超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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どうも、白宇宙です!

ドライブ最終回に登場したゴーストの戦い方を見て早くゴースト本編が見たくなりました(笑)

そんなことより!

今回のお話は……遂にあのお方が降臨なされます……。
すべてを恐怖にい陥れる、絶対強者の女王様…。

僕のお気に入りのキャラなだけに、今回の見所はもちろん! あの人の大活躍です!

すべてを踏みしめる彼女の姿を………バッチリミナー!


stage,79 俺と虹の女王様

 

 

アイエフが誘拐されたという事実を知った宗谷達はすぐさま添付されていた地図を頼りにアイエフが捕まっていると思われる場所を見つけ出し、すぐさまその場所に急行した。

いったい何者がアイエフを拉致したのか、疑問を感じながらも彼らがそこに辿り着くと……。

 

「待っていたぞ貴様ら、今度こそお前たちを葬ってくれる!」

 

「お前は………マジェコンヌ!」

 

そこにいたのはリーンボックスで宗谷達と激闘を繰り広げた強敵、マジェコンヌだった。

 

マジェコンヌは上空に現れたパープルハート、パープルシスター、そしてクロス・ヴィクトリーに変身した宗谷を順にみると不敵な笑みを浮かべた。

 

「ふん、覚えていたか、死にぞこないの小僧…」

 

「っ………あなたは!」

 

「落ち着けいーすん、大丈夫だ……」

 

その時のことをあざ笑うかのように言い放ったマジェコンヌに対し、イストワールは怒りを込めた眼差しでマジェコンヌに反論しようとするが、クロス・ヴィクトリーが制止する。

彼に諭されたイストワールはしかし、と言いたげな目を向けるがクロス・ヴィクトリーは優し気に頷いて彼女を落ち着かせようとする。

 

「………まさか、あんたとまた会うなんて思ってもみなかったぜ」

 

「私はこの時をずっと待っていたがな、女神達とお前たちに復讐するこの時を……」

 

鋭い眼差しを向けるマジェコンヌに、宗谷は警戒を強めて拳を強く握り絞める。

先の戦いでは宗谷もよく知るヒーロー達と対峙した強敵達の能力を使い、宗谷達を覆いに苦しめた相手。

もし、今回もそのような能力を使うなら苦戦は免れないだろう。

それ故に、宗谷はより一層に警戒を強めていた。

 

同時に、宗谷の隣でパープルシスターと共にプルルートを支えていたパープルハートはマジェコンヌに対して強気な姿勢で彼女に視線を向ける。

 

「………お望みならいくらでも相手をしてあげるわ、とにかくあいちゃんを放し……っ!?」

 

しかし、パープルハートは突然口元と鼻先を抑えてその場で動きを止めてしまった。

 

「だ、大丈夫お姉ちゃん!?」

 

「ごめんなさい……ナスの匂いが……」

 

「ナス? ………あ、そう言えばここって………」

 

宗谷はこの時、彼女の言葉を聞いて初めて自分たちが今いる場所がどこなのかを確認した。

視線を下に向け、見回してみるとあたり一面にはすべてナスばかり、彩も鮮やかでつやのあるその皮がどれだけ新鮮なナスなのかをこれでもかと表している。

そして、辺り一面に充満しているナス独特の香り…。

 

ナス嫌いのネプテューヌにとっては完全にアウェーな空間だ。

 

 

 

「ようやく気が付いたか……お前の弱点を突くために、わざわざこのナス畑を買い占めたのさ、ここがお前の墓場となるのだ!」

 

「………はい?」

 

 

 

それを見たマジェコンヌが得意げにパープルハートに宣言するが、その発言を聞いたクロス・ヴィクトリーは仮面の下で眉を潜めた。

 

「………なあ、いーすん、俺達ってさ前にあいつに苦戦したよな? 結構な激闘を繰り広げたよな? ………俺さ、あんな小物臭がぷんぷんする作戦を考えるような奴にやられかけたの?」

 

「……すみません、宗谷さん……私もちょっと、なんだか複雑な気持ちでいっぱいです……私、あんな人に泣かされてしまったんでしょうか……だとしたらなんだか……」

 

「おいそこぉ! 全部聞こえているぞ!!」

 

