超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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どうも、白宇宙です。

お待たせしました、今回のお話は前回のお話で大きな発展を見せた宗谷といーすんの関係のお話。

二人の関係はどうなるのか…。

しかとご覧ください!


そして、物語の最後に……新たな物語の序章が動きだす。

それではお楽しみください、どうぞ!


序章 繋がる思い……俺は、あなたのことが 編
stage,85 俺の答えと伝える思い


 

 

 

いつから俺は彼女の事を見ていたのだろうか…。

この世界に来て、俺は彼女と出会って、多くの事を学んで、たくさんの事を見てきて、一緒にいろんなことをして、一緒にいることが楽しくなって、一緒に居るのがすごく安心できて……。

 

いつの間にか、俺にとってあの人は“大切な人”になっていた……。

 

胸が苦しい……どうしようもなく、彼女の事を考えてしまう。

無意識の内に……まるで、それを望んでいるかのように……いや、それが当たり前なのかもしれない。

 

俺は………俺はきっと………彼女の事がどうしようもなく、“好き”になっていたんだ………。

 

以前に起きたあの事件をきっかけにそれを自覚してからというもの、俺の中にあった彼女への思いが溢れてきて仕方ない。

今すぐにも返事がしたい、自分の思いを伝えたい…。

でも………同時に、この時の俺は果てしなく不安でもあった………。

 

 

 

「………はぁ………」

 

俺の胸の内のもやもやをあざ笑うかのように、今日もゲイムギョウ界の空は果てしなく青くて広い。

青くて広大なキャンパスに浮かぶ白いモフモフとやわらかそうな綿菓子の様な雲でさえいつもと違って見える。

この空を飛べることが出来たら、俺のこのもやもやが少しは俺の手元に置かれたコーヒーに溶ける砂糖のように溶けて、解消されるのだろうか…。

 

……ていうか、モノローグが妙にメルヘンチックな気がするんだが気のせいだろうか?

あー、だめだ…仕事にも集中できないし、なんだか本調子が出ない…。

 

俺は自室の机に設置されているPCの前に座り、椅子の背もたれに体重を預けて仰け反るような体制を取りながら窓から見える外の景色をただぼうっと眺めていた。

いざ仕事に打ち込もうにも、身が入らない……かといって何もしないでいても今の俺の中に募る想いが膨らみ続けてきて仕方ない。

 

……ていうか、俺……こんなにいーすんのことを思っていたのか……。

 

「………」

 

俺は何となしに、自分の唇に人差し指で触れてみる。

 

この思いに気が付いたのはきっと、あの時……いーすんが俺にしたあのキスの時だ……。

 

俺はあの時、当然驚きはしたが……抵抗感は感じなかった。

むしろ、安心して彼女の事を受け入れ、幸福を感じていたくらいだ…。

そして、現実に戻ってきてからというもの頭の中では彼女の事でいっぱいになってしまっている。

 

というのも、それにはもう一つの理由も存在しているわけで……。

 

「………なんて言ったらいいんだろうなぁ………」

 

あの時俺は、彼女が言おうとした言葉を途中で遮って自分の中で答えを出したいという返答をいーすんに返してしまったのだ。

なるだけ待たせたくはない、だがどう返事を返したらいいのか俺の中でイマイチ纏まらない…。

 

 

 

……いや、纏まらないっていうのはちょっと違うな……。

 

 

 

「………ダメだ、部屋に籠っててももやもやするばかりだ」

 

溜まらなくなった俺は椅子から立ち上がると気分を変えるべく部屋を出ようとドアの方へと向かう。

このまま部屋で悶々と考えていても悪循環のままちゃんとした答えが出そうにないからな。

 

少しでも気分を変えることが出来る様に願いながら、俺はドアノブに手を掛けるとドアを引いて廊下へと出る。

すると、誰かがこっちに近づいてきている気配がした。

俺は反射的に気配のする方に目を向けると……。

 

「あ………」

 

「………あ」

 

そこには俺が今まさに悩んでいる理由となっている人物、いーすん………イストワールがそこにいた。

偶然ばったり出会ってしまった俺といーすんは互いの事をその場で固まったまま見つめあった状態になってしまった。

 

ど、どうすればいいんだ…。

 

こういう時、なんていえばいいんだ…? あんなことがあった後で何を言っていいのかわからないんだよな……まだ、彼女に言う答えも纏まってないし。

かといってこのままの状態でいるのもいいわけではない、ここは何とかしてこの場を何とか切り抜けないと…。

 

「よ、よぉ、いーすん……おつかれ」

 

「お、お疲れ様です……」

 

とりあえず、挨拶大事。

俺は何とか頬を上げて笑みを作り、右手を上げていーすんにそう言うといーすんの方も若干戸惑いの色が表情に見えながらも返事をしてくれた。

でも、それだけだった。

 

「………」

 

「………」

 

後に訪れたのは沈黙、俺達はその後の言葉を出すことなくまた硬直状態に陥ってしまった。

いーすんの方も何を言っていいのかわからず、なんというか表情が硬く見える。

いや、今考えればそうなってもおかしくないよ、だってさっきの俺の表情完全に苦笑いだったもの、バリバリの引きつった笑顔だったもの、ハリボテの笑顔そのものだったもの!

 

まずいぞ、この空気は気まずい空気だ……どことなく空気が重くなっていって余計になんを言っていいのかわからなくなるそんな状態だ……。

何とかしてこの状態を打破しないと………でもどうやって!? 好きな人と交わす会話って俺にとっては未経験の領域なんだぞわかるわけねぇよ!!

