現在、実家に帰省してちまちまと書きげること数日、ようやくこっちの方が完成しました(汗
今回のお話は、遂に新・犯罪神の待つギルティキャッスルにクロス・ヴィクトリーとパープルハートが向かいます。
そして、そこで遂に新・犯罪神の正体が露わに……。
さらに、クロス・ヴィクトリーのもう一つの能力が!
それではお楽しみください、どうぞ!
フォーチュン・リンクシステムの新たな力を発揮し、なんとか四天王を退けることに成功した宗谷とイストワールこと、クロス・ヴィクトリーとパープルハート。
まだ敵の残存兵力の残る街の防衛をアイエフ達に任せ、二人はある場所を目指して空中を飛行していた。
目的地は、この一連の事件が始まった場所。
元凶たる存在、新・犯罪神が呼び出した禍々しい外装が施された謎の城、ギルティキャッスル。
ゲハバーンによって消滅させられた女神達を救い出すべく、そしてもう一つの目的も成し遂げるべく、二人はまっすぐにギルティキャッスルを目指していた。
そして、その道中、パープルハートとイストワールは宗谷の口からあることを聞くことになった。
もう一つの目的、“新・犯罪神”を救うということ、その真実について……。
「ソウヤ……それは、本当なの……!?」
『……にわかに信じがたい話です……ですが、それが本当だとしたら、なぜ新・犯罪神は…?』
道中、宗谷から真実を聞かされたパープルハートとイストワールはその事実のあまりの衝撃に驚きを露わにする。
新・犯罪神を救うと彼が宣言した理由、それはあまりにも信じ難く、それと同時にあまりにも予想外な事実だったからである。
だが、それが本当だというならあの時に感じた自分の違和感にも合点がいく……。
新・犯罪神と初めて会い見え、戦ったあの時に感じた違和感。
僅かに破損した兜の合間から見えた新・犯罪神の瞳………あの時、自分はなぜその瞳に見覚えを感じたのかも説明がつく…。
だがしかし、仮に本当だとしても、それが真実である保証はない。
「……信じられない気持ちはわかる……でも俺は……あいつを救いたいんだ……」
それでも、頑なに自分の意思を曲げない宗谷にパープルハートは疑問を抱く。
確かに宗谷は今まで自分の意思を曲げたことはなかった、だが、それがなぜ仲間たちを葬った新・犯罪神に向くのだろうか…。
宗谷の語っていたことが事実でなかったとしたら、新・犯罪神は紛れもない自分たちの敵になるという事実に変わりはないのに…。
なぜ、彼は一度怒りに呑まれ、その手で打倒そうとした相手をそこまで信じるようになったのか……。
「ソウヤ、あなたの言っていることが本当かどうかはわからないのに……なぜそこまで?」
「………約束したからな、ある人と」
パープルハートが自分の感じた疑問を言葉にして問いかけるが、彼はただ、そう答えた。
その言葉からは一切の迷いは感じられない…。
「ある人……?」
「ああ………もう一人の、お前との、な」
「………?」
宗谷の言っている言葉の意味がイマイチ分からなかったのか、パープルハートは首を傾げる。
当然だろう、ネプテューヌはネプテューヌでもこの世界の彼女ではないのだから知らないというのが自然な反応だ。
「まあ、あまり気にするなよ……それよりか、そろそろだぜ」
そうこうしている内に、クロス・ヴィクトリー達は次第にギャザリング・フォレストに近づいてきた。
既に視界には怪しげな雲に包まれている空の下、黒く立ち枯れた木々の中で不気味にそびえ立つギルティキャッスルの影が見えてきている。
だが、それよりも先に彼らの視界にはそれよりもさらに奇妙な光景が飛び込んできた。
そびえ立つギルティキャッスルを中央にして、その周りのギャザリング・フォレストの光景が徐々にだが変化していっているのだ。
黒く枯れた木がまるで何かの手によって全く別の物に変化していっているかのように無機質で、それでいて儚く空虚なガラクタの様な姿へと変わっていく。
「なんなの……これは……!?」
「……これが、あいつがしようとしていることなのか」
その光景に目を見開き、息を飲むパープルハートと宗谷。
『………これはまさか……“ギョウ界墓場”』
だが、イストワールはこの光景を目にして自分の中に記録されている情報の中に該当する唯一の場所の名前を口にした。
「知ってるのか、いーすん?」
『はい、記録だけで実際に目にしたことはありませんが……今のギャザリング・フォレストの光景は、ギョウ界墓場と呼ばれる場所と酷似しています』
「そのギョウ界墓場っていうのは、どういう場所なの?」
聞き覚えのない言葉に、パープルハートはクロス・ヴィクトリーにシンクロしているイストワールへと問いかける。
『ギョウ界墓場というのは、このゲイムギョウ界で役目を終えた者達の魂が眠る場所です、普段はゲイムギョウ界とはまた違ったベクトルの世界に位置していると記録されているのですが……』
