今回は、前回に引き続き相当なシリアス回…。
新・犯罪神がベールを手に掛け、それを合図に最悪の悲劇が幕を開ける。
それでは、どうぞ…。
「ぁ………いつ……の間に……ぅぐっ」
深々と、背中から腹部にかけてを禍々しい光を放つ刃に貫かれたグリーンハート、腹部からはどくどくと鮮血を流し、内臓を傷つけられたことで吐血した彼女は痛みに耐えながらも後ろを振り向こうとする。
だが、グリーンハートが振り向く折も先に、彼女に刃を突き立てた新・犯罪神は剣の柄を握っていた手に力を込め、素早くその刃を引き抜いた。
「………さようなら………」
新・犯罪神がそう呟いたと同時に、グリーンハートの体から途端に力が入らなくなってしまった。
さっきまで自由自在に動かせていた腕や足も、今は鉛のように重く、体も麻痺しているように感覚がなくなり痛みさえも感じなくなってきた。
空中を漂っていた彼女の体は、そのまま翼をなくした鳥のように地面へと向かって落ちて行く。
「そんな………ベール!!」
『いーすん! 早く! ベールの所に!!』
「はい!」
傷ついた彼女の下に、その様子を見ていた白銀の戦士とパープルハート、パープルシスターが駆けつける。
地面に向かって急降下していくグリーンハート、気付けばその姿は元のベールの姿に戻っていた。
そしてそのまま地面に落ち、力なく倒れ伏したベール。
腹部と背中からどくどくと血を流す彼女の周りには生々しい血だまりが作られていった。
その中で一人、地面に倒れる彼女に駆け寄ろうと白銀の戦士とパープルハートたちが向かう。
だが、その前にベールが最後の力を振り絞ってか、体を震わせながらもそっと顔を上げた。
「………っ……えほっ! ………ぁ」
『ベール………ベール!!』
「………そう、や………」
もはや力は残されていないのか、血を吐き出し、震えながらもそっと右手を上げるベールに白銀の戦士は反射的に手を伸ばしその手を掴もうとした。
あともう少し、あともう少しで届く………。
ベールとの距離があと数歩のところまで迫った。
「………お別れ、ですわ………」
不意に、彼女がそう呟いた。
その瞬間、彼女の体がまるで光が弾けるように………“消滅”してしまった。
『っ!?』
すべてを悟ったのだろうか、彼女が呟いた言葉が頭の中で響く中、白銀の戦士たちはさっきまでベールがいた場所を見つめながら、その場で立ち止まってしまった。
もうそこに、ベールの姿はない。
優しい笑顔を浮かべていたベールの姿は、もうない。
あるのは、彼女の体から流れた血と消滅する際に発生した光の粒の様な物があたりに漂っているだけ…。
驚愕を通り過ぎ、受け入れがたい現実に直面した彼らはその場から動くことが出来ず目を見開き立ち尽くすことしかできなかった。
「これが“女神殺しの魔剣”の力だ……」
彼らの耳にマジック・ザ・クイーンの冷たく、静かに響き渡るような声が聞こえた。
その声が聞こえた方に目を向けると、そこにはそれぞれの女神達と戦いを繰り広げていた四天王が横一列に集結し並び立っていた。
その中でマジック・ザ・クイーンは持っていた大鎌を地面に突き立て、パープルハート達を見据える。
「……“ゲハバーン”に切り付けられた女神は、その体の中に満たされたシェアの恩恵をすべて奪われ、その魂さえも吸い取られる………それが何を意味するか、貴様でもわかるだろう」
「そんな……!」
ゲハバーンに秘められたその能力に驚愕するパープルハート、たった一撃……それだけで女神の命が奪われる。
そんなことがあっていいのだろうか、彼女には信じることが出来なかった。
いや、信じたくなかった……。
こんなにもあっさりと彼女がやられる、そんな現状を受け入れたくなかったから……。
だが、非常にもその事実を彼女たちは目前に叩きつけられた。
今、まさにその時、その瞬間、ベールは彼女たちの目の前で跡形もなく、消えたのだ。
あたりに漂う光、それが何なのかパープルハートには理解できた。
これはシェアエナジーの光、幾度となく自分たちに力を与えてくれた力の源の残滓の光だ。
そして、それが詰まっていた器、彼女の体はもうない。
それが何を意味するか………嫌でも、彼女には理解できてしまった。
死んだのだ、と………。
その事実に直面したパープルハートの視界が一瞬だけぐらついたような気がした。
それほどまでに受け入れがたいものだったからだろうか……ふと目線を再びあげると、四天王の前にはベールの命を奪った張本人である新・犯罪神の姿があった。
