転生ダイの大冒険   作:ジャガン大好き民

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レベル33 ロモスへの帰還

 ベンガーナ上空にて先の竜闘気砲呪文を超えるほどの大爆発が発生する。

 竜の親子が全力で激突した証である。

 そして俺は魔力(MP)を使い切り地上へと墜落しようとしている。

 

「ダイ!」

 

 すると地面に激突する前にマァムが屋上から跳躍して俺の体を受け止める。

 

「大丈夫?」

 

「ああ、なんとかね。だけど魔剣は……」

 

 右手に握られている魔剣は柄を残して崩れ去っている。

 いかに不死身の魔剣といえども刀身が消滅してしまっては2度と再生できない。

 つまりヒュンケルの兄者は武器と防具を失った。

 

「兄者……ごめん」

 

「気にするな命にはかえられん」

 

「ありがとう」

 

 今のヒュンケルの兄者は鎧の魔槍を装備していない。

 つまり原作のような装備の継承イベントが起きていないわけだ。

 そしてロン・ベルク製の武器には意思があるので、鎧の魔槍をラーハルトの死体から強引に剥ぎ取っても従ってくれない可能性が高い。

 本当にどうするんだろうな(他人事)。

 

「……まさか真魔剛竜剣を折るとはな」

 

 するとバラン父ちゃんが近づいてくる。

 赤い血を大量に流しているがギリギリで生きているようだ。

 まあ死んでいなくて何よりだよ。

 

「ディーノよ……もはや何も言わん。お前はお前の信じた道を進むがいい。だが……この世に(ドラゴン)の騎士は2人もいらん! 我が剣が蘇り傷の癒えた時こそ雌雄を決してやる! お前が勝てたら人間の為に魔王軍を滅ぼすがいい! しかし私が勝てば……人間を滅ぼす!」

 

「せめて魔王軍に勝ってからにしてくれないかなぁ?」

 

「……いいだろう」

 

 そう言ってバラン父ちゃんはラーハルトの死体へと近づき、竜の血を分け与えた。

 竜の血は死者を蘇生させ、なおかつパワーアップさせる効果がある。

 ただし誰にでも有効なわけではなく、強靭な精神力を持った者に限るが。

 

「レオナ、ラーハルトにザオラルをかけてやってくれ」

 

「えっ!?」

 

「ここで死なせるには惜しい敵だから」

 

 ラーハルトは早めに復活させた方がいいだろう。

 というわけで俺も彼に竜の血を分け与えた。

 今はニア・竜魔人状態だから蘇生効果もパワーアップ効果もあるはずだ。

 しかも俺と父ちゃんは別ロットだから効果は2倍になるな。

 

「その御名において生命の炎尽きたる、この者の身に魂を蘇らせたまえ……ザオラル!」

 

 更にはレオナの蘇生呪文(ザオラル)が施される。

 もう復活しない方がおかしいくらいだ。

 こうしてラーハルトは生き返った。

 

「バラン様……これはいったい?」

 

「ディーノ達が生き返してくれた」

 

「ディーノ様……ありがとうございます!」

 

「気にしなくていいよ」

 

 ちなみにボラホーンとガルダンディーの蘇生には協力しない。

 彼らの精神性じゃ生き返らないだろうし生き返した所で意味は薄そうだしな。

 レオナの魔力(MP)を無駄に消耗させるのは良くないだろう。

 そしてバラン父ちゃんとラーハルトは同胞の死体を持って立ち去った。

 

「これで義理は果たした。失礼させてもらおう」

 

 そしてクロコダインは俺達の下から立ち去った。

 彼は仲間ではなく客将なので契約が終われば敵同士である。

 まあ思いっきり魔王軍と敵対したので元鞘には戻れないと思うけどね。

 

「……とりあえず休もうか」

 

 原作とは展開は大きく異なったわけだが何とかなった。

 だけど気を抜いてはいけない。

 原作知識が正しければ次に襲ってくるのは……

 

 ■□■□■□■□■□■□■

【side三人称】

 

「おのれぇっ!」

 

 ハドラーは死の大地にあるアジトで歯ぎしりをしていた。

 なぜならば信じて送り出した竜騎将バランが敗北したからだ。

 しかも他の軍団長(ザボエラとミストバーン)にベンガーナとパプニカの破壊工作を行わせて援軍も可能な限り防いだ。

 だというのに目論見は見事に失敗した。

 

「魔軍司令ハドラー、大魔王バーン様がお呼びである……!」

 

 するとミストバーンが後方から音もなく現れて連絡事項を伝えてくる。

 それを受けてハドラーは大魔王バーンと謁見することにした。

 

「ハドラー……面をあげよ」

 

 バーンがそう命令するもハドラーはプルプルとスライムのように震えたまま面を上げない。

 そこには、かつて地上を席巻した獄炎の魔王としての面影は一切ない。

 

