超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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どうも、白宇宙です!

今回のお話は大コラボイベント第一話!

再会を果たし、この世界に集う者達、物語はここから動き出した!!

それではどうぞお楽しみください!


スーパーノベルヒーロー大戦 XX ~大激闘! 天樹と業火の神殺し~
XXstage,1 再会と集う者達


 

プラネテューヌから少し離れた場所に位置するジャングル型ダンジョン、“パナンジャングル”。

このジャングルは他の森よりも木々などの植物が多く、ジャングルの様な地形が特徴的なダンジョンであり、いい意味で受け取るなら自然が豊か、悪い意味で受け取るなら鬱蒼とした森が続いているのが特徴のダンジョンだ。

他のダンジョンよりもワイルドな印象を受けるダンジョンはそのためか他の場所よりもモンスターが高レベルであり、その分報酬が高く、それを目当てにこのダンジョンのクエストを受ける者も少なくない。

 

そんなパナンジャングルの中で、一人の小柄な人影とシャープなデザインの人影が二人並びながら歩いていた。

一人は鮮やかなオレンジの髪を普通よりも下の位置に結んだツインテールに纏めた美少女……に、見えるほどに忠誠的な顔立ちの“少年”。

その隣で歩くのはロボの様な装甲に身を包んだ忍者の様な姿をした人物であった。

 

「結構歩いたでござるが、本当にこのあたりにいるのでござろうか?」

 

「いるにはいるんだろうけどね……ここのどこにいるのかまではわからないけど」

 

その二人とは、男の中の男を自負する男の娘、ハルキ・ラピスリーとそのお友であるステマックスであった。

 

「情報ではこの森で間違いないんだけど、細かい場所とか教えてくれなかったんだよねぇ、あの人言うことアバウトすぎだよ」

 

「確かにパナンジャングルにいるということと、目的の人物の人相と服装くらいしか情報をくれなかったでござるからな」

 

彼らの目的はこの森にいるというとある人物の捜索だった。

依頼のような物で、情報を受け取ったハルキとステマックスはその依頼を受けてこの森に足を踏み入れたはいいものの詳しい位置情報までは教えてくれなかったため今現在、探してはいるものの、見つからずに苦労している。

 

ステマックスは再度情報が書かれたメモを広げて確認し、辺りを見回すも見える物は緑、緑、緑、青々と茂る植物だけしかなかった。

動くものも、時折襲い掛かってきては二人で撃退するモンスターばかり、二人はこの時本当にこのダンジョンにいるのかと疑い始めてすらいた。

 

「もうこの森にはいないのでござろうか、相手は人間、意志を持っている以上移動していてもおかしくないでござる」

 

「かもね……なんだか、人探ししてばかりな気がするよボク達」

 

「プルルート殿の件はハル殿の目的でござろう? これはまた別件でござる」

 

「まあそうだけどさ………はぁ、正義の勇者は辛いよ」

 

正義の勇者、“クロス・ジャスティス”の名を持つハルキは自分が請け負った宿命、というには大げさだがその名前に沿った自分の行動に多少うんざりしていた。

かと言って投げだすつもりもないが、たまには愚痴も言いたくなる。 ハルキはため息をつきながらそう溢すとパーカーのポケットの中に入れていたチョコバーを取り出して包装紙を開ける。

 

「それにしても、なんでその人を見つけて保護しなくちゃいけないわけ? 何か重要な人なの?」

 

「目的についても教えてくれなかったでござるからな、とにかく何かある前に無事に保護しておきたいとだけ言われたでござるから……」

 

「……あの人、何考えてるのかわからないところがあるからね……感謝はしてるけど、ボクちょっと苦手かも」

 

眉を潜めながらチョコバーをかじり、咀嚼しながら呟くハルキ。

 

一体この途方のない人探しはいつになったらひと段落するのだろう、とハルキが考えていると……。

 

「………?」

 

何かに気付いたのか、ハルキは視線を森の奥の方に向けた。

 

