超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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どうも、白宇宙です。


大変長らくお待たせいたしました…(土下座)

夏休みも終わりに近づいて、夏期講習などで忙しくなりなかなか執筆に力が入らなかったのですが、なんとか書き上げることが出来ました(汗

さて、今回のお話は新・犯罪神との戦いを経て、何とか異世界のネプギアを救出することが出来たが、なぜか彼女は元気が内容で……。

それでは、お楽しみください、どうぞ。


stage,71 俺と最大のアフターケア

 

突然俺達の世界に現れ、ネプテューヌを含めた女神達、ひいてはこのゲイムギョウ界に牙を剥き、世界を越えてやってきた謎の存在、新・犯罪神…。

新・犯罪神が率いる四天王、そして新・犯罪神自身の手によってネプテューヌ以外の女神達が女神殺しの魔剣、ゲハバーンによって消滅してしまい、プラネテューヌにも敵の兵たちが押し寄せて甚大な被害が出た…。

 

しかし、俺は、異世界のネプテューヌの意志とでも呼べるような存在に導かれ、仮面ライダーディケイド、ゴーカイレッド、ウルトラマンゼロ、本物のヒーローである三人との修行を経て、新たな力を手にして、絶望に飲み込まれながらも再び立ち上がったネプテューヌと共に新・犯罪神との戦いに再び挑んだ。

そして……何とかみんなの力も借りて、新・犯罪神を倒すことが出来た。

 

あれから数日、あの戦いで被害を受けたプラネテューヌも復興が進んでいき、国民たちはこの事件の中でとんでもないことになっていたことも知らないまま、プラネテューヌに現れたあの兵士たちはただの新種のモンスターの暴走による事故、という扱いとされて事なきを得た。

 

たった一つ、ある問題を残して……。

 

 

 

 

 

 

「おぉ~!? 危ない! もう少しでやられるところだった~」

 

「お姉ちゃん、やっぱりここはむやみに攻撃選択しない方がいいんじゃ…」

 

「何言ってるのネプギア、攻撃が最大の防御だって昔の偉い人も言ってたんだから攻撃あるのみだよ!」

 

今日も今日とて、リビングではいつものようにネプテューヌとネプギアの二人が仲よくゲームに勤しんでる。

二人共再会してからというもの、最近はずっとこんな感じだ、まあ、一度は酷いケンカ別れをしちゃったからその関係の修復とでも言った感じかな?

あれから喧嘩の事なんてなかったかのようにいつも仲良く、楽しそうに暮らしている、というか遊んでる。

 

ただ、最近ずっとこんな調子で仕事にまったく手がついていないのが難点なんだけどな……。

 

……っと、和んで呑気に見ている場合じゃないな、そろそろ俺の出番だ。

 

「おいコラ二人とも、いつまでも遊んでないでそろそろ仕事行ってきたらどうだ?」

 

「え~、いいじゃ~ん、もう少しネプギアと一緒に遊んでてもバチは当たらないでしょ~? せっかくの再会のあとなんだよ? 普通ならその後の会話だけでラノベ数ページ分は埋まるよ?」

 

「それとこれとは話は別だ、お前もう5日も仕事サボってるだろ、今に始まったことでもないけどそろそろ動いてくれないとこっちも困るんだが」

 

今になっていーすんの気苦労が分かった気がする、女神さまが動いてくれないと結構教会側も忙しくなるんだよね…。

ギルドからの要請だったり、国民からの依頼があったり、イベントの打ち合わせに国家予算の計算、エトセトラエトセトラ…。

改めてみると、俺すごいところに身を置いてんだなって実感したよマジで…。

 

「あの、宗谷さん、大変なのはわかりますけど……私ももう少しお姉ちゃんと一緒にいたいというか……」

 

「ブルータス……いや、ネプギア……お前もか……」

 

この二人、あの事件以来シスコンレベルが上がってないか?

衣食住に遊戯、入浴、睡眠と一日の行動全部6点セットで一緒ってのはもう重症ではないかと思うんだけど? もう十分じゃないの?

 

「そうは言ってもなネプギア、そろそろ動いてくれないと本当に困るんだ」

 

「む~、どうしたのソウヤ? 急にいーすんみたいに、なにかあったの?」

 

小うるさい姑を見る嫁を見るような目で俺を見ながら問いかけてきたネプテューヌに俺は一つため息をついた。

 

「………いーすんが戻ってきて、お前達に落ちる雷とその後に役目を任された俺に跳んでくる飛び火が怖いからだよ」

 

「………ああ、本の角だね」

 

「分かるだろ、お前なら……」

 

「うん、あれは痛いよね…」

 

いーすんの本の角の被害者である俺とネプテューヌは互いにシンパシーを感じたのか互いに頷きあう。

その恐ろしさをこの中で唯一体験していないネプギアはただ首を傾げるだけだが…。

 

とまあ、それはそれとして、ちゃんとした理由はあるにはある。

ただ、まだ未確定なものなんだけどな…。

 

「それに、もしかしたら“あいつ”のためにもなるかもしれないしな…」

 

俺の言葉にネプテューヌとネプギアが何かを察したかのような表情を浮かべ、すぐに申し訳なさそうな表情になった。

 

そう、二人に仕事をしてもらうのは教会の役割を果たすのと共に、今この教会に身を置いている“あいつ”のためにもなるかもしれないからだ。

 

「……そっか、そうだよね」

 

「このままって訳にはいかないですからね…ごめんなさい、宗谷さんわがまま言って…」

 

「気にするな、せっかくまた会えたのに水を差すようなことを言って悪いんだけどよ、頼まれてくれないか?」

 

「もちろん、まだソウヤがした約束の方は終わってないもんね!」

 

ネプテューヌはそう言うと、今プレイしていたゲームをセーブして終わらせると、ネプギアと一緒に立ち上がった。

 

「それじゃ、ネプギア! 久々にクエスト行こっか!」

 

「うん、一緒に行こ、お姉ちゃん!」

 

二人はそう言うと、張り切った様子で部屋を出て行こうとする。

 

