超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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どうも、白宇宙です!

今回のお話は、前回登場したクロス・パープルが大活躍!
そして、遂に犯罪神ネプギアとの戦いに決着が……!


そして、今回の見所は、”てんこ盛り”!


それではお楽しみください、どうぞ。


stage,70 俺と決着の拳

右手に持つ刀を肩に担ぐ様に構え、犯罪神ネプギアに強く宣言した紫の戦士、“クロス・パープル”。

姿が変わった目の前の敵に対し、犯罪神ネプギアは警戒を強めるがすぐに呼び出したゲハバーンを構える。

 

『クロス・パープル…? ………スガタヲカエタトシテモ、ワタシハマケハシナイ!』

 

「行っておくが、変わったのが姿だけだと思わない方がいいぞ? 何せ私は勇者と女神の力を融合させて誕生した戦士だからな」

 

『ヘラズグチヲ!』

 

普段よりも少し落ち着いた口調で犯罪神ネプギアにそう告げたクロス・パープルに犯罪神ネプギアは痺れを切らしたのか、背中に広がるボロボロの翼をはためかせ、力強く床を蹴った。

床が抉れるほどの力で前に飛び出した犯罪神ネプギア、そのスピードは今までの比ではない程に早く、空いていた二人の距離が瞬時に埋まっていく。

ゲハバーンの刀身を振りかぶり、間合いに入った瞬間に犯罪神ネプギアは思い切りその刃をクロス・パープルに目がけて振り下ろす。

 

空気を切り裂く音が聞こえ、刃がクロス・パープルに迫る。

 

だが、その刃は甲高い金属質の音を立ててクロス・パープルの頭部を包む仮面の手前で止まった。

 

 

振り下ろしたゲハバーンの刃を、クロス・パープルが右手に持っていた刀で防いだからだ。

 

『ナニ……!』

 

力を解放したことによって今の犯罪神ネプギアの能力は先程よりも向上しているはず、その一撃をいともたやすく真正面から受け止めるなど簡単なことではない。

しかし、それを目の前の戦士は簡単にやってのけたのだ。

 

「言っただろう、姿だけではないと…!」

 

受け止めた刃を、クロス・パープルが押し返し、犯罪神ネプギアは空中で身を翻しながら着地した。

獣のような体制で身を屈め、クロス・パープルの様子を窺う犯罪神ネプギア、対するクロス・パープルは刀を左右に振った後その刀身を犯罪神ネプギアに向けて、こう言い放った。

 

 

 

「今度は私の番だ………ここからは、私の晴れ舞台だ!」

 

 

 

言い終わると同時に、クロス・パープルは犯罪神ネプギアに向かって走り出した。

 

『チィィィ……!』

 

対抗して、犯罪神ネプギアも走り出し二人の間合いがどんどんと縮まっていく。

そして一番接近した瞬間、両者の持つ武器の刃が閃き、衝突した。

その一撃から始まる、刃と刃の壮絶なぶつかり合い、幾重もの剣閃の嵐が両者の間で駆け巡り、どちらも譲らず互いを攻め続ける。

 

上、下、左、右、斜め、正面、縦横無尽に駆け巡る両者の剣技はほぼ互角だった。

 

『ナラ、コレデ……!』

 

痺れを切らした犯罪神ネプギアは真一文字に振るったクロス・パープルの一撃を回避して後ろに下がると、ゲハバーンを上に振り上げ、三日月を描くように弧を描いて床に刃を走らせる。

 

『スラッシュ・ウェーブ!!』

 

強力な斬撃が床を抉りながら、真っ直ぐにクロス・パープルへと向かっていく

それに対し、クロス・パープルは回避するような動作を、見せなかった。

 

「一振りで凌ぐのは難しそうか……ならば……!」

 

その代わりに、クロス・パープルは左手で腰に備えていたもうひと振りの刀、小太刀を握り、素早く引き抜いた。

 

「せい、はぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!」

 

そして、気合と共に迫りくる斬撃を両手の剣をクロスさせるようにして、真正面から“切り裂いた”。

それによって犯罪神ネプギアの攻撃は、直撃する前に霧散し、消滅してしまった。

 

『ソンナ…!?』

 

驚愕する犯罪神ネプギア、それに対して二本の刀で犯罪神ネプギアの攻撃を防いだクロス・パープルは左手の小太刀を逆手に持ち替えて身構えた。

 

 

「これぞ、二刀流の神髄! 参る!!」

 

 

今の出来事に動揺し、犯罪神ネプギアに隙が生じたのを見逃さず、クロス・パープルが一気に攻め込んだ。

跳躍し、間合いを一気に埋めると右手の刀を真上から振り下ろして犯罪神ネプギアを切り付け、続けて左手の小太刀で横薙ぎに切り付ける。

 

攻撃を受け、犯罪神ネプギアはダメージを負うが負けじとゲハバーンを振り下ろして反撃に出る。

 

しかし、クロス・パープルはその刃を両手の剣で受け止め、押し返すと犯罪神ネプギアに蹴りを入れて、それを土台にして後ろに身を翻しながら飛び上がる。

そして着地し、すぐさま両手の剣を平行に並べて犯罪神ネプギアを袈裟懸けに切り付ける。

 

連撃を受け、さらにダメージを負った犯罪神ネプギア、だが、クロス・パープルの攻撃はまだ終わらない。

 

「“ネプ刀”!!」

 

