超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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どうも、白宇宙です!

今回のお話の見所は、もう一つのコラボ先の主人公くんたちの登場と、異変。
一体、彼らの身に何が起きるのか!

大コラボイベント、第二話!

それではお楽しみください!
どうぞ!


XXstage,2 現れる異変の外来種

パナンジャングルの奥深く、そこはより鬱蒼としたジャングルが広がり、多くのモンスターが生息する区域だった。

故にここでクエストを行う際は多種多様なモンスターに出くわす可能性があるため注意が必要であるとあらかじめギルドは呼びかけている。

それこそ、上級危険種から通常の下級モンスターまで、どんなモンスターに出くわしても対応できる高レベルな対応力と技能が求められる。

 

だが、何においても予想外な出来事が起こるというのは世の常、何が起こるかわからないのが偶然というものである。

 

それ故に………。

 

 

 

「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!?」

 

「あぁぁぁぁぁぁぁれぇぇぇえええええええええええ!?」

 

「流されるぅぅぅぅうううううううううう!?」

 

 

 

突然、“何百匹ものスライヌ”の群れに流されるという偶然に出会ってもおかしくはないのである……。

 

『ヌラァ~~!』

 

『ヌララ~!?』

 

『ヌラヌラー!』

 

パナンジャングルの森の中を、青、赤、緑、ピンクなど色とりどりの色をした犬の耳と尻尾をつけたスライム型モンスター、スライヌがたくさんの群れとなって大移動している。

その様はまさにスライヌの大波、いや、もはや大洪水だ。

 

ヌラヌラ、ぽよぽよ、ぷるんぷるん。

 

不思議な弾力と共に音を鳴らしながら移動し続けるスライヌ、その中で明らかにスライヌではない人影が三人紛れ込んでいた。

 

いやこの場合、正確に言うなら紛れていたではなく、巻き込まれたと言うべきだろうか…。

 

彼ら三人はとある理由から森の中を彷徨い歩いていたところ、運の悪いことにこのスライヌの大洪水に巻き込まれてしまったのだ。

突然現れたスライヌの群れに驚くのもつかの間、あれよあれよとスライヌの群れに飲み込まれ、今に至る。

 

 

「い、いったいどうなってんだよこれは! なんで突然スライヌがこんなに出てくるんだよ!?」

 

 

大量のスライヌに揉みくちゃにされて、成すすべなく流されている三人のうちの一人が溜まらずそう叫んだ。

通常の物よりもポケットの数が多く、太腿の部分にもポケットを追加した特殊な緑のズボンを履いて、上半身は黒のシャツにフード付きの白いパーカーを羽織った癖のある茶髪の天然パーマが特徴的な中性的な顔立ちの青年だった。

彼は白い瞳をした目を驚きで見開き、自分を担いだまま行進を続けるスライヌの群れに疑問を抱く。

 

 

 

そんな、彼の名は……“メテオ・ソルヒート”、かつてこの世界を訪れ、古代女神の一人である少女と絆を結び、この世界にいる宗谷とも彼がいる世界で絆を結んだ青年である。

 

 

「きっとこれもメテオの不幸体質のせいだ! こんなことに唐突に巻き込まれた上にこの状態でキャラ紹介されてるんだからよ! きっとそうだ、そうに違いねぇ!」

 

「うるせぇぞ“カズマ”!! わけわからないこと言ってないで、早くこの状況何とかしろ!!」

 

 

メテオに対して理不尽かつ妙なことを叫んでいるのは、黒のジャケットに白いジーパンで身を包み、首に一眼レフカメラを掛けた白髪に緑のメッシュをあしらったどこかキザな雰囲気を感じさせる顔つきにエメラルドの様な緑の瞳を持った目の青年。

 

彼の名は“カズマ・カスミ”。

 

彼もまた、宗谷と絆を結んだ者の一人である。

 

 

「無茶言うな! 俺だって何とかしたいけどうまく身動きとれねぇんだよ! 何とか出来てるなら最初から何とかしてるわ!!」

 

「も~! この際メテ兄でもカズマでもどっちでもいいから早く何とかしてよ~!!」

 

 

言い争うカズマとメテオに向けて、二人と同じようにスライヌの群れに担がれながらそう言い放ったのは、カチューシャをつけた茶髪のショートカットに黒の瞳、可愛らしくもあり元気なイメージを感じさせる顔つきをしながらもやわらかそうな目つきをした少女だった。

フード付きのピンクのパーカーに赤いフリル付きのミニスカート、その下には健康的な足を程よく強調させるスパッツを履いていて、いかにも活発ですというイメージが強い。

 

彼女の名は、“海相 絵美”。

 

メテオの“妹”にして、二人と同じく宗谷達と絆を結んだ存在である。

そして、また、この中で唯一、こことは違う場所で宗谷と再会を果たした“はぐれ魔神”とも出会った者でもある。

 

なぜ彼らがこんな所にいるのか、それに関しては数分前に遡る。

ふとしたきっかけで、ファスナーのような形をした妙な時空の裂けめを見つけた三人は興味本位でその中に入り、この森の中に迷い込んだのだ。

そして、辺りを散策しながら辺りをうろついていると突然現れたこの群れに巻き込まれたのである。

 

 

 

「そんなこと言われたって、なんだってこんな急にスライヌが…」

 

