転生ダイの大冒険   作:ジャガン大好き民

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レベル3 パプニカのナイフ

「ブラス爺ちゃん! 軍艦だ! 軍艦が攻めてきた~!」

 

「なんじゃとお!?」

 

 いつものように海岸で修行をしているとデルムリン島近海に巨大な軍艦がやってきた。

 なので俺は島の長老であるブラス爺ちゃんに報告を行う。

 

「なんか切り札的なアイテムはないの?」

 

「うむ、あるぞ」

 

 そう言うと爺ちゃんは家の物置から金色に輝く魔法の筒を取り出した。

 

「これはワシが昔、魔王よりゆだねられたものじゃ。何が入っているか、恐ろしくて開けたことがない。はるかな時空のかなたより来たれりものと聞くが………もしもの時、使ってみるがよい」

 

「ありがとう、爺ちゃん」

 

 確か金の筒の中には魔界の住民、つまりドラクエ4初出のモンスターが入っているんだよな。

 いや、この世界が新アニメ版準拠だからキングスライムとドラゴンだな。

 これは万が一の時に使うとしよう。

 そして俺とブラス爺ちゃんは海岸へと向かい、望遠鏡で船を確認する。

 

「バカタレ! なにが軍艦じゃ、早とちりしおって!」

 

「じゃあ何なのさ」

 

「あれぞ、まさしく聖なる船じゃ……。修行に修行を重ね魔法使いと僧侶の魔法を全て使いこなす程に成長した賢者にのみ使うことが許される船なんじゃよ」

 

 賢者か、遊び人から転職できる分際でけったいなものを持っているな。

 それにドラクエ3世界ならともかくダイ大世界の賢者は弱いからな。

 やっぱ時代は大魔道士よ。

 

「でも軍艦なのには変わりなくない? 大砲も搭載されているし」

 

「……それはそうじゃな」

 

 そう言うとブラス爺ちゃんは言葉を詰まらせる。

 もしかして無駄に怒られただけ?

 

「それで、どこの国の船なの?」

 

「アレはパプニカ王家の紋章じゃな」

 

 ブラス爺ちゃんは旧魔王軍の幹部だ。

 そして彼らはパプニカ王国のある大陸に本拠地を構えていたので王家の紋章を知っていてもおかしくはないだろう。

 

 それにしても、やはりパプニカ王家だったか。

 原作通りなら一波乱あるな。

 まあ何とかなるだろう。

 なにせ俺は原作ダイよりも強いしな。

 なお勇気という重要ステータスが欠けている模様。

 本当に大丈夫か?

 

「なんか軍艦から出て来たよ!」

 

 俺達が聖なる船を観察していると、そこから一艘の小舟が出て来た。

 そして小舟は海岸に乗り上げていき、中からは複数の人間達が島へと上陸する。

 ほぼ全員が揃いの黒いローブを着ており同じ組織に所属する集団だということが分かる。

 続いて降りて来たのは立派な服装の老人と若者だった。

 老人は老獪そうな、若者は冷たい目をしている。

 そして彼らは黒いローブを着ていない……つまり別格の存在ということだ。

 

「あれが賢者様か……」

 

「こっ、これっ。頭が高い」

 

 ブラス爺ちゃんが俺を見て慌てて跪かせようとする。

 だがそれよりも早く、老人と若者の2人が先頭に立ち俺達の前まで来る。

 すると彼らは一斉に跪礼した。

 

「未来の勇者ダイくん、それにブラス老ですな」

 

「ぶっ、ブラス老ぉ!?」

 

 ブラス爺ちゃんは『老』などと呼ばれたことで喜色を隠し切れない表情を見せる。

 照れちゃって……。

 まあ俺も勇者と呼ばれて悪い気はしない。

 

「私はパプニカ王国の司教を務めるテムジン」

 

「賢者バロン」

 

「パプニカの姫、レオナ様と共に故あってこの島を訪れました。なにとぞ姫にお力添えをお願いしたいと思いまして」

 

「姫ですと?」

 

 ブラス爺ちゃんの疑問に答えるように、小舟から茶色の髪を長く伸ばし、高そうな服に身を包んだ、肌ツヤの良い美少女が姿を見せる。

 身なり的に彼女がレオナ姫で間違いないだろう。

 

「わぁ……」

 

 あまりの美貌に思わず声をあげてしまった。

 やがてレオナ姫は俺の前に立ち止まると、慈愛を満ちた眼差しを向けてくる。

 

「貴方が勇者ダイ?」

 

「はい!」

 

「やっだぁ~! こぉ~んなチビなのぉっ!? カッコ悪~い!」

 

 それまでの貴人らしい姿はどこへやら、レオナ姫はカラカラと遠慮なしに俺の事を笑った。

 このメスガキが!

