転生ダイの大冒険 作:ジャガン大好き民
現時点では30話(バランと戦うあたり)まで書き終えました。
人生とは、時に想像を絶するほどに奇妙な出来事が起こるものだ。
『輪廻転生』
それは死んだ生命が新しい生命に生まれ変わることを意味する仏教用語だ。
日本に住んでいる人間なら誰しも一度くらいは聞いたことがあるだろう。
中には信じている人もいるかもしれないが、俺は信じていなかった。
なぜならば叡智の牙城たる現代科学で証明されてないのだから。
つまり輪廻転生とはオカルトの類であると言えるだろう。
だが今は信じている。
「思い出してしまった……!」
ここはラインリバー大陸の南に位置する自然豊かな島、デルムリン島。
かつては旧魔王軍の兵隊を養成する場所であったが、今では善良なモンスターが平和に暮らす楽園になっている。
俺はそんな島に住んでいる唯一の人間……ではないか。
正確には
まあ四捨五入したら人間*1だし人間でいいだろう。
そして肉体の年齢は5歳だが精神年齢は20歳を優に超えている。
というのも俺には前世の記憶というものがあるからだ。
いわゆる『転生者』という奴である。
ある日、親友のゴメちゃんに『俺って何者なんだろう?』と質問したら、前世の記憶がインストールされた。
彼の正体は神の涙という所有者の願いを叶える奇跡の存在なので、俺の何気ない一言が『願い』判定されて権能が発動したんだと思う。
もちろん憑依ではないので今まで生きてきた自分の記憶はちゃんとある。
前世では日本という国で生まれたドラクエオタクAだった。
ドラクエ12が出る前に死んだのは非常に悔しい。
なにせ、この世界にドラクエ(ゲーム)はないからな。
ちなみに死因は交通事故だ。
外出していたらトラックに追突されて死亡というテンプレみたいな死に方である。
もちろん急死だったので両親や友達には別れの言葉を告げずに急死してしまった。
仕方ない事情があるとはいえ、皆には申し訳ないことしたな。
まあ転生しただけでも丸儲けだと考えよう。
それはともかくとして、問題は転生先だ。
この世界はジャンプ本誌で連載されていた名作ドラクエスピンオフ漫画『ダイの大冒険』に酷似している。
ドラクエの顔役である二ヘラ顔のスライムがいて、デルムリン島という固有名詞からして間違いないだろう。
そして自らの名前はダイ、つまり主人公に転生してしまった。
しかし漫画に酷似した世界に転生とは一体どういう事なんだろう?
当たり前だが漫画というのはフィクションで、全て想像し考案したのは原作者達のはずだ。
フィクションとほぼ同一の世界に転生などということがあり得るのだろうか。
いや、実際に転生しているんだからあり得るもあり得ないもないんだけど。
うーむ、考えれば考えるほど分からなくなる。
……まあ、深く考えるのは辞めよう。
その方が幸せでいられるはずだ。
話を戻すとして、ダイの大冒険のストーリーは大魔王バーン率いる魔王軍による地上破壊計画を主人公達が頑張って阻止するというもの。
もちろん魔王軍が勝利したら俺や島の皆も死んでしまうので対抗する以外の選択肢はない。
まずは手始めに強くなろう。
強さがあれば大抵の理不尽はどうにか出来る。
力こそ正義だ。
まあ原作ダイは、その考えを否定したわけだけど。
俺という存在は本当にどうしようもないな。
ドラクエといえば剣と魔法のRPGであり、原作ダイも剣と魔法を使いこなす勇者だ。
ならば剣と魔法の修行をするとしよう。
だけどデルムリン島には剣の使い手がいない。
一応、槍を使うオークという獣系モンスターがいるにはいるがダイなら剣だよな。
これは一刻も早いアバン先生の到着が待たれる所。
それまでは我流の剣術だな。
じゃあ次に魔法だな。
育ての親であるブラス爺ちゃんは鬼面道士という魔法を得意とするモンスターにして旧魔王軍で人材育成を担当していた。
つまり魔法を教えてもらうことはできるはず。
善は急げ、というわけで俺は爺ちゃんがいる場所へと急いだ。
「爺ちゃん!」
「なんじゃ? ダイよ」
「俺に魔法を教えて!」
「おお、ダイが自分から魔法を習うじゃと! よくぞ言うた。まだ5歳と少し早い気もするが、いいじゃろう!」
そう言ってブラス爺ちゃんは家の奥から大量の魔導書を持ってきて地面に魔法陣を書き始めた。
これは爺ちゃんが書きながら教えてくれたことだが、デルムリン島は旧魔王軍のモンスター養成所なので魔法教育に関する設備が豊富らしい。
なので普通の人間の村とかだと設備不足で少しの魔法しか習得できないんだとか。
どうやら魔法の習得という面では恵まれた環境らしいな。
「ダイ、今から魔法の契約を行う!」
ブラス爺ちゃんが説明を開始する。
曰く、この世界で魔法を使えるようになるには3つのパターンがあるらしい。
1つ目は魔法陣を使って魔法を覚える契約をするというパターンだ。
最もポピュラーな方法であり今回やるのはコレらしい。
この世界は
まあデルムリン島にいるモンスターは友達だから倒さずに済んで良かった。
2つ目は先天的に魔法を覚えているパターンだ。
これはガーゴイルが
後は
3つ目は魔法を開発するパターンだ。
自分で編み出したわけだから契約などの手続きは必要ない代わりに難易度が死ぬほど高い。
具体例としてはマトリフの
いやアレは2つの魔法を組み合わせたものだから少し違うか?
