転生ダイの大冒険   作:ジャガン大好き民

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レベル2 覇者の冠

 前世を思い出してから年月が経過し12歳になった。

 つまり原作開始の年である。

 俺はストイックな鍛錬の日々により確実に成長している。

 まあ習得魔法は相変わらず1つのみだが、魔法以外の進捗は順調である。

 

「さて、今日も始めますか!」

 

 俺はギガンテスのように大きな岩の前で銅の剣を構える。

 ちなみにコレ(銅の剣)はブラス爺ちゃんが旧魔王軍時代に持ち込んだ骨董品だ。

 たぶん人間から略奪したアイテムなのだろうな。

 

 当たり前だがデルムリン島には武器屋のような人間の経営する店は存在しない。

 もちろん怪物島に行商にやってくることもないし、反対にモンスターが人間の住む町や村まで買い出しにいくこともない。

 なにせ魔王ハドラーが地上を侵略したせいで人間とモンスターの関係は最悪だからな。

 故に人間が生み出したアイテムは貴重なのだ。

 ……話がズレてしまったな。

 

 今は目の前の事に集中するとしよう。

 ということで俺は全身に力を貯めて、それを解放する。

 

「でやああっ!!」

 

 雄叫びと共に上段に構えた剣を、最適化された動きで振り下ろす。

 すると岩は溶けたバターのように簡単に切れた。

 これこそがアバン流刀殺法の『体』を司る第一の必殺剣、大地斬だ。

 その極意は最小限の動きで最大限の威力を出すことにある。

 まあアバン流刀殺法は習得していないので正確には習得したわけじゃないんだけどね。

 

「ピピピィ!」

 

 隣にいるゴメちゃんが我が事のように喜ぶ。

 応援、ありがとうな。

 だけど使える必殺剣はこれだけじゃないぜ。

 

「メラ!」

 

 火炎呪文(メラ)の言の葉を唱えて火球を上空に向けて投げた。

 そして俺は銅の剣を構えて、ソレ(火球)に向けて飛ぶ斬撃を繰り出す。

 

「せいっ!」

 

 すると火球は真っ二つに両断された。

 これこそがアバン流刀殺法の『技』を司る第二の必殺剣、海波斬だ。

 その極意はスピードにあり、魔法やブレスすら切り裂くことが出来る。

 

 まあ原作ダイでも大地斬と海波斬を習得するのは3日とかからなかったからな。

 原作よりもストイックな鍛錬をしている(ダイ)ならば余裕だろう。

 というか今の時点で初期キギロやオトギリ姫くらいなら普通に倒せるんだよな。

 やはり(ドラゴン)の騎士ボディーは異常なほどに才能がある。

 

 だけど、剣術の上達はこれで打ち止めだろうな。

 なにせ『心』を司る第三の必殺剣、空裂斬の極意はディードックが言っていたように雲を掴むような話。

 心眼で本質を見極めて光の闘気で攻撃するとか何を言っているんだ?

 中身が純朴な原作ダイじゃなくて、ドラクエオタクAの魂という異物が混入しているから光属性なんてガラじゃない。

 むしろ憎悪とか嫌悪などの負の感情で習得できる暗黒闘気の方が向いてそう。

 

「ピピィ!」

 

 するとゴメちゃんが俺に何かを伝えようとしてきた。

 それを受けて彼の翼の先、要するに海の向こうを見てみる。

 すると、そこには立派な船とソレに随伴する小舟が此方に向かってきていた。

 

「……遂に来たか」

 

 近隣から怪物島と恐れられているデルムリン島に一般人はやってこない。

 つまり原作通りニセ勇者達が来た可能性が高い。

 なので望遠鏡で件の船を観察する。

 

「あれが偽勇者達か」

 

 ボートの上には勇者の服装をした男女が4人がいる。

 しかしシリーズ最高傑作と名高い(俺の声)ドラクエⅢのパロディキャラを小悪党にするって凄い判断よな。

 時代が時代なら炎上してそう。

 

「ゴメちゃんは隠れててね」

 

「ピピッ!」

 

 こうして俺はブラス爺ちゃんを筆頭とした実力派のモンスターと共に海岸で警戒態勢を取る。

 絶対にゴメちゃんは渡さないぞ。

 もちろんデルムリン島でニセ勇者を撃退したら、ロモスの王様から覇者の冠が貰えなくなるなどの悪影響が発生してしまうだろう。

 だけど俺は親友が悲しむ姿を見たくないからな。

 原作ブレイクがなんぼのもんじゃい!