「どうした……? 面をあげるがいい」

 

「おっ、お許しくださいっ! バーン様ッ! バランの失態は上司である私の責任! 奴が戻りましたら厳重に……」

 

「愚か者……! お前のつまらぬ小細工を見抜けの余だとでも思ったか! バランの失態は余にすらダイが(ドラゴン)の騎士だと明かさなかったお前の罪だッ!」

 

「う……ああ……!!」

 

「それにバランはおそらく魔王軍に戻らん。あの男の性格から考えても、もはや息子であるダイの事以外に行動を起こすまい。余の為に無関係の人間を滅ぼしたりはせぬだろう。バランは余に逆らいうる力を持つ地上唯一の男。説得し味方に引き入れるのには苦労したのだがな。ハドラーよ今一度言う。面を上げよ」

 

 再度バーンが命令することでハドラーは面をあげる。

 するとバーンは指を3本だけ上げる。

 

「余は寛大な男だ。失敗も三度までは許そう。しかしお前はロモスとパプニカを奪回され我が軍の有能な軍団長3人を敵に回してしまった……」

 

 これにより指が1本下がる。

 ロモスはともかくとしてパプニカはバーンも悪い気がするが、そんなことを指摘できる空気ではない。

 

「更にバルジ島においては全軍を率いたにも関わらずダイを討ち漏らした」

 

 またしても指が1本下がる。

 それと共にハドラーの冷や汗が滝のように滲み出る。

 なぜならば、これは死刑へのカウントダウンなのだから。

 

「そして今回のバランの一件」

 

 全ての指が下がる。

 つまりゲームオーバーだ。

 そう思われた瞬間、バーンは指を1本上げる。

 

「だが勇者アバンを葬った功績を余は忘れておらん。ハドラー、これが最後のチャンスだ。もしお前が次に余の前に現れた時、勇者ダイを抹殺していなかったら……分かっているな?」

 

「はっははぁーっ! このハドラーの生命にかえても必ずや!」

 

 そう宣言してハドラーは玉座の間を立ち去る。

 そして彼は追い詰められた形相でザボエラを召集した。

 

「なんの御用でしょうか、ハドラー様」

 

「このままではダイは倒せん。故に貴様が密かに続けている超魔生物の研究……今こそ、それをオレの為に使え!」

 

「そっ、それをなぜっ!?」

 

 ザボエラは驚愕した。

 なぜハドラーが自身の研究を知っているかも驚きだが、それ以上に研究成果を自分に使えという内容に最も驚かされた。

 魔族としての肉体を捨てるという思考はザボエラからすれば狂気に満ちているとしか思えない。

 

「アバンの使徒共の成長速度は速い! 速過ぎる! もはやバーン様から頂いた身体ですら追い付かぬ! もっと強い力が必要なのだ! そう、あの竜魔人バランのような誰にも負けぬ地上最強の力が!」

 

 ハドラーは悪魔の目玉越しに竜魔人バランとニア・竜魔人ダイの戦いを見て、今のままでは天地がひっくり返っても敵わないと感じてしまった。

 なので原作のように夜闇に紛れて奇襲することはない。

 

「無論、貴様にも利はあるはず。オレという特上の魔族の体を被検体に出来るのだ」

 

「しょ、承知しました!」

 

 ハドラーの力への渇望は獄炎の如く燃え上がる。

 こうして魔軍司令ハドラーは死に超魔生物ハドラーが生まれることになった。

 

 ■□■□■□■□■□■□■

【side転生ダイ】

 

 バラン父ちゃんの戦いを終えた俺達はパプニカへと帰還した。

 国内ではモンスターが活性化していたようだが、それも三賢者とバダックさん(キラーマシン)によって鎮圧されている。

 何とかなったようでなによりだ。

 

 そしてハドラーは原作のように襲撃してこなかった。

 まあ、なんらかのバタフライエフェクトが起こったのだろうな。

 

「ここに、いやがったか」

 

「マトリフさん!」

 

 仲間達と共に王都近くの海岸で鍛錬をしているとマトリフさんがやってきた。

 

「お前達に渡す物がある」

 

 するとマトリフさんは懐から本を取り出した。

 その本は古びていて汚れも多いが、表紙に描かれているマークに見覚えがある。

 つまり、コイツは……!