絵美の言葉にメテオはふと自分たちをまきこみながら大移動しているスライヌたちに疑問を抱いた。

いったいこのスライヌの群れは、なぜこんなに群れを成して大移動しているのか、何か理由があるのだろうかとメテオの頭の中で疑問が浮かび上がる。

しかし、仮にスライヌに問いかけたとしても答えが返ってくるわけではない、どうしたものかとメテオが頭を悩ませる…。

 

「お、おぉ!? おっはぁぁぁあああああああああ!?」

 

「カズマっ!?」

 

突然カズマが叫び声を上げた。

 

その声にカズマがいた方に目を向けたメテオだったが、するとどういう訳かカズマはスライヌの群れの中から姿を消していた。

カズマはどこに行ったのか、メテオは咄嗟に辺りを見回す。

だが、しかし、その瞬間メテオの身体がふわっと浮かび上がるような感覚に包まれた。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉおおおお!?」

 

そのままメテオは群れからはじき出されるように宙に浮かび上がってしまった。

そして、彼はそのまま森の中へと放り出されてしまった。

なだらかな坂道をごろごろと転がっていくメテオ、やがて彼は草木の間を突き抜けて木々が生い茂る森の中では珍しい、少し開けた場所へとたどり着いた。

 

「いててて……なんだってんだよ……」

 

転がる際に打ち付けた場所を抑えながら向くりと起き上がったメテオ、どうやらあのスライヌの群れが急に方向転換をして、その勢いで振り落とされてしまったらしい。

自分や絵美よりも前の方にいたカズマはそのため、メテオよりも先に姿を消したというわけだ。

その証拠に…。

 

「おーい、カズマ大丈夫かー?」

 

「……目の前が真っ暗だよ?」

 

「……そりゃ、地面に顔押し付けてたら前は見えないよな」

 

メテオの隣で顔面を地面に打ち付けた状態で突っ伏しているカズマの姿がそこにはあった。

メテオに言われ、カズマは素早く顔を上げて顔についた土を手で払う。

 

「ったく、いきなりふんだりけったりだな……こりゃいよいよ、メテオの不幸体質が俺達にも移ってきたか?」

 

「んなわけあるかバカズマ、人のせいにするな」

 

「いや、間違っちゃいないって絶対、これはお前のせいだって断言できる自信があるぞ!」

 

「そう言うお前だって最近みんなからの俺への扱いが悪いって愚痴ってたじゃねぇか! お前のその性格の悪さとどんよりしたオーラがあの群れを引き寄せたんじゃないのか!?」

 

「なんだとこの不幸天パ! やんのかこらぁぁぁああああああああああ!!」

 

「上等だこの大根頭! 歯ぁ食い縛れぇぇぇぇぇぇぇえええええええええ!!」

 

散々な目に合ったのをさりげなくメテオが原因ということにしたカズマにメテオは抗議し、そのまま二人は互いにこうなった原因を押し付け合い、そのまま一触即発の喧嘩にまで発展しそうなところまで来てしまった。

互いの胸ぐらを掴んで今にも殴りかかりそうな雰囲気で睨みあう二人。

 

すると、ふと、カズマがあることを思い出した。

 

 

「……ていうか、メテオ、絵美ちゃんは?」

 

「……あ、そう言えば……」

 

 

そう、三人目の絵美の存在だ。

カズマに言われて怒りを鎮めたメテオはハッとなり、先程までの状況を思い出すために思考を巡らせる。

 

「確か、絵美は俺やお前よりも後ろの方いたはず、俺とカズマは前にいたから必然的に先に放り出されたわけで……」

 

「……ってことは、そろそろ絵美ちゃんも弾き飛ばされるんじゃね?」

 

メテオの呟きにカズマがそう答えると……。

 

 

 

「うみゃぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!?」

 

 

 

二人の耳が上の方から近づいてくる猫の様な叫び声を聞き取った。

 

そして…。

 

「ざくっ!?」

 

「ぐふっ!?」

 

「どむっ!?」

 

そのまま上から転がり落ちてきた絵美に巻き込まれ、メテオとカズマは再度地面に叩きつけられることとなった。

妙なうめき声を出して、上からの衝撃を受けたメテオとカズマ、その上に乗るのは二人よりも遅れて群れから放り出されることとなった絵美。

絵美は頭をさすりながらゆっくりと身を起き上がらせる。

 

「うぅ~……いったぁ~……もう、最悪だよぉ、なんだか体がぬるぬるするような気もするし……シャワー浴びたい」

 

「ていうか痛いのはこっちもなんだけど、絵美ちゃん……?」

 

「とりあえずそこどいてくれ絵美……」

 

うんざりした様子でそう呟く絵美、そんな彼女に下敷きにされている二人がそう訴えかけると絵美はやっと気づいたのか二人の上から急いで降りた。

 

「え? あ、ご、ごめんメテ兄! ………カズマはどうでもいいけど」

 

「ひでぇ!?」

 

今に始まったことでもないのだが、彼女の自分に対する扱いのひどさに軽くショックを受けるカズマ。

もう見慣れた様子のこのやり取りをとりあえずスルーしたメテオは再度身を起き上がらせて頭を振ってから絵美に怪我がないか確認するべく彼女の方に目をやる。

 

「とりあえず、怪我はないか? 絵………」

 

「ん? どうしたんだメテ………」

 

「………? 二人ともどうしたの? 急に黙り込んで」

 

なぜか絵美の姿を見た途端、言葉を失ったように黙り込んだメテオとカズマ、二人の様子に何事かと絵美が首を傾げる。

二人が急に言葉を失って黙り込んだ理由、それは……。

 

 

 

―――ぽよんっ

 

 

 

