転生ダイの大冒険 作:ジャガン大好き民
偏に皆様の応援のおかげです。
「さあ、遠慮しないでどんどん召し上がってくださいね」
目の前には湯気を立てる豪華な料理がテーブル一杯に並んでいる。
ネイル村は森に面しているからかキノコや木の実や山菜などが多いが、中には血が滴るような肉類も存在している。
俺達がまだ晩ご飯を食べてないということをレイラさんが知ると、暖かい食事を用意してくれたのだ。
本当にありがたいな。
「「いただきます!」」
「ピピィ!」
俺達は長らく味気の無い保存食と水しか口に入れてなかった。
なので暖かく美味しそうな料理はオリハルコンよりも価値があるように感じる。
というわけで手を合わせたらすぐに目の前の
「うまい! うまい! うまい!」
俺は某鬼殺隊の柱みたいに感想を連呼しながら全力で豪勢な料理を食べる。
レイラさんは戦闘だけでなく料理の腕も一流だ。
設備の差もあるのだろうが、ブラス爺ちゃんの料理とは段違いである。
しかもデルムリン島では絶対に食べられなかったモンスターの肉まであるからな。
そりゃあ上手いに決まっている。
「ふふふ、そんなに美味しそうに食べてもらえれば、作った甲斐もありますわ」
「本当ね。よく食べるわ」
「いやぁ……旅の最中は寂しい食事でしたので」
そういやレイラさんは料理上手のアバン先生がいたから冒険中は食で困ることは無かったんだよな。
羨ましい限りである。
それはともかくとして若い男2人の食欲により食卓の皿は段々と綺麗になっていく。
「ふぅ~! 食った、食った」
そして俺達は食後のお茶を頂いた。
するとマァムが口を開く。
「それで、どうして2人と1匹で旅をしているの? アバン先生は元気かしら?」
「「!!」」
その言葉に俺以外匹は気まずそうな顔をする。
もちろん俺の答えは決まっている。
「……アバン先生は亡くなりました」
俺の言葉にマァムとレイラさんは口を押えてショックを受ける。
「お、おい!」
「ここで嘘をついても仕方ないだろうさ、ポップ」
原作ダイはアバン先生が生きていると嘘をついた。
だけど話は早い方がいいだろう。
「ど、どうして? どうしてアバン先生が……」
「数日前にデルムリン島に魔王ハドラーが襲ってきたんだ。そして力及ばずアバン先生は……」
「そんな!」
マァムの顔に一筋の雫が流れ落ちる。
そんな彼女をレイラさんは優しく抱きしめて、俺達に目を向けた。
「アバン様は、皆様を守っていかれたんですね?」
「はい、先生は魔王討伐を俺達に任せて散りました。だからこそ俺達は先生の本懐を果たすために旅をしています」
俺はレイラさんにそう答えて、泣いているマァムを見つめた。
さあ、ここらが本題だ。
「マァム、ここで会ったのも何かの縁だ。俺達と一緒に魔王討伐の旅に加わってくれないか?」
「で、でも村のこともあるし」
ロモス王国は近隣の村から男性陣を徴兵している。
なのでネイル村を守る戦力はマァムとレイラさんのみだ。
確かにそんな情勢で村を出るのは心配だろう。
「マァムにはマァムの事情もあるだろうから、決して無理強いはしないさ」
原作知識的にもマァムが仲間になる可能性は高い。
だけど仲間になる前提で誘うのは転生者の傲慢だろう。
なので彼女の意思を尊重する。
この世界は漫画の中ではない、ちゃんと人が生きているんだ。
「私、私……」
マァムは必死に悩んでいる。
レイラさんはそんな彼女を見て、こう言った。
「今日は泊まっていくんでしょう? マァムも悩んでいるようだし、返事は明日でも良いんじゃないかしら?」
それもそうだ、今すぐ決断しなければならないことではない。
「ごめんよ、マァム。急にこんな話をして。俺達は泊まらせて貰うから、ゆっくり考えてくれ」
「……ありがとう、ダイ。うん、よく考えてみる。じゃあ、そっちも今日はゆっくり休んで」
こうして俺達はレイラさんが整えてくれた部屋で休むことになった。
デルムリン島にある寝具は粗末な藁ベッドだけだったからな。
12年ぶりにフカフカのベッドで寝れる。
もう、それだけで感謝感激雨霰だ。
そして夜が明け……る前。
突然、俺達は叩き起こされることになった。
「グオオオオオオオッ!」
凄まじい雄たけびがネイル村を貫いた。
それにより俺とポップとゴメちゃんは瞬時に目を覚ます。
部屋の窓から魔の森の様子を観察すると鳥が森から一斉に羽ばたく音が聞こえてくる。