役目を終えた者達が眠る場所、まさにそれを暗示させるかのように彼らの下に広がる風景には壊れたゲーム機の様な物や、古ぼけた機械の様な物が積まれた複雑なオブジェが所狭しと不規則に並んでいる。
まさに“墓場”…。
そう言っても過言ではなそうだとパープルハートは思った。
『しかし、それが一体なぜこちら側の世界に現れたのでしょうか……?』
「………たぶんなんだけど、あれじゃないのか?」
疑問の言葉を述べるイストワールにクロス・ヴィクトリーが答え、ある一点を指さした。
パープルハートもそれに釣られて、彼が指差した方向に目を向ける。
その先にあったのはギルティキャッスルのもっとも上、頂上に位置する場所だった。
そしてそこには、何やら怪しげな輝きを放つマシンが見えた。
たくさんの機械がごちゃごちゃと積み上げられたように形成されたそのマシンには合計で8つのカプセルが連なっている。
その内の7つのカプセルには色とりどりの光が詰められていて、ふわふわとカプセルの中に浮かんでいる。
カプセルの中に浮かんでいる光を見た瞬間、パープルハートはそれが何なのかをすぐに理解することが出来た。
ただの光になっていてもわかる、あれは間違いない、消えていった女神達だと…。
「ソウヤ! あの光!」
「ああ、いーすんあれを見て何かわかるか?」
『………どうやら、あのマシンは女神様達の力を動力源にして、その力を使ってこちら側の世界にギョウ界墓場を呼び出しているようです!』
「急ぎましょう! 今なら助けられるかもしれないわ!」
「お、おい待てネプテューヌ! 焦るな!!」
理解した途端にいち早くそのマシンに駆け付けようとスピードを上げたパープルハート、その後をクロス・ヴィクトリーが追いかける。
焦りは禁物だというのはわかっている、だがそれでも彼女の中で逸るその気持ちが彼女をいち早くあのマシンに近づけようと動かした。
しかし、その逸る気持ちが油断を生じさせた。
「………!」
突然目の前から紫色の閃光が、怪しい光を纏いながらこちらへと向かって殺到してきたのだ。
それが自分に向けて攻撃として放たれた光線だと理解し、回避しようとパープルハートは急ブレーキをかけ、すぐさま身を翻し、別の方向へ軌道を変えて回避する。
だが、光線は一撃だけではなかった。
最初の一射を皮切りに次々とギルティキャッスルの頂上から、彼女目がけて光線が発射されたのだ。
「くっ!」
迫る、いくつもの光の束を空中で次々と軌道転換を繰り返し、その間を縫って回避し続けるパープルハート。
呼び出した刀で回避が難しい角度から来た光線を弾きつつ、それでもギルティキャッスルへと近づこうと距離を縮めていく。
しかし、距離が縮まるほど攻撃のスパンが小刻みになっていき、回避がどんどんと難しくなっていく。
「まずいわ…このままじゃ……!」
いつ直撃してもおかしくない状況に追い込まれ、パープルハートが歯噛みをした時だった……。
『スキルチェイン、発動します!』
『Skill Chain! Zeruda no densetu! Toaru majyutuno index!』
「させるかよ!!」
彼女に迫る光線の内の一つを、クロス・ヴィクトリーが左腕に出現させた盾で受け止め、パープルハートを守った。
「無茶に突っ込むなネプテューヌ!」
「ソウヤ…!」
「行くんだろ、あそこに……なら俺も行く、ここに来る前にそう言ったろ?」
迫る光線を盾で防御しつつ、クロス・ヴィクトリーがそう告げるとパープルハートは静かに頷いた。
そうだ、ここに来る前に彼とは共に戦うと誓ったのだ、あそこに辿り着くのは自分だけじゃない、彼も一緒でなくてはならない…。
みんなを、救うために……。
「そうだったわね、ごめんなさい……ソウヤ」
「……気にすんな、それよりもまずはこの場を一気に切り抜けるぞ!」
「……ええ!」
殺到する光線の雨の中、互いに意思を再確認した二人は、前後に一列を組むように並び立つとクロス・ヴィクトリーが左腕の盾を構えた。
「俺が先導する、お前は後ろについて来てくれ!」
「わかったわ、けど……無茶はしないでね?」
「…さっき無茶したお前に言われたくないっつーの!!」
クロス・ヴィクトリーの指示に従い、パープルハートは前に動き出した彼の後についていく。
迫りくる光線をクロス・ヴィクトリーが盾で防御し、パープルハートへと直撃させないようにする。
一直線に迫る光線だ、曲がることはないため軌道も読みやすい、そのため二人はどんどんギルティキャッスルとの距離を縮めていった。
「あともう少しだ、飛ばすぞネプテューヌ! いーすん!」
ラストスパート、クロス・ヴィクトリーが叫ぶと同時に彼の背中の翼が力強い光を放って彼の体を前へと勢いよく押し出した。
連射される光線を一つの盾で何とか押し切りながら、最後の勢いを殺さぬようにして二人はさらにスピードを上げて、空を駆ける。
そしてついに、二人は殺到する光線の雨を抜けだして、ギルティキャッスルの頂上の床へと転がり込むようにして到達した!