という擬音が似合いそうなほどに揺れる、いつもの彼女ではありえないサイズに膨れ上がった胸にあった。

 

 

 

「え、絵美……どうしたんだよ、それ!?」

 

「え? それって………って、なにこれぇ!?」

 

メテオに指摘されてやっと気づいたのか、絵美は自身の胸を見て驚愕し、反射的に立ち上がった。

 

「さ、さっきまでいつもと変わらなかったのに……一体どういうことなんだ絵美」

 

「そんなことあたしに言われても……でも、まあ、これはこれで……あたしはいいんだけど」

 

「にしてもこいつはすげぇな……いつもの絵美ちゃんのサイズはBのはずだが、こりゃざっと見てもEはあるぜ? これが成長期の恐ろしさか……あ、ちょっと絵美ちゃん念のために確認させてもらってもいいかな?」

 

あまりにも唐突で、しかも突然の急成長を遂げてしまった絵美の胸。

それぞれに困惑したり、どことなく嬉しそうだったりと反応は様々だが、その中で唯一手をワキワキとさせながら邪なことを考えている者がいた。

 

 

「近寄るな変態!!」

 

「絵美を汚すな!!」

 

「びぐざむっ!?」

 

 

まあ、当然兄妹二人による容赦のない制裁を受けることとなったが…。

 

二人の息の合った見事な回し蹴りを受けて、後ろ倒しに蹴飛ばされ、再度妙な声を上げて地に倒れ伏したカズマ。

 

そして、カズマを蹴り飛ばした瞬間、絵美の急成長した胸も大きく揺れる。

 

不自然なほどに……。

 

 

 

「まったく………? ふにゃっ!?」

 

「ッ! どうした絵美!」

 

 

 

蹴りを振り抜いた体制で制止していた絵美が突然、間の抜けた声を上げた。

びくりと体を震わせた絵美にメテオが気づいて慌てて彼女に近づいた、そしてその瞬間、メテオはある物を目撃してしまった。

 

 

「あっ、ちょ……やっ、やぁっ! め、メテ、兄ぃ……なんか、これ…変……んっ!?」

 

 

絵美の急成長を遂げた胸がまるで生き物の様に蠢いていたのである。

胸のふくらみが蠢くたびに、絵美がなぜか艶めかしい声を上げる……。

 

「な、なんだこれ…いったいなにがどうなってるんだ…!?」

 

「め、メテ兄ぃ……何とかしてぇ……!」

 

「いや、何とかって言われても……」

 

絵美に涙目で懇願されるものの、まさか自分の妹の胸に手を突っ込むなんてことメテオにできるはずがないし、まずそんなことやる度胸もなかった。

しかし、そう考えている内にも絵美の胸で蠢く謎のふくらみは動きを止めようとしない。

むしろ、何処か必死に感じるくらいに動き回っているような気もする。

 

「ひゃうっ!? あっ……んぅ、やっ、ちょ、そ、そこぉ……! ら、りゃめぇ…!」

 

胸が蠢くたびに、艶めかしい声を上げてもじもじと内股をすり合わせる絵美、妹の緊急事態というのはわかるものの、これはどうしたらいいのかとメテオが悩んでいると……。

 

「しかたねぇ、ここはメテオに変わって俺が……」

 

「なっ……ふ、ふざけんなバカズマぁ!!」

 

「じおんぐっ!?」

 

代わりにと言って地面に倒れていたカズマが再び立ち上がった。

 

しかし、手を再度ワキワキとさせながら近づいてきたところを絵美にすかさずカウンターの蹴り上げを決められ、再び地面に倒れ伏すこととなった。

彼に学習能力はないのだろうか?

 

だがしかし、この行動が偶然にも絵美を襲った不可解な現象を解くきっかけとなった。

 

「おっ?」

 

「ふえっ!? な、なんか出てきた!」

 

見事な蹴り上げを決めた絵美の胸が再び異様なまで揺れる、その瞬間彼女のパーカーの中から二つのまるい塊が飛び出してきたのだ。

突然襟元の中から飛び出してきた何かに驚く絵美、それに対してメテオは絵美のパーカーの中から飛び出して来て地面に落ちた何かへと目を向ける。

そして、そこにいたのは……。

 

 

 

「……スライヌ? でも、まだ小さいな……子どもか?」

 

 

 

通常のスライヌよりも一回り程小さな体つきをした子どものスライヌだった。

ぽよんと地面に着地した二匹の子どもスライヌ、どうやらこれが絵美に起きた異常事態の原因だったようだ。

 

「す、スライヌ? しかも、子ども? なんでそれがあたしの服の中に?」

 

「………もしかしたら、さっき流されているときに絵美の服の中に入り込んだのかもな」

 

青いぽよぽよとした体をした二匹の子どもスライヌ、どうやら三人が巻き込まれたスライヌの群れの大移動の際に彼女の服の中に入り込んでいた様だ。

その際に胸の位置に留まり、それがパッドのような役割をはたしたため絵美の胸が異様な急成長を遂げたかの如く、大きくなったように見えたのだ。

 

謎はすべて解決した。

 

「……じゃあ、あたしの胸、大きくなったわけじゃなかったんだ……なんかショック」

 

真相がわかってなぜか絵美はがっかりとした様子だったが…。

乙女心は発育的な面でも複雑なのである。

 

「まあまあ、大丈夫だって絵美ちゃん、心配しなくても成長の見込みはあるって!」

 

「……とりあえずカズマ、何発か殴らせてくれない? 大丈夫、ちょっときれいな川が言える程度にするから」

 

「それって死ぬ一歩手前じゃね!? その川絶対渡っちゃいけない川だよね!?」

 

「………まったく………ほら、お前ら、こんな所にいないで早く親の元にお帰り?」

 

隣で繰り広げられる殺伐な八つ当たりを慣れた様子で再度華麗にスルーしたメテオは目の前にいる子どもスライヌにそう言った。

だがしかし、この時、メテオはこの二匹の子どもスライヌに違和感を感じた。

 

「………?」

 

身を寄り合わせるようにする二匹の子どもスライヌは小刻みに体を震わせていたのだ。

その様子にメテオは何やら違和感を感じる。

そして、心なしか二匹ともなにやら不安そうな様子だ…。

 

(………これは、何かに怯えている?)