 

 そしてニセ勇者達を載せた小舟は海岸へと到着した。

 彼らはモンスターが待ち構えている様子を見て警戒している。

 これでは話が進まないので、まずは俺から声をかけてみた。

 

「貴方達は一体何者ですか?」

 

「オレ達は勇者一行だ」

 

「い、いや違う! 本当の勇者様はもっと澄んだ目をしておられる……! 貴様らは誰じゃ! 何しに来た!」

 

「うるさいジジイだ。イオラ!」

 

 するとニセ勇者はブラス爺ちゃんに向けて爆裂呪文(イオラ)を放ってきた。

 はい、これで正当防衛の要件が成立したな。

 後はボコボコにするだけである。

 

「海波斬!」

 

「なにぃっ!?」

 

 海波斬は魔法の光弾を両断すると、それを見たニセ勇者達はまさかの事態に驚愕する。

 まあ辺境の子供が魔法を斬る程の技量を持っていたら誰だって驚くわな。

 それに爆裂呪文(イオラ)は割と高度な魔法でもあるしね。

 

「隙ありじゃ、メラミ!」

 

「げべっ!」

 

 これを好機と見たブラス爺ちゃんは火炎呪文(メラミ)でニセ勇者をノックアウトさせる。

 爺ちゃんは旧魔王軍の幹部だったので割と高度な魔法を使うことが出来る。

 

ニセ勇者(でろりん)がやられた!?」

 

 ニセ勇者の仲間達は目に見えて動揺する。

 つまり士気的には此方が有利。

 ならば畳みかけるしかないな。

 

「パペットマン、魔法使いに向けて不思議な踊り!」

 

「カッカッカッ!」

 

「ううっ……魔法の力が吸い取られるぅ」

 

 リーダー格のニセ勇者を倒した次は魔法使いだ。

 アイツは夜逃げしたとはいえ幻の賢者バルゴートの弟子なので油断はできない。

 なので不思議な踊りでMPを減らして確実に無力化する。

 

「クオオオオ!」

 

「このォ!」

 

「今だ! 大地斬!」

 

 戦士は持ち前のタフネスで大王イカと競り合うが、俺が横から斬撃(大地斬)を叩きこんだことでノックアウトする。

 もちろん得物が銅の剣(なまくら)なので致命傷は負ってない。

 島を襲撃してきた悪人とはいえ殺すのは目覚めが悪いからな。

 

「さあ、残るはお前だけだ!」

 

「こ……降参しますぅ! 何でもしますから命だけはぁ!」

 

 最後の1人になった女僧侶は戦力差を理解したのか簡単に降伏した。

 ということで俺はニセ勇者達を縄で縛り上げた。

 もちろん魔法で抵抗されないように、パペットマンの不思議な踊りでMPはスッカラカンにしてある。

 

「偽勇者達を船に送り返すのは面倒だね。キメラで空輸しようにも人数制限があるだろうし」

 

「そういう時はこれを使うとよいぞ!」

 

 ブラス爺ちゃんはそう言うと風呂敷を広げる。

 そこには金属製の筒が何本も納められていた。

 

「これは魔法の筒という、中に物体や生物を1つだけ封じ込める筒なのじゃ。これを構えて『デルパ』と唱えれば中身が飛び出す。『イルイル』と唱えれば筒を向けた相手を封じ込める。誰にでも使える魔法の道具じゃわい」

 

 魔法の筒って、かなり便利なアイテムだよな。

 どこでも自由に軍隊を展開することが出来るので奇襲し放題だ。

 原作では魔王軍が有効活用していた覚えがある。

 

「爺ちゃん、こんな物どこにあったの? 家の中では見たこともないんだけど」

 

「物置に隠しておいたんじゃよ。旧魔王軍の遺物じゃから見せびらかすのは良くないじゃろうし」

 

 デルムリン島は旧魔王軍のモンスター育成施設なので、こういう便利なマジックアイテムが眠っていたりする。

 育成施設に設備投資をして、施設の責任者(ブラス爺ちゃん)を幹部に抜擢するとか魔王時代のハドラーは真面目に組織作りをしていたんだな。

 それに比べてバーン時代の魔王軍幹部って前線指揮官と監査役しかいないんだよね。

 いくらなんでも脳筋組織すぎる。

 まあ所詮は余興に過ぎないから仕方ないか。

 

「……これを使えば魔王とかも余裕で封印出来たりするんじゃない?」

 

「そうもいかん。魔王ほどの実力者にもなると抵抗されてしまうわい」

 