 

「そ、それでは……まだ今日の仕事が残ってますので……」

 

この異様に重い空気の中、いーすんがそう切り出した。

あ、そうか、いーすんはまだ仕事中だったな……じゃあ、このまま引き留めるわけにもいかないよな……うん、仕事中だし。

 

「お、おぉ……が、頑張って」

 

「はい……それでは」

 

俺はこれ以上彼女を引き留めるわけにもいかずせめてもの応援の言葉を掛けた後、そそくさと俺の隣を通り過ぎる彼女を見送った。

 

よし、これでこの状況は突破した。 うん、これでいいのだ。

 

 

 

「………いや、ダメだろこれじゃ!」

 

 

 

自分でしたモノローグに俺は自身の口頭でツッコミを入れる。

いや、だって全然会話できてないじゃん! 終始気まずい空気で何も打破出来てないじゃん! いーすんも若干困り顔だったじゃん!

あれ? いーすんとの会話ってこんな難しかったっけ? もっと、こう、すんなり行けた感じじゃなかったっけ? こんな意識して会話することあったっけ?

あぁ、ダメだ! 考えたら考えるだけ答えが見えなくなっていく! 結局あの時どうすればよかったんだよ俺!!

 

俺はやけになって自分の頭を両手でガシガシと掻き毟る。

 

こんなので本当に大丈夫なのだろうか…。

こんな調子じゃあ、答えを纏めるどころか今後のいーすんとの関係にまで問題が出来てしまいそうだ…。

 

「どうすりゃいいんだよ………本当に」

 

さっさと答えを纏めれば簡単な話だというのは、自分でもわかっている。

わかっているけども、簡単にこの答えを彼女に伝えていいのか……俺はまだ自分の中で自問自答を繰り返している。

 

俺は盛大なため息をつきながらその場にへなへなと力が抜ける様に座り込んだ。

 

 

 

 

 

「……ねぇ、お姉ちゃん……宗谷さんといーすんさん、何かあったのかな? ここ最近ずっとあんな調子だけど……」

 

「うーむ、二人の間に一体何が……ちょっとまで仲良しだった二人があんなぎくしゃくするなんて……ま、まさかあの二人喧嘩でもしたの!? だとしたらこれって破局の危機!?」

 

「破局って……まだいーすんさんと宗谷さん付き合ってないよお姉ちゃん!?」

 

「いいやネプギア、もはやあの二人は、いい加減you付き合っちゃいなよ~、と言われてもおかしくない程の仲良し、それなのにあんなにぎくしゃくするってことはこれは間違いなく二人の間に溝が出来てるはずだよ!」

 

「そ、そうなのかな……?」

 

「あー! やばい、このままだと私の恋のキューピッド作戦が水の泡に!! あわわわわ…どうしたらいいのこれ!? こうなったらもうあの二人に既成事実を半ば強引に作らせるべき!? もうそんな強硬手段しかないのかな!? やっちゃっていいのかなネプギア!!」

 

「お姉ちゃん落ち着いて!? いくらなんでもそれは逆に関係が悪化するとしか思えないよ!!」

 

 

 

 

 

……なんか物陰の方で今日も今日とて仕事をさぼっているネプテューヌとそんなネプテューヌが大好きな妹のネプギアが騒いでいる声が聞こえた気がするが……気にしないでおこう。

ていうか、気にする余裕がない……。

 

あの二人に相談してもいい答えが得られるわけでもなさそうだし……ここはひとまず後にして、外に出よう……よどんだ空気を吐き出して空気を入れ替えたい、部屋じゃなくて自分の中の空気を……。

 

俺はもやもやとした何かを抱えながら立ち上がると廊下を進んでいき、教会を後にしてプラネテューヌの街へと出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

今日も今日とて賑やかなプラネテューヌの街並みを歩き続け、雑踏の中に紛れながら俺は自分の中にある彼女への思いに考えを巡らせる。

 

……あの時、いーすんは必死になって俺の事を助けようとしてくれていた……。

 

あの時だけじゃない、俺自身、彼女に支えられていたことは今までにもあった。

彼女自身が危ないことをしたり、身を挺してまで俺を助けようとしたこともしょっちゅうだ。

俺は彼女に支えられてきたし、俺自身彼女の事をすっごく頼りにしてる…。

 

でも、だからこそなのかな………余計に自分の中の思いを簡単に伝えることが出来ない………。

 

今までの関係が壊れるとかそんなんじゃない……。

 

不安とか、そう言うのを越えて………“怖がってる”のかもしれない………たぶん、いや、きっと……。

 

いーすんのことは好きだ。 その気持ちに偽りはない。

でも、好きゆえにその怖さが増していっている気がする………好きになればなるほど、この怖さが増していく………。

この怖さが、俺を迷わせている……。

 

 

 

 

 

気付くと俺はプラネテューヌの外れにあるちょっとした森に来ていた。

自然にあふれていて空気が澄んでいるこの場所なら少しは考えが変わるかもしれないかなと無意識に俺は考えていたのかもしれない、俺は何となく足を運んだこの場所で周りを見渡してから大きく息を吸って吐く。

澄んだ空気が口と鼻腔から入って来て、濁った空気が入れ替わるようにして外に放出される感覚…。

 

でも、それだけだ。

 

心の中にあるもやもやまでは外に放出できない。

 

「………難しいな」

 

俺は何となしにそう呟き、また歩き出した。

 

確かこの森の奥には小さいけど綺麗な湖があったはずだ、とりあえずはそこに行ってみようと思ったわけだ。

自然に生えた木々の間を抜けて歩を進めること数分、俺はやがて少し開けた場所にぽつんとある小さな湖に辿り着いた。

 