一度は大苦戦し、命すら落としかけた戦いを強いられた相手であるマジェコンヌが宣言したこの作戦にクロス・ヴィクトリーとイストワールは共に複雑な心境を抱えた。

女神を捕縛し、その命すら奪いかけた作戦を立てたのに、なぜ今更こんなふざけた作戦を考えたのだろうか……クロス・ヴィクトリーは頭を抱える。

 

「ふん、まあいい……そんな態度を取っていられるのも今の内だ、紫の恐怖に女神を叩き落した次は、教祖と小僧、お前たちの番だ!」

 

「ふざけないで、いくら嫌いでもナスなんかでやられる訳がないでしょ! それに、私たちだって以前の様にはいかないわ!」

 

「………それはどうかな?」

 

マジェコンヌの言葉にそう反論したパープルハート、だがマジェコンヌは口元に不敵な笑みを浮かべるとどこからか大きな籠を取り出した。

 

「出でよ! 我が紫の僕!!」

 

マジェコンヌが言い放つと同時、籠の中に入っていた物が周囲に放り出された。

盛大に放り投げられた籠の中身の正体は、採れたて新鮮なナスだった。

この行動に、クロス・ヴィクトリーは何がしたいのかと首を傾げるが、次の瞬間彼は驚愕し、目を疑った。

 

「なっ!?」

 

「なにあれ!?」

 

「ナスが……モンスターに!?」

 

なんと、ただの野菜であるはずのナスが、突如としてモンスターに変化したのである。

羽の生えた馬型のモンスター、“馬鳥”に跨り、革をピーラーで剥いたキュウリの様な槍を構えるナスモンスター、仮に名をつけるなら“ナスライダー”だろうか。

 

一つや二つのナスだけじゃなく、マジェコンヌが投げたすべてのナスがナスライダーへと変化し、空中で留まっているクロス・ヴィクトリー達、特にナス嫌いのパープルハートに向かっていく。

 

「なっ!?」

 

無数のナスが差し迫ってくるような光景に、ナス嫌いのパープルハートは耐え切れなかったのか、僅かに怯えた様な表情を見せた後、変身が強制的に解いてしまった。

 

「わわっ!? わぁぁああ!?」

 

「ほわぁ~~!?」

 

「あっ!? うっ……くぅっ!」

 

「ネプギアさん!? 宗谷さん、お二人が!」

 

「ネプテューヌ! プルルート! 待ってろ今助ける!」

 

変身を解除してしまったために、飛行能力を失ったネプテューヌ、そのためもともと変身していなかったプルルートの分に加え、彼女の体重をもさせなければならなくなったパープルシスター。

離すまいと必死にプルルートの手を握る彼女だが、顔に苦悶の表情が浮かび上がり、今にもその手を離してしまいそうな状態だ。

 

すぐさまクロス・ヴィクトリーとイストワールの二人がネプギアを助けようとするが…。

 

 

「そうはさせん、お前たちの相手はこいつらだ!」

 

 

マジェコンヌが叫び、取り出した二つの錠前を開錠する。

そして、それと同時にクロス・ヴィクトリーとイストワールの近くでファスナーの様な音と共に、時空が裂け、そこから二体の異形が飛び出してきた。

 

「っ! きゃっ!?」

 

「いーすん! ぐっ!?」

 

飛び出した二体の異形は、早速とばかりに二人に飛び掛かると二人に殴りかかり、攻撃を受けた二人はそのまま地面へと降下していった。

そして、それと同時にパープルシスターの方にも限界が来たのか、プルルートの手を離してしまい、ネプテューヌとプルルートの二人はクロス・ヴィクトリー達と同時に地面に向かって落ちて行ってしまった。

 

「「わぁ~~~~~!?」」

 

「うぉぉぉぉおおおおおおお!?」

 

「きゃぁぁぁぁああああああ!?」

 

凄まじい砂煙を上げて地面に落下した四人。

落下した際に打ち付けた所を痛がりながら、それぞれが無事を確認し合う。

 

「いっつぅ………おい、みんな大丈夫か?」

 

「う~……お尻ぶつけたぁ…」

 

「うぅ、落ちるの二回目だよぉ~…」

 

「みなさん無事みたいですね……でも」

 

イストワールがそう言うと、視線を四人がいる場所の後ろの方へと視線を向けた。

クロス・ヴィクトリーもその視線を追うように後ろを振り向くと、そこには今しがた自分たちに襲い掛かった異形の二体がこちらを睨み付けるようにして立っていた。

 

