しているベールに問いかけてみた。

 

俺が今プレイしているこの恋愛ゲームなんだが、かなり変わった特徴がある。

それはこのゲームにおける、メインヒロインの立ち位置にいるキャラクターが俺が今コントローラーを通して動かしている分身である、主人公の実の妹だということだ。

 

確かな証拠としてこのゲームの舞台である、SFファンタジーの世界観を尊重したイラストを背景にしたパッケージには明らかにメインヒロインの玉座ともいえる中央にそのキャラクターの姿が確認できた。

 

ていうか、今現在絶賛攻略中だし……。

初っ端から攻略対象にできるってどうなんだ? 仮にも実の妹だろ、もっといろいろ考えようぜ俺の分身よぉ…。

 

「何を言うんですの宗谷、攻略するヒロインの属性がどんなものであれ、それを等しく愛で、ヒロインの愛を勝ち取り、きゃっきゃウフフなエンディングを見るのは当然の義務ではありませんか」

 

「いや、俺も二次元的な意味合いで妹系属性は好きだからその意見には賛成だけどよぉ………恋愛対象として実妹ってのは、健全なのかどうか……」

 

一般的には確実にアウトだけど…。

 

「宗谷、妹とは共に暮らす唯一無二の関係性を持つ存在にして、年上の存在が愛情を注ぐべき存在……例えその愛情が禁断の愛となりえるとしても、私は鋳薔薇の道を進む覚悟はできていますわ……」

 

「ベールの妹好きはもうわかってるからいいけど、今プレイしているのは俺なんだということを忘れないでくれないかな?」

 

親身になって妹と言う存在の素晴らしさを俺に布教しようとしているベールに、俺は細やかな返事を返しておく。

いや、ベールは女の人だからいいけど、俺は男だ、その気になれば結婚的な段階まで行ける権利や子孫を残す能力も備わっている。

 

 

……まあ、今の所、その両方を実際に使う機会には恵まれないけどな……。

 

 

「はぁ、ネプテューヌたちが羨ましいですわ……なにせ、あんなにかわいい妹たちに囲まれて暮らせるんですもの……」

 

「そんなに欲しいのか? 実の妹が」

 

「もちろんですわ、その気になればネプギアちゃんをもらう覚悟は持ち合わせていますの♪」

 

にこっ、と屈託ない笑みでそう言ったベール。

 

この笑顔が冗談交じりの発言によるものだったらいいのだが、おそらく彼女は本気だろう…。

ベールだったら、妹のためなら躊躇なく関係を結びそうだ……。

 

それこそ、ヨスガったことで有名な某エロゲ原作の都知事に喧嘩を売ったとしか考えられないあのアニメ張りの行為もオールオッケーとかになりそうだ…。

あのアニメを見たときは驚いたなぁ……まさか血のつながった双子の兄妹であそこまでいくとは思わなかった……。

 

「あ、あとイストワールも個人的な攻略対象に入っていますわ」

 

「なんか今すっげー聞き逃せない発言があった気がするぜ……」

 

俺は今のベールの発言に若干頬を引きつらせる。

 

施設暮らしだった俺にとっては一緒に暮らしていた奴はみんな兄弟みたいなもんだったから、ベールのように妹に固執する主義はないが……ここまで来るともはや、あっぱれとしか言えないんじゃないかな?

 

とりあえず、帰ったらいーすんとネプギアにベールには気を付けろと注意しておいてやることを胸に刻みつつ俺は再び画面の中の擬似的な世界に息づいている今現在の攻略対象に再度向き直った。

 

「………でもまあ、仲のいい妹とか、弟とか、兄貴とか、姉貴とか、そう言うのがいいなって思う気持ちもわからなくもないけどな」

 

「あら、宗谷にもそういう時期がありましたの?」

 

「いや、そう言うんじゃなくて…仲がいいのは良いことだよなって話だよ」

 

俺はコントローラーのスティックを動かして選択肢を選び、それによってデートフラグが立つ瞬間を目にしながら返答する。

 

「そうですわよねぇ……特にネプテューヌとネプギアちゃんの二人は一番仲がいいので、余計に羨ましく見えて仕方ないのですわ、あのネプテューヌにはもったいないくらいですわ」

 

「全く正反対の性格してるのに、すっげー仲がいいから余計にそう見えるのかもな」

 

それにしても、姉ちゃんでありながらネプギアとの差があまりにも激しすぎるネプテューヌェ……もっとしっかりしようぜ……まあ、無理だろうけど。

 

「はぁ……本当、私にも欲しいですわ……妹が」

 

まるで恋い焦がれるヒロインの様なため息をつくベール、やっぱり女神の四人の中で唯一妹がいないベールだからこそ、ここまで妹と言う存在に惹かれているのかな?