木々の間から差し込んでくる太陽の光が湖面に反射してキラキラと光っているように見える、リーンボックスに初めて行ったときの夜に見た大きな湖とはまた違った魅力を持った隠れた名所だな。

 

「………そう言えば、リーンボックスに行った時もいーすんとはいろいろあったな」

 

始めてリーンボックスを訪れた時に遭遇した、仮面ライダーのヒーローメモリーを巡る、メモリーワールドでの事件。

俺はふと、その時の事を思い出した。

 

メモリーワールドに跳びこんだ俺達は、メモリーワールドを蝕んでいたショッカー達と対峙した……その時、いーすんが危ない目に合ったんだよな。

 

そう………下手をすれば、あの時、いーすんは………。

 

「………っ」

 

………いやなことを思い出しちまったな。

この状況でそんなことを思い出してしまったら、また考えが揺らいで纏まらなくなってしまう。

俺は反射的に歯を食いしばった後、自分の中に嫌な思いを振り払うように頭を振る。

 

「………ん?」

 

その時、俺の視界にある物が入った。

それに気づいた俺は、すぐにそのある物が写った方へと視線を向ける。

 

「あれって……」

 

俺から少し離れた位置に人影が二人、並んで座っている。

離れているものの、目を凝らして見るとその二人の人影には見覚えがあった。

 

俺は確認するべく、速足で人影がある方へと向かう。

しばらくすると、人影の方も俺に気付いたのか視線をこっちに向けて俺と目があった。

 

「あ、そーくんだ~」

 

「やっぱりプルルートだったのか」

 

「うん~、奇遇だね、こんな所で会うなんて~」

 

「ああ、今日は姿を見せなかったからどこに行ったのかと思ったらまさかこんな所で会うなんて予想外だよ」

 

視線が合って最初に声を掛けてきたのは、今現在プラネテューヌ教会で一緒に生活している異世界のプラネテューヌの女神様、プルルートだった。

のほほんとした声で俺の方に手を振ってきた彼女に合流した俺はなぜ彼女がこんな所にいるのだろうという疑問がすぐに湧き出たのだが、それよりも先に別のことが気になってしかたなかった。

 

彼女の隣に座っているもう一人の事だ。

 

「……隣にいるのは、もしかして……」

 

俺がプルルートの隣にいるもう一人の方へと視線を向ける。

 

そこにいたのは………。

 

「あ………ぅぅ……」

 

白く透き通る白髪に鮮やかな紫の髪飾りをした、まるでどこかのおとぎの国の女の子を思わせる不思議な雰囲気の少女…。

 

 

 

「やっぱり、シンシアか?」

 

「………こ……こんにちは……」

 

 

 

シンシアだった。

 

彼女は俺の姿を見るなり、隣に座っていたプルルートの陰に隠れるようにしながら顔をちょっとだけ出して俺の様子を窺いつつ、小声で挨拶をしてきた。

相変わらず人見知りな様子の彼女に俺は、おう、と言って手を振るとシンシアは小さく会釈してくれた。

以前の事もあって多少は慣れてくれている様だ。

 

でも、どうして彼女がここに?

 

ていうか……。

 

「なんでプルルートがシンシアと一緒に居るんだ?」

 

あまり関係性がなさそうな二人が一緒に居ることが不思議に感じてならなかった。

 

「ほえ? もしかして、そーくんとシンシアちゃんってお友達?」

 

「友達っていうか……まあ、知り合いには変わりないけどな」

 

「………ぅ」

 

プルルートの言葉に返答を返した俺と、同意するように頷いたシンシア。

プルルートは少し驚いたような表情を浮かべると自分の陰に隠れているシンシアに向き直り、その頭を優しく撫で始めた。

 

「へぇ、そうだったんだ~、あたし初めて知ったよ~」

 

「だ……だって……言ってないし……ぷるちゃんも聞かなかったから……」

 

「あ、そうか~、それもそうだね~」

 

「仲良さそうだな、お前ら……そう言うプルルートは何でシンシアと?」

 

あの人見知りのシンシアとここまでコミュニケーションを交わせるプルルート、一体二人にどんな関係性があるんだ?

どうしても気になって仕方なかった俺はプルルートにそう質問する。

 

「あー、それはねぇ、この前なんとなくお外に出てお散歩してたら~、いつの間にかダンジョンに入っちゃって、お仕事とかしてるわけじゃないしどうしようかな~ってお散歩してたら、モンスターにいじめられてたシンシアちゃんを見つけたの~」

 

「へぇ、そんなことが……」

 

「すごかったんだよ~、おっきなモンスターがシンシアちゃんを見下ろしてて~それでシンシアちゃんが怖がって泣いちゃってて~、なんだか怪獣さんの出る映画みたいだったんだよ~♪」

 

「いや、そう言う見方は違うような気が……」

 

そんな危機的状況をそんな風に見れるプルルートっていったい……。

 

「でも、弱い者いじめはよくないから……変身して助けてあげたんだ~」

 

「え!? 変身したの!? シンシアの前で!?」

 

「うん~、だってそうしないと助けられないし~」

 

よりにもよって女神化したプルルート、アイリスハートの姿をシンシアに見せたのか……。

ただでさえトラウマ物のあの変身を彼女が見たらどうなることか……下手をすれば一生のトラウマになりかねないとしか思えないんだが……。

 

「し、シンシア……怖くなかったのか?」

 

「………怖かった……モンスターが………」

 