「む、どうかしたのでござるか、ハル殿? またモンスターでござるか?」

 

それに気づいたステマックスはハルキに問いかける。

だが、ハルキは少し考えるような表情をしたのち、齧っていたチョコバーを急いで食べきると包装紙を丸めてステマックスにパスした。

 

「いや、どうもなんか違うみたい」

 

「というと?」

 

「たぶん、人の声だと思う……」

 

ハルキに投げ渡されたチョコバーの包装紙をゴミ用の小さなビニール袋に詰めるステマックスに、ハルキが何やら警戒したような様子で返答する。

そしてハルキはそのまま静かに目を閉じて、意識を集中させ、耳を澄ます。

 

「………」

 

森の中の木々の枝に生えた葉が揺らめくことで生じる音、少し離れた位置で動くモンスターの足音、あらゆる物音を感じ取りながらハルキはその中で違和感を感じる物だけを探る。

 

「………うん、やっぱり人だ、何かぶつぶつ言ってる」

 

「なんと! ここはパナンジャングルの奥深く、並大抵の人間はモンスターのレベルについていけずに中々足を踏み入れないというのに………もしや、目的の人物でござろうか?」

 

ハルキの言葉にどこか期待した様子で答えたステマックスだったが、ハルキはそれに対し首を左右に振り普通よりも下の位置で結んだツインテールを揺らした。

 

「さぁ、そこまではわかんないよ、近くまで行ってみないと」

 

そう言ってすぐ、ハルキは行動に移した。

鬱蒼としたジャングルの中を半ば強引に掻き分けるようにして先に進んでいき、その後ろをステマックスが軽やかな動きで付いていく。

生い茂る草の根を分け、地面から飛び出した木の根を乗り越え、動き続けること数分、次第にハルキの耳に聞こえてくる声が大きくなってきた。

 

「あれ? この声………」

 

その声に若干の違和感を感じたハルキ、だがそれでも前へ進み続けて………。

 

 

 

―――うぅ……なんで……なんでこんなことに……

 

 

 

次第に言葉がはっきりと聞こえる距離まで近づいてきた。

聞こえてきた声にハルキとステマックスが一旦その場に足を止めて耳を再度澄ませる。

 

「この声の感じ………明らかに女性の声、でござるな………」

 

「……目的の人じゃ、ないみたいだね」

 

その声と様子から目的の人物とは違うことを確認した二人は顔を合わせながらそうやり取りする。

目的の人物でないのならこのまままた人探しを継続する必要がある。

急ぎの要件らしいのであまり時間を喰う訳にはいかないのだ。

 

しかし………。

 

 

 

―――見知らぬ森に迷い込むし、人っ子一人いないし、来た道を引き返そうにも出口がないし、お腹減ったし、あいつは怒ってふて寝してるし………もうやだ帰りたいゲームしたいラノベ読みたいマンガ読みたいアニメ見たい………。

 

 

 

「………」

 

「………」

 

 

 

―――そもそもあいつもあんなに怒ることないじゃん、ちょっと溢れる冒険スピリッツをフルスロットルさせて森の中探検してただけじゃん……まあ、そのせいで帰り道分からなくなっちゃったのは正直悪いとは思うよ? 思うけどだからってあんなに怒らなくてもいいじゃん……バカバカバカ………まあ、私がからかいすぎたってのもあるけどさ……

 

 

 

「…………」

 

「…………」

 

 

 

―――……あぁ、もう、私はここで終わるんだ……ここで容赦なく放置プレイを受けて、誰にも気づかれることなく死んでいくんだ……そう、それはまるでガンプラ大好き某カエル型宇宙人の軍曹に出てくる青いドロドロトラウマ影薄忍者ガエルみたいな影の薄さ……誰にも気づいてもらえない……ふふふっ、もういいや……もう、ゴールしてもいいよね……なんだかもう何も怖くないし……どうせ私が死んでもあいつという変わりがいるもの……