 

「な、あいつら……インべス!?」

 

「え? 宗谷さん、あのモンスターを知ってるのですか!?」

 

 

クロス・ヴィクトリー達を襲った異形の怪物、インべスを前に驚愕するクロス・ヴィクトリー。

右側に立つのは、赤い鎧の様な表皮にゴム質の黒い翼を携え、手には鉤爪を持つ蝙蝠が他のインべス、コウモリインべス。

左側に並んで立っているのは、金属の様な鈍い輝きを放つ体表に覆われた竜の様な姿が印象的なインべス、“セイリュウインべス”。

 

二体のインべスが威嚇するように唸り声を上げる。

 

「なんで、鎧武に出てきたインべスがこんな所に……」

 

「ククク…そいつらは女神を倒すために用意したナスたちと一緒に用意した私の忠実な僕だ」

 

突如として現れたインべスに疑問を隠せないクロス・ヴィクトリーにマジェコンヌが答える。

その手には今しがた二体のインべスを召喚した二つのロックシードが握られていた。

 

「ロックシード!? なんで、お前がそれを!!」

 

「ごちゃごちゃ言っている暇があるのか小僧? さあ、そいつらを捻りつぶせ!!」

 

早速命令を飛ばしたマジェコンヌ、それに従い二体のインべスはクロス・ヴィクトリーとイストワールに目がけて突っ込んでくる。

さらには先程ネプテューヌを驚愕させたナスライダー達も再びネプテューヌ達目がけて襲い掛かってきた。

 

「い、いやぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!」

 

「ネプテューヌ! くそっ! 小物臭ぷんぷんの作戦なのに……!」

 

襲い来るナスライダー達に恐怖のあまり叫ぶネプテューヌをクロス・ヴィクトリーは助けようとするが、自分に迫ってきたセイリュウインべスの攻撃がそれを許さない。

 

固い表皮に覆われたセイリュウインべスの腕が振るわれ、クロス・ヴィクトリーの装甲を打つ。

激しい衝撃と共に、たまらず地面を転がったクロス・ヴィクトリーは赤剣を呼び出し、構えると袈裟懸けに刃を振るい反撃する。

 

―――カキィン!

 

「うっ……や、やっぱ固いのか……!」

 

しかし、セイリュウインべスの最大の特徴である金属のように固い鱗が赤剣の刃を通さず軽い音と共に痺れるような反動がクロス・ヴィクトリーに伝わってくる。

その感覚に怯んだクロス・ヴィクトリーの隙を突き、セイリュウインべスは猛攻撃を仕掛ける。

胸の装甲を激しく数回殴りつけた後、容赦なくクロス・ヴィクトリーを蹴り飛ばし、再度彼を地面に叩き伏せる。

 

「ぐはっ……! くぅっ…」

 

「宗谷さん! このっ……!」

 

ダメージを受けたクロス・ヴィクトリーを見て、イストワールは駆け寄ろうとするがそれを許すまいとコウモリインべスが空中から奇襲を仕掛けてくる。

 

黒い翼をはためかせて鉤爪を振るい襲い掛かるコウモリインべス、イストワールはモード・アクティブを起動させ、白い細剣を握り、その攻撃を迎え撃つ。

すれ違いざまに爪と刃がぶつかり、甲高い音と共に火花が散る。

 

「風ノ記憶!」

 

接近戦では不利と判断したのか、イストワールはすれ違い、距離を取り、再度戻ってくるタイミングを狙って風系統魔法を発動し、強力な風圧を持った塊を飛ばして、迫りくるコウモリインべスを迎え撃つ。

しかし、コウモリインべスはその攻撃を容易く回避すると、ぎらりと光る鉤爪を構えて再度イストワールに肉薄した。

 

「っ! あっ!?」

 

目の前まで肉薄し、鉤爪を振り下ろしたコウモリインべスの一撃を咄嗟に構えた細剣で真正面から受け止めたイストワール。

だが、インべスの強靭な力に押し負け、彼女はその場に組み伏せられてしまった。

 

金切り声を上げてイストワールを地面に押し倒したコウモリインべス、何とか押し返そうとイストワールは腕に力を籠めるがうまくいかない…。

 

「いーすん!! ……チクショウ!!」

 