「あぁ、いやそっちじゃなくて……変身したプルルートの方、見たんだろ? その、モンスターよりも怖くはなかったのかなって……」

 

恐る恐るシンシアに質問すると、シンシアは俺を見て少ししてから小さく首を左右に振った。

 

「………かっこよかった」

 

「かっこよかったの!? あの女王様プルルートが!?」

 

「………ぅ」

 

小さく首を縦に振って肯定するシンシア。

 

「そ、そうか……」

 

シンシアの物の見方がよくわからなくなってきたな…。

いや、まあ、シンシアにとって襲ってきているモンスターの方が怖かったからその時のプルルートはまさにヒーロー、もしくはスーパーヒロインみたいに見えたのかもしれないな。

スーパーヒロインっていうにはちょっと問題はあると思うが…。

 

「……まあ、要するにその時のことがきっかけで二人は友達になったってことなのか?」

 

「そうだよ~、だから今日もこうしてお話してたんだよ~」

 

「………ぷるちゃん………友達」

 

揃って肯定のしたプルルートとシンシアの二人、これはまた奇妙な交友関係だな…。

 

しかしまあ、あの人見知りのシンシアがここまで心を許しているのならこれもいい関係になっているのだろう。

プルルートにシンシアが寄り添い、寄り添うシンシアにプルルートが笑みを浮かべながらその頭を撫でる。

そんな和やかな雰囲気を見守る俺は自然と口元に笑みを浮かべてしまった。

 

「それで、そーくんはなんでここにいるの~?」

 

そんな時、不意にプルルートが俺の方に視線を向けてそんなことを聞いてきた。

 

「え? ………いや、まあ、なんというか……気晴らしというかな」

 

「………どうかしたの~?」

 

「………あー……別に大したことじゃないんだ、気にしないでくれ」

 

これはあくまで俺の問題だからな……プルルートに相談しても、仕方のない事だろうし……。

俺は適当にはぐらかそうとしてそう言って返す。

だが、それに対しプルルートはどこかむっとした表情を浮かべると、彼女はそっと立ち上がった。

 

「そう言って隠し事するのって、あたし嫌いだな~…」

 

「………え?」

 

「お友達なのに、そのお友達に隠し事なんて、よくないと思うよ~?」

 

プルルートは人差し指で俺の事を指さしながらそう言ってくる。

そして、静かに下の方へと視線を向けると……。

 

 

 

「それに~……あんまり隠してばかりだと、あたし……怒っちゃうかも~」

 

「すんませんでしたすべて話しますから変身だけは勘弁してつかぁさい!」

 

 

 

悩みもそうだが自分の身体も大事だ。

こんな所でプルルートに変身されでもしたら、たまったものでもないし……。

彼女のほんわかした雰囲気に紛れた言い知れぬ迫力に気圧された俺はあっさりと俺の中にある悩みを自供してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………と、言うわけでして」

 

「そっか~、だから最近のそーくんといーすん、どこかおかしかったんだね~」

 

俺はプルルートの左隣、シンシアとは反対側の方に座って一通りのことを洗いざらい説明した俺にプルルートは納得したような返答を返してきた。

その隣にいるシンシアはじっと俺の事を見つめたまま特に言葉は返してこない。

 

「それで~、そーくんはいーすんに告白するの?」

 

「いきなりだなおい」

 

「だって、要するにそーくんはいーすんの事好きなんでしょ?」

 

オブラートに包むということを知らず、率直にそう告げるプルルート。 たぶん悪気はないんだろうけど…。

でも、彼女の言う通りだ……好きなら告白してしまえ、誰でもそう言うのが普通なのだろう……。

 

俺は少し間をあけてから、閉じていた口を開いた。

 

「………ああ、そうだよ……そうに違いはないよ」

 

この思いに変わりはない。

俺は、いーすんのことが大切だ……一番大切だからこそ、好きになったんだ。

 

 

………でも

 

 

「それでも………今すぐに答えていいのか、分からなくなっちまうんだよ………」

 

 

俺が何でここまで迷うのか……それは、俺がここ……このゲイムギョウ界に迷う前の事が大きく関係している……。

 

 

 

「………大切だからこそ………どうしようもなく好きだからこそ……失いたくないんだ………また、失うのが怖いんだ」

 

 

 

俺は、昔暮らしていた施設で一緒に生活を共にして、一緒に笑って、一緒に泣いて、一緒に怒って、一緒に頑張って、一緒に喜んで………ずっと一緒に居た大切な人を………。

 

あいつを………恵理を、この手で殺してしまった………。

 

あの時の事件、経緯はどうあれあいつを殺してしまったのは俺だ……。

だからこそ、俺はわかっていたんだ。

 

また目の前で、仲間が傷ついていく姿を見る辛さが……大切な人が傷つく姿が………大切な人を失うことの“怖さ”を誰よりも知っていたから……。

 

もうあんなことは経験したくない…。

もうあんな思いはまっぴらごめんだ。

 

でも、そうは思っていても……その思いを胸にしていても、もしも……もしも、また失ってしまったら?

 

そう考えたら、怖くて怖くてたまらなかったんだ…。

 

 

「その人を思えば思うほど……もしもの時のことを考えて、不安になっちまうんだ……今度こそ守れるのか……また、俺のせいで失うことになっちまうんじゃないかって……いざ考えはじめたら、怖くて仕方ないんだ………だから、このまま答えを出していいのか………わからなくなってしまうんだ………」

 

 

それが俺の中にある心の迷い………いーすんへの好きという感情を表に出すことが出来なくなってしまった最大の要因だ。

今になって、俺の中に刻まれていたトラウマが蘇ってきているような……そんな感じだ。

 

気付けば、俺の腕が小刻みに震えていた…。

 

あの時の事が……恵理を失ったあの時の光景が無意識の内に脳裏にフラッシュバックする……。

 

そして、なぜかその時の恵理の姿と……いーすんの姿が重なって……!