このゲームを勧めたのも、その表れなのだろうか…はたまた、ただ妹が欲しいという愚痴につき合わせるだけの口実だろうか……。

 

 

 

……それよりさ……。

 

 

 

「あのさ、ベール……」

 

「どうかされましたの? 宗谷」

 

「ずっと言いたかったことがあるんだけどさ……」

 

俺はそう言うと、右手でコントローラーを操作しつつ、左手の人差指を部屋の奥にあるドアの方に向けた。

その先にあるのは、もちろんドア。

しかし、ほんの少し隙間が空いていて………。

 

 

 

「あのドアの隙間からものすっごい威圧感を感じるのは気のせいじゃないよな?」

 

「………あらあら」

 

 

 

俺が恐る恐る視線だけを後ろに向けてみると、そのドアの隙間から僅かにこちらの様子を窺う……いや、睨み付けている人物の姿を捉えることが出来た。

エメラルドグリーンの髪に、黒いドレスのような変わった服を着た人。

その人がこの部屋にいる俺とベールに向けてめちゃくちゃ威圧感バリバリの目線を向けてきている。

 

 

「まあ、チカのことは気にしないでくださいまし」

 

「いや、そんな強引な」

 

「お姉さま!? アタクシのことは気にするなとはどういうことですか!!」

 

 

ベールの言った言葉が聞き捨てならなかったのか、部屋のドアを思い切り開けて中に入ってきた女性が血気迫る勢いでこっちに近づいてきた。

 

そして、ちゃっかりベールの隣に座ってゲームをプレイしていた俺を跳ね除けるようにしてベールと俺の間に割り込むと、今にも泣き出しそうな涙目でベールを見つめる。

 

「それに、お姉さまにはチカと言う存在がいるではありませんか! それなのになぜ、他の国の女神候補生の話ばかり……!」

 

「どうどう……チカ? とりあえず、落ち着いてくださいまし」

 

 

彼女の名前は、“箱崎チカ”さん。

 

 

このリーンボックスで教祖と、ベールの妹“替わり”の務めている人である。

 

どういう経緯があったかは俺は知らないが、なぜかチカさんはベールのことをお姉さまと言って信頼している。

前にリーンボックスに来た時は会うことがなかったんだけど、今日ここに訪れたときに初めて会うこととなった。

 

そもそも俺がなぜリーンボックスを訪れたのかと言うと、俺はただ単にギルドのクエストを受けて、それの攻略のためにリーンボックスに立ち寄ったんだ。

それで、ついでにベールにも顔を出しておこうと思って教会を訪れると、その時にベールと一緒にいたチカさんと遭遇したんだ。

いやぁ、はじめましてのあいさつの後に言われたあの言葉は今でも衝撃的だった……。

 

 

 

『とりあえず、お姉さまの知り合いと言うことだから特別に大目に見てあげるけど………お姉さまに手を出したら、あなたが男として生まれたことを一生後悔させてあげるわよ?』

 

 

 

まるで獲物に狙いを定めた鷹のような鋭い目つきで俺の下腹部より下を一瞥したチカさんの殺気は今でも忘れられない……。

 

俺だって俺の約束された勝利の棒が大事なんだよ!