 

 

 

「……………」

 

「……………ハル殿?」

 

「うん、わかった、何も言わなくてもわかる、言いたいことはわかってるからステマックス」

 

聞こえてくる諦めに等しい呪詛と死亡フラグビンビンの言葉を耳にしたハルキとステマックス、最終的にいたたまれなくなったのかハルキは眉間を抑えながら自分の方に視線を向けたステマックスにそう言うと声の聞こえる方に向き直る。

 

「ちょっと助けてくるよ、人助けはボクの役目だしね……」

 

「では拙者は本来の目的の捜索を続けるでござる」

 

「あれ? 一緒に来てくれないの? なんか明らかにめんどくさそうな感じなんだけど…」

 

「ハル殿、拙者の弱点、忘れてないでござるか?」

 

「………ああ、そういうことね」

 

「そう言うことでござる」

 

付いて来ようとしないステマックスに疑問を投げかけるハルキだが、思い出したかのようにハルキは納得する。

そう、ステマックスは極度のコミュ障(女子限定)だったのだ。

 

見た目完全少女なハルキに対しては、性別が男だからという理由で大丈夫なのだが本物の女子を相手にすると途端にステマックスはヘタレになる。

それを察したハルキはやれやれと言いたげな態度を示した後、渋々と頷いた。

 

「わかったよ、こっちはボクだけで何とかするからステマックスはこのまま目的を継続してて」

 

「御意、それではハル殿、ご武運を」

 

そう言うとステマックスは疾風の如き素早さで姿を消し、森の奥へと行ってしまった。

 

「まったく、ボクの姉さんは大丈夫だったのに……なんで、他の女の子はダメなんだろ」

 

そんなことをぼやきながらも、ハルキは声が聞こえる方に向かって足を進める。

声を頼りに近づいてきたおかげで、それほど離れておらずしばらく草の根分けて進んでいるとやがて声が聞こえてきたと思われる場所までたどり着くことが出来た。

 

声の主を探して辺りを見回すと……。

 

「あ、いたいた」

 

近場の木の根元、そこに体育座りをしている人影を見つけた。

 

どんよりとした空気を纏わせて明らかに落ち込んでますよオーラを靡かせる女性にハルキが近づく。

 

 

「あのー、大丈夫ですか?」

 

「っ!」

 

 

声を掛けた途端、木の根元で体育座りしていた女性が、バッ、とハルキの方に振り向いた。

 

若干余りの反応の速さに驚いたハルキだが、まあそれ程危機的状況なのだろうと割り切ることにした。

そして、その女性がどんな人物なのかを観察し始める。

 

見た目的に年齢は、自分と同じ18歳くらいだろうか? 綺麗に艶のある茶髪のロングヘアが腰辺りまで伸びており、ルビーの如く輝く瞳と幼さの残る整った顔立ちはどこかのアイドルか何かかと思わせるほど目を引く印象を与えてくる。

服の上からでもわかるふくよかな胸を包む彼女の服装は赤いシャツに黒のデニムパンツを履いており、袖なしの白地に黄色のラインという鮮やか且純粋な色合いのコートを羽織っている。

足元はむっちりとした女性らしい太腿が魅力的な足を黒のニーハイソックスで包み込み、焦げ茶色のロングブーツを履いている。

 

誰が見ても魅力的に感じるであろう、絶世の美少女がなんでこんな深い森の中にいるのかと疑問を抱くハルキだったが、それは後で聞くことにしようと後回しにして彼女に声を掛ける。

 

「お姉さんもしかしなくても道に迷ったんですよね? よかったらこの森の出口まで案内し」

 

「うっ……ひくっ………うわぁぁぁぁぁぁぁああああああああああん!!」

 

「って、何ごとーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」

 

突然茶髪の女性が泣きながらハルキに抱き付いてきた。

あまりにも突然の事態に驚くハルキ、しかし彼女はそんなのお構いなしにハルキに抱き付いて親を見つけた迷子のように泣きじゃくる。

 