 

………もう、俺の中でこの思いをどうしていいのか自分自身でわからくなっているんだ。

 

いーすんの事が好きだという想い、失うということへの恐怖、また守れることができないのではないかという不安…。

それら全部がぐちゃぐちゃになって、はっきりとした答えを決めることが出来ない。

気付けばそれは大きな迷いと、俺自身の気持ちへの抑制となっていた…。

 

伝えたいけど、怖い……言い知れぬ不安と怖さで、胸が苦しくなってくる……。

俺はどうすればいいんだ……? 何度自問しても、答えが出ない……。

 

俺は震える腕をもう片方の手で握り絞めるようにして抑え込み、無意識の内に下に顔を俯けてしまった。

どうしようもない不安と迷いが俺の中で渦を巻く…。

気分が悪い……どうにかして吐き出したいのに、うまくそれが出来ない……俺は何でこんなに苦しんでいるんだ……。

 

 

 

―――もういっそ、なかったことになれば………楽になれるのかな?

 

 

 

 

 

「………逃げないで」

 

 

 

ふと、俺の耳に小さいがはっきりと声が聞こえてきた。

その声がした方に目を向けると、そう言ったのは……シンシアだった。

 

「……シン、シア……」

 

「………」

 

シンシアは俺が今までに見たことがないほど真剣な眼差しをして、俺の事をじっと見据えていた。

彼女の発言に俺は無意識の内に彼女と向き合う、すると彼女はゆっくりと俺の方に近いてきた。

 

「………どんなに怖くても、不安でも、辛くても、苦しくても………自分の気持ちを押し殺しちゃ、だめ………それは、一番後悔する事」

 

揺るぎを見せない強い意志を込めた淡い紫の瞳が俺の姿を映し出す。

 

「………わたしにも、好きな人がいるの………」

 

「………シンシアにも?」

 

「ぅ………だから、これだけは言える………不安に感じたりするのは、当たり前の事……未来の事なんて、だれにもわからない……でも、そんな不安から逃げてはいけない……自分の大切な思いを、裏切っちゃいけないの……」

 

シンシアはそう言うと、自分の頭に着けている紫に花に手を添える。

何かを思うような表情を浮かべるその姿に、俺はいつの間にか目を奪われていた…。

 

「………シンシアちゃんの言う通りだよ、そーくん」

 

「プルルート………」

 

シンシアの言葉に続くように、プルルートが俺にそう告げる。

彼女は恵理の中に手を入れて服の中をまさぐった後、そこからある物を取り出した。

それは彼女がいつも肌身離さず身に着けているペンダントだった。 彼女はそのペンダントに目を落とす。

 

「何も言わないで……言いたいことをいうことが出来ないのって……すっごく、つらいんだよ? ……だから、そーくんの言いたいことをそーくんが抑え込んじゃったら、意味ないよ」

 

「………」

 

この時、プルルートの表情がいつになく曇って見えた…。

何かの思いがプルルートの外に溢れ出ているような……まるでそんな感じだ。

だからこそなのだろうか、この時の彼女の言葉には不思議な、彼女自身の思いを感じたような気がした。

 

「………それに~」

 

不意にプルルートが顔を上げて、俺の事を見下ろした。

 

その直後、突然プルルートの身体が眩い光に包まれる。

咄嗟に目を腕で覆った俺が、しばらくして目を開けると……そこには既にプルルートの姿はなかった。

 

代わりにいたのは、彼女が女神化した姿………アイリスハート。

アイリスハートはどこか冷ややかな目つきで俺の事を見下ろし、ぐっと俺の方にその整った彫刻の様なきれいな顔を近づけてきた。

 

「いつまでもグチグチグチグチ、何を引きずってるのか知らないけど、今はそんな事考えてても仕方ないじゃない? 人間、いつ死ぬかわからない生き物なんだしいちいちそんなことを気にしててもねぇ……」

 

「っ……お前、そんな言い方!」

 

彼女の物言いに俺は咄嗟に抗議しようとするが、その前にアイリスハートが俺の額に人差し指を押し当てて俺の動きを途中で押しとめた。

そして、彼女はあの冷ややかな眼差しを浮かべた表情に、なぜか妖艶な笑みを浮かべる……ぞくりとした恐ろしさのような物を感じさせる笑みに、俺がたじろいでいると…。

 

 

 

「そんな細かいことを考えてばかりの単純な頭で考えてみたらどう? ………あなたは本当は、どうしたいのかを」

 

「………本当は……どうしたいのか……」

 

 

 

彼女の言葉を、俺は無意識に反復して呟いた。

アイリスハートはこくりと頷くと、俺の額に押し当てていた指を離して右腕を腰に当て、妖艶な笑みを浮かべながら再度俺の事を見下ろす。

 

「結局、答えを出すのはそーくん自身よ? なら話は簡単じゃない、あなたはいーすんと何をしたいのか……どうしたいのか……どんなふうになりたいのか……もっと簡単な答えでいいんじゃないかしら?」

 

そう言った後、アイリスハートの身体が再び光で包まれ、その姿を元のプルルートとしての姿に戻した。

 

「あたし~、難しく考えるの苦手だから~……それでいいんだと思うよ~?」

 

殺気とは打って変わった間の抜けた声に俺は若干呆気にとられる…。

 

でも……もっと、簡単な答えか……。

 

………。

 

 

 

「………そうか………そうだよな」

 

俺はさっき言われた彼女たちの言葉を胸に立ち上がると、二人と距離を取る。

 

 

「てんきゅ、プルルート、シンシア………」

 

 

お礼を残して、俺はその場を後にする…。

 

そうだ……何を難しく考えていたんだ俺は……。

 

急ごう、彼女の元に………いーすんに、答えを伝えなきゃ!