『Skill Link! Metal gear Solid』

 

クロス・ヴィクトリーはスキル メタルギアを発動し、左手にガンコンシューターを呼び出してトリガーを握るとガンコンシューターのタッチパネルを操作してモードを切り替える。

 

「どけぇ!!」

 

『Cannon mode』

 

モード変更を終え、照準を目の前のセイリュウインべスに合わせたクロス・ヴィクトリーはすぐさまガンコンシューターのトリガーを引く。

すると銃口からは強烈な衝撃と音と共に一回り大きなエネルギー弾が発射され、それはセイリュウインべスに直撃すると激しい爆音と火花を上げて炸裂した。

 

今のは、強力な砲撃型の一撃を撃ち出す、キャノンモードによる一撃だ。

このモードはガンコンシューターのモードの中で特に威力に優れている、その威力は固い表皮を持つセイリュウインべスと言えどたまらずその場に倒れ伏すほどだ。

強力な一撃故に反動も大きく、連射はできないがおかげでセイリュウインべスを怯ませることが出来た。

 

クロス・ヴィクトリーはすぐさま立ち上がるとイストワールの元に向かい、覆いかぶさっているコウモリインべスに蹴りを見舞い、彼女の上からどかす。

 

「いーすん、大丈夫か!?」

 

「な、なんとか……」

 

なんとか彼女の窮地を救うことが出来たが、まだ敵は健在だ。

蹴飛ばしたコウモリインべス、そしてセイリュウインべスも共にこちらを見て唸り声を上げている。

 

「ネプテューヌたちの方は……」

 

クロス・ヴィクトリーが呟き、ネプテューヌとプルルートの方を見ると……。

 

「ナス怖い!! ナスストップ!?」

 

「や~だ~……もう…」

 

「お姉ちゃん! プルルートさん! この、どいて!!」

 

ナス嫌いのネプテューヌはナスライダーに追いかけまわされて逃げ惑い、プルルートも完全に取り囲まれていて身動きが取れない。

パープルシスターが二人を援護しようと奮起しているが、いかんせん数が多すぎて二人の元に辿り着くことが出来ない。

 

「こっちはこっちで身動き取れないし……どうすれば……」

 

この状況をどうにか打破できないかと頭を悩ませるクロス・ヴィクトリー。

 

 

「ねぷ子! しっかりしなさい! おばさんの魔力で出来たモンスターなんて蹴散らして!!」

 

 

ふとそこに、アイエフの声が聞こえた。

恐らくはネプテューヌを叱咤するための言葉だったのだろうが…。

 

「まだ懲りぬようだな?」

 

「っ! むぐっ……!?」

 

「せっかくだ、ナスを食わせ続けてやる!!」

 

今の人質の状態では火に油、マジェコンヌはアイエフの口にこれでもかと次々にナスを押し込んでいく。

一本だけでも相当きついのに、連続で押し込まれ続けるとなると……想像するのも恐ろしい……。

しかも、押し込まれるナスを無理矢理加えさせられた彼女の表情が妙に艶めかしい…。

 

「アイエフ! マジェコンヌの野郎、ナスのせいで変に不健全に見える仕打ちを……許さねぇ!」

 

「……宗谷さん、何か今変な事考えませんでしたか?」

 

「いやまったく!!」

 

戦いの途中で怪しげな発言をしたクロス・ヴィクトリーにイストワールがジト目を向ける。

クロス・ヴィクトリーはそれを全力で否定すると、すぐさま目の前に迫ってきたセイリュウインべスの攻撃を赤剣で受け止めて、何とか押し返した。

 

「でも、マジで状況は最悪だな……ていうか、こんな作戦に苦戦するなんて……!」

 

クロス・ヴィクトリーとイストワールには強力な二体のインべス、ネプテューヌ達の所には数にものを言わせ、ネプテューヌを恐れさせるナスモンスター達が、人質になったアイエフもナスによる拷問に苦しめられ…。

 

大苦戦のこの状況にクロス・ヴィクトリーは仮面の下で歯ぎしりをする。

 

辺りに充満するナスの匂いも今となっては忌々しい限りだ。

心なしか、ナスモンスターの数も増えているのを見る限り、マジェコンヌがさらに数を増やしたのだろう。

 

