超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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どうも白宇宙です!

今回のお話は新たな長編……。



11月15日に1周年を迎えた、ネプおばを記念する大イベントの始まりを告げる序章の物語です!



一体何が始まるのか、しかとその目に焼き付けろ!

それではお楽しみください、どうぞ…。


stage,86 交差の警鐘、動き出す業火

 

 

 

かつて、一人の男が激しい戦いに身を投じることとなった…。

 

 

 

ふとしたきっかけに“力”を手にしたその男は自分でも予想がつかないうちに戦いの渦に身を投じていき、やがてそれは世界の運命を掛けた天下分け目の戦いへと変わっていったのだ。

 

世界を蝕む森…。

平穏な日常の中で徐々にその根を伸ばしてきたその森によって、力を手にした者達は混迷の戦いの中でそれぞれの運命の元に戦い続けた。

 

 

ある者は世界を救うために、多くの犠牲を覚悟しながらも己の身を投じて世界を蝕む森に挑み…。

 

ある者は自分の愛したい場所を壊してまで、権力というすべてを操る力を手に入れようとし…。

 

ある者は強者として、全人類を敵に回して、元ある世界を滅ぼそうとした……弱者の踏みにじられない世界という新たな世界を創造するために…。

 

そして、またある者は………自分の愛した人々を、街を、世界を、すべてを守ために、見捨てないために己自身の弱さを受け入れ、前へと進む覚悟を決め、戦いに挑んだ。

 

 

戦いの中で彼らは傷つき、友を失い、仲間に裏切られ、絶望し、涙を流し、叫び、血を流し、命を落とした者もいた。

だが、どんなに傷つきながらも己の望む運命を手にするために、彼らは戦い続けた。

 

平和、愛する人、強さ…。

それぞれ願いは違えど、戦いに身を投じた者たちはやがてある物の存在を知ることとなった。

世界を蝕む脅威を持つ森、“ヘルヘイム”。

それは世界を侵食し同じ森へと変え、同時にその世界を新たなステージへと進ませるための変革を促す役割を担っていた。

 

神にも等しき力を手にした者に宿すと言われる果実………“黄金の果実”。

 

彼らはヘルヘイムの浸食から始まった戦いの中で、やがてその果実を求めることとなった。

世界の存在、その在り方ですら根底から覆すほどの力を宿した果実を手にした者……選ばれた者こそがその世界を己の色に染め上げる。

ならば、己の目指した未来のために、果実を手にするためにとそれぞれが力を振るっていった。

激化する戦いの中で、彼らは多くの者と戦った。

 

ヘルヘイムに侵食され、ヘルヘイムに同化した生物……“インべス”。

 

そのヘルヘイムの力を受け入れ、より上位の種族へと変貌した者……“オーバーロード”。

 

そして、浸食されて行く世界に生まれた戦士たち……ヘルヘイムの森の力を“鎧”としてその身に纏い、己が力とした者達……“アーマードライダー”。

 

誰が敵か、誰が味方か、そんなことを理解する者はいなかった。

それぞれの運命は交差しあい、ぶつかり、絡まって、やがて戦いを勝ち抜いていった者達がいた。

 

黄金の果実の力を手にした女、“始まりの女”…。

 

ヘルヘイムの選択と世界の命運を決めるには勝ち抜いた最後の一人が彼女を手にする必要があった。

ヘルヘイムの運命に翻弄され、それぞれの思惑に動いていった者たちの中で己の信念と覚悟、そして決意の元に戦い続け、勝ち残った二人。

最後の戦いは激戦となった……その二人は既にヘルヘイムの森の力をその身に宿していたからだ。

最後の戦いは今まで以上の激戦となった………そして、やがて戦いに決着がつき最後の一人が残った。

 

ヘルヘイムの浸食と選別の試練を乗り越え、その手に果実を手にした者、その名は………。

 

 

 

 

―――“葛葉 紘汰”、またの名を“仮面ライダー鎧武”。

 

………世界の命運を揺るがす戦いを勝ち抜き、“始まりの男”となった者。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

広大な宇宙、星が瞬く神秘的な暗闇が広がるその空間の、遥か彼方……。

無限に広がる銀河の海の中に浮かぶ様々な惑星の中で、一つだけとても美しく、そして優しい輝きを放つ惑星が存在した。

 

透き通った水の球体の中にいくつもの浮島が重なっている様にも見えるとても神秘的で美しい青い惑星。

宇宙から見た時に劣らない程の豊かな自然と生命の息吹を感じさせるこの星の大地はまさに人間のような知的生命体の手が一切加わらずに生まれた奇跡の惑星とでもいえるかのような壮大な光景だった。

空には鳥が、大地には動物が、森には花が、まさに命という存在を全身で感じることが出来る惑星だった。

 

だが、この惑星はごく自然にできたわけではない…。

 

この惑星は元は荒廃した乾いた大地が覆う、まさに命という存在を全く感じな死の惑星だったのだ…。

 

それが、なぜこんなに緑豊かな惑星へと生まれ変わったのか。

それは、ある一人の男と女が荒廃した惑星に舞い降りたからだった…。

 

惑星の中に浮かぶ不思議な浮島の内の一つ、広大な大地に湖を作る巨大な滝を絶え間なく流し続けている浮島の切り立った崖の上、そこにこの惑星に命の息吹を吹き込んだ男が立っていた。

 

白き衣に白銀の鎧を纏った姿、右目に赤い瞳持った金髪の青年。

穏やかで優しい雰囲気を感じさせるその青年は浮島から自分が元いた場所から移り住んだ新天地である惑星を見下ろす。

吹き抜ける風で彼が背中に広げている白いマントがなびき、青年は安らかな微笑みを浮かべた。

 

 

彼こそが元は死の惑星だったこの星に命を吹き込んだ、“始まりの男”…。

そう、地球の“沢芽市”と呼ばれる場所で起きたヘルヘイムの浸食から始まった激戦を勝ち抜いた者、“葛葉 紘汰”である。

 

 

彼が戦いの先で選んだ選択、それは元あった世界を塗り替えるのではなく一から新たな世界を作り出すという選択だった。

 

彼が選んだその選択は決して簡単ではなかった、だが彼はそれを乗り越えようとしていた。

今彼が立つこの惑星も彼が目指した選択が導いた姿と言えるだろう…。

現にここまで来るのにたくさんの事があった、ふとしたきっかけで手にした力、知らなかった世界の危機、大切な友人を失ったこと、森に生きる者の存在、黄金の果実のこと、仲間だった者の変貌と戦い、果実と世界の運命を掛けた最後の戦い。