連撃を浴びせかけたクロス・パープルはさらに追撃を仕掛けるべく、自身の持つ二振りの刀、“ネプ刀”に力を込める。

すると、両方の刀の刀身がバチバチと音を立てながら輝く、紫色の電撃を纏った。

 

「“紫電・乱舞コンビネーション”!!」

 

クロス・パープルが叫び、高速の剣舞が犯罪神ネプギアを次々と切り付けていく、その姿はまるで荒れ狂う稲妻が駆け巡っているかのようだ。

 

『ガァァアアッ!?』

 

強力な一撃を浴びて大きく後ろに後退する犯罪神ネプギア、切られたところを抑えつつ僅かに肩で息をする。

不気味な一つ目をクロス・パープルへと向ける犯罪神ネプギア、先程までの互角の戦いを塗り替えるようなパワーアップに彼女は動揺を隠せなかった。

 

『コンナコトガ………チカラヲヒトツニマトメタダケダノハズナノニ、ココマデ…!』

 

「……私は力一つに纏めたから強くなったんじゃない……信じあい、手を取り合ったこそ、強くなれたのだ」

 

クロス・パープルはそう返すと、左手の小太刀を腰に戻し右腕のリンク・コネクターブレスを再び構えた。

 

「そして、これはその証明でもある」

 

『………ショウメイ?』

 

「そう、お前を救いたいと願う者たちが手を取り合ったからこそ生まれた、絆の力の証明だ!」

 

クロス・パープルがリンク・コネクターブレスの四色のボタンの内、黒のボタンを押す。

すると、ブレスから黒く輝く光が飛び出し、クロス・パープルの周りを飛び回り始めた。

 

フォーチュン、それは絆を意味する言葉。

 

繋がる力を持つ戦士、クロス・ヴィクトリー フォーチュン・リンクの力は女神との絆があってこそ成立する。

 

 

(ノワール、力を貸してくれるか?)

 

(……仕方ないわね、手伝ってあげるわよ!)

 

 

宗谷の意志と黒い光の中に宿る、黒の女神、ノワールの意志が同調する。

その瞬間、クロス・パープルの背中の翼が分離し、光となってリンク・コネクターブレスの中に入って行った。

そしてそれと入れ替わるように黒い光がクロス・パープルの背中に移動する。

 

「フォーチュンリンク! ブラックハート!」

 

『Cross over!! Black heart Active!!』

 

クロス・パープルが叫んだ次の瞬間、黒い光は姿を変え、シャープなフォルムの黒い機械の翼へと変化した。

 

同様にクロス・パープルの装甲の色も紫色だった部分がすべて漆黒へと変化していく。

マフラーの色も黒に変わった瞬間、彼が今まで使っていた武器、ネプ刀も新たに姿を変える。

粒子状になった二振りの剣が一つになり、巨大な一振りの黒い大剣へと姿を変えたのだ。

 

新たに現れた戦士は黒い大剣を片手で持つと、それを地面に突き立て、親指で自分を指さした。

 

 

 

「俺、かっこよく参上!!」

 

 

 

地面に突き立てた大剣を引き抜き、姿を変えた黒い戦士が身構える。

その姿に犯罪神ネプギアはさらに警戒を強めた。

 

『マタカワッタ……!?』

 

「その通り、これが俺の力、フォーチュン・リンクの醍醐味ってわけよ! 今の俺の名は“クロス・ブラック”! いいか、よく覚えておけ? 今の俺はさっきまでの俺と違って最初から全力でクライマックスに行かせてもらうからな、あまりの強さに泣くんじゃねぇぞ!!」

 

“クロス・ブラック”と名乗った黒の戦士はそう言うと片手に持った大剣を軽々と振り回し刀身を犯罪神ネプギアへと向けた。

 

凛とした雰囲気を漂わせ、威風堂々とした口調をしたクロス・パープルの時と打って変わり、クロス・ブラックは荒々しく、かなり勝気な性格をしている。

姿だけでなく内面も変わり、まるで別人のような変化を遂げたことに犯罪神ネプギアは驚きながらもゲハバーンを構え、クロス・ブラックに先制攻撃を仕掛ける。

 

『………ルゥゥゥゥォォォォォォオオオオオオ!!』

 

「へ、おもしれぇ!」

 

クロス・ブラックに肉薄し、ゲハバーンを振るう犯罪神ネプギア、クロス・ブラックはその攻撃を待っていましたと言わんばかりに大剣で迎え撃つ。

刃と刃がぶつかり合ったその瞬間、犯罪神ネプギアの腕に今まで以上の強い衝撃が走った。

 

『ナ、ナンダ、イマノハ…!?』

 

先程までとは比べ物にならないほどのパワー、痺れを感じるほどの衝撃を受け、犯罪神ネプギアの攻撃が軽々と押し返される。

驚きながらも攻撃の手を休めずに二度三度と攻撃を撃ち込むが、それらはすべて犯罪神ネプギアのパワーを上回るパワーによって押し返され、クロス・ブラックにゲハバーンの刃を突き立てることが出来ない。

 

『アリエナイ……!』

 

やけくそ気味に刃を振り下ろす犯罪神ネプギア、それを大剣の刃で容易く受け止めたクロス・ブラックは犯罪神ネプギアを睨み付けた。

 

「俺はな、各女神とリンクすることで、その能力を変化させるんだよ、さっきのクロス・パープルなら戦闘力がまんべんなく上がる、そして今の俺は………パワーがすっげー上がってんだよ!!」

 

『ウガァッ!』

 

