超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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どうも、白宇宙です!

今回はかなり長くなりました。
と言うのも、今回は今作の重要コンセプトクロスオーバー要素をふんだんに使った回ですからね!

前回、三人のクロスオーバーヒーローの試練に挑むことになった宗谷、一方その頃、プラネテューヌでは新たな危機が!

それではお楽しみください、どうぞ!


stage,66 俺と最大の試練

意を決した宗谷は仮面ライダーディケイド、ゴーカイレッド、ウルトラマンゼロの試練に挑むことを決意した。

相手は幾千の戦いを戦い抜き、様々な戦士と出会い、多くの経験を培ってきた戦士たち、一時も気を抜けない戦いになるのは覚悟の上だった。

 

まずは先制攻撃をと、愛剣の赤剣を振りかざし、強く柄を握りしめた宗谷は真っ先に向かってきたディケイドに向かって刃を振り下ろす。

 

「甘いぜ!」

 

だが、ディケイドは左腰に備わっているカードホルダー型の特殊武装、“ライドブッカー”を手に取ると真正面に迫った宗谷の赤剣による斬撃を刀剣状のソードモードに変形させたライドブッカーで、真正面からその一撃を迎え撃った。

 

そのまま、斬撃を押し返したディケイドは反撃に出る。

袈裟懸けに振り下ろしたライドブッカーの斬撃、だが宗谷も負けじと赤剣の刃を打ち合わせ対抗する。

上段、中段、下段、次々と閃き、ぶつかり合う二つの剣閃。

 

ディケイドが足元を狙った斬撃を振るうと、宗谷は高く跳躍し、降下した瞬間横薙ぎの斬撃を振るうがディケイドはそれを身を屈めて回避する。

そして、着地した宗谷にディケイドが回し蹴りを叩きこみ、怯んだ所を更にライドブッカーで追い打ちをかけようとするが……。

 

「ぐっ……! らぁっ!!」

 

「っ!」

 

怯みながらも、宗谷は身をぐるりと回転させてそのまま勢いをつけた剣撃を放った。

 

怯んだ状態で反撃に出た宗谷に、ディケイドは慌てることなくライドブッカーでその攻撃を受け止めると鍔迫り合いの状態に持ち込む。

 

「ほお、それなりの経験は積んであるということか………やるじゃないか」

 

「そりゃ、こっちも必死だからな……!」

 

そう言ってライドブッカーを押し込もうと赤剣により体重をかける宗谷。

対して、ディケイドは宗谷に対抗して同じように体重をライドブッカーにかける、だがここで僅かにディケイドは小さく笑った。

 

「だが、相手が俺だけじゃないってことを忘れてないか?」

 

「あっ………うわっ!?」

 

ディケイドがそう言った瞬間、宗谷の背中に鈍い痛みが走った。

宗谷の身体を包む深紅の装甲が、激しく火花を上げると同時に聞こえてきた数発の銃声。

突然の不意打ちに怯む宗谷、その隙をついてディケイドは赤剣を押し返すと宗谷の身体を二回切り付け、さらに蹴り込みで彼を蹴り飛ばす。

 

地面を転がる宗谷、そこへ宗谷を背後から攻撃したもう一人の戦士が追撃にかかった。

 

「派手に行くぜ!」

 

ゴーカイレッドだ、彼は右手に持つカットラスと呼ばれるタイプの刀剣の形状をした専用の武装、“ゴーカイサーベル”と小型のマスケット銃の形状をした専用武装“ゴーカイガン”を構えて宗谷に接近した。

 

右手に持つゴーカイサーベルを振り上げながら、宗谷に急接近したゴーカイレッドは地面に倒れる宗谷にその刃を突き出す。

 

「……このっ!!」

 

『Skill Link! MARIO』

 

だが、その前にスキル マリオを発動させた宗谷はそれによって得ることが出来るアクロバティックな動きを利用した動きでその攻撃を足でいなした。

ブレイクダンスの技の一つ、ウィンドミルと呼ばれる動きを真似た動きでその場を切り抜けた宗谷はそのまま反撃に出る。

そのまま身を持ち直した宗谷は、ゴーカイレッドの足元に足払いを掛けて転倒させると、そのまま赤剣で斬りかかろうとする。

 

「させるか!」

 

ゴーカイレッドは倒れた状態で左手に持つゴーカイガンを乱射し、宗谷を寄せ付けなかった。

数発の銃弾を浴びて後ろに後退る宗谷、そこへディケイドも加わって一気に追い打ちをかけるゴーカイレッド。

 

立ち上がったゴーカイレッドの荒々しい剣撃とディケイドの鋭い攻撃が宗谷を追い詰める。

 

それに対して、防戦一方の宗谷。

何とか反撃に出ようと、スキル マリオの発動が持続しているのを利用して回避、または防御に徹して隙を伺う宗谷。

しかし、二人の動きは宗谷の反射神経では追いつけないほどのコンビネーションを見せた。

 

「はぁ!」

 

「たぁ!」

 

ゴーカイレッドの斬撃を回避した宗谷だが、それを待ち受けていたかのようにディケイドが宗谷の腹部に蹴りを入れ、さらにゴーカイレッドも背後からゴーカイサーベルで切り付けると、さらに今度は二人同時に袈裟懸けに刃を振り下ろし、宗谷に容赦のない連続攻撃を浴びせかける。

 

さらに……。

 

 

「デェェェェェリャァァァ!」

 

 

横合いから飛びこんできた三人目、ウルトラマンゼロの炎を纏った跳び蹴り、“ウルトラゼロキック”が宗谷の身体を容赦なく打ち据えた。

 

「うぁぁぁぁああああああああああああ!?」

 

溜まらず大きく吹き飛んだ、宗谷。

地面に着地したゼロは右腕をまっすぐに突き出し、左腕を腰だめに構える、彼の師、ウルトラマンレオから受け継いだ“宇宙拳法”の構えを取る。

 