そして、それだけではなかった……運命の先で作り出したこの世界に突然現れた新たな脅威、“機械生命体メガヘクス”の侵略。

メガヘクスを止めるべく、彼は戦いを挑み、その先で一度は敗北しながらも地球での戦いで出あったかけがえのない仲間たちと、運命を共にした“始まりの女”の力を借り、新たに出会った戦士と共にメガヘクスを撃破することが出来た。

 

メガヘクスとの戦いからしばらく、あの侵略によって紘汰のいる惑星は多少の被害を受けた地球の仲間との再会を喜び、元いた惑星へと戻った彼は惑星の復興の尽力することとなった。

そして、その復興もだいぶ進み、惑星は平穏を取り戻し始めていた。

 

 

 

「………あれから、もうどれくらい経つんだろうな」

 

 

 

紘汰はそう呟くと自分がこの運命に足を踏み入れることとなった地球での戦いの事を思い浮かべていた。

ストリートダンサー、“ビートライダース”として活動していた自分では想像もつかなかったであろう今の姿、あの時の自分の事が今はもう遠い過去のように思えてくる。

だが、それでもまだ心にはしっかりと残っている。

あの戦いで自分が見つけた覚悟、決意、出会い、別れ…。

たくさんの経験をした自分はあの時の自分とはだいぶ変わった、最初はどんな未来になるのか想像もつかなくって“変身”という願いを強く持っていた自分が…。

 

「もう、今では神様みたいなもんだからな……」

 

誰も想像がつくはずがない。

 

自虐染みた独り言をつぶやいた紘汰。

まさか変身という願いがこんな形で行きつくとは、当時の自分では到底想像もつくまい。

今更ながら、自分はなんて数奇な運命に出会ってしまったのだろうと浩太は心中で思う。

 

でも、これを悲劇とは彼は思っていない…。

 

(……裕也、姉ちゃん、ミッチ、貴虎……それに……戒斗)

 

失った友、地球に残した姉と仲間、そして最後の戦いでぶつかり合った者。

彼らへの思いを馳せながら、紘汰は再確認する。

 

 

「俺は、まだ止まらない……ここで、まだまだ頑張っていくぜ」

 

 

 

自分が選んだこの運命に負けることなく、進み続ける決意を……。

 

 

 

 

 

「大したものだ」

 

 

 

 

 

後ろから声が聞こえた。

 

聞き覚えのない声に紘汰は咄嗟に後ろを振り返った。

 

「………?」

 

だがそこには人影一つ見当たらなかった。

 

しかし、はっきりと何者かの声が聞こえた……。

 

いったい誰がいるというのか……?

 

少なくとも、この惑星にはまだ自分たち以外に知性を持ち合わせた生命体は存在していない。

いるとしたら、それは外から来た者……だが、今聞いた言語は紘汰も使い慣れている地球での日本語そのものだった。

ここは地球から遠く離れた惑星だというのに………なぜ?

紘汰の中で疑問が浮かび上がる。

 

「………戦い抜いた先に手に入れた世界か………悪くはないな」

 

「……質問に答えろ、お前は誰だ……どこにいる?」

 

紘汰の質問にまともな返答を返さない何者か。

再度質問を投げかける紘汰は、辺りを警戒して気配が凝らすことで、姿が見えない何者かを探し始める。

風に揺れる木々のざわめき、流れる滝の音、聞こえる動物たちの鳴き声、その中に紛れる何者かがどこにいるのか…紘汰は精神を集中し、瞼を閉じて気配を探る。

 

「………!」

 

何かを感じ取ったのか、紘汰は目を見開くと同時に自分の目の前に広がる森の中に目を向け、意識を集中させる。

紘汰の左右で色が違う瞳が金色に輝き、それを合図にしたかのように森の植物たちがまるで蛇のようにうごめき始めた。

激しく動き、鞭のように暴れまわる蔓。

それらは森の中に潜む何者かに目がけて一斉に襲い掛かる。

 

「………なるほど、これが戦いの末にお前が手にした力か………」

 

だが、紘汰の力によって命を宿したかのように動き始めた植物たちは次の瞬間、あっさりと断ち切られてしまった。

 

それを感じ取った紘汰は驚いた表情を浮かべつつも、より警戒を強めて森の奥にいる何者かを睨み付ける。

 

「神にも等しい強大な力を宿すと呼ばれるヘルヘイムの森の“黄金の果実”………情報通り、凄まじい力のようだ」

 

声が先程よりも近くなってきている、どうやら森に潜む何者かはこちらに近づいてきている様だ。

 

「だが、これほどの力を持っていても使い手がお前の様なものでは………宝の持ち腐れだな」

 

「お前は………?」

 

森の木々の間を抜けてゆっくりと姿を現した者。

人型のシルエットだが、それは普通の人間ではなかった…。

 

 

 

スズメバチを思わせる仮面に、炎の様な模様が刻まれた赤とオレンジの色合いのボディースーツ、手足についた鎖付きの枷…。

そして、腰に巻かれた風車付きのベルト………。

 

(……仮面ライダー?)

 

その姿を見た時、紘汰は反射的にその名が浮かんだ。

 

彼も地球にいた時、その名で呼ばれた時があった。 そして同時に自分以外にもその名を持った戦士たちがいたということを彼は知っている。

実際に出会い、時に戦い、時に手を取り助けあいもした。

 

だが、その仮面ライダーと酷似した姿をした者がなぜこんな所に……?

 

「………お前は何者だ、何をしにここに来た?」

 

紘汰の問いかけに赤い仮面ライダーは右手を顎に当てる仕草をする。

 

「………仮面ライダー鎧武………いや、オーバーロード、葛葉紘汰」

 

「っ! ………俺の事を知っているのか?」

 

「俺がいた組織はお前の事もよく知っていたからな、一通りの情報は俺も知っている」

 

赤い仮面ライダーはそう言うと、顎に当てていた手を下ろし鎖のついた枷を巻いた右手で握り拳を作る。

 

 

「単刀直入に言おう、葛葉紘汰………俺はお前を試しに来た」

 

「試す……だと?」

 

「ああ、その力がどれほど強大か……神に等しい力と呼ばれたお前の持つその力がどれほどの物かを、この目で確かめに来た」

 

「………訳の分からないことを……一体何のために?」

 

 

紘汰が赤い仮面ライダーに目的を問いかける。

すると、赤い仮面ライダーはその問いかけに対し、静かにこうつぶやいた。

 

 

 

「……“仮面ライダーストーム”……“メテオ・ソルヒート”……」

 

「っ!? ………どうしてお前があいつの……メテオのことを知ってる?」

 

 

 

その名は紘汰にとって、忘れもしない人物の名前だった。

 

彼が出会った忘れもしないただ一人の“弟”……とある強大な組織によってその身を鉄に変えられ、過酷な運命に身を投じることとなった少年の名前だった。

 