「あ、なあ、二人とも!」

 

二人がクエストに向かう前に俺は慌てて二人を呼び止めた。

 

「………ごめんな、付きあわせちまって……終わったら、みんなでどこか遊びに行こうぜ?」

 

再会した二人に向かってせめてもの謝罪とお礼を言った俺に、ネプテューヌとネプギアは何を今更と言いたげに笑みを浮かべた。

 

「水臭いことはなしなし! それに、謝るのもなしだよソウヤ」

 

「そうですよ、宗谷さん、私たちも好きでやろうとしているだけですから」

 

二人はそう言うと急ぎ足で部屋を出て行った。

どうやら、二人も最初からこれに関しては乗り気だったようだ。

なら、最初から遊んでないで働けと言うだろうが、これは二人に気を使って一人でやろうとしていた俺が悪い…。

 

「………いーすん、まだかな」

 

 

俺はふと今この場にいない、いーすんの事を思い浮かべた。

実は今、彼女には“あることを調べて貰っている”のだ、かなり難しいことだし、そう簡単に見つかるかどうかわからないだろうけど、歴史や情報に詳しい、いーすんにしか頼めない事だったからな。

 

そもそも、不確定要素なうえにいーすん自身も三日以上はかかるかもしれないと言われていたから覚悟していたけど、なんだか不安になってきた……。

 

………いいや、弱気になるな天条宗谷、最後まで諦めるな、これはあいつを救うためには多少の苦労は覚悟していたことだろう。

いーすんも今頃必死になっているんだ、俺がここで弱気になってたらダメだ、今は俺も出来ることをするんだ。

 

 

俺は自分にそう言い聞かせると、ある部屋へと向かった。

 

……まだ救いきれていない、彼女の元へ……。

 

 

 

部屋を出た俺は物音がしない物静かな廊下の奥、空いていた一室に身を置いてもらっている彼女の元へと向かった。

一枚の板で隔てられた部屋に入る前に、数回ドアをノックして中に彼女がいるかどうかを確認する。

 

『………どうぞ』

 

帰ってきた返事で中にいることを確認した俺は、ドアノブを回して部屋の中へと入り、急作りで用意した簡易な部屋、そこに用意されたベッドの上にいる彼女の姿を俺は見つけた。

少し大人びた風貌に髪をひとまとめにして右肩に流し、飾り気のない寝間着に身を包み、ベッドに身を預けている、この事件の首謀者にして、俺が今救おうとしている人物。

 

 

 

新・犯罪神の正体……別世界のネプギア。

 

 

 

「……気分はどうだ、ネプギア?」

 

「………おかげさまで、だいぶ良くなりました……ありがとうございます、天条さん」

 

天条さん、か…。

違う世界とはいえ、同じネプギアに名字で呼ばれるなんてなんだか妙な気分だ、こっちのネプギアはいつも名前で呼んでくれてたからな。

 

「宗谷でいいよ、そんなかしこまらなくてもいいって前にも言ったろ?」

 

「いえ、その……すみません……私みたいな存在が、こっちの私のようにあなたと親しくするのはなんだか、申し訳なくて……」

 

そう言って別世界のネプギア、通称“大人ネプギア”は今行った言葉を表すように表情を曇らせた。

 

あの戦いの後、変身を解除すると共にぶっ倒れて意識を失っていた俺といーすんが大人ネプギアをネプテューヌ達が保護したことを知ったのは教会に戻った翌日の朝だった。

戦いから来た疲労なのか、それとも力を使い尽くしたのか、いずれにしろその時は大人ネプギアは死んだように気を失っていた。

目を覚ましたのは俺といーすんが目覚めたさらに次の日だった、彼女はまず自分が生きていることに驚いたという…。

 

 

「あんなことをしてしまった私が、あなたと仲良くするのはおかしいと思いますから…」

 

 

自分はこの世界の女神を一度は屠った大罪人、その意識を自分で持ってしまったからか、目覚めてからというもの、大人ネプギアは俺やネプテューヌ達と距離を置くような態度を取っていた。

新・犯罪神だった時に感じた、凍てつくような殺気はもう感じない、目の前にいるのは間違いなく俺もよく知るネプギアそのものだった。

しかし、同じ存在だからか、彼女がここまで思いつめるのも何となく納得が行ってしまうんだよな…ネプギア、ちょっと頑固なところあるから

 

「まだ許すことが出来ないのか? 自分自身を……」

 

「………はい」

 

俺の問いかけに大人ネプギアは視線を伏せて静かに頷きながらそう答えた。

 

「………私は許されない過ちを犯しました……女神であることを一度は捨て、犯罪神の力を手にして、こっちのゲイムギョウ界をめちゃくちゃにしようとしました……私が弱かったばっかりに……」

 

大人ネプギアが目を覚ました後、しばらくしてなぜ大人ネプギアが新・犯罪神になったのかを俺は彼女自身から聞くこととなった。

 

 

 

こことは違う次元のゲイムギョウ界で、犯罪神と呼ばれる敵との戦いを経た大人ネプギア、しかし、その代償は大きかった。

犯罪神を倒すために不完全なゲハバーンを完成させるために苦渋の決断でその世界のノワールたちを手に掛け、最後には姉であるその世界のネプテューヌも殺してしまった。

そして、犯罪神を倒したのち、たった一人の女神となったネプギアはゲイムギョウ界をプラネテューヌ一国に統一した。

そして、その後どこからかネプギアが他の女神を殺したという情報が漏れ、ゲイムギョウ界の国民たちは同じ女神を殺した彼女を“女神殺し”と蔑み、クーデターを起こしたという。

 

ここまでは俺も不思議な出会いをした大人ネプテューヌから聞いていたことだ。

だが、問題はその後だ。

 

国民からの信頼を失い、シェアを失ったその世界のプラネテューヌは実質崩壊、世界は争いが謳歌する無秩序な無法地帯と化した…。

そして、そのまま長い月日が経過したという…。

たった一人、誰にも助けを求められずに女神の力を失ったネプギアは孤独に、当てもなく放浪し続けた…。

 

どうしてこんなことになってしまったのか…。

 

結局、何も守れなかった…。

 

後悔と自責の念に苛まれた彼女は唯一残されたあの魔剣、ゲハバーンを自分が殺した女神達の形見代わりに手にしたまま、衰退していくその世界を何十年も、下手をすれば何百年も見続けていたかもしれないらしい…。

 

そんな時、彼女の脳裏に妙な声が聞こえた…。

 

 

 

―――………これで満足か………それとも、不満か………?