 

二匹の子どもスライヌの様子からメテオはそう感じた。

 

モンスターとしてもスライヌは下級中の下級、危害を加えて来なければ普通に愛玩ペットとしても扱われることなどざらにあるほどである。

そんなスライヌが怯えるとなると、考えられる可能性は一つ。

 

自分よりも強いモンスターがいる、ということだ…。

 

(……もしかして、さっきのスライヌの群れも何か危険な奴から逃げるために? ………だとすると、こいつらは何から逃げて来たんだ?)

 

一つの疑問から先程のスライヌの大移動の原因を考え始めたメテオ。

下級モンスターとはいえ、あの数の群れが全部逃げ出すほどの脅威、エンシェントドラゴンよりも強いモンスターが出たのだろうかと考えていると……。

 

突然、二匹の子どもスライヌが何かを感じ取ったのか何処かへと逃げて行ってしまった。

 

「あ、おい! ……?」

 

慌てて追いかけようとするメテオ、だが彼はある“音”を聞き取り、咄嗟に足をその場で止めた。

 

「………なんだ? この音」

 

耳を澄ませると、どこか遠くからこちらに向かって何かが近づいてくるようにどんどん音が大きくなってきていた。

まるで、巨大な虫を思わせる羽音の様な……。

しかも、一匹や二匹じゃない、結構な数がこちらに向かって来ている様だった。

 

「お? どうかしたのか、メテオ?」

 

「なに、どうしたのメテ兄?」

 

メテオの様子に気付いたカズマと絵美が彼に問いかける、だが、メテオはすぐにそれに答えるわけでなくしばらくその場で押し黙って意識を集中させる。

 

そして、ややあってから……。

 

 

 

「お前ら、伏せろ!!」

 

 

 

メテオが叫び、咄嗟に絵美とカズマの二人をその場に伏せさせた。

その瞬間、今までにない大きな虫の羽音のような音を響かせながらいくつもの影が森の木々の間から飛び出してきた。

 

彼らの頭上を飛び回るようにして姿を現した影、それは薄い灰色の広角に身を包んだまるでダンゴムシを思わせる丸い体に太い腕を持ち、腕の先には鋭い爪を持った謎の生命体だった。

背中からは虫のような翅を生やし、羽音を立てながら空中を旋回している。

 

ざっと見てもその数、20ほど入るかと思われる謎の生命体、その姿を身を伏せた状態で確認したメテオは咄嗟に目を見開いた。

 

 

 

「あれは……“インべス”!? なんでこんな所に!」

 

 

 

そう、その生命体はかつてメテオ自身が世話になったある人物が戦ったとされる生物、“インべス”だった。

“ヘルヘイムの森”と呼ばれる謎の森に棲む、謎の生命体、しかしなぜその生命体がこんな所にいるのかとメテオは驚かずにはいられなかった。

 

「なんだ、あいつら……メテオ、お前あいつらのこと知ってるのか?」

 

「……ああ、一応はな……でも、なんであいつらが……」

 

「メテ兄、あいつらなんだかあたしたちの事狙ってるみたいだよ? 何匹かあたしたちのこと見てる」

 

絵美の言うように、空を飛び回るインべスの群れは明らかにメテオ達に気付いており、狙いを定めるかのごとく彼らの事を見下ろしていた。

鋭利な爪をギラリと光らせて、今にも襲い掛かりそうな雰囲気だ。

 

「……こいつは逃げても追っかけてきそうな感じだな……」

 

「だったら、メテ兄、いっちょやっちゃおうか?」

 

「……ああ、よくわからないが……このままあいつらを野放しにするわけにもいかないな!」

 

自分たちに敵意をむき出しにしているインべス達を前に、メテオ達は立ち向かう決意を固めた。

そして、メテオとカズマは腰に回してある特殊な“ベルト”に手を添える。

 

「デスティニー!」

 

『やっと出番ですね! この時のために沈黙を守っていた甲斐があったというものですよ! (-`ω-)』

 

メテオの腰には中央にディプレイが表示され、右側には何かを差し込むような形状をしたソケットと右側には四色のボタンが付いた近代的な機械のベルトだった。

“デスティニー”と言う愛称で呼ばれたそのベルトが待ってましたと言わんばかりにディスプレイに顔文字を表示してやる気を示す。

 

「そんじゃあ、一発ぶちかましてやりますかね!」

 

そして、意気込むカズマは腰に巻いた風車付きのベルトをジャケットの中から露わにし、手をそのベルトのバックルに添える。

 

「まとめてマッハで撲滅しちゃうんだからね!」

 

絵美は懐に仕舞っておいた藍色の、バイクのマフラーとエンジン部を思わせるバックルを取り出すとそれを腰に当ててベルトを巻き、準備を整える。

 