最初こそ少年はその身に受けた強大な力に怯えていた、そんな彼と共に過ごした時のことを紘汰は忘れはしなかった……。

 

「……俺はそいつと同じ力をこの身に宿している、奴と同じ……“神殺し”の力を」

 

「………まさか、お前は」

 

その言葉に、紘汰はある予感が頭の中に浮かんだ。

自分の弟の運命を大きく変えた強大な組織、同じ仮面ライダーの仲間たちと激闘を繰り広げたことがある組織。

 

 

 

 

 

―――“ダークトゥダークネス”。

 

 

 

 

 

「お前は、ダークネスの改造人間か!」

 

紘汰が声を荒げて問いかけると、しばらく間をあけた後赤い仮面ライダーが、ふっ、と笑いを溢した。

 

 

 

「……間違ってはいない……そう、俺はダークネスによって作られた、改造人間………“仮面ライダーブレイズ”だ」

 

 

 

“仮面ライダーブレイズ”。

 

そう名乗った赤い仮面ライダーは、一歩前に出て紘汰に近づく。

 

「俺はいずれ奴を殺す、そして、邪魔となる者達もすべて……俺はこの手で粉砕する」

 

「………ふざけるな!!」

 

ブレイズの言葉に紘汰は怒りを露わにする。

 

 

「これ以上、あいつにも、世界にも手を出させない! お前の好きにはさせねぇ!!」

 

 

紘汰は叫ぶと腰に特殊な形状をしたバックルが付いたベルトが出現した。

黒く光る無骨に角ばった形状のバックル、右側には刀のような形をしたレバーが付いており、中央には何かをはめ込むくぼみがある。

 

『カチドキ!』

 

紘汰はどこからか取り出したオレンジ色の“錠前”の様な形をした何かを開錠するとバックルの中央にあるくぼみに嵌め込む。

 

これは、ロックシード。

彼がその力を最大限に発揮するために使うヘルヘイムの力の一端を宿した錠前だ。

 

紘汰はバックル“戦極ドライバー”にはめ込んだロックシードを施錠し、続けざまにもう一つ何かを取り出す。

それは黄金の装飾に色鮮やかな果実の紋章が刻まれた“鍵”。

 

『フルーツバスケット!』

 

鍵を起動させた紘汰はすぐさまその黄金の鍵を戦極ドライバーにはめ込んだロックシードへと差し込む。

この鍵は紘汰がその身に宿した“黄金の果実の力”を発揮するための鍵。

黄金の果実の力の欠片が形となったそのロックシードは、“極ロックシード”。

 

 

「変身!」

 

『ロックオープン!』

 

 

変身の声と共に紘汰はロックシードと一体化した極ロックシードを捻る。

それと同時に二つのロックシードは展開、その力を発揮する。

 

 

 

『極アームズ! 大・大・大・大・大将軍!!』

 

 

 

紘汰の周りを眩い虹色の輝きが包み込み、彼の姿を一瞬で変貌させた。

 

白銀に輝く南蛮胴と呼ばれる鎧を象った装甲を身に纏い、胸の鎧には鮮やかな果実の絵柄が刻み込まれ、背中にはマントを羽織っている。

そして、虹色に輝く単眼を持った仮面に日本刀のようなシンボルマークを額に着けている。

 

この姿こそ、彼が戦いの中で手にした力が形となって現れた姿…。

 

黄金の果実の力の一旦を宿し、彼の力を最大限にまで発揮させる、仮面ライダー鎧武の最強の姿…。

 

 

 

―――“仮面ライダー鎧武 極アームズ”。

 

 

 

猛々しく、雄々しく、そして勇ましい銀色の仮面の戦士。

鎧武の姿を目にしたブレイズは……。

 

 

 

「そうだ……そう来なくてはな……!」

 

 

 

声色を高揚させ、どこか心を高ぶらせているような雰囲気を放ちながら、両拳を握り、身構えた。

一定の間合いを開けたまま身構える鎧武とブレイズ。

物静かな惑星の空気が二人の間に駆け抜ける緊張の糸を激しく張りつめさせる。

 

 

 

「………うぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!」

 

 

 

そんな中、均衡の一時を打ち破ったのは鎧武の咆哮だった。

裂帛の気合いと共に地面を蹴り、勢いよく飛び出した鎧武はまっすぐにブレイブへと向かっていく。

鎧武とブレイズの間合いが縮まっていくが対するブレイズは鎧武を真っ向から迎え撃つつもりか、その場に身構えた状態を保ち続ける。

 

そして、両者の間合いがゼロになった瞬間、鎧武が右腕を大きく引き、そのままブレイズへとまっすぐに素早く、握りしめた拳を打ち出した。

 

それを合図に両者の戦いの火ぶたが切って落とされた。

 

「ふっ! らぁっ!!」

 

「っ、はっ…!」

 

鎧武の先制攻撃を身を屈めて回避したブレイズに鎧武が追撃で蹴りを見舞うが、ブレイズは蹴りを右腕で受け止めると、ブレイズも反撃に転じて鋭い横殴りの拳を連続で振るう。

それに対し、鎧武は後ろに僅かに飛んで距離を取って回避し、追い縋ろうとするブレイズを寄せ付けまいと蹴り込を放つ。

 

相手を打ち据えんと振るう拳と蹴り、激しい肉弾戦の押収から戦いを始めた鎧武とブレイズは攻撃と防御を状況に応じて巧みに使い分け、互いに譲らない攻防を繰り広げ始めた。

 

片や、激しい激戦を勝ち抜き、地球の未来と平和を守った歴戦の勇士。

 

片や、巨大な組織によって生み出され、強大な力を得た業火の名を持つ仮面ライダー。

 

二人の実力はこの段階ではまさに互角、どちらが優勢に立ってもおかしくない状態だった。

現に、二人はこうして一歩も譲らない激しい打ち合いを続けているのだ、どちらかの拳が相手を打ち据えそのものに有利な状況へといつ転じさせてもおかしくない。

 

「せぇっ!」

 

ブレイズが鋭い上段回し蹴りを鎧武に向けて放つ。

だが、鎧武はその一撃を素早く見切り、後ろに後退して回避すると戦極ドライバーにセットした極ロックシードを一回捻る。

 

『バナスピアー!』

 

電子音が鳴り響き、どこからともなく皮をむいたバナナを模したような特殊な形状のランスが精製され、鎧武の手に吸い寄せられるように飛来する。

鎧武はそれを掴むとその槍を左右に振り回し、ブレイズ目がけて構える。

 

「………ほう、それが“シャット・ザ・ハード”の力の元となったお前の固有能力か」

 

一連の流れを見たブレイズが小さくそう呟いた。

 

