超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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………やべぇ、調子に乗りすぎた。
恐らく今回の話は、今までの話の中最も長いです(汗

今回が一番の見せ場でもあったというのもあると思うんですが…。

と言うことで、どうも白宇宙です。

今回のお話は、前回覚醒に至った宗谷彼の持つ力とは…。
そして、そのころプラネテューヌでは!

それでは、少々休憩しながらでもいいのでどうぞ、お楽しみください。


stage,67 俺と覚醒した力

 

 

 

「………勇者………?」

 

宗谷は差しのべられたディケイドの手を見つめながら、今先程ディケイドが自分に向けて行った言葉を繰り返した。

ディケイドは宗谷の言葉を肯定する意思を込めて首を縦に振ると、一度変身を解除し、元の門矢 士としての姿に戻った。

 

「そう、俺達はある奴に頼まれてこの世界に来た……そいつはこう言った、この世界でまだ目覚めていない勇者を、目覚めさせてくれと……」

 

「その勇者が俺だっていうのか?」

 

「まあ、そう言うことらしいな」

 

あまりにもスケールが大きい話題の割に、士は何気ない会話の様な返答を返す。

当の宗谷も急にそんなことを言われてどうすればいいのかわからず混乱しているかのようだった。

 

「おい、さっきと違って、急にやけに大人しくなったじゃねぇか」

 

そんな宗谷の様子を見て、宗谷にそう聞きながらゴーカイレッドも一度変身を解いた。

 

「………だって、本物のヒーローが出てきたと思ったら……今度は俺が勇者って……」

 

「……まあ、その力の大きさに驚くのも無理はねぇ、でもお前はさっき決めたばかりじゃないのか?」

 

「……え?」

 

混乱する宗谷に今度は元の状態に戻ったウルトラマンゼロが言った。

人差し指を立て、宗谷のことを指さしながらゼロは言葉を続ける。

 

「お前は今、守りたい物のために諦めないと言った、なら、今お前がするべきことは何だ?」

 

「俺が……するべきこと……」

 

彼が勇者であると告げられる前に、自分が言葉として出した物。

それを、宗谷は再び心中で復唱し始める。

自分がこの世界にできた大切な繋がり、大切な仲間、そしてその繋がりと仲間が出来たこのゲイムギョウ界と言う今自分が生きるこの世界。

 

そう、今しがた宗谷が心に決め、願ったのはそんな大切な物が溢れるこの世界を守ること、この世界を守るための存在、宗谷が思い描いた“ヒーロー”………。

 

それを再び思い出した宗谷の頭が徐々に落ち着きを取り戻し、頭の中がクリアになっていく。

 

すると、どうしたことか彼の右腕のブレスレットが再び淡い虹色の光を帯び始めた。

 

そしてその光を感じ取るように、そっと目を閉じた瞬間…。

 

 

 

―――………―――

 

 

 

「っ!」

 

宗谷は、その光の中で何かを感じ取った。

彼が感じ取ったその感覚は、深く体の中に染み込んでいくように彼の中で広がって行った。

 

もしこの感覚が自分の感じた通りのものだとするなら……。

 

“これならきっと、みんなを救うことが出来る”………!

 

(これが、俺の新しい力………)

 

 

 

「そう、それが君自身の特異点の力の証だよ」

 

 

 

突然、宗谷の耳に目の前にいる三人とはまた別の声が聞こえてきた。

この声は、ここに来る前の夢の中でも聞いた声…。

宗谷が次に視線を上げた時、そこには三人の姿はなかった。

 

そして、その代わりに彼の視界に広がっていたのはまるで宇宙の様な神秘的な空間とその空間の中で一人佇んでいる女性、彼の夢の中に出てきた大人の姿に成長したネプテューヌだった。

 

「やっほ~、また会ったね♪」

 

「大人のネプテューヌ……」

 

彼女の姿を見て驚くでもなく、動揺する様子も見せない宗谷、その様子を見た大人ネプテューヌは足早に彼に近づく。

 

「どう、君の特異点の力をゲットした気分は?」

 

首を傾げながらそう問いかけてきた彼女に、宗谷はそっと目線を下に伏せると右手首に嵌めてあるブレスレットを見つめる。

 

「……正直、あんまり実感がわかない」

 

「あれ?」

 

彼の答えに苦笑いを浮かべながら大人ネプテューヌがギャグマンガよろしく、軽く転びそうになる。

彼女自身はここでもっと熱いセリフが来るものかと思っていたがために、予想外だった。

頬を引きつらせながらう~むと考え込むような動作をする大人ネプテューヌ、宗谷に大見得を切ってここまで誘導した手前だがこの状態で本当に大丈夫なのかと今更ながら心配になってきた。

 

だが、目線を伏せていた宗谷が次に顔を上げた時、彼女のその心配は一瞬にして消え去った。

 

「でも、今すぐにでもあいつらを助けたい気持ちが強くなった」

 

そう言うと宗谷は右手首のブレスレットを大人ネプテューヌに見せるように構える。

 

四色の石がはめ込まれていたブレスレットはシンプルな形状から大きくその姿を変え、全体的なフォルムは携帯ゲーム機を思わせるデザインに変わり中央には液晶画面が、そして左右には十字キーと紫、黒、白、緑の四色のボタンが備わっている。

そのブレスレットを構えながら、宗谷は強い意志を込めた眼差しを大人ネプテューヌに向けた。

 

「この力、これが俺の賭けた可能性が出した結果なら、次はこいつがどんな力を俺にくれるのか試す番だ」

 

「………迷いはない?」

 

「迷う必要がない」

 

ここで迷っていてはそもそも、覚悟を決めた意味がない。

 

なにせ、今の彼の心にある思いは揺るぎない物として宗谷の中に確立しているのだから…。

 

 

 

「今俺がやるべきことは、今度こそ大切なものを救うため、そして守るために、全力を尽くすことだ!」

 

 

 

直球、単純、ストレート、ただそれだけ、だがまっすぐなその思いが宗谷にとっての覚悟だ。

それは彼以外に変えることはできないし、彼しか持つことのできない唯一無二の思い。

 

それを聞いた大人ネプテューヌは満足げにほほ笑んだ。

そして次の瞬間、宗谷に思い切り抱き付き、力いっぱいその両腕で彼のことを抱きしめた。

 