そして、三人は隣り合う仲間たちを見て一度こくりと頷くと息を合わせて、準備に入る…。

 

その身を不屈の闘志を宿した戦士へと変える、“変身”と言う準備を…。

 

 

「……ライダー……」

 

「………こふぉぉぉぉぉぉ……!」

 

『シグナルバイク! ライダー! マッハ!』

 

「レッツ……!」

 

 

メテオは左腕をくの字に曲げて内側に振りかぶり、その腕を素早く反対側に動かし、同時に右腕と交差させて拳を握りしめた後、目を閉じて精神を統一するかの如く顔を俯かせてそう呟いた後、左腕を右側に伸ばしたポーズを決める。

 

メテオの右隣にいたカズマは独特の呼吸を行いながらピースの形にした右手を勢い良く突き出し、その右腕と入れ替える様に左腕で正拳突きを撃ち出し、その左腕を垂直に立てる。

 

そして、反対側にいた絵美はドライバーに備わっていたパネルを跳ね上げる様にスライドさせると、その中に小型の白いバイク、“シグナルマッハ”と呼ばれるアイテムを装填し、右腕を垂直に立てた状態で、左腕と共に体の左側に振りかぶり、その両腕を反対側に大きく広げながら移動させて丁度左側に振りかぶった腕と同じようなポーズを決める。

 

 

 

「「「変身!」」」

 

 

 

変身、その掛け声を三人が同時に叫んだ瞬間、三人の体に変化が起きた。

 

メテオの身体は吹き荒れる風が巻き起こり、彼の体を包み込み…。

 

カズマの身体に深い闇の様な黒なのに、不思議なまでに光り輝く謎の光が包み込み…。

 

絵美の体の周囲には白く輝く装甲が浮かび上がって彼女の体を包み込むように装着されて行く…。

 

そして、変化が終わった瞬間、三人の身体は先程までとは違う“仮面を被った戦士”の姿へと変わっていた。

 

メテオはバッタを思わせる仮面に、オレンジに輝く複眼、白を基調としたアンダースーツに肩と胸部に輝くクリスタル状の装甲、下半身を包み込む紺色のアンダースーツに脛の部分に何枚ものプレートが連なった姿に変わり、首に巻いた深紅のマフラーを風になびかせる…。

 

カズマは黄色の複眼が特徴的なコウモリを模した黒の仮面を被り同じく深紅のマフラーを首に巻き、血のように赤いアンダースーツの上に漆黒の装甲を纏わせ、黒のスーツに身を包んだ下半身の上にローブを巻いた戦士へと変身し…。

 

絵美はバイクに乗るスタントマンを思わせる白を基調とした仮面とスーツに同じく白の装甲を各部に装着し、同じカラーリングの施されたマフラーを首に備え、右肩にはバイクの後輪を思わせるパーツのついた戦士へと、それぞれに姿を変えた。

 

そう、この姿こそ彼らのもう一つの姿であり、彼らの力が形となった現れた姿……。

 

 

 

―――“白銀の嵐 仮面ライダーストーム”。

 

―――“漆黒の騎士団 仮面ライダーナイツ”。

 

―――“音速の撲滅者 仮面ライダーマッハ”。

 

 

 

異世界で、とある強大な組織と戦いを繰り広げる伝説の英雄の名を受け継いだ彼らの、“仮面ライダー”としての姿である。

 

 

 

「さぁ、害虫駆除の時間だ……カズマ、絵美、腹ぁ括れよ!」

 

『soldier form』

 

「最初からそのつもりだっつーの!」

 

『magunam form』

 

「まとめて撃ち落とすよ! 害虫駆除でも、いずれもマッハ~♪」

 

『ゼンリンシューター!』

 

 

 

変身を完了したストーム、ナイツ、マッハの三人は空中を飛び回るインべスに対抗するべく、ストームとナイツはそれぞれの姿をさらに変え、マッハは主要武装を起動させ、それぞれに武器を取り出して身構える。

ストームは全身に刃を携えた形態“ソルジャーフォーム”へ、ナイツは複眼とアンダースーツが緑に変化した“マグナムフォーム”へと姿を変え、マッハはバイクの前輪部分を思わせる特殊な形状の銃、“ゼンリンシューター”を取り出す。

 

そして彼らが戦闘態勢に入ったところで、インべス達もそれを察知して一斉に彼らに襲い掛かってきた。

 

だが、彼らは怯まない…。

向ってくるインべス達を真っ向から迎え撃つべく、三人はタイミングを合わせて一斉に行動を起こした。

三人で背中を合わせる様に体系を変えた三人はそれぞれの手に武器を持ち、迫りくるインべス達にその武器の先を向けた。

 

「撃ちまくれ!!」

 

ストームは言い放つと同時、左手に装備した巨大な剣が折り畳まれた銃剣、“エクシア”と右腕で取り出した折り畳み式小型拳銃、“ビームダガーピストル”の銃口をインべスに向けてトリガーを引く!