その手には彼女の命を奪った、魔剣ゲハバーンが握られている。
よく見ると、その刃にはその命を奪った証とでもいうかのように深緑の光がほのかに灯っていた。
『………許さねぇ』
ふと、白銀の戦士の中にあった宗谷の意識がそう呟いた。
ゆらりと立ち上がった白銀の戦士、その体から僅かに黒い炎の様なエネルギーが溢れている。
「これは………まさか…! 宗谷さん、ダメです! 落ち着いてください!」
この現象に、イストワールは見覚えがあった。
マジェコンヌとの戦いの際、宗谷が見せた“異変”…。
我を失い、殺意に呑まれた彼がいたった異質すぎる変貌、その時に彼の体から溢れ出していた黒い炎様なエネルギー、まさにそのものだ。
イストワールはすぐさま落ち着くように宗谷の意識に呼びかけるが、次の瞬間白銀の戦士の体にスパークの様な電流が走り、強制的に変身が解除されてしまった。
「変身が………!」
元の姿に戻ったイストワールはすぐに離れた場所に置いてきた宗谷の身体へと目を向ける。
すると、そこには顔を伏せた状態でゆっくりと立ち上がる宗谷の姿があった。
彼の体からはどす黒い何かが溢れ、徐々に彼の体を包み込もうとしている………そして、垂れ下がる彼の前髪の間から僅かに見えた瞳、何かの文字列の様な物が浮かび上がったその眼を見た瞬間、イストワールの脳裏に再びあの姿が浮かび上がった……。
「モード………バーサーク………!」
呟くと同時に、黒いエネルギーは完全に宗谷を包み込み、激しいエネルギーの激流となってあたりに溢れ出した。
雷雨の如く唸りをあげる黒いエネルギー、これでは近づくこともままならない。
「ウォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
そして、獣の様な叫び声と共にエネルギーが一気にはじけ飛び、その中から、またあの姿となってしまった宗谷が姿を現した。
どす黒い血の様な赤のラインが入った黒の装甲、同じく血のように赤く輝くフェイスヘルメットの赤い目、悪魔を思わせるシャープなウィングユニット。
暴走状態となった宗谷の姿だ。
「宗谷さんが………またあの姿に……」
天に向かって吠える様に叫ぶ宗谷、その姿に新・犯罪神も注意を今度は宗谷に移した。
宗谷は叫ぶのをやめると、視線を新・犯罪神に向け、両腕のエネルギーブレードを展開し、すぐさま獣のように身を屈めると…。
「ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
力強く、その力のあまりに地面が抉れるほどの力で地を蹴り、残像を引くほどの速さで低空飛行をしつつ新・犯罪神に迫った。
「………!」
新・犯罪神も迫りくる彼を迎え撃つべく、ゲハバーンを構え、彼と同等、あるいはそれ以上の速さで前に出る。
程なくして、二つの影が激しい衝突音を響かせてぶつかり合った。
小さな爆発でも思ったのかと疑うような衝撃と、激しい風圧が周囲にいた者たちにその力をこれでもかと見せつける。
その衝撃の反動か、後ろに弾かれた宗谷と同じく後ろに跳び退った新・犯罪神。
互いに睨みあうように身構える両者、さっきの衝撃とは裏腹な静寂が二人の周りを包み込む。
だがそれはすぐに崩れた。
再び宗谷が駆け出し、目にも止まらぬ速さで新・犯罪神に攻撃を仕掛けたのだ。
狼の如く地を駆け、右腕のブレードを振りかぶり間合いに入ったと同時に思い切り振り抜く。
だが、新・犯罪神はその攻撃をゲハバーンで弾いて防御する。
「ウルゥゥゥゥゥゥゥォォォォオオオオオオオオ!!」
咆哮を上げてさらに追撃を加える宗谷。
荒々しく、激しい動きを保ったまま両腕のブレードを縦横無尽に振るい続ける、だがそれらすべてを新・犯罪神は容易く防御し続ける。
宗谷が振り下ろした右腕を新・犯罪神はゲハバーンを跳ね上げるようにして振り上げて弾き、続けざまに放たれた左腕の横一線の斬撃も真っ向から受け止める。
激しく刃がぶつかり合い、互いに譲らない状況のまま二人はそのまま上空へと飛び上がった。
二人は空を飛び回り、すれ違いざまに武器を振るい互いを攻撃していく。
目にも止まらぬ速さで動き続ける宗谷と新・犯罪神。
ここで宗谷がもう何度目かになる交差の瞬間に、両腕をクロスさせるように組み、一気に接近した瞬間にその両腕を思い切り振るって真正面から向ってきた新・犯罪神を切り付けようとした。
