転生ダイの大冒険   作:ジャガン大好き民

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レベル18 地底魔城へ

「なんで、こんな無理をしたの!」

 

「ごめんなさい……」

 

 マァムはプンスカ怒りながら、回復呪文(ベホイミ)をかけてくれる。

 もちろん彼女だけでなくポップもゴメちゃんも俺の行動を全力で非難した。

 ……心配をかけてしまったな。

 でも、ああでもしないとヒュンケルの兄者が仲間にならないだろうし仕方ない。

 

 まあ過ぎた事は良いとして、本題に入ろうか。

 ということでズタボロになり鎖で捕縛されているヒュンケルの兄者に近づく。

 ちなみに兄者にも回復呪文(ベホイミ)を施されている。

 まあ暗黒闘気を伴った魔法(エビルデイン)を受けたので完全に治癒してないんだけどね。

 

「ヒュンケルの兄者、気分はどうですか?」

 

「……殺せ」

 

「いや負けたんだから約束は守ってくださいよ。バルトスの魂をかけたんですよね」

 

「……そうだな」

 

 ということで俺はヒュンケルの兄者を解放することにした。

 するとポップは険しい表情になる。

 

「待てよ! コイツを自由にさせていいのかよ!」

 

「そうでもしないと約束を履行させれないし。それに兄者は当分の間は戦うこともできない状態だから大丈夫でしょ」

 

 まあ原作兄者は二度と戦えない状態から復帰したんですけどね。

 たぶん1日経てば戦えるようになると思う。

 まあ今の俺なら負けないからモーマンタイよ。

 

「兄者、命は大事にしてくださいね」

 

「……了解した」

 

 兄者は俺の言葉を無視して神殿跡地から立ち去った。

 魂の貝殻が見つかるかは賭けだな。

 こればかりは神頼みである。

 

「さてと、これからどうしようか」

 

「まずは休みましょ。レオナ姫を探すのはそれからよ」

 

「だけどよ、マァム。心置きなく休める場所なんてあるのかよ?」

 

 俺は原作知識でレオナがバルジ島にいる事や、神殿地下にある信号弾を使って気球船を呼び出せることを知っている。

 とはいえ腹を貫かれたダメージが完治していない。

 なので一旦、休むことにした。

 

「ん? ダイ、誰かが山から下りてくるぜ!」

 

 そう言ってポップが近くにある山を指さす。

 指の先を見ると人型のナニカが俺達の方へと近づいてきているではないか。

 不死騎団のモンスターか?

 

「おーい! そこの旅人達よ~!」

 

 よく見るとナニカは人間の男であった。

 彼は手を振りながら此方に近づいてくる。

 格好はピンク色の鎧を纏っている白髪の老人といった感じだ。

 まさか彼は……

 

「貴方は何者ですか?」

 

「ワシはバダック……レオナ様のお付きの兵士の1人じゃ! 神殿跡地に黒い稲妻が落ちたので見に来たのじゃが……」

 

「俺はダイです。こっちにいるのは仲間のマァムとポップとゴメちゃんです」

 

「なんと! 君がダイくんか!」

 

 やはりバダックさんだったか。

 そして俺の自己紹介を聞いた彼は目を見開いて驚く。

 

「そして、これが証明代わりです」

 

 そう言って俺は鞘からパプニカのナイフを引き抜いて、バダックさんへと見えるように差し出した。

 

「おお!! これは姫がダイくんに渡したと言っておった太陽のナイフじゃな」

 

 このナイフはパプニカ王家が持つ武器であり世界に3つしか存在しない。

 なので間接的な素性の証明にもなるのだ。

 メイン武器の座を鋼鉄の剣に取られたとはいえ、まだまだパプニカのナイフも役に立つ。

 本当ならブラス爺ちゃん殺しに使った凶器なんてトラウマを想起させるので手放したいんだけどね。

 

「それで、レオナは無事ですか?」

 

「うむ!」

 

「じゃあ、どこにいるんです?」

 

「そこまでは分からん。だが姫の傍には常にパプニカ最強の三賢者がついておる! きっと大陸のどこかにいるはずじゃ」

 

「そうですか」

 

 つまり原作通りだな。

 それにしても暗殺事件を反省して護衛を強化するなんて偉いな。

 まあ軍団長を相手にするには焼け石に水だけど。

 

「ところで、なぜ神殿跡地に黒い稲妻が落ちたんじゃ?」

 

「それは俺の魔法です。不死騎団長を撃退する為に使用しました」

 

「なんと! 既に敵の軍団長を撃退するとは、流石じゃの。キミのことは姫様から良く聞かされていたよ。ダイくんが来れば必ず勝てる。それまで皆で頑張ろう、とな」

 

 ……嬉しい事を言ってくれるじゃないか。

 ならばソレに相応しい男にならないとな。

 

「俺達は軍団長との戦いで疲労困憊です。どこかに休める場所はありませんか?」

 

 ブラッディースクライドは暗黒闘気が練り込まれた刺突なので傷が完治していない。

 治すには時間が必要だろう。

 