二つの銃口から放たれた閃光が迫りくるインべスを迎え撃ち、次々と着弾、インべス達にダメージを与えていく。

 

「お言葉に甘えて……乱れ撃つぜ!!」

 

マグナムフォームへと姿を変えたナイツは専用の二丁拳銃を両手に構え、自分の目の前に向かってくるインべス達に次々と狙いを定めて引き金を引き絞る。

当てたら次、当てては次と、休む隙も見せずに見事な連続射撃でインべス達を迎え撃つ。

 

「負けてられないね!」

 

そして、マッハもゼンリンシューターを構えてトリガーを引き、エネルギー弾を撃ち出してインべスを攻撃し始める。

 

戦いにおいてまず何に注意しなければいけないか……それは背後を取られることだ。

周囲に敵が存在し、いつ背後を取られてもおかしくない状況でまず何をするかと言えば背後を取られないように気を配るか、対策を練ることだ。

三人はこうして背中合わせになることで背後を取られないようにしたうえに、全方位をカバーし、襲い掛かるインべス達を殲滅しようと考えたというわけだ。

 

撃ち出される弾丸と、負けじと向かってくるインべス達の唸り声と羽音、凄まじい攻防戦はどっちも一歩も譲らぬ展開となった。

 

数で押し切ろうと三人に向かって言うインべス達と、怯まずにそれを次々に撃ち落としていくストーム達、しかし、いつまでもこの状態を続けるわけにはいかない。

いずれ時が来ればどちらかがじり貧になり力尽きるだけだ。

なら対抗するべく、新たな手段を打った方が正気を獲得することが出来る。

 

そして、それを本能で理解していたのかは知らないが、先に動き出したのはインべスだった。

 

彼らの周りを飛び回るインべス達が急に動きを変えて、一斉に一点へと集まり始めたのだ。

そして、塊として纏まった20体ほどのインべスは一斉に狙いを三人に向けると、彼ら目がけて急降下を仕掛けてきた。

どうやら、ばらばらの咆哮から攻撃するのではなくあえて固まって突撃することで強行突破を図ろうとした様だ。

どのインべスが撃ち落されてもすぐに次が動けるように……。

 

けたたましい羽音と、不気味な唸り声を上げてインべス達の群れがストーム達に向かっていく。

 

 

しかし……!

 

 

「カズマ、絵美、今だ!!」

 

 

彼らはそれを待っていた。

 

インべス達が一つに纏まり、一斉に向かってくるこの時を…。

 

ストームの合図に背中合わせになっていたナイツとマッハはストームと横並びになる様に移動し、それぞれの武器をインべス達に向けた。

 

一纏まりに向かってきたところを、一網打尽にするために…。

 

『Lock・On!』

 

『シグナルバイク! シグナルコウカン! カクサーン!』

 

ストームのエクシアの銃口に強大なエネルギーが集中し、ナイツは両手の剣を平行に並べてエネルギーをチャージし、マッハは自身のベルト、“マッハドライバー”に青いシグナルバイク、“シグナルカクサーン”を装填する。

準備は整った、彼らは一斉に銃口をインべス達に向けて息を合わせ、トリガーを引く!

 

 

 

「「「シューティング・トライ・バースト!!」」」

 

『destiny charge!』

 

 

 

三者五丁、5つの銃口から迸った閃光が渦を巻くように纏まり、一筋の閃光となってインべスタ達を正面から迎え撃つ!

 

極太のエネルギー砲となった3人のコンビネーション必殺技、“シューティング・トライ・バースト”。

 

その一撃は一斉に襲いかかるインべス達を真正面から薙ぎ払い、インべス達は避ける暇すらなく、一瞬にしてその光に飲み込まれ、激しい爆炎を上げて全滅した。

 

なんとかインべス達を倒すことのできたストーム達、彼らは一度武器を下ろすと胸を撫で下ろし安堵の息をついた。

 

「ふぅ、なんとかなったな……それにしても、なんでこんな所にインべスがいるんだ……あの時見つけたクラックと言い……どうして」

 

「……どうにも妙なことばかり起こりやがるな、変な空間の裂け目を見つけたと思ったら妙な怪物の群れに襲われるし、一体何がどうなってんだまったく」

 

「ていうかそもそも、ここはどこなんだろう? スライヌがいたってことはゲイムギョウ界で間違いないんだろうけど…」

 

何とか危機を乗り越えたが現在自分たちが置かれた状況を全く理解することが出来ないストーム達三人、彼らがそれぞれの顔を見合わせうーむと思考を巡らせる。

ここはどこなのか、いったい何が起こっているのか、そもそも帰れるのか、三者三様に様々な疑問が浮かび上がっては答えが出ずに消えていく…。

 

 

 

そんな時だった……。

 

 

 

「君たちが考える必要はないよ」

 

 

 

突然、どこからか人の声が聞こえてきた。

 

「っ! 誰だ!」

 

突然聞こえた声に反応したストームが声の下方向に顔を向けてそう問いかける、するとその声に答えるように草木の間を掻き分けて一人の人影が姿を現した。

 

白いシャツに暗い色合いの上着を羽織り、ジーパンを履いた人物、どこか優しそうな表情を持っていながらも何やらただならぬ雰囲気を発している人物がストーム達の前に現れた。

歳は、18、あるいは19程だろうか?