「………遅い」
「グゥッ! ウォォォオ!?」
だがその一撃を、新・犯罪神は身を翻して上に跳ぶことで回避するとそのまま振り上げた右足を体をぐるりと回して勢いづけた威力をそのままに宗谷の頭へと容赦なく振り下ろした。
一撃を喰らい、宗谷はそのまま地面へと落下していき、まるで隕石の様な凄まじい勢いで地面に叩きつけられる。
「グゥゥゥゥ……! ウォォォォォォォォォォォオオオオオオ!」
だが、その程度では今の宗谷は止まらない。
再び立ち上がった宗谷は空中に立つ新・犯罪神に目を向けると両腕のブレードを構え、まるでVの字を描くように斬撃を飛ばす。
赤黒いエネルギーで構成された斬撃は一直線に新・犯罪神へと向かっていく、相当な威力を秘めているのか激しい光に包まれたその一撃は普通なら喰らってもただでは済まないはずだ…。
「………っ!!」
しかし、新・犯罪神はその一撃をゲハバーンを振り下ろしただけで霧散させてしまった。
今の攻撃を、たったの一撃で消し去った。
その事実に周囲にいた者は驚きを隠せず、目を疑った。
さらには次の瞬間、新・犯罪神が再び姿を消した、標的を見失い辺りを見回す宗谷。
「愚かな人………」
「っ!」
気付いたときには、すでに後ろに新・犯罪神が立っていた。
それに気づいた宗谷はすぐさま自分の背後にいる新・犯罪神を右腕のブレードで切り裂こうと振り向きながら右腕を振りかぶるが、それよりも早く、新・犯罪神はゲハバーンの横薙ぎに振るい、宗谷を切り付けた。
彼の黒い装甲が火花を上げ、宗谷が大きくよろける。
「………!」
しかも、その一撃に留まらず、新・犯罪神は容赦のない斬撃の嵐を宗谷に浴びせかけた。
右肩、左膝、横腹、腹部、胸部、両肩、ありとあらゆるところを切り付けられ、激しく火花を上げ続ける宗谷の身体。
更には腹部に蹴りを入れられ、宗谷はとうとうその場に膝をついてしまった。
「グォォォォォオオ………!」
暴走状態の宗谷を圧倒する新・犯罪神、膝をついた宗谷の姿を新・犯罪神は見下すように一瞥するとゲハバーンの刀身に禍々しいエネルギーを集中させる。
「………失せろ!」
そして、斬撃と共にそのエネルギーを解き放ち、宗谷の黒く染まった装甲に包まれた体を容赦なく切り裂いた。
「ウァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアア!!」
あまりのパワーに宗谷はたまらず大きく吹き飛ばされ、地面を転がる。
やがて、暴走状態による変身も強制的に解除され、元の姿に戻るが宗谷はそのままピクリとも動かなくなってしまった。
「ソウヤぁ!!」
「宗谷さん!!」
倒れた宗谷の元にすぐさまイストワールが駆け寄り、その体を抱き上げる。
「宗谷さん! しっかりしてください! 宗谷さん!」
「うっ………ぁ」
体中に痛々しい傷を作り、頭からは血を流しているが宗谷は気を失っていた。
(……守るって、誓ったのに………私は、また宗谷さんを………!)
再び暴走し、傷つき、倒れた宗谷を前にしてイストワールは自分のふがいなさを呪った。
新たな力を得たというのに、また彼を守ることが出来なかった…。
イストワールは自分の力が足りないと感じた事に対する悔しさのあまり涙目になるが、視線を新・犯罪神の方に向ける。
邪魔ものを倒したからだろうか、当の新・犯罪神は視線を宗谷とイストワールから今度は女神の方に変え、ゆっくりと再び歩き出していた。
ゲハバーンを構え、ゆっくりとパープルハートたちに迫ってくる新・犯罪神、それを見たパープルハートは否が応でも身構えずにはいられなかった。
一瞬でも油断すれば、今度は………張りつめた緊張感と、警戒心が彼女の体を強張らせる。
今まで、これほどまでに警戒した敵が存在しただろうか?
いや、だがそうであって当然だろう、何せ相手は自分たち女神を一撃のもとに殺すことが出来る武器を所持しているのだから…。
“女神殺しの魔剣”、それがこれほど恐ろしいものだったとは……。
パープルハートは歯噛みをしながら得物の刀を握る手に力を込める。
そして、新・犯罪神が再び動きを見せた。
「………はぁっ!」
だらんと下に向けていたゲハバーンの刃を、ばねの如く跳ねあげた新・犯罪神。
その瞬間、自分たちに向かって真空の斬撃が地面をがりがりと抉りながらものすごい速度で迫ってきたのだ。
もし、これに当たれば……だが、回避しようとすれば後ろにいるパープルシスターに……!