鎧武の最強形態である極アームズの固有能力、それは“アームズウェポン”と呼ばれる果実を模した各種武装を極ロックシードを操作することによって任意に呼び出すことが出来るというものである。

展開したロックシードのパネル、“ロックパルプ”に記された果実の断面の装飾に沿った様々な武器を召喚し、操ることで鎧武はあらゆる局面に対応した万能な戦いを行うことが出来るのだ。

 

その能力によってバナナを模した槍、“バナスピアー”を呼び出した鎧武は身構えてすぐ、ブレイズに向かっていくと鋭利な槍先を大きく振るいブレイズを牽制し始めた。

大きく振り回される槍先にブレイズは冷静に対応しようと自分に迫る攻撃を素早く見極めて回避する。

 

「はああああ!!」

 

攻撃を回避し続けるブレイズに鎧武がバナスピアーによる刺突を繰り出す。

 

しかし、この攻撃もブレイズは上に跳躍することで回避する。

大振りな攻撃ほど、読みやすい攻撃はないということだろう。

 

『ドリノコ!』

 

だが、鎧武の攻撃の意図は別にあった。

 

「なにっ……! ぐっ!?」

 

真上に跳んで回避したブレイズをドリアンの様なギザギザの刃先が特徴的なノコギリ型の武器、“ドリノコ”が襲う。

空中では満足な回避も防御も取れずドリノコの刃をまともに受けたブレイズは火花を上げながら弾き飛ばされ、崖から転落していく。

 

そう、鎧武は最初からこの一撃のためにバナスピアーを使ってワザと大振りの攻撃を行っていたのだ。

ブレイズが真上に跳ぶ瞬間を作り出すために…。

そして、狙い通りブレイズが真上に跳んだ瞬間に極ロックシードを操作してドリノコを精製、強襲を仕掛けたのである。

 

「まだまだだ!」

 

『ソニックアロー!』

 

崖から落ちていくブレイズを追うべく、鎧武はバナスピアーを手放すと新たに深紅の弓矢型の武器、“ソニックアロー”を呼び出してブレイズを追うべく自身も勢いよく崖から飛び降りる。

相当な高度のある場所から降下した二人は激しい気流の波を体に受けながら、凄まじいスピードで地面へと向かっていく。

 

「喰らえ!」

 

その合間に鎧武はソニックアローの矢尻部分のパーツを引いて、光り輝くエネルギーの矢を空中で連続で放ち、ブレイズに追撃を仕掛ける。

ブレイズ目がけて真っ直ぐに飛んでいくエネルギーの光矢。

 

だが、ブレイズはその一撃をそうやすやすと受けいれはしなかった。

 

「………むん!」

 

自分に向かってくるいくつもの矢を、なんとブレイズは空中で次々に打ち出した己の拳を光矢にぶつけてソニックアローの遠距離攻撃を真正面から相殺したのだ。

恐れを知らず、防御すら行わずに真正面から攻撃を迎え撃つブレイズの大胆なファイトスタイルに鎧武は咄嗟のこととはいえ驚愕した。

 

驚愕するのもつかの間、ブレイズと鎧武の二人は隕石の如き勢いで下の地面へと降下し、激しい轟音と共に着地する。

穏やかな緑が覆う、開けた森の中央に朦々と立ち込める砂煙。

着地のショックを和らげるために身を屈めた体制でいた鎧武はすぐさま立ち上がると、砂煙の中にいるであろうブレイズの姿を探そうと気配を探す。

 

 

「っ!!」

 

 

背後に迫る強烈な殺気。

 

 

鎧武は咄嗟にそれを感じ取ると、勢いよく前に跳んで迫りくるさっきから距離を作る。

 

遅れて、先程まで鎧武がいた位置に立ち込めていた砂煙が、いや、周囲を包んでいた砂煙すべてが横薙ぎに切り裂かれ“すべて消し飛んだ”。

 

発生した強烈な風圧、鎧武はその風圧に体を押され空中で僅かに体勢を崩しながらもなんとか受け身を取って地面に着地する。

そして、すぐさま自分のいた場所へと振り返ると、そこには右腕を真横に振り抜いたような体制で立ち尽くすブレイズの姿があった。

 

「………なんてパワーだ」

 

今起きた一瞬の出来事、それはブレイズが放った一撃が巻き起こした攻撃の余波が齎したものだ。

横薙ぎに振り抜いたのは、ブレイズの裏拳、その一撃を撃ち出した際に発生した攻撃の余波があたりに広範囲で立ち込めていた砂煙を一瞬にしてすべて吹き飛ばしたのだ。

ブレイズの持つ強力なパワーを目の当たりにしてより一層警戒を強める鎧武、だがだからと言ってここでこの戦いを放棄するつもりは毛頭ない。

自身の緊張を更に高めるとともに、自身の闘志を更に漲らせた鎧武は腰を深く落とした状態でソニックアローを右手に持ち、振り上げた体勢でブレイズと対峙する。

 

再び訪れた静寂、しかし、その静寂は先程より長くは続かなかった。

 

「今度は………こちらの番だ!」

 

今度はブレイズから先に静寂を打ち破り、鎧武に仕掛けたのだ。

 

勢いよく飛び出したブレイズは鎧武との間合いを詰めると、凄まじい威力を秘めたパンチやキックを次々に繰り出す。

だが、鎧武はその攻撃をまともに喰らわないように、冷静にすべての攻撃を見切り、僅かな攻撃の隙をついて距離を取り、ソニックアローを構えて反撃に転ずる。

 

鎧武はソニックアローの上下についたクリアブルーの刃を翻してブレイズに切りかかる。

 

「うらぁあっ!」

 

袈裟懸けにソニックアローの斬撃を振り下ろす。

 

しかし……。

 

 

 

―――ガキィ!