青年とも見て取れるその人物は少し長めの髪の間からストームのことをじっと見つめる。

 

そして、その人物の顔を見た時、ストームは……いや、メテオは驚愕のあまり仮面の下で目を見開いた。

 

 

「………久しぶりだね、メテオ」

 

「ま、まさか……お前……」」

 

 

それはかつて、自分が出会った同じ境遇の仲間だった。

彼がゲイムギョウ界に迷い込む前、“弟分”という似たような境遇であったがために意気投合した、“親友”…。

その親友が、突然目の前に現れたのだから驚かないわけがない。

 

 

「ミッチ……ミッチだよな! 久しぶりだな! お前、なんでいるんだよ!」

 

 

ストームの前に現れたのは、かつて出会い、親友となった同じ仮面ライダーの一人、“仮面ライダー龍玄”、“呉島光実”だった。

かつての親友との突然の再会にストームは嬉々として彼に近づこうとする、それに対し光実はにっこりと優しげな笑みを浮かべて彼を見つめた。

 

「ちょっと訳があってね、君を迎えに来たんだ」

 

「迎え? ……ていうか、訳ってどういう?」

 

「………それはね………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君を、ここで倒すためさ……」

 

「………え?」

 

 

 

 

 

 

 

親友のまさかの言葉に、ストームは足を止めた。

そして、そう言い放った光実の手には、無骨な黒い色合いの施されたバックルが握られていた…。

 

そして、光実の言葉の後、彼の背後からさらに二人の人影が姿を現す。

その人物たちもまた、右手に光実と同じバックルが握られていた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……驚きました、まさかあの時に分かれてからヒロムさんの世界ではもう“10年”の月日が経過していたなんて……それに、あなたの中に“女神”が誕生して一心同体になっていたということにも……」

 

「まあ、いろいろあったからな、俺からしてみればその間に宗谷が勇者に目覚めてたり、イースンと恋人になってたりしてたのも十分に驚きだけどな?」

 

その頃、かつて出会った異世界の同志との予期せぬ再会を果たした宗谷とイストワール、そしてヒロムの三人は今までそれぞれに起きた出来事を振り返り、情報交換を行っていた。

あれから何があったのか、それぞれの世界で何が起きたのか等を雑談を交えながら話していた。

 

「それにしても、まさか、お前の中に女の子としての人格が存在していたなんてな……確か、ヒロミちゃんって言ったか?」

 

その中でも特に驚いたのが、ヒロムの中に存在するという、ヒロミの存在についてだった。

 

あの時の出会いを経て宗谷の世界から自分がいた世界へと戻ったヒロムはとある理由から“女神メモリー”と呼ばれる、女神の力を宿すというアイテムを手に入れ、天文学的、というかあり得ない確率でまさかの適合を果たし、己自身に女神の力を宿した。

そしてその際に誕生したのが、女神としてのヒロム、いや、“ヒロミ”というもう一人の自分自身だった。

 

一心に二つの魂と性別を持ち、体の性別すらも変えることが可能となり、女神の力をも宿したヒロムとヒロミ。

その事を聞いた宗谷とイストワールはあまりのとんでも話に終始放心状態だったという。

 

「女の子としての人格っていうのは、ちょっと違う気もするがな? 性別は違うが確かにあいつも俺自身なんだ、あんなやつだけど仲良くしてやってくれ」

 

「……あぁ、分かってるよ、性別は違えどあの子もお前その者なんだろ? なら、あの子も俺の親友、同志だ」

 

「そうか………ん?………あいつも喜んでるみたいだ、俺の中でめちゃくちゃ騒いでら」

 

「なんか予想できるぜ、どんな騒ぎ方してるのか……」

 

さっき出会ったヒロミのテンションでどんな喜び方をしているのか容易に想像できてしまった宗谷。

恐らく今、彼女はヒロムの中でわーきゃーと声を上げているのだろうと苦笑いを浮かべながら想像する宗谷に同じく皮肉気な笑みを浮かべたヒロム。

 

「ところで、まだ聞いていませんでしたが……ヒロムさんはなぜまたこちらの世界に?」

 

そんな中、ふとイストワールがまだ聞いていなかった疑問をヒロムに投げかけた。

 

「あ、そういやまだ話してなかったな………実は俺が俺の元いた世界でなんとなしに散歩してたらよ………っ!」

 

事の本末を話し始めたヒロム、だが突然言葉を遮り、目つきを変えて宗谷とイストワールの背後へと視線を向けた。

突然のヒロムの変貌に宗谷とイストワールは軽く驚いた表情を浮かべる。

 

「危ねぇ!!」

 

「おわっ!?」

 

「きゃっ!?」

 

そして咄嗟にヒロムが宗谷とイストワールに真正面から覆いかぶさるようにして、二人を突き飛ばし、その場で体勢を低くして身を伏せた。

遅れて三人の頭上を何かが通過していく、どうやらヒロムは宗谷とイストワールの背後に迫っていた何かに気付き、彼らを守るために二人を押し倒した様だ。

 

「いてて……なんだ今の……」

 

「大丈夫か、宗谷?」

 

「あぁ、俺は何とか……」

 

仰向けに倒れていた宗谷が身を起こし、自分の上に覆いかぶさっていたヒロムに怪我がないことを伝える。

その言葉に安心したような表情を浮かべたヒロムはイストワールにも声を掛ける。

 

「そうか……イースンも、だいじょ……ぶ……」

 

「ん? どうしたヒロム? ………まさか! いーすんに何かあっ……」

 

だが、不自然なところで言葉を区切ったヒロム、それに気づいた宗谷はまさかイストワールに何かあったのかとすぐに自分の隣へと目を向けるが、目の当たりにした光景に宗谷もまた反射的に言葉を失った。

 

 

 

押し倒した時の拍子か、ヒロムの右手がばっちりとイストワールのこぶりな胸を服の上から触っていたのだ。

しかも、それだけにとどまらず、彼が宗谷とイストワールを押し倒した際にヒロムの右膝がイストワールのスカートに引っかかり、彼女のスカートを捲りあげて穢れの知らない様な純白の可愛らしい彼女の下着を白日の下にさらしてしまっていたのだ。

 

 

 

「………ぁっ……ぁあ……!」

 