「ククク……よもやこんなにうまくいくとはな? このまま女神をナスの地獄に叩き落し、忌々しい教祖と小僧を怪物どもの手で捻りつぶしてやる! ……その前祝いだ、お前には存分に生のナスを味合わせてやろう………ふっふっふ……はーはっはっはっはっは!!」

 

遠くの方でマジェコンヌの高笑いが聞こえる。

このままではすべて彼女の思い通りになってしまう…。

 

「……だぁぁあああ! もうじれったい! いーすん、こうなったらフォーチュン・リンクで一気に蹴散らすぞ!」

 

「宗谷さん、それはいいのですが……」

 

クロス・ヴィクトリーがリンク・コネクターブレスを構え、イストワールにフォーチュン・リンクを促すが、その前にイストワールがクロス・ヴィクトリーの肩を叩き、ある一点を指さした。

 

「なに、今はそれどころじゃ………ん?」

 

イストワールが指さした先、そこにいたのはナスライダーに取り囲まれているプルルートだった。

プルルートはなぜか、項垂れるように顔を伏せ身動き一つ取らずに棒立ちしている。

何かあったのかとクロス・ヴィクトリーが目を凝らすが……どうにも、怪我をしているような様子もない。

 

それになぜだろうか、妙にプルルートの周りだけ、空気がしーんと静まり返っているように見える。

 

 

「プルルート、なにかあったのか?」

 

「わかりません……けど、なにか妙な威圧感が……」

 

 

プルルートの様子に疑問を抱いた二人はじっと彼女を見つめる。

すると、唐突に俯いていたプルルートが右手に握っているぬいぐるみをそっと振り上げた。

 

「?」

 

一体どうしたのか、クロス・ヴィクトリーが首を傾げると………。

 

 

 

 

―――ドォォォォオオン!!

 

 

 

 

隕石でも落ちたのか、と思うほどの轟音が鳴り響いた。

 

ナス畑に突如として鳴り響いた轟音に、その場にいたナスライダー達、マジェコンヌ、ネプテューヌ、パープルシスター、さらにはインべスまでもが一斉に轟音がした方向に目を向けた。

 

「いっ!?」

 

そして、クロス・ヴィクトリーは目を疑った。

それもそのはずだろう、なにせ先程まで何の変哲もない地面だったはずのプルルートの足場が“大きく陥没”していたのだから。

 

ぬいぐるみを振り下ろした姿勢でいるプルルート、まさかあのぬいぐるみで地面を陥没させたというのだろうか……。

 

「な、なあ、いーすん……ぬいぐるみって、あんな威力を秘めてるものだっけ? もっともふもふで軽いイメージじゃなかったっけ?」

 

「そ、そのはずです……」

 

目の前で起きた信じられない状況にクロス・ヴィクトリーは信じられないと言いたげに反応する。

 

しかし、驚愕の事態はこれだけに留まらなかった…。

 

 

 

「なんか~……むかつく~……」

 

 

 

ゆっくりと顔を上げたプルルートが今までにない発言をした。

心なしか、あの優し気でほんわかしたイメージを与えてくる目元にも、冷たげな印象を与えてくる冷ややかな眼差しに変わっていた。

 

「……な、なあ、いーすん……プルルートってあんな言葉言ってたっけ? もっとこう、のんびりほわほわした口調じゃなかったっけ? むかつくとか堂々という子じゃ、なかったよね?」

 

「そ、そ、そ……そのはず、です……」

 

さっきまでとは打って変わって豹変したプルルートの様子にクロス・ヴィクトリーは若干声を震わせながら再度イストワールに問いかける。

だが、この事態にイストワールもたじろぎ、声が若干震えていた。

 

 

 

「なんで~……アイエフちゃんを~……そこまで~……いじめるのかなぁ……?」

 

「うっ………!」

 

「ねぷぅっ!?」

 

 

 

挙句の果てには地面に叩きつけたのであろうぬいぐるみを容赦なく踏みつけ、ぎりぎりと踏みにじりはじめた。

しかも、あののんびりとした口調が今はなぜかすごく恐ろし気に聞こえてくる…。

 

「な、な、な、なあ、いーすん!? あ、あれ、ぷ、ぷ、ぷ、プルルートだよな!? あの、ほんわか天然さんでぬいぐるみ作るの大好きで、全裸見られても恥ずかしがらなかった、あのプルルートだよな!?」

 