 

 

「よがっだぁぁぁぁぁああああああ! このまま死んじゃうかと思ったぁぁぁあああああああ!! 誰だか知らないけど助けに来てくれてありがとうロリっ娘ツインテールちゃ~~~~~~~~ん!!」

 

「誰がロリだ! ボクは18歳だよ!! ていうか、とりあえず離れてよ! 涙でパーカー濡れる!? それに耳元でわんわん泣かないで耳が痛い!? あーもー! ステマックス! ステマッーーーーーークス!! おいどこまで行ったんだよあのコミュ障影薄ヘタレ忍者ぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!」

 

 

 

鬱陶しいことこの上ないほど縋り付いてくる茶髪の女性にハルキは四苦八苦し、ステマックスを呼ぶが彼が姿を現すことはなかった。

パナンジャングルでハルキの叫び声と女性の子どもの様な泣き声が木霊する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「パナンジャングル、何気に来るのは初めてだな」

 

「普段のクエストは大抵バーチャフォレストでなんとかしてますからね」

 

バーチャフォレストよりもレベルの高いクエストが配給されるこのパナンジャングルで、二人の男女が歩いていた。

その二人とは黒のジャケットに黒のジーパンといういつもと変わらない格好の教会補佐、宗谷とその隣に並んで歩くプラネテューヌ教祖のイストワールだった。

 

今日二人はギルドのクエストを久々に二人でこなすことになったのだ。

 

「それにしても、ネプテューヌの奴なんだっていうんだ? 突然、“教会の方は私達が何とかするから二人は一緒にお仕事してきなよ~”、なんて……」

 

「……ネプギアさんやアイエフさんもいるので大丈夫だとは思うのですけど、ネプテューヌさんはどうにも心配でなりません」

 

「あいつデスクワーク絶対向いてないからな、てんやわんやするネプギアとアイエフの姿が目に浮かぶ…」

 

この状況を作り出したネプテューヌの事を心配しながらもパナンジャングルを進む二人、ネプテューヌが言い出したことというのもあってか安心しようにもしきれない様だ。

 

 

 

 

 

一方その頃教会では……。

 

「へくちっ! ……誰かが私の噂をしているような」

 

「何天啓的な独り言言ってるのよねぷ子、それよりもあんたサボってないでこっち手伝いなさいよ! せっかくイストワール様と宗谷を二人きりにさせたんでしょ! 言いだしっぺのあんたが仕事しないでどうするの!」

 

「お、お姉ちゃんこっち手伝って~! 私一人じゃ間に合わないよ~!」

 

「あー……こ、このステージクリアしたら……」

 

「ねぷ子!」

 

「お姉ちゃん!」

 

「はいぃ!?」

 

「今日もいつも通りだねぇ~」

 

「そうですね~、はい、ピーシェちゃん、コンパ特製マドレーヌです~」

 

「おやつ! ぴぃ食べる!」

 

イストワールと宗谷の予想は的中し、ネプテューヌ及び手伝いのアイエフとネプギアは大忙しでそれを見守るプルルート、コンパ、ピーシェはのどかな昼下がりを満喫していたとさ……。

 

 

 

 

 

「………やっぱり心配だから、さっさとクエスト終わらせようか」

 

「異論はありません」

 

そう心に決めた二人はさっさとクエストを終わらせようと、クエスト内容を確認し仕事にとりかかろうと意気込み始めた。

しかし、さすがパナンジャングルと言った所かクエストの内容もなかなかレベルが高い内容だ。

 

「うーん、一筋縄じゃ行かなさそうだな…いーすん、いけそうか?」

 

「尽力します、宗谷さんばかりに危ないことをさせるわけにはいきませんから」

 

宗谷がイストワールを気に掛けてそう聞くが、イストワールは心配無用と言いたげにそう返答する。

しかし、宗谷はどこか不安そうな表情を浮かべる。

 