「うっ……くはっ!」

 

「おいおい、まだまだ俺のビックバンはこんなもんじゃないぜ!」

 

「くそっ………だったら!!」

 

『Skill Chain! Dragon ball! Street fighter!』

 

宗谷はダメージを負った状態だが、何とか立ち上がるとスキルチェインの中でも武闘家スタイルの先頭に特化する能力の組み合わせを選択し、発動した。

赤剣をベルト内に一度戻し、身構える宗谷にゼロは待っていたとばかりに駆け出すと宗谷も同じように駆けだす。

 

「シェァ!」

 

「せいっ!」

 

短い気合いと共に、同時に打ち出された拳がぶつかり合う。

両者は互いの拳をすぐに引き戻すと、すぐに格闘による攻防を開始した。

 

ゼロの得意とする、宇宙拳法による攻撃特化の武術、とてつもない勢いで撃ち出される拳と同じく凄まじい勢いを纏った回し蹴り、宗谷も負けずにそれを受け止め反撃を撃ち出すがそれもすべてゼロによって受け止められる。

 

宗谷の放った上段の回し蹴りを右腕で弾いたゼロはそのまま拳を打ちだして反撃、紙一重で宗谷は躱すものの今度はゼロの回し蹴りが追撃で放たれ宗谷の横腹に直撃した。

今までにない重く、鈍重な痛みが宗谷を襲うがそれを歯を食いしばって何とか堪えた宗谷はそのまま反撃の正拳突きを撃ち出す。

 

「フッ! シェェェェアッ!」

 

ゼロはそれを下に打ち払うと、身を捻りながら跳躍し左足を振り上げて、跳び上段後ろ回し蹴りを反撃に見舞った。

 

武闘家スタイルの戦闘スタイルを再現するスキルチェインを越える反応速度と攻撃、ウルトラマンゼロの実力は宗谷の能力をはるかに凌駕していた。

重い蹴りを受けた宗谷はそのまま大きくよろける。

 

そして、そこにディケイドとゴーカイレッドの二人によるタイミングを合わせた二人同時の跳び蹴りが炸裂し、宗谷は再び後ろに後退することとなった。

体を曲げながらも膝をついて勢いを殺した宗谷は、肩で息をしながら顔を上げた。

 

やはり、一筋縄ではいかない。

何せ相手はヒーローの中でも相当な実力を持つ上に能力が極端に強力な、まさに歴戦の猛者たちだ。

少しでも気を抜けば一撃でやられてもおかしくはない…。

 

「どうした、お前の力はそんな物か?」

 

ディケイドがライドブッカーの刃を宗谷に向けて言い放つ。

 

「お前はその程度でこの世界を守りたいと思っているのか?」

 

「………まだだ」

 

宗谷は右手を曲げていた右足の膝の上に置くとぐっと体に力を入れて立ち上がる。

まだここで諦めるわけにはいかない、なんとしてでもこの試練を乗り越えなければ……。

再び赤剣を呼び出して構える宗谷、それを見たディケイドはライドブッカーの刃を下ろし、仮面の奥で彼を見据える。

 

「……根性はあるってことか……だがな、世の中それだけではうまくいかないってことを教えてやる」

 

ディケイドはライドブッカーをカードケースの状態に戻すと、それをベルトの右腰に戻し、ライドブッカーの中から一枚のカードを取り出した。

そのカードには赤い、カブトムシを思わせる仮面に身を包んだ戦士の姿が映し出されてる。

ディケイドはそのカードをサイドレバーを引いて90度回転させたバックルの中に差し込む。

 

『KAMEN RIDE KABUTO!』

 

サイドバックルを押し込み、バックルを戻した瞬間、ディケイドライバーから電子音が響き、ディケイドが姿を変えた。

ディケイドライバーはそのままに、マゼンダと黒の装甲は赤い装甲へと変わり、青い複眼をもつ一本角の仮面ライダー、“仮面ライダーカブト”の姿へと…。

 

ディケイドの特殊能力、それは“ライダーカード”を使うことでその姿をディケイドとは別の仮面ライダーへと変化させることが出来るという能力。

この能力は姿はもちろん、変身した仮面ライダー特有の能力も使うことができる。

宗谷はディケイドが姿を変えた瞬間、あることを予見し対策を取るために赤剣を構えた。

 

今ディケイドが変身したカブトの最大の特徴は……。

 

『ATTACK RIDE CLOCK UP!』

 

目にも止まらぬ速さで動くことが出来る能力、“クロックアップ”。

肉眼では到底追いつけないような速さで動き出すディケイド、しかし、宗谷はディケイドがカブトの姿に変身した瞬間からこの攻撃を予見していた。

 

「やっぱりそう来るか、なら…!」

 

『Skill Link! Infinite Stratos』

 

それが発動した瞬間、宗谷はV.phoneをタップし、スキル インフィニットストラトスを発動させる。

イグニッションドライブを発動し、高速で動くディケイドに真っ向から立ち向かった宗谷。

二つの赤い残像が聖地・クロスオーバーの地を駆け巡り、何度も衝突してはすれ違う。

 

一見、何が起こっているのかは肉眼では見えないが、高速で動き続ける両者は衝突の瞬間より高速の攻防戦が始まっているのだ。

斬撃を繰り出し、拳を放ち、蹴りを撃ち込み、防いでは反撃し、僅かな時間の間に両者はそれらの攻防を交えているのだ。

高速に動き続け、激しくぶつかり合う二人、だがやがてその二人の攻防が止まった。

 

数回目の激突から、宗谷が繰り出した赤剣の刺突。

だが、ディケイドはその攻撃を少し身を傾けるだけで回避し、反撃の拳を打ちだした。

撃ち出された拳は、標的を見失いまっすぐに向かっていく宗谷の横腹に直撃し、そのまま彼の体を横に飛ばした。

 