受け身を取ってなんとか衝撃を逃がしたクロス・ヴィクトリーとパープルハート。
顔を上げると、空中にはいくつもの魔方陣が形成されていて、それらはすぐに跡形もなく消滅していった。
恐らく、先程まで自分たちに襲い掛かってきた攻撃はこの魔方陣からの物だろう…。
マシンを守るための防衛手段か、はたまた最初からパープルハートを狙ったものだったのか…。
いずれにせよ、新・犯罪神も本気と言うわけだろうか…。
「………来たか」
こうして、彼らの前に堂々と姿を現したことも含めて…。
「………新・犯罪神」
「………待っていた……ずっと、この時を………」
マシンの裏から姿を現し、クロス・ヴィクトリーとパープルハートの方へとゆっくりと歩み寄ってくる新・犯罪神、呟きながら右手に魔剣 ゲハバーンを呼び出し柄を握りしめ、その矛先をまっすぐにパープルハートへと向ける。
「我が悲願を叶えるため……その命、差し出せ……!」
静かな声、だがその奥に込められた威圧感…。
新・犯罪神がゲハバーンを手に持ち、女神達をその刃に掛けるほどの覚悟、それをありありと表しているかのような重い言葉だった。
しかし、パープルハートは彼女の言葉を身に受けても警戒することも、身構えることもなくただまっすぐに新・犯罪神を見つめた。
僅かにひび割れた仮面から覗く、瞳…。
(………あの目、やっぱり)
冷たく、暗い闇の中で鈍く光る宝石の様なその瞳に、やはり彼女は既視感を覚えた。
違うようでやはり、同じ…あの瞳は……。
やはり、“新・犯罪神の正体”は……。
「ネプテューヌ!!」
突然呼ばれ、パープルハートが我に返るとすぐ目の前に新・犯罪神が迫ってきていた。
目前に迫る紫の刃、その一撃を刀を使い、彼女は紙一重で受け止めた。
重く、すぐに弾き返すことが出来ないほどの一撃だった、真正面から受け止めた衝撃でパープルハートは地面を滑るように押し込まれてどんどん後退していく。
このままでは押し切られる、そう判断した彼女は押し返すのをやめて体を横に傾け、まっすぐに打ち込んできた新・犯罪神の攻撃をそのまま後ろへと受け流した。
なんとか押し切られるのを回避し、新・犯罪神の一撃から逃れることが出来たパープルハート、対して新・犯罪神はそのまま空中へと飛び出し、身を翻しながら距離を取って再び地面に着地するとゲハバーンを左右に切り払い、ゆっくりと構えなおした。
早い……今の一撃を受け止めるまで、殺気すら感じさせないほどの速さで駆け出してきた……。
気を緩め、一瞬でも油断すれば、負ける……。
ここまで来た以上、たとえ、正体が宗谷の言う通りだとしてもここで負けるわけにはいかない…。
もう、迷ってはいられない……。
覚悟を決めなければ、そこにいるネプギア達を救うこともできない………それに、“新・犯罪神に手を伸ばすことも”……。
パープルハートは再度気を引き締め、刀の柄を握り直す…。
「……ネプテューヌ」
その隣に、クロス・ヴィクトリーも並び立ち背中に納めている赤剣を引き抜く。
「………覚悟、決めろよ?」
「………ええ、分かっているわ」
並び立った二人は互いの武器を構え、決戦に身を投じる……。
真実を見極め、そして、すべてを救うために……。
刹那、三人が互いの様子を窺うギルティキャッスルの頂上に、一陣の風が吹き抜けた。
「「……はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!」」
それを合図に、二人は新・犯罪神へと走り出す。
そして二人迎え撃つように、新・犯罪神もゲハバーンの刃を翻した。
上から下に、弧を描くようにゲハバーンを振った瞬間、床を抉るように斬撃が地を駆け、二人へと迫った。
それに対し、二人はまっすぐに迫り来る新・犯罪神の一撃を左右に分かれることで回避した。
立ち止まることなく走り続けるクロス・ヴィクトリーとパープルハート、クロス・ヴィクトリーは左へ、パープルハートは右へと別れて左右から新・犯罪神へと近づく作戦を取ったが……。
「………シッ!」
「っ、やぁあ!!」
新・犯罪神は二人に挟まれるよりも早くに右のパープルハートに狙いを定め、一瞬にして距離を縮めるとゲハバーンを振り下ろした。
パープルハートはその攻撃を刀で受け流し、そのまま両者は刃の打ち合いを始める。
二人の間を無数の剣閃が駆け巡り、ぶつかり合い、火花を散らす。
数十回程刃をぶつけ合い、新・犯罪神が一度ゲハバーンを持つ手を引き、再度それを大きく前に突き出した。
自身に迫るゲハバーンによる刺突を、パープルハートは刀で横に受け流しながら身を屈めて新・犯罪神に足払いを掛けるが、新・犯罪神はそれを予見してか後ろへと身を翻しながら飛んで回避する。
「おおぉぉぉぉおおおお!!」
「!」
だが、そこにはクロス・ヴィクトリーが待ち構えていた。
背中から光の翼を広げ、低空飛行で近づきながら赤剣で斬りかかろうとするクロス・ヴィクトリー、間合いが縮まり、赤剣が届く範囲に新・犯罪神を捉えると素早く赤剣を横薙ぎに振り抜いた。
しかし、聞こえてきたのは金属質の衝突音だった。
「っ! がっ!?」
程なくして、クロス・ヴィクトリーの横っ面に新・犯罪神の蹴りが命中した。