「いや、そうじゃなくてさ……俺が行ってるのは、いーすん自身の心配」

 

「え?」

 

そう言うと宗谷はなぜか視線を逸らして照れくさそうに頬を掻いた。

 

「……いーすんが怪我するの俺嫌だしさ……だって、いーすんは……お、俺の……」

 

「?」

 

なぜか口籠り、頬をうっすらと赤くする宗谷にイストワールは首を傾げる。

 

 

「俺の………か、彼女だから………」

 

「あ………」

 

 

恥ずかしそうに頬を染めて視線を泳がせながらそう言った宗谷、彼の言葉にイストワールも思わず赤面してしまう。

 

 

そう、彼、天条宗谷とイストワールの二人はこの前、正式に晴れて恋人となったのだ。

 

 

二人が恋人になってまだ一週間ほどだが、その恋人という関係の絶大な効果に二人はその認識に対してまだ心のどこかで慣れていない所があった。

こうして口に出すといつもよりもさらに意識を強くしてしまう、これが所謂惚気という奴なのかと宗谷は思いながらも、熱くなった顔を冷まそうと手をパタパタと振って顔を扇ぐ。

 

「……大丈夫ですよ」

 

それに対し、イストワールは微笑みを浮かべながら答えた。

 

「大丈夫って、でも俺は……」

 

「だって…」

 

彼女の言葉に宗谷が反論しようとするが、イストワールはその言葉を遮るように言うとそっと自分の手を宗谷の手に重ねた。

 

「だって………宗谷さんも、私の事を守ってくれるんでしょう?」

 

「あ………あぁ」

 

優しく彼の手を握ってそう告げたイストワール、その言葉に宗谷は一瞬心臓をドキリと跳ね上げさせながらもこくりと頷く。

 

「……頼りにしてます、宗谷さん」

 

「………おう、任せろ」

 

重ねてきた彼女の手を宗谷はそう言って握り返す。

そう、彼は告白の際に宣言したのだ、誰よりも大切な彼女の事を……絶対に守ると……。

宗谷の言葉を聞いたイストワールはほんのりと頬を赤くしながらも優しく微笑み、それに対して宗谷も優し気な笑みを返した。

 

「………でも、私も宗谷さんの事しっかり守りますからね? 守られてばかりというわけにはいきませんから」

 

「分かったよ……けど、無茶だけはしないでくれよ?」

 

「宗谷さんもですよ?」

 

「………まいったなこりゃ」

 

持ちつ持たれつ、互いに守り守られつつ、なんとも不思議な関係で結ばれた物だと宗谷は思いながらもまんざらでもなさそうな表情を浮かべる。

おそらく、これが自分と彼女を結ぶ関係の形なのだろうと感じながら……。

 

「……さて、それじゃさっそくクエストに……?」

 

「宗谷さん? どうかしましたか?」

 

お互いの関係を再認識した宗谷が意気揚々とクエストに望もうとしたその時、宗谷はふと何かに気付いたのか視線を自分の右側にある茂みの方へと向けた。

それに気づいたイストワールも彼が向いた方向へと視線を向ける。

何かを見つけたのかとイストワールが目を凝らす、すると茂みの奥から何かがこちらに向かって来ているのがうっすらと確認できた。

 

「モンスター……でしょうか?」

 

「いや、まだわからない…いーすん、一応警戒はしといて」

 

「はい」

 

念のため警戒態勢に入る二人、茂みの奥からこちらに近づいてくる何かは着実にその距離を縮めてきている。

鬼が出るか蛇が出るか……二人が警戒を強めていると……。

 

 

 

「ん~♪ このチョコバーおいしい! ハルちゃんいいセンスだね?」

 

「だからそのハルちゃんって呼び方やめてよ、もう……あと、頭撫でるのやめて」

 

「よいではないか~、よいではないか~♪」

 

「良くない!」

 

 

 