その迷いが彼女に回避するという選択肢を奪い、判断を鈍らせた。
直に自分の体にその攻撃が直撃する距離にまで迫った。
「何をしているのネプテューヌ!」
「ぼさっとしてんじゃねぇ!!」
だが、その間に白と黒の二人の残像が割り込んだ。
ブラックハートとホワイトハートの二人だ。 二人は互いの武器を交差させるように振るい、目前に迫った攻撃を迎え撃つ。
激しいエネルギーと物理的な力の衝突、衝撃がもろに二人に伝わりながらも二人はそのまま力を込めてその攻撃を押し込んだ。
すると、地面を抉りながら迫っていた攻撃は霧散した。
なんとか新・犯罪神の攻撃を凌いだ二人はすぐに武器を構え、新・犯罪神と向き合う。
「………あなたも武器を構えなさい、ネプテューヌ」
「ノワール………でも……」
「ぐだぐだ言うな! 私らだって、ベールが目の前でやられて落ち着いていられる状態じゃねぇんだ…」
パープルハートを叱咤するホワイトハートは視線を後ろに向け、パープルシスターの隣に降り立つホワイトシスターに向ける。
「でも、だからこそ………これ以上ひでぇ事にしないために戦わなくちゃいけねぇんだ!」
「………ブラン」
パープルハートは彼女に釣られ、同じように自分の後ろにいるパープルシスターに視線を向けた。
もし、ここで戦わなければ次は………。
想像もしたくない結果に、パープルハートは決意を固め、再び刀を握り身構える。
「敵討ちよ、みんな覚悟を決めなさい……」
ブラックハートがそう言うと、武器を握る全員が身構えて新・犯罪神と対峙する。
それを見た新・犯罪神の後ろに控えていた四天王たちは新・犯罪神の援護に周ろうと再び身構えた。
「下がれ…」
しかし、それを新・犯罪神がそう告げて戦闘態勢を解くように指示する。
「えぇ? なんでっすか、犯罪神様! 俺様達も加われば女神なんかあっという間に倒せるのに! それに、俺様もっとロムたんラムたんと……」
「聞こえなかったのか………」
新・犯罪神の指示が気に入らなかったのかトリック・ザ・ルークが前に出て反論するが新・犯罪神はそう言って彼の言葉を遮ると四天王たちの方に振り向き、仮面の奥に隠れた目で彼らを睨み付けた。
実際に目にしたわけでもないが、仮面越しにでもわかるその気迫に、トリック・ザ・ルークは僅かにたじろいだ。
「女神は私が殺る………でなければ、意味がない………!」
「ひっ………す、すんませんしたぁ!?」
そう言ってトリック・ザ・ルークを気迫だけで気押した新・犯罪神は再び目外たちの方に向き直り、魔剣を構える。
あたりに静かすぎる静寂が広がる中、僅かに一陣の風が吹き抜けた…。
そして次の瞬間、女神たちは一斉に新・犯罪神に向けて駆け出し、新・犯罪神も魔剣を振り上げ女神達を迎え撃つべく前に出た。
「「「「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!」」」」」」」
先手を打ったのは女神達だった。
新・犯罪神を取り囲むようにして包囲した彼女たちは逃げ場をなくすように、刀を、大剣を、戦斧を、銃口を、杖を、エネルギーの刃を向けて殺到する。
すべての攻撃を受ければひとたまりもないであろうこの状況で、対する新・犯罪神はその場を動こうとしなかった。
新・犯罪神に近づいていく女神達の攻撃、もはや逃げる隙も空間もない。
裂帛の気合いと共に、女神達の攻撃が一斉に新・犯罪神になだれ込んだ。
………しかし
「………っ!!」
そのすべての攻撃は一つとして、新・犯罪神に届くことはなかった…。
ただ一振り、たった一回ゲハバーンを振り回しただけで、そのすべての攻撃を弾き返し女神達を後ろへと弾き飛ばしてしまったのだ。
あっさりと攻撃を返されて、後ろに飛ばされる女神達。
新・犯罪神の力は6人の女神の力を凌駕するほどのものだというのか………。
その身に宿した力、女神をも超える力を秘めているかもしれない存在に女神達は再度警戒を強める。
女神達の攻撃を弾き返した新・犯罪神はそのまま静かにゲハバーンを下に垂らす。
そして次の瞬間………。
「っ、また消えた!?」
再び新・犯罪神の姿が一瞬で消え失せたのだ。
どういう原理でこの技を使っているのか、しかしあれが瞬間移動の類のものだということは先の行動で熟知はしている。
すぐに辺りを見回すパープルシスター、今の一瞬で新・犯罪神はどこに行ったのだろうか。
必死になって彼女が周りに目を凝らしていると………。
「きゃっ!?」
「ロムちゃん!!」
ホワイトシスター、ロムの短い悲鳴が聞こえてきた。
新・犯罪神が次に狙いを定めたのはホワイトシスターだった、既に二人はゲハバーンの間合いの中、すぐにでもその凶刃が彼女たちを切り付けてもおかしくはない。