「そ………そんなこと言われても……もう私にも何が何だか…!?」

 

今までのイメージを根本的に覆す彼女の豹変ぶりにその場にいた全員は驚愕に目を見開き、軽く恐怖すら感じ始めた。

イストワールに質問するクロス・ヴィクトリーの声も完全に上ずって震えている…。

 

この場に居合わせた者たちに言い知れぬ恐怖と威圧感を与えるプルルート。

 

だが、その中で無謀にも反論しようとする者がいた。

 

「ひ、人質を私の好きにして何が悪い!!」

 

この事件の首謀者、マジェコンヌだ。

押し負けないようにと思ったのか、マジェコンヌはプルルートにそう言い返す。

 

 

 

これによってプルルートのスイッチが完全に切り替わるとも知らずに……。

 

 

 

 

 

「………そんなこと言うんだ~………じゃあ………」

 

 

 

 

 

プルルートは静かにそう呟くと、僅かに顔を上げて口元に笑みを浮かべた。

だが、その笑みはいつものやわらかな笑みとは180度真逆の………冷たい笑みだった。

 

そしてそれを合図にしたように、プルルートの身体が眩い光で包まれる。

 

この光はクロス・ヴィクトリーもよく目にしている現象だった。

これは女神化の光だ。

今彼女は女神としての姿に変身しようとしている。

 

昨夜は彼女のイメージから、魔法少女風の姿を想像していたクロス・ヴィクトリー。

しかし、あのような状態を見た後ではそのイメージが鮮明に思い出すことが出来ない。

 

いったい、彼女はどのような姿に変身するというのか……。

 

光に包まれたプルルートをクロス・ヴィクトリーは固唾をのんで見守った。

 

そして、やがてその光が晴れていき、女神化したプルルートの姿が露わになる……。

 

 

 

「………あたしも好きなようにさせて貰おうかしらねぇ?」

 

「………え、誰、あれ………」

 

 

 

そこにいたのは、もはや先程のプルルートとは似ても似つかない全くの別人だった。

 

あの優し気な顔つきはどこへやら、大人びた印象を与える顔つきと女神化したネプテューヌに負けないくらいのグラマラスボディ。

正直、ここまでなら予想は出来た……しかし、問題はその後だ。

 

そのグラマラスな肉体を覆うのはパープルハートやパープルシスターが身に纏うタイプの物とは段違いに、露出度が高く、妖艶な印象を与えるタイプの物、胸元の谷間を大きく露出させ、腹部も完全なへそ出し、臀部に至っては完全なTバックでもはや防御なんて意識していないかのような作りの衣装。

 

俗にいう、“ボンテージ”と言うものだ。

 

過激なSのお姉さまが身に纏う、あの衣装だった…。

 

蝶の様なウィングを背中に携え、刃が分離し、まるで鞭のようにしなる特殊な剣を携えた彼女の姿は、女神と言うよりもまさに……。

 

 

「えっ……ぷるるん!?」

 

「………お姉ちゃん以上の変貌ぶり………」

 

「………ていうか、あれ“女王様”だよね、あれ女神様じゃないよね、完全に女王様だよね!?」

 

 

目の前に現れた女神、いや“女王様”の姿を前に驚きを隠せない様子のネプテューヌとパープルシスター、完全に取り乱すクロス・ヴィクトリー、イストワールに至ってはもう完全に怯え切った様子で彼の後ろに隠れている。

 

 

「う、うそだろ……あれがプルルートの女神化した姿だってのかよ……!? 魔法少女じゃなかったのか……!」

 

 

昨夜に考えていた彼のイメージが、この時完全に砕け散った。

その場にがっくりと膝をつくクロス・ヴィクトリー、何気に楽しみにしていただけにこのギャップ差は激しすぎた様だ。

 

「き、貴様何者だ!?」

 

「わたしぃ? “アイリスハート”よぉ?」

 

突如として現れた女神化したプルルートに名前を問うマジェコンヌ、それに対して若干の色気を交えた口調で答えたプルルート、否、“アイリスハート”は答えるとすぐに口元にまた笑みを浮かべた。

 

「でも、覚えなくていいわ……」

 

そう言うと、アイリスハートは身をぐっと縮め、思い切り、空中を蹴って飛び出した。

 

 

「体に刻み込んであげるからぁ!!」

 

「うぁぁぁあああ!?」

 