 

とりあえず、以上のことがあり、俺はチカさんの怒りを買わないように注意しようとしたのだが、そんなことはお構いなしと言いたげにベールがおすすめのゲームがあると誘ってきたわけで今に至る。

 

「それになんでお姉さまはこんな男と一緒にゲームをしているんですか! しかも、恋愛物の! ゲームのお誘いならいつでもチカは受け付けていますのに!」

 

「うわぁ、俺嫌われてるなぁ……」

 

相当目の敵にされているのを再確認した俺は苦笑いを浮かべる。

そんな俺を殺気立った目で睨み付けてくるチカさん、めちゃくちゃ怖ぇ……。

 

「まあまあ、落ち着いてくださいなチカ」

 

「………お姉さま」

 

そんなチカさんを諭すように囁きかけるベール、そんな彼女の優しい声につられてか、僅かにチカさんの目が鋭い物から柔らかなものに変わった気がした。

一見すると、姉妹と見えても差し支えない二人が互いを見つめあい始める。

 

「チカ、あなたはただでさえ体が弱いのに私のゲームに付き合わせてしまったらあなたの体が持ちませんわ」

 

「お姉さま……でも、だからと言ってこんな男に……!」

 

「宗谷は私の大切な同志、同じゲーマーである彼ならと私は考えたのですわ」

 

ベールはそう言うと、チカさんの頭を優しく撫でる。

ていうか待て、今の話だと俺ってベールと同レベルのゲーマーってことにならないか? 俺はベールほどの廃人プレイヤーじゃないぞ?

 

「だから心配しなくても、チカのことはしっかりと見ていますわ」

 

「お、お姉さま……そんな…そんなにもアタクシのことを……!」

 

遂には感動のあまりの涙を流しそうになるチカさん、そんな彼女を優しく撫でながらベールはちらりと俺の方を見た。

 

「なのでチカ、私は彼ともう少しお話がありますので、ちょっと外に出ておいてくださいませんこと?」

 

「うぅ……はい、お姉さまの頼みなら……チカは喜んで!」

 

そう言った瞬間、チカさんは俺のことを再度殺気立った目で睨み付けた後、すぐさま部屋を出て行ってしまった。

本当にベールのことが好きなんだな、チカさんって……。

 

 

「………まあ、本当はただ宗谷とお話しながらゲームをしたかっただけなのですけどね」

 

「え、まさか今のって……」

 

 

にやりと笑うベールの顔を見て、俺は一種の戦慄を覚えた。

まさか、彼女はチカさんの思いを計算した上で今の発言で退出するように誘導したというのか!? ベール、恐ろしい子!

軽くベールの策士な一面が見えた気がする……。

 

「でも、あまり宗谷を長く引き留めておくのはよろしくないのも事実ですわよね」

 

すぐに策士な笑みを浮かべていたベールが真面目な表情を浮かべて、立ち上がった。

 

「……まあ、結構長い時間いたからな…そろそろ帰っておかないといーすんに怒られそうだ」

 

「……やはり、宗谷はイストワールと仲良しですわね」

 

「ん? まあ、一応は俺も自覚してるけど……」

 

「なんだか妬いちゃいますわ…」

 

「え、なんで?」

 

なんだか気になる発言をするベールに首を傾げる俺だったが、ベールは気にしないでくださいましと言ってすぐに俺が今さっきまでプレイしていたゲームをセーブして電源を切り、パッケージに直すと手早く使用していたハードを紙袋に入れてソフトと一緒に俺に手渡してきた。

 

「とりあえず、続きは向こうでやってくださいな、このゲームのエンディングは泣けるので是非ともクリアしてくださいな」

 

「え、でもさすがにハードまで借りていいのか?」

 

「おすすめのゲームの布教も一ゲーマーの務め、既にハードと共にソフトもプレイ用と保存用、貸出用と三つそろっていますわ♪」

 

おお、さすがベール……ゲームオタクの鏡だよあんた……。

 

俺は彼女の徹底ぶりに関心を持ちつつ、彼女が差し出してきた紙袋を受け取る。

ずしりとした重みを感じながら、俺はベールにお礼を言う。

一応途中までやったが、やはり途中放棄は俺としても歯痒すぎる、せめてエンディングは見たいと思っていたところだったしな。

 

「てんきゅベール、帰ったらまた続きをプレイさせて貰うぜ」

 

「ええ、ぜひどうぞ! それと、終わったら感想も聞かせてほしいですわ、いつでもお待ちしていますのでまた来てくださいまし」

 