ゲハバーンでクロス・ヴィクトリーの攻撃を受け流し、反撃に転じた新・犯罪神、地面を転がった邪魔者であるクロス・ヴィクトリーを先に排除しようと考えたのか、体勢を立て直すと同時に新・犯罪神は今度はクロス・ヴィクトリーへと狙いを定めて襲い掛かる。
『宗谷さん、来ます!』
「くそっ……一本じゃ足りねぇ、いーすん二刀流だ!!」
『わかりました! スキルチェイン、発動します!』
『Skill Chain! Zeruda no densetu! Sword art online!』
新・犯罪神のスピードに対抗するには赤剣一振りでは足りないと判断した宗谷は、イストワールに指示をだし、クロス・ヴィクトリーはスキルチェインで二刀流での戦闘スタイルを発動すると迫る新・犯罪神の攻撃を左手の剣で受け止め、右手の赤剣ですぐさま反撃へと転じた。
「はぁ!!」
「っ………!」
赤剣の刃が、僅かに新・犯罪神の顔の半分を覆う兜をかすめた。
そのままクロス・ヴィクトリーは二刀流による連撃で新・犯罪神に一気に攻めかかるが新・犯罪神もその攻撃を次々とゲハバーンで受け止めて行った。
まるで機関銃の発砲音の様な短いスパンの衝突音が立て続けに鳴り響く。
「せぇぇぇえ!」
右左と剣を翻す中で、クロス・ヴィクトリーが両手の剣でXを描くようにして力強い斬撃を繰り出した。
その斬撃を新・犯罪神は真正面から受け止め、後ろへと後退する。
「ヴァリアブル・エッジ!!」
「………っ!」
立て続けに、クロス・ヴィクトリーの上を飛び越えてパープルハートが新・犯罪神へと切りかかる。
力強さと速さを兼ね備えた剣撃を後退した新・犯罪神へと振り下ろす。
反射的に再び後ろに跳ぼうとした新・犯罪神、しかし、僅かに遅かったのかパープルハートの刀が浅くだが、確かに新・犯罪神の鎧を斬り付けた。
「クッ………!!」
「ソウヤ、いーすん!」
「おう! 畳みかけるぞ!!」
その隙を見逃さず、二人は一気に新・犯罪神に追撃を次々に繰り出した。
先攻したクロス・ヴィクトリーが両手の剣を平行に構えて横薙ぎに振るい、続けざまにパープルハートが袈裟懸けに新・犯罪神を切り付ける。
さらに二人同時に回し蹴りを撃ち込んで、最後にタイミングを合わせて二人は得物の剣を跳ね上げるように振り上げて新・犯罪神を追い詰める。
「うっ………ぅ」
初めてここまでの攻撃を受けた新・犯罪神は連撃を浴びて、たまらず後ろに跳んだ。
まだ喰らい付かんとクロス・ヴィクトリーとパープルハートが肉薄する。
だが、新・犯罪神も攻撃を受けてばかりではない……。
「………ハァッ!!」
「なっ、うわぁぁぁぁあああ!?」
「きゃぁぁああああああ!?」
空いている左手を前に翳し、魔方陣を形成すると新・犯罪神はそこから光線を発射し、迫りくる二人を薙ぎ払った。
光線を受け、吹き飛び、地面を転がった二人、そのままうつぶせに倒れた二人だったが、何とか身を起こしてもう一度立ち上がる。
(……今の光線)
この時、パープルハートには先程の光線にも見覚えを感じた。
身近で見たことがあるこの攻撃、打ち方こそ違えど、やはり見覚えがあった…。
「………そう簡単には、終わらない!」
新・犯罪神が地面を蹴り、再び二人に迫る。
ゲハバーンを振りかざし、飛ぶように地面を蹴りながら瞬時に距離を縮めてくる新・犯罪神は途中で身を捻ると体を回転させながら剣を振るう勢いをつけた。
「これは……!」
瞬時に間合いを詰め、間髪入れずに繰り出す高速の剣撃…。
その動きにパープルハートはさらに目を見開いた。
間違いない、この動きも、先程の攻撃も、そしてあの目も、新・犯罪神が戦いの中で見せた一連の動きを、自分は既に知っている。
自分の中で感じていた違和感だった物が、徐々に確信へと変わっていった。
(……間違いない、新・犯罪神から感じていた違和感は……これだったのね……)
この動きが出来るのは、この技が出来るのは、あの目をしていたのは……。
すべてを悟った瞬間、パープルハートはクロス・ヴィクトリーの前に立ち、その攻撃の真正面に立ちはだかった。
「ソウヤ、もう一度あの能力をお願い! できれば、目がよくなる物を!」
「………なら、お誂え向きなのがあるぜ!」
パープルハートの言葉に、クロス・ヴィクトリーはすぐさま新たに手に入れた能力を発動した。
『スキルロードを開始、スキル 緋弾のアリアをロードします』
パープルハートへと譲渡する能力を選択し、リンク・コネクターブレスの画面をフリックする。
リンク・コネクターブレスから飛び出した光がパープルハートの中に入り、彼女の首元に弾丸の様なシンボルマークが浮かび上がる、そして、同時に彼女の目に映る光景がゆっくりと、スローモーションのようにはっきりと見え始めた。
体を捻りながら攻撃へと転じようとする新・犯罪神の動き、それを反射神経や精神を研ぎ澄ますことが出来るこのスキルをフルに活用して動きを分析した。
この間合いでは躱すのはもはや遅い、ゲハバーンの刃を受け、自分はその瞬間に敗北する。
回避はできない、ならばとパープルハートはすぐにその選択肢を捨てた。
そして同時に、持っていた刀も……。
「?」
