転生ダイの大冒険 作:ジャガン大好き民
【side三人称】
ここは魔王軍本拠地、鬼岩城。
その鬼岩城にある左肩の間には魔軍司令ハドラー、竜騎将バラン、妖魔司教ザボエラ、魔影参謀ミストバーンが勢揃いしていた。
つまり魔王軍幹部による緊急会議が開催されている。
「ハドラー様……! 今なんと!?」
「総攻撃をかける!! フレイザードは深手を負いクロコダインは行方不明となった。もはや悠長に事態を眺める暇はない。故に残る全軍団を集中させ一気にダイ達を始末するのだ!」
ザボエラの問いかけにハドラーは声高に返答する。
「ふむ……。しかし総攻撃をしたとしても勇者めに逃げられる心配があるのでは? その隙に他国が息を吹き返し団結すれば面倒なことになりそうですな」
バランが冷静に意見を述べる。
魔王軍の大戦略は人間の国家を一斉に攻撃し連携が出来ない状況にしてから各個撃破すること。
なので総攻撃によって各国の侵攻をストップしてしまえば、国家が連携を開始し軍を再編成するだろう。
つまり戦略が崩れることになってしまう。
だからこそ、そのリスクに見合うほどの戦果を確実に上げなければならないのだ。
「問題はない。勇者の仲間を捕らえたとフレイザードから報告があった。奴らは仲間を見捨てはせん。アバンもそうだったが、奴らは優しさとかいう低次元なサルにも劣る感情を持っているからな」
「なるほど。勇者ダイに会ったことのない私などが、口を出すことではありませんでしたな。失礼した」
「……いや、構わぬ。当然の疑問よ」
「しかしハドラー様。あの手柄にうるさいフレイザードが納得しますかな?」
するとフレイザードの野心の強さを良く知っているザボエラがハドラーに問いかけた。
「アイツは禁呪法によりこの俺が生み出したモンスター、いわば我が子も同然だ。親には逆らうまい」
「……そうですな」
ザボエラは少し逡巡してからハドラーの言うことを肯定する
彼の脳裏によぎったのはロモスでの一件だ。
そこでは
流石のダニ野郎もこれにはドン引きである。
「それに今回はアイツから援軍を要請してきたのだからな、尚更よ」
「フレイザードが自ら援軍を要請!? それはまた珍しいですな」
助けを求めるフレイザードの姿を想像できず、ザボエラは思わずそう呟いた。
「うむ……。よほど先の戦いで奴らに煮え湯を飲まされたと見える」
「
バランはニヤリと笑い、もはや用は無いとばかりに左肩の間を立ち去ろうとする。
しかし、ハドラーはそれを止めようと口を開く。
「ま、待てバラン! お前には別にやってもらいたいことがあるのだ」
「なんだと?」
ハドラーの言葉にバランは足を止めた。
「実はミストバーンの担当しているカール王国が中々の手練れ揃いで手こずっておるのだ。お前には早急にカールを侵攻してもらいたい」
「……たった今、『残る全軍団』と言われたはず! それに各戦線の侵攻よりも『勇者打倒』が優先なればこその六大団長集結ではなかったのか?」
そのバランの指摘に、ハドラーは苦々しげに押し黙る。
彼自身も無理のある命令だと理解しているからだ。
「それとも……そのダイとかいう小僧と私が出会ってはまずい理由でもあるのかね?」
バランとダイは親子の関係である。
なので彼らが遭遇すればバランは必ずダイを部下にするだろう。
そうなれば魔王軍のパワーバランスが崩れてハドラーは魔軍司令を解任されてしまうかもしれない。
だからこそバランにカール王国攻略をさせている隙に、総攻撃(バラン抜き)でダイを抹殺しようとしているのだ。
「……フッ! まあ良いわ。ここは魔軍司令殿の顔をたてておこう。カール王国へ向かわせてもらう!」
バランはハドラーが何か隠し事をしていると確信していた。
だが、ここでハドラーの命令を無視して要らぬ対立を生むこともないと考えて、忠実に命令を聞くことにした。
するとバランと入れ替わりになる形で悪魔の目玉が室内に入って来た。
「ハドラー様、クロコダイン殿より通信が入っております」
「おお! やはり生きていたか! 早速、繋げ!」
そうして悪魔の目玉に獣王クロコダインの顔が浮かぶ。
「大渦に落ちたと聞いていたが、無事であったようで何よりだ」
「ええ、死ぬかと思いました」
クロコダインはワニの獣人なので泳ぎが得意だ。
それに原作のクロコダインはバルジの大渦で修行していた。
つまり大渦に巻き込まれた程度では死なない。
「それで早ければ明日、魔王軍の総攻撃を行う予定だ。貴様も参加できるか?」
「……もちろんです」
クロコダインは闘気を滾らせる。
彼はダイ達の味方になることはない。
なぜならば自らの保身が原因でブラスを死なせてしまったからだ。
故にアバンの使徒に味方することは出来ないと思っている。
「では確実にダイを抹殺する為に、万全を期した状態で総攻撃をするのだ!」
「承知!」
「ははっ!」
「……」
3人の軍団長は命令を受けて早速、準備を開始する。
武人としてのカリスマがあるクロコダインはパプニカ周辺の野良モンスターを徴兵し、魔法に長けるザボエラは部下と共に
なおミストバーンはこの会議で一言も話さなかった。
こんな調子で魔影『参謀』が務まるのだろうか?