受け止めていた刃を押し返し、クロス・ブラックが大剣を立て続けに振るって犯罪神ネプギアを切り付ける。

今まで以上に力強く、強烈な斬撃を連続で犯罪神ネプギアに叩きこみ、追い打ちと言わんばかりに犯罪神ネプギアを蹴り飛ばして後ろに後退させた。

 

「まだまだぁ! 燃え上がれ、“ノワブレード”!」

 

クロス・ブラックは持っていた大剣を大上段に構えると黒い大剣、“ノワブレード”の刀身が激しく燃え盛る炎を纏った。

 

「“クライマックス・ダンス”! 行くぜぇ!」

 

『グッ………ァァァァアアアアア!?』

 

燃えたぎる炎の尾を引きながら、ノワブレードが唸り、踊り狂うように駆け巡る。

体全身を回転させるように犯罪神ネプギアへと接近し、クロス・ブラックは炎の斬撃を休みなく打ち込んだ。

荒々しくも強力な剣技を受けた犯罪神ネプギアは溜まらず吹き飛び、床を転がる。

 

「へへっ! 決まったぜ!」

 

技が決まり、得意げに笑うクロス・ブラック。

しかし、床に倒れた犯罪神ネプギアはまだやられてはいない。

 

『チョウシニ………ノルナッ!!』

 

「うおっ!?」

 

やられてばかりではないと言わんばかりに、犯罪神ネプギアが左手を翳して魔方陣を空中に浮かび上がらせるとそこから強力な光線を撃ち出し、クロス・ブラックを攻撃する。

突然の反撃にクロス・ブラックは回避することも忘れ、慌ててノワブレードでガードしようとするが、光線はクロス・ブラックに直撃し彼の周りが激し爆炎で包まれた。

 

『ハハハハ! ドウシタ! キズナノチカラトイウノハソノテイドカ!!』

 

今のは確かに手ごたえがあったと確信し、犯罪神ネプギアは爆炎に包まれたクロス・ブラックに言い放つ。

 

 

 

「ああ、今のは確かに危なかった………“我じゃなかったらな”?」

 

『………!?』

 

 

 

しかし、帰ってきたのは先程までの口調とまた違った雰囲気を感じさせる返事だった。

首を傾げる犯罪神ネプギア、その疑問に答えるようにクロス・ブラックを包んでいた爆炎が、一瞬のうちに“消化された”。

 

そして、消えた炎の中から現れたのは、さらに姿を変えた戦士だった。

 

背中の翼の形状がまた変化し、装甲やマフラーの黒かった色が純白に染まり、持っていた大剣も手に収まるサイズの斧、ハンドアックスへと変わっている。

ハンドアックスを振り抜いた体制でどっしりと構えている白の戦士、その周りには冬でもないのにちらちらと輝くダイヤモンドダストが漂っている。

 

 

 

『Cross over!! White heart Active!!』

 

「フォーチュンリンク・ホワイトハート………“クロス・ホワイト”………気張って行かせてもらう」

 

 

 

物静かな口調で名乗った白の戦士、“クロス・ホワイト”。

再び姿を変えた戦士に犯罪神ネプギアは動揺を隠せず、僅かにたじろいだ。

しかし、今の攻撃は確かに命中したはず、それなのになぜ無傷でいられるのか……。

 

(助かったぜブラン、今のはやばかったからな……)

 

(気にしなくていいわ……こういう時こそ、助け合いよ……)

 

ハンドアックスを片手に悠然と歩き出したクロス・ホワイトの中で宗谷とブランの人格が意志を共有させて会話をしていた。

 

なぜ無傷だったのかというと、攻撃が直撃する直前、リンク・コネクターブレスの中から飛び出した白い光、ブランの意志がノワールと意志と入れ替わるようにクロス・ブラックに同化したことで、クロス・ホワイトに変身し上昇した力でその攻撃を凌いだのだ。

 

クロス・ホワイトに変身したことで上昇した力とは……。

 

『コロコロトスガタヲカエテ………ウットウシイ!!』

 

犯罪神ネプギアが怒りに任せて光線を撃ち出す、悠然と歩きながら迫ってくるクロス・ホワイトに苦戦はまっすぐに伸びていき、寸分の狂いなく正確にクロス・ホワイトに直撃した。

 

だが、その攻撃を受けたはずのクロス・ホワイトは僅かに身を揺らしただけでたいしたダメージが入ったような様子も見せずそのまま歩き続ける。

 

『ナニ……!? クゥッ!!』

 

あり得ないとばかりに次々と光線をゆっくりと近づいてくるクロス・ホワイトに撃ち続ける犯罪神ネプギア、しかし、クロス・ホワイトはやはり撃ち出された光線を物ともせずにまっすぐに歩き続ける。

 

そう、クロス・ホワイトに変身することで得るのは“強靭な防御力”だ。

 

強力な犯罪神ネプギアの光線を物ともしない、鉄の砦の如き防御力によって先程の反撃も難を逃れたというわけだ。

 

「どうした……そんな攻撃では我を崩すことは出来んぞ!」

 

悠然と立ち続けるクロス・ホワイトは犯罪神ネプギアにそう告げると持っていたハンドアックスを振りかぶり一気に駆け出した。

どしどしと聞こえてきそうな重く、鈍重な足取りだが逆にそれが野生のクマの様な威圧感を与えてくる。

その迫力を感じた犯罪神ネプギアはさらに光線を打ち続けて近づかせまいとするが、狙いも正確性を失い何発か外れ、クロス・ホワイトはそのまま一気に犯罪神ネプギアの懐へと潜り込んだ。

