転生ダイの大冒険   作:ジャガン大好き民

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レベル28 ドラゴンキラー

【side三人称】

 

「あ……あううっ!」

 

「まっ……まさかっ!」

 

 時は少し遡り鬼岩城にある玉座の間

 そこを巡回していたガーゴイル達が驚愕していた。

 なぜならば……

 

「ハドラー様!」

 

「亡くなられたはずでは!?」

 

 魔軍司令ハドラーが玉座の間に鎮座していたのだから。

 ガーゴイルの言う通り彼は勇者の剣閃により真っ二つにされたはずである。

 だが彼はこうして生きている。

 

「うむ、確かに命絶えたはずだ」

 

 そう言ってハドラーは手にした盃を飲み干す。

 どうやら自分自身でも復活した理由が分かっていないようだ。

 しかも彼はただ復活しただけではない。

 顔の黒い模様が一回りほど大きくなっている。

 そうして顔の模様に沿ってなぞるように指を当てていると、玉座のすぐそばから声が聞こえて来た。

 

「それは暗黒闘気の影響だ……」

 

「ミ……ミストバーン! そうか、貴様が暗黒闘気の魔力によって俺を蘇らせたのか!」

 

「……」

 

 ミストバーンは頷きでソレを肯定した。

 

「言われてみれば何か凄まじいパワーが全身に宿ったような感じだ。死ぬ前よりも強靭な体に生まれ変わったのか!?」

 

「それがバーン様がお前に与えた肉体の秘密。例え死しても私やバーン様の暗黒闘気がある限り何度でも蘇る。以前より遥かに強い力を備えてな……」

 

「貴様はそのために俺の部下に?」

 

 なぜ大魔王の側近であるミストバーンがハドラーの部下、軍団長の座に甘んじていたのか。

 それはハドラーをいつでも回収して蘇生できるようにというのが真相だ。

 まあ部下が自分より上司と近いというのは中間管理職にとって胃痛案件でもあるが。

 とはいえ、ずっと燻っていた謎がここへ来て解けた。

 

「ハドラー、これだけは覚えておくがいい…。お前の肉体は我が全能なる大魔王バーン様の物なのだ。お前に生死を選ぶ権利も無い。ただ修羅のごとく戦うのだ。お前の主、バーン様の為に……」

 

「望むところよ!」

 

 現実のブラック企業でさえ『死んでも働け』とは言われるが『死しても働け』とは言われない。

 まさしく魔王軍はブラックを超えたブラック職場だ。

 そしてハドラーは玉座の間にある六芒星を眺める。

 

「……ヒュンケルとフレイザードが裏切り、クロコダインが死んだ。そのため邪悪の六芒星を形成する三角形が1つ消滅してしまったのだ! こっ、これは……まさか我が魔王軍の戦力が半減したことを意味するのでは?」

 

 ハドラーは冷や汗を流す。

 魔王軍総攻撃をアバンの使徒達は跳ね返した。

 このままでは魔王軍の勢いは弱まる一方だろう。

 すると突然、笛の音が響き渡る。

 

「このメロディーは……死神の笛の音!?」

 

「……」

 

 それを聞いたハドラーは辺りを見渡す。

 すると突如として暗闇から1人の男が現れた。

 彼こそが笛を吹いた張本人である。

 

「グッドイブニング! 鬼岩城のみなさん!」

 

「貴様は死神ッ!」

 

「……キルバーン!」

 

 キルバーンと呼ばれた男は道化師のような恰好をしており、顔には薄ら笑いを浮かべた仮面を装着しており、肩には使い魔のひとつめピエロを載せている。

 彼の肩書きは大魔王バーン直属の殺し屋だ。

 そんな男が来るということは誰かが不始末でもしたということ。

 心当たりがありすぎるハドラーは冷や汗を滝のように流す。

 

「……ところでハドラーくん。最近キミは戦績が優れないみたいだねぇ……」

 

「そうそう! てんでだらしないんだよ! 勇者ダイを撃ち漏らして以来、軍団長は次々と倒されるわ、ロモスとパプニカを奪回されるわで、もうボ~ロボロ! おまけに、この間は全軍総がかりでダイ達にやられちゃったんだよ~! キャハハッ!」

 

「だっ……黙れッ! 現在も抹殺計画は進行中なのだ! あんな小僧どもなど直ぐに始末してやるわッ! この俺の手でな!」

 

「そうはいかぬ! 次にダイと戦うのは私だ!」

 

 すると玉座の間に大声が轟く。

 それと共に竜騎将バランと妖魔司教ザボエラが入室してきた。

 

「バランよ、カール王国攻略はどうした?」

 

「既に滅ぼした」

 

「なっ!?」

 

 ハドラーはそれを聞いて冷や汗を流す。

 カール王国は屈強な騎士団を抱えており騎士団長ホルキンスなどは隣国にも名を馳せる実力者だ。

 そんな国をたった数日で攻略されたとあっては驚くのも当然だろう。

 

「ま、待てバラン! この場は大魔王様の信頼回復の為に俺が……」

 