「おわっ!? おい、何を!?」

 

「うん、やっぱり君に任せてよさそう! いや~、あの人の言ってたことを信じてよかったよ!」

 

「だから何言ってんだよ! ていうか、あの、あ、当たってる当たってる! すっげーやわらかいものが!」

 

「え? ……あぁ、ごめんごめん」

 

いきなりの行動によって彼女の発育がすごくいいことによる結果であろう感触に驚く宗谷。

大人ネプテューヌはその反応に彼を抱きしめていた腕を離すとまるで子供のように下をちろっと出してウィンクをして見せた。

大人っぽい見た目に反してこの子供の様な仕草にこの時宗谷は一瞬どきりとしたが、すぐに思考を切り替えるべく頭を左右に振って表情を真剣なものに戻す。

 

「と、とにかくだ……俺のやることはもう決まった」

 

「うん……じゃあ、早く行ってあげないとね」

 

大人ネプテューヌはそう言うとフィンガースナップを一度鳴らした。

すると、どういう原理なのかは知らないが突然宗谷の脳裏に様々な光景がまるでビデオを再生するかのように流れ込んできた。

 

今プラネテューヌで起きていること…。

 

イストワールとアイエフ達が戦っていること…。

 

キリト達ヒーローメモリーの主人公たちも手を貸してくれていること…。

 

そして、ネプテューヌの今の状況………。

 

彼女の姿を見た時、宗谷は目を見開いて驚愕した。

 

「……ネプテューヌ……あいつ」

 

ネプギアを失ったショックを引き金に、精神を病んでしまった彼女。

あの時、新・犯罪神から女神達を守り切れなかったことの結果……絶望の連鎖が招いた悲劇。

うつろな目をしている彼女の姿が痛々しくて、宗谷はいてもたってもいられなくなっていた。

 

「………まずは、こっちの世界の私の所に行ってあげて」

 

大人ネプテューヌはそう言うと、宗谷のブレスレットを指さした。

 

「その力を使いこなすには、こっちの世界の私たちの力も必要みたいだから」

 

宗谷は彼女が指差したブレスレットに目を落とした。

そして、しばらくして宗谷が強く頷くと大人ネプテューヌはその先は何も言うことなく、もう一度フィンガースナップを鳴らそうとする。

後は宗谷のやること、自分にできることはここまでだと……。

 

「あのさ……あんたが言ってた救ってやってくれって娘の事だけどさ……」

 

しかし、直前になって宗谷が口を開いた。

その言葉の内容は自分が彼に頼んだもう一つの願い……彼女の重要な願い……。

それを突然切り出した宗谷にフィンガースナップを鳴らそうとした大人ネプテューヌはその手の動きを中断した。

 

「………そいつも救うよ、絶対」

 

彼の宣言を聞いて、大人ネプテューヌは僅かに表情を変えたが、すぐにそれは微笑みに戻った。

 

「………じゃあ、お願いするね」

 

彼にその願いを託し、大人ネプテューヌは最後のフィンガースナップを鳴らした。

 

彼を元の世界に引き戻す合図を………。

 

 

 

 

 

 

気付くとそこは聖地・クロスオーバーだった。

どうやら今先程までいた空間から戻ってきたらしいと宗谷は判断すると、視線を上げた。

目の前には士、マーベラス、そしてゼロの三人が並び立っている。

端から順番に視線を向けて言った宗谷は膝をついた状態から立ち上がった。

 

今の彼に、迷いはない。

 

あるのは覚悟と、大人ネプテューヌと交わした約束…。

 

そのために、宗谷は決意する。

“勇者”の力を、受け入れることを…。

 

「士さん、マーベラスさん、ゼロ………俺、行ってきます」

 

決意と共に、宗谷は目の前にいる三人にそう言った。

三人は互いに顔を見合わせ、再び宗谷の方に向き直るとその言葉に答えるようにこくりと頷く。

 

「行って来い、お前の守りたい物を守って来い!」

 

親指と人差し指、小指を立てて宗谷を激励するゼロ。

 

「わざわざここまでしてやったんだ、ケリをつけたいならきっちりつけて来い」

 

不器用ながらも宗谷の背中を押そうとするマーベラス。

 

「……この世界を守るのは、女神とかいう奴らとお前の役目だ、誰にもできない、お前達だけのな」

 

首に掛けたトイカメラのレンズを宗谷に向けてシャッターを切りながらそう言った士。

そして彼は一歩前に出るとじっと彼を見据える。

 

 

「……お前に覚悟があるなら、その覚悟を信じろ、そして前へ進め……最後に信じれるのは自分の決意した道だからな」

 

 

彼らの言葉を受け取った宗谷はその言葉を噛みしめるように再び強く頷くと三人に背を向けて走り出した。

 

「リンク・オン!!」

 

ベルトから赤剣を呼び出し、V.phoneを構えてすぐさま変身した宗谷はそのまま走りながらスキルリンクで呼び出したブーステッド・フィアンマを装備し、勢いよく地面を蹴りそのまま空を駆け抜けていった。

 

どんどんと距離を離し、小さくなっていく宗谷の背中を士、マーベラス、ゼロの三人は見つめ続けた。

この世界で目覚めた新たなヒーロー、その誕生に立ち会った彼らは感慨深いものを感じながらその背中を見送る。

 

「………これでよかったんだろう?」

 

ふと、士がもう既に宗谷の姿が見えなくなった空を見上げながらそう言った。

目の前には既に宗谷の姿はない、ならこの言葉は誰に向けて行った言葉なのか、それは程なくしてわかることとなった。

 

士の言葉に答えるように、三人の背後に一人の人物が現れた。

 

「うん、ありがとう……手伝ってくれて」

 

それはヴィクトリオン・ハートだった。

なぜ彼がここにいるのか、それは先程までプラネテューヌの街にいた彼だったが、宗谷の様子を見るためにすぐに聖地・クロスオーバーに向かったのだ。

そのために力を使ったのか、今の彼は顔に仮面を被り、腰にはベルトを巻いている。

 

「……昔なじみの頼みでもあったんだ、いちいち気にするな」

 

「……そうだね、“彼女”の助言がなかったら僕もこの手段を思いつかなかったかもしれない」

 

 

士が言ったこと、それはこの世界のゲイムギョウ界がこのようなことになる前、旅の途中に知り合ったこの世界と似た世界で出会った、一人の女神からの頼みだった。

 