そして、パープルシスターがいち早く彼女たちの下に向かおうと空中を蹴るようにして勢いをつけ、飛び立とうとしたのと、新・犯罪神が魔剣の刃をロムに振り下ろしたのは同時だった。
だが、その刃を受け止める物がいた。
「ロムちゃんに………ひどいこと、しないで!」
「……ら、ラムちゃん………!」
彼女の隣にいたホワイトシスター、ラムが持ち前の杖を横に構えて振り下ろされたゲハバーンの刃を受け止めたのだ。
ぎりぎりと音を立てて今にも押し込まれそうな状態、下手をすれば次の瞬間にはその杖ごと彼女が切り裂かれてしまいそうなほどに危うい状況だった。
「ロム!! ラム!!」
その状況を見たホワイトハートがすぐに二人に加勢しようと戦斧を振り上げて新・犯罪神に迫る。
しかし、
「………ふん!」
「なっ……うあぁっ!?」
新・犯罪神はホワイトハートの気配を察知すると空いていた左腕を彼女の方に向けた、すると手の甲に備えられた装甲から悪魔の尾を模したような鉄製の鞭が飛び出したのだ。
予想外の攻撃にホワイトハートは慌てて戦斧で迎え撃とうとするが、蛇の如く左右に動き回ったその鞭は彼女を容赦なく打ち据え、彼女の脚に巻き付きそのまま地面に叩き伏せてしまった。
「ブランさん!! ………このっ!!」
それを見たパープルシスターは銃剣の銃口を新・犯罪神に向け、トリガーを引く。
放たれた光の帯が一直線に新・犯罪神に向かっていくが、ホワイトハートを叩きのめした鞭がその攻撃を弾き、霧散させた。
さらには、そのまま鞭がパープルシスターを捉え、彼女の体に容赦なくその細身な身に秘めた一撃で打ち据える。
「あぁっ!?」
「お姉ちゃん、ネプギアちゃん!?」
二人が攻撃を受け、動揺したホワイトシスター、ラム。
その動揺を、新・犯罪神は見逃さない……。
「…!」
「あっ!?」
上から押し込んでいたゲハバーンを一度引いて、素早く、円を描くように下に動かして彼女が両手に持っていた杖を上へと弾き飛ばす。
武器をなくしたラムはもはや守るすべがない、それを見たロムがいち早くぼおうぎょ魔法を展開し、彼女を守ろうとするが………。
振り下ろされた刃はその障壁さえも斬り捨て、ラムの体を袈裟懸けに切り裂いた。
小さな体から鮮血が舞い散り、彼女の体が力なく後ろに倒れていく。
「ラ………ム………ラムぅぅぅぅうううううううう!!」
「ラムちゃぁぁぁぁぁぁぁん!!」
姉のホワイトハートと友人のパープルシスターの声、信じたくないと否定し彼女の名を叫ぶが既に彼女は後ろ倒しに地面に倒れてしまった。
「………ラム………ちゃん?」
そんな彼女にロムがそっと手を伸ばす。
彼女の頬に手を置き、自分の身を寄せてそっと抱き上げるようにして彼女の体を揺する。
「………ラムちゃん………起きてよ、ラムちゃん………ねえ、ラム……ちゃん」
静かに、何度も彼女の名を呼ぶロム。
しかし、何度呼ばれても彼女は目を開けることがない、気付けば変身は解けラムは元の姿に戻っていた。
しかし、袈裟懸けに切り付けられたその傷からは赤い血が流れ、彼女のお気に入りだったピンクのコートを血濡れにしていく。
「………やだ………やだよ、ラムちゃん………目を、開けてよ………ラムちゃん………っ………やだ、やだやだやだ………こんなの、やだよぉ!!」
気付けば、ロムも変身を解いていた。
目から涙を流し、ラムを抱きしめるロム。
「………せめて、すぐに会わせてやる」
そして、次の瞬間、ロムの体に異物が突き刺さった。
ラムを抱きしめる彼女の体に、新・犯罪神が魔剣の刃を振り下ろしたのだ……。
ラムに続き、その刃を受けたロムはそのまま地面に力なく倒れる……。
「ロム………ラム………」
ホワイトハートは目を見開き、自分の妹が一瞬で魔剣の刃によって切り付けられる瞬間を目にしていた。
途端に、彼女の胸の内に激しい怒りと悲しみと言った感情が渦を巻き始めた。
「………ぅぅぅぅぅぅぅぅうううあああああああああああああああああああああ!!」
その感情に身を任せ、ホワイトハートは戦斧を振り上げて単身で新・犯罪神に向かっていく。
「待ってブラン!! あなた一人で行っても……!」
「戻りなさい!!」
パープルハートとブラックハートが彼女を呼び止めようとするが、既に彼女にはその声が聞こえないのか怒りの咆哮を上げながらホワイトハートは戦斧を真っ先に新・犯罪神に振り下ろした
「よくも……よくも二人を!! 私の妹を!! 許さねぇ!! テメェだけは絶対に許さねぇ!!」
怒りに身を任せた攻撃、何度も何度も繰り出される攻撃を新・犯罪神はゲハバーンで迎え撃ち、防御する。
休みなく響き渡る金属質の衝突音、もう何度目かに入った時だった。
ふと、ホワイトハートの目から涙が溢れ始めた。