何のつもりかと僅かに反応を示した新・犯罪神だったが、それで止まることもなく新・犯罪神は刃を振るった。
徐々に、確実に迫るゲハバーンの凶刃…。
その僅かな時間の中で彼女は選んだのだ、躱すのではなく………。
―――パシッ
「………っ!?」
“受け止める”ことを…。
“真剣白羽どり”。
並大抵の者では難しいとされるこの技、しかもとてつもない力を持つ新・犯罪神を相手にパープルハートはこれを難なくやってのけた。
スキル 緋弾のアリアの力によって正確に受け止められる絶妙の角度、タイミング、両手の力の入れ具合、力の流れ、その受け流し方を瞬時に割り出した彼女は寸分の狂いなく自分の頭に浮かんだ動きを実行した。
そして、見事に新・犯罪神の攻撃を受け止めることが出来たのだ。
しっかりと受け止めた刃を手で挟み込みながら押さえつけ、彼女は次の行動に移る。
この時、パープルハートはここまでの動きをするのに相当な集中力を有したため、次の攻撃へと転じる余裕を見いだせなかった。
故に彼女は……。
「今よ、ソウヤ!!」
「おっしゃあ!!」
後ろに控えていた仲間へと、バトンを渡した。
彼女の指示を受けたクロス・ヴィクトリーがパープルハートの横合いから飛び出し、一気に新・犯罪神の懐に潜り込んだ。
回避しようにも、ゲハバーンをパープルハートが受け止めていることで新・犯罪神は逃げることが出来ない。
『Skill Link! Street Fighter』
「ドラゴン………ライジングッ!!」
次の瞬間、クロス・ヴィクトリーが放った強烈なアッパーが新・犯罪神の顎を打ち据えた。
とてつもない衝撃と共に、新・犯罪神の体が宙に跳んだ。
同時に持っていたゲハバーンも空中に投げ出された。
『ネプテューヌさん、今です! ゲハバーンを!!』
「え?」
『ゲハバーンは女神様の力を吸う、ということはその女神様の魂を繋ぎとめているのもゲハバーン自身、つまり今のうちにゲハバーンを破壊すれば!!』
「みんなを……取り戻せるかもしれない……!」
イストワールの咄嗟の提案に、パープルハートはすぐに反応した。
右手を振り上げて自分の真上に力の源であるシェアエナジーを集める、やがてそのシェアエナジーは一振りの剣へと姿を変える。
だが、
「させ………ないっ!!」
空中に投げ出された新・犯罪神が歯を苦しばりながら身を立て直したのだ。
新・犯罪神はそのまま空中に放り出されたゲハバーンを再び手にしようとする。
空中を蹴るようにして、勢いよく跳んだ新・犯罪神。
まだパープルハートは痛烈な一撃を撃ち出す準備が整っていない、そしてゲハバーンとの新・犯罪神の方が近い…。
このままでは……。
パープルハートが危惧したその時…。
「させるかよぉ!!」
新・犯罪神の前にクロス・ヴィクトリーが立ちはだかった。
「これ以上、誰も傷つけさせない! ………誰も、そして、“お前も”!!」
「っ!」
「ぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおあああああああ!!」
叫び、クロス・ヴィクトリーが新・犯罪神に拳を突き出した。
勢いよく繰り出されたその拳は、新・犯罪神の仮面に包まれた顔面を捉え、打ち据えた。
その一撃を受けて、後ろに吹き飛ぶ新・犯罪神。
新・犯罪神をなんとかゲハバーンから遠ざけたクロス・ヴィクトリーはすぐさまパープルハートへと振り返る。
「今だネプテューヌ!! ゲハバーンを砕け! みんなを救えぇ!!」
「お願い、届いて! そして………貫け! 三十二式! エクス、ブレイドォォォォォォ!!」
パープルハートが叫び、放たれたシェアエナジーの剣が空中に放り出されたゲハバーンに迫った。
そして、光り輝く刃がゲハバーンの刃とぶつかり合う。
響く甲高い音と何かが砕け散るような音。
次の瞬間、ゲハバーンはパープルハートの一撃を受けて木っ端みじんに砕け散ったのだ。
同時に地面に着地したクロス・ヴィクトリーとパープルハート、砕け散ったゲハバーンの欠片が床に落ちていくのを見届けた二人はすぐさま7色の光が閉じ込められたマシンへと目を向けた。
女神達の力を繋ぎとめていたゲハバーンは砕いた……これなら…。
そして、その思いに答えるかのようにマシンに異変が起きた。
マシンに繋がっていた8つのカプセル、そのうちの7つに捉えられていた光が脈動するように動き始めたのだ。
次第にその動きは置きくなり、カプセルの中で光が一際大きく輝いた、そして次の瞬間、光を閉じ込めていたカプセルを木っ端みじんに砕いた。
「よしっ! 今だ!!」
クロス・ヴィクトリーはその瞬間、右腕を光の方へと伸ばす。
そして、それにつられるように7つの光が動き始め彼とパープルハートの周りを囲むように集まってきたのだ。
そして光はそのままクロス・ヴィクトリーのリンク・コネクターブレスの中に飛び込んでいく。
すべての光を回収したクロス・ヴィクトリーは右腕のブレスを見つめる、そして、感じた。
女神達の存在を、確かに……。
「ソウヤ……やったの?」
「………ああ、みんな生きてる……この中にいるけど、生きてるよ」
不安そうに問いかけてきたパープルハートを安心させるため、クロス・ヴィクトリーはリンク・コネクターブレスを彼女に見せる。
