転生ダイの大冒険   作:ジャガン大好き民

13 / 42
ここからアンチ・ヘイトのギアが1段階上がります。
かなり胸糞なので注意してください。


レベル13 ロモス戦役

「グオオオオオオオッ!」

 

 それは早朝のことだった。

 聞き覚えのある雄たけびが鼓膜に届いたことで俺は目を覚ます。

 もちろん俺だけでなく同室の2人と1匹も、ただ事ではないと思い起き上がる。

 せっかくフカフカのベッドで寝ていたというのに……最悪の目覚めだ。

 この代償は高くつくぞ。

 

「全員起きろ!! 避難するんだ!! モンスターの大群が来るぞ!!」

 

 宿屋の外では巡回中の兵士が大声で都民達に呼びかけている。

 そして窓の外を見るとロモスの城下町に向けてモンスターの大軍団が進軍していた。

 空にはキメラやドラキー、地上には人面樹やリカントなどのモンスターがウジャウジャいる。

 モンスターの種類的にも百獣魔団で間違いないだろう。

 それに対してロモスの兵士達は勇敢に戦っているが、魔王軍側は質でも量でも勝っているので圧倒されている。

 このままでは王都が陥落するのも時間の問題だろう。

 

「行けぇッ! ロモス城を殲滅するのだ!」

 

 窓の外にはガルーダという鳥系モンスターに肩をつかまれて飛翔するクロコダインがいた。

 そして彼の後ろにはキメラやドラキーなどの空を飛べるモンスターが後に続く。

 地上のモンスターは城壁と兵士によって何とか食い止められているが、空を飛べるモンスターは素通りだ。

 この世界に対空砲火の概念とか無さそうだから仕方ないね。

 

 だけど原作と違って地上のモンスターを防げているのはデカい。

 これは事前に俺が門番に魔王軍が来ていると忠告したおかげかな?

 おかげで犠牲者の数は原作よりも少なくなりそうだ。

 

「ど……どーするよダイ!?」

 

「とりあえず準備を整えよう。そして百獣魔団と戦うぞ!」

 

 ポップの質問にそう答える。

 現在は起きたばかりなので防具どころか武器すら装備していない。

 というわけで、まずは着替えることにした。

 

「ところでよぉ、本当にクロコダインと戦うのか?」

 

「ポップ、何言ってるのよ!?」

 

 着替えてる途中でポップが弱気な発言をして、それを聞いたマァムが怒りを露わにする。

 まあ普通の神経なら、あんな恐ろしい相手に立ち向かうのなんて嫌だよな。

 俺も主人公である自覚が無かったら逃げているね。

 気持ちは良く分かる。

 

「無理に戦わずに避難誘導とかして雑魚モンスターと戦うだけにしないか?」

 

「なに、ふざけてんのよ! アイツを倒さなきゃ事態は解決しないわよ!」

 

 マァムはポップの胸ぐらをつかみガクガクと揺さぶる。

 もちろん、ポップの言う通りにはしない。

 なぜならクロコダインはロモスの王城に行って王様を殺すつもりだからだ。

 国家元首の死亡、それは俺達の負けを意味する。

 それに覇者の冠を頂いた恩もあるしな。

 

「だいだい、俺は魔王軍と戦うつもりは無かったんだよ!」

 

「私達で力を合わせないとダイが死ぬわよ! 相手の狙いはダイなの!」

 

「そりゃあダイは一緒に修行した仲間だけどよ…あいつがいるから敵が次々と襲ってくるんだぜ。巻き添えで死にたかねぇよ」

 

 確かに正論だ。

 俺がいる場所に敵はいるからな。

 これが主人公の運命(さだめ)である。

 

 だが、この言葉はマァムの逆鱗に触れた。

 彼女はポップを思いっきり殴り飛ばした。

 

「ポップ、あなたアバン先生から何を習ってきたの? ダイも貴方も先生の遺志を受け継いで命がけで戦っている。そう思ったからこそ私はついてきたのに、仲間になったのに……」

 

「マァム……」

 

「あなたなんか最低よ!二度と顔も見たくないわ!」

 

 そう言ってマァムは涙を流す。

 

「さあ、行きましょ! ダイ、ゴメちゃん!」

 

「待ってくれよ」

 

 この宿には偽勇者達がいない。

 つまりポップがマジで援軍に来ない可能性が高い。

 なので俺は魔法の筒を構えた。

 

「イルイル!」

 

「うわあああ!」

 