 

「“ブラアックス”………!」

 

右手に持つ白いハンドアックス、“ブラアックス”の間合いに犯罪神ネプギアを捉えるや否や、その刀身に冷気を纏わせながらクロス・ホワイトは刃を振り下ろす。

断ち切ることに特化した斧の一撃を犯罪神ネプギアに叩きこんだクロス・ホワイトはさらに続けざまに強力な一撃を繰り出そうと大きくブラアックスを引いた。

 

「凍れ、そして砕けろ………“ブレイキング・トロンぺ”!!」

 

呟くと同時、クロス・ホワイトが右足でどんと床を踏みしめると周りの床が見る見るうちに凍っていく。

どんどん凍っていく床の氷は目の前にいた犯罪神ネプギアの足元も凍らせ、身動きを封じる。

何とか犯罪神ネプギアが抜け出そうともがくが、凍った足元はそう簡単に動かすことが出来ず、抜け出すことが出来ない。

そして、クロス・ホワイトはブラアックスに吹雪の如き冷気を纏わせながら、ブラアックスを下から上に振り上げて足元の氷ごと犯罪神ネプギアを上へと打ち上げた。

 

『ガァァァァァァァァアアアアア!?』

 

「まだまだだ……次は、お前もよく知っているはずの彼女の力を、見せてやろう…!」

 

空中に打ち上げた犯罪神ネプギアにそう告げたクロス・ホワイトはリンク・コネクターブレスの緑色のボタンを押す。

 

「フォーチュンリンク……! グリーンハート!」

 

『Cross over!! Green heart Active!!』

 

電子音が響き、クロス・ホワイトの周りをリンク・コネクターブレスから飛び出した緑色の光が飛び回る。

 

(頼むぜ、ベール!)

 

(ようやく私の出番ですわね、違う世界とはいえ、ネプギアちゃんのために一肌脱がせていただきますわ!)

 

意気揚々とベールの意志が意気込み、クロス・ホワイトの背中の翼と入れ替わるように合体し、緑の光が深緑の機械の翼へと変化する。

丸みを帯びていたクロス・ホワイトの翼と違い、ジェット機を訪仏とさせるデザインに変化し、装甲とマフラーの色も鮮やかな緑色に変わる

そして、右手に握っていたブラアックスも高貴な印象を与える緑の槍へと変形する。

 

緑の戦士へと姿を変えた彼は持っていた槍を頭の上でぐるりと振り回すと、それを地面に突き立て放物線を描きながら床に落下した犯罪神ネプギアを左手で指さす。

 

 

「僕の名は“クロス・グリーン”、ここからは僕がお相手しましょう」

 

『チィ………コザカシイィィィィィイイ!!』

 

 

完全に怒りに呑みこまれたのか、黒いオーラをゲハバーンに纏わせた犯罪神ネプギアが叫びながら立ち上がり“クロス・グリーン”と名乗った戦士に向かって駆け出す。

今までよりも力のこもった斬撃がクロス・グリーンを切り裂かんと振るわれる。

だが、クロス・グリーンはその攻撃をまるでダンスを踊るかのように優雅な動きで躱し続ける。

 

「僕はブラックのようにパワーにも秀でていませんし、ホワイトのように固くもありません、でもその代りスピードと繊細さは人一倍自信がありますゆえ…」

 

『ゴチャゴチャトウルサイ! シネェェェェェェエエエエエ!!』

 

「当たらなければどうということはありません」

 

怒りに身を任せる犯罪神ネプギアの攻撃を回避し続けるクロス・グリーン、縦に振り下ろしたゲハバーンの一撃を横に移動して回避したクロス・グリーンは左手ではたくように犯罪神ネプギアを攻撃すると、続けざまに持っていた槍を振るい追撃を仕掛ける。

火花を上げてよろける犯罪神ネプギア、クロス・グリーンは彼女にやれやれと言いたげに首を振ると再び左手でびしりと彼女を指さした。

 

「まったく、最初の頃の落ち着きはどこへやら、もう見る影もありませんね……これも犯罪神の力を解放した影響でしょうか?」

 

『キ………サ………マァ………!』

 

「あまり長引かせるのも品がありません、そろそろ決めさせていただきましょうか」

 

クロス・グリーンがそう言うと、彼の周りだけに風が吹き始め、まるでちょっとした竜巻の様な状態へと変わる。

 

 

 

「さあ、あなたの罪を数える時間です」

 

 

 

クロス・グリーンが右手に持っていた槍を構え、脱兎のごとく走り出す。

疾風を身に纏ったまま、彼は素早く犯罪神ネプギアへと接近すると得物の槍を振りかぶり、すれ違いざまに一閃!