中央の液晶画面には7つの光がそれぞれ確かに輝きを放っている。
「………よかった」
それが彼女たちの命の光なのだとパープルハートは悟と安堵し、微笑みを浮かべた。
つられて宗谷も仮面の下でほほ笑む。
今度は、救うことが出来た…。
それを実感するように……。
「貴………様ぁ……!」
だが、まだ終わっていない。
クロス・ヴィクトリーの一撃を受けて床に叩きつけられた新・犯罪神がよろめきながらも立ち上がったのだ。
怒りの色をにじませるかのようなその声色に二人は再び身構える、だが、二人は視界に捉えた新・犯罪神の姿を見た瞬間、目を見開いた。
新・犯罪神が顔を包んでいた兜に大きな亀裂が入り始めていたのだ。
恐らく先程の一撃によってできたのであろうその亀裂は、次第に大きくなっていき、兜がぎしぎしと今にも崩壊しそうな悲鳴を上げる。
そして遂に、限界を迎えたのか左右に割れるようにして新・犯罪神の兜が砕けた。
地面に落ちる、兜だった物。
その仮面だった物に包まれていた新・犯罪神の素顔を見た時、二人は驚くでもなく静かに新・犯罪神の正体を見据えた。
やはり、そうだったのか………。
自分が感じた予想通りの結果に、パープルハートはどこか辛そうな表情を浮かべて一歩前に出る。
「………やっぱり、そうだったのね………新・犯罪神の正体は………あなただったのね………」
「……ネプギア……」
砕けた仮面の下から現れた、新・犯罪神の素顔。
それは、見間違うはずもない、パープルハートの最愛の妹に酷似した、いや、その者と言っても間違いない顔だった。
僅かだが、全体的な表情の幼さが消え大人びた印象を与えるが、見間違うはずもない。
そう、新・犯罪神の正体は……“ネプギア”だったのだ。
「………なぜ、私の正体を………」
まるで予想がついていたかのような口ぶりに疑問を抱いた新・犯罪神、いや、ネプギアがパープルハートに問いかけた。
「………最初に疑問を感じたのは、あなたの目だったわ……あの目には何処か見覚えがあったの……つい最近に見た、ネプギアの目にそっくりだった」
先日、ネプギアと喧嘩したネプテューヌはまじかで見ていた。
喧嘩をした去り際、悲しげな目をしていたネプギアを……。
その時の目が最初に見た新・犯罪神の瞳と酷似していたのだ。
深い悲しみを抱いた、その目を……。
「そして、さっきの戦いで見せたあなたの技……あれはすべてネプギアの得意とする技だった……“スラッシュウェーブ”、“M・P・B・L”、そして“フォーミュラー・エッジ”……私の知っているネプギアの技よりも早く、威力も段違いだったけど……見間違うはずもない、あれは確かにネプギア自身の動きだった……」
今までの戦いの中で見せた新・犯罪神の動きの中で違和感を感じた攻撃の答え、それはまさに自分の知るネプギアの動きと全く同じだったから…。
それらの違和感を確信に変え、パープルハートは理解したのだ、新・犯罪神の正体がネプギアなのだと…。
「でも、お前はネプギアだが俺達の知っているネプギアとは違う…」
そこに付け加える様にクロス・ヴィクトリーが説明を始める。
そう、彼の言う通り、目の前にいるネプギアはパープルハートや宗谷達の知るネプギアとは“少し違う存在”なのだ。
何故なら、今自分たちが救い出した女神達の命の光、その中には確かに“ネプギアの光”も存在していたのだから…。
なら、今目の前にいる新・犯罪神であるネプギアの方は何者なのか、それは至極単純である。
一つの世界に全く同一の人物が存在することはない、同じ存在の人物が存在する、その可能性として挙げられるのはただ一つ。
宗谷が夢の中で出会ったもう一人のネプテューヌ、彼女と同じ存在…。
「お前はこことは違う、“別の世界から来たネプギア”なんだろ?」
クロス・ヴィクトリーがそう告げると、もう一人のネプギアは僅かに眉を曲げた。
「……そんなことまで、気付いていたと…?」
「……まあ、俺もヒントを貰うまで気付かなかった事なんだけどな」
ここに来る前、大人のネプテューヌの会話の中で新・犯罪神の正体に大まかな予想を立てていた宗谷。
そして、見立て通り、新・犯罪神の正体は、宗谷達がいる世界とは違う流れを進んでいる世界から来たネプギアだった。
正体が露わになった彼女に、今度はパープルハートが問いかける。
「………どうして、ネプギア……あなたはなぜこんなことをしたの? 違う世界であっても、あなたはあなたのはずよ、こんなことはしない、とても優しい子……なのに、なんで?」
別の世界のネプギアはその言葉に眉を潜めた。
鎧に包まれた体をまっすぐに伸ばし、ぐっと右の拳を握りしめる。
「………あなたには関係のないこと………これは、私の願い……」
「願い……?」
「そう………パープルハート………私の世界のパープルハート………お姉ちゃんたちをもう一度取り戻すために必要なことだった……!」
何かを堪えるような震える声で目の前にいるネプギアがそう言った。
だが、一体どういうことなのかその話は要領を得られない内容だった。
取り戻すために、別の世界の女神達を手に掛ける、それが一体何に繋がるというのだろうか…?
