転生ダイの大冒険 作:ジャガン大好き民
「出ていけ厄病神!」
「モンスターどもに殺されちまえっ!」
「そうだそうだ!」
俺達はベンガーナの住民達に罵られながらバラン父ちゃんの下へと向かう。
人間って奴は本当にどうしようもないな。
まあ別に愚民どもが死のうが生きようがどうでもいい。
重要なのは俺と大切な存在達が生き残ることだ。
こうして俺達は町の正門へと向かうと、そこにはバラン父ちゃんと竜系モンスターの群れがいた。
「来たかッ!」
「久しぶりだね、バラン父ちゃん」
「なにっ!? 私の事を覚えているのか!」
「そりゃあね、だって実の父親だもん」
「「「えっ!?」」」
俺の言葉に仲間達は衝撃を受ける。
するとマァムが口を開く。
「どういうこと!? ダイ!」
マァムに聞かれたので俺は仲間達にバラン父ちゃんの過去を語った。
そして純粋な
だが傷は深く、地上に戻った父ちゃんは既に瀕死の状態であった。
そこに偶然にもアルキード王国の王女、つまりはソアラ母ちゃんが通りかかった。
母ちゃんは優しい人なので父ちゃんを助けて、身体を癒す為に王城へと迎え入れた。
そこから一体どんなやり取りがあったのかは知らないが、2人の間には1人子供を設けるほどに愛し合う関係になった。
ちなみに
しかし偶然か必然か子供が出来てしまったのだ。
もちろん、これは国を揺るがす大スキャンダルだ。
婚姻すら交わしていない男との秘めた逢瀬だけでもアウトなのに、王女が何処の誰とも知らない男の種で身篭ったのだ。
だが事実が発覚する前に、仲睦まじい2人の様子を危ぶんだ家臣が父ちゃんの排除を画策したのだ。
具体的には『バランは人間ではない。もしかすると魔王軍の生き残りかもしれない』と。
これは次期国王の座をバランに奪われまいとした陰謀と言われているが、実際の所は不明だ。
実際には純粋な愛国心でバラン追放を願った忠臣もいたのだろう。
父ちゃんの客観的な肩書は身元不明の怪しい男だ。
むしろソイツを次期国王にしようとする家臣の方がおかしい。
追放したくなる気持ちは分からんでもない。
そして魔王ハドラーの恐怖も記憶に新しいので恐怖する気持ちも分からんではない。
故にアルキード王は父ちゃんを追放した。
しかしこの時、既に母ちゃんは父ちゃんの子を、つまりは俺を孕んでいたのだ。
なので責任をとって父ちゃんは母ちゃんを連れて駆け落ちすることにした。
父ちゃん達も大変だったろうが、アルキード王国はそれ以上に大変だ。
王女である母ちゃんの駆け落ちは国の恥。
つまりは権威にも直結する重大な問題だ。
しかもアルキードはロモスやパプニカと違い地続きの国なので弱みを見せれば、他国から侵攻されるかもしれない。
だからこそ軍を差し向けて2人、いや3人を捕らえた。
母ちゃんは王城に連れ戻され、俺は船で他国に追放され、父ちゃんは処刑が決まった。
そして処刑の日、父ちゃんを庇った母ちゃんが命を落とした。
そしてアルキード王は母ちゃんを侮辱。
それに怒った父ちゃんはアルキード王国を国土ごと灰燼に帰してしまった。
一方の俺は他国に追放する時に船が難破して偶然にもデルムリン島に辿り着いた。
そして成長し今があると。
まあ、こんなところである。
この件で誰も悪い人間はいない。
父ちゃんは出来る限りの責任を取ったし、母ちゃんには愛があったし、家臣やアルキード王は常識的な対応をしただけだ。
強いて言うなら避妊しなかったのが悪い。