 

『アガァッ!? ヌゥ……オノレェェェェェェェェェェエエエエ!!』

 

猛スピードで攻撃を仕掛けてきたクロス・グリーンに対抗すべく、犯罪神ネプギアも目にも止まらぬ速さで動き、ギルティキャッスルの頂上で二つの影が信じられない速度で衝突を始める。

高速移動で動き、戦い続ける両者、だがここでクロス・グリーンが仕掛ける。

 

「吹き荒れろ烈風! “ベルランス”!」

 

『ナ、ナンダ! コノカゼハ!?』

 

クロス・グリーンが持っていた槍、“ベルランス”振るい、凄まじい風圧の風を巻き起こす。

突風は犯罪神ネプギアの動きを邪魔し、僅かにその動きを鈍らせた。

その隙を見逃さず、クロス・グリーンは強烈な一撃を決めようと上空に飛び上がりベルランスを構え、犯罪神ネプギアへと一直線に急降下を始める。

 

「受けてみなさい! “エクストリーム・ラトナビュラ”!!」

 

『グァァァァァァァァアアアアアアアアアアアア!!』

 

吹き荒れる嵐の如く、先行するドリルのように回転しながら放たれたクロス・グリーンの刺突が犯罪神ネプギアを大きく吹き飛ばした。

 

強力な攻撃を立て続けに受けた犯罪神ネプギア、クロス・グリーンの放った一撃が直撃した瞬間、無意識の内に持っていたゲハバーンを手放してしまった。

後ろに吹き飛ぶ犯罪神ネプギアをよそに、ゲハバーンはそのまま床に突き刺さる。

そして、武器をなくした犯罪神ネプギアはそのまま一直線に飛んでいき、女神達の魂を捕縛していたマシンに磔にされるようにして突っ込んだ。

 

『ガハッ……! ……ナ、ナゼ……ハンザイシンノチカラヲテニイレタワタシガ……ココマデアットウサレルナンテ……!』

 

犯罪神の魂と力を受け継ぎ、力を得たもう一人のネプギアはこの状況が信じられずにいた。

女神すら圧倒した自分が、女神を容易く倒すことが出来たこの力が、なぜ目の前のたった一人の戦士に敵わないのか…。

犯罪神ネプギアの一つ目がじっとクロス・グリーンを見つめる。

 

すると、クロス・グリーンの体が光で覆われた。

また別の姿に変わるのかと思ったが、光が晴れるとそこには姿を変える前の姿、赤の装甲に身を包んだ戦士、クロス・ヴィクトリーが現れた。

 

「言っただろ、ネプギア……お前は大切な物を忘れているって」

 

『………ダカラナンダ……ソレガオマエトワタシノケッテイテキナサダトイウノカ?』

 

「ああ、そうだ……俺はそれを信じて、前に進んだからこそ、お前と戦うことが出来た」

 

クロス・ヴィクトリーはそう言うと、ぐっと右手を握り、拳を作るとそれを自分の胸にあてがう。

 

 

 

「“絆”……誰かを信じ、共に歩むための原動力……俺はそれを信じたからこそ、こうしてお前と戦えるほどに強くなったんだ」

 

 

 

その言葉を聞いた瞬間、犯罪神ネプギアの脳裏にある記憶が蘇った。

それは、自分が犯罪神と戦っていた頃、共に戦ったアイエフやコンパを含めた多くの仲間たち、そして自分の方を見て笑顔を浮かべるネプテューヌ、ノワール、ブラン、ベール、ユニ、ロム、ラムの女神達の姿だった。

 

しかし、なぜかその姿はどこか遠く感じる…。

 

「ネプギア……お前は誰かを信じることをやめて、他の人を犠牲にしようとした……今のお前と俺達じゃあ、それだけで差がありすぎる」

 

『………!』

 

「………でも、お前にもいただろう、信じ合った大切な人たちが……そうだろ、ネプギア?」

 

 

仲間………大切な人たち………信じ合った仲間たち………。

 

 

今はもう遠すぎる場所にいるかつての仲間たち…。

愛するものをもう一度取り戻すために、彼女は女神であることを捨てて犯罪神の力を手にした。

 

そして、あともう少しのところまで近づいた…。

しかし、なぜ……なぜこんなにも彼女たちが遠く感じるのか……。

犯罪神ネプギアがマシンから抜け出すように前に出て自分の手を見つめる。

 

すべてを取り戻すためにもう一度剣を握り、戦う決意を固めたその手はなぜかとても空虚で、孤独に見えた……。

 

『………ドウシテ………』

 

どうしてこんなに孤独に感じる、なぜこんなにも空虚で何もないのか…。

 

わからない………なにもわからない………なぜ、どうして、どうすればいい、考えても一向に答えは見えてこない。

 

頭を抱える犯罪神ネプギアの内からふつふつと何かが湧き上がってくる。

そして同時に浮かび上がる、仲間たちや大切な姉たちの顔…。

 

「ネプギア……お前の姉ちゃんは……仲間たちは……こんなことを望むような人達だったのか!?」

 

かつて、旅を共にして笑いあって苦楽を共にした仲間たちと同じ女神達…。

 

彼らとは確かに信じ合えていた……絆があった……。

それはずっと続くと思っていた………でも、それが今は感じられないほどに遠い存在になった…。

 

あの時の絆は、一体どこに行ったのだろうか…。

 

 

思い悩む犯罪神ネプギアの脳裏に、再びある光景がフラッシュバックする。

それは、自分の中で最も根強く、そして深く刻まれた忌々しく、そして悲しい記憶…。

 

姉を……ネプテューヌをゲハバーンで貫いた、その瞬間だった。

 

 

 

―――私だって、ゲイムギョウ界を救いたいんだよ!

 

 

 

涙ながらにそう言っていた。

思いを託し、剣の中で共に戦うと決めたネプテューヌ。

 

しかし、彼女の願いを自分は成し遂げられなかった…。

結果的に、ゲイムギョウ界は荒れ果て……滅びたと言っても過言ではなかった。

そして、今、こうして新たなスタートを切るために、別の世界の地に降り立った。

 

しかし、今自分が行っているこれは……彼女が望んだことなのか?