「どういうこと? なぜそのためにわざわざ私たちの世界に来てみんなを……私たちを狙ったの?」
「………必要だった………世界をもう一度作り直して……“リメイク”して、そこでもう一度お姉ちゃんたちと0からやり直すためには………もう一つの世界の犠牲が必要だったんだよ……!」
僅かに口調を本来のネプギアに戻しながら目の間にいる彼女は静かにそう告げた。
「作り直す……リメイク?」
「そう………私の世界は、もう既に滅んだも同前……だから私は考えたんです、どうしてこうなってしまったのか……なんであんな選択肢を選んでしまったのか……」
大人ネプテューヌの話では彼女たちがいた世界では既に唯一残ったネプギアを除く、すべての女神が命を落としたという。
しかも、手に掛けたのはその世界のネプギア自身、それにより真実を知った国民たちが暴徒と化し、世界は争いが絶えない世界へと変わって行ったという。
そんな中で、彼女はどれだけ孤独だっただろうか…。
頼る姉たちはいない、国民は話を聞いてくれない、そんな押しつぶされそうな孤独の中で、彼女はどれだけ苦しんだのだろうか……。
「だから、私は選んだんです………もう一度、やり直せばいいんだって………新しい世界を作り直して、私やお姉ちゃんたちが暮らすことが出来る世界をリメイクしてそこでもう一度やり直せばいいって……!!」
「じゃあ、そのためにあなたは………」
「………そう、私はそのために新・犯罪神となったんです………かつて私が倒した犯罪神、その“魂と力”を受け継いで……この世界のお姉ちゃんや私を殺して、世界を塗り替えるために!!」
答えた瞬間、ネプギアの体から溢れんばかりの禍々しいエネルギーが湧き出し始めた。
ゆらゆらと揺らめくそのどす黒いエネルギーのオーラは彼女を包み込み、押し潰さんばかりのプレッシャーをクロス・ヴィクトリーとパープルハートに与えてくる。
「ぁぁぁ………っぁぁぁああああああああああああああああああああああああああ!!」
「っ! ネプギア!?」
次第に膨れ上がっていく黒いエネルギー。
やがてそれは、彼女を覆い隠すように濃さを増していき、彼女を飲み込んでいった。
そのエネルギーを感じ取ったイストワールはすぐにこれが異質な力であると理解した。
『この力……もはや女神様の力とはかけ離れています! 凄まじいマイナスエネルギーの塊……これが、新・犯罪神の……いえ、彼女が受け継いだという“犯罪神の魂と力”……!』
「そんな………ネプギア……!」
たとえ世界が違っても、変わり果ててしまった妹の姿にパープルハートは動揺を隠せなかった。
ネプギアの姿を完全に覆い隠したオーラ、それが一気にはじける様に晴れた時、クロス・ヴィクトリーとパープルハートは反射的に息を飲んだ。
先程までの姿はどこに行ったのか、その姿は完全な“異形”と化したのである。
全体的なフォルムは人型だ、だが全身が毒々しい色合いの肌と鎧に包まれ、その顔でさえも恐ろしい形相へと変化していたのである。
獣のように恐ろしく、鋭く輝く、巨大な一つ目、まるで一つ目の怪物“サイクロプス”を思わせるような顔のフォルムと、背中に広がるボロボロの黒い翼。
「ネプギア……その姿は……!」
『なんて、おぞましい…』
「………」
女神と呼ばれる存在とは大きくかけ離れた存在、その姿はまるで別の世界のネプギアを包み込んだ闇そのものが体現しているかのようだった。
『ワタシハトリモドスンダ……オネエチャンヲ………ミンナヲ!! ダカラコノセカイヲホロボス!! ソシテツクリカエル!! オマエタチヲコロシテ、メガミノチカラヲテニシテ!! ナントシテデモ!!』
ネプギアだった怪物、仮に“犯罪神ネプギア”と呼ぶとしよう。
その異形は二人に向かって叫ぶと、片手を振り上げ何かを呼び出した。
それは、多少古びているようだが確かに“ゲハバーン”だった。
「あれは、ゲハバーン!?」
「……たぶん、あいつが使っていた方のゲハバーンだろうな……この世界にあった物とは違う、もうひと振りの……」
呼び出したもうひと振りのゲハバーンを手にし、犯罪神ネプギアはその切っ先をクロス・ヴィクトリーとパープルハートに向けた。
殺気立つ顔の一つ目、感じる不気味なオーラ…。
それを感じ取る中でパープルハートは、一体どれほどの絶望が彼女をここまで追い立てたのだろうかと考えた。
自分の世界の彼女ではないとはいえパープルハートは今目の前にいる彼女の姿がひどく辛く、そしていたたまれなく見えたから…。
(……もう見ていられない)
その姿があまりにも辛すぎたから、パープルハートは目を伏せた…。
そして、再び決意した。
もう一つの世界のネプギアと決着をつけることを……。
彼女を救うことを……!