まだ特異点として覚醒していない宗谷を覚醒させるための手段、それを考え付いたのは“こことは違う世界”で宗谷達の身に起きた事件、その際に彼が再会した“異世界の女神だった者の言葉だった”。

 

そう、彼を覚醒させるには同じ力を持つものをぶつけて、力を呼び起こすしかない。

そのために彼は士に頼み、こことは違う次元世界から同じ特異点の力を秘めたヒーローを集めて貰ったのだ。

もちろん、簡単と言える手段ではないし一か八かの賭けでもあった、そのため周りに心配を掛けないようにこのことを思いついた時点でその内容をライラやヤエ、そしてステラとシンシアにも秘密にしていたのだ。

 

そして、彼の賭けもまたうまくいった。

宗谷はこれで特異点の力を扱うことが出来る。

 

 

“完全なフォーチュンリンク・システム”を………。

 

 

頼まれた役目は果たした士はヴィクトリオン・ハートにそう言った後今度は後ろにいたマーベラスは機嫌が悪そうに鼻を鳴らした。

 

「海賊をこき使っておいてそれだけか、ずいぶん偉そうだな」

 

そんな彼にマーベラスは不機嫌そうにそう言い放った。

だが、すぐにその表情にどこか楽しげな感情が籠った笑顔が浮かぶ。

 

「でも、悪くねぇもんが見れた……面白そうじゃねぇか」

 

「ああ、同感だ、ああいうまっすぐな奴は俺も嫌いじゃねぇぜ」

 

マーベラスの意見にゼロも賛同した、彼らもまた彼との戦いを通した見た彼の諦めない姿、そして決意の言葉が本物だと知ったのだ。

あの言葉はそれに対する彼らなりの評価なのかもしれない。

ヴィクトリオン・ハートはそう思っていると、士が彼にもトイカメラを向けてシャッターを切った。

 

「最初は大丈夫かと思っていたが、“セレーナ”の言う通りだった……あいつもなかなか面白い」

 

「………士君」

 

「またいずれ、この世界に来ることがあるかもしれない……その時、あいつがどうなってるのか楽しみにさせてもらうとするぜ……」

 

士はそう言い残すと、ヴィクトリオン・ハートの隣を通り過ぎて行った。

それに続くようにマーベラス、そしてゼロも通り過ぎていく。

彼らの姿を追うようにヴィクトリオン・ハートがそっと後ろを振り向くと、そこには彼らの姿はなく、代わりに灰色のオーロラのようなものがその場に広がっていた。

どこまでも終わりがないように波打つ灰色のカーテンをしばらく見つめ続けるが、やがてそれは何もなかったかのように消えてしまった。

彼らは元の世界に戻ったようだ…。

 

彼らを見送ったヴィクトリオン・ハートはそっと視線を前に戻すと先程の士たちのように彼が飛び去って行った方角の空を見つめる。

 

「………これで、準備は整った………後は君次第だ」

 

自分の信じた可能性を秘めた彼が、今試練にどう打ち勝つのか……。

 

そして、彼がどのようにして救うべき存在を救うのか……。

 

「さあ、ここからが本番だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何やら外が騒がしい、何かあったのだろうか?

自分は今、妹と遊ぶのに忙しいというのに耳障りにもほどがある…。

ネプテューヌは自室でゲームのコントローラーを操作しながら外から聞こえる音に眉をしかめた。

隣にはいつも一緒にいる最愛の妹、せっかくこうして一緒にいるのに邪魔をしてほしくない。

 

「ネプギア、なんだろうね……? なんか、うるさいよね……」

 

妹の方を向きながらそう聞くネプテューヌ、しばらくして妹の同意した。

 

「うん、でも、気にしないようにしよっか? だって、せっかく今は遊んでるんだしさ……え? 遊んでばかりだと、いーすんに怒られる……? バレなきゃ大丈夫だよ、バレなきゃ……」

 

一緒に遊びながらも自分にそう言ってくる妹のありがたいような空気の読めないような気づかいにいつもの様な返答を返して再び目線をテレビの画面に向ける。

今はこうして彼女と一緒にいる時間を満喫したい、せっかくなんだからこうしてまた、いつものように…。

 

(………また?)

 

この時、彼女の頭の中で疑問がわいた。

 

なぜ自分は今、また、と言ったのか…。

妹とはいつも一緒にいるではないか、それなのになんで…。

無意識の内に首を傾げたネプテューヌだったが、すぐに気のせいか何かだと頭を振ってその雑念を頭から払う。

 

すると、ここでふと彼女があることを思い出した。

 

「……あ、そうだ、ネプギア……昨日ね、宗谷の部屋でゲームしたんだよ、ギャルゲーだったんだけどこれがすごい鬱なエンディングでさ~、どんなことになったと思う?」

 

それは昨夜、宗谷が部屋でいつの間にかいたイストワールと共にプレイしていたゲームの内容だった。

あの衝撃的な展開から迎えたエンディング、あれは忘れようにも衝撃的すぎて頭から離れなかった。

 

「なんだかね、主人公とその妹が最後にバトルすることになったんだよ……ちょっとした行き違いでこんなことになってしまったんだって、主人公がすっごい後悔するんだけどさ、結局その主人公は妹を傷つけることが出来なくて………それで、最終的にお兄さんは妹にやられて死んじゃうんだよ……鬱以外の何物でもないよね?」

 

その後、その主人公の妹は死に間際の兄の言葉を受けて自分が何をしたのかを理解し、泣き崩れ、そのことを一生後悔することとなったという…。

その後、戦いに対して臆病だった少女は兄の面影を追って強くなっていった。

ただひたすら孤独に、たった一人で……。

それが、その日に彼女が見たエンディングだった。

 

「仲の良かった兄妹が喧嘩して、どっちかがいなくなって……それってすごい酷い展開だよね……だって、その妹ちゃんごめんなさいも言えなかったんだよ? それですっごい後悔しててさ……」

 

今なら、あのヒロインの気持ちが共感できる。

自分の手で殺めてしまった兄、その兄にはもう自分の言葉は届かない、当然謝ることも仲直りをすることも…。

 

「それでさ、なんだかすっごいそのヒロインに感情移入しちゃうっていうかさ~……まるで…まるで……まるで………」

 

ここで再び、ネプテューヌはまた疑問を感じた。

 

「………?」

 

自分はなぜ、そのヒロインに共感したのか?