 

 

 

―――すべてを失ったこの結果に、満足していないのなら………こちらに来い。

 

 

 

―――世界を覆す手段を教えよう、そうすれば……お前の求めた世界を、もう一度作り直すことが出来る………。

 

 

 

それは、所謂悪魔のささやきという奴だったのだろう…。

その声に疑問を抱きつつも、この世界の現状を覆すことが出来るかもしれないという誘いに、ネプギアは惑わされた…。

声に導かれ、藁にも縋る気持ちで辿り着いた先は………ギョウ界墓場だった。

 

そして、彼女はそこで………かつて倒した宿敵の“魂”を見たという……。

 

暗く、目の前に広がる闇、飲み込まれれば一生出られないような奈落の闇を体現したかのようなその存在を目にしたとき、ネプギアは不思議と驚かなかった。

むしろ、その闇から聞こえてくる声を違和感なく耳を傾けていたという…。

 

 

 

―――さあ、受け入れよ……女神よ、我が力を受け入れ、世界を塗り替えろ……残された道は、これしかないのだから………。

 

 

 

すべてを失い、希望も、なにもかもを失った彼女の中には、迷いはなかった…。

これですべてが元に戻るのなら、あの過ちを覆せるのならとネプギアはその力を受け入れた…。

次に目を覚ました時、そこには新たな犯罪神となった自分がいた…。

絶大な力を手にした彼女はその力を持ってして新たな世界をリセットし、自分の望む世界をリメイクする決意を固めた……。

失ったものを取り戻すために…。

 

そして、この世界のゲハバーンを手にし、今回の事件を引き起こしたのだ…。

 

 

 

 

 

「……あの時、すべてに絶望して何もかもを諦めてしまっていたから……もうこれしかないって………犯罪神の口車に乗せられて………本当にごめんなさい……」

 

大人ネプギアが目線を伏せて深く頭を下げる。

これで何回目だろうか、謝られるのは……。

犯罪神の力を手に、暴走した自分の所業を許すことが出来ないとこうして大人ネプギアは事あるごとに俺達に謝罪を繰り返している。

同時に、何処か距離を置いて俺たちと接し、たった一人でいようとすることが多い…。

まるでそれが自分に対する戒めであるかのように……。

 

でも、俺にはその姿がとても痛々しく、そして放っておけなかった…。

このままじゃ、こいつは救われない…このままでは救えない…。

 

「……もういいよ、ネプギア、気にするなって」

 

「……でも、私にはどうしたらいいか……」

 

「……その時、ネプギアも必死だった……でも、やり方に問題があった、要はそれだけの事だ……確かに許されるような事じゃないかもしれないけど、今はこうして反省してるし、そこまで自分を追い詰める必要もないんじゃないか? もう、解決もしたんだからさ」

 

「………はい」

 

返答はしたものの大人ネプギアは視線を伏せたまま、俯き続けている。

その表情にはまだ陰りが見える、やっぱりまだどこか許せない所があるのかもしれないな…。

 

「……そう言えばさ、ネプギアはこれからどうするつもりなんだ?」

 

このままの空気ではいけないと判断した俺は話題を変えるべく、大人ネプギアにそう問いかける。

すると大人ネプギアはしばし考え込むような表情を浮かべた後首を左右に振った。

 

「わかりません……これから自分がどうするべきなのかも、なにも……元の世界に帰ったとしても私にはもうどうすることも出来ないし……もういっそのこと、旅にでも出ようかなって考えてたりします」

 

そう言った彼女の横顔はやはり寂しそうに見えた。

元いた世界はもはや滅んだと言っても過言はない、この先どうすればいいかわからない、自分の周りには誰もいない。

今も尚、孤独の中にいる彼女。 このままでは本当に孤独に押しつぶされてしまいそうに見えてしまう…。

 

やっぱり、このままじゃいけない…。

 

早くしないと……。

 

「……まだ決断を早まる必要はないよ、もう少しここで休んで、それから考えようぜ? まだ体力も回復してないんだからさ」

 

「……はい……」

 

俺は大人ネプギアにそう言い残すと、部屋を後にしようとする。

とりあえず、いーすんに頼んでいたことがはっきりわからないとどうしようもないからな…。

一回、いーすんの様子を見に行こうかな?

 

俺がそう考えながら部屋を出ようとした時だった。

 

 

 

―――ボフンッッッ!!

 

 

 

突然隣の部屋から何かが爆発するような音が聞こえてきた。

驚いた俺と大人ネプギアは思わず顔を見合わせる。

 

「な、なんですか!? 今の音…」

 

「この部屋の隣は確か………まさか!? ちょっと様子を見てくる!」

 

いや、むしろ隣の部屋にいる人物に心当たりは一人しかいない!

ていうか、何があったんだよ!?

 

隣の部屋の主に心当たりのあった俺はすぐさま部屋を出て隣の部屋を確認する。

廊下に出るとあたりには異様にむしむしとした暑さが充満し、なぜか隣の部屋のドアが開け放たれた状態でそこからサウナの様な熱気が漏れだしていた。

そして、開け放たれたドアの奥からゆっくりと何者かの手が這い出てきたのを見た瞬間、俺はすぐさまその手に近づいた。

 

「おい大丈夫かいーすん!? 何があっ……って、熱っ!? いーすん熱いぞ!」

 

驚くことに目の前で倒れているいーすんからはかなりの熱が発せられていた。

以前のいーすん高熱騒動程じゃないけど、体温がかなり高いのが手に触れただけでわかった。

 

「そ……そうや……さん……」

 

いーすんはぐったりとした様子で俺を見つけると、ゆらりと手を刺し伸ばしてきた。

体からは湯気が出て、まさに尋常じゃない状態だ……これはさすがにまずそうだぞ……!?