「手始めに契約するのは
ブラス爺ちゃんは杖の先から火球を出して魔法を実演して見せる。
火を自在に使えるというのはさぞかし便利だろう。
だからか、この世界では最も習得者が多い初歩的な魔法らしい。
「では、この五芒星の上に立つのじゃ」
言われるがままに俺は
するとブラス爺ちゃんが何やらブツブツと呪文らしきものを唱えだした。
そして詠唱と共に白い粒子が俺の体を包み込んでいく。
これが魔法を契約する感覚か。
なんというか心臓の辺りが暖かい、まるで湯たんぽを抱きしめているようだ。
鬼岩城の魔法契約の間が心臓部分にあることや
まあ、知らんけど。
「これで無事に契約が出来たわい。じゃが使いこなすには努力が必要じゃ。精進せい」
遂にドラクエ世界の魔法が使えるようになったのか。
これは胸アツだ、極めれば面接で『特技はイオナズン』と言えるわけだろう。
早速、試して見たいな。
そんな意図が伝わったのかブラス爺ちゃんは藁製の的を用意する。
「魔法に大事なのは集中力じゃ。試しに、そこにある的に放ってみるが良い」
当たり前だが子供より大人の方が集中力は上だ。
なにせ人生経験が段違いだからな。
そして俺は前世の記憶があるので大人の集中力を引き出せる。
つまり魔法は必ず成功はず。
さあ、行くぞ!
「メラ!」
その言の葉を唱えると掌から
だが真っすぐ飛んでいかずに、空中に留まるだけだ。
ならば、こうすればいい。
「せいっ!」
なので俺は火球を掌で弾き飛ばした。
そして火球は目標に命中し黒焦げにする。
つまり魔法に成功したということだ。
まあ『ドラゴンボール』の悟空だって、かめはめ波を見ただけで使えたわけだしな。
これくらいは主人公として当然だ。
「おお! ダイが魔法を使ったぞ! 天才じゃ!」
原作のダイは12歳になっても魔法を1つも使えなかった。
なぜなら彼は魔法使いではなく勇者になりたいと思っていたからだ。
きっとモチベーションがなかったのだろう。
だが俺には地上破壊を阻止するという本気になる理由と前世で培った経験値がある。
それらがあれば5歳からでも呪文が使えるようになるのは道理だろう。
ある意味、転生特典のようなものだな。
ならば、もっと上の魔法も使えるのでは?
「メラゾーマ!」
今度は上級火炎呪文の言の葉を唱えると小さな火花が飛び散る。
これはメラではない、メラゾーマだ。
……逆じゃねぇか!