 

なぜこの一連のストーリーを他人事のように思えないのか?

 

 

なぜ、今………“まるで”と言う言葉を使ったのか?

 

 

 

その言葉の先に何が繋がるのか……?

 

 

 

咄嗟に感じたその疑問はネプテューヌを思考の中に引きずり込んだ、

なぜ、紘も自分は今の状況の中でたびたび違和感を感じるのだろうか? 今自分がいるのはいつもと変わらない日常の中、妹と一緒に遊んでいる最中、何も変わらない、いつも通りの光景…。

 

なら何なのだろうか、この胸の中に感じる空虚な喪失感は…。

この、言い知れぬ虚無感は……。

 

一体、何が疑問なのか?

何がおかしいのか、彼女には理解できない。

 

そのため彼女はふと、この話題の元となった宗谷の部屋に訪れる前の事を思い浮かべ始めた。

なぜ自分はあの場にいたのか、あの場に行く前に何があったのか?

確かあの日は、一人でお風呂に入ろうとして……そこでイストワールと鉢合わせして、そのまま二人で浴場に……。

 

 

 

………一人?

 

 

 

いつもなら妹と一緒に入るはずなのに、なぜこの時は一人だったのだろうか?

 

その疑問が彼女の記憶をそれより前に遡らせた……。

 

確かその時は、部屋の中にいて……。

でもその前に確か、リビングにいて……。

そこには、宗谷、アイエフ、コンパもいて……妹もそこにいて……。

 

確かそこでは、ゲームが置いてあってそこにはステージをクリアしたという知らせが映し出された画面があって。

 

そして、自分は………何をした?

 

 

何を言った………?

 

 

何があった………?

 

 

 

そこで、何を言われた………?

 

 

 

 

 

 

――――………ダ女神。

 

 

 

 

 

「………あ」

 

 

 

 

 

 

――――お姉ちゃんのダ女神!! もう、知らないもん!!」

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

ネプテューヌは、その場でばねの如く勢いよく立ち上がった。

 

そうだ、確かこの言葉は妹の………ネプギアから言われた言葉………あの日、自分は彼女と些細なことで喧嘩していた。

そして、それはその後も尾を引いていて…。

 

でも、自分は今こうして隣にいるネプギアと一緒に……。

 

「………ネプ、ギア?」

 

ゆっくりと視線を隣に向けた時、そこには最愛の妹の姿はなかった。

 

あるのはおそろいのクッションだけ、その上には誰も座っていない。

 

「………ネプギア……? どこ…?」

 

まわりをゆっくりと見回すネプテューヌ。

いつもと変わらない自分の部屋、だがその部屋のどこに目をやってもネプギアの姿はない。

 

「どこ………どこにいるの? どこにいっちゃったの? ………ネプギア!」

 

声を大きくして彼女の名を呼ぶ、だがその声に答えてくれる者はいない…。

どうして、彼女はいないのか……。

どうして、出てきてくれないのか……。

 

「ネプギア………」

 

ふと、彼女の名前を呟いた時だった。

 

 

彼女の脳裏に、もう一つの言葉が浮かび上がってきた。

 

 

 

 

 

――――――………ダ女神なんて言って………ごめんね………

 

 

 

 

 

そして、浮かび上がってきた……。

 

 

 

 

 

 

―――――………大好きだよ………お姉ちゃん………

 

 

 

 

 

 

彼女がその言葉を最後に、自分の目の前から消えていった……その瞬間を……。

 

 

 

「あ………あぁ………あああっ!」

 

 

 

そう、彼女はすべてを思い出した。

彼女がどうしていないのかを、何が起きたのかも、なぜこんなことになったのかも…。

ネプギアがいない理由、それは彼女がもう既にここにいないから…。

いや、と言うよりも、もうこの世にいないから…。

 

「あぁぁぁ……!」

 

彼女だけじゃない、ノワールもブランもベールもユニもロムもラムもすべて消えた…。

残ったのは自分たった一人だということを…。

 

そして、あの時、自分は何も言えなかったことを…。

 

彼女が謝ったのに、自分は何も言えなかったことを……謝ることが出来なかったことを……。

 

「あ、あぁ、ぁ……いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!」

 

すべてを理解し、我に返った瞬間、ネプテューヌは絶叫した。

 

今まで見ていたのはすべて自分が都合よくみていた幻、実際はもう自分がひとりぼっちであったこと。

 

それらすべてが、彼女の目の前を絶望で染め上げた。

受け入れがたい現実、しかし、もう取り返しがつかない…強大すぎる敵の力にたった一人で抗ってももう彼女は帰ってこない。

 

女神殺しの魔剣で殺された、ネプギアは……みんなはもう帰ってこない。

 

「ぁ……ぁあ……っ……あっ……やだ……やだよぉ……こんなのやだ……ネプギア………みんな………一人に………しないで………こんなの、いやだよぉ…!」

 

その場に頭を抱え、泣き続けるネプテューヌ。

あの時と同じ、うわ言のような事を呟きながら涙を流すネプテューヌ、仲間を目の前で失い、最愛の妹とも喧嘩して、そのままもう永久に会えなくなってしまった。

 

その現実はあまりにも彼女には辛く、受け入れがたいものだった……。

 

 

自分はこれからどうすればいいのか……。

 

 

答えの見えない、暗闇の様な思考の中で彷徨いながら、彼女は泣き続けた。

 

 

 

 

 

「ネプテューヌ!!」

 

 

 

誰もいないはずの部屋を蹴破ってくる、一人の人物…。

聞きなれた声と自分を呼ぶ声が、彼の物だと理解する、その時までは……。

 

 

 

「……ソウヤ……?」

 

声の主、宗谷の方に目を向けたネプテューヌ、それに対して宗谷は彼女を見つけるとゆっくりと部屋の中に入ってきた。

 

「ソウヤ………ネプギアが………みんなが……私……私……みんなを…!」

 

彼の姿を見つめ、涙を流しながらそう言い続けるネプテューヌ。

 

自分の手が届かなかった…謝ることもできなかった…みんなを助けることが出来なかった…様々な後悔の念を込めた涙を流す彼女にはもうどうすればいいのかわからなかった。

故に、答えが見つけられないまま、子供のように泣きじゃくるしかなかった。

 