 というわけで俺はポップを魔法の筒に閉じ込めて無理矢理にでも連れて行くことにする。

 まあ原作が壊れて全滅するよりはマシだから仕方ないね。

 ちなみに、この魔法の筒はキメラの翼を使いデルムリン島に移動して回収した。

 やっぱ雷撃呪文(デイン)って偉大なんだわ。

 

「ポップは強引に連れていけばいい。じゃあ、行くぞ!」

 

「……わ、分かったわ」

 

 マァムは少しだけ引いている。

 そんなこともありつつ俺達はロモスの王城へと向かう。

 

「ロモス王!」

 

「まさか、あの子は……!」

 

「来たな、ダイ! 待ちかねたぞ!」

 

 玉座の間にはロモス王とクロコダインがいた。

 周りには兵士達が倒れている。

 きっとワニさん(クロコダイン)に立ち向かって敗北したのだろうな。

 だけど辛うじて息はありそうだ。

 そして俺は魔法の筒を構えた。

 

「デルパッ! マァムは倒れた兵士と王様に回復呪文を! ポップは遠距離から攻撃してくれ! もちろん逃げるようなら俺がお前を叩き斬る!」

 

「分かったわ!」

 

「畜生! こうなりゃヤケだ!」

 

 俺は仲間達に指示を下す。

 そしてクロコダインとの戦いが始まる。

 早速、新技を試してやろう!

 

「メラ×アバン流刀殺法……火炎大地斬!」

 

「何ッ!? 魔法剣だとッ! ッヌゥゥ!」

 

 焔を纏った斬撃はクロコダインの鋼鉄の如き身体を易々と切り裂いた。

 奴の左腕からは青い血がとめどなく流れている。

 これこそが(ドラゴン)の騎士にのみ許された権能、魔法剣だ。

 

「……おのれぇっ! ならば受けて見よ! 獣王クロコダインの最強の秘技を!」

 

 そう言ってクロコダインは右腕に闘気を集中させる。

 いきなり切り札かよ。

 まあ魔の森での戦いでは俺が競り負けたからな。

 相手の嫌がることをするのは当然か。

 

「むううううッ! かあああああッ!」

 

「デイン×アバン流刀殺法!」

 

 俺は逆手にパプニカのナイフを持ち変えた。

 これこそは未完の奥義を自らの権能で補いし一撃。

 その名も……

 

「デインストラッシュ!!」

 

「獣王痛恨撃!!」

 

 2つの必殺技が王城内で衝突する。

 その破壊力たるや凄まじく、玉座の間の壁を完全に破壊し、辺り一帯に粉塵を巻き上げた。

 確かに魔の森では俺が負けていたが、魔法剣を習得した今なら違う!

 何とか強烈な闘気流(獣王痛恨撃)を完全に相殺することに成功する。

 流石に獣王の奥義を貫くことは出来なかったか。

 これがライデインストラッシュだったら可能だっただろうな。

 早いとこ中級呪文を使いたいぜ。

 

「ムゥッ、やはり相殺するか。……本意ではなかったが仕方あるまい」

 

 そう言ってクロコダインは魔法の筒を取り出す。

 遂にアレが来るか。

 

「出でよ! デルパッ!」

 

 その言の葉と共に魔法の筒から煙と共に中身が飛び出す。

 肝心の中身はというと……。

 

「ブラス爺ちゃん!」

 

「グゥゥゥッ!」

 

 ここはアバン先生が張った破邪呪文(マホカトール)の結界内ではない。

 つまりブラス爺ちゃんは大魔王の邪気に支配されているということだ。

 その証拠に目には狂気が宿っている。

 

「メラミ!」

 

「海波斬!」

 

 ブラス爺ちゃんは容赦なく俺に攻撃を仕掛ける。

 もちろん中級呪文(メラミ)程度なら海波斬で真っ二つだ。

 

「こっちも火炎呪文をお見舞いしてやるわ!」

 

 そう言って兵士達の回復を終えたマァムは魔弾銃を構える。

 だが俺はそれを手で制した。

 

「待ってくれ! 爺ちゃんは俺の家族だ! だから手を出さないでくれ!」

 

「……なんて、卑怯なッ! クロコダイン、あなたそれでも武人なの!?」

 

「なっ!?」

 

「もう少し正々堂々とした男だと思ってたのに! なにが獣王よ! 笑わせないでよ!」

 