「ワシの隠れ家を紹介しよう! さあ、ついておいで」

 

「はい!」

 

 こうして俺達はバダックさんについていく。

 ようやく休むことが出来るぜ。

 そしてバダックさんの隠れ家でお世話になることになった。

 どんなに強い存在であっても敵を気にすることなくゆっくりと休める時間というのは必要だからな。

 

「これ、直りそうですか?」

 

「ぬぉ!? こ、これはキラーマシン! 確か魔王軍に鹵獲されていたはず!」

 

 隠れ家の外でバダックさんにキラーマシンを見せる。

 コイツはかつて旧魔王軍によって生み出された兵器のモンスターだった。

 だがパプニカ王国に改造されて人間でも操れるようになった。

 そして不死騎団によって再度モンスター化され、最終的には俺達が倒して鹵獲した。

 しかし鹵獲する過程で頭部が大きく破損しており以前のように運用することが不可能な状態である。

 ちなみに輸送には魔法の筒を使った。

 まあ機械とはいえモンスターだから筒の中に入るのも道理だろう。

 それに新アニメ版では魔法の筒に収容できていたしね。

 

「うむ、パプニカの発明王であるワシに任せておけい! 1日で修復してやるわい!」

 

「ありがとうございます」

 

 パプニカ関係者かつ手先が器用なバダックさんなら直せると信じてた。

 これで戦力が少しアップだな。

 ロモスにサタンパピーが現れた時のように、先の展開を完璧に予想することは困難だ。

 なので少しでも戦力が欲しい。

 キラーマシンは軍団長級の猛者を相手するには少し心細いが雑魚モンスター相手なら無双できるくらいのスペックがあるからな。

 流石は悪名高きロンダルキアに生息するモンスターだ。

 

「ダイくん達は隠れ家のベッドの上で休んでおいてくれい!」

 

「はい!」

 

 こうして俺達はベッドで眠ることにした。

 そして夜が明けた。

 既に暗黒闘気は抜けたので体調も万全である。

 それにしても腹を貫かれたというのに1日で治るなんて前世では考えられない回復速度だな。

 まあドラクエ世界において寝れば全回復するのは常識か。

 

「キラーマシンの修復が完成したぞい!」

 

 目の前には新品同然のキラーマシンがいる。

 マァムが派手に壊したのに、たった1日で修復できるとは。

 パプニカの発明王、恐るべしである。

 というわけでキラーマシンは魔法の筒の中に収容する。

 

「じゃあ地底魔城へ行くか!」

 

 ヒュンケルの兄者が魂の貝殻を入手したかどうかは未知数だ。

 もしかしたら俺達の仲間にならない可能性もある。

 ……いや、ネガティブ思考は良くないな。

 絶対に仲間になるはずだ!

 これが余の武器、どんな時でもポジティブハート。

 

 ■□■□■□■□■□■□■

【side三人称】

 

「おかえりなさいませ、ヒュンケル様」

 

 ここはヴィオホルン山に位置する不死騎団の本拠地、地底魔城。

 その入り口ではモルグという腐った死体が主であるヒュンケルを出迎えた。

 

「……何があったのです? 見た所、酷い傷を負っているようですが」

 

「勇者ダイと交戦した。そして情けをかけられた」

 

「……そうですか。では直ぐに手当てを致しましょう」

 

「その必要は無い」

 

 ヒュンケルはモルグの提案を拒絶する。

 エビルデインとは暗黒闘気が練り込まれた魔法。

 そして暗黒闘気には治癒阻害効果があるので回復呪文を受け付けないので手当ては無駄なのだ。

 もっとも不死騎団は傷に無頓着なアンデッドの群れであるので回復呪文の使い手や薬草の備蓄が貧弱。

 なので通常の傷でも癒せたか分からないが。

 

「それよりもやって欲しいことがある」

 

「なんでしょうか?」

 

「地底魔城の探索をしろ特に地下牢付近は隠し部屋があるかもしれないから念入りにな。そして魂の貝殻があれば必ず俺に提出しろ」

 

 ヒュンケルはダイと交わした決闘を思い出していた。

 育ての親である地獄の騎士バルトスの魂を賭けている以上は必ず約束を履行しなければならない。

 まあ途中でポップ達の乱入があったので決闘の敗北はノーカンにすることも出来る。

 だが彼は真面目なので敗北は敗北として受け止めていた。

 

「分かりました。不死騎団のアンデッド達にそう指示します」

 

 そう言ってモルグはヒュンケルがいる部屋を去り、モンスター達に指示を下す。

 こうして不死騎団による地底魔城の探索が始まった。

 そして数時間後、遂にソレは見つかった。

 

「隠し部屋で見つけた魂の貝殻でございます」

 

「……ごくろう」

 

 モルグはヒュンケルに魂の貝殻を献上する。

 これは死にゆく者の魂の声を封じ込めるアイテムだ。

 そしてヒュンケルの父、地獄の騎士バルトスの遺言が収められている。

 原作世界では囚われていたマァムが偶然、見つけた。

 だが、この世界ではアンデッド達による人海戦術での必然的な入手だ。

 全ては転生ダイの計画通りである。

 