部屋の中に響くネプテューヌの嗚咽交じりの泣き声。

その中で、宗谷はそっと彼女に近づき、その場に座り込んでいる彼女に合わせて自分もしゃがんだ。

 

そして、ゆっくりとネプテューヌの手に自分の手を重ねてその手を掴んだ。

だがそれだけで彼女は泣き止まない。

彼女の受けた絶望の傷は、それだけで塞がるほど浅くはない…。

 

だが、宗谷はそれを理解していた…。

人を失う悲しみを、彼は知っていたから…。

だからこそ、繰り返したくないと願ったから、彼はこの手を掴んだ……。

 

そして、こう言い放った。

 

 

 

「諦めるな」

 

 

 

その言葉にネプテューヌはピクリと体を震わせてゆっくりと目線を宗谷に向けた。

ネプテューヌの目をじっと見つめる宗谷、その瞳はまっすぐに彼女の瞳を見つめている。

この時、その瞳に写り込んでいた自分の姿をネプテューヌは見た気がした。

空虚な目をした、自分の姿を……。

 

「諦めるのは、まだ早いぞネプテューヌ……」

 

「………でも、みんなはもう………」

 

「お前はこのままでいいのか? このままネプギアと仲直りできなかったままお別れしていいのか?」

 

その言葉がちくりとネプテューヌの胸に刺さった。

 

「このままネプギアと……みんなと過ごすいつもみたいな日々を、お前は諦めるのか?」

 

そう言われたネプテューヌの胸に再び後悔の念と悲しみの渦が巻き始めた。

 

そんなことを言われなくても、自分の中の思いは決まっている…。

 

 

 

「………やだよ……そんなの嫌に決まってるよ!」

 

 

 

心の内にある思いを思い切り吐き出すネプテューヌ。

しかし、その思いとは正反対に現実は非情で…。

 

「でも、もう無理なんだよ! みんな消えて、みんないなくなって! もう手が……届かない……もう、私の言葉も届かない……」

 

彼女は自分の目の前で消えていった…。

他の女神達も……。

今彼女たちに何を言っても返事は帰ってこない…それは覆すことのできない事実なのだ。

 

だが、宗谷は彼女の言葉を受けながらも、優しくその手を握り続ける。

 

「………まだ、その声が届く可能性があるとしたら?」

 

「………え?」

 

宗谷のその言葉にネプテューヌは反応した。

そして、宗谷はそっとその手を握りながら祈るようにそっと目を閉じた。

 

その瞬間、彼女の手を握る宗谷の右腕に嵌っているブレスレットが淡い虹色の光を放ち始めたではないか…。

その光は優しくネプテューヌの手を包み込みんだ。

 

(………この光)

 

シェアエナジーに似た輝きを放つその光、輝き方こそ似ているがその光はいつものシェアとはまったく違う感覚だった。

だが、それでもしっかりと伝わってくるこの感覚……。

 

(温かい……)

 

まるで、マジェコンヌとの戦いの時に感じたあの感覚の様な安心するこの感覚…。

 

宗谷の意識と、みんなの意識が同調したあの時に感じた感覚に似ている…。

 

そして、その感覚を通して……彼女の中に何かが流れてきた……。

 

 

 

 

 

―――………お姉ちゃん

 

 

 

 

 

「っ! ………ネプ…ギア…!?」

 

はっきりと聞こえた、はっきりと感じた、今自分の中で彼女を……失ったと思った大切な妹を……ネプギアの意識をはっきりと……。

しかも、それだけじゃない。

 

(みんなの……みんなを……感じる……)

 

今はいないはずの女神達の意識を彼女ははっきりと感じる。

理屈はわからない、でもそれは間違いなく確かにものだと彼女は疑うことなく理解することが出来た。

 

 

 

ネプギアは………みんなはまだ“生きている”と………。

 

 

 

そう確信したネプテューヌの手を宗谷は両手で包み込んだ。

 

「これが……可能性……“繋がりの力”だ……」

 

「繋がりの力……」

 

「ああ、だからまだ諦めるのは早い………まだ、みんなを助けることが出来るかもしれない!」

 

宗谷の強い意志の籠った言葉を受けた時、自然と涙は止まっていた。

まだ、可能性はある…。

まだ、諦めるのは早い…。

 

「ネプテューヌ……ごめんな、約束したのにこんなことになって……でも、まだ間に合うなら答えてくれ…」

 

 

 

 

 

―――俺と一緒に戦ってくれるか?

 

 

 

 

 

宗谷のその言葉を聞いたネプテューヌはそっと瞳を閉じた。

この光は、自分に彼女たちの存在を知らせるためだけじゃない……この世界を救う最後の希望でもある。

 

 

彼はこの可能性に賭けている、だから今こうして自分の前現れた…。

 

諦めかけ、絶望に染まっていた自分に手を差し伸べて…。

 

……これからどうするか、答えはわからない。

 

でも、これだけはわかる。

 

このまま諦めてはいけないと……。

 

 

次に目を開いたときの彼女の瞳は先程までの空虚な物とは違った、強い意志の籠った瞳が宗谷を見つめ返していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だりゃりゃりゃりゃりゃりゃぁ!!」

 

プラネテューヌの街の上空で、悟空は自分が引き受けた宿敵、フリーザと壮絶な攻防を繰り広げていた。

目にも見えない速さで撃ち出される両者の拳と蹴り、その攻撃を受け止め、躱しながら反撃を織り交ぜ、上空を飛び回り続ける。

 

ここで、フリーザが悟空の顔面目がけて回し蹴りを放った。

悟空はその攻撃を両腕で防御するが、その瞬間自分の腹部に強烈な衝撃と痛みが走った。

そのダメージはフリーザが蹴りと同時に手から光弾を発射したことによるものだった。

 

「うわぁぁああ!?」

 

光弾を受けて後ろに吹き飛ぶ悟空、フリーザは好機とみるや悟空に向けて何発もの光弾を撃ち込んでいく。

吹き飛ばされ、ビルに激突した悟空に時間差をおいて公団の雨が降り注いだ。

たちまち爆発によって発生した煙に悟空は包まれ背後のビルは崩落していく。

 

仕留めたか、フリーザがにやりとほくそ笑んだ時だった。

 

 