「ああ、また寄らせてもらうよ、ベールもたまにはプラネテューヌに来いよ? ネプギアといーすんに手を出すのは見過ごせないけどな……」

 

俺は再度注意するようにそう言っておくと、ベールはバレたかと言いたげな苦笑いを浮かべる。

だが、すぐに表情を戻すと、俺をドアの前まで見送ろうとしてか一緒についてきた。

 

「まあ、それはいいとして……また宗谷とこうしてお話もしたいのは事実ですし、その時はまたよろしくお願いしますわ」

 

「おう、任せとけ」

 

「それじゃ、ネプギアちゃんとイストワールによろしくお願いしますわ」

 

「……お前やっぱ反省してないだろ……」

 

「なんのことやら♪」

 

屈託のない笑みでそう言ったベールに俺はやれやれと肩をすくめながら、リーンボックス教会を後にした。

 

それにしても、ベールのあの妹好きは本当に筋金入りだな…。

さっきも言った気がするが、仲がいい兄弟や姉妹ってのはいいことだとは俺も思う、実際にネプテューヌとネプギアの二人はめちゃくちゃ仲がいいし、いい例と言えるだろう。

 

そんな二人に憧れているのかな、ベールは………。

 

妹……か……。

 

 

 

 

『宗谷……お兄ちゃん……』

 

 

 

 

ふと俺の脳裏に、この前の誕生日会で俺のことをそう呼んだネプギアの姿が浮かび上がった。

俺は一瞬どきりと鼓動が早くなったのをかんじると、それを振り払うように頭を左右に振った。

………一瞬だけ、ベールの気持ちがわかったような気がしたのはたぶん気のせいだと思いたい………。

 

そんな仲のいい姉妹、ネプ姉妹が待つプラネテューヌに戻ったら、とりあえずこのゲームの続きをネプテューヌとネプギアと一緒にしてみるかな?

実際の姉妹からの意見も聞いてみて、ベールに聞かせてやろうかと言う算段だ。

 

 

 

 

 

だが、この算段を立ててプラネテューヌに帰ってきた俺に待っていたのは……ある意味、予想だにしない出来事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

「………」

 

沈黙に包まれたプラネテューヌ教会のネプテューヌ達の生活スペース。

その中央ではお互いに明後日の方向に顔を向けて、一向に目を合わせようとしないネプテューヌとネプギアの姿があった。

不機嫌そうに頬を膨らませているネプテューヌとご立腹なのか口を真一文字に結んだままのネプギア。

 

 

「………なにごと?」

 

 

帰ってきて早々のこの険悪ムードに、俺は困惑しながらとりあえず近くにいたアイエフとコンパさんに聞いてみた。

 

 

「見ての通り、姉妹喧嘩ってやつよ」

 

「喧嘩!? あの二人が!?」

 

 

アイエフから聞かされた衝撃の事実に、俺は持っていたゲームとハードの入った紙袋を危うく落としそうになった。

ただでさえ、仲が良すぎるくらいだったネプテューヌとネプギアの二人が喧嘩、それだけでもう相当な珍しいことだと思う。

 

「ねぷねぷとギアちゃんさっきからあんな感じに目も合わせようともしないんです……」

 

「ああ………かなり不機嫌なのがすぐわかるもん、顔に出てるもん怒ってますって」

 

俺は再度確認するように二人を見る。

 

一切目を合わせようとせず、互いに背中を向けてその場に座っている二人からは近寄りがたいオーラがこれでもかとあふれ出ている。

ほんと、あの二人がこんなにこじれるなんて、天変地異の前触れじゃないのか?

 

「で、原因はなんなんだ?」

 

「………それなんだけどねぇ」

 

そう言うと、アイエフは事の発端を話し始めた……。

 

 

 

 

そもそもの原因はネプテューヌがいつものように仕事をせず、ゲームに勤しんでいるところから始まったという。

この時、ネプテューヌがプレイしていたゲームは最大の難所を迎えており、もう何度目かのゲームオーバーのスパイラルに陥ってたそうだ。

 

すると、そこにいーすんが現れていつものように仕事をするように説教を始めた。

今回はいーすんが無理やりにでも仕事に連れ出そうとネプテューヌを外に引きずって行こうとしたらしい。

その時に、ネプテューヌは近場にいたネプギアにこう言ったそうだ……。

 