「くっ…! うあっ!?」

 

高速移動でぶつかり合っていた両者、その内のどちらか片方が大きく隙を作ったその瞬間が勝負の分かれ道となる。

大きく体を浮かせた宗谷、その瞬間に彼のスキルは強制的に解除されその隙を見逃さずディケイドが奇襲をかける。

宙を浮かぶ宗谷の周りを赤い残像が何度も駆け巡り、宗谷の装甲から火花が散る。

クロックアップの状態で宗谷を攻撃し続けるディケイド、今のディケイドには周りの空間そのものが遅く見えている。

そのため、今自分に向かってゆっくりと跳んできている宗谷に対し、強烈な一撃を叩きこむには十分すぎる余裕があった。

 

ディケイドはライドブッカーからカブトムシの絵柄が刻まれた一枚のカードを取り出すと、それをバックルに装填、開いたサイドレバーを押し込みカードの効果を発動する。

 

『FINAL ATTACK RIDE KA・KA・KA・KABUTO!』

 

今発動したカードは“ファイナルアタックライドカード”、変身した仮面ライダーの固有の必殺技を発動できる効果を持つカードであり、このカードの効果によりカブトの姿をしたディケイドの一本角から電流染みたエネルギーが右足へと伝わっていく。

 

そして、宗谷の身体が自分の背後に近づいてきた瞬間、そのエネルギーを纏わせた右足を体を180度回転させながら振り上げ、宗谷の身体を横薙ぎに蹴り飛ばした。

カブトの“ライダーキック”の再現だが、その威力はオリジナルと大差ない。

強烈な衝撃が宗谷の身体を走り抜け、宗谷は地面を大きくバウンドしながら吹き飛ばされ、そのまま柱に叩きつけられた。

 

「うっ……ぐふっ……ま、だだ!」

 

だが、これほどの一撃を受けてなお、宗谷は立ち上がった。

 

まだ……まだ……諦めない……諦めるわけにはいかない……!

 

宗谷の心を突き動かす最後の希望、それが宗谷を再び立ち上がらせる。

 

再び立ち上がり、身構える宗谷。

だが、そこに今度はウルトラマンゼロが立ちはだかった。

 

「次は俺だ!」

 

ゼロは左腕に装備している“ウルティメイトブレスレット”を叩くと、とたんにゼロの体が赤と青の色合いから赤と銀、そして金色のラインが施された姿へと変化した。

 

「ストロングコロナ、ゼロ!」

 

この姿は、ゼロがとある世界で“ウルトラマンダイナ”そして“ウルトラマンコスモス”と共に戦ったのちに、二人から力がゼロに宿って生まれた彼の新たな力。

この“ストロングコロナゼロ”はパワーに秀でた力を宿しており、通常のゼロを超えた強靭な力を発揮することが出来る。

 

姿を変え、まっすぐに宗谷に向かってくゼロ、対する宗谷も気合を入れるように短く息を吐くとその場に大きく腰を落しゼロを見据える。

 

互いの距離が最大まで縮まった瞬間、宗谷は赤剣を大きく横薙ぎに振り抜いた。

迫る深紅の刃、だがゼロはその一撃が届くよりも先に宗谷の腕を掴んで止めると、その腕を押し返し、宗谷の身体を後ろに向けさせそのまま背後から彼の体を両腕で拘束する。

 

「ウルトラハリケーン!!」

 

そしてそのまま、彼の体をきりもみ上に回転させながら真上に投げ飛ばす。

すると、その時に発生した大きな竜巻の如き風が宗谷の体を包み込み、自由を奪った。

動こうにも風圧によりうまく動くことが出来ない…。

強力な風圧が宗谷を巻き込みながら天高く昇って行く、“ウルトラハリケーン”の名の通り竜巻と共に天高く打ち上げられた宗谷に、ゼロは追撃を仕掛ける。

 

(やべっ……このパターンは……!)

 

宗谷はこの一連の流れをもちろん熟知していた。

ストロングコロナゼロの得意とするコンビネーション、ウルトラハリケーンで天高く打ち上げて身動きを封じた敵に対して次に繰り出すのは、ストロングコロナゼロの最大の必殺技。

 

「ガルネイト! バスターーー!!」

 

再びウルティメイトブレスレットを軽く叩いたゼロの右手に燃え盛る炎が灯る。

大きく弧を描くように右腕を引き戻したゼロは、そのまま上空で身動きを取れずにいる宗谷に向けて思い切り右腕を突き出す。

その瞬間、彼の右腕に集まっていた炎が光線として放たれ、宗谷に向けて一直線に向っていった。

回避しようにも、身動きが取れず、防御するには風圧が邪魔すぎる、そのため宗谷は……。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!」

 

ストロングコロナゼロの必殺光線、“ガルネイトバスター”をもろに受けることとなってしまった。

 

光線の直撃で発生した爆発により大きく宙に身を投げ出された宗谷、だがまだこれで終わりではなかった。

 

「ゴーカイチェンジ!」

 

『ハーリ! ケンジャー!』

 

地上にいたゴーカイレッドが“レンジャーキー”と呼ばれるアイテムを再びモバイレーツに差し込み、その姿を変化させた。

ゴーカイジャーの特殊能力、それはレンジャーキーを使用することでその姿をディケイドのように歴代のスーパー戦隊に変えることが出来るというもの。

その能力により、“忍風戦隊 ハリケンジャー”の“ハリケンレッド”に姿を変えたゴーカイレッドは背中に収められた忍者刀型の武器、“ハヤテ丸”を抜くと大きく跳躍し、そのまま“宙を駆けて行った”。

 

「まだまだ行くぜ! 超忍法 空駆け!」

 

ハリケンレッドとなったゴーカイレッドは、ハリケンレッドの得意とする“超忍法”の一つ、“超忍法 空駆け”を使い、空中に吹き飛ばされた宗谷にさらに追撃を仕掛けた。

 

その名の通り、空を文字通り駆け抜け、一気に宗谷との距離を詰めたゴーカイレッドはすれ違いざまにハヤテ丸で宗谷を切り付ける。

さらにその一撃だけでは終わらない、何度も宗谷とすれ違いそのたびにハヤテ丸を振るうゴーカイレッド、とどめの一撃とばかりに10撃目を振るった瞬間、再び宗谷は地面に向かって急降下した。

 

(やっぱり……強い……! これが……!)