「やっぱ、本物とは到底違うな……」

 

 

しかし、声が聞こえた、それは紛れもなく自分が今跡形もなく吹き飛ばした悟空の声だった。

そしてその声が後ろからだと気付いたときには、既にフリーザの横腹に重い一撃が繰り出されていた。

大きく横に吹き飛んだフリーザ、その最中にフリーザはいつの間にか背後にいた悟空に目を向ける。

 

「本物の攻撃はもっと重かったぞ……!」

 

この時の悟空は先程までの姿から一変していた。

黒かった髪が逆立ち、金色に染まり、瞳の色も翡翠色へと変わっている。 そして何より、彼の体から溢れている強大な金色のオーラ。

 

そう、悟空はさらに強くなったのだ。

この変化はその証、“サイヤ人”と呼ばれる戦闘民族に伝わる伝説の戦士、それに悟空がいたった姿、またの名を“スーパーサイヤ人”。

 

「あいつの力や格好を真似たくらいじゃあ、オラは倒せねぇ!!」

 

スーパーサイヤ人の力を解き放った悟空は横に吹き飛んだフリーザを見据えて両手を腰だめに構える。

 

「かぁ……めぇ……はぁ……めぇ……!」

 

構えた両手の間に青白い光が灯り、それは次第に大きくなっていく…。

 

 

「波ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!」

 

 

叫び、悟空はその光を両手を前に突き出し解き放った。

撃ち出された光は束となり、まっすぐにフリーザに向かっていく。

咄嗟に体勢を立て直したフリーザは手からエネルギーの波動を撃ち出すがそれは僅かに悟空の放った光の束を押し返しただけで、そのままあっさりと押し返されてしまった。

 

次の瞬間には、フリーザの体は、いや、フリーザの体をコピーしたコピペロイドは悟空の渾身の“かめはめ波”を受けて跡形もなく消滅した。

 

 

 

 

 

地上では鋭い棘を備えた巨大な亀の甲羅が竜巻の如く回転しながら縦横無尽に駆け巡っていた。

 

ピンボールよろしく周りにぶつかり、軌道を変えながらこちらに向かってくるその甲羅をマリオは大きく跳躍して飛び越える。

 

難なく甲羅の突撃を回避し、地面に着地したマリオ、そして彼を襲おうとした甲羅は回転を一旦停止し甲羅にあいた6つの穴から強靭な手足と尻尾、そして凶暴な怪獣を思わせる顔が出してクッパが元の状態に戻った。

攻撃を躱されたことに対して機嫌を悪くしたのか、クッパはその場で地団太を踏む。

 

「さて、次はこっちの番かな!」

 

帽子のつばを指で弾きながらそう言ったマリオは勢いよく駆け出し、クッパに向かっていく。

クッパは近づいてくるマリオを迎え撃つために、口から強烈な火炎を吐き出す。

 

「Yea!」

 

しかし、マリオは目の前に迫る火炎を回避することもなく真正面から迎え撃った、右手に持って広げた鮮やかな黄色のマントを翻しながら。

 

途端にそのマントに直撃した炎が跳ねかえり、逆にクッパの顔面を直撃する。

 

「さすがに予想できなかったかな?」

 

今マリオが使用したマント、それは“スーパーマント”と呼ばれるアイテムだ。

このアイテムは自分に迫ってきた攻撃を跳ね返すことが出来るアイテムであり、マリオが常連で参戦しているとあるゲームでもおなじみの攻撃方法である。

 

スーパーマントで火炎を跳ね返されたクッパは顔を覆いながら僅かにたじろいだ。

その隙をマリオは見逃さず、見事なホップステップジャンプの要領で高く跳躍すると一気にクッパの背後を取り、そのまま尻尾を掴む。

そしてそのままクッパの体をハンマー投げよろしくジャイアントスウィングで振り回すと空に向けて思い切り投げ飛ばした。

 

「OH,Yea! Yahooooooooooo!!」

 

そして、立て続けにマリオは両手に炎を灯すと、両手を円を描くように動かすと燃えたぎるその炎を上空に跳ばしたクッパに向けて放った。

 

“マリオファイナル”、マリオが持つ最大火力を秘めた強力な必殺技である。

 

放たれた二つの炎は竜巻のように回転し、そのままクッパに寸分の狂いなく直撃した。

空中でクッパの姿をコピーしたコピペロイドが爆散するのを見届けたマリオは得意げにその場でターンした。

 

「“大乱闘”で鍛えた腕は伊達じゃないよ」

 

 

 

 

 

『ショッカーーーーー!!』

 

歩道橋の上に立つショッカーグリードが下にいる仮面ライダー1号に向けて両手の指を向け、そこから強力な威力を秘めている弾丸を撃ち出した。

自分に迫る弾丸を1号は素早く受け身を取り、地面を転がりながら回避しショッカーグリードとの距離を縮める。

 

「トォ!」

 

一定の距離に迫ったところで、1号は大きく跳躍しショッカーグリードのいる歩道橋の上に着地した。

目の前に現れた1号を倒すべく、ショッカーグリードが拳を握り、1号に殴りかかる。

しかし、1号はそれを受け流し、続けざまに放たれた蹴りも回避する。

そして再度放たれたショッカーグリードの拳を蹴りで弾くと、さらに1号は後ろ回し蹴りで反撃し、追い打ちで正拳突きを連続で叩きこんでショッカーグリードを追い詰める。

 

「ライダーパンチ!」

 

とどめとばかりに強烈なパンチをショッカーグリードの顔面に打ち込んだ1号、ショッカーグリードはその威力に溜まらず地面を転がった。

1号の反撃を受けたショッカーグリードはより自分が有利に立つために腕の翼を翻して空へと飛ぶ。

 

1号は空を飛ぶ手段を持ち合わせていない分、不利になると考えての手段だ。

空へと逃げおおせたショッカーグリードは再び1号に向けて指から放つ弾丸を浴びせかける。

 

弾丸が降り注ぎ、砂塵に包まれる1号。

今の攻撃を受ければ一溜りもないだろうとショッカーグリードが確信した。

 

だが、その時!

 

 

「トォォォォオオオ!」

 

 

立ち込める砂塵の中から1号が飛び出してきたではないか!