 クロコダインはマァムの非難を耳にして苦渋の表情を浮かべる。

 だが既に覚悟を決めているのか、ワニさんは開き直りブラス爺ちゃんに攻撃するよう命じた。

 今の俺達はパパス*1よりも酷い状態だ。

 このままだと負けてしまうだろうが問題はない。

 なぜなら此方にはポップがいるからな。

 

「ポップゥ! マホカトールでブラス爺ちゃんを正気に戻してくれ!」

 

「そんなの使えないぜ!」

 

「お前なら出来る!」

 

「それ以前によ、俺を収容していた魔法の筒を使えば良いんじゃねぇか?」

 

「……確かに」

 

 魔法の筒は生物を収容することのできる便利なマジックアイテムだ。

 流石に軍団長級の猛者にはレジストされてしまうがブラス爺ちゃん程度の実力なら余裕で閉じ込めることが出来る。

 俺は原作知識によって視野が狭くなっていたな。

 そっちの方が難易度が低いのに気づけなかった。

 

「マァムとゴメちゃんはそこにいる悪魔の目玉を、俺はクロコダインを足止めする。だからポップは爺ちゃんを頼んだ!」

 

「「了解!」」

 

 というわけで俺はポップに魔法の筒を渡した。

 これで彼の成長イベントが完全に潰れたわけだが、まあ許容範囲内だ。

 

「グウウウッ! 魔法の筒!」

 

 するとブラス爺ちゃんはポップから露骨に距離を取る。

 邪気によって凶暴化しているが賢さは変わっていないから、そりゃあ警戒するに決まっている。

 そして魔法使いの身体能力ではモンスター相手に追い付くのは難しい。

 ならばソレ(身体能力)を上げてしまえばいい。

 

「マァム! ポップにピオラの魔弾を!」

 

「ええ!」

 

 マァムはポップに向けて魔弾を発射する。

 加速呪文(ピオラ)、それはレイラさんが魔弾に充填してくれた魔法だ。

 その効果は相手の素早さを上げるというもの。

 

 ちなみに、この世界において他者を強化する魔法の使い手は非常に珍しい。

 まあ戦闘の度に強化魔法をかけるのは作劇的に映えないからな。

 それにスマブラSPの加速呪文(ピオリム)みたいにデメリット*2もある。

 とはいえ素早くなるのは確かなので、ポップが作戦を遂行しやすくなっただろう。

 

「くらえ、イルイ……」

 

「メラゾーマ!」

 

 ポップが強化された素早さを活かしてブラス爺ちゃんを魔法の筒に入れようとした瞬間、巨大な火球がソレを邪魔してきた。

 何処の誰がこんなことを!?

 そう思って俺は魔法が飛んで来た方向を見る。

 すると、そこには10体のサタンパピーがいた。

 

「どういうことだ!?」

 

 お前達(サタンパピー)は中盤に出てくるはずだろ。

 何で再序盤のロモスにいるんだよ

 

「キィ~ッヒッヒッヒッ! ダイ達が魔法の筒を持っていたと知った時はヒヤッとしたが、なんとか間に合ったようじゃな」

 

 悪魔の目玉からザボエラの顔が投影される。

 やはりアイツの差し金か。

 なにせサタンパピーは妖魔士団所属のモンスターだからな。

 

「ザボエラ、なんの真似だ!」

 

「オヌシだけでは負けるかもしれんからの。ダメ押しの援軍じゃよ」

 

「貴様!」

 

 それを聞いたクロコダインは激昂する。

 魔王軍にも軍事組織である以上、縄張りは存在するだろう。

 なので勝手に他軍団が援軍を派遣するという行為はマナー違反だ。

 というかサタンパピーを派遣するくらいならザボエラ本人が来いよ。

 ……いや、戦場に出てダメージを負うリスクを嫌ったのかな?

 それに軍団長が担当地域を放置して他地域に向かうのは明確にアウトだろう。

 

「さあ、サタンパピー共! 勇者ダイを生け捕りにするんじゃ!」

 

「「「ギョワアアアーッ!」」」

 

 ザボエラが指示を下すとサタンパピー達は攻撃を始める。

 ただでさえクロコダイン+ブラス爺ちゃんですらギリギリだったのに、ここに来ての原作に存在しない援軍。

 このままじゃ負けてしまうだろう。

 だけど俺は(ドラゴン)の騎士、なので怒りで紋章の力に目覚めれば逆転は可能だ。

 

「ウオオオオ!」

 