 

流れるような三人のコンビネーション、宗谷は彼らの攻撃を真正面から受け体に走る痛みと衝撃を何度も受けながら、彼らの力がやはり尋常ではないことを実感した。

 

空中に身を投げ出され、流れる様に過ぎていく光景の中で、宗谷の視界にある物が飛び込んできた。

 

 

 

『FINAL ATTACK RIDE DE・DE・DE・DECADE!』

 

 

 

自身に向かって何枚ものカード型のエネルギーが連なり、列を生み出していく。

そして、それを突き破るようにしてこちらに右足を向けて迫ってくる、ディケイドの姿。

 

「てやぁぁぁああああああ!!」

 

 

それがディケイドの必殺技、“ディメンションキック”だと気付いたときには、宗谷の身体には既にディケイドのとどめの一撃が突き刺さっていた。

 

 

 

(これが………本物のヒーローの力……!)

 

 

 

三度発生した爆発、その中から地面に放り出されるようにして飛び出てきた宗谷はそのまま地面に落下し、力なくその場に倒れた。

 

変身も解除され、既に傷だらけの体になっている…。

 

うつぶせに力なく倒れ込む宗谷、そんな彼の前にディケイドとゴーカイレッド、そしてウルトラマンゼロの三人が再び並び立つ。

 

「………やはり、まだまだということか」

 

仮面の奥で落胆するようにディケイドが呟いた。

それに対し、宗谷はまた立ち上がるようなそぶりは見せなかった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プラネテューヌの街では、国民が今日も何気ない一日を過ごしていた。

今、自国を含む、ゲイムギョウ界女神達がどんな状況に置かれているかと言うこと知らずに…。

というのも、アイエフやイストワールが懸念するパニックを未然に防ぐためにしいた情報規制の影響が大きい。

故に、何も知らずに淡々とごく普通な日常を国民は過ごしていた。

 

 

 

その時が来るまでは………。

 

 

 

「ん……なんだあれ?」

 

ふとプラネテューヌの街中を歩いていた国民の一人が、あることに気付いた。

男性の視線の先、道路の奥から黒と白の二色の影が湧き出る様に軍勢を成して迫ってきていた。

先頭にはそれぞれ特徴的な姿をした四人の人影があった。

 

一人は小柄な体躯に、白と紫の体を持ち人型でありながらその長い尻尾と不気味な微笑みを浮かべている。

 

もう一人は、棘が付いた亀のような甲羅を背中に背負い、完全な異形の存在、一種の懐柔を思わせるような風貌をしている。

口元の鋭い牙をがちがちと鳴らし、唸り声を上げる姿は圧巻だ。

 

その隣には、鷲と蛇が合わさったような体に顔のガスマスクが特徴的な完璧な異形。

鋭い爪を持つ手を大きく広げながらゆっくりと歩を進める。

 

そして、その三人の後ろ……これが一番の畏怖なる存在。

あまりにも大きすぎる巨体、大きな円を描く山羊の様な顔に青白く光る眼、そして分厚い筋肉で覆われた巨躯に蛇の尻尾、片手に握る巨大な大剣。

動物人間と言うよりも悪魔を思わせる風貌のそれはゆっくりとした足取りで前方の三人に続く。

 

それらの存在の突然の登場にやがて最初に気付いた男性だけでなく、他の国民たちもその軍勢に対し何事かとざわめき始めた。

何かのイベントか、それともドッキリか、それとも……。

様々な意見が街中で僅かな時間の間に飛び交う。

だが、その軍勢が齎したのはイベントでもドッキリでもなく……。

 

奇襲だった。

 

『フッ………!』

 

『グァァァァアアアア!』

 

『ショッカーーーーーーー!!』

 

『――――っ!!』

 

前方を歩いていた異形達が、指先から紫の光線を、口から炎を、指先から弾丸を、手に持つ巨大な大剣を振るった。

四つの異形の放った奇襲攻撃はプラネテューヌの街並みを破壊していき、国民をパニックに陥らせ始める。

 

そして、その奇襲を合図に後ろの白と黒の軍勢も動き出した。

チェスのポーンを象ったような鎧に身を包んだ二色の軍勢は腰に備えられていたサーベルを引き抜くと一斉にプラネテューヌの街になだれ込み、国民を、街を襲い始める。

 

たちまち当たり前の光景があり得ない戦場と化したプラネテューヌ。

その街中、高くそびえ立つビル上の建物の上でその様子を見下ろす者たちがいた。

新・犯罪神四天王の面々である。

 

「うっひょ~…こいつはまたすげぇなぁ」

 

トリック・ザ・ルークが下を見下ろしながら感嘆の言葉を口にした。

 

唯一のがした最後の女神、パープルハートをおびき出すために四天王が行った行動、それはあの仮面の女が増援として自分たちに寄越した畏怖なる存在と自分たちの先兵である“ソルジャー・ポーン”の大部隊をプラネテューヌの街に強襲させるというものだった。

 

単純なようだがこれが一番手っ取り早い、自国が攻撃を受ければさすがの女神も出て来ざるを得ないだろう…。

特に、彼女、ネプテューヌはそう言う性格の持ち主だ…。

マジック・ザ・クイーンが手に持っていた鎌の柄を足元に突き立てて音を鳴らす。

 