「ディーノよ、なんでそれほど詳しい事情を知っているんだ!?」
「敵に理由は語らないよ」
「まあいい、そこまで知っているなら話は早い。さあ私達と一緒に人間を……」
「いや、それは無理……メラミ!」
そう言って俺は火球を放つ。
だが攻撃目標はバラン父ちゃんではない。
「あれは、悪魔の目玉……何のつもりだ? 我々の目を潰したところで今更、何の得がある?」
火球が命中したのは近くで様子を窺っていた悪魔の目玉という監視役のモンスターだ。
そして奴は焔に巻き込まれて瞬く間に絶命したので魔王軍サイドに会話を聞かれることは無くなったな。
「魔王軍に理由を聞かれたくないからさ」
「ほう?」
「まず大魔王バーンみたいな部下の体に爆弾を埋め込む上司についていくとか無理」
魔軍司令ハドラーの身体には黒の核晶という爆弾が埋め込まれている。
バルジ島の戦いではソレを壊して起爆しないように気を付けたものだ。
「爆弾?」
「実は大魔王バーンの最終目標は地上を黒の核晶で破壊することなんだよね」
黒の核晶、それは魔力を無尽蔵に吸収する石を原材料にした超弩級の爆弾だ。
1つだけでも大陸を消し飛ばすほどの威力を持ち、大魔王バーンはこれを6つ使って地上を消し飛ばそうとしている。
そうすれば地上世界の下にある魔界に太陽がもたらされるからな。
つまりダイ大のストーリーとは究極の日照権争いなのだ。
「仮にそれが事実だったとしよう。だとしても人間は醜い、故に滅ぼすべき存在だ」
「ソアラ母ちゃんも人間なのに? 俺も人間のハーフなのに? 父ちゃん自身も3分の1が人間なのに?」
「黙れ! 親に口答えするんじゃあない!」
「黙らないね。そもそもさぁ、恩人である王女を孕ますのってどうよ。
竜は多淫な存在であるというのは割と有名だけどさぁ。
流石に避妊くらいしようよ。
まあ、この世界に避妊具があるのか知らないけど。
「私はお前の為を思っているのだ! 竜の力に目覚め始めるにつれ人間は迫害を始めるだろう! その時に地獄の苦しみを味わうのはお前なのだぞ!」
「それはどうかな?」
「現にお前は先程体験したはずだ。追い詰められた人間の本性をな!」
「追い詰められた時に出るのは追い詰められた姿だけだ! そんな一側面だけで人間を断ずるなよ!」
なにせ
スタンフォード監獄実験のように人間とは環境によって変わるものだ。
「それに俺には頼りになる仲間がいるしな。皆が支えてくれるさ!」
「そうよ! ダイくんは私達が守るわ!」
「黙れェッ!! 貴様らは私の息子を人間の勇者として担ぎ上げて利用しているだけではないか!」
バラン父ちゃんは凄い剣幕で叫び剣を抜く。
どうやら話し合いはここまでのようだ。
「話は平行線だから、力でバラン父ちゃんを退けるね。本当は仲良くしたいんだけどね」
「フン、大きく出たな。子が親に敵うとでも?」
さあ、地上最強の親子喧嘩の始まりだ。
バラン父ちゃんは俺の殺気に呼応して
それだけで暴風が吹き荒れる。
ならば、こちらも
確か竜の紋章が発現するには怒りが必要なんだよな。
怒りか……それを思い出すのは簡単だ。
思い出せ、期待して視聴した『ユア・ストーリー』によって思い出を愚弄された時のことを!
思い出せ、定価で購入した『インフィニティストラッシュ』が紙芝居ばかりでラスボスが鬼岩城だった時のガッカリ感を!
ドラクエ11の完全版商法とかは会社を存続させるのに必要な犠牲みたいなもんだからギリギリ許せないけどアレは違うじゃん。
ガチで意図が分からない!