「魔軍司令殿。貴方の口実は聞き飽きた。私は既に貴方が私をダイに近づけたがらぬ理由が読めている」

 

「なっ、なんだとっ!」

 

「あの少年ダイは……(ドラゴン)の騎士なのだろう!」

 

 確信をもって言い放つバランにその場の一同が驚愕した。

 だがハドラーだけは驚愕ではなく絶望に顔を染める。

 

「任せて貰えますかな?」

 

「ならん! ならんならんならんっ!」

 

 もはや言い訳も思いつかず必死にバランの行動を却下するハドラー。

 旧魔王軍幹部がこの痴態を見たら失望することだろう。

 

「第一、奴が(ドラゴン)の騎士などという証拠などどこにもないぞっ!」

 

「ザボエラよ、確か勇者ダイは魔法剣と雷撃呪文を使ったそうだな?」

 

「うむ、確かに使っておりましたわい」

 

「それこそが何よりの証拠よ。悪魔の目玉よ、その光景を写せ」

 

 バランが指示を出すと悪魔の目玉がロモスでダイが戦った様子を投影する。

 雷撃呪文と魔法剣、それは(ドラゴン)の騎士が扱える権能だ。

 その2つを使えるという事は、そういうことだろう。

 ちなみに原作のダイは悪魔の目玉の前で2つの権能を使ったことは無い。

 

「ザボエラ、貴様……」

 

 ハドラーはザボエラを忌々し気に睨みつける。

 悪魔の目玉の所属はザボエラ率いる妖魔士団である。

 なので彼が協力しなければバランにダイが(ドラゴン)の騎士だと露呈することも無かっただろう。

 

「そもそも、勇者の父親であることは責任問題だ!」

 

「ならば、責任を取って勇者ダイを仲間に引き入れましょう」

 

「ならぬっ! 魔軍司令として命ずる! バラン、貴様が動いてはならんっ!」

 

 最終的にハドラーは魔軍司令としての権限を保身の為に利用する。

 組織人として最低の行為だ。

 

「それに従わないとしたら?」

 

「なにっ!?」

 

 バランはハドラーよりも圧倒的に強いので実力で止めることは不可能だ。

 故に、ハドラーはバランの言葉に戦慄する。

 彼の胃はもうボロボロである。

 だけど大丈夫、壊れてもバーン様の超魔力で復活できるから。

 

「ウフフッ……ボクにもだいたい筋書きが読めたよハドラーくん。バランくんと勇者ダイは親子の可能性が高い。そしてハドラーくんは彼らが結託して魔軍司令の座を追われることを警戒しているのだろう?」

 

「……ッ!」

 

「ならばこういうのはどうだい? 勇者ダイが魔王軍に入った時には魔軍司令補佐、つまりはハドラーくんの部下にすればいい。そうすればハドラーくんが魔軍司令の座から追われる可能性も低くなるだろう」

 

「実の息子を無断で殺そうとした男に息子を任せると?」

 

「かわいい子には旅をさせよというだろ。それにダイに何かあれば必ずバランくんによる報復がある。だからハドラーくんはダイを危険には晒さない」

 

 その提案に2人は考えこむ。

 バランとしては息子と一緒にいたい、ハドラーは魔軍司令の座を守りたい。

 同時にそれを叶えられるかもしれない可能性に思い至ったのだ。

 

「……いいだろう、死神の仲裁案を受け入れよう。その代わりダイの勧誘は超竜軍団に任せてもらおう」

 

 バランはしばらく黙った末に答えを出す。

 ここで無駄な押し問答をするよりかは建設的だと考えたようだ。

 もちろんハドラーを実力で排除することは簡単だが、それをやれば大魔王バーンの要らぬ不興を買うかもしれない。

 落としどころとしてはまずまずだろう。

 

「此方も了解した。バランよ、魔軍司令として命ずる。ダイを仲間に引き入れよ! そして妖魔士団と魔影軍団は援護を行え!」

 

「委細承知!」

 

 ハドラーも了承したことでバランは早速、準備へと取り掛かる。

 こうしてベンガーナにバランが現れるという原作ブレイクが発生したわけだ。

 

「これでトラブルは解決したね。じゃあ、とり急ぎボクの用件を済ませようか」

 

 キルバーンはそう言ってバーンの鍵を懐から取り出すと、六芒星に隠されていた鍵穴にソレを差し込んだ。

 すると鬼岩城は駆動を始める。

 裏切者の軍団長達が鬼岩城の場所を知っているので移動せよ、というのが大魔王が死神に命じた用件だ。

 

「さあっ、みんなで楽しい世界旅行とシャレこもうよ」

 

「わーいわーい! キャハハハッ!」

 

 ■□■□■□■□■□■□■

【side転生ダイ】

 

 原作通りならキルバーンが竜の群れを率いるというヌルイ襲撃だったはず。

 だけどバタフライエフェクトによりバラン父ちゃんがベンガーナに来てしまったと。

 おそらく悪魔の目玉の前で雷撃呪文と魔法剣を見せたのが原因かな?

 ……まあ原作よりも展開が早まっただけだし、何も問題はない。

 いつものように何とか乗り切るぞ。

 

「みんな、敵がやっ……」

 

 ――ゴゴゴゴゴゴゴ!