姉でありながら、妹たちとどう接すればいいか手を焼き、挙句の果てには二人を危険な目に会わせた。
あの時に、彼に………宗谷に言われ、姉として今度は必ず二人を守ろうと決めていたのに……なのに……。
怒りと共に、悲しみも溢れ始めた。
次第に彼女の目の前が涙でぼやけてくる、だがそれを無理矢理振り払って、ホワイトハートは報復の一撃を撃ち込もうとする。
「っ………ぁぁぁぁぁああああああああああああ!!」
大上段に振り上げた戦斧、叫ぶと共にそれを思い切り振りおろした。
新・犯罪神の頭部を目がけて迫る戦斧の刃、だがそれは新・犯罪神の頭部ではなく、地面を穿った。
「………ぁっ」
「………」
気付けば、既に新・犯罪神は自分の隣を通り過ぎていた。
そして、体には横薙ぎに切り付けられてできた傷が出来ていた。
今の一瞬で新・犯罪神はすれ違いざまにホワイトハートを切り捨てたという、何よりの証拠だった。
彼女の体から途端に力が抜けていく、ホワイトハートはそのまま前倒しに地面に倒れ伏してしまった。
「ブラァァァァァァァァァァン!!」
パープルハートが呼んでいる、だがそれに答えるほどの力は残されていなかった。
変身が解け、次第にぼやけていく視界、彼女は残された力を振り絞って目の前で倒れていた二人の妹に手を伸ばす。
二人だけで逝かせない…。
せめて、自分も一緒に……。
あの子たちは意外と寂しがり屋だから……。
ブランが伸ばした手が偶然か、それとも無意識の内か繋がれていた二人の手と重なった。
(………宗谷………最後に、あなたともう一度………)
次の瞬間、三人はベールと同じように消滅した。
空中に光の残滓を残して、跡形もなく………消えてしまった………。
「そんな………ブランさん……ロムちゃん、ラムちゃんまで……!」
新・犯罪神の持つゲハバーンに今度は淡く輝く白の光が加わる。
ベールに続きブランたちまで消滅してしまった、その事実を受け入れたくないのかパープルシスターが恐怖の色を表情に浮かべて二歩、三歩と後退る。
そんな彼女の姿を、新・犯罪神は捉えた。
次の狙いを彼女に絞ったのか、ゲハバーンを構えてゆっくりとパープルシスターに迫ろうとする。
(………あの剣………)
この時、パープルシスターの視界に既に四人の女神を葬った魔剣の刃が映った。
(やっぱり………今朝の夢に出てきたのと一緒………!)
パープルシスターは新・犯罪神の持つ魔剣を食い入る様に見つめたまま体を小刻みに震わせ始める。
あれはただの悪夢ではなかった、この事態を暗示させる正夢だったのではないか…。
パープルシスターはそう思えてならなかった………。
でも、それならなぜあの時、ゲハバーンを握っていたのは自分だったのか……パープルシスターは疑問を感じながらも、今まさに自分に迫ろうとする死に怯えることしかできなかった。
ゆっくりと、そして着実に自分に向かってくる新・犯罪神。
気付けばもう既に自分の前まで近づいていた。
新・犯罪神がゲハバーンをゆっくりと持ち上げ、腰砕けおびえた表情を見せるパープルシスターに刃を振り下ろそうと………。
「ネプギア!!」
その直前に、パープルハートが割り込み振り下ろされたゲハバーンを刀で迎え撃ち、数回切り結ぶ。
二、三回ほど刃を打ち合わせ、体を捻りながら横薙ぎに振るった一閃を放ち、新・犯罪神を攻撃するパープルハート、新・犯罪神は後ろに跳び退りその攻撃を回避すると今度は標的をパープルハートへと移す。
「お姉ちゃん………」
「しっかりしなさい、ネプギア! 今は集中して………!」
妹を叱咤しようと視線をパープルシスターに向けたパープルハート、だが新・犯罪神はすぐさまゲハバーンを腰だめに構え、地面を蹴り、一気にパープルハートに迫る。
「ユニ!」
「当たれぇ!!」
だが、彼女に迫ろうとする新・犯罪神に数発のエネルギー弾が放たれた。
咄嗟に足を止め、その攻撃をゲハバーンで薙ぎ払った新・犯罪神に続けざまに空気を切り裂くほどの轟音を立てながら重い一太刀が迫った。
新・犯罪神はゲハバーンを横に倒し、真正面からその一撃を受け止める。
「ノワール!」
「覚悟を決めなさいって言ったでしょう! ちょっとでも油断すればやられるのよ!!」
言いながら、ブラックハートが再び得物の大剣を翻し、新・犯罪神に攻撃を加える。
そして、それに引き続くようにブラックシスターがX・M・Bで援護射撃を行い、新・犯罪神をパープルシスターから離す。
多少の距離を稼いだ二人を見て、パープルハートも意を決してブラックハートたちに加わるために武器を振りかざし、戦線に加わった。
二人の剣線とブラックシスターの銃撃が新・犯罪神を攻立てていく。
パープルシスターの鮮やかな斬撃と、ブラックハートの激しく豪快な剣線が新・犯罪神に向けて駆け巡る。