大魔王バーンの名言を汚してしまった。
まあ敵だし別に汚してもいいか。
「いきなりメラゾーマを使えるわけではないわい。何事も段階を踏むべきじゃ」
「それもそうだね」
魔法の天才であるポップだって1年かけてメラゾーマを習得したわけだしな。
ズブの素人が初めから使えて良い魔法ではないか。
まあ原作開始まで7年あるし、それまでゆっくりと魔法の勉強をするとしよう。
当面の目標は他の初級呪文を覚えることだな。
「次は氷系呪文の契約をするぞい!」
こうして魔法陣に上に立ち魔法を一通り契約する。
長時間立ちっぱなしだったしかなり大変だった。
ちなみに契約できなかった魔法は1つも無かった。
流石は
更には人間側の血、つまりソアラ母ちゃんもドラクエ世界の
ドラクエ世界の王族が強いのは歴代ナンバリング作品が証明している。
現に
つまり俺はサラブレッドということだ。
「ふぅ……。ざっとこんなもんじゃろう。というわけで今日の魔法の鍛錬は終わりじゃ」
契約の儀式は終わりになり、やっと自由時間になる。
これが普通の子供なら自由時間で遊んだりするのだろう。
だが俺は地上崩壊の未来を知っている身なので話は別だ。
ただ、ひたすらにストイックに体を鍛える。
もちろん成長途上なので無理な筋トレは控えるようにはするが。
まずは怪我などをしないように柔軟体操。
それを終えるとランニングや腕立て伏せなどの基礎的なトレーニングを行う。
続いてヒノキの棒を装備して剣の素振りを行う。
振り下ろし、振り上げ、横薙ぎ、袈裟懸けなど様々な切り方を試している。
ゆくゆくはアバン先生到着前に大地斬と海波斬くらいは習得したいものだ。
まあ原作開始は7年後なので、まだ先の話だが。
最後は島に生息するモンスター達との模擬戦だ。
やっぱ相手がいた方が上達も早いだろうからな。
とはいえ、まだ5歳のクソガキなので模擬戦というよりモンスターとじゃれあっているようにしか見えないのだが。
普通に最弱のスライムにすら苦戦してしまった。
まあ彼らも立派なモンスターだしね。
現に外伝作品である漫画版クロスブレイドの主人公ユウキもスライムに殺されかけてた。
「はぁ……はぁ……こんなものかな? みんな、ありがとう」
トレーニングを行ってから2、3時間くらいが経過しただろうか……既に体は疲労困憊だ。
そして流れ出る汗を拭いながら、付き合ってくれたモンスターたちに感謝を伝えて解散を宣言する。
「じゃあ、ゴメちゃん。昼寝しようぜ!」
「ピピッ!」
というわけで俺はハンモックに揺られながら昼寝をする。
もちろん休憩も修行のうちだ。
それ以外にも食事は欠かさないし、島の皆とも遊ぶし、真面目に勉強もする。
よく動き、よく学び、よく遊び、よく食べて、よく休むのが亀仙流の修行だからな。
……これは創造神が同じだけど世界が違うか。
まあ基本は同じだろう。
「ピィ……ピィ……」
腹の上には寝息を立てて寝ているゴメちゃんがいる。
彼の正体は神の涙という生きたドラゴンボールのような存在だ。
つまり彼に『俺のレベルを上げてくれ』と願って、大魔王バーンよりも強くなれば全てが解決するのではないのか?
……いや、ダメだ!
願いを叶える代償としてゴメちゃんの身体は小さくなり消耗していく。
ゴメちゃんは便利なアイテムじゃない……俺の親友だ。
前世という異物が混入した影響で最低な発想をしてしまった。
それにゴメちゃんの奇跡も万能じゃないしな。
原作の描写を見るに一時的な自己強化であってもオリハルコンを凹ませるのが限界だったはず。
そしてオリハルコンくらいならヒュンケルが素手でも砕いていた。
……あれはアイツがおかしいだけか?
それはともかくとして、
でも本当に俺はゴメちゃんによる強化なしで原作を全う出来るのかな?
なぜなら前世を思い出したせいで、原作のダイにあった勇気や純朴さが失われた。
これがどういった影響を与えるかは未知数だ。
もしかしたら、大魔王バーンによる地上破壊を阻止できないかもしれないな。
しかし裏を返せば、原作よりも良い未来も選べるということでもある。
例えばゴメちゃんが生存したり、
こういうのは何事もポジティブに考えた方がいい。
これが余の武器、どんな時でもポジティブハート。
※一人称について
PBによるとダイ大では基本的に一人称は子供がひらがな。青年以上がカタカナとなっています。
例えば、原作ダイやポップは『おれ』・ヒュンケルやラーハルトは『オレ』です。
転生ダイは異質な存在なので『俺』になっております。
※転生ダイの習得魔法
メラ
いきなり最強にすると『ダイに大転生』という二次創作のパクリになってしまうので、最初はそこまで強くしません。