 確かに今はチビだけど遺伝子的に将来はイケオジになる予定なんだぞ。

 俺はグッと怒りを抑えながら話を進めることにする。

 

「それはともかく、何故パプニカの姫がこんな僻地へ?」

 

「はい、それはデルムリン島は洗礼の地だからです。我がパプニカ王国は代々神々に仕える家系……その後継者たるレオナ様は14歳になられたこの月のうちに地の神の恩恵を被るべく儀式をせねばならんのです」

 

 デルムリン島にはお客様を持て成すような家具もないため、近くの岩へと腰をかけながら彼らは事情を説明し始める。

 

「それを行うには最も地の神に近い場所にその身を投じなければなりません」

 

「この島には地に繋がる穴がありますね?」

 

「ええ、ありますとも。この森の奥地に途轍もない大穴が……この島の火山帯に直結しているらしく島のモンスターですら滅多に近寄らんところですじゃ…」

 

 そう言ってブラス爺ちゃんは不安そうにレオナ姫を見る。

 まあ普通の少女がそこに行くのは少し危険だろう。

 するとその意図を察した賢者バロンは口を開く。

 

「心配はご無用です。レオナ様もいずれは賢者となられるお方。この私が伝授した氷系呪文を使えば危険はありません」

 

「ですが、この島は長年怪物島として恐れられていたため、誰もその場所を知りません。王家の者の洗礼は実に50年ぶりなのです。そんな折、ロモス国の王からダイ君たちの活躍を伺いましてのォ。デルムリン島の怪物たちは、彼らの言うことならば何でも聞く……と」

 

「なるほどダイに地の穴までの道案内をさせたいわけですな」

 

 さて、どうしたものか。

 俺はテムジン達がこの機会にレオナを亡き者にしようとたくらんでいることを知っている。

 しかし、そのことを言っても証拠がないしなぁ。

 とりあえず彼らの提案を飲むことにしよう。

 だが、その前に確認したいことがある。

 

「ちなみに、お礼は何を貰えるんですか?」

 

「これ、ダイ!」

 

 俺がそう言うとブラス爺ちゃんに怒られてしまった。

 名誉なことなのに何言ってんだと。

 だけど考えてもみろ。

 こんなモンスターだらけの地で人の名誉もクソもない。

 そんな事より何かくれ。

 

「じゃあ、これをキミにあげるわ」

 

 そう言ってレオナ姫は刀身が銀色に輝く赤い宝玉入りのナイフを手渡してきた。

 これはパプニカのナイフだな。

 明らかにそこらの武器よりも質が良さそうだ。

 もちろん今のメイン武器である銅の剣とは比べるまでもない。

 

「結構、由緒正しいナイフなのよソレ。でもアタシが持ち歩くとテムジン達が怒るの」

 

「ありがとうございます!」

 

 パプニカのナイフは報酬として十分すぎるくらいだ。

 原作では魔法が使えないなら良い武器を持てと渡されるが、俺は普通に魔法を使えるから貰えないと思っていた。

 これを入手できたのは思わぬ収穫だな。

 そうて俺とゴメちゃんは地の穴までレオナ達パプニカ一行を案内することになった。

 

 ■□■□■□■□■□■□■

 

「無事に辿り着けて、まずは一安心ってところね」

 

「ここに来るのは久しぶりだね、ゴメちゃん」

 

「ピピィッ!」

 

 俺達は何のトラブルもなく儀式を行う洞窟前までたどり着いた。

 そして洗礼の準備のためにと慌ただしく動く兵士たちとは対照的に俺達は近くに岩へと腰を下ろす。

 そもそもの仕事が道案内だし、洗礼の儀式については何の知識もない為に手伝い事すらできない。

 むしろ邪魔まである。

 ということで隅の方で大人しく見学しつつ辺りを警戒していた。

 

「うわああぁぁーッ!」

 

 突如として遠くから誰かの悲鳴が聞こえた。

 つまり異常事態発生だな。

 それを聞いた俺はパプニカのナイフを抜き、声のした方角へ向けて駆けだしていく。

 

 悲鳴の聞こえた場所へたどり着くと、そこには巨大なサソリ型のモンスターが巨大な鋏で一人の護衛兵を掴み上げ、切断しようと力を籠めている。

 

「あれは……まさか魔のサソリ!?」

 

「とりあえず討伐するぞ!」

 

「おう!」

 

「キシャアア!」

 

「ぬわーっ!」

 

 護衛達は魔のサソリに立ち向かうが一瞬でやられてしまう。

 もしかしてテムジンが意図的に弱い兵士を護衛にしたのでは?