 

「これが有名なアバンの書だ。世界を救った勇者アバンがその武芸・魔法・精神のすべてを後世の為に記した、この世に一冊しかない手書きの本さ」

 

「しかし貴重な本なのにやけに汚れてますね」

 

「アバンの母国カールは既に廃墟だったからな。幸い宝箱に入っていたから燃えずに済んでいた。カール王国の所有物だが滅びちまった今ではお前が持っていた方がいいだろう」

 

 まあ滅ぼしたのはバラン父ちゃんなんだけどね。

 何か息子として申し訳ないぜ。

 

「ダイ、空の章……192ページを開けてみな」

 

「はいはい」

 

「地の章は武芸、海の章は闘気の技や魔法について書かれている。そして空の章は……心の章だ」

 

 俺はアバンの書を読む。

 そこには、

『傷つき迷える者達へ。敗北とは傷つき倒れる事ではありません。そうした時に自分を見失った時の事を言うのです。強く心を持ちなさい。焦らずにもう一度じっくりと自分の使命と力量を考えなおしてみなさい。自分にできる事はいくつも無い。一人一人が持てる最善の力を尽くす時、たとえ状況が絶望の淵でも必ずや勝利への光明が見えるでしょう』

 と書いてあった。

 

「先生……」

 

 良いこと言うなぁ。

 

「……ケツに卵のカラが付いたヒヨコのお前達にゃ、ありがたい品物だろ。ま、大事にしな」

 

「ありがとうマトリフさん」

 

 俺はマトリフさんに礼を言う。

 そしてアバンの書はヒュンケルの兄者に託すことにした。

 暗黒闘気を使う俺なんかが持っていてはいけないだろう。

 

「エッホ! エッホ!」

 

 するとバダックさんが宝箱を抱えながら此方へと向かってくる。

 

「バダックさん、それは何ですか?」

 

「こいつはパプニカの特殊な布と法術で編まれた服、魔法の闘衣じゃ! 故に、お前さんが大暴れしても大丈夫なはずじゃ! 姫からのプレゼントじゃよ」

 

「ありがとうございます!」

 

 新装備は非常にありがたい。

 騎士の鎧はバラン父ちゃんとの戦いで壊れてしまったからな。

 ロモス王から貰った鋼のプロテクターも残っているが魔法の闘衣の方が防御力が高そうだ。

 早速、俺は新装備に着替えてみる。

 

「おお! ピッタリじゃな! よく似合っとるぞ!」

 

 魔法の闘衣は青を基調にし金糸の刺繍が編み込まれており荘厳な印象である。

 何というか一端の勇者らしくなったな。

 

 後は強い武器が欲しいな。

 パプニカのナイフでは竜闘気(ドラゴニックオーラ)に耐えられない。

 それにヒュンケルの兄者にも武器が必要なはず。

 じゃあ原作通りに動くとしますかね。

 

「そうだ、ロモスに行こう!」

 

「なんでだよ!」

 

 そう言うとポップからツッコミが入る。

 確かに説明が全く無かったな。

 

「現状、俺の力に耐えられる武器が無い。だけどロモスの国宝である覇者の剣はオリハルコン製だから耐えれるかもしれない。だから王様に貰いに行こう!」

 

「なるほどな、じゃあ行こうぜ!」

 

「私もついていくわ!」

 

「全く……せわしない奴らだな」

 

 マトリフさんは呆れた表情をする。

 ポップとマァムがいれば戦力的には十分だな。

 だけど念には念を入れよう。

 というわけでヒュンケルの兄者に問いかける。

 

「兄者はどうします?」

 

「魔王軍がパプニカに襲撃してくるかもしれん。だから残っておこう。その間に剣の修行を行う」

 

 そう言ってヒュンケルの兄者は断った。

 まあ兄者がいなくてもアイツには勝てるよね。

 そして俺達は移動呪文(ルーラ)を使用する。

 

「到着!」

 

 目の前にはロモスの王城がある。

 じゃあ早速、王様に会いに行きますか。

 というわけで正門へと急ぐ。

 

「やややっ!?」

 

「その冠は確か!」

 

「はい、兵士の皆さん。お久しぶりです」

 

 正門前には門番の兵士がいた。

 彼らは装備している覇者の冠を見て俺が誰だか気づいたようだ。

 まあ、これはロモスの国宝だもんな。

 

「お久しぶりです。ダイ殿、ポップ殿。本日はどうされましたかな?」

 

「ええ、ちょっと王様に用事があって」

 

「おや? 陛下に御用事でしたか。自分はてっきり武術大会に参加するのかと」

 

 ロモス王に用事があると告げると兵士は少しだけ意外そうな顔をした。

 たぶんロモス武術大会に参加すると思われているな。

 

「武術大会……それは何日後に開催ですか?」

 

「予選開始は明日です。エントリーは当日に行ってくださいね」

 

 まあバラン父ちゃんとの戦いはスピード解決したからな

 なのでロモス武術大会に間に合うのは当然だろう。

 後は覇者の剣が偽物にすり替えられてなければいいんだけど。

 

「では、案内を致します」

 

 というわけで俺達は兵士の案内で城の中へと入る。

 そして変身呪文(モシャス)対策の為か簡単な質疑応答を受けてから玉座の間へと案内された。




ハドラー襲撃は書いてみたんですが思ったよりも退屈な展開だったのでカットしました。
文才がない私を許してくれい。
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