 

 

 

「どうした? そんなもんか?」

 

「なっ………!」

 

ブレイズはその一撃を右腕で正面から刃を受け止めたのだ。

斬撃を受け止めたというのに、右腕には一切のダメージを受けずに……。

 

改造人間とはいえ、打撃と斬撃では攻撃の本質が違う。

打撃は打つことで威力をそのまま相手に伝えるのに対し、斬撃は鋭い刃によって相手を斬るという物であり、真正面から受けるとなると打撃と違って受け止めた個所を切り裂かれる恐れだってある。

しかし、ブレイズはそれを恐れることなく真正面から腕で受け止めた。

最初から受け止められるという自信を持っていたように………。

 

「………ふん!」

 

「がっ!?」

 

ソニックアローの斬撃を受け止めたブレイズに動揺する鎧武の隙を突き、ブレイズは鎧武に攻撃を撃ち込む。

胸に正拳突きを連続で三発、続けざまに横腹に右フック、顔面に左ストレート、とどめに後ろ回し蹴りを間を開けずに続けざまに叩きこみ、鎧武を弾き飛ばす。

ブレイズのラッシュに溜まらず鎧武はソニックアローを手放して地面を転がる。

 

「くそっ………ならっ!」

 

ダメージを受けながらも負けじと身を起き上がらせた鎧武はブレイズを真っ向から睨み、意識を集中させる。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああ!!」

 

鎧武の仮面の虹色に輝く単眼、“パルプアイ”が輝いた瞬間それを合図にしたかのように鎧武のオーバーロードとしての力が発動する。

先程森の中にいたブレイズを引きずり出そうとした能力、周囲の植物を意のままに操る能力が発動し、生き物のように息づいた植物たちがブレイズ目がけて襲い掛かる。

 

鞭の如くしなり、空気を切り裂きながらブレイズに向かっていく植物たち。

 

「子供騙しが………通用すると思うな!」

 

だが、迫りくる植物たちの攻撃をブレイズは次々に躱していき、さらにその植物を次々に鷲掴むと命が吹き込まれたかのように蠢く蔓を纏めて引きちぎった。

 

引きちぎられたことで元の物言わぬ植物に戻った蔓、ブレイズは手に握っていたそれを地面に捨てると鎧武へと視線を向ける。

 

「………貴様は、甘い………甘すぎる」

 

「………なんだって?」

 

唐突に鎧武に向けてそう言い放ったブレイズ、突然の指摘に鎧武はすぐさま聞き返そうとするがブレイズはそれよりも先に鎧武に向けて人差し指を向けた。

 

「貴様は強大な力を手にしていながら、考えが甘すぎると言っているんだ……葛葉 紘汰」

 

「………だからどうしたっていうんだ」

 

「その力は、世界をも覆すほどの強大な力……その気になれば、世界を支配することも、命をも意のままにすることが出来るほどの可能性を秘めている」

 

ブレイズが言う力、それは紘汰が手にした“黄金の果実”の力の事を指していた。

世界をも塗り替える力を秘めた、黄金の果実。

それを手にした紘汰はその気になれば世界をも支配することが出来た、まさに、“神”そのものにもなることが出来たはずである。

 

「だが、貴様その力を使いこなしてはいない……貴様の持つ余計な感情がそうさせているのだ」

 

ブレイズはそう言うと鎧武を指さしていた腕を下ろす。

 

 

「貴様は、優しすぎる………戦いにおいて優しさという感情は、ただ邪魔なだけの不必要な要素だ……それはお前の持っているような強大な力にとっても」

 

 

今の鎧武、紘汰そのものを否定するようにそう言い放つブレイズ。

それに対し、鎧武は無意識に拳を握りしめた。

ぎりっと音が鳴るほどに力強く拳を握りしめた鎧武は一歩前に出る。

 

「……ふざけんな! 優しさを失えば残る物のはただの破滅と狂気だけだ! 強大な力は使い方を間違えればすべてを滅ぼす! 俺はそんなこと………絶対に認めねぇ!」

 

「………所詮はお前もただの偽善者か」

 

力強くそう言い放った鎧武は再び戦極ドライバーにセットした極ロックシードに手を添える。

 

 

 

「俺は………俺はあの時みたいなことを繰り返させるわけにはいかない! そして……たくさんの人を悲しめ、大切な物を奪うお前達みたいなやつを………俺は絶対に許さねぇ!!」

 

『火縄大橙DJ銃!』

 

 

 

鎧武は叫び、極ロックシードを捻る。

そして、巨大なオレンジと黒の色合いの火縄銃型のアームズウェポン、“火縄大橙DJ銃”を呼び出すと側面に鎧武が持っている“オレンジロックシード”を嵌め込み、施錠する。

 

『ロックオン! フルーツ・バスケット!』

 

ブレイズに狙いを定め、銃口にエネルギーをチャージする。

そして、光り輝くエネルギーをいっぱいにチャージした瞬間、鎧武はトリガーを引き、強烈な威力を秘めた砲撃を撃ち出す!

 

『オレンジチャージ!』

 

色とりどりの果実の残像を引きながらまっすぐにブレイズへと向かっていくエネルギー砲弾、今度の攻撃は真正面から受ければ一溜りもない。

数々の敵を屠ってきたこの強力な一弾ならば、多少なりとものダメージを与えられるはず…。

 

迫りくる砲撃を前にして、当のブレイズは先程と同じように防御や回避と言った行動を見せようとしない。

それどころかブレイズは………。

 

「………」

 

大きく拳を腰だめに引き………。

 

 

 

「……ぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお!」

 

 

 

裂帛の気合いと共に拳を打ち出した。

 

 

 

発生した拳の一撃による嵐の様な威力を秘めた拳圧、それはまるで鎧武が打ち出した砲撃に勝るとも劣らない空気の砲弾となって鎧武の一撃を真正面からぶつかりあい………“相殺”した。

 

「そんなっ……!?」

 

あまりにも常軌を逸したブレイズの荒業に鎧武はあまりの驚愕で仮面の下で目を見開いた。

拳による一撃で強大な一撃を相殺してしまったブレイズ、余りにも計り知れないブレイズの実力……これは、鎧武が、紘汰が戦い、苦戦を強いられてきたオーバーロード、果てはこの惑星を襲撃してきたメガへクスに匹敵するか、それ以上になるかもしれない。

 

「………その優しさが、お前の弱さだ」

 

とんでもない荒業をやってのけたブレイズはそう呟くと打ち出した拳をゆっくりと戻す。

 

「それを今からお前に教えてやる…」

 

そして、その右手でフィンガースナップを、ぱちん、と鳴らした。

森の中に響き渡る透き通った軽快な音。

いったいどういう意味なのか、鎧武が警戒する……。

 

すると……。

 

「……?」

 

ブレイズの背後、森の奥の方から新たに人影が三人こちらに向かってゆっくりと歩いて来ていた。

黒づくめのローブで身を包んだその三人の人影はゆっくりとこちらに向かって歩いて来て、そのままブレイズの横を通り過ぎ彼の前に横一列で並び立った。

 

ブレイズの仲間かと火縄大橙DJ銃を構えて再び臨戦態勢になる鎧武、それに対しブレイズは目の前に立つローブの三人組に合図を送ると彼らは同時に身に纏っていたローブに手を掛けて一斉にそれを脱ぎ捨てた。

 

宙に舞う黒い布、その下から露わになった三人の姿が露わになる。

そして、その姿を鎧武が目の当たりにしたとき………。

 

 

 

「え………!?」

 

 

 

彼は目を疑った。

 

そこに立っていたのは服装こそバラバラではある物の、彼にとっては見覚えどころか“馴染み深い”顔が揃っていた。

 