 

 

『ね、ネプギアーー! 私の代わりに、ゲームをお願いーーーー!!』

 

 

 

彼女の言いたかったことは、まだ電源が着けっぱなしだったゲームをセーブしておいてほしいという意味が込められていたのだろう、だが、曖昧だったこの発言が悲劇を呼んだ。

 

お願い、と言うことは代わりにプレイしておいてほしいという意味なのかと解釈したネプギアはセーブではなく、ネプテューヌの代わりとしてゲームをプレイし始めた。

この時のネプギアはネプテューヌが苦戦していたステージをクリアすれば、褒めてもらえるのではないかと言う期待が籠ってプレイしていたらしい……。

 

そして、それから数時間後……。

 

 

へとへとの状態で帰ってきたネプテューヌがリビングに戻ってくると………。

 

 

 

『ただい………あれ? ネプギア?』

 

『あ、お姉ちゃん! 見て見て! このステージのボス、クリアできたよ!』

 

『………なん………だと……!』

 

 

 

これがいけなかった……。

 

いくら苦戦していて憎きボス戦が何度も続いたと言えど、プレイヤーにとってそれはプレイヤー自身が乗り越えるべき壁、ネプテューヌもそれをわかったうえでこのゲームをプレイしていたのに、それを悪気がなかったとはいえ、横入りして代理プレイしたネプギアに余裕で超えられてしまったのだ。

自分の苦労が水の泡、すべてを否定されたと言っても過言ではないかもな……大げさかもしれないけど……。

 

で、それが原因でネプテューヌは珍しくネプギアに怒り、ネプギアはネプテューヌのためにとしたことを逆に咎められたことで逆ギレ、そこから関係ない話題にまで発展し、本格的な姉妹喧嘩に発展したそうだ……。

 

 

 

まったくもって、しょうもないケンカの原因だ……。

 

 

 

 

「気持ちはわからなくもないけど、そんなんでネプギアにキレるのはどうかと……」

 

「む! 何言ってるのソウヤ! プレイヤーにとってボスキャラを倒すことは超えるべき壁だって言ってたじゃん!」

 

「なぜ俺の心を読んだ!?」

 

こいつエスパーか!?

 

だが、そんな彼女の発言に待ったをかけるように、ネプギアが食って掛かった。

 

「でも、お姉ちゃんだってあのボスがクリアできないってイライラしてたでしょ! だから私が少しでも手伝おうとしたのに!」

 

「それが余計なお世話なの! ボス戦は自分で乗り越えてこそのボス戦なんだよ!」

 

再び口論に火花が飛んで導火線に火を灯してしまったようだ。

さっきまでの沈黙が嘘のように、荒々しい言葉のやり取りが交差する。

 

 

「だいたいさ、ネプギアは真面目すぎだよ! いーすんもそうだけど、ネプギアだって頑ななところあるし、カッチカチ石頭だし!」

 

「そ、それとこれは関係ないでしょ! それに私はそこまで頑なじゃないよ! それを言うなら、お姉ちゃんだって普段からだらだらしてばかりでしょ!」

 

「いーもーん、私はいざと言うときやるタイプだから気にしないもんね~!」

 

「む~……そんなだから、私が忙しくなるんだよ? お姉ちゃん知ってるの? 私がお姉ちゃんの仕事もたまにやってること」

 

少し顔を伏せたネプギアの発言、それに対してネプテューヌは少し考えるような仕草を見せつつも、ネプギアに背中を見せて返事を返した。

 

 

「……べ、別に私は頼んでないし~、それってネプギアがいーすんに頼まれてやってるんでしょ、別にやりたくなかったらやらなきゃいいじゃん」

 

「おいコラ、ネプテューヌ、今のは……」

 

 

今のネプテューヌの発言に、俺は慌てて遮るように二人の間に立つ。

だが、すでにネプギアはその言葉を聞いた瞬間、今にも泣き出しそうに眼に涙を溜めてきつく服の裾を握りしめていた。

 

 

 

「………っ……お姉ちゃんの………お姉ちゃんの………ダ女神!! もう知らないもん!!」

 

「お、おい! ネプギア!!」

 