 

「そうやさんに頼まれたものを調べていたら……オーバーヒートしてしまって……」

 

「おいしっかりしろいーすん! 無茶しなくてもよかったのに!?」

 

「あつ…い…です……体が……熱くて……はぁ……はぁ……私、もう……壊れちゃいそう……です……」

 

「っ!?」

 

いや、ちょっと待っていーすん!? なんちゅうこと言いながら、何してんの!?

 

体が熱いと訴えかけたいーすんはゆっくりと体を起こすと暑さに耐えきれないのか、驚くことにもう片方の手で自分の服を脱ぎ始めたのだ。

いやいや待て待て!? 落ち着いていーすん!? それ以上脱いだら見える! ていうかもう見えた! 白いのが見えた!! ラッキー! ってそうじゃなくて!!

 

「はぁ……ぁ……そうや……さん……」

 

「ちょ、ちょ、ちょっ!?」

 

「お願いします……なんとか、してください……私、もう……だめぇ……!」

 

ふらふらと立ち上がったいーすんは来ていた上着を脱ぎ捨てると、今度は下半身のスカートまで緩めて俺の目の前で脱いだ…!

目の前には白い下着に身を包んだだけのいーすんのスレンダーながらも女性らしい肉付きをしっかりと感じさせる真珠のように白い体が惜しげもなく晒され、挙句の果てにはその状態で俺に抱き付いてきた……!

ま、まずい……このままでは俺の理性は危険な状態に陥ってしまう…!

 

いーすんの体から伝わってくる高めの体温、乱れた息遣いに、ほのかに香る汗のにおい、そして高揚した顔で見つめてくる彼女の湿った瞳…。

 

なんか、その姿が異様に艶めかしくて……なんというか……これは……や、やばい!

 

「いいいいいいいーすん!? ととととととりあえず、落ち着いて!? ど、ど、ど、どうすればいいんだ!? できれば、不健全でない方法を教えて!!」

 

「熱い……熱いです……なんとか…してください、そうやさん……!」

 

なんとかって言われても………あ、そうだ!

 

「待ってろいーすん!! 今すぐ冷やしてやるから!!」

 

俺はすぐに暑さで苦しんでいるいーすんを両手で抱きかかえるとそのままある部屋へと直行する。

ここからそう遠く離れていないその部屋に飛び込んだ俺はスライド式のドアを開けてそのままいーすんをプラスチック製の椅子に座らせると壁に掛けられていたシャワーを手に取る。

 

そう、ここは風呂場。

オーバーヒートしたなら、体を冷やせば何とかなるかもしれない!

一か八かの賭けだが、俺はすぐにいーすんを助けるべくシャワーの蛇口をひねって冷たい冷水を出すと、彼女に頭から水をかけてやる。

 

「ひゃん! ……ん……はぁ………」

 

水がかかった瞬間、僅かに彼女の体からまた一層に湯気が出てきたような気がした。

だが、苦しそうな表情が僅かに緩み始め、苦しそうにしていた息遣いも次第にだけど落ち着きを取り戻してきた。

 

「あの、宗谷さん、もう平気です…」

 

「お、おぉ……よかった」

 

完全に落ち着きを取り戻した様子のいーすんがそう言ったので、俺はシャワーの水を止める。

ふう、と息を吐いた彼女はそっと俺のことを見上げると立ち上がってすぐに頭を下げた。

 

「ごめんなさい、宗谷さん……ご迷惑をおかけして……」

 

「いや、別に謝らなくてもいいって、無理をさせちまうようなことを頼んだ俺も悪いし……こっちこそごめんな、いーすん」

 

俺といーすんはお互いに謝る、実際のところ原因を作ったのは俺みたいなもんなんだし、悪いのは俺だと思うんだけどな……まさかこんなことになるとは……。

あ、ていうか…。

 

「そういえば、いーすんわかったのか? 頼んでたの」

 

俺は彼女に頼んでいたあることを聞くべく、いーすんにそう言うと彼女は思い出したかのように手をポンとたたきぱっと笑顔を浮かべた。

 

「あ、そうでした! ありましたよ! 宗谷さんの思っていた通りの唯一の方法が!」

 

「本当か!? ってことはこれで……」

 

「でも、これを行うには他の女神さまの協力も必要となります、至急協力を仰がない事には……」

 

「よし、任せろいーすん! みんなには俺から何とか伝え……」

 

謝ろうとする俺は、ここであることに気付いて言葉を途中で止めてしまった。

俺が目にした物、それはいーすんの体を包んでいた白い二枚組の下着だった。

それがなんと、シャワーの水を浴びた影響なのか僅かに透けているではないか……これは、なんとも……。

 

「? あの、どうかしたんですか宗谷さん?」

 

「………はっ!? い、いや、別に何も!? 俺は何も見てない!! 見てないから!!」

 

「え?………っ!?」

 

慌てた俺の様子に疑問を抱いたのか、いーすんは自分の体の状態を確認した瞬間、先程以上に顔を真っ赤にさせた。

 

「み、み、見ないでください!!」

 

「お久しぶりDeathっ!?」

 

いーすんがこういうエロいイベントに遭遇する頻度が最近より多くなってきたように感じるのは、なぜだろうか?

今日も今日とて、いーすんの本の角が俺の眉間に直撃する…。

 

でもこれで、準備は整った……後はみんなに協力を頼めば!