「い、イースン? ……こ、これは、その……ちょっとした、ToLoveるで……!」

 

突然のヒロムに押し倒された上に、胸を触られ、スカートを捲りあげられて下着を晒されたイストワールは羞恥に身を震わせ、顔を真っ赤にして涙目になる。

まさかこんな状況でしかも、人の彼女にやらかしてしまったヒロムはなんとか誤解を解こうとするが…。

 

 

 

「きゃぁーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

「ざくれろぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!?」

 

「ヒロムぅぅぅううううううう!」

 

 

 

その前にイストワールが絹を裂くような悲鳴を上げて本の角をフルスイングでヒロムの眉間に打ち付け、そのまま横っ跳びに吹っ飛ばされてしまった。

それによりヒロムは妙な奇声を上げてまっすぐに吹き飛び、そのまま地面に斜めに突き刺さるかの如く倒れる。

 

「うっ……ひぐっ……私……私…宗谷さん以外に……こんな……もう、お嫁に行けません……!」

 

「おいヒロム! てめぇ、いーすんに何してくれてんだ!! いくら親友でも今のは見過ごせねぇぞ!! どんなだった! いーすんの胸はどんな感触だったぁぁぁあああああ!」

 

ヒロムにされたことに対し、すぐさままくり上げられたスカートを直して胸を隠すようにしてむせび泣き始めたイストワール。

そして、すぐ隣でイストワールにあんなことをしたヒロムに怒り沸騰の宗谷は倒れたヒロムの元にすぐさま駆けつけ、まるで犬上家の如く両足を振り上げて仰向けに倒れるヒロムの胸ぐらを掴み上げてヒロムの体をがくがく揺らす。

 

まあ、男なら最愛の人があんな目に合えば誰だって嫉妬やらなんやらを抱くのは当然であろう。

 

「おいコラ答えろヒロム!! いつまでも黙ってれば見過ごしてくれると思うなよヒロム!! ………ヒロム?」

 

だが、いくら揺すって声を掛けても目覚めない。

ヒロムの様子に違和感を感じた宗谷は一度冷静になり、彼の事をじっと見つめる…。

すると、彼はあることに気付いた。

 

 

「………あ、こいつ、気絶してる………」

 

 

どうやら先程のイストワールの本の角の当たり所が良すぎたのか、ヒロムは一撃で気を失っていたのだ。

白目をむいて力なく倒れたヒロムに、どうしたものかと宗谷が一瞬迷いを見せる。

 

そんな時、宗谷はすぐ近くに異様な気配を感じた。

 

「っ!?」

 

気配のした方へと目を向けた宗谷は驚きのあまり再び目を見開いた。

 

そこにいたのは……。

 

「こいつら、インべス!? なんでまた…」

 

以前に再度挑戦を挑んできたマジェコンヌが召喚した上級インべス、それとは違った統一された姿をした複数のインべス達、下級インべスの群れが宗谷達の前に現れたのだ。

彼らを背後から襲い掛かったのは翅を生やして飛行形態になったインべスの様だ、数体のインべスは飛んでいた状態から地面に着地して両手の爪を構えている。

 

「どうなってんだよ、なんでインべスがこの世界に……しかも、あんなに!」

 

ざっと見ても数十体はいる下級インべスを前に、宗谷は咄嗟に赤剣を構える。

 

さっきのことでヒロムは再起不能、イストワールも……それどころではない様だ。

戦えるのは自分しかいない、そう思った宗谷は赤剣を構えてインべスの前に立ちはだかろうと前に出る。

 

だが、その腕を突然誰かが掴んだ。

 

「えっ!? ………なっ」

 

宗谷の腕を掴んだのは気を失ったはずのヒロムだった。

この一瞬で目覚めたのかと宗谷は驚く。

 

だが、よく見ると何やら少し違う気がする……。

 

先程までの彼の腕が少し華奢なイメージがるほど、ほっそりとしている気がしたのだ。

そして、彼の髪も先程よりも長くなっている。

このヒロムの変化を見て、宗谷はすぐに理解した……今、自分の目の前にいるのは、ヒロムではないと…。

 

「まったく、こんな状況でもラッキースケベとは……ヒロムも相変わらずだね~」

 

「もしかして………ヒロミちゃん?」

 

「……ぴんぽ~ん♪ また会ったね、宗くん」

 

宗谷の腕を掴んだのは、ヒロムの中にいるもう一人の姿、ヒロミだった。

彼女は再起不能になったヒロムの代わりに表に出てきたのだ。

 

彼の腕を掴んで立ち上がったヒロミは、にっと明るい笑みを浮かべると、宗谷の横を通り過ぎて彼の前に出た。

 

「お、おい、ヒロミちゃん!?」

 

「宗くん、ちょっと私にもこいつらの相手やらせてくれないかな? 久々に体動かしたいんだよね~」

 

ヒロミはそう言うと、両手をプラプラとさせて準備運動をするような動きを見せる。

そして、ふぅ、と息を吐いたと同時に目の前にいるインべス達に向かって勝ち気な目を向けて手を、軽くぽきぽきと鳴らして見せた。

 

 

 

「見せてあげるよ……女神としての私、ヒロミちゃんのポテンシャルを!」

 

 

 

 




いかがでしたか?

次回はさらに本格的なバトルに突入!

宗谷とヒロミちゃんの前に現れたインべス達……。

メテオ君たちの前に現れた、ミッチ……。

このコラボ最初のクロスオーバーバトルが幕を上げる!

それでは次回もお楽しみに!
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