「さあ、最後の女神を狩るとしようか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イストワール様、大変です!!」

 

宗谷の部屋、そこで開け放たれた窓を見つめがら立ち尽くすイストワールの元にもその知らせはすぐに届いた。

焦りに満ちた顔で部屋に訪れたアイエフは携帯電話を片手にイストワールに詰め寄った。

 

「今、教会の兵士たちから連絡が入って妙な軍勢がプラネテューヌの街に攻め込んできたって報告が……しかも、まっすぐ教会に向かって来ています!」

 

「そんな………!」

 

イストワールはもしかしなくてもと、その軍勢が何を意味しているのか察しがついた。

恐らく、その軍勢は唯一残ったネプテューヌを打ち取るために新・犯罪神が寄越した者たちだと…。

いくらなんでも行動が早すぎる……こちらはまだ、何の対策も打てていない……しかも、肝心なネプテューヌはあのような状態、しかも宗谷も今は不在……。

まともに対抗できる手段はこちらにはない…。

 

「こんな時に………どうすれば………」

 

故に、イストワールは焦った。

こちらは圧倒的に不利、もし一か八かで対抗したとしてもこちらに攻め込まれるのは時間の問題。

 

こんな状況で、自分に何が出来るのか……。

 

(やはり私は……何もできないのですか……!)

 

イストワールの脳裏に、手に入れた力を使いこなせず宗谷の足を引っ張っていた時のことが蘇ってきた。

彼の助けに周ろうにも、うまくいかず、逆に心配され、マジェコンヌとの戦いの時ではあれに大けがを負わせてしまった。

新たな姿に変身できる能力、フォーチュン・リンクシステムを得てもなぜかまだそれはアンバランスで、結果的に宗谷がいないと何もできない…。

 

だからこそ、もしかしたら、宗谷もこの書置きは嘘で本当はただ逃げ出したのかも知れない…。

 

言いすれぬ不安と悔しさのあまり、唇をかみ、目を伏せてその場に俯くイストワール。

 

(こんな時………あなたは、どうするんですか………宗谷さん)

 

今は姿がない宗谷に、心の内でそう問いかけるイストワール、だが、その問いに答える彼の姿は当然どこにもない。

静まり返った部屋の中に、窓から遠くの方の騒ぎ声が聞こえてくる。

何もできない自分のあまりの無力さ、それがあまりにも悔しくて、彼女の伏せた瞳から一筋の涙が零れ落ちる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ここで何もしなければ、俺がこの世界に来た理由が……分からなくなりますから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………っ」

 

ふとその時、宗谷が以前に言った言葉をイストワールは思い出した。

あれは、確か彼と初めてのクエストに向かったときに宗谷が言っていた言葉だった。

どんな危険が待ちかねているのかわからない中で、彼はそう言って迷わずその先に突き進んでいった。

何が起こるかわからない、どうなるかわからない不安の中で、彼は迷うことなく…。

 

(………それは、なんで………)

 

彼と共に過ごしてきた時間の中で、イストワールは彼がどういう人間なのかを理解していた。

他人のためには自分を顧みず、助けたいを感じたらすぐに動き、どんな逆境でも立ち向かう強い心…。

 

(………そうですよね、あなたならそうしますよね)

 

もし、彼がここにいたとしたら彼は迷わず行動しただろう…。

どんな強大な敵を前にしても、守りたいと思う人たちを守るために…。

 

自分はなぜ彼を疑っていたのか……。

彼がこの状況で逃げ出すような薄情な男ではないのは、もう知っていたことではないか…。

 

宗谷は今唯一の可能性に賭けている。

彼の書き残したメモ、それが唯一の希望たりえる可能性だとしたら、この可能性を、小さな希望の光を消すわけにはいかない。

 

だから……。

 

「………何もしない、それが一番いけないことですよね………」

 

「……イストワール様?」

 

顔を上げたイストワールは目元の涙を拭うと、決意を込めた表情を浮かべる。

その瞳には、強い意志が籠っていた。

 

「……アイエフさん、兵士達に連絡をお願いします、国民の避難を最優先に、戦える人は教会の防衛に当たってくださいと……」

 

「は、はい…」

 

アイエフに向き直ってそう言うと、イストワールは彼女の横を通り過ぎて廊下に出た。

 

まだ、宗谷が最後の希望を諦めていないのなら、自分も諦めるわけにはいかない。

 

イストワールが廊下を進んでいると…。

 

「イストワール様!」

 

アイエフが彼女を呼び止めた。

そっと後ろを振り向いたイストワール、気付くとアイエフの後ろにはケイブたちも揃い、じっとイストワールを見つめていた。

 

「………行くんですか?」

 

「………はい」

 

アイエフの問いに頷いて答えたイストワール、その姿を彼女の唯一の戦闘形態、モード・アクティブに変えて持っている細剣を縦に構える。

 

 

「宗谷さんがまだ諦めていないのに、私がここで諦めたら、合わせる顔がありません……だから私も、賭けます……例えどんな希望かわからなくても、彼が信じた最後の可能性を……そして、ゲイムギョウ界の未来のためにも、ここでネプテューヌさんを失うわけにはいきません……」

 

 

前までの自分なら、こんなことは言わなかっただろう。

 

史書、歴史を刻むものとして生まれたはずの自分が自ら戦う事など、考えたことがなかった。

でも、今はこうして戦おうと思える…。

 

不思議なことだった、だけど、今はそれが誇らしく思えた…。

 

自分がこれから見ていく、この世界の未来のために…。

 

戦う術を知らなかった史書は今、剣を握る。

 

 

 

「だから、私は………戦います………見守るのではなく、守るために」

 

 

 

その意志の籠った言葉にアイエフたちは何も言わなかった。

 

その場に静寂が訪れる。

 

だが、それを破る者がいた。

 