 

 

「なんで………お前達がいるんだ……」

 

 

 

驚愕のあまり、僅かに声を震えている。

それもそうだろう………。

なにせ、彼の目の前にいるのは………。

 

 

 

「……“ザック”……“貴虎”………“ミッチ”!!」

 

 

 

かつて、共に一緒の時を過ごし、時にはぶつかり合い、時には手を取り合い、時には涙を流し、時には共に笑いあった、かつての仲間たちがいたのだから。

 

鎧武と向かい合うようにして一列に並ぶ三人。

 

かつて紘汰にとってのライバルだった男と共に行動を共にし、彼が経験した戦いの中で共に戦う心強い仲間となった青年、“ザック”。

 

一度は紘汰の前に立ちふさがり、剣を交えながらも、戦いの中で互いを理解し共に手を取りあった男、“呉島 貴虎”。

 

紘汰と共に行動し、笑いあい、助け合い、信頼し合う間柄だったが一度は己の道に迷い彼の前に立ちはだかったが、彼の決死の行動で心を取り戻し再び前を向いて進む決意を固めた紘汰の大切な仲間、“呉島 光実”。

 

 

なぜ彼らがここにいるのか困惑する鎧武の前に立ちはだかった三人はそれぞれがただ事ではない雰囲気を放ちながら、彼の事を睨み付ける。

そして、三人は徐に懐に手を伸ばすとそこからある物を取り出した。

 

それは、鎧武が変身に使ったものと同じ………戦極ドライバー。

三人はそれを取り出すと、すぐさま戦極ドライバーを自分の腰に当ててベルトを巻く。

 

鎧武の脳裏に嫌な予感が走る。

 

そして、その予感に答えるように三人はさらに右手にそれぞれの果実を模したエンブレムのついた錠前を取り出した。

 

『クルミ!』

 

『メロン!』

 

『ブドウ!』

 

開錠し、頭上に円形に開くファスナーの様な空間の裂け目、“クラック”を精製し、そこから果実を模した鋼鉄の“鎧を”呼び出す三人。

 

「「「変身……」」」

 

その声と共に持っていた錠前、ロックシードを戦極ドライバーに嵌め込み施錠すると電子音と共にそれぞれ別の音楽が流れだす。

ザックはエレキギターのロック調の音楽が、貴虎は法螺貝の和風の音楽、そして光実は銅鑼と二胡による中華テイストの音楽が鳴り響く。

音楽が鳴り響く中、三人はドライバーの右側に備えられている小刀型のレバー“カッティングブレード”を倒してロックシードのエンブレムを展開する。

 

 

 

『クルミアームズ! ミスター、ナックルマン!』

 

『ソイヤ! メロンアームズ! 天・下・御・免!』

 

『ハイ~! ブドウアームズ! 龍・砲 ハッハッハ!』

 

 

 

降下してきた果実の鎧が三人の頭に覆いかぶさり、彼らの体が特殊ボディスーツで覆われ、頭に覆いかぶさっていた鎧が展開し彼らの体を包み込む。

この姿こそ、鎧武が時に戦い、時に協力した仲間たちが変身した姿。

 

ザックは無骨なクルミの鎧に身を包み、両手に巨大なグローブ型のアームズウェポン、“クルミボンバー”を装備した戦士、“仮面ライダーナックル”に…。

 

貴虎は和風の純白のアンダースーツに高貴な印象を与えるメロンの鎧を身に纏い、左手にメロンの網目模様をあしらった巨大な盾、“メロンディフェンダー”を装備した仮面の三日月型の角が特徴的な戦士、“仮面ライダー斬月”に…。

 

光実は中華テイストの緑のアンダースーツの上に中華風のデザインが施されたブドウの鎧で身を包み、右手にブドウのような装飾が特徴的なアームズウェポン、“ブドウ龍砲”を持った戦士“仮面ライダー龍玄”へと変身した。

 

それぞれの仮面ライダーへと変身した三人を前にして、鎧武は動揺を隠せない。

 

「そんな……みんなどうして……!」

 

動揺を隠せない鎧武、それに対して龍玄達三人の仮面ライダーはそれぞれの武器を構えると鎧武目がけて一斉に駆け出し、襲い掛かった。

 

「お、おいみんな! どうしたんだ一体! なにがあったんだよ!?」

 

襲い掛かってきたかつての仲間たちに鎧武は必死に呼びかけるが、彼らは一向に反応を示さず鎧武へ攻撃を仕掛ける。

 

龍玄は右手に握るブドウ龍砲を乱射しつつ接近し、軽やかな身のこなしで鎧武に蹴りを放つ。

それに対し、鎧武は龍玄の攻撃を何とか回避し撃ち込まれた蹴りも火縄大橙DJ銃を盾代わりにすることで防御し、なんとか凌ぐ。

しかし、尚も龍玄の攻撃の手は止まらず続けざまに掌底、肘鉄と言った攻撃を撃ち込んでくる。

 

「やぁっ!」

 

躊躇のない鋭い連続攻撃に、鎧武は防御しきれず攻撃をまともに受けてしまった。

 

「くっ…! おいミッチ! お前、なんでこんな…!」

 

それでも鎧武は龍玄を説得しようと試みるが……。

 

「ハァ!」

 

「なっ!?」

 

横合いから腰に装備していた深い紺色の日本刀型の武器、“無双セイバー”を抜いた斬月が鎧武に切りかかってきた。

洗礼された斬月の鮮やかな斬撃が振り下ろされるが、鎧武は紙一重で火縄大橙DJ銃で斬月の攻撃を受け止める。

 

「貴虎! お前もどうして!」

 

鎧武は悲痛な叫びをあげる様に必死で斬月に訴えかけるが斬月もまた龍玄と同じように返答を返さずに無双セイバーを振るい続ける。

 

「くそっ!」

 

『無双セイバー!』

 

鎧武は咄嗟に斬月と同じ武器、無双セイバーを呼び出して左手に持ち斬月の攻撃を凌ぐべく、刃を打ち合わせる。

激しくぶつかり合う二本の刃、縦横無尽に駆け巡る斬月の剣閃を鎧武が迎え撃つ、だが鎧武はかつての仲間に対して攻撃することはなかった。

攻撃するという考えそのものが浮かばなかったのだ。

昔とは違い、もう彼らと戦う理由はないし、戦うつもりもなかったから…。

 

「どうして答えてくれないんだ! ミッチ、貴虎!」

 

悲痛の叫びをあげる鎧武。

ガキィン、という金属音を上げて鍔是りあう斬月の鎧武の刃。

 

「おらぁ!!」

 

「ぐはっ!?」

 