流星群の如く休みなく打ち込まれる斬撃の嵐、しかしそれらを新・犯罪神は正確に、そして冷静に撃ち返していく。
「てぇ!!」
「やぁ!!」
ブラックハートが前に出て左下から右上に掛けて跳ね上げるようにして放った斬撃にパープルハートの体ごとぐるりと回転させて勢いをつけた縦の一閃が立て続けに放たれる。
だが、その連続攻撃をゲハバーンであっさりと受け止めた新・犯罪神は正面にいたパープルハートに蹴り込を入れて後ろへと蹴り飛ばす。
「っ!」
だが、それを見越していたブラックハートがパープルハートの上を飛び越して、新・犯罪神の上を取った。
パープルハートもそれを知っていたのか防御体制を取った姿勢でちらりと上を見ていた。
「ボルケーノダイブ!!」
炎を纏わせた大剣を振り下ろし、新・犯罪神に攻撃を仕掛けるブラックハート。
反応がわずかに遅れた新・犯罪神は防御しようとするが、ブラックハートの振り下ろしが僅かに早かったのか、刃が振り下ろされそれに伴って発生した炎と爆風が新・犯罪神を後ろへと押し返した。
地面にゲハバーンを突き立てて衝撃を流そうとする新・犯罪神、だがそう簡単に威力を抑えきれるわけではなく、その僅かな時間だけでブラックハートにとっては十分な隙となった。
「ユニ、タイミングを合わせて!」
「うん、わかった!!」
ブラックハートがブラックシスターに呼びかけると、自分の大剣に己のシェアエナジーを注ぎ込み、強烈な風を纏わせた巨大な剣へと変化させ、ブラックシスターはX・M・Bの銃口に強力な一射を放つためのエネルギーを充填する。
「トルネード………ソード!!」
「ブレイブ・カノン!!」
息を合わせ、二人同時に放った強力なシェアエネルギーにより生成された斬撃と砲撃、一人一人の攻撃がだめでも同時攻撃なら通るかもしれない。
咄嗟に考えたブラックハートの戦法だ。
二つ重なり合うように放たれた攻撃はまっすぐ新・犯罪神に向けて駆け抜け、直撃した。
遅れて発生した爆発と、爆炎。
まともに受ければひとたまりも無い攻撃だ、しかも相当な手ごたえはあった…。
朦々と立ち込める煙の中をブラックハートとブラックシスター、そしてその一連のコンビネーションに繋げたパープルハートが見つめる。
やがて、煙が徐々に晴れていき視界が開けてきた。
新・犯罪神は………。
そこにはいなかった…。
「………え」
「………どういう、こと……?」
既に、ブラックハートとブラックシスターの後ろに立っていた。
そして、気付いたときには二人もまたその体を鮮血で濡らしていた。
「ノワール………!!」
「ユニちゃん!!」
二人共に変身が解け、力なく地面に倒れるのをパープルハートとパープルシスターは、はっきりと目にした。
たったの一瞬、そして、たったの一撃。
二人の攻撃が当たる直前、再び瞬間移動の如きスピードで二人の間を駆け抜け、すれ違いざまに二人を切り捨てたのだ。
あまりの速さに、二人が気づかないほどに………。
「………ゆ………ユ…ニ」
「おね………え、ちゃん……」
最後の力を振り絞り、互いに手を伸ばすノワールとユニ。
体に駆け巡る鋭い、焼けるような痛みに耐え、やっとの思いで二人はその手を繋いだ。
ふとこの時、ノワールは視界に自分を信じられないと言いたげな目で見つめるパープルハートを、脳裏には自分の思い人でもある彼の姿が浮かび上がった。
(ネプテューヌ………宗谷………ごめんね、さようなら)
最後になんて伝えればいいのか、実際に体験すればわからない物だ。
ただ最後に心中でそう呟いたノワールの視界には何も映らなくなり………次の瞬間、ユニと共に消滅した。
これで、パープルハートとパープルシスターを除く女神がすべて、ゲハバーンによって命を落とすこととなってしまった。
友人だった仲間たちが消えるという、受け入れがたい現実に直面したパープルハート、残されたのは自分と戦意を喪失した妹のパープルシスターのみ…。
この状況で自分はどうするべきか………。
相手はあまりにも強大だ、自分一人が立ち向かって敵う敵かどうかはわからない。
だが、それでも……諦めるという選択肢は彼女の中にはなかった。
今ここで諦めてしまえば、このゲイムギョウ界だけでない、もっと大切なものを失うこととなってしまう。
教会にいる友人、アイエフ、コンパ………そして、妹のネプギア。
何よりも大切な、掛け替えのない仲間たちの命を、自分が大好きなプラネテューヌを見捨てることとなってしまう。
それだけは、絶対に許せなかった。
故に彼女は戦うことを決意した。
再び刀を握り、立ち上がったパープルハートはその刃を新・犯罪神に向ける。
例え、敵がどれだけ強大でも負けるわけにはいかない……消えていった友人たちのためにも、今目の前にいるこの敵だけは………!