 

 

 

 

 

 

 

「………あの子の事、お願いします………」

 

「ん~? シンシアちゃん、何か言った~?」

 

「………なんでもない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、俺はプラネテューヌ教会に戻っていーすんを呼び出した。

テラスに出て一人待機している俺は空に輝く星が瞬く夜空を見上げる、静かな雰囲気に包まれる中、俺の頬を夜風が撫でる。

 

「宗谷さん……」

 

不意に後ろの方から声が聞こえた。

 

鈴の音の様な、安らぎがある落ち着いた声…。

俺は、その声に導かれ後ろに振り返ると…。

 

「………いーすん、ごめんな急に」

 

「いえ、大丈夫です……気にしてません」

 

そこには、いーすんがいた。

気を使ってくれているのかそうじゃないのか、俺の言葉に微笑みを浮かべて返してくれたいーすん。

 

俺は一度深呼吸をした後彼女の方に向き直ると、じっと彼女の事を見つめる。

 

「………いろいろ考えているうちに、待たせちゃってごめんな………」

 

覚悟を決めろ、天条宗谷……。

 

 

「………答え、出たよ……今から、それを伝える」

 

 

ここからは、男の花道、オンステージだ…!

 

 

 

「俺は……!」

 

「ちょっと待ってください」

 

 

 

………あれ?

 

この流れに対して急に俺の言葉にストップをかけたいーすん、まるで犬に対して、待て、をするかのように手の平を俺の方に向けて待ったをかけたいーすんはそっとこっちに近づいてきた。

そして、俺の隣まで来るとじっと俺の事を見つめてくる。

 

「宗谷さん、答えが出たのかもしれませんけど………その前に、まず私からの言葉をあなたに送らせてください」

 

「え? ……いーすんの言葉?」

 

「はい、だってあの時……私肝心なこと言えてませんでしたから、宗谷さんに待ってくれって言われたせいで」

 

「あ………あぁ、そう言えば……」

 

確かにあの時、俺もいーすんの言葉を途中で遮っていたな…。

 

そうだよな、答えを出す以前にいーすんの方の言葉を聞いていなかった…。

その時の自分に改めて反省した俺は突然の事に焦った俺の胸の内を落ち着けてから、再度いーすんに向き直った。

 

「……それじゃあ、私から……」

 

いーすんは俺の様子を見てOKと判断したのか、そう言うとポツリポツリと話し始めた。

 

「………宗谷さん、あなたと初めて出会ったときはこんな関係になるなんて思ってもみませんでした………あなたと一緒にいるうちに……私はいろんなことを学び、教わった気がします……前までの私ではできなかった体験も、たくさん……」

 

夜空の下で、いーすんが両手を祈るように組んで俺の事をまっすぐに見つめる。

 

「……宗谷さん、覚えていますか? リーンボックスでの時私があなたに言ったこと」

 

「……ああ、覚えてるよ……しっかりな」

 

あの時、いーすんが俺に行ってくれた言葉……。

 

 

 

―――あなたのことは、私が支えますから……。

 

 

 

あの時、いーすんは俺にそう言ってくれた。

そしてその言葉通り、俺はいーすんに何度も支えられて、助けられてきた…。

 

「………私の思いは、変わりません………私にとってあなたはかけがえのない大切な人なんです……宗谷さん……」

 

 

 

 

 

 

「……私は………天条宗谷さん、あなたの事が………好きです」

 

 

 

 

 

 

単純明快、いーすんは夜中の空の下でもわかるほどに頬を赤くして、そう言った。

 

まるで時間が止まるような感覚を与えてくるその言葉……やっぱり、慣れないな真正面から言われると……。

でも、もうそんなこと言ってられないな……いーすんの言葉をしっかり受け取ったわけなんだし。

 

俺は照れ隠しで頬を掻く仕草をしたのち、今の言葉を言ったせいかまだほんのりと頬を赤くしているいーすんに答えを返すべく真剣な眼差しを彼女へと向けた。

 

「………じゃあ、次は俺の方から」

 

 

 

……何も難しく考える必要はないんだ。

 

 

 

「いーすん、俺はさ………正直、さっきまで迷ってたんだ………」

 

「え?」

 

「………もう知ってるよな? 俺が昔、何をしたのか………」

 

俺の言葉に、いーすんの表情がほんのわずかに強張った気がした。

いや、当然か……いきなり切り出したのが、俺の過去の話なんだもんな……。

 

でも、ここで言葉を止めるつもりはない…。

 

「………俺はあの時、大切な仲間を……大切な人を目の前で失った……そいつの命が目の前で消えていく瞬間をこの手で知ってしまった………だからこそ、俺は怖かったんだ………また失うのが………もしもそうなってしまったらって考えたらたまらなく不安だった………」

 

 

 

誰しも、最初は不安で怖い事なんてたくさんある……。

 

 

 

「でも………怖がってばかりはいられないって気づいたんだ………俺は、いつの間にかそのことに怯えてて大事なことを忘れてたんだ……俺が本当にしたい事、いーすんと本当にしたい事……」