突然、鎧武の背中に強烈な衝撃が走った。

その衝撃をまともに受けてよろけた鎧武にすかさず斬月が追撃を与えるべく、無双セイバーを振るう。

横薙ぎの一閃、さらに斜め上へと切り上げ、とどめにメロンディフェンダーで一撃。

 

そしてさらに鎧武を背後から襲った三人目、ナックルがクルミボンバーを装備した右ストレートによる一撃を容赦なく彼に叩きつける。

 

「うぁぁあああああああ!?」

 

ナックルの一撃を受けてたまらず大きく弾き飛ばされた鎧武、地面を数回転がり、地面に倒れた彼は拳を打ち出した体制でこちらを見据えるナックルへと視線を向ける。

 

「ザック………お前まで………!」

 

容赦なく襲い掛かってくるかつての仲間に困惑する鎧武、ダメージを受けながらも何とか立ち上がろうと膝をつきながらも身を起こすが……。

 

『ハイ~! ブドウスカッシュ!』

 

『ソイヤッ! メロンスカッシュ!』

 

『クルミスカッシュ!』

 

龍玄、斬月、ナックルの三人が戦極ドライバーのカッティングブレードを一回作動させ、それぞれの武器を構えた。

そして、そのまま龍玄は紫のエネルギーをブドウ龍砲へと集めて龍の如きエネルギー弾を撃ち出す、“ドラゴンショット”を…。

斬月は無双セイバーに緑色のエネルギーを溜めて、それを斬撃と共に打ち出すという強力な一撃を…。

そして、ナックルはクルミボンバーに纏わせたクルミ型のエネルギーを砲弾の如く撃ち出し、鎧武を一斉攻撃した。

 

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああ!?」

 

 

 

三人の強力な攻撃を受けて、鎧武の周囲が大爆発を起こし、鎧武の装甲に包まれた体も激しい火花を上げ、大ダメージを負ってしまった。

体に走る強烈な衝撃と痛み、何もできず無抵抗に、一方的に彼らの攻撃を受けてしまう結果となった鎧武はそのまま地面に力なく倒れてしまった。

 

その様子を見て、龍玄達三人の仮面ライダーは持っていた武器を下ろした。

その間を一連の成り行きを見ていたブレイズが割って入る。

 

「………無様だな、葛葉紘汰」

 

力なく倒れた鎧武へと失念にも似た言葉を投げかけながらゆっくりとブレイズが近づく。

 

「それがお前の弱さということだ……かつての仲間という情に流され、本来の力を出すことが出来ない……その優しさが、お前の弱さだ」

 

ブレイズはそう言うとうつぶせに倒れた鎧武を見下ろす。

鎧武の弱さ、それは彼の持つ優しさそのものだと断言した彼は鎧武の肩を掴むと強引に彼を起き上がらせる。

 

「貴様は力を手にしながら、その優しさという愚かな感情のせいで黄金の果実の力を存分に扱うことが出来ないでいる……戦いにおいて、優しさや慈しみの心など不要だ……必要なのは力を受け入れ、敵を討つという闘志、そして勝利し、すべてを手にするという覚悟! ……それを持たないお前に、その黄金の果実の力を使いこなすことはできない」

 

ブレイズは鎧武に言い放つと、彼の銀色の仮面を覗き込むように自身の深紅の仮面を近づける。

 

 

 

「俺と共に来い、葛葉紘汰………そうすれば、その力の本来の意味、存在理由を俺が示してやる……」

 

 

 

その一言に、ぐったりとしていた鎧武の手の指がピクリと振るえた。

 

「………断る……!」

 

最後の力を振り絞る様にして出した言葉、そして鎧武は震える自信の腕を持ち上げて自分の身体を持ち上げているブレイズの腕を掴み、引き離すと力を籠め始める。

 

「お前たちのような奴に………この力を、いいように……利用させたりなんか……させねぇ!」

 

それは鎧武の心からの執念の抵抗だった。

この黄金の果実によって、あの時のような戦いが巻き起こり多くの人が苦しみ、悲しんだ。

これ以上この果実でそんなことを繰り返させたりするわけにはいかない、同じことを繰り返したりはしない。

自分の味わった悲しみを、辛さを、苦悩を、誰かに味合わせたりはしない…!

 

あの戦いを切り抜けてきた鎧武の執念の抵抗の言葉、それを聞いたブレイズは……。

 

「………愚かな奴だ」

 

失望したかのようにそう言い、自身の拳を握りしめる。

 

「なら、お前は敗者として……ここで、沈め……!」

 

静かな言葉だが、その内に秘められたとてつもない闘志を鎧武は感じ取った。

そして、その闘志は言葉だけでなくブレイズの拳にも集約されて行き………。

 

 

 

「………むぅんっ!!」

 

 

 

そのまま、鎧武の腹へと叩きこまれた。

 

 

 

「―――っ!!」

 

 

 

鉄球や弾丸、そんな物が可愛く思えるほどの強力な一撃。

鎧武の腹部に叩きこまれたその一撃は衝撃波となり彼の体を駆け抜ける。

 

そして、それだけにとどまらず……。

 

鎧武の体を貫通するように発生した衝撃波はそのまま、鎧武の背後にある森の中を突き抜け……。

 

 

 

文字通り、一瞬にして森を“吹き飛ばした”…。

 

 

 

「………ぁ……っ……はっ……」

 

 

 

まさに、すべてを打ち砕かん勢いの一撃をまともに受けた鎧武は一瞬にして意識を刈り取られ、変身を解除し、そのまま力尽きてしまった…。

傷だらけになった紘汰の体を右腕に抱えたブレイズはちらりと彼を一瞥した後、背後にいる龍玄達へと視線を移す。

 

「……ここでの目的は果たした……行くぞ」

 

「はい……」

 

ブレイズの言葉に同意するように頷いた龍玄は展開していたブドウロックシードを閉じて、変身を解除する。

そして、それに続くように斬月とナックルも変身を解除し、元の姿に戻るとブレイズの元へと集まってくる。

 

「………クロワール」

 

ブレイズがまた別の方を向いて言った。

 

「おう、呼んだか?」

 

そして、ブレイズの呼びかけに答えるようにどこからともなく一人の少女が現れた。

褐色の肌に小悪魔的な印象を与える笑みが特徴的な彼女は、今現在ブレイズと行動を共にしているクロワールだ。

 

「次元の扉を開け………計画を次の段階へと進める」

 

「へへっ、だと思ったぜ? ほらよ」

 

クロワールが楽しそうな笑みを浮かべてぱちんとフィンガースナップを鳴らす、するとブレイズ達の目の前の空間に薄暗い底なしの穴の様な物が突如として発生した。

その穴の中に光実、貴虎、ザックの三人が躊躇することなく入っていき、その後にクロワールがブレイズを先導するかのように穴の中に入っていく。

そして、ブレイズが意識を失った紘汰を肩に担ぐ様にして持ち上げ、穴の中に入ろうとした時……。

 