「………?」
だが、この時パープルハートはあることに気が付いた。
先程の攻撃を受けた影響か、新・犯罪神の兜が一部破損したのか、今までなかった長い長髪が兜の間から出てきていることに。
そしてよく見ると、仮面の一部も破損しており、そこから僅かだか新・犯罪神の目元が見えていたのだ。
その僅かに見えた目………それを目にした瞬間、パープルハートは何か妙な違和感を感じた。
(………あの目………私は、あの目をどこかで………)
何処か見覚えのある様な目、だがなぜ見覚えがあるのか…パープルハートは反射的に自分の中にある記憶でそれがどこで見たのかを考えた。
あのどこか寂しげな瞳は、一体どこで見たのだろうか………。
「お姉ちゃん!!」
不意に自分の耳にパープルシスターの声が聞こえた。
それによって、彼女の意識が現実に引き戻された時………。
すでに目の前には、ゲハバーンを振り上げた新・犯罪神がこちらに迫っている光景が映っていた。
もうすでに逃げ場はない、直に来るであろう痛みを予感し反射的に目を閉じたパープルハート。
だが、いつまでたっても自分の身に痛みは襲い掛からなかった。
一体どうしたことかと彼女が目をゆっくりと開けると………。
「………ネプ………ギア?」
そこには、パープルシスターが自分の方に向き直って立っていた。
禍々し刃が胸から飛び出ている状態で………。
「………お姉、ちゃん……大、丈夫?」
「ぁ………あぁ………!」
パープルシスターが自分を庇ったのだと、彼女が理解するのに時間は掛からなかった。
胸から血を流しながら、パープルシスターは顔を上げると彼女にそう聞いた。
あまりの出来事に、言葉が出ず、顔を青ざめ目を見開くパープルハート……既にゲハバーンはベールの時と同じように完全にパープルシスターの体を貫いていた。
傷からは血が流れ、その傷がどれだか深いかを物語っている。
なぜ、こんなことに……。
パープルハートは何度も目を疑った、けれども目の前にあるのはゲハバーンの刃に貫かれた妹の姿。
それが消え去ることはない、何故ならこれは紛れもない現実だからだ。
「………よかった、夢が正夢に………ならなくて………」
「ネプギア………なんで……なんでこんな……こんなこと…!」
信じない、信じたくないと頭を振るパープルハートそんな彼女の頬にパープルハートはそっと手で触れた。
既に変身は解けて、元のネプギアとしての姿に戻った状態でネプギアは最後の力を振り絞った口を開いた。
「お姉ちゃん………私ね……喧嘩しても……お姉ちゃんのことを………嫌いになんて………なれなかった………こんなことしちゃうくらいだもん………だから………」
「………ネプギア……!」
それは、このままでは一生後悔すると思い、出た、彼女の言葉…。
喧嘩していた姉に対する、自分の本当の想い…。
些細なことで喧嘩した姉に対する、自分の本当の気持ち…。
徐々に薄れていく意識を何とか繋ぎとめて、ネプギアは必死にパープルハートに最後の言葉を伝えようとする………。
「………ダ女神なんて言って………ごめんね………大好きだよ………お姉ちゃん」
その言葉を最後に、ネプギアの体は光の粒子を散らしながら消滅した。
虚空に舞い散るその光の粒子を、シェアの残滓をパープルシスターは持っていた武器を手放し、必死に掴もうとした。
だが、そんなことをしても彼女の体はもうそこにはない。
この光は、命そのもの………ネプギアその物の魂の残り火………。
舞い上がるその光はもう元に戻ることはない………彼女はもう、消えてしまった…。
その場に崩れ落ちるパープルハート、その光をかき集めようとした両腕を見下ろし体を震わせ始める。
ノワールも、ユニも、ブランも、ロムも、ラムも、ベールも………そしてネプギアも………
もう、ここにはいない………。
みんな………。
ネプギアは………。
死 ん で し ま っ た 。
「ネプギアァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアア!!」
悲しみに暮れる、パープルハートの叫びがあたりに木霊する。
この日、紫の女神パープルハート………ネプテューヌは、“ひとりぼっち”になってしまいました。
いかがでしたか……?
……かなりの鬱展開になってしまいましたが、先に言うとまだまだです。
この後、さらに鬱いことになります。
それでは、次回…
残された唯一の女神、ネプテューヌ…。
宗谷も倒れ、もはやそこには絶望しかないのか…。
次回を、お楽しみに…。