「……ソウヤ、救ってあげましょう……あの子を、あのネプギアを……!」
「………ああ、最初からそのつもりだよ………救おうぜ、“俺達”で!」
再び決意した二人は並び立ち、犯罪神ネプギアに向きなおる。
その瞬間、クロス・ヴィクトリーの右腕に嵌められているブレスが紫色に輝いた。
もう迷いはしない、二人は決意した。
この世界に現れた強敵を打ち倒し、そして、絶望の淵に落とされた別の世界の“妹”に手を差し伸べるために、二人は再び戦う意思を固める。
「ネプギア……お前は大事なことを忘れている……」
『ダイジナコト?』
「そうだ……だから俺達が今から教えてやるよ……“絆”を………“繋がる力”を!!」
「ネプギア、待っていて………あなたも必ず救ってみせる……!」
『宗谷さん、ネプテューヌさん……準備は整いました!』
並び立った二人はイストワールの言葉に頷くとすぐさまそれぞれの腕を前に突き出した。
パープルハートは左腕を、クロス・ヴィクトリーは右腕を前に、そしてその腕を上へと振り上げてXを描くように二人は腕を交差させる。
その瞬間、クロス・ヴィクトリーのリンク・コネクターブレスから淡い紫色の光が溢れ出した。
「「フォーチュン・リンク!! パープルハート!!」」
『Cross over!! Purple heart Active!!』
電子音が鳴り響き、クロス・ヴィクトリーとパープルハートを紫の光が包み込んだ。
その光の中で、クロス・ヴィクトリーに秘められたもう一つの力が、今姿を成して露わになる。
まず、パープルハートの体が変化し、光に包まれると人の姿を成していたからだが一対の紫の翼へと変化した。
大きく飛び上がり、旋回するその機械の翼はクロス・ヴィクトリーに接近すると彼の背中に備わっていた銀色の翼と入れ替わるようにして合体する。
その瞬間、クロス・ヴィクトリーの装甲の色が赤と銀から、深さと鮮やかさの両方がコントラストを生む紫色に変化し、首に巻いていた深紅のマフラーも紫色に変色した。
しかも、それだけでなく彼の体を包み込んでいた装甲の形状も僅かに変化した。
両肩に新たに十字型の装甲が追加されたのだ。
そして、持っていた彼の武器、赤剣も形状を変え、赤い刀身が紫に変わり、両刃剣から日本刀へと姿を変えた。
さらには、腰にもうひと振りの刀が出現した。
“小太刀”とも呼ばれる短いタイプの日本刀を左手で逆手に持ち、一気に引き抜いたクロス・ヴィクトリーはそのまま自身の体を覆っていた光を薙ぎ払うように両手の剣を振り抜いた。
弾ける紫の光、空中を漂うその光の粒子の中で新たに姿を変えたクロス・ヴィクトリーが犯罪神ネプギアと対峙する。
左手の小太刀を腰に納め、右手の日本刀を肩に担ぐように構えたクロス・ヴィクトリーは深く腰を落し、犯罪神ネプギアを見据える。
「フォーチュン・リンク、パープルハート……今の私の名は、“クロス・パープル”! 私の剣を持ってして、ネプギア……お前の負の連鎖を断ち切る! さあ、いざ尋常に……勝負!!」
これこそが、パープルハートとクロス・ヴィクトリーが一体となった姿。
フォーチュン・リンクの神髄ともいえる、“繋がる力”が成しえたもう一つの変身。
“クロス・パープル”。
繋がる絆を力に変え、犯罪神ネプギアとの最後の決戦が幕を上げる!
如何でしたか?
自分が今回の長編でやりたかったもう一つのパワーアップ。
ようやく出すことが出来ました(汗
さて、次回は遂に犯罪神となった別世界のネプギアとの決戦!
果たして新たな変身を成し遂げたクロス・ヴィクトリーとパープルハート、いや、クロス・パープルは彼女を救い出せるのか!
それでは、次回でお会いしましょう!