 

 そう言おうとした時、突如としてデパートをすさまじい地響きが襲った。

 これには周囲の客達も騒然としている。

 俺は占いコーナーから飛び出して、デパートの側面に空いている窓から身を乗り出して外を見た。

 すると町の遠くではヒドラ1匹とドラゴン5匹が城壁を破壊している。

 ここは原作と同じだな。

 そしてベンガーナの駐屯兵達は勇敢に奴らと戦っているが、全く敵わず簡単に蹂躙されている。

 まあ竜族は最強のモンスターだから敵わないのは仕方ない。

 

「我が名は竜騎衆バラン! 超竜軍団の軍団長なり!」

 

 すると上空にバラン父ちゃんの巨大な顔が浮かびあがる。

 おそらく魔力で映像を投影しているな。

 原作でハドラーが似たようなことをやっていたはず。

 

「我が名は魔王軍の竜騎将バラン! ベンガーナの民に告ぐ、この地にいる勇者ダイを差し出せば貴様らの命は助けてやろう。断ればモンスターの群れによって町は完膚なきまでに破壊されるだろう! また移動系の魔法で逃げ出そうとする人間が出た時点で無条件で町を破壊する」

 

 そう言ってハドラーは俺の顔を上空に投影した。

 肖像権はどうなっているんだ!

 まあ反社である魔王軍にそんなこと言っても仕方ないか。

 しかも移動呪文(ルーラ)で援軍を呼ぶことも禁止された。

 つまり軍団長達は戦いに参戦出来ない。

 

「やはりオヌシが勇者、いや(ドラゴン)の騎士様じゃったか」

 

 ナバラさんがそう言って俺の事を眺めている。

 どうやら占いによって正体を看破したようだ。

 

「お、おい! 勇者ダイがここにいるぞぉ!」

 

 すると客の1人がそう叫ぶ。

 あらら、バレちゃった。

 

「コイツを差し出せば俺達は助かるんだよな?」

「バカ言え! 勇者がいなくなったら、それこそ終わりだぞ」

「でも、このままだと魔王軍に殺されちまうぜ」

「大量のドラゴン軍団相手に勇者1人でどうにかなるのかよ」

「確かリンガイアとカールは竜の群れに滅ぼされたそうだぞ」

「じゃあ我がベンガーナも……」

「いや、ベンガーナの戦車隊ならどうにかしてくれるはずだ!」

 

 客たちの反応は十人十色だ。

 割合としては勇者を差し出せ論が6割、勇者と共に戦おう論が2割、その他が2割くらいか。

 つまりベンガーナの民衆の過半数以上が潜在的な敵になっている。

 まあ愚民どもが敵に回った所で脅威にはならないけどね。

 歯向かうなら殺せばいい。

 

「ダイくん……戦いましょう! ベンガーナの人達を見殺しには出来ない!」

 

「ああ、だけど少し準備をさせてくれ」

 

 俺はレオナの提案にそう返してデパートの4階へと向かう。

 あそこにはアレがあるはずだからな。

 というわけで俺は店員へと詰め寄る。

 

「あ、貴方は勇者ダイ!?」

 

「俺の事を知っているなら話は早い。魔王軍と戦うからドラゴンキラーを寄越せ」

 

 ドラゴンキラーは鋼鉄の剣よりも遥かに優秀な武器だ。

 しかも原作の原作(ナンバリング)ではドラゴン系の相手に特攻ダメージを与える効果もあったはず。

 つまり竜の因子を持っているバラン父ちゃんにも特攻ダメージが入るかもしれない。

 

「ですが明日にはオークションがありますので……」

 

「町が滅ぼされたらオークションは開催できないぞ。自分の命かドラゴンキラーか、どちらが大切だ?」

 

「わ、分かりました! ドラゴンキラーを差し上げます!」

 

 半ば店員を脅す形でドラゴンキラーを手に入れた。

 まあ有事だから仕方ないね。

 一応、相場の金額である15000ゴールドも払ったし。

 何はともあれ良い武器をゲットだぜ。

 早速、俺はソレ(ドラゴンキラー)を装備して仲間達がいる場所に戻る。

 そしてレオナへと話しかける。

 

「レオナ、俺になにかあったらコイツを渡してくれ」

 

「なにかあったらってなによ」

 

「その時が来れば分かるさ」

 

 そう言って折りたたんだ紙を彼女に渡す。

 コイツは万が一の時の保険だ。

 

「さてと、行こうか!」

 

 こうして俺は仲間達と共に敵の下へと向かう。

 この世界は原作から乖離しまくっているので何が起こるかは予測不可能だ。

 これが良い影響を与えるのか悪い影響を与えるのかは分からない。

 だけど何とかしてしまうのが俺なんだよね。




キルバーンが良い奴になってる……。
まあバタフライエフェクトが起きたってことで。

※転生ダイの装備
武器:ドラゴンキラー
脇差:パプニカのナイフ
頭部:覇者の冠
胴体:騎士の鎧
装飾:アバンの印

原作の範疇で用意できる最強装備。
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