 

 

吐き捨てるようにそう言ったネプギアは泣きながらその場を出て行ってしまった、走っていくときに時折聞こえてきた彼女のすすり泣くような声がどんどんと遠ざかっていく。

 

俺は彼女が飛び出していったドアを見つめた後、決定的な発言をしたネプテューヌに向き直る。

 

「ネプテューヌ……今のはさすがに言い過ぎだ」

 

「………だって」

 

「だっても何もないでしょ、ねぷ子、あんたあの子の気持ちも考えずに言いすぎよ」

 

「………」

 

アイエフも加わってネプテューヌに注意する俺達、当のネプテューヌはこちらに目を合わせようとせずに俯いている。

 

「ねぷねぷ……ギアちゃんにごめんなさい、してきた方がいいです…」

 

コンパさんが諭すようにそう言った。

確かに、今回の一件はどちらかと言うとネプテューヌに落ち度があると俺は思う。

勘違いして勝手にゲームをプレイしていたネプギアもだが、彼女の気持ちも考えずに一方的に怒ったのは悪いとしか言えない。

 

でも、だいたい喧嘩した奴ってのはその自分への非ってやつを認めようとしないのが関の山な訳で……。

 

 

「………!」

 

「あ、ちょっとねぷ子!」

 

 

遂にはネプテューヌまで部屋を飛び出してしまった…。

 

さっき奥の方で聞こえた扉を閉める音と同じように、もう一回扉が閉まる音が聞こえた。

自室に閉じこもったんだろうな……。

 

「もう……ネプギアのこと頑なとか言っておいて、ねぷ子だって頑なじゃない……」

 

「まあ、今はそっとしておいてやれよ」

 

「でも、いいんですか? 宗谷さん…」

 

かなり不安そうな表情を浮かべるコンパさんが俺にそう聞いてくる。

俺は苦笑いを浮かべながらも、かつてから経験した喧嘩体験談をもとに俺なりの意見を述べる。

 

「喧嘩するほど仲がいいって言葉もあるだろ? ……大丈夫、ちょっとしたきっかけがあれば、またあいつらは仲直りする」

 

「本当……ですか?」

 

「確証はないけどな……まあ、大体はそう言うもんだってことだよ」

 

実際に、施設で暮らしていた時はこんな風なしょうもないケンカはよくあったことだしな。

俺もその度に喧嘩した相手と一時的に仲は悪くなるものの、いつの間にか仲良くなってたりしたもんだ。

 

………恵理と喧嘩した時も、こんな感じだったな。

 

俺はかつての事を思い出しながら、床に置いてあったゲームとハードを一緒に入れた紙袋を持ち上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、イストワールの自室。

そこで彼女はある物と向き合っていた。

 

「………これは」

 

空中に映し出されている電子画面、そこにはある物の詳細なデータなど、細かな数式や文字列が記載されている。

彼女が今見ているもの、それは宗谷の専用の通信機器兼変身アイテムのV.phoneの詳細データだった。

 

そして、その中で彼女が気になる物……。

 

それは“フォーチュン・リンクシステム”の大まかなデータだった。

 

「システムが起動してから、宗谷さんと私の身体能力は飛躍的に向上している………でも、それでも安定していないのは……どういうことなのでしょう?

 

彼女は自分の中に記録されている、自身の戦う力、モード・アクティブの時と、今までに経験したフォーチュン・リンク時のデータを照らし合わせる。

するとモード・アクティブが一定した値で数値が表示されているのに対し、フォーチュン・リンク時の数値はそこら中にバラつきがあるのが見て取れた。

スピード、攻撃力共に飛躍的に上昇しているものの、それが一定の値ではなく所々に差が目立っているのだ。

 

「………安定させるために、必要な“何か”があるのでしょうか?」

 

イストワールはそう言うと、自身の右腕に嵌められているブレスレット型のアイテムに目を落とす。

 

フォーチュン・リンクシステム、現時点で宗谷の変身の強化形態となっているその姿が、まだ安定していない理由とは………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、プラネテューヌから数十キロほど離れた場所では、ある人物が一台のバイクにまたがり荒れた道を駆け抜けていた。

 