チョコバーをかじりながら隣の小柄な人物を撫でる茶髪の美少女と、照れくさそうに顔を赤くしてその茶髪の女性に撫でられているボーイッシュツインテールの少女だった。

 

全くの予想外な人物の登場に呆気にとられて宗谷とイストワールの二人は警戒を解いてしまう。

 

すると、茂みの中から出てきた茶髪の美少女とボーイッシュツインテールの二人組はいつの間にか目の前にいた宗谷とイストワールの二人の存在に気付き二人の目の前で足を止めた。

 

「あれ? ……偶然、また会ったねお兄さん?」

 

「あ、君は確かラステイションの盗撮犯事件の時に会ったボーイッシュツインテールの……」

 

「何その呼び方………なに、ダメなの? ツインテールにしてちゃダメなの?」

 

「いや、ダメじゃないけど、むしろ似合ってるけども」

 

「………やっぱバカにしてるじゃん」

 

「なんで!? 褒めたよね!? どっちかというと褒めたよね!?」

 

予期せぬところで予期せぬ人物と再会を果たした宗谷、彼の発言に訝しげな表情を浮かべるボーイッシュツインテールに宗谷は戸惑いながらも彼女の隣にいる茶髪の美少女へと視線を移す。

 

「………」

 

(………?)

 

すると、なぜか茶髪の美少女は宗谷の事をじっと見つめたままその場で固まっていた……。

 

何か変な物でも顔についていたかと疑問を抱く宗谷だったが、少なくとも今朝顔を洗う時に鏡を見た時は以上はなかったはずだ。

 

「あの、宗谷さん、この二人はお知り合いですか?」

 

宗谷の様子を見て隣にいたイストワールが彼に問いかけてきた。

 

「え? あー、そう言えばあの時いーすんはネプテューヌ達と行動してたんだっけな……えっと、こっちのボーイッシュツインテールの子は前にラステイションに行ったときにぴぃがぶつかっちゃって、その時に知り合ったんだ」

 

「………どーも」

 

「あ、いいえ、こちらこそ……そうですか、ピーシェさんが……申し訳ありません」

 

「あー、大丈夫です、特に異常は来さなかったんで」

 

ラステイションでのことをこの場にいないピーシェに変わって謝るイストワールにボーイッシュツインテールは気にしてないと言いたげに返答する。

二人の挨拶が済んだので、なんとなしに宗谷はボーイッシュツインテールの隣に呆然と立っている茶髪の美少女の方に目を向ける。

 

しかし、少なくとも彼女と面識はないはずなのだが…。

 

 

 

「そして隣の人だけど……隣の人は俺も会ったことが……」

 

「宗くーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!」

 

「何事ーーーーーーーーーーーーーーーー!?」

 

 

 

面識がないことをイストワールに説明しようとした瞬間………なぜか茶髪の美少女が宗谷に向かって飛びついてきた。

突然のことに宗谷は対応しきれず、驚きながらそのまま地面に押し倒されてしまった。

 

「うっわぁ! マジだマジだ! マジ宗くんだーーー! やっと会えたね宗くん! 私はいつか会えるこの時を信じていたよ~!」

 

「むぐっ! むぐぐぐっ!?」

 

なぜか嬉々として宗谷を抱きしめる茶髪の女性、宗谷の事を押し倒し、その頭をぎゅっと抱きしめてふくよかな胸に埋めてしまっているため宗谷は何かを喋っている様だがうまく聞き取ることが出来ない。

しかし、そんなことは露知らず、というかお構いなしに茶髪の女性は宗谷の事を尚も抱きしめ続ける。

 

(な、なんだ……この、巨大なマシュマロの様な柔らかさは……! 癖になりそうな感触が顔面を包み、押し当てられるごとに温かさとやわらかさがダイレクトに伝わってくる…! こ、これがリアルパフパフの秘めたる恐ろしさか……! ………あ、やべ、癖になりそう……)

 