 とはいえ敵に立ち向かうだけ奈良県警よりも仕事している。

 そして少し遅れて到着したレオナ姫は突然の光景に混乱する。

 

「な、なにこれ……!?」

 

「分かりませんが、逃がしてくれそうにもない。戦うしかないですね。レオナ姫は下がっていてください」

 

 素人目に見ても相手は敵意に満ちている。

 もちろん話し合いでお引き取り願うのは無理だろうから殺すしかない。

 モンスターに育てられたからモンスターを殺したくないんだけどなぁ。

 

「せいっ!」

 

 小手調べにパプニカのナイフで魔のサソリに斬りかかる。

 すると甲高い悲鳴のような音を上げながら外骨格が切り裂かれた。

 王家が所有する武器なだけあって素晴らしい切れ味だ。

 

「ゴメちゃん」

 

「ピピィッ!」

 

 俺が合図を送るとゴメちゃんは自らの輝く体を使い太陽光を反射して魔のサソリの目を眩ます。

 そして奴はその閃光をモロに食らい、視覚の一切が潰された。

 ちなみにコレは奇跡の使用ではなく体質を利用しただけなのでゴメちゃんの身体が縮むことはない。

 

「ギャオオオッ!」

 

 盲目状態になった魔のサソリは混乱し、滅茶苦茶に暴れだした。

 だがそれは無秩序な動きであり攻撃を躱すのも容易く、隙だらけだ。

 そして俺はソレを見逃さない。

 

「でやぁぁぁッ!」

 

 十分に力を溜めると必殺の大地斬を繰り出す。

 業物の切れ味を得た必殺の一撃は魔のサソリの胴体を真っ二つにした。

 それでもサソリは節足動物特有の生命力で足掻くが火炎呪文(メラ)で肉を焼くと、やがて力尽きる。

 それを確認したことで俺は警戒を解いた。

 

「……正当防衛だ。恨むなら飼い主を恨みな」

 

「すっごいじゃないダイくん! こんなに強かったなんて! ロモス王が勇者と認めるわけだわ!」

 

 戦闘が終わるや否や、レオナ姫は俺に駆け寄ると感激の声を上げる。

 原作と違って彼女が毒状態にならなくて何よりだ。

 だけど俺にはまだまだやることがある。

 

「レオナ姫、ちょっといいですか?」

 

「どうしたの?」

 

「さっきの魔のサソリはデルムリン島にいないモンスターです」

 

「それがどうかしたの?」

 

 俺の言葉の真意がいまいち捕まえずレオナ姫は首を傾げる。

 まあ、これは原作知識がないと分かりっこない。

 

「つまり、島の外から来たってことになります。海を渡ってきたとは考えにくいから、誰かが持ち込んだと考える方が自然です。じゃあ何時、誰が、どのように持ち込んだのか……」

 

「確かにそうね」

 

「仮に何日も前からデルムリン島にいたのなら島のモンスターが気づかないはずがない。魔のサソリは凶暴だから大人しく身を隠していたとは思えません。つまりアイツはついさっき、この島に現れたのでは?」

 

「ついさっき!? あのねぇ、いくら何でもそれは無理じゃないかしら?」

 

「ですが、魔法の筒を使えば可能です。まあ下手人は既に逃亡したと思うので証拠はありませんが」

 

 それにしても魔法の筒は本当に便利なアイテムだよな。

 この世界のミステリー作家はコイツの存在に泣かされてそうだ。

 

「確かにソレがあれば可能ね」

 

「そしてデルムリン島に来たのはレオナ姫一行以外にいません。つまり……」

 

「まさか!」

 

「そのまさか、内部の犯行でしょう。ちなみにデルムリン島で儀式を行うように薦めたのは誰です?」

 

「……テムジンよ」

 

 レオナ姫は神妙な表情でつぶやいた。

 テムジン達の筋書きとしては、姫がデルムリン島で魔のサソリに襲われて死んだことにするのだろう。

 そして後継者がいなくなったパプニカを乗っ取ると。

 というか跡継ぎがレオナ姫しかいないってパプニカ王はもっと子作りを頑張ろうぜ。

 

「ならば彼が怪しいですね」

 

「ええ、こうしちゃいられないわ! 早速、テムジンを問い詰めるわよ!」

 

「ですが証拠がありません。既に実行犯も逃げている可能性も高いです」

 

 すると生き残った兵士の1人がレオナ姫に進言を行う。

 もちろん、それは俺も想定済みだ。

 

「レオナ姫、1つ策を弄してみましょう」

 

「策?」

 

 というわけで俺はレオナ姫に献策する。

 すると彼女は不敵な笑みを浮かべた。

 

「いいわね、その策を採用するわ!」

 

 やはり本当にノリが良い姫様だ。

 というわけで俺の策が採用されることになった。




※転生ダイの装備
武器:パプニカのナイフ
頭部:覇者の冠
胴体:布の服

覇者の冠は活躍する予定がある。
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