「な、なんだぁこの声は!?」
「とりあえず外に出るぞ!」
俺達は共に家を飛び出した。
すると、そこにはマァムがもいた。
「マァム、この雄たけびはいったい?」
「今の叫び声は、モンスターが群れを成して王城や町を襲うときに聞こえてくる時の雄たけびみたいだったわ……」
ポップの問いかけにマァムはそう返す。
つまり今から戦うぞという合図か。
おそらく俺達に向けてのものだよな。
『俺はここにいる! かかってこい!』
雄たけびの主にそう言われている気がした。
これを拒否したら腹いせに近くの村が襲われそうだ。
……いや彼は真の武人だからそんなことしないか。
「とりあえず、あんなにうるさくされたら寝れない。いくぞ、お前ら!」
「お、おう……!」
ポップは微妙な返しをした。
コイツは十中八九、逃げるだろうがワンチャン逃げないかもしれないので連れて行くことにする。
まあ頑張ってくれ。
「私も行くわ!」
俺はマァムに頷きを返す。
そして3人で雄たけびが聞こえた方角を目指した。
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魔の森の中にある少し開けた場所に何者かがいる。
それは大柄で厳つい姿をしたワニの獣人である。
右手には巨大な手斧を持ち、身体には巨躯に見合う頑強そうな黒い鎧を身につけている。
やはり獣王クロコダインだったか。
初期の彼は敵として立ちはだかるが、途中から原作ダイ達の味方になってくれる頼れる漢だ。
しかし、その頼れる漢は俺達に殺気を向けている。
俺はクロコダインを原作通りに仲間にするにはどうすれば良いか何度か考えたことがある。
そして考えた末の結論は『全力で戦う』だ。
彼は卑怯なことを嫌う武人だ。
なので下手に小細工などすれば逆に反発されるだろう。
だから全力で戦う事こそが最適解であるはず。
「よく来たな、小僧。我が名は獣王クロコダイン! 魔軍司令ハドラー様が指揮する6つの軍団の1つ、百獣魔団の軍団長だ!」
魔王軍は百獣・氷炎・不死・妖魔・魔影・超竜の六つの軍団に分かれている。
そしてクロコダインが率いるのは恐れを知らぬ魔獣の群れ、百獣魔団だ。
「ダイよ、勅命によりお前を討つ! 死にたくなければ必死で発揮するのだな……魔軍司令殿をも傷つけたというお前の真の力を」
クロコダインは斧を向けながらニヤリと笑った。
「うるせぇっ! このワニ野郎! よく聞いてみりゃあハドラーの下っ端じゃねぇか。見てくれがあんまりにも凄いんでビビって損したぜ! ハドラーでさえ俺達がコテンパンにのしてやったのに、お前なんかで相手になるかってんだ! なあダイ!」
そう言ってポップは挑発をする。
だがクロコダインは全く意に介してない。
強者の余裕という奴だ。
「クックックックックッ。どこの馬の骨か知らんが…まあ試してみるんだな」
「ポップ、相手は只者じゃない。初めから全力で行けよ!」
「わかってらい! メラゾーマ!」
「ほう!」
そうしてポップの放った火球はクロコダインに直撃して大爆発と轟音を発生させる。
「やったか!?」
「いや、防がれた」
「だあああっ!」
そこには斧を天高く掲げたクロコダインがいた。
彼の鱗は少しだけ焼け焦げている。
原作よりもダメージを与えることに成功したぞ。
つまり戦いが少し楽になった。
「腐ってもアバンの使徒だな。まさかメラゾーマを使えるとは思わなかったぞ」
クロコダインが持っている武器の名は真空の斧。
道具として使うとバギ系の効果をもたらす伝説の武具だ。
つまり、それを使いバリアを作ることで直撃を防いだわけである。
「それっ! 今度はこちらの番だ! ぬおぉぉぉおッ!」
クロコダインは闘気と共に力を籠めて斧を振るい飛ぶ斬撃を放った。
その瞬間、轟音が響き渡り大地は恐れ慄く。
「あ…あああっ!」
そこにあったのは、純粋な破壊跡だった。
クロコダインが放った衝撃波が俺達の後ろにあった岩肌を貫通して風通しを良くしている。
その光景はポップの闘志を削ぐのに十分すぎるほどの威力を持っていた。
「我らが六団長をみくびるなよ。おのおの得意とする技においてはハドラー殿を上回る力があるからこそ軍団長を任せられておるのだからな」
「ヒィィィ!」
それを聞いたポップは逃げ出した。
原作通りとはいえ逃げ出すとは本当に仕方のない奴だな。
敵前逃亡は重罪なことを知らんのか?