慌てたショッカーグリードは自分に迫る1号を躱すためにさらに上空へと逃げようとする、しかし、既に1号はそのことを予想済みだった。

 

「逃がしはしない! 受けてみろ!!」

 

空中で身を翻した1号は飛び出した先にあったビルの壁を身を翻し、足をつけ、再び跳躍するように鋭角の角度で飛んだ。

さらに反対側のビルも同じ要領で反転ジャンプし、より高くショッカーグリードと同じ高さまで近づいていく。

そして、一定の距離に近づいたとき1号はショッカーグリードに向けて右足を突き出した。

 

この時、1号が飛んだ軌道はまるで“稲妻”を描いている様であり。

 

反転し、反対方向へと跳ぶことでさらに勢いを増大させて繰り出すこの必殺技の名は……

 

 

「ライダー稲妻キィィィィィィィィィィィック!!」

 

 

仮面ライダー1号が放った渾身の必殺技、“ライダー稲妻キック”が上空にいるショッカーグリードの体を見事に貫いた。

爆散するコピペロイドを背に、仮面ライダー1号は身を翻しながら地面に着地し、左手を腰に右手を左斜め上に伸ばす、彼独特のポーズを決める。

 

 

 

 

 

その巨体と同等な迫力を秘めた咆哮を上げながら、悪魔、グリームアイズは自分に迫る黒い影に向かって思い切り巨剣、斬馬刀とも呼ばれるその剣を振り下ろした。

重い音と共に地面が抉れ、その威力がどれほどの物かをこれでもかと物語る。

 

だが、その一撃を前にしても、グリームアイズに立ち向かうキリトは止まらなかった。

 

振り下ろされた一撃を横に跳んで回避したキリトはそのまま一気にグリームアイズに接近し、ぐっと足を大きく曲げて大きく跳躍した。

 

「うぉぉぉぉぁぁぁああああ!」

 

大きな動きによって生じた隙を見逃さず、キリトはがら空きになったグリームアイズの脇腹をすれ違いざまに右手の愛剣、エリュシデータで切り付けた。

深く抉りこんだ漆黒の刃がグリームアイズの横腹をまっすぐに駆け抜け、切り裂く。

 

だが、その程度の攻撃でグリームアイズが倒れないのは既にキリトは理解していた。

故にまだ止まらない、まだまだ、もっと早く斬り続ける…!

そのためにもと、キリトは着地と同時に素早く右手を振って“メニューウィンドウ”を呼び出すとその中にある彼の切り札のためのアイテムを選択し、スキルを示すアイコンをタッチし、OKを叩く。

 

グリームアイズがすぐさま後ろを振り向いたとき、既にキリトはまた走り出していた。

一気にグリームアイズの懐まで潜り込んだキリトはエリュシデータを袈裟懸けに振り下ろして先制攻撃を取り、さらに追撃のために背中にある“もうひと振りの剣”へと手を伸ばす。

 

「おおっ!!」

 

気合を喉から迸らせ、自分の持てる反射神経を全力で腕に伝達しその剣を引き抜いたキリトはそのまま左腕を真一文字に振り抜いた。

 

その動きに合わせ、彼の左手が握っていたもうひと振りの剣、“ダークリパルサー”がグリームアイズの胴体を続けざまに切り裂いた。

 

『グルゥゥゥォォォォォォォオオオ!!』

 

キリトの連続攻撃に溜まらず叫び声を上げるグリームアイズ、視線を下に下ろした瞬間、グリームアイズは左腕をまっすぐに撃ち出し、キリトを殴りつけようとした。

だが、その一撃をキリトは両手の剣を交差させて真正面から防ぎ、完全に防御とはいかない物のダメージを緩和させて地面に着地する。

 

「生憎、もうお前とは一戦交えてるから、攻略法はわかるんだよ!」

 

そう言い放ったキリトは両手の剣を構えると、再び迫ってきたグリームアイズの斬馬刀による一撃を真正面から受け止めて、弾き返した。

そして、キリトはそのまま勝負を決めるべく一気に畳み掛けた。

 

右のエリュシデータでグリームアイズを切り付け、間髪入れずに左腕のダークリパルサーを振るう。

右、左、右とキリトがその腕を振るうたびに剣の軌跡が星の如き輝きを纏いながら空間を舞い、目前の悪魔を切り刻んでいく。

 

反撃の隙すら与えないかのように荒々しい嵐の如く剣を振るう、この技の名を、“スターバースト・ストリーム”。

キリトの切り札、“二刀流スキル”の持つ最大数16連撃を叩きこむ上位ソードスキルである。

 

「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおお!!」

 

とどめの16連撃を裂帛の気合いと共に繰り出したキリト、その刃は深々とグリームアイズに突き刺さり、グリームアイズはそのまま後ろ倒しに倒れた。

そして、その姿を元の姿であるコピペロイドに戻した後、爆散し、跡形もなく消滅した。

 

「ふぅ…」

 

爆発によって生じた爆風を肌で感じながら、キリトは両手の剣をだらりとその場に下げた。

なんとか目の前の敵は倒したが、こいつらはどこから出てきたのだろうか?

そう言った疑問がふとキリトの中で湧いてきたのだ。

 

「………俺達の知らない所で、また別の何かが動いてるってことなんだろうな」

 

それが何なのかはまだわからないが、この先もこのように厄介な敵がこの世界に現れるかもしれないとキリトはこの時感じていた。

 

「キリト」

 

そこへ、時を同じくして自分たちの請け負った敵を倒した悟空たちが駆けつけた。

全員見事に勝利をおさめたらしい。

 

「……また助けられてしまったね」

 

「みなさん、ご協力感謝します」

 

そして彼らの戦いの様子をソルジャー・ポーンを打倒しつつ陰から見ていたファルコムとイストワールも近づいてきた。

お礼を言われたキリトは口元に笑みを浮かべるとイストワールに向き直る。

 

「いや、俺達は好きでやっただけで………っ! 危ない!!」

 

その時、何かに気付いたキリトが慌ててイストワールを横に突き飛ばした。

同じように1号もイストワールの隣にいたファルコムを突き飛ばす、その瞬間ヒーローメモリーから具現化した四人に向けてどこからともなく不気味な色をした炎と野球ボールほどの大きさをした爆弾が降り注いだ。

 

「がぁぁああっ!?」

 

「ぐぅぅぅ!?」

 

「Mamma mia!?」

 