 

 

答えは、否だ。

 

 

『………ワタシ……ハ……!』

 

 

身を震わせ始める犯罪神ネプギア、もはや今は何が正しくて、何が間違っているのかもわからない…。

この犯罪神の力を手にした自分に、何が出来るのか……。

 

もはや自分は、世界を守る守護女神ではない……。

 

 

 

あの時とはもう、何もかもが違う…。

 

 

 

 

 

―――そう、お前はもう戻れない…。

 

『っ!』

 

 

 

 

―――お前のその手では、何も救えない………血塗られた、その手では……

 

『ァ……ァア……アァ…!』

 

 

 

 

―――お前にできること、それはこの世界を作り変えること……その力で出来ることはそれだけだ……。

 

『ワタシハ………ワタシハ……!』

 

 

 

 

―――覆せ、そして踏みにじれ、古い世界を踏みつぶし自分の世界を作る、それこそがお前に残された道だ………お前の理想郷、待ち望んだ世界だ……。

 

『ワタシ………ハ……!』

 

 

 

 

―――力に身を任せろ、そしてすべてを打ち倒せ……それが正しき道だ……さあ、やれ………すべてを破壊しろ!!

 

 

 

 

 

『ワタシハァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』

 

 

 

犯罪神ネプギアが叫び、拳を握る。

そして、握りしめたその拳に禍々しい黒いオーラが纏わりついた、その拳を振り上げてまっすぐに走り出す犯罪神ネプギア。

もはや、考えることを放棄しパニックを起こした彼女は叫びながらクロス・ヴィクトリーへと向かっていく。

 

それを見たクロス・ヴィクトリーは同じく拳を握りしめ、それを大きく引く。

 

 

 

「………バカヤロォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオ!!」

 

 

 

右の拳から虹色の光が湧き出す、温かく、そして優しい光…。

 

犯罪神ネプギアがクロス・ヴィクトリーに肉薄し、黒いオーラを纏った拳と虹色の光を纏った拳が交差した。

互いの右拳が互いの顔面を打ち据えんと勢い良く打ち出される。

 

「………」

 

『………』

 

拳を突き出した体制で制止する両者、辺りには沈黙が漂う。

 

相打ち………では、なかった。

 

 

『………ッァ』

 

 

クロス・ヴィクトリーの拳は犯罪神ネプギアの拳が届くよりも前に、犯罪神ネプギアの顔面に届いていた。

 

ぐらりと揺れる犯罪神ネプギアの体、顔を抑えその場に座り込んだ彼女の体の周りに虹色の光が広がっていく。

 

 

 

『ア………ァア………ッ…ギ……ァァアア……アアアアアアアアアアアアアアア!!』

 

 

 

苦しそうにもがき、犯罪神ネプギアが叫んだ瞬間、虹色の光が迸る様に弾け、彼女の中から黒い炎の様な物をはじき出した。

その瞬間、犯罪神ネプギアのおぞましい姿がみるみるうちに元の姿へと戻っていく。

 

見る影もない、恐ろしい異形の姿と化した彼女の姿は元のネプギアとしての姿を取り戻していき、光が収まるころにはネプギアは完全に本来の姿を取り戻していた。

身に纏っていた鎧も砕け、光が止むと同時に糸が切れたように倒れた彼女をクロス・ヴィクトリーが見つめる。

 

世界を救う、姉たち共に自分が愛したその世界を…。

でも、多くの物を失い、孤独になった彼女は暴走した……倒すべき敵の力にまで、手を出して……。

 

「………ネプギア……っ」

 

その時、クロス・ヴィクトリーもぐらりと体をよろめかせ、その場にどさりと倒れ込んだ。

同時に変身も解除され、装甲に包まれていた彼の姿も元の天条宗谷としての姿に戻った。

そして同時にリンク・コネクターブレスから紫の光が飛び出すと倒れた宗谷の近くで弾け、そこからネプテューヌが元の姿になって現れた。

 

「ねぷっ!? あれ? 元に戻っちゃった……」

 

突然の事態に驚くネプテューヌ、自分の体をペタペタとさわりつつ何もないことを確認すると目の前に倒れるもう一つの世界にいたネプギアと、近くで物言わずに静かに床に突き刺さったままのゲハバーンを交互に見る。

 

「………終わったのかな」

 

静かになったあたりを見回してふとネプテューヌがそう呟く。

その横顔はどこか腑に落ちないように見えた…。

 

 

 

 

 

「なに寂しそうにしてんのよ、ネプテューヌ」

 

「………え?」

 

 

 

不意に声が聞こえ、ネプテューヌが慌てて振り返った。

 

振り向いた先には、光り輝く7つの光、それらは一列に並ぶと次の瞬間、風船が割れる様に弾け、そこからゲハバーンによって消滅したノワール、ユニ、ブラン、ロム、ラム、ベール、そして、一番合いたかったただ一人の妹、ネプギアが姿を現した。

 

もう一度、彼女の前に姿を現した女神達。

それを見た瞬間、ネプテューヌは立ち上がると、あまりのことに目を見開き、声が出ない程驚いた。

 

そんな彼女の姿を見て、一歩前に出る者がいた………この世界のネプギアだ。

 

 

 

「………お姉ちゃん」

 

「………ネプ……ギア………」

 

 

 

互いに見つめあう二人、ネプギアがゆっくりと前に出るとネプテューヌも小さく前に出る。

そして、次第に二人は距離を縮めるために歩きはじめ、やがて待ちきれなくなったのかいつの間にか二人は走り出していた。

 