「フハハハッ! 随分と人望がない勇者だな。俺が用があるのはダイだけだ! 後ろの娘のことは聞いていない。逃げたければ逃げてもいいぞ!」
「誰が逃げるもんですか!」
どうやらマァムは俺と一緒に戦ってくれるみたいだ。
さあ原作と違ってポップが帰ってくることもないし、今の時刻は丑三つ時なので朝日で目が眩むなどのラッキーも発生しえない。
状況的には原作よりも悪いな。
だけど何とかなってしまうのが俺だ。
「グッフッフ……逃げずに立ち向かってくるとは女ながら見事な度胸だ! では、始めようではないか!」
クロコダインが俺に向けて突撃してくる。
それに呼応してパプニカのナイフを抜いた。
「せいっ!」
クロコダインは斧を小さく素早く振るう。
先程の力任せの一撃と違って確実に当てることを優先した攻撃だ。
もちろん、この状態でも当たれば痛いじゃ済まないだろう。
肌に直接感じる風圧と風切り音がソレを証明している。
決して油断できない威力だ。
それにしても暗いのに的確に攻撃してくるな。
……確かワニは夜行性の動物だったよな。
なのでクロコダインも夜目が利くはずだ。
そして光源は月明かりくらいなので人間の視界では攻撃が見えづらい。
つまり状況的には俺の方が圧倒的に不利。
だけど勝ってしまうのが俺って感じなんだよなぁ。
「ふむ、中々やるな。だが逃げ回ってばかりでは勝てんぞ!」
「それもそうだな、大地斬!」
そして俺はパプニカのナイフでクロコダインの顔面に斬りかかる。
しかし、それはクロコダインの丸太のように太い腕で防がれてしまった。
原作より成長している俺なら鱗くらい斬れると思ったんだが、鎧しか壊せていない。
なんという硬さだ。
「グフフ、やるな。それにその武器、ただのナイフのようだが中々の業物と見た」
「そりゃどうも」
「だが俺の武具には及ばん! 唸れッ! 真空の斧よッ!」
クロコダインは手にした斧を天高くかざす。
その動作に反応して斧の中心に埋め込まれた魔法玉が輝き突風が吹き荒れる。
だが、突風程度なら問題はない。
なにせ俺にはアレがある!
「海波斬!」
突風は剣圧で裂かれてクロコダインの身体に直撃する。
そしてソレは血を流させることはなかったがボディーブローのようにダメージを与えた。
「今よ!」
そしてマァムの放った火炎呪文の魔弾がクロコダインに命中し確実にダメージを与える。
もちろん俺は近接攻撃で追撃することはしない。
というのも近づけば原作のように
ならば魔法で遠距離攻撃だ。
「ザバ!」
だけど大したダメージにはなっていない。
というか相手はワニだから水を浴びてサッパリしただけだろう。
「くだらん! その程度の魔法で獣王が倒せるとでも思ったか」
「ああ、思ってないよ」
この魔法だけでは大したダメージは無い。
これは伏線なのだ、次の攻撃の為のな!
「デイン!」
「グワアアアッ!」
そして、ソレは
秘密のタネは、直前に使った
この魔法によりクロコダインの体は濡れていた。
それにより電気に対する抵抗が下がっていたのだ。
ポケモンで例えるなら『みずびたし』で水タイプにしてから電気技を喰らわせたようなものである。
効果は抜群だ!
その威力は通常のデイン以上の威力、ライデイン級の威力はあっただろう。
ライデインはヒュンケルすら膝をつく程の威力だからな。
タフなクロコダインであっても、それなりに効いたはずだ。
「隙ありよ!」
更にマァムの魔弾によって追撃が行われ、こんがりと焼けた鱗は更に燃え上がる。
だが、それでも奴は膝すらつかない。
「フフフッ! 俺に傷を負わせるとは噂通り大した小僧だ。俺は勇者を名乗る大人の戦士と戦ったがお前の方がよっぽど強かったぞ……」
あれほど攻撃を受けたのにクロコダインは倒れない。
むしろまだまだ余裕がありそうだ。
流石はギガブレイクを2発も耐えたワニさんだ。
ならば、もう一度デインを喰らわせてやるよ!
「デイン!」
雷が再度、魔の森に迸った。
そしてクロコダインは……電撃でスタンせずに此方へと向かってくる。
どうして!?
「喰らえッ!」
既に真空の斧が脳天の近くまで来ている。
当たったら確実に死ぬ。
避けることも、パプニカのナイフで相殺することも不可能だ。
マジでマズいじゃんよ。
ネタバレ:転生ダイが勝つ