 

 

 

俺は今まで何度もいーすんに支えられてきた…。

彼女がいてくれたから、いつも安心して前に進むことが出来た……。

だからこそ、俺は………。

 

 

 

「いーすん………俺は………いーすんの事も支えたい………守りたい! オレがこの世界で出会った大切な人……俺の傍にいてくれたいーすんを、俺は傍でずっと守ってやりたいんだ! ……もう、支えられてばっかりじゃない……いーすんを………イストワールの事を、俺は絶対に守り切ってみせる………今度こそ失ったりしないように」

 

 

 

俺ばかり支えられてちゃダメなんだ…。

失うことを恐れて、不安になって、怖がってるのなら、真正面から立ち向かえばいい、ただそれだけだ。

単純、捻りがない、一直線、でも、それでいいんだ…。

回りくどい考えとか、そんなのは俺のガラじゃない。

 

手を伸ばす人がいるからその手を握り、助けを求めているから助け、泣いている人がいるならその涙を拭う…。

俺はそう言う当たり前の王道をこよなく愛した人間だ。

だから、俺の中の答えも……きっと、単純でいいんだ。

その決意も、何もかもが俺を突き動かす原動力になるから……!

 

 

 

「俺はずっと、イストワールのことを守っていきたい………今度こそ、絶対に」

 

 

 

これが、俺の答えだ。

 

 

 

 

 

「………イストワール、俺も……あなたの事が、大好きです」

 

 

 

 

 

俺は自分の胸の内にあった思いを伝え、目の前にいる彼女の手を強く握った。

プラネテューヌ教会のテラスを、沈黙が包み込む。

いーすんの手の温度が手を通して伝わってくる、温度だけじゃない心臓の鼓動も聞こえてきそうなくらいだ…。

 

「………お互いに、守りあう……ということですか」

 

不意にいーすんが呟いた。

彼女は頬を赤く染めながら、微笑みを浮かべいる。

 

「………なら私も、これからもずっとあなたの事を守り続けます………私もあなたの事が大好きですから」

 

「………その思いなら、俺も負けないつもりだぜ?」

 

「私も負けるつもりはありませんよ?」

 

なぜか互いに競い合うような会話を交わす俺といーすん、なぜここで張り合うのかは分からなかったが…これはきっと、こういう意味なのではないだろうか。

 

 

 

―――よろしくお願いします、っていうな…。

 

 

 

「………いーすん」

 

「………宗谷さん」

 

これ以上の言葉は、必要ない。

俺といーすんは互いの名を呼び合い、そして優しく抱き合う。

……まるで、離れないと証明するかのように……これから一緒に居ることを確かめ合うかのように……。

 

時間が流れていく感覚が止まっているかのようで、心の中に温かく満ち足りるような安心感が溢れてくる……。

これが………幸せって感覚なのか………。

 

 

 

―――俺達、恋人同士になったんだな……。

 

 

 

俺はその思いを噛みしめる様に感じながら、そのまましばらくお互いを抱きしめ続けていると……。

 

 

 

 

 

―――ガシャーーーーンッ!!

 

 

 

 

 

「えっ!?」

 

「な、なんだ!?」

 

突然聞こえたけたたましい音に俺といーすんは抱き合った体制のまま音が聞こえた方に目を向ける。

すると、そこにはテラスへと繋がるドアが盛大にぶっ壊れていた。

ドアと壁を繋ぐ金具が壊れ、思い切り倒れてしまっている、その際に土煙のような物が上がっているが……。

 

 

 

「あたたたた……も~、みんな寄ってたかりすぎだよ!? ドア壊れちゃったじゃん!」

 

「だ、だってお姉ちゃんばっかり見ようとしてて私たちが見えないんだもん…」

 

「ていうか、ネプ子! あんたもあんたで騒ぎすぎなのよ! あんなにドアバンバン叩いてたら壊れるにきまってるでしょ!」

 

「うぅ~…痛いです~…」

 

「ほえ~、ばれちゃったね~」

 

 

 

聞き覚えのある声がちらほらと聞こえてくる。

そして、土煙が晴れるころには激昂の光に照らされてドアを壊した犯人たちの姿が露わになった。

 

「ね、ネプテューヌ……それに、みんなまで……」

 

「あ、あはは……やっほー、ソウヤー」

 

苦笑いを浮かべながら俺達の方におざなりに手を振るネプテューヌ、そのうえで申し訳なさそうな表情を浮かべるネプギアやアイエフ、コンパ、さらには俺に助言をしてくれたプルルートまで……。

一体、こいつらいつからそこにいたんだよ……。

まさか、今の会話の流れからして……こいつら……。

 

「まさか……盗み聞きしてたのか?」

 

「いやぁ、まあ、最初っから最後までクライマックスに……」

 

「ばっちり聞いてたよ~、いーすんとそーくんの告白~♪」

 

「ネプテューヌさん……あなたって人は……それに、みなさんまで……」

 

「ご、ごめんなさい、いーすんさん……」

 

さっきの俺達のやり取りと事の成り行きを洗いざらい聞かれてしまっていたということに気付いたいーすんは恥ずかしさからか頬を赤く染めて軽く声のトーンを低くした…。

 

あ、やばい…これ下手したらいーすん……。

 

その気配に危機感を感じたのは俺だけでなく、ネプテューヌやネプギアも感じ取ったようでその場に一触即発の空気が流れる…。

 

 

 

 

 

 

「全員、そこに正座してください!!」

 

 

 

 

 