「………みんな聞いたわね」

 

アイエフだった。

彼女はそう言うと、後ろにいるケイブたちの方に振り返った。

 

「イストワール様だけを、危険な場所に向かわせるわけにはいかないわ……だから、私たちも行くわよ」

 

「アイエフさん………!」

 

「水臭いですよイストワール様、私たちだってこのまま何もしないわけにはいかないんだから」

 

「ええ、私たちも手を貸すわ…」

 

「ケイブさん………みなさん………」

 

それぞれが覚悟を決めた目をイストワールに向ける、彼女たちもまたこのゲイムギョウ界を守りたいと願う者たちなのだ。

彼女達も、この場でくすぶっているわけにはいかない。

宗谷が見つけた最後の可能性を、最後に残った女神を守るために、史書たちは戦う決意を固めた。

 

「……ありがとうございます、みなさん…!」

 

次第に再び溢れてきた涙を拭う、イストワール。

だがその涙は、悲しみや悔しさではない、心が熱くなった時に出る感動の涙…。

 

「………必ず、ネプテューヌさんを守りましょう!」

 

イストワールを筆頭に、彼女たちはそれぞれの武器を握る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………?」

 

高みの見物で様子を見ていた四天王、既にプラネテューヌの街並みは賑やかな姿をがらりと変え、黒煙と恐怖の叫びが飛び交う無法地帯と化した。

ソルジャー・ポーンの軍勢が防衛に出てきた兵士たちを迎え撃ち、追い詰めていく。

 

そんな中、ジャッジ・ザ・ビショップが何かに気付いた。

 

「どうした、ジャッジよ…」

 

それに気づいたブレイブ・ザ・ナイトがジャッジ・ザ・ビショップが向けている視線の先に目を向ける。

そこには………。

 

「………どうやら諦めの悪い人間がまだいたようだ」

 

街に蔓延る、ソルジャー・ポーン達に戦いを挑む数人の人影があった。

 

 

 

 

「うっ……うぅ!」

 

武器を失い、地面に倒れ伏したプラネテューヌ教会の兵士にもはや戦う体力は残されていない。

目の前には新・犯罪神の先兵、ソルジャー・ポーンがサーベルを構えて今にもその刃を振り下ろそうとしている。

自分もここまでか………兵士が諦めかけていた、その時だった。

 

 

 

「雷ノ記憶!」

 

 

 

その声と共に、どこからともなく電撃が宙を駆け抜けソルジャー・ポーンに直撃したのだ。

溜まらずその場に倒れ伏し、沈黙するソルジャー・ポーン、何事かと呆然とする兵士。

そして驚く兵士の頭上を、その電撃を放った人物が駆け抜けた。

 

「ここは私たちが承ります! あなたは国民の避難を!」

 

「い、イストワール様!?」

 

「早く!」

 

「は、はっ!」

 

イストワールの強い、叱咤するような声に突き動かされ兵士は立ち上がり、敬礼をするとすぐに逃げ遅れた国民の避難誘導へと向かった。

そして、戦場となった街にいち早く駆け付けたイストワールは細剣を構え、背中の翅で空中を駆け抜けながら次の指示を飛ばす。

 

「最優先は逃げ遅れた国民の避難誘導と教会の防衛です! みなさん、ご武運を!」

 

「いいわね、久々に腕が鳴るわ!!」

 

「すっごく痛いの、いくですよ~!」

 

彼女の指示を受けて、後続のアイエフとコンパもソルジャー・ポーン達に戦いを挑む。

アイエフは俊敏な動きで相手を翻弄し、次々とソルジャー・ポーン達をカタールで切り伏せ、コンパは巨大な注射器の針から繰り出すバズーカ染みた砲撃を撃ち出して次々とソルジャー・ポーンを吹き飛ばしていく。

 

「私たちも続くよ、マベちゃん!」

 

「うん、高速コンビネーション! 行くよ~!!」

 

サイバーコネクトツーとマーベラスAQLの二人は持ち前の素早さを生かした戦い方と二人のコンビネーションを生かしたトリッキーな動きでソルジャー・ポーンに立ち向かっていく。

 

「怖いけど……わたしだって!」

 

「せっかくの出番にゅ、張り切っていくにゅ」

 

そのか細い腕のどこに秘めていたのか、とてつもない剛力で次々とソルジャー・ポーンを打倒していく鉄拳と、自分が乗っていた丸い生物の様な物体をこん棒のように振り回して攻撃するブロッコリー。

 

「5pb.は避難の手伝いを、ここは私とMEGES.が!」

 

「う、うん…気を付けて、ケイブさん、MEGES.」

 

「何を心配する必要がある……私を誰だと思っている!」

 

取り出した特徴的な形をした刀剣で次々と迫りくるソルジャー・ポーンを斬り捨てていくケイブとそれに続くように杖を振りかざし、魔法で援護をするMEGES.。

戦闘経験の少ない5pb.は避難誘導に回り、守るべきもののため立ち上がった者たちが混乱状態に陥っているプラネテューヌの街を守るべく、その場に駆け付けた。

 

「……また、あの者達か」

 

その様子を見ていたマジック・ザ・クイーン、状況は絶望的だというのに、なぜまだ抵抗を続けるのか…。

マジック・ザ・クイーンは冷酷な目で彼女たちを見下ろすと、右手をゆっくりと振りかざした。

 

「邪魔者は排除せねばな……」

 

そして、それを合図にしていたかのように、ソルジャー・ポーンと戦いを繰り広げ始めた彼女たちに四つの異形の影が迫る。

 

 

 

「せいっ!」

 

傷がまだ治りきっていないにもかかわらず、前線に出たファルコム。

目の前のソルジャー・ポーンを剣で袈裟懸けに斬り捨てると、ソルジャー・ポーンが襲おうとしていた親子に手を差し伸べる。

 

「今のうちに逃げて!」

 