途惑いながらも今ある状況をしっかりと確認している宗谷、悪気はない、彼はただ萌えや健全なサービスシーンが好きなだけである。 誤解を招かないために念のため説明しておく。

 

 

 

「宗谷さん? その人とかなり親しそうなご様子ですね、そんなに過激なスキンシップをなされて………」

 

「ッ………!?」

 

 

 

突如として背筋に感じたただならぬ気配、それを感じ取った宗谷は慌てて自分を抱きしめる彼女を振り払うとすぐさまイストワールに向き直る。

 

そこには、吹き荒れるブリザードの如き冷徹な眼差しを浮かべたイストワールがいた。

 

殺気にも似て取れる説明しがたいオーラを放ちながら伝家の宝刀、いーすんの本の角を構えるイストワールに宗谷は慌てて頭を振って誤解を解こうとする。

 

「ち、違う違う! これは何かの間違いなんだいーすん! 俺、この人と初対面だし!」

 

「え………初対面って……ひどいよ宗くん……私達、あんなに熱い一日を過ごしたのに……燃え上がるほど熱いあの技で、うねうね艶めかしく動くあれを天元突破で貫いてエクスタシーした仲なのに……くすん」

 

「おかしいなぁ! 一つとしてそんな不健全そうなことした覚えないんだけど!?」

 

謎の発言を挟んできた美少女に反論する宗谷だが、それに対しイストワールは宗谷に対し今までにない以上の怒りのオーラを向ける。

 

「宗谷さん………私という者がありながら………!!」

 

「いやだから誤解!! 全くの誤解!!」

 

「……なんかめんどくさそう……あー、お姉さん? 知り合いに会えたんだったらもういいよね? それじゃあ、お兄さんその人の事はよろしく~、ボクはちょっと用事あるから~」

 

「ちょっと待って見捨てないでボーイッシュツインテェェェェェェェェエエエエエル!?」

 

このままではいーすんの最終兵器によって自分はこの世からサヨナラグッバイしてしまう、なんとか助けを求めようとしたが唯一の希望だったボーイッシュツインテールにサヨナラグッバイされてしまい希望を絶たれた宗谷。

 

 

 

「宗谷さん………すこし、“お話”しましょうか?」

 

 

 

もはや、これまで……。

 

宗谷が自身の天舞が尽きるのを覚悟したその時………。

 

 

 

 

「ねえねえ、おっきイースン、今さ、私という者がありながらって言ってたけどさ、それってもしかして………宗くんとイースンって付き合ってたりするの?」

 

「ふえっ!?」

 

 

 

 

まさかの美少女の質問に驚いたイストワールは溢れんばかりに滾らせていた怒りのオーラを消滅させて、可愛らしい声を上げた。

興味津々と言いたげな表情でイストワールの事を見つめる美少女、するとイストワールはどこか対抗心を見せるような表情を浮かべる。

 

「そ……そうです! わ、私は………私は宗谷さんの恋人なんです!」

 

そう言ってイストワールは自分の目の前できょとんとしていた宗谷の腕を掴んで自分から宗谷に体をくっつけた。

 

 

 

「あ、あなたこそ、宗谷さんとはどういう関係なんですか!? 言っておきますが宗谷さんは絶対に渡しま」

 

「きゃーーーーーーー!! マジで!? マジで宗くんおっきイースンと付き合っちゃったの!? やーん! おめでとう二人とも! ヒューヒュー! お熱いお熱い! 羨ましいぞ! 羨ましくてお姉さん血涙出ちゃいそう!」

 

「「………はい?」」

 

 

 

なぜかそのことを確かめた瞬間自分たちに対してぴょんぴょんと飛び跳ねたりしながら黄色い声援を送り始めた茶髪の美少女、そのあまりの高揚っぷりに険悪ムードを放っていたイストワールも宗谷と共に呆気にとられた表情を浮かべた。

一体どういう意味なのか、なぜかテンションが高く、謎の行動が目立つ女性にますます宗谷とイストワールは訳が分からないと呆然とする。

 