その後、盗み聞きしたこととテラスのドアを破壊したことでネプテューヌたちが小一時間ほど、いーすんの説教を喰らったのは言うまでもない…。

 

 

 

まあ、とにもかくにも……。

 

 

 

 

 

この日、俺といーすんは………恋人同士に、なりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………来たか」

 

人気のない山奥、切り立った崖の上に立つ一人の男がいた。

夜風になびく黒いコートをはためかせ、揺れる赤髪の間から覗く鋭い目つきをした深紅の瞳をした男が背後に振り返る。

 

「おう、お前の言う通り準備は整えて来たぜ?」

 

そこにいたのはクロワールだった。

彼女はそう言うと、自分の後ろの方を指さす。

すると、彼女の背後にはローブに身を包んだ謎の人影が三人、並んでいた。

クロワールは口元ににやりと笑みを浮かべると目の前に立つ赤髪のコートの男に近づく。

 

「そう言うお前の方はどうなんだよ、例の物の準備はできてんのか?」

 

「あぁ、既にここにある……」

 

そう言うと男はコートの下からある物を取り出した。

 

手の平に乗るほどの大きさの、木の苗のような物だ。 しかし、よく見る木の苗とは違う、見たこともない種類の植物の苗だ。

しかも、その苗は怪しく輝き、まるで息づいているかのように小さく脈打っている。

 

「へぇ、こいつが……」

 

「我らが秘密裏に手に入れたこの苗……そしてあと一つ、それが揃えばすべての計画はうまくいく」

 

「しかしまぁ、ここまで来るのにだいぶ時間をかけたな……本物のインべスに、ホラーまで用意してあいつの所にけしかけて、ずいぶんと用心深いことをするな?」

 

クロワールが赤髪の男にそう問いかけると男はふん、と鼻を鳴らした。

そう、今までこの男はクロワールと行動を共にし、宗谷に対して様々な敵を仕掛けてきた。

マジェコンヌに渡した本物のロックシード、そして異世界から呼び寄せた魔界の魔獣…。

それらすべてを彼に仕向け、男は彼の戦いを秘密裏に見てきた。

 

 

すべては、自分たちの計画を成功させるために…。

 

 

「奴もまたいずれ厄介な存在となる……俺と同じ力を持つ、“奴ら”と同じようにな、なら邪魔な芽は早く潰しておくに越したことはないだろう……そのための分析だ」

 

 

男はそう言うと、クロワールに向き直る。

その瞬間、一際強い風が赤髪の男と三人の人影を突き従えるクロワールが立つ、崖の上を吹き抜けた。

風邪を受けて男が着ていたコートが激しくはためく。

 

コートがはためき、コートに包まれていた男の腰元が露わになった。

男の腰元にはある物が巻かれていた。

 

 

 

腰に巻かれた、ベルト…。

中央のバックル部分に備え付けられた風車の様なパーツ……。

不思議な形をしたベルトの風車が吹き抜けた風を受けて僅かに回転する。

 

 

 

 

「戦いの時は近い……全身全霊を持って、奴らと……そしてこの世界を俺がひねりつぶそう………“神殺し”の名の元に……」

 

「………へへっ、やっぱあんたのことを手伝った甲斐はありそうだな……こいつは面白くなりそうだ♪ なぁ………“ブレイズ”さんよぉ?」

 

 

 

 

クロワールが男の、赤髪の男の真の名を呼ぶ。

その瞬間、男の口元に笑みが浮かび上がり、一瞬のうちにその姿が激しく燃え上がる烈火の炎に包まれた。

 

激しくうねる炎の渦、燃え盛る業火が男の体を包み込み激しく燃え盛る。

 

そして、しばらくしてその炎の塊は弾け飛ぶようにして消滅した。

 

燃え盛る業火があった場所、そこには男の……“もう一つの姿”があった。

 

 

 

赤いボディースーツとオレンジの体、首に巻かれた深紅のマフラー、両手足を拘束するように巻かれた鎖付きの枷…。

そして、顔を覆うスズメバチを模したかのような仮面の赤い複眼が怪しく光を灯す。

 

 

その者の名、“業火”の名を持つ神をも殺す戦士…。

 

 

とある組織によって作られ、ひそかな暗躍をしてきたこの男……いや、この戦士の名は……。

 

 

 

“仮面ライダーブレイズ”……。

 

“神殺し”の名を持ち、こことは違う異世界で宗谷が絆を結んだ者達と同じ力を持つ者である。

 

 

 

 

 

「さぁ、最後の下ごしらえだ……クロワール、俺をまた別世界に飛ばせ」

 

「あぁ、いいぜ? っで、どこに行くんだ?」

 

「この苗の力を十分に発揮させることが出来る唯一の存在がいる世界………この苗が芽吹いた“森”に選ばれた、神にも等しき力を得た男の元……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………“仮面ライダー鎧武”………“オーバーロード 葛葉 紘汰”のいる惑星だ」

 

 

 

 

 

 

 

新たな物語…。

 

新たな激闘…。

 

新たな世界の交差…。

 

 

 

今まさに、世界を越えた新たな物語が動き出そうとしていた…。

 

 

 

 

 

 

 

To be NEXT cross over ………。

 




いかがでしたか?

はい、ようやくあの二人が恋人になりました(笑)
いやぁ、紆余曲折あってまさかここでカップルになるとは自分自身驚きですが……これで、物語が新たな方向にすすむ準備にもなりました!

そして、今回の物語の終盤……実はこれは、結構前から企画していた物なのです。

この物語に関する情報は、またもう少ししてから公表しようと思います!

それでは、次回をお楽しみに!
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