それはともかくとして、ハドラー達は順調に総攻撃の準備を整えていった。
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【side転生ダイ】
小舟が波を掻き分けて猛スピードで進んでいる。
激しい揺れと共に時折、波の飛沫が顔にかかった。
今の俺達はバルジ島へ再突入している真っ最中だ。
乗っている小舟は一向にスピードを落とすことなく前進し続けている。
このまま進めば目の前にある崖に激突してしまうのは必至だろう。
「せいっ!」
なので俺は激突する直前で小舟から飛び降りた。
これにより崖に激突してバラバラになったのは小舟だけで済む。
そして魔法の筒を構えた。
「デルパ!」
その言の葉により仲間達は次々と現れていく。
やっぱ魔法の筒ってチートアイテムだわ。
「じゃあ打ち合わせ通り、2本の塔が壊れたらバルジの塔に突入しよう!」
「ええ! 後で会いましょう!」
こうして俺達は氷魔塔を攻略するアバンの使徒組と炎魔塔を攻略するパプニカ組で分かれた。
もちろん氷炎結界呪法の影響範囲外、つまりは海岸線を走っているので少し大回りではある。
とはいえバルジ島は割と小さいので20分もしないうちに辿り着けるだろう。
そしてその20分後、俺達は氷魔塔付近に到着した。
塔の周囲にはガーゴイルやアークデーモンなどのモンスターがいる。
彼らは魔軍司令直下の親衛隊だ。
つまり、その場には必ず奴がいる。
「ククククッ! 待ちかねたぞ! ダイ!」
魔軍司令ハドラーがいる。
傍らにはクロコダインと……フレイザードまでいる。
なんかバルジの塔にいるはずの奴が氷魔塔にいるんですけど。
流石にこれは想定外だ。
「フレイザード、人質を見張らなくていいのか?」
「ク~ックックックッ! 待つのは性に合わないんでな。それに2つの塔を壊さない限り、お前らはバルジの塔に来ることはねぇ。なら無防備でも構わねぇってワケだ! ソレに戦力の遂次投入は愚策だろォ?」
完全に思考を読まれてしまったな。
まあパプニカ組が担当する炎魔塔にフレイザードが来てなくて良かったと思うことにしよう。
それに雑魚モンスターを除けば3対3の戦いになるから状況的には五分五分だ。
いや、今のマァムに軍団長を相手させるのは荷が重いか?
「そしてヒュンケルよ、裏切者には死あるのみ! それが魔王軍の掟だ!」
「いいだろう、かかってこい!
そう言ってヒュンケルは戦闘態勢に入る。
さてと、マイクパフォーマンスはこれまでだ。
ここから本当の戦いが始まる。
「さあ、頼んだぜ! マァム!」
「ええッ!」
俺が合図を行うとマァムはハドラーに向けて魔弾を発射した。
「くだらんな、名も無き小娘の攻撃如きで魔軍司令が……グワアアッ!」
「ハドラー殿ォ!?」
完全に油断して攻撃を被弾したハドラーは遥か向こうに吹き飛んでいった。
アレには
そして魔弾にすると
しかもバシルーラと違って追放する場所まで指定することが出来て、攻撃判定ではないので猛者にもレジストされることもない。
魔弾銃とは本当に興味深い武器だな。
「あれはバシルーラか。くだらんな、ハドラー殿はキメラの翼を所持している。時間稼ぎにもならんぞ!」
「飛ばした先はバルジの塔だからキメラの翼は使えないよ」
「なにッ!?」
バルジの塔は氷炎結界呪法の影響範囲内なので魔法や魔法のアイテムが使えない。
それは味方であるはずの魔王軍も同様だ。
なのでハドラーは徒歩で戦場に戻らないといけない。
おそらく戻るには10分くらいかかるだろうな。
その間に2人の軍団長を倒してしまえばハドラーは孤立する。
つまり相手は戦力の遂次投入をせざるを得ないわけだ。
「どんな気持ちだ、フレイザード? 自分の結界が敵に利用されちゃったなぁ!」
「テメェッ!!