「ん? あれ、どうしたの? え? 私があまりにもうるさいから起きた? いや~、ごめんごめん、ついテンション上がっちゃって、なにせやっと会えた同志くんとレアなおっきイースンが付き合っちゃってたって事実にびっくりしちゃって」

 

挙句の果てには独り言まで呟き始める始末、こいついろいろと大丈夫か? と、宗谷は嫌が応にも心配になってしまった。

 

「え? 今すぐ変われって? えー、せっかく面白そうなことになってきたのに………もう、しかたないな~、あとでまた変わってよ?」

 

「な、なあ、あんたさっきから何なんだよ…俺らのこと知ってる風だったり、急に独り言喋ったり……」

 

「ん? あー、宗くん、“私の方”と会うのは初めてだから知らなくて当然なんだけど……まあ、しかたない、教えてあげますか」

 

宗谷の質問に彼女はそう返すと、エッヘンと胸を張ったのちにその場でくるりとターンしてどこぞのセーラー服の美少女戦士の様なポーズを決めて、宗谷とイストワールに対してウィンクをして見せた。

 

 

 

「誰もが認める超絶美少女! 謎多き存在にして、誰もが知りたがる、この私こと………“ヒロミ”ちゃんの正体! そ・れ・は~!」

 

 

 

そう言った瞬間、“ヒロミ”と名乗った茶髪の美少女の身体が光に包まれる。

突然の事に、宗谷とイストワールの二人は咄嗟に目を覆う。

眩い光が二人の目の前でさんさんと輝くことしばらく、光が収まったのかと宗谷とイストワールが恐る恐る目を覆っていた腕をどけると……。

 

 

 

「………え?」

 

 

 

そこには、見覚えのある顔があった。

 

男性用の黒のデニムズボンを履いている以外は先程とそれほど変わらない服装をしているが、腰まで伸びていた艶やかな茶髪が少し長いくらいの印象は受ける癖のある毛になっているが、確かに短くなっている。

そして顔立ちも一気に男っぽくなっていて、その姿はまるで男……いや、男そのものになっていた。

 

そしてその顔を見た瞬間、宗谷とイストワールは驚愕に目を見開くこととなった。

 

何故なら彼は、二人にとって忘れられない“最初の異世界の友人”だったからだ。

 

とある遺跡に迷い込んだ謎のモンスター、それを共に倒していつの間にか姿を消してしまった宗谷の同志…。

 

 

 

「よお、久しぶりだな、宗谷、こっちのイースン、まずは二人ともおめでとうさん」

 

「“ヒロム”っ!?」

 

「な、なんであなたがここに!?」

 

 

 

“クエストハンター”であり、“世界を救った勇者”………“ヒロム”が、二人の事を祝っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、パナンジャングルの別の場所では………。

 

 

 

「ここは………一体何処なんだ? カズマ、見覚えあるか?」

 

「さぁな、皆目見当が付きやしねぇ……変な裂け目をくぐってきたと思ったら、見知らぬ場所に出ちまったうえに、いつの間にか入ってきた入口も消えてるし、どういうこった?」

 

「うーん、なにがどうなってるんだろ…」

 

 

 

二人の青年と一人の少女があたりをきょろきょろと見回しながら、右往左往と回有りを見回していた。

どうやら彼らもこの森に迷い込んだらしい…。

 

見慣れぬこの森に困惑する三人、すると三人のうちの一人、パーカーを着た少女が何かに気付いたのか森の奥の方を指さした…。

 

「……? ねえ、メテ兄、カズマ……なんか、こっちに近づいて来てるよ」

 

「え? ………あっ! あれは!」

 

 

 

この時、何かがこの三人に迫ってきていた…。

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

ちょっとヒロミちゃんのテンションを上げすぎたかな……。

と、とにかく次回は!
この出会いをきっかけに異変が起き始める!?

それでは次回でお会いしましょう…。
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