 まあ魔法の筒で何でも解決したら原作であんなに苦労していないわな。

 コイツが通用するのはブラス爺ちゃんやニセ勇者くらいの(レベル)が限界なのだろう。

 それでも十分、強力なアイテムだけどね。

 

「じゃあ、ニセ勇者達を船に送還するね」

 

 こうして俺は魔法の筒にニセ勇者達を詰めてからロモスの王都へと向かう。

 ちなみに移動にあたってキメラに協力してもらった。

 俺が子供だとはいえ人間を簡単に空輸できるなんてモンスターの力は偉大だ。

 

 だけど人間達はモンスターを家畜のように使役することはない。

 なぜならば、魔王の邪気により凶暴化する危険性があるからだ。

 そんな不安定な存在を使役したがる物好きはいない。

 一応、破邪呪文(マホカトール)で沈静化も出来るが、あの魔法はレアな部類なので使い手が少ないのだ。

 使い手もアバンかギュータの住民くらいだしね。

 

 さてと、もうそろそろ船の上だ。

 というわけでキメラから飛び降りる。

 

「到着!」

 

「な、なんじゃ!?」

 

 船の上にはロモス王と数人の兵士がいた。

 この世界って新アニメ版準拠なんですね。

 漫画版や旧アニメ版なら王様は城の中にいるはずだし。

 つまり幻夢魔道ベルドーサや豪魔軍師ガルヴァス*1はいない可能性が高いということだ。

 それはともかくとして、俺は魔法の筒を構える。

 

「デルパ!」

 

「こ、こやつらは勇者でろりん達ではないか!」

 

 驚くロモス王を前にして俺は地に伏して頭を下げた。

 まずは敵意がない事を理解してもらわないとな。

 

「ロモスの国王陛下でいらっしゃいますか?」

 

「うむ、いかにも」

 

「お初にお目にかかります。俺の名前はダイ。デルムリン島、皆様が怪物島と呼ぶ南海の孤島に住んでいる臣民の1人です。まずは勝手に陛下の船へ乗り込んだ無礼を謝罪いたします」

 

「うむ、許そう。それで用件はなにかね?」

 

「此方の船に随伴していたニセ勇者によって島を襲撃されました。これは陛下の御意思なのですか?」

 

 ちなみにニセ勇者達の行為は明確な悪事ではない。

 大半のモンスターは魔王の邪気によって凶暴化する可能性があるからな。

 それを事前に倒すのは人類にとっては善行だろう。

 とはいえ此方にも自衛権はある。

 

「勇者でろりんにゴールデンメタルスライムを献上すると言われてのう。それでデルムリン島の近海に出向いたのじゃよ」

 

「そのゴールデンメタルスライムは俺の友達なのです。捕獲するのは御容赦いただけませんか?」

 

「そうじゃったのか! ならば仕方ないのう」

 

「ありがとうございます!」

 

 ロモス王は本当に器の広い君主だ。

 まあ器が広すぎるせいで妖魔学士ザムザに騙されたりもするんだけどね。

 だけど、それが回りまわって世界を救うことになるので結果オーライだ。

 

「それにしても勇者でろりん達を倒すとは子供ながら見事な実力じゃのう」

 

「いえいえ、島のモンスター達の協力があってこそです」

 

「そうじゃ! 勇者でろりんに授与する予定じゃった覇者の冠をオヌシに授与しよう」

 

 ……それは思わぬ収穫だ。

 ぶっちゃけ貰えるとは思ってもいなかったぞ。

 これが歴史の修正力というヤツなのだろう。

 とはいえ気前が良すぎである。

 まあ原作の時点で王城を襲撃したテロリストに恩賞を与えたりしてたんだけどさ。

 

「ありがたき幸せ!」

 

 こうして俺はロモスの国宝、覇者の冠を手に入れた。

 コイツは凄いぞ。

 なにせ神々が授けたという永久不滅の金属、オリハルコン製の防具だからな。

  毒蛾のナイフが国宝である、どっかの王国*2とは大違いだ。

 

「ではデルムリン島で平和に暮らすがよい」

 

「ハハッ!」

 

 という事で俺はデルムリン島へと帰還した。

 今回は大勝利で終わったな。

 この調子で原作を乗り越えていきたい。

*1
旧作にのみ出て来た敵キャラ

*2
ドラクエ7のフォロッドのこと。ちなみにナイフはラッキーパネルで量産できて、田舎の武器屋がプラチナソードを宝剣にしている世界観である。




※転生ダイの習得魔法
メラ、大地斬、海波斬

少し強くし過ぎた感もある。
こんくらいしないと詰んでしまうので許して。
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