するとフレイザードは激昂しながらも氷魔塔を自分から破壊した。
確かに結界が無ければハドラーは直ぐに戦線復帰できるもんな。
氷のように冷静に判断だが、炎魔塔も壊さないと結界は解除されないぞ。
「そこのガーゴイルC! 炎魔塔に事情を伝えて来い! そしてソレを壊せ!」
「ハッ!」
クロコダインは配下のモンスターに指示を出した。
炎魔塔まで壊されたらハドラーはキメラの翼で戻ってくる。
つまり残り時間は想定よりも少ないと思った方がいい。
「手早くいくぞ!」
「ええ!」
俺がそう言うと彼女は上空に向けて魔弾を発射する。
すると、ここら一帯に雷雲が発生し雨が降り始めた。
今の魔弾の中身は
ちなみに、これはマトリフさんに装填してもらった。
そしてソレを使ったという事は使う魔法は1つ。
「唸れ黒い稲妻! エビルデイン!」
その言の葉を唱えると
これにより軍団長以外のモンスターは全滅し、軍団長達も少なくないダメージを受ける。
良い火力だ!
俺がいつも使っているエビルデインはデインを基にしている。
だが今回使ったのはライデインを基にしているので威力は通常時よりも高い。
ちなみに元ネタである魔人王ジャガンが使っているのは後者の方だ。
つまり本物に限りなく近づいた。
「なあ、クロコダイン。唐突だけど俺の仲間にならないか?」
「「「ハァ!?」」」
すると俺以外のメンツが驚愕の声を漏らす。
まさか、ここでヘッドハンティングするとは思わなかったらしい。
「……断る!」
「なんで?」
「俺は貴様の親を殺したようなもの。どの面を下げて味方になるのだ」
「別に気にしてないよ」
「気にしているのは俺だ。武人として筋の通らないことはせん!」
ブラス爺ちゃんを死においやった罪悪感+親殺しによるドン引き+
こうなったら梃子でも動かないだろう。
……じゃあ殺すしかないな。
俺は覚悟を決めた。
「エビルデイン!」
俺は
雨が降った状態で放つ魔法剣がどれだけの威力を持っているかは自分でも分からない。
そして剣を逆手に構えてから闘気を充填する。
これこそは世界を救った勇者の一撃。
「アバンストラッシュ!」
「獣王激烈掌!」
痛恨撃じゃなくて激烈掌だとォ!?
おそらくバルジ島の大渦に落ちたことで思いついたのだろうな。
確か原作でも同じような流れで編み出していたし。
それでも色々と先取りし過ぎである。
なので奥義同士の衝突は全くの互角で終わる。
……これは益々、殺さないといけなくなったな。
「
「海波斬!」
「ウイングブロウ!」
フレイザードはマァムとヒュンケルの兄者によって抑え込まれていた。
しかも戦場に降る雨によって炎の半身が少しだけ弱くなっているな。
とはいえ彼女達は空の技を使えないので決定打に欠けると。
戦況は此方側が優勢だが、早くしないとハドラーが帰って来てしまう。
なので俺は再度、剣に魔法を纏わせることにする。
「エビルデイン!」
「また同じ技を使う気か! いいだろう、とことん付き合うぞ!」
そう言ってクロコダインは両手に闘気を籠めた。
もちろん、さっきのようにはいかないぞ。
ちゃんと考えがある。
俺は剣を握りしめる右手に力を入れた。
「獣王激烈掌!」
「……」
闘気の渦が此方に迫ってくる。
だが俺は敢えてアバンストラッシュで迎撃しない。
代わりに左手を使い懐からキメラの翼を取り出した。
そしてソレを使用してクロコダインの真後ろへ移動した。
ちなみに、これで在庫は全て使い切ることになる。
異なる魔法を2つ同時に使うことは大魔道士にのみ許された超技巧だ。
もちろん俺が使えるわけがない。
なので魔法を剣にチャージしたまま
だが道具と魔法の同時使用なら話は別だ。
つまりキメラの翼を使って攻撃を回避したのと同時に魔法剣を使うことは出来る!
「なにっ!?」
「アバンストラッシュ!」
必殺の一撃がクロコダインの胴体に炸裂した。
※ルーラを魔弾銃で撃った件
全身から魔力を放出しているから魔弾に装填できなさそうという意見は受け付ける。
まあ整合性より面白さ優先なんで。
それに敵もルーラが使えたりキメラの翼を持っていたりするので、飛ばした先が氷炎結界呪法の範囲内じゃない限りは戦場に戻ってくるでしょう。