 とりあえず叫んでみる。

 怒れ、ブラス爺ちゃんを洗脳した魔王軍に。

 だけど俺は原作知識でソレを知っていたのにも関わらず、敢えて対策しなかったんだよな。

 もちろん悪いのは相手だけど、此方にも多少の責任があるはずだ。

 何というか、素直に怒ることが出来ないので紋章は発現しない。

 

「メラゾーマ!」

 

「うわあああっ!」

 

 ポップがサタンパピー達から集中攻撃を受けている。

 こんなことなら加速呪文(ピオラ)は俺に使うべきだったな。

 いや、これは結果論か。

 それに俺はクロコダインを相手しないといけないし、仮初の強化はバランスが崩れてしまう危険性もある。

 

 それはともかくとして本当にマズいぞ。

 マジでどうしたらいいんだ。

 

 ……その時、1つのアイデアが脳内に浮かぶ。

 だけど、それだけは絶対にやりたくない。

 原作への悪影響は計り知れないし、それをやったら人の道を外れる。

 でも、全滅するよりはマシなはずだ。

 しばらく考えた末に俺は覚悟を決めた。

 

「マァム、10秒間だけクロコダインを足止めしてくれ」

 

「分かったわ!」

 

 そう言って俺はクロコダインをマァムに任せる。

 彼女は武闘家としての修行をしているので少しの間なら足止めが出来るはずだ。

 そしてブラス爺ちゃんの方へと向かう。

 

「ザボエラ様、勇者ダイを止めますか?」

 

「ダイの奴は魔法の筒を持っておらんはずじゃ。何も出来んじゃろう」

 

 サタンパピーの質問にザボエラはそう返答する。

 彼らは完全に慢心しているな。

 だから確実に作戦は成功するはずだ。

 こうして俺はブラス爺ちゃんへ近づくことに成功する。

 

「爺ちゃん、俺だよ! 正気を取り戻して!」

 

「キィ~ッヒッヒッヒッ! 無駄じゃ、無駄じゃ! 愛の力で何とかなると思っておるのかのう? 本当におめでたい奴らじゃ!」

 

「メラミ!」

 

 そしてブラス爺ちゃんの攻撃が俺に炸裂する。

 かなり痛いが、今から起きる心の痛みに比べれば大したことはない。

 俺はパプニカのナイフを構えた。

 

「大地斬!」

 

 ブラス爺ちゃんに向けて斬撃(大地斬)を放つ。

 それにより青い血が玉座の間に舞った。

 

「お……親を殺すじゃとぉ!?」

 

 ザボエラが目を見開いて驚愕する。

 逆転のアイデア、それは親殺しだ。

 俺達が苦戦していた理由はブラス爺ちゃんが敵になっていたことだ。

 ならば、それを排除すればいい。

 もちろん、こんな最低最悪な行為をしたことで周囲はドン引きだ。

 

「ごめん、爺ちゃん……」

 

 原作のダイならば、こんなことをしなくても良かった。

 つまり俺のせいで死んだんだ。

 俺は今、自分自身に対して最高に怒っている。

 つまり(ドラゴン)の紋章も発動するはずだ。

 

「バギクロス!」

 

 俺は真空呪文(バギクロス)を放ちサタンパピーの群れをズタズタにする。

 ポップの成長イベントはキャンセルされた。

 親殺しを目撃したクロコダインはドン引きして仲間にならない可能性が高い。

 それどころか仲間達が今まで通り付いてきてくれるかすら怪しい。

 なにより育ての親であるブラス爺ちゃんを殺した。

 本当に最悪な気分だ。

 

「さあ、クロコダイン。構えろ」

 

「……すまない。貴様の親が死んだのは俺のせいだ」

 

「御託は良い。戦いを続けるぞ」

 

 そして俺達は向かい合う。

 次が最後の攻防になるな。

 

「アバン……」

 

「獣王……」

 

「ストラッシュ!」

 

「痛恨撃!」

 

 玉座の間にて2つの闘気が衝突した。

*1
三国志で一番惨い死に方した人物

*2
使うと吹っ飛びやすさが上がる。




 評価が下がることは覚悟してます。
 ですが、やりたい展開の為には仕方が無かった。
 煮るなり焼くなり好きにしてください。

※ピオラについて
 外伝『勇者アバンと獄炎の魔王』でレイラが使用していた。
 強化系の魔法をかけて無双という展開は個人的に好みではないので、これからは使わないと思います。
 今回は原作知識のある主人公が弾丸にソレを詰めさせないのは違和感があるという理由で使わせました。
 外伝でもバランスが崩れるという理由でアバンが使っていませんでしたから、そこまで便利な魔法ではないのでしょう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告