「うぁぁぁああああ!?」

 

防御や回避する暇もなく、その不意打ちをまともに受けた四人はたまらず大きく吹き飛ばされた。

地面に倒れた四人と彼らが一足先に気付いたために難を逃れたイストワールとファルコム、一体どういうことなのかとキリトが倒れながらも視線を上げると…。

 

「余計な真似を……」

 

そこにはマジック・ザ・クイーンを筆頭に新・犯罪神四天王の四人が揃っていた。

増援を打倒した四人を見据えて、四天王たちはそれぞれの武器を構えて止めを刺すつもりなのか身構えている。

 

今受けた不意打ちのダメージが大きかったのかキリト達は立ち上がろうにも足元がおぼつかない。

それ程までに今の攻撃の威力は大きかった……次に攻撃を受ければ、実体化を保つことが出来なくなってもおかしくはない。

顔をしかめるキリトの危機感なぞしるよしもなし、四天王達は邪魔者に向けて武器を構える。

 

「このままでは……」

 

その様子にイストワールが焦りを見せる、同様にファルコムも彼らの危機を前にして今にも飛び出しそうだがその表情はどこか危機感を感じさせる。

既に二人も四天王がどれほどの力を持っているのか知っている、故にこの危機的状況を打開する策が思いつかない…。

 

(………どうすれば………!)

 

イストワールが必死に思考を巡らせ始めた。

 

 

 

その時だった…。

 

 

 

―――ブォォォォォオオオオン!!

 

 

 

突然、どこからともなくバイクのエンジン音が聞こえてきた。

その音に気付いたイストワールを含む、その場の者たちはその音がどこから聞こえてくるのかを探るために辺りを見回す。

そして、その音は次第に大きくなっていき。

 

「っ!」

 

四天王の上を飛び越えて倒れ伏すキリト達と四天王の間に割って入ってきた。

 

乱入してきたそのバイクはちょうどその間の真ん中あたりに停車するとそのバイクを操っていた人物がバイクを降りた。

そして、それに続くようにその人物の隣にもう一人の人物が舞い降りてくる。

 

その二人の姿を見た時、イストワールは待ちかねたかのように表情を明るくした。

 

 

「ごめん、いーすん…みんな…遅くなった」

 

「宗谷さん………ネプテューヌさん………!」

 

「いーすん……ごめんなさい、心配かけて……でも、もう大丈夫よ」

 

 

何があったのかはわからないが、傷が増えた宗谷と先程までの状態が嘘のようにしっかりとした眼差しを向けて刀を構えるネプテューヌの女神化した姿、パープルハートが並び立ち、四天王と相対した。

 

「………ようやく出てきたか、パープルハート……死にぞこないも一緒の様だが」

 

「よお、また会ったな四天王さんよ……借りを返しに来たぜ」

 

マジック・ザ・クイーンに向けてそう言いながら一歩前に出た宗谷はベルトから赤剣を呼び出し、V.phoneをすぐさま赤剣と連結させた。

そして、体が深紅の装甲に包み込まれると宗谷は右腕のブレスレットを四天王に見せるように構えた。

 

「………なんだそれは?」

 

宗谷の行動に眉を潜めたマジック・ザ・クイーン、それに対し宗谷は笑みを浮かべる。

 

 

「まあ、見てろよ……これが、俺の……いや……“俺達の新しい力”だ!」

 

 

彼がそう言い放つと、それを合図にしたかのように宗谷の右腕のブレスレットが起動し中央の画面に光が灯った。

 

「っ!」

 

それと同時に、イストワールのブレスレットも起動し二人のブレスレットから虹色の光が溢れ出した。

そして、二人のブレスレットの画面が同時に同じ文字列を映し出した。

 

 

 

『リンク・コネクターブレス』

 

 

 

そう意味が記された文字列が浮かび上がった瞬間、イストワールの体を包んでいた光が彼女そのものを包み込んだ。

 

「行くぜ、いーすん! もう一度、力を貸してくれ!」

 

「………はい!」

 

彼が手にした力、それは今までフォーチュンリンクを共にしてきたイストワールがいて初めて完成する。

この力は、今まで使ってきたフォーチュンリンクの“完成系”、完全なフォーチュンリンクなのだから。

 

 

 

「「フォーチュンリンク・オン!!」」

 

 

 

二人が再びその言葉を叫び、ブレスレットの光が一際大きく輝く。

 

 

 

『Fortune Link!! Get set starting!!』

 

 

 

今まで流れなかった電子音を合図に、イストワールの体が一つの光と化して宗谷に向かって飛翔した。

光に姿を変えたイストワールはそのまま宗谷の身体の中に吸い込まれるようにして、文字通り“一体化”した。

 

そしてその瞬間、宗谷の身に纏っていた装甲の姿が変化していく。

 

 

赤かった装甲は銀色に、だが所々に赤いラインが刻まれていく。

そして、背中には大きな一対の機械の翼が広がり、胸の装甲も変化し、中央には二つのラインが交差して“X”を描く。

 

そして、彼の愛剣、赤剣も刃の中央が銀色に染まり、そのまま彼の背中に備わった。

 

最後に宗谷の顔を覆うマスクの額に、Vの字の角が新たに加わった時、宗谷とイストワールの完全な変身が完了した。

 

 

これが、宗谷の新たな力。

 

宗谷の“勇者”としての力の証。

 

“勇者 クロス・ヴィクトリー”の強化形態!

 

 

 

「クロス・ヴィクトリー! フォーチュンリンク!」

 

 

 

高々と名乗りを上げた宗谷、いや、クロス・ヴィクトリーはびしりとその指を四天王に向ける。

 

「さあ、ゲームスタートだ……コンティニューは効かないぜ!!」

 

「私はもう、諦めない……取り戻してみせる、必ず!!」

 

 

この時、勇者と女神は最後の可能性を胸に、再び立ち上がった。

 

 

 




いかがでしたか?

ちなみに、今回のお話で士が話していた内容ですが、それに関しては今現在コラボ中のソルヒートさんの作品、“超次元ゲイムネプテューヌ ~嵐の仮面ライダー~をご覧ください!

そして、次回。
遂に完全なフォーチュンリンクを発動したクロス・ヴィクトリー!
復活を遂げたパープルハートと共に、四天王と大激突!!

それではまた次回でお会いしましょう、それでは…。
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