「ウオオオオオオ!!」
「なっ……ディーノが紋章を出しただと!?」
何とか怒りで紋章を発現することが出来た。
俺も冒険の中で確実に成長しているから、これくらいは出来て当然だ。
さてと、後はバラン父ちゃんを退けるだけだ。
「エビルデイン!」
新しく買ったドラゴンキラーに
しかも
これが俺の最大火力……。
「アバンストラッシュ!」
すると父ちゃんは剣を右に寄せ左肩を前に出す、いわゆる『八相の構え』を取った。
あの構えこそは真なる
「ギガブレイク!」
どうやら暗黒闘気が練り込まれた
そして
「よくぞここまで
「隠し事の多い魔軍司令殿のおかげだよ!」
「フッ! 全くだな!」
「ダイ! 私達も加勢するわ!」
すると仲間達が俺を守るように立ちはだかった。
しかし、ソレは防がれてしまうだろう。
「竜どもよ! ディーノの仲間達を抑えろ!」
バラン父ちゃんがそう言うと配下の竜が動く。
まあマァムがいるから向こうは何とかなるだろう。
問題は此方の方だ。
「ザバラ!」
「そんなものは効かん!」
やはり
水流呪文で身体を濡らして雷撃呪文の威力を上昇される作戦は現実的ではないと。
「ここは一気に大火力で決めてやらぁ! 大地に眠る力強き精霊達よ……今こそ我が声に耳を傾けたまえ……ベタン!」
するとポップが敵全体に向けて
この魔法は図体がデカい相手ほど良く効くので竜達には効果抜群だろう。
「見た目によらず強力な魔法を使う。……だが竜は倒せても私は倒せんぞ!」
「うわああああ!」
しかしバラン父ちゃんには全く効かず、
まあドラゴンを5匹も倒せたし上出来だ。
竜の血を飲んだ影響か魔法の威力が上がっているな。
そして残る雑魚モンスターはヒドラのみである。
「消えなさい!」
ソイツはマァムの
知能のある相手ならルーラやキメラの翼を使って復帰してくるのだろうが、ヒドラは道具を使えるほど賢くないモンスターなので復帰は不可能だ。
ちなみに追放先は無人のバルジ島だから人が襲われることもない。
それはともかくとして、残る敵はバラン父ちゃんだけだ。
何とか撤退に追い込みたい所だが簡単にはいかないだろう。
「バラン父ちゃん、ギガブレイクでこい……!」
「な、なんだと!?」
俺はクロコダインみたいなことを口走る。
「俺の身体とてそうヤワじゃない。父ちゃんの奥義でなくては倒せないぞ!」
「……よく言った! その望み叶えてやる! ギガデイン!」
「そこだぁッ!」
バラン父ちゃんが
するとナイフは避雷針のような役割を果たし雷撃を吸収する。
原作通りに決まったな。
「なッ……なにィ!?」
突然の事に父ちゃんは衝撃を受ける。
これで隙が出来た。
魔法剣にしている時間はないが、それでも十分。
「アバンストラッシュ!」
「ウイングブロウ!」
「うおおおおッ……!?」
すかさず俺とマァムが
それにより大爆発が発生し土煙が辺り一帯を包み込む
原作ではアバンストラッシュ+獣王会心撃で血を流させることに成功していたが、この世界ではどうなることやら。
「き、決まったぁッ~!」
ポップのそんな声が後ろから聞こえる。
そして土煙は徐々に晴れると、そこには赤い血を額から流すバラン父ちゃんがいた。
どうやら
良い感じに攻撃が効いているな。
まあ得物もドラゴンキラーという竜を殺す為の武器だから、竜の因子を持つ父ちゃんにも特攻ダメージが乗ったのだろう。
「いかに仲間の助力を得たとはいえ、あんな小さな子供が……我が子ながら恐るべき素質だ」
「出来る事なら俺はバラン父ちゃんを殺したくない。だから協力して大魔王バーンを倒さない?」
「笑止! 残念だが同じ手は喰わん! あのような奇策でギガブレイクを躱すことはもうできまい! だが万に一つということもありうる。故に私はこの場で残る全精力を傾けてディーノの力を奪う!」
そう言うとバラン父ちゃんの闘気が完全に消え去った。
まるで嵐の前の静かさだ。
「ぐうううっ……オオオオオッ!!」
父ちゃんは額の紋章をこれまで以上に強く輝かせた。
そして俺の紋章も勝手に強く輝き始め共鳴する。
このままだと記憶が消えてしまうだろう。
しかし俺には原作知識があるから額から手の甲に紋章を移せば回避できることを知っている。
だけど、どうやってソレをやるんだ?
ちょっと待って、記憶が消え……
ここまで見てくれてありがとうございます。
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