「本当にあったとは……。なぜ奴はこのことを知っていたのだ?」

 

 ヒュンケルは少し疑問に思いながらも魂の貝殻を耳に当てて音声を再生する。

 すると……

 

『……我が最愛の息子、ヒュンケルよ。お前に真実を伝えたいが故に、ここにワシの魂の声を残す。

 あの日……勇者達が地底魔城に攻めて来た日、地獄門を守るワシは勇者アバンと戦った。

 だが……アバン殿は強かった。ワシは敗北し死を覚悟した。その時だ。

 彼は剣を収めた。そしてワシにも愛する家族がいる事を知って情けをかけてくれた。

 そこでワシは恥を忍んで…ヒュンケルを強く正しい戦士に育ててくれることを頼んだ。

 すると……アバン殿は快く承諾してくださった。

 ややあって……ハドラー様の断末魔が響き渡った。だが…主であるハドラー様が死ねば消えるはずのワシは生きていた。

 なぜならばハドラー様は魔界の神バーンの超魔力により……生き延びておられたからだ。

 そしてハドラー様はワシを役立たずと呼び……その命を奪っていった。

 ヒュンケルよ、どうか人間らしく生きてくれ。そして、アバン殿を決して恨んではならん。恨むなら、魔物の分際で人間の子供を育ててしまったこのワシを恨め。

 最後にもう一度だけ言わせてくれ……思い出を……ありがとう!』

 

 辺り一帯を痛いほどの静寂が覆っている。

 するとヒュンケルは動揺しながら口を開く。

 

「それでは……父の生命を奪ったのはハドラーだったというのか!? そしてアバンは俺が父の仇と恨んでいる事を知りつつ、俺を見守ってくれていたというのかッ!」

 

 取り乱したヒュンケルは、手にしていた魂の貝殻を床に叩きつけた。

 

「ヒュンケル様」

 

「……どうしたモルグ?」

 

「たった今、悪魔の目玉より通告がありまして……まもなく魔軍司令ハドラー様がお見えになるとか」

 

「なんだとっ!?」

 

 こうして報告を受けたヒュンケルはハドラーの下へと向かう。

 

「これはこれは、魔軍司令閣下……随分と立派になられましたな」

 

 ハドラーはザボエラと配下のアークデーモン達を引き連れて、地底魔城を進む。

 するとヒュンケルが出迎える為に彼らの前に姿を現した。

 もっとも出迎えると言っても、その姿は腕組みをしたまま行く手を遮るように通路の真ん中で仁王立ちをしている。

 明らかに舐め腐っている。

 

「わざわざおいでになるとは……何用です?」

 

 ヒュンケルは転生ダイ戦で負った痛みを押し殺しながら挑発する。

 それを聞いたハドラーは忌々しそうに青筋を立てるが、激情に駆られることはなかった。

 

「……戦場視察というところだ。大魔王様の命によりダイ抹殺をお前に任せたものの心配になってな」

 

「なるほど、魔軍司令という役職は随分と暇なようですな」

 

「ヒュンケル、貴様! ハドラー様になんという……」

 

「黙れダニが!」

 

 ザボエラはヒュンケルの無礼な態度を注意しようとしたが、逆ギレされてしまった。

 

「クロコダインの次はハドラーに尻尾を振る気か?」

 

「なんじゃとォッ!」

 

 ザボエラは激昂するが決して手を出さない。

 なぜなら魔法を得意とするザボエラにとって、魔法無効にする鎧の魔剣を持つヒュンケルは天敵のような存在だからだ。

 

「よろしいか! 私の任務は大魔王バーン様から直接、与えられたもの! したがっていかなる者も口出し無用! 覆したくば大魔王様に直に掛け合うのですな!」

 

「……分かった。では帰るとしよう」

 

 ヒュンケルによるダイ討伐はバーンの勅命である。

 中間管理職である魔軍司令の立場で異議を唱えるのは大魔王の命令に背くのに等しい。

 なのでハドラーは渋々、引き下がることにした。

 

「モルグ! 魔軍司令殿はお帰りになるようだ! 見送ってやれ!」

 

 そう言ってヒュンケルはハドラー達に見送りをつける。

 もちろん、これは純粋な親切ではない。

 余計な小細工をしないように見張りをつけたのだ。

 

(ハドラーは父さんの仇、本来なら今すぐにでも息の根を止めてやりたい……だが俺にはやらねばならないことがある)

 

 地底魔城の闇に溶けていく怨敵を睨みながら、ヒュンケルはそう思考する。

 傷が完治していない状態で戦いを挑めば返り討ちにあう、つまりは無駄死にだ。

 ならば罪滅ぼしの為に、ダイの為に命を燃やす。

 彼はそう決意した。




※キラーマシンが魔法の筒に入る件
新アニメ版では賢者バロンがキラーマシンを魔法の筒から召喚していた。
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