 

一撃怒涛。

飛び出した時に生じた勢いそのままに、右手に握った剣を思い切り振り抜いたアイリスハート。

まわりに強烈な風が巻き起こるほどの強烈な一撃を受け、マジェコンヌの体が宙を舞う。

 

しかし、それで終わりではないとアイリスハートは再び身を屈めて上空に舞い上がったマジェコンヌの所まで飛翔し、追尾する。

 

「もしかしてぇ、見た目の割には淡白なタイプ?」

 

「ひっ………!?」

 

上から見下ろすようにマジェコンヌにそう言い放ち、アイリスハートが楽しげな表情で剣を振るう。

そこにはもはや、先程までのプルルートの姿は欠片も残っていなかった…。

 

彼女の一撃を受けて、勢いよく地面に叩きつけられるマジェコンヌの元に再びアイリスハートが降りてくる。

 

「無駄に年食ってないとこ………見せてほしいわ、ねぇ!」

 

妖艶、そして冷酷。

まさにそうとしか言えない笑顔と共にアイリスハートがさらにマジェコンヌを追い打とうとする。

 

「こ、こいつ……!!」

 

しかし、マジェコンヌは咄嗟に残していた三つ目のロックシードを開錠した。

マジェコンヌの目の前の空間が開き、そこから赤い獅子を思わせる怪物、“ライオンインべス”が飛び出してアイリスハートの前に立ちふさがる。

念のためにと彼女が残していた隠し玉だ、だがしかし…。

 

「あらぁ? 何この子? もしかしてあなたの言う忠実な僕ってやつ?」

 

それに対してアイリスハートは怯むような様子もなく、むしろあざ笑うかのような笑みを見せた。

 

 

「ライオンみたいな顔して、飼いならされているなんて……いいご身分ね? “子猫ちゃん”?」

 

 

完全な挑発の意味を込めた言葉、ライオンインべスはその言葉を理解したのかは定かではないがマジェコンヌが握るロックシードから伝えられる指示に従い、彼女を排除しようと鋭利な爪を振りかぶり、アイリスハートへと強襲を仕掛ける。

 

「………節操がないわねぇ」

 

迫りくるライオンインべスに対し、アイリスハートは慌てる様子もなく静かに呟く。

完全に距離が埋まり、ライオンインべスがすぐさま右手の爪を振り下ろす。

だが、その攻撃はアイリスハートがだらりと下げていた剣を素早く跳ね上げたことで容易く弾き返してしまった。

 

「さぁ、お仕置きの時間よ……♪」

 

アイリスハートの口元に、妖艶な笑顔が浮かび上がる。

それを合図にしたかのように、アイリスハートの握る剣が容赦なくライオンインべスを切り付けた。

一撃だけに留まらず、アイリスハートは次々と剣を振るい、ライオンインべスを切り付けていく。

 

「ふふふ……あっははははは!」

 

まるで楽しんでいるかのような笑い声に合わせて、目にも止まらぬ速さでライオンインべスを責めたてていくアイリスハート。

爪を震わせる余裕も与えず、胴体、胸、足、腕、横腹、腹部、体中にアイリスハートの剣線が駆け巡る。

 

「はぁあ!」

 

とどめとばかりに、アイリスハートが今までで一番勢いをつけた一撃を振り上げ、ライオンインべスを下から上に切り上げた。

溜まらず、後ろ倒しに倒れその場に大の字になるライオンインべス。

 

休む暇も与えずに攻撃を受け、わずかな間で大ダメージを負ったライオンインべスをアイリスハートは余裕綽々と言いたげな表情に、強気な笑みを見せながらライオンインべスに近づく。

 

「この程度でへばっちゃうなんて、見掛け倒しねぇ……あたしはまだ全然満足してないのに……でもまあいいわ、次で終わりにしてあげるから……♪」

 

アイリスハートはそう言って、右手に持つ剣の切っ先をライオンインべスに向ける。

この時、百獣の王の姿を象った怪物であるライオンインべスの身体が、小刻みに震えているように見えたという…。

 

「こんなおいたをする困ったちゃんは……」

 

死刑宣告にも似た言葉、冷たく胃の底を震え上がらせるような声と共に、アイリスハートがゆっくり足を上げた…。

 

 

 

「ちゃ~んと、“去勢”しないとねぇ!」

 

 