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜…。

 

宗谷はある人物を連れて、プラネテューヌ教会のテラスに足を運んだ。

 

「あの、天条さん……どうしたんですか、急に一緒に来てほしいなんて……」

 

「いいから、来いよ、お前がいないと始まらないんだ」

 

部屋で一人でいた大人ネプギアを、そう言って強引に連れだした彼は一緒に教会のテラスへと向かった。

空はすっかり暗くなり、大小、様々な星たちが瞬く中暗闇に包まれたテラスには少し冷たい夜風が吹いていた。

そんな夜の闇の中、大人ネプギアは自分と宗谷以外にさらに複数の人物が集まっていることに気付いた。

 

「あ、来た来た! もう遅いよ二人とも~!」

 

「こっちの準備はもうできてるわよ、早くしなさいよね」

 

「私たちにも、いろいろと段取りがあるし……」

 

「それにあまりレディを待たせるのはマナー違反ですわよ?」

 

そこにいたのは、この世界の女神達。

ネプテューヌを筆頭にして集まった四女神とその妹、女神候補生たちの8人だった。

 

「お姉……ネプ、テューヌさん……皆さんも何でここに……」

 

自分の姉ではないこの世界のネプテューヌに気を使ってか名前で呼んだ大人ネプギア、彼女のことを見つめるほかの女神達は何も言うこともなく、そっと彼女に近づいてくる。

そしてその間から、この世界のネプギアがある物を手にして大人ネプギアの前に出てきた。

 

「! ………それは」

 

「はい、あなたの……ゲハバーンです」

 

それは、大人ネプギアが持っていた彼女の世界のゲハバーンだった。

自分が葬った姉たちの形見代わりとして持っていたその剣、あの戦いの時に失くしたと彼女は思っていたが、この世界のネプギアがギルティキャッスル崩壊の際に回収していたのだ。

 

「………そうですか………やっぱり、大罪人にはこれが一番ということですね」

 

そう言うと大人ネプギアは静かにそう呟いた。

ゲハバーンを見た時、大人ネプギアはここで自分がこのゲハバーンに切られて終わるのだと解釈した、結局の所このまま放置しておくことなんてできやしない、一度ならず二度までも女神達をその手に掛けたのだ、そうなってもおかしくはない。

 

それに、姉たちが眠るゲハバーンに解釈をされるのであればまた本望…。

 

すべてを悟ったと言わんばかりに大人ネプギアはこの世界のネプギアの前に出ると両目を閉じてそっと体を差し出した。

 

「………いや、何勘違いしてるんだよ」

 

「………へ?」

 

しかし、帰った来たのは予想してなかった言葉だった。

自分の後ろにいた宗谷がそう言って隣を通り過ぎるとネプギアと視線を合わせて互いに頷く。

すると、ネプギアが持っていたゲハバーンの刃をテラスの床に思い切り突き立てた。

 

「よし………それじゃ、始めるか、頼むぜみんな!」

 

「みなさん、ゲハバーンを中心に円形に広がってください!」

 

宗谷の合図の後に、どこからか女神達を支持する声が聞こえた。

その声が聞こえた方に大人ネプギアが目線を向けると、そこには上空で背中から羽を広げて、浮遊しながら下を見下ろすイストワールの姿があった。

彼女の指示を受けて、女神達はゲハバーンを中心にして円形に広がり、それを確認した宗谷はイストワールの方にOKサインを送る。

 

「………それではみなさん、始めてください!」

 

再度、イストワールが合図を出すと女神達はそっと手をゲハバーンの方に向ける。

そして円の中心にあるゲハバーンに宗谷が近づくとゲハバーンの柄に同じように手を翳す。

 

 

 

「………準備は出来た、いくぞ!」

 

 

 

宗谷の掛け声を合図にしたかのように、女神達の手から眩い光が溢れ出し、宗谷の手へと集まっていく。

その光は彼の手を伝い、どんどんゲハバーンに流れ込んでいき、その禍々しい刃が眩い光で包まれ始めた。

 

今何が行われているのか、事前に何も伝えられていなかった大人ネプギアはただその様子を眺めていることしかできなかった…。

 

ただ分かったことと言えば、今目の前で輝くこの光が自分もなじみ深いある物の光だったということくらいだ…。

 

 

 

シェアエナジーの光。

 

 

 

馴染み深く、温かい光が惜しみなくゲハバーンに注がれていっている、それだけは唯一彼女が分かったことだった。

しかし、なぜそんなことをしているのだろうか?

自分をこの場に呼び出して、儀式染みたこの行動を全員がする意味とはいったい……。

 

「………来い………そうだ、あと少しだ………もう少し、あと……ちょっと」

 

ゲハバーンに手を翳す宗谷が何やらしきりに呟いている。

精神を研ぎ澄ませるかのように目を伏せてぽつぽつと呟き続ける彼の額には汗がにじみ、掃討に集中しているのが見て取れる。

それを証明するかのように彼が右手に巻いているブレスの画面に光が灯っていた。

 

「……待ってろ、ネプギア……もう少しだからな」

 

「あの、天条さん? 一体皆さんはなにを……」

 

大人ネプギアが待ちきれずに宗谷に何をしているのかを聞こうと一歩前に出た。

まさに、その瞬間だった。

 

 

 

「………来たぁっ!!」

 

 

 

ぱっと目を見開いた宗谷がそう言うと、その瞬間ゲハバーンからとてつもない量のシェアエネルギーが噴き出すように溢れ始めたのだ。

 

あまりにも突然の事態、そして吹き荒れるシェアエナジーの勢いに押され、大人ネプギアは咄嗟に後退った。

 

吹き荒れる嵐の様に、辺りにとてつもない勢いの風が吹き荒れる。

だが、それらすべてはシェアエナジーが作り出したエネルギーの流れによるもの、それが意味するのは何か…。

 

そっと目を開けてゲハバーンがある方向へと目を向けた彼女、するとそこには目を疑う光景が広がっていた。

 

 

 

「えっ!?」

 

 

 

ゲハバーンから溢れ出したシェアエナジーが徐々に集まり始め、7つの塊を形成し始めたのだ。

色鮮やかに輝く光は集合体となり、徐々に大きくなっていく。

まるで、虹をボールにしたかのようなその光はまるで胎動するかのように動き始め、さらにその大きさを増していく。

 

そして、その7つの塊が人ほどの大きさになった瞬間。

 

辺りに吹き荒れていたシェアエナジーの嵐が、止まった。

 

そして……ゲハバーンの周りに浮かんでいた7つの光がまるで流れ落ちる砂時計の砂のようにほころび始めた。

上から流れる様に消えていくシェアエナジーの光、夜空に舞い上がるその光は風にはこばれるように消えていき、その面積を上からどんどん減らしていく。

 