「お姉ちゃん!!」

 

「ネプギア………ネプギアーーーーーーーー!!」

 

二人の距離が0になった時、二人は思い切り互いを抱きしめあった。

また会えた、それを実感するかのように強く、強く、二人は腕に力を込めてぎゅっと抱きしめあう。

気付いたら、ネプテューヌは目から涙を流していた、彼女は泣きじゃくりながら再会することが出来た妹の名前を呼び続ける。

 

「よかった……ネプギアぁ……会いたかった………会いたかったよぉ!」

 

「うん……お姉ちゃん……また、会えたよ……お姉ちゃん……!」

 

「ごめんね……あの時ひどいこと言ってごめんね、ネプギア……もうあの時なんて言ったのかわかんないけど、とにかくごめんね、ネプギアぁ!!」

 

「大丈夫……私も気にしてないよ……だから、お姉ちゃん……もう気にしないで…」

 

ようやく、謝ることが出来た。

あの時、自分だけ言えなかったごめんなさい……それをようやくいえることが出来たネプテューヌはもう話さないと言わんばかりにネプギアを抱きしめ続ける。

そして、ネプギアもそれに答えるようにネプテューヌを抱きしめる、もう離れない……ずっと一緒だというかのように……。

 

今、引き裂かれた姉妹が再開した瞬間だった。

 

「ちょっと、再会の喜びはわかるけど私たちには何もないわけ?」

 

「一応……私たちも復活したんだけど……?」

 

その様子を見ていた女神達を代表するかのようにノワールとブランがネプテューヌに言った。

それを聞いたネプテューヌは慌てて涙を拭うとネプギアから一旦離れてノワールたちに向き直る。

 

「ごめんごめん、忘れてたわけじゃないよ? ………みんなもよかった、戻ってきてくれて」

 

「一時はどうなるかと思いましたけどね、私最初にやられてしまいましたし…」

 

「ほんと、死んじゃったかと思いましたよ」

 

「ふぇぇ………怖かった……」(うるうる…

 

「でも、わたしたち生き返ったってことでしょ? それってすごい事じゃない! ね、お姉ちゃん!」

 

あんなことがあったというのに、平常運航な仲間を見て思わず笑みをこぼすネプテューヌ、そんな彼女に釣られるかのようにネプギアも笑みを浮かべると、ノワール達も二人の元に駆け寄り、合流した。

 

こうして何とか全員の無事が確認できてほっと胸を撫で下ろすネプテューヌすると何やらノワールが小恥ずかしそうにネプテューヌをちらちらと見始めた。

 

「ネプテューヌ……その……今回ばかりは助かったわ………ありがとう」

 

呟くようにそう言った言葉に、ネプテューヌはなぜか嬉しくなり満面の笑みで今度はノワールに抱き付く。

 

「おぉ~! ノワールのツンデレだ~! なんだか懐かしく感じるよ~! 中古ショップで昔やってたゲームを久々に見つけて懐かしいなって感じるくらい!」

 

「な、何がツンデレよ! ていうかなんなのよその微妙な表現!」

 

「それがノワールの価値観と言うことかしら……」

 

「中古ゲームと同等ですか、なかなかレアなのかそうでないのか微妙ですわね」

 

「あんたたちは私のことどう扱ってるのよ! 宗谷! そんなところで寝てないであんたもなんか言ってやって……」

折角のお礼の言葉がぐだぐだな会話になってきたところで、ノワールが近くで倒れている宗谷に視線を向けた。

その瞬間、ノワールが目を見開いて動きを止めた。

それにつられて、ブランとベールを含め他のメンバーも彼の方を向く、するとそこには…。

 

 

仰向けに倒れる宗谷の上で重なるようにしてうつぶせになり、手を重ねているイストワールの姿があった、しかもこころなしか顔がかなり近い…。

 

下手をすれば、顔のある部分がくっつくほどに…。

 

 

「そ、宗谷! あんた何してるの!! ていうかイストワール!抜け駆けは許さないわよ!!」

 

「そうですわ! イストワールと宗谷がそうなるのは別に反対はしませんが、私を抜きにするのは反対しますわ!」

 

「お前は何を考えてんだよ! ていうか宗谷お前! いつの間にイストワールとそんな関係になったんだ!」

 

 

その様子を見た、約三人の女神が慌てて倒れている宗谷とイストワールに近づく。

鬼気迫る勢いで近づく三人、だが近づくにつれて何やら二人の様子がおかしいことに気付いた。

 

「……あれ?」

 

「……これは」

 

重なるようにして倒れる二人、三人が覗き込むとかろうじて予見していたようなことはしていなかったのだが…。

 

 

「う~………世界が~……世界が回る~……」

 

「きゅ~………」

 

「………のぼせてますわね、完全に」

 

 

顔を茹でだこのように真っ赤にして目を回していた。

ほっとしたようなそうでもないような微妙な表情を浮かべる三人、何事かと思ってついてきたネプテューヌ達も宗谷の様子を見るなり首を傾げた。

 

しかし、なぜこんな状態になったのか、理由が分からずにいる彼女達。

 

すると、ブランがここであることに気付いた。

 

「………これ、宗谷のブレスになにか表示されてるわ」

 

「あ、本当だ……これは……“タイムオーバー”?」

 

ブランが指し示したリンク・コネクターブレスの液晶画面をネプギアが覗き込むと、そこにはタイムオーバー、時間切れと意味する言葉が映し出されていた。

それを聞いたブランは、ふむ、と考える様に腕を組む、しばらく考えると彼女はある結論に辿り着いた。

 