「………やはりおかしい、なんなんだこの異様な枯れ方は………」

 

彼がそう言いながら周りを見渡してそう言う。

 

一度バイクを止めて、頭に被っていたヘルメットを外すと、彼、すでにヒーローメモリーの役目を終えたはずの戦士、仮面ライダー1号、本郷猛は一度近場に生えている木に手を当ててみる。

 

すると、既に黒く枯れていた木は本郷が少し触れただけでボロボロと簡単に崩れてしまったではないか…。

明らかに普通ではないこの状態、それはこの木だけではない。

まわりに生えている多数の木も同じような状態に陥っている。

 

ここは以前までは緑豊かな森だった場所だ、それがある日突然こんなにも荒廃した状態になってしまったのだ。

それに伴い、何やら妙な異変を感じ取った本郷は独断でゲイムギョウ界に再び実体化、その調査に出向いたのだ。

 

既に役目を終えた身であっても、本郷もまた正義のために戦ってきた戦士としての本能なのか、気になってここまで来てしまったのだ。

 

「………なぜお前がここにいる」

 

すると、本郷は近場に何者かの気配がすることに気付いた。

問いただすように後ろを振り向いた本郷、するとそこには見覚えのある黒いコートの少年の姿があった。

 

同じヒーローメモリーにカテゴリされた仲間、キリトである。

 

「あんたがいきなり外に出たもんだから、何かあったのかって思ってな…」

 

「……ああ、何か嫌な感じがしたものでな……」

 

「………まあ、確かに、この状況を見れば仕方ないか………」

 

キリトもまた周りの枯れた木を見て、ただならぬ事態が起きているということを再確認する。

本郷は緊迫した面持ちで辺りを見回し、再び彼の愛機“サイクロン号”に跨ろうとする。

 

 

 

―――きゃぁぁぁぁぁぁあああ!!

 

 

 

すると突然、遠くの方から悲鳴が聞こえてきた。

そして、遅れて何やら獣のような声も聞こえてきたのを、本郷とキリトは聞き逃さなかった。

 

「本郷さん、今の!」

 

「ああ……行こう!」

 

何かあったのだと判断したキリトと本郷、キリトがすぐさま本郷の跨るサイクロン号の後ろに飛び乗ると、本郷は握っていたアクセルを思い切り回す。

風の様に走り始めたバイクは、立ち枯れしている木々の間を抜けて二人を一直線に悲鳴が聞こえた方へと導く。

 

そして、

 

 

 

「っ! あれは!」

 

「なんだ……あんなモンスター、見たことない……」

 

 

 

木々を抜けた先、少し開けた場所で二人が見たもの、それは毒々しい色合いをした馬のような体にギラリと光る剣の様な角を額に生やした、蜘蛛のような目を持つ一頭の大型モンスター。

 

そのモンスターが、地面に倒れ込む赤いショートヘアの女性の前に立ちとどめを刺そうとしている。

近くにはその女性の物と思われる片手剣が地面に突き立っている。そして当の女性は昏倒している状態で、まさに絶体絶命だ。

 

ユニコーンとも見て取れるそのモンスターはこのゲイムギョウ界で今まで見られたタイプではない。

全くの新種のモンスターを前にして、キリトは反射的に背中に収めていた黒い愛剣“エリュシデータ”の柄を握る。

 

 

 

 

 

 

そしてその様子を、少し離れた丘の上で見下ろす影があった。

その人物は背後に四人の人影を従えるように前に立ち、地面に禍々しい光を放つ一本の剣を突き立てている。

 

 

 

「私の悲願のために………始まりの時だ………」

 

 

 

濃い紫色の甲冑に身を包んだ、その人物は後ろの自分の配下を従え呟くようにそう言った…。

 

 

 

 

 

 

このゲイムギョウ界で、異変が起き始めたのを、宗谷たちはまだ知らない………。

 




いかがでしたか?

いきなりしょうもない姉妹喧嘩から始まったこの物語…。

次回、謎のモンスターと遭遇したキリトと本郷は……。
そして、姉妹喧嘩に遭遇した宗谷はどうするのか……。

カギを握るのは、ベールから借りたあのゲーム……。

それでは、次回でお会いしましょう…。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。