そして、シェアエナジーの塊が消えていくにつれて、その中から何かが姿を現し始めた。

 

 

 

大人ネプギアは、その中から姿を現し始めたものを目にした瞬間、心臓が止まるかのような衝撃を受けたと同時に、目を疑った。

 

 

 

「………うそ」

 

 

 

シェアエナジーの塊が姿を消していくにつれて、中から姿を現し始めたもの、それは………人だった。

それも、大人ネプギアにとっては忘れることも見間違うこともない、大切な人たち…。

 

「あ………あぁ……ぁ!」

 

無意識の内に声を漏らし、涙を流し始めた大人ネプギア。

 

ずっと、もう一度会いたいと思っていた……ずっと、後悔していた……ずっと謝りたいと思っていた……。

 

 

もう二度と会えないはずの、大切な人たち………。

 

 

 

 

 

「………ネプギア、また、会えたね」

 

 

 

 

 

シェアエナジーの塊が完全に消滅した瞬間、その中にいた人物がテラスの床の上に舞い降りて真っ先に大人ネプギアにそう言った。

そして、大人ネプギアは涙を流しながらゆっくりとその人物に近づいていく。

 

たどたどしい足取り、それでもしっかりと距離を埋めていく。

そして二人の距離が0になった瞬間、大人ネプギアはまるで親を見つけた迷子のようにその人物に抱き付いた。

 

「お姉……ちゃん……だよね……私の世界の……お姉ちゃんだよね……」

 

「………うん……そうだよ……ネプギア………久しぶりだね……本当に……!」

 

「おねえ………ちゃん……ぅっ……うぅ……ぁぁぁあああああああああ……!!」

 

「ごめんね……ごめんね、ネプギア……辛い思いをさせて……独りぼっちにさせちゃって……本当にごめんね……!」

 

そう、その人物は………ネプテューヌだった。

 

この世界とは違い、同じように大人の姿へと成長しているが正真正銘、本物の大人ネプギアがいた世界のネプテューヌ本人だ。

 

互いに涙を流しながら、抱き合う二人。

その周りにさらに他の光の中から現れた人物たちも近づいていく。

 

「何泣いてるのよ、せっかくの再会なんだからもっと喜びなさいよ、ネプギア?」

 

「ネプギアちゃん、おっきくなってる……」

 

「まあ、わたしもロムちゃんもおっきくなってるけどね!」

 

「ユニ………ちゃん……ロムちゃん、ラムちゃん……?」

 

大人ネプギアに声を掛けた三人の少女はその問いかけに対して、こくりと頷いた。

 

そう、それぞれ僅かに成長してはいるが彼女たちも大人ネプテューヌと同じく大人ネプギアの世界にいたユニ、ロム、ラムの女神候補生たち本人なのだ。

ユニはツーサイドアップの髪をロングおろし、ロムとラムは体つきが中学生ほどに成長しているが、彼女たちは紛れもなく大人ネプギアの世界の女神候補生たちに間違いはない。

 

「まったく………あんた達ばっかり盛り上がらないでよね」

 

「私たちも、こうして目覚めることが出来た…」

 

「ええ、久しぶりに心地がいい目覚めですわ……」

 

「ノワールさん……ブランさん……ベールさんも……」

 

そしてさらに後ろからは、同じく大人ネプテューヌのように成長したノワール、ブラン、ベールの三人が現れた。

ノワールはツインテールの髪型がサイドテールに変わり、ブランは僅かに背丈が伸びて髪も少し伸び、ベールは金髪の髪を一つに束ねているなど、こちらも僅かに差がある。

だが、彼女たちも大人ネプギアの知る彼女たちなのだと大人ネプギアが判断するのにそう時間は掛からなかった。

 

「みんな……どうして……どうして、復活できたの?」

 

まだ止まらない涙を手で拭いつつ、大人ネプギアは今目の前にいる彼女たちがどうして復活できたのかを問いかけた。

それに対して、大人ネプテューヌはそっと彼女たちのことを見守っていた宗谷の方へと視線を移す。

 

「それは、あの少年くんのおかげだよ」

 

「……天条、さんの……?」

 

一体どういうことなのか、大人ネプギアが疑問を抱くと、宗谷はそっと地面に突き立ったままの魔剣へと目を向けた。

 

 

 

「……最初にこれを考え付いたきっかけは、大人ネプテューヌの意志が俺を導いてくれた時のことを思い出したことだった、意志が俺に語り掛けてきたのならもしかしたらまだゲハバーンの中にみんなの魂がまだ残ってるかもしれないってな」

 

「そして、宗谷さんに頼まれた私はゲハバーンに消滅させられた女神を復活させる方法を約5日もかけて調べたんです、おかげでオーバーヒート寸前でしたけど……」

 

 

 

宗谷の説明に補足するようにイストワールが続ける。

そう、これは宗谷が考え付いた大人ネプギアを救うための最後の手段だった。

 

あの時、自分を導いてくれた大人ネプテューヌ。

あれが、大人ネプギアの世界のネプテューヌだとして、宗谷に語り掛けてきたのならまだ彼女の魂は残っているということになる。

 

そう判断した宗谷は一か八か、まだゲハバーンの中に残っているかもしれない、別の世界のネプテューヌたちの魂とも呼べる存在、それを現世に復活させるにはどうすればいいかをイストワールに調べてもらい、実行に移したのだ。

 

方法は一つ、大量のシェアエナジーをゲハバーンに流し込み封印されている女神達の意志と共鳴させてこの世界に引き戻すというもの…。

 

ただし、これにはかなりの量のシェアを必要とする上に肝心な引き戻す方法も曖昧に記載されていたため、うまくいくかどうかの確証はなかった。

 

だが、宗谷には迷いはなかった。

 

あの時、新・犯罪神との戦いの折に他の女神達の命を取り戻した時の感覚。

あれが出来たなら、ゲハバーンの中にある彼女たちの魂も引き出せるかもしれないと感じたからだ。

 