「は、はい……ありがとうございます!」

 

ファルコムの指示を受けて、娘と思われる女の子を抱えながら走り出した母親、その背中を見送りつつファルコムは再び目を敵となる兵たちに向ける。

傷ついた体と言えど、彼女自身このまま何もしないのは性に合わない。

だから、今はイストワールのように自分に守れるものを守る、そのために彼女は剣を握る。

 

「ファルコムさん、無茶はしないでくださいね」

 

「わかっているよ、自分の体のことは自分が一番………?」

 

自分を案じて言ったイストワールの言葉にそう返していると、ファルコムの視界にある物が入り込んだ。

遠くの方で何かが僅かに光ったのだ…。

瞬くようにしてすぐに消えた紫の光……あれは一体……。

 

「っ!」

 

やがてその疑問が自分に危険を知らせる物だと悟った瞬間、彼女はその場で側宙を切り自分に迫っていた何かを躱した。

程なくして、彼女のいた場所に紫色の光が駆け抜け、背後の瓦礫に直撃し爆発した。

 

「ファルコムさん!」

 

「いつつ……やっぱり、急に動くのはきついかな……」

 

いきなり側宙をしたことで怪我をしたところを痛めたのか、顔をしかめるファルコムだが、その視線の先に迫るものの姿を見た瞬間、その表情がより一層険しくなった。

ソルジャー・ポーンの間を掻き分ける様にして現れた四つの異形の姿、それはこの町に最初に奇襲をかけた新・犯罪神の元に集った新たなる増援。

 

そして、それは異世界で名を馳せ、この世界に現れるはずもない強敵の姿だった。

 

 

ドラゴンボールの主人公、悟空と激闘を繰り広げた宇宙の帝王、“フリーザ”。

 

マリオの前に幾度となく立ちはだかった、マリオの好敵手“クッパ”。

 

一度は仮面ライダー1号、2号を倒しその歴史を捻じ曲げた強敵、“ショッカーグリード”。

 

そして、浮遊城アインクラッド、キリトが2年間幽閉されることとなったソードアート・オンラインの世界で第74層のボスとして現れたモンスター、“グリームアイズ”。

 

 

本来なら現れるはずのない強敵、初めて見るはずのその姿を見た瞬間ファルコムはより一層緊張感を研ぎ澄ませた。

この相手はさすがにやばすぎる、冒険者として幾度となく困難に直面してきた自分の感がそう告げていた。

例え、この相手と戦って勝てるかどうか……。

 

「これは……やばい相手に当たっちゃったかな?」

 

「……でも、ここで諦めるわけには、いきません!」

 

「………だよね、同感!」

 

しかし、ここで引くわけにはいかない… 。

意を決してファルコムは細剣を構えるイストワールと並び立ち、剣を構える。

例えどんな強敵が前に立とうとも、諦めない……。

強い決意が二人の覚悟に変わる…。

 

 

 

 

 

「おいおい、あんた本当に無茶が好きだな」

 

「……え?」

 

 

 

 

 

突然、ファルコムの耳に聞き覚えのある声が聞こえてきた。

たしか、この声は……。

彼女は記憶の中から今の声に当てはまる記憶を探し始める、するとそれはすぐに答えを導き出した。

この声は、ギャザリング・フォレストで出会ったあの……!

 

 

 

「言っとくが、あいつらはあんたの手に負えるような奴じゃない」

 

「だが、私たちは奴らを知っている」

 

「だから、君たちは目の前のザコキャラに集中しててよ」

 

「安心しろ、あいつらはオラたちが相手をすっからよ!」

 

 

 

その声に導かれ、イストワールとファルコムが背後を振り向くと……。

 

 

 

そこには、キリト、仮面ライダー1号、マリオ、孫悟空の四人の主人公(ヒーロー)が並び立っていた!

 

 

 

「君たちは……!」

 

「仮面ライダーさん………ということは、あなた方はヒーローメモリーの!」

 

予想外の援軍に、イストワールとファルコムは驚きの表情を浮かべる、そんな二人の横を通り過ぎ、ヒーローメモリーの四人はそれぞれの宿敵の前に立ちはだかった。

 

「俺達の役目はあくまであいつに俺達の力を伝えることだ、だけど……この世界がやばいってんなら話は別だ」

 

「私たちも、この世界の一部だ………この世界を守るために、力を貸そう!」

 

キリトと仮面ライダー1号はそう言うとキリトは背中に収めていた剣に手を、仮面ライダー1号はその拳を握る。

そしてそれに続くように、マリオと悟空も身構える。

 

そのみが本物でなくても、メモリーの中に眠っていた意志は本物と変わりない。

 

故に、彼らもまた目の前で危機に陥っている世界を見過ごすわけにはいかない。

異変を感じ取り、独自に動いていた英雄たちは今、このゲイムギョウ界、プラネテューヌの地で手を取り合い、立ち上がったのだ。

 

「へへっ……まさか、こうして外で戦うことになるなんて思わなかったからな、ワクワクすっぞ!」

 

悟空はフリーザの前に……。

 

「僕もまさかこんなことになるなんて思ってなかったよ……けど、やっぱりこっちのほうが性に合ってるかな?」

 

マリオはクッパの前に……。

 

「例え私たちが何者であろうと……平和を乱すものを、見過ごすわけにはいかない!」

 

仮面ライダー1号はショッカーグリードの前に……。

 

「だから、今回ばかりは手を貸してやるよ宗谷……これは、借しだぜ」

 

そして、キリトはグリームアイズの前に出る。

 

互いの宿敵を前にして、臨戦態勢を取った異世界の主人公たち。

対する異世界の宿敵達も、目の前に現れた彼らに敵意をむき出しにする。

そして、

 

「行くぞ!!」

 

「「「おう!!」」」

 

キリトの掛け声を合図に、彼らは目の前の敵に立ち向かっていった。

 