 

 

「紘汰!!」

 

 

 

どこからともなく、女性の声が聞こえてきた。

 

その声にブレイズが振り返る。

するとそこには、白い神秘的な衣を身に纏い、輝く黄金の様な金髪に紘汰と同じ左右で色が違う瞳のオッドアイを持った紘汰とそれ程年が離れていないであろう見た目の少女がブレイズの事を見ていた。

まるで神話か何かに出てくる女神を思わせる少女は紘汰を抱えるブレイズを睨み付ける。

 

「あなた、紘汰をどこに連れていくつもりなの……?」

 

「……貴様が、“始まりの女”……“高司 舞”か……」

 

「っ! なんで、私の事を……」

 

自分の本来の名前を言われた少女、いや、紘汰と数奇な運命を共にし、戦いの末に黄金の果実に選ばれ“始まりの女”となってしまった少女、“高司 舞”は驚いた表情を浮かべる。

それに対し、ブレイズは舞には特に興味を示すような素振りを見せることなく目の前の時空の穴へと歩を進めようとする。

 

「待って! あなたは何をするつもりなの!?」

 

その後を舞が追いかけようとするが………。

 

 

『change……Elect hand』

 

 

どこからともなく、電子音が鳴り響き、同時に舞の足元のすぐ近くに強力な電撃が放たれた。

咄嗟にその場で足を止め、直撃を免れた舞だがその間にブレイズは穴の中へと入って行ってしまった。

 

「………もう少し……あと少しなんだ………邪魔は、誰にもさせん」

 

徐々に小さくなっていく時空の穴、その中からブレイズの物と思われる声が僅かに聞こえてくるのを舞は聞き逃さなかった。

 

 

 

「待っていろ、メテオ・ソルヒート……カズマ・カスミ……そして、天条 宗谷……!」

 

 

 

最後にその様な言葉を残して、ブレイズは時空の穴と共に姿を消した。

 

残された舞はブレイズと共に何処かへと連れ去られてしまった紘汰を想い、不安そうな表情を浮かべる。

 

「………紘汰を助けないと………なんとかしなくちゃ……!」

 

突如として現れた謎の仮面ライダー、ブレイズによって連れ去らわれた仮面ライダー鎧武、葛葉紘汰…。

この事件をきっかけに、物語は予想だにしない方向へとかじを切ることとなった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは………?」

 

「こいつぁ……ファスナーか? にしても、なんだってこんな空間に浮かんでんだよ?」

 

「………ねぇ、メテ兄、カズマ、これどこかに繋がってるみたいだよ? 向こう側に何かあるみたい」

 

とある世界にいる、三人の人物。

 

一人は、黒のTシャツに白のパーカー、そして緑のズボンを履いた茶髪の天然パーマに白い瞳、中性的な顔つきの青年。

 

もう一人は黒のジャケットに白のジーパンを履き、首には一眼レフのカメラを掛け、緑のメッシュを入れた白髪にエメラルドの様な緑の瞳とキザな顔つきが特徴的な青年。

 

そして、最後の一人は白いパーカーの青年と似たピンクのパーカーを着て、フリルのミニスカートから覗くピンクのスパッツが目を引く活発な印象を与える衣服に身を包んだ茶髪のショートカットにカチューシャが特徴的な黒い柔らかい目つきの少女。

 

そして、三人に共通するのは腰に巻かれたそれぞれで印象が違う、“ベルト”…。

 

そんな三人の目の前には、ファスナーのような形をした時空の裂け目が彼らを呼び寄せるかの如く、目の前にぽっかりと口を開けていた。

 

 

 

 

 

 

また、とある世界では……。

 

「こいつは……仮面ライダー鎧武のクラックか? でも、なんだってこんな所に?」

 

少し長めの癖のある茶髪に赤い水晶のような瞳を持った青年、着ている衣服は独特なデザインで赤いシャツに黒のデニム、上着には白地に黄色のラインが施された袖なしのロングコートを羽織っている。

彼は目の前にある不思議な形の空間の裂け目を不思議そうに見つめる。

 

「……? ヒロミか……え? とりあえず飛び込んでみろって? いやいやいや、まあ確かに好奇心はあるが何が起こるかわからないんだぞ? 下手すりゃこの先にはヘルヘイムの森が広がってる可能性だって……あー! わかった! わかったから騒ぐな! ……ったく、どうなっても知らねーからな」

 

なにやら独り言を話し始めた青年だったが、何やら諦めたような素振りを見せた後、渋々と、それでいてどこか好奇心を感じさせる微笑みを口元に少しだけ浮かべながら恐る恐ると時空の裂け目へと足を踏み入れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………?」

 

そして、ここ、異世界からゲイムギョウ界と呼ばれる世界に迷い込んだ青年、天条 宗谷がいる次元では、とある日の昼下がり宗谷がプラネテューヌ教会のテラスに出ていた。

宗谷はのどかな青空の下で、ふと首を傾げる。

 

「どうかしたんですか、宗谷さん?」

 

彼の様子に気付いたのか、隣にいた金髪のツインテールの女性、史書 イストワールが彼に声を掛ける。

 

「え? あぁ、別に大したことじゃないんだ………ないんだけど………」

 

「だけど、どうかしたんですか?」

 

どこか悩みを感じさせる宗谷の言葉に、イストワールが再度質問する。

すると、宗谷は教会のテラスから見えるはるか遠くへと視線を向けて、呟いた……。

 

 

 

「なんか、“嫌な予感”がするんだ………とてつもない……いや、今までにないくらい大きな……何かが……」

 

 

 

謀らずしも、この宗谷の嫌な予感が今まで外れたことは皮肉にも、なかった…。

 

 

 

そして、今回も………。

その予感は新たな物語の始まりを告げる、警鐘となっていた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be NEXT STORY…

 

 

 

スーパーノベルヒーロー大戦 XX(ダブルクロス) ~大激闘! 天樹と業火の神殺し~

 

 

 

 




いかがでしたか?


ということで、今回始まる新たなコラボストーリー!


‟スーパーノベルヒーロー大戦 XX ~大激闘! 天樹と業火の神殺し~”


一周年を迎えたネプおば、それを記念して今回この物語を描かせていただきます!
今回のコラボストーリーに力を貸してもらうのは、以前に自分がコラボしたお二人、pixivではドラグアローさんとして活動している紅蓮龍蒼さん!
そして、同じくハーメルンで活動中のソルヒートさんのお二人です!

お二人のキャラを交えて始まる新たなコラボストーリー、次回より本格的にスタートします!

それでは、次回もお楽しみに!
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