「じゃあ、みなさんはそのためにここに……」

 

「……まあ、宗谷には助けてくれた借りがあるし、借りた借りは返すのが当然の義務だもの」

 

大人ネプギアの言葉に宗谷の世界のノワールが答える。

 

「それにね、会えない寂しさとか辛さとか、なんだか私もわかるからさ…」

 

「お姉ちゃん……」

 

付け加える様に言った宗谷の世界のネプテューヌにネプギアが微笑む。

一度喧嘩して、最悪の別れ方をした二人だからわかる互いの大切さ…それを失った大人ネプギアの辛さは誰よりもわかるから…彼女たちもまた力を貸したのだ。

 

 

 

「………俺達にできるのは、これが精いっぱいだ………これからどうするかはお前が決めろ、また会えた姉ちゃんとこれからどうするかは、お前たち次第だ」

 

 

 

宗谷はそう言うと、大人ネプギアと抱き合う大人ネプテューヌの方に視線を向ける。

すると、大人ネプテューヌは目に涙を浮かべながらゆっくりと頷き、大人ネプギアの方へと向き直った。

 

「………ネプギア、あの時は本当にごめんね……私この世界を守りたいって思ってた、でも結局はネプギアに辛い思いを背負わせただけだった……」

 

かつて、犯罪神との戦いの時、最後の犠牲になることとなった彼女はその時のことを思い浮かべながら大人ネプギアに再び謝った。

だが、それに対して大人ネプギアは何を言うでもなくただ頭を左右に振った。

 

「……それを言うなら、私もだよ……私もお姉ちゃんが……みんなが好きだったゲイムギョウ界を守ることが出来なかった……崩壊していくのを、見ていることしかできなかった」

 

自分にも非があると主張する大人ネプギア、互いが互いを思うあまりの結果…。

一つの世界を守るために犠牲になった姉と、その志を守り切れなかったために、もう一度やり直そうと道を踏み外してしまった妹…。

これもまた、すれ違いから起きた姉妹のいざこざに変わりはない…。

 

だが、すれ違いがあったからこそ……またもう一度、やり直すチャンスはある。

 

「………じゃあ、ネプギア……もう一度、やり直そう……今度はみんなで」

 

「やり直す……?」

 

大人ネプテューヌの言葉に、大人ネプギアは僅かに首を傾げた。

それに対して、大人ネプテューヌは確信を得た表情でこくりと頷く。

 

 

 

「………うん、私達の世界のゲイムギョウ界を私たちの手で復興させる、そうすればリメイクなんかしなくてももう一度“リスタート”できるよ……これからは一人じゃない、みんなで……一緒に」

 

 

 

その提案を聞いたとき、大人ネプギアはまた目から涙を流し始めた。

だが、その表情はとても穏やかで、晴れやかな笑顔だった…。

 

 

 

「……よかったね、あっちのネプギアも仲直りできたみたいで」

 

その様子を見ていたネプテューヌがふとそう呟いた。

 

「仲直りっていうのとはちょっと違うと思うけど……」

 

「ううん、仲直りだよ……また、一緒になれたんだもん」

 

一度は分かたれた二人の手、だがそれがこうして再び互いを抱きしめることが出来た。

同じ道をもう一度歩いて、やり直すことが今ならきっとできる、今のあの二人なら……きっと……。

例えそれが違う世界の自分たちでも、一緒の事だ。

隣にいるから、頑張れる……姉妹と言う存在は誰よりも身近で、誰よりも一緒にいて、たまに喧嘩もするけれど、何よりも心強い存在なのだから…。

 

 

 

そっと互いの手を握るこの世界のネプテューヌとネプギア。

 

その様子を見ていたこちらの世界のノワールたち、そして同じように見守っていた宗谷とイストワールは口元に笑みを浮かべる。

 

「これで、良かったんですよね……宗谷さん」

 

「ああ、あいつはもうひとりぼっちじゃない……こっちのネプテューヌとネプギアみたいにな……」

 

自分にできることをやり遂げた宗谷は目の前の光景に満足げな笑みを浮かべる。

お膳立てはした、後は彼女たち自身が突き進む……それぞれの物語の主人公には、それぞれの道があるのだから…。

 

そんな彼の表情を見て、イストワールもどこか嬉しそうな表情を浮かべると、そっと宗谷に近づいた。

 

 

 

「……ん? いーすん?」

 

「少し、こうしていたいんです……」

 

 

 

そっと宗谷の手に自分の手を重ねたイストワール、彼女の願いを聞いた宗谷は重ねられた彼女の手に視線を向けると、小さく頷いてその手を握った。

その手は暖かく、とても安心できる感触だった……そしてなぜか、その瞬間に自分の胸の鼓動が僅かに早くなった気がする…。

 

これもまた、“繋がる絆”が起こした奇跡なのかもしれない…。

だから、これからもこの繋がりを大切にしていこう……。

どんなバッドエンドも、ハッピーエンドに変えることが出来るかもしれない、固く強い絆を……これからも大切に……。

 

 

 

 

こうして、些細なことから始まった二人の姉妹喧嘩は、もう二度と会えないはずだった異世界の姉妹の再会と共に、完全に幕を閉じたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………今の光は……なるほど、あっちのアフターケアは終わったってことか」

 

同じころ、プラネテューヌの街の路地裏で、ある人物が僅かに見える教会の方を見ながらそう呟いた。

空に浮かび上がる月を背に、右手に持ったトライデントを地面に突き立てたその人物の体は深い青の装甲に包まれている。

近未来なイメージを与えるシャープなフォルムに、夜風にたなびく青いマフラー。

その人物はそれを見てふんと鼻を鳴らすと、自分の周りに倒れる複数の陰に目を向けた。

 

その影はなんと、新・犯罪神四天王がこのプラネテューヌを襲った際に先兵として贈られたソルジャー・ポーンだった。

 

 

「取りこぼしがあったうえに、まだ肝心な四天王が逃げたままだということに気付いてないとは……どうやらこの世界の“勇者”と言う奴は間が抜けている様だな……」

 