「時間切れ………なるほど、もしかしたら、これはあの変身の反動かもしれないわね」

 

「え? ブラン、それってどういうこと?」

 

「宗谷の使ったフォーチュン・リンク……あれは私たちとも一心同体になることで強力な変身をすることが出来た……でも、あまりにも強力すぎるから“制限時間”があるのかもしれないわ」

 

「ということは、今の宗谷とイストワールはその制限時間を越えてしまったからこんな状態になってしまった……ということですの?」

 

「短時間で四人分の変身を連続でしたから、負担も大きかったのかもしれないわ……さすがにあんなパワーアップ、ただで出来るとしたらチート以外の何物でもないもの……そう考えるのが自然だわ」

 

限界を超えてオーバーヒートしてしまった反動だという結果に行きついたブランに、その場にいた全員はなるほどと頷いた。

確かに、それなら合点が行くというものだ。

 

「………まあでも、宗谷もイストワールも頑張ってくれたのよね」

 

「……うん、二人のおかげで私もここまで来れた」

 

そんな倒れる二人に寄り添い、微笑むノワールとネプテューヌ、そしてブランとベールもまた彼ら二人のことを見つめると四人はそっと、偶然重なっていた宗谷とイストワールの手の上に自分たちの手を重ねる。

 

 

「………お疲れ様、いーすん、ソウヤ」

 

 

代表してネプテューヌがそう言った。

自分たちを助け出すために戦った大切な人に、思いを込めて…。

 

そんな二人に思いを告げる女神達、するとここで……異変が起きた。

 

突如として、彼女たちがいるギルティキャッスルが揺れ始めたのだ。

 

「ねぷっ!? なにこれ地震!?」

 

「……違うわ、これ、この城が崩れかけてるのよ!」

 

ノワールの発言を肯定するかのように、彼女たちが立っていた床に亀裂が入り、今にも崩れそうなぎしぎしと言った不穏な音が響き始める。

 

「うわわわっ!? やばいやばいやばい! みんな脱出だよ!!」

 

「ユニ、こっち手伝って! 宗谷は私たちが運び出すわよ!」

 

「う、うん! わかったわ!」

 

「イストワールは私が何とかしますわ!」

 

「ロム、ラム、危ないから先に変身して脱出しなさい…!」

 

「やだ! お姉ちゃんと一緒にだっしゅつするもん!」

 

「せっかく……また会えたから、お姉ちゃんも……」(おろおろ

 

慌ただしく動き始める女神達、動けない宗谷とイストワールを抱えてすぐさま女神化して飛び立っていく。

そんな中、ネプギアはある物を見つけそれを手に取っていた。

 

「ネプギア急いで! 早くしないと危ないよ!」

 

「う、うん、すぐ行くよお姉ちゃん!」

 

彼女は手に取ったそれをいつも武器を呼び出す原理で慌てて仕舞うと自分を呼ぶネプテューヌの方へと駆け寄る。

すると、ネプギアはネプテューヌを見た瞬間、一瞬足を止めた。

 

そこには一糸まとわぬ姿で倒れていた別世界のネプギアを抱えたネプテューヌの姿があったのだ。

 

「お、お姉ちゃん……その人って……」

 

「……宗谷と約束しちゃったからね、それに違う世界でもこのネプギアもネプギアだもん、見捨てるわけにはいかないよ」

 

「お姉ちゃん……ありがとう」

 

気を失っているもう一人の自分の代わりにお礼を言ったネプギアに、ネプテューヌは笑顔を向けると、肩を貸すようにして抱えているもう一人のネプギアを一瞥する。

 

「それにしても……ネプギアだいぶ大きくなったね、大人っぽくなってるし、なんだか胸やお尻のあたりがより成長してるような……どれ、ちょっと確認」

 

「ちょ、ちょっとお姉ちゃん!? 変なところ見てないで早く脱出しよう!? 私も手伝うから!」

 

こんな時に呑気に成長した別世界の妹の発育を確かめようとする姉を慌てて止めたネプギア、彼女を何とか止めて反対側の腕を取ってタイミングを合わせて女神化し、パープルハートとパープルシスターとなった二人はすぐさま飛び立ち、崩壊しようとしているギルティキャッスルから脱出した…。

 

 

 

程なくして、ギャザリング・フォレストの中央に出現した居城、ギルティキャッスルは崩壊した。

そして同時にその周りに広がっていたギョウ界墓場も消滅していき、まだ立ち枯れてはいるが元のギャザリング・フォレストとしての姿を取り戻した。

 

そしてそんな中、何とか女神達は脱出を果たすことができた……。

 

命からがら脱出した女神達、その中でパープルハートとパープルシスターが救出したもう一人のネプギアへと視線を向ける。

 

「………お………ねえ………ちゃん…」

 

 

 

新・犯罪神との戦いは幕を閉じた…。

 

だが、この物語はまだ終わっていない…。

 




いかがでしたか?

クロス・ヴィクトリーの力、フォーチュン・リンクの神髄、てんこ盛りな今回のバトルでした!

次回、なんとか別世界のネプギアを救出することが出来たが、まだ彼女の心には影が纏っていた…。
まだ、彼女は救いだせていない……この事態に、宗谷と復活した女神達はある作戦を決行する!

次回、新・犯罪神編、完結……!

それでは、次回でお会いしましょう!
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