世界を越えたもう一つの戦い、“クロスオーバーバトル”の始まりの火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

その様子を、四天王とは別の場所で見守るもう一人の存在があった。

崩れたがれきの陰でその様子を見ているのは、宗谷にとっての最大の試練、“最初の決戦”を企てていた、魔神ヴィクトリオン・ハートだ。

彼は物陰から始まったクロスオーバーバトルを見つめ、ぐっとその拳を握った。

 

「………よし、これで展開はさらに熱くなった」

 

ここまでは彼の計画通りだった。

最大の舞台は整った、あとは肝心な宗谷の方だ…。

 

「……君なら、この熱い戦いの中で冷めたままってことはないはずだ……」

 

ヴィクトリオン・ハートはそう呟くと、聖地・クロスオーバーで今頃修行をしているであろう宗谷に思いを馳せた。

 

「なにせ、君は………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………れは………」

 

「ん……?」

 

僅かに聞こえた声を、ディケイドは聞き逃さなかった。

宗谷の呻き声かとも思ったが、どうもそれにしては呂律が回っていたように感じる。

ディケイドが宗谷をじっと見つめると、やがて宗谷の指がピクリと動いた。

 

「………お……れ……は………!」

 

すると、それだけに留まらず宗谷の身体が次第に動き始め、体を震わせながらも彼は身を起き上がらせたではないか…。

あれだけ痛めつけたのに、まだ立ち上がるのか……。

ディケイドはその様子を食い入るように見つめ、ゼロとゴーカイレッドもまた同じように宗谷を見つめた。

 

「俺は………俺は……絶対に、諦めねぇ!」

 

生身の状態で立ち上がった宗谷は既にぼろぼろの傷だらけだ、だがそれでも彼は立ち上がった。

諦めるわけにはいかなかったから…。

 

「俺は………今度こそ、守ってみせる………!!」

 

今まで、何度も救おうとして救いきれず後悔した、辛い思いをした…。

 

恵理の時も、マジェコンヌとの戦いの時も…。

 

自分の憧れたヒーローのようには行かなくて……。

でも、それでも諦めなかった……。

 

「約束したんだ……恵理と……ヒーローになるって……約束したんだ……ネプテューヌと……どんな時でも、助けに行くって!!」

 

殺意に呑まれ、その結果に命を落としてしまった恵理との約束…。

そして、以前に交わしたネプテューヌとの約束…。

二つの約束と、自分が目指した夢…。

それが宗谷を突き動かす原動力となっているのだ。

 

まだ自分は自分の思い描くヒーローには遠く及ばないかもしれないかもしれない、でも、それでも……彼はその夢を捨てなかった。

 

今こそ、必要なのだと感じたからだ。

 

助けを求め、伸ばす手を掴む存在が……ピンチを救う、“ヒーロー”が……。

 

どんなに打ちのめされても立ち上がる。 そして、今度こそその手を掴んで救ってみせる。

 

それがどんな小さな可能性でも、どんなに小さな希望だったとしてもそれに縋り付く!

 

「今度こそ………守ってみせる!! 俺の守りたい物、この世界で出来た大切な“繋がり”……そして、その繋がりができたこの世界を!!」

 

そう宣言した宗谷は、強く右腕を高く、高く天に伸ばす。

 

その瞬間、彼の手首が七色の光で包み込まれた!

 

この時、宗谷の右の手首にはある物が着けられていた。

それは彼の誕生日、ネプギアが彼に渡したブレスレットだった。

そのブレスレットが光り輝き、徐々にその形状を変化させ始めたのだ。

 

 

 

 

 

「だから!! 諦めるわけには、いかねぇんだよぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!!」

 

 

 

 

 

宗谷の心からの叫び、それに答えるかのようにブレスレットが一際輝き、宗谷の身体を包み込む。

 

そして、その輝きに目を伏せる三人、だがその光の中でディケイドは確かに見た。

宗谷の新たなる、姿を………。

 

虹色の光の中で、まだ半透明だが確かに宗谷の身体を覆っていた装甲。

 

不安定だが、大まかな形が見えるその姿は先程まで彼が身に纏っていた装甲の形状が変化し、背中には大きく、光を放つ猛々しく広がる機械の翼があった。

そして、より厚くなった胸の装甲にはVの刻印が二つ、上下反対の状態で組み合わさったシンボルが中央に大きく刻まれ、それは“V”ではなく今は“X”を描いていた。

 

「………“覚醒”って訳か」

 

すべてを悟ったディケイドがそう呟いた。

 

そして、その瞬間宗谷の体を包んでいた光が静まり、宗谷の身に纏っていた半透明の装甲は消滅した。

あまりにも一瞬のようにも、長い時間のようにも感じた中で宗谷は今自分の身に何が起きたのかを理解できずにいた。

 

肩で息をし膝をつく宗谷、するとそこにディケイドが近づいてきた。

まだ向こうはやる気と言うことなのか……気配を察知し、顔を上げた宗谷。

 

だが、彼の考えとは裏腹にディケイドはそっと手を差し伸べた。

 

 

 

 

「ようやくお目覚めだな」

 

「………え?」

 

「それが、お前の力と言うことだ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この世界を守る“勇者(ヒーロー)”………“勇者 クロス・ヴィクトリー”の覚醒ってことだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日、俺は………勇者として、覚醒しました。

 




如何でしたか?

何気に今回で初めて出ましたよ、宗谷の変身した姿の名前が…。


さて、次回!
特異点の力、勇者への覚醒を果たした宗谷…。
そして時を同じくして、精神を病み、幻を見ていたネプテューヌが……。

異世界のちに揃う主人公たちのクロスオーバーバトル、そして勇者へと覚醒した宗谷!
この先のネプおばは、熱く燃えたぎる!!

それでは次回もお楽しみに!
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