 

青い戦士はそう言うと、足で踏みつけていた最後のソルジャー・ポーンを蹴飛ばして壁に叩きつける。

プラネテューヌの戦いが終わった際に、まだ残っていた数体のソルジャー・ポーンは地下へと逃れていたのだ。

そして闇に乗じてこうして現れるのをあらかじめ予測した青い戦士はこうして残りの兵士たちを殲滅したのだ。

 

役目を終えた彼は一つ息を吐くと、持っていたトライデントの先端に備えられた端末を手に取り、トライデントと分離した。

青い正方形をした端末にトライデントだったアイテムを粒子状に変換してその中に回収すると、変身を解除した人物は空に浮かぶ月へと目をやる。

 

 

 

「まあいいさ、こっちはこっちで好きにさせて貰う……悪はすべて、倒す……そして、いつか……“あいつ”を越えてみせる………」

 

 

 

 

 

―――“クロス・ジャスティス”として………!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから数日後、自分の世界の姉や仲間たちと再会を果たした大人ネプギアはいーすんが調べた次元を超える唯一の方法を使って、元の世界に帰って行った。

再会を果たした大人ネプギアたちは、新たな目標をすぐに実行するべく妙に張りきった様子で俺達に別れを告げて言った。

 

あの時、別れ際に見た大人ネプギアの嬉しそうな顔は鮮明に覚えている。

寂しそうな顔を、もう一度笑顔に変えることが出来た……俺は、それだけでも十分に満足だった。

 

―――ありがとうございます……天条さん……いえ、宗谷さん……私、これからもう一度頑張ってみます、お姉ちゃんたちと一緒に……もう一度!

 

リスタートを誓って次元の扉の中に入り、姿を消した別世界のネプギア……。

これからあいつは向こうの世界のネプテューヌたちと一緒に世界を元に戻すことで忙しくなるだろう…。

 

それにしても……まさか、異世界のゲイムギョウ界も巻き込むほどの事件に繋がるなんてな……ふとした姉妹喧嘩を始まりにとんでもないことに巻き込まれたもんだ……。

 

でもまあ、終わり良ければ総て良し、かな?

 

だって……

 

 

 

「はぁ……なんか久々に平和って感じだぁ…」

 

「いやぁ~、まったくだよ~、あ、このサンドイッチおいし~♪」

 

 

 

こうして、いい天気の日にみんなでピクニックに来れるんだからな。

これが一番再び取り戻した平和を実感できる気がする、まさにすべて元通りってわけだ。

 

「あんたらも呑気な物ね、あんな事件の後で少しは気合入ると思ったらいきなりピクニックなんて」

 

うまそうにサンドイッチを頬張るネプテューヌの隣にいたアイエフが俺達を見てそう言った。

まあ、確かにいろいろあったはあったけどさ…。

 

「逆だよ逆! あんなことがあったからこそ、毎日がえぶりでーいなの!」

 

「ナニソレ、イミワカンナイ」

 

「ゔぇぇっ!? なぜにソウヤは片言!?」

 

毎日がエブリデイって、用は同じ単語を二回繰り返してるだけだからな?

ネプテューヌに軽くツッコミを入れた俺は目の前に広がるプラネテューヌ街並みを眺めつつ、苦笑いを浮かべる。

 

「でも、アイエフさんの言う通りですよ? まだ逃げ出した四天王の所在も分かってないんですから……」

 

アイエフに同調して、いーすんもいつの間にか姿を消していた新・犯罪神四天王の事を俺達に告げる。

確かに、あの時撃退してどこかに逃げ出していこう、一向に姿を現さないな…。

 

このまま世界のどこかに逃げ出したのだろうか……いやでも、そうとは考えにくい……なにせ、あれだけしつこくてキャラの濃い連中だったからな、またいつか俺達の前に姿を現すかもしれない…。

 

でも……

 

 

 

「もしまた現れるようなことがあったら、もう一度迎え撃つさ、この世界は俺達が守る! なんてな」

 

 

 

大げさなポーズをとりながらそう宣言した俺に、いーすんやアイエフさらにはコンパさんまでもが苦笑いを浮かべる。

 

あれ? 俺、本気だったのに……

 

なんか裏切られた気分を感じつつ、俺は照れくさくなって頬を掻きながら元の位置に座ろうとみんなの元へと戻る。

 

 

 

 

 

「あーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

 

 

 

 

すると、突然俺達がピクニックをしている後ろに会った森の方から大きな声が聞こえた。

驚いた俺達がその方向に視線を向けると……。

 

 

 

「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

 

 

俺達の方を指さしながら声を上げる小さな女の子がいた。

黄色と黒色の袖が少し広がった服を着た黄色い紙の女の子だった、その子はなぜか俺達を指さして何やら大声を上げている。

 

「な、なに? この子……?」

 

「さ、さあ……」

 

「なんでこんな小さい子が、こんな所で?」

 

「ここは子ども一人が遊びに来れるような場所ではないはずですけど……」

 

首を傾げるネプ姉妹といーすん、そして俺も同様に突然現れたこの子が何者なのか疑問を浮かべる。

そして、その後、その子が発した言葉を聞いたときにその謎はさらに深まることとなった。

 

 

 

「こんぱっ! あいえふ!」

 

「えぇ!?」

 

「だ、だれ……です?」

 

 

 

なぜかアイエフとコンパさんの事を知っている様子のその小さな女の子、だがそれに対して二人は見覚えのない様子で目を見開く。

 

 

 

この時、この新たな出会いが、新たな物語の始まりを告げたことを……俺達はまだ知らない。

 

 

 

とにもかくにも……。

 

 

 

俺はこの日、異世界のネプ姉妹を見送った次の日に、小さな女の子に出会いました。

 




如何でしたか?

どうにかこうにかこのお話を終えることが出来ました……いやぁ、長かったなぁ。

さて、これにて新・犯罪神編は一旦完結です!
そして次回からは新たな物語が動きだす!

遂にパワフルなあの娘がネプおばに本格参戦!!

それでは次回でお会いしましょう!
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