 

そして次の瞬間、ボンテージ型のプロセッサユニットに合わせてヒールの高い仕様になっているアーマーに包まれた足でアイリスハートは勢いよく、潰す様に、容赦なく、踏みつけた……。

 

 

 

ライオンインべスの股間の部分を。

 

 

 

 

「○☓△%#@~~~~~~~!?」

 

「ひぃぃぃっ!?」

 

 

 

 

元々言葉を話すことはないが、ライオンインべスが言葉にならない悲鳴を上げる。

鬣を持っているため、恐らくはオスだったのだろう……今の一撃はもはや、致死レベルだ。

気のせいだと思いたいが、ゴキン、という音も聞こえた気がする…。

 

目の前で起きたアイリスハートの容赦なく、男である者に対しては一番残酷な一撃を目の当たりにしたクロス・ヴィクトリーは反射的に自分の股座を両手で押さえて今までで一番上ずった声を上げて身を震わせた。

 

その後ろでは同様にコウモリインべスとセイリュウインべスも己の股座を抑え、身を震わせていた。

 

断末魔にも似た叫びをあげ、その場に倒れ伏したライオンインべス。

アイリスハートは足を上げて、その体をまたぐ様に乗り越えるとしばらくしてライオンインべスの身体は爆散した。

 

「……さぁて、あなたの忠実なペットはいなくなっちゃったわよ?」

 

「な、なんなんだ……お前は……!」

 

「怖い怖いよ! いーすんあのプルルート怖いよ!! ていうかあれ本当にプルルートなの!? 誰か嘘だと言って、夢なら早く冷めてくれよ!!」

 

「あわわ……あわわわわわ……!」

 

一瞬にして垣間見たアイリスハートの力、というよりも恐ろしさを前にライオンインべスを失ったマジェコンヌどころか味方のクロス・ヴィクトリーやイストワールまでもが怯えていた。

 

「これで思う存分、あなたと遊べるわねぇ?」

 

「ひぃっ!?」

 

剣先をマジェコンヌに向けて楽し気な笑みを見せるアイリスハートを見て、その笑顔がもはや死神の笑顔にでも見えているかのような怯えようを見せるマジェコンヌ、もはやこれではどちらが悪役かわかった物ではない…。

 

「……なんだかあのプルルートさん、戦うのを楽しんでいるみたい」

 

「怖い……怖いよ……あのプルルートマジ怖いよ……!」

 

「あわわわわわわわわ………」(がくがくぶるぶる

 

「と、とにかくあっちはぷるるんに任せよう!」

 

だが、プルルートがアイリスハートに変化したことで、流れが変わったのは事実。

反撃を上げるなら今だった。

さっきまでナスライダー達に怯え切っていたネプテューヌはそう言うと、再度パープルハートに変身する。

火事場のバカ力のなせる業か、危機的状況におかれたことでナスの匂いに慣れ始めてきたのかもしれない。

 

「いつまでも逃げてばかりでもいられないし……さっさと片を付けましょう! ほら、いーすんもソウヤもしっかりして!」

 

「え………あ、そ、そうだな…! 逆転するなら今がチャンスだ! いーすん!!」

 

「ふえっ!? あ………は、はい!」

 

パープルハートに叱咤され、思考を切り替えたクロス・ヴィクトリーがイストワールに呼びかける。

正気を取り戻した二人は、互いに頷くと二人の腕に巻かれたリンク・コネクターブレスを構えた。

 

 

 

「「フォーチュンリンク・オン!!」」

 

『Fortune Link!! Get set starting!!』

 

 

 

叫び、二人の身体が光に包まれ、その光がやがて一つとなりクロス・ヴィクトリーを新たな姿へと変化させる。

 

光が弾けると、クロス・ヴィクトリーは強化形態であるクロス・ヴィクトリー フォーチュンリンクへと変身し、刃の中央に銀色のラインが加わった赤剣を己の目前にいる二体のインべスに向ける。

 

「なんであろうと、反撃のチャンスは今しかねぇ! さあ、ゲームスタートだ……コンティニューは効かないぜ!!」

 

虹の名を持つ女神がその姿を現したことで、この時、流れが完全に変わった。

 




いかがでしたか?

次回は遂にプルルート編、決着の時!

そして、新たに動き出す者が……。

次回でお会いしましょう!
それでは…。
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