転生ダイの大冒険   作:ジャガン大好き民

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レベル34 妖魔学士

「おお! ダイ、ポップ、マァム、ゴメちゃんや。久しぶりじゃな、見違えたわい。オヌシ達の噂はロモスにも入ってきておる。いやはや立派になったのぉ。パプニカに旅だった時のことが、まるで昨日のようじゃわい」

 

「ロモス王もお元気そうで何よりです」

 

 玉座の間へと入るなりロモス王は喜色を浮かべる。

 本当に性格が良い人だ。

 後は騙されやすくなかったら名君なんだけどね。

 でも人を信じすぎるというのは美点でもある。

 

「はっはっはっ、そのような堅苦しいことをせずともよい。して、此度の突然の来訪はどういうことじゃ?」

 

「今日は覇者の剣についてです」

 

「ほう? アレは確か武術大会の優勝賞品じゃったの。オヌシも参加するのかな?」

 

「はい、そうさせて貰います」

 

「ならば優勝は決まったようなもんじゃな」

 

「ええ、全くですな。キィ~ッヒッヒッヒッ!」

 

 突如として途轍もなく怪しい笑い声が玉座の間に響く。

 音のした方向を振り向くと途轍もなく怪しそうな青年がいた。

 

「おお、紹介が遅れたの。彼はザムザ殿じゃ。武術大会を開くことで腕自慢を集めて国力増強を図ろうと提案してくれたんじゃ」

 

「以後、お見知り置きを」

 

 そう言ってザムザはペコリと会釈をする。

 えっと……その……色々と言いたいことがあるな。

 なんでコイツ、堂々と本名でロモスに潜入しているんだ!?

 流石に偽名とか使おうよ。

 情報漏洩が起きたら一発でアウトだぞ。

 

 そんな彼の正体は妖魔学士ザムザ。

 妖魔司教ザボエラの息子であり魔王軍に所属している魔族だ。

 そして今は変身呪文(モシャス)で人間に化けてロモスに潜入している。

 

「ダイ殿、どうされました?」

 

「何でもありませんよ。ちなみに陛下、ザムザ殿とはどのような縁で知り合いに?」

 

「知らぬのも当然じゃろうな。ザムザ殿はオヌシ達がパプニカへ旅立った後にやってきたんじゃよ。なんでも旅の学士とのことじゃ」

 

「ほう、そんな人が」

 

「うむ、ザムザ殿は深い見識と魔法で傷ついたロモスを助けてくれたんじゃ。傷ついた人や物に適切な処置を施し、それを多くの人に教えてくれたんじゃ。おかげでロモスは瞬く間に復興できた」

 

 魔王軍、特に妖魔士団は技術的に人間の国の遥か先を行っている。

 ある程度なら技術を開示しても構わないのだろう。

 じゃあ、もうそろそろ茶番は終わりにしようか。

 

「ギラ!」

 

「グハッ!?」

 

「なっ!? ダイよ、一体どうしたのじゃ!」

 

 俺は収束させた閃熱呪文をザムザの心臓目掛けて発射した。

 するとソレは奴の左胸を簡単に貫いた。

 やはりバラン父ちゃんの血を取り込んだことで技の精度が格段に上がっているな。

 なので魔法を収束させて放つことが出来る。

 そして、それを見た仲間達とロモス王は動揺する。

 

「落ち着いて聞いてください。コイツは魔王軍所属の魔族、妖魔学士ザムザです」

 

「しょ……証拠はあるので!?」

 

 ザムザがそう言って抗議してくる。

 証拠?

 そんなものはない。

 

「なぁに、お前を殺して死体を調べれば分かることだ。魔族の血は人間と違って青いからな」

 

 そう言って俺はパプニカのナイフを装備して海波斬をザムザの右腕に向けて放った。

 すると奴の傷口から青い血が噴き出る。

 流石の変身呪文(モシャス)であっても体の中まで変身することは出来なかったようだ。

 

「青い血じゃ! ということはダイの言う通りザムザ殿は魔族か……。兵士よ! ザムザを捕らえるのじゃッ!」

 

 ロモス王はそう言って兵士を動員する。

 するとハチの巣をつついたように大量の兵士が玉座の間にやって来た。

 まあ頼りにはしないけど頑張ってくれ。

 そしてポップとマァムも臨戦態勢になる。

 

「な、なぜオレの正体に気付いた!」

 

「仲間にヒュンケルの兄者がいるからな」

 

「それは嘘だな。軍団同士に横の繋がりはない!」

 

「……実は魔王軍に内通者がいる」

 

「なんだとっ!?」

 

 もちろん、これは嘘だ。

 こう言っておけば魔王軍は疑心暗鬼になるかもしれない。

 本当は原作知識という理不尽で見抜いた。

 なのでザムザ本人に落ち度は何もない。

 

「王様、覇者の剣を持ってきてもらえませんか? アレを一時的に使わせてください」

 

「うむ、よかろう。そこの兵士よ、宝物庫から覇者の剣を持ってくるのじゃ!」

 

「作戦は変更だ! ここで勇者ダイとロモス王を殺して覇者の剣も奪ってやろう!」

 

 つまり覇者の剣はまだ偽物にすり替えてないと。

 良い事を聞いたな。

 このままザムザを倒せばオリハルコン製の武器が超魔ハドラーに渡らなくなる。

 つまり原作より少しだけ展開が楽になるな。

 

「さあ、行くぞ!」

 

 玉座の間にて戦いが勃発した。

 

「改めて名乗ろうか。我が名は妖魔学士ザムザ! 妖魔司教ザボエラの嫡男だ!」

 

「ザボエラの息子だとォ!?」

 

「そうだとも! さあ、死ねいッ! メラゾーマ!」

 

 ザムザは火炎呪文を俺達に向けて放つ。

 だが並みの魔法では竜闘気(ドラゴニックオーラ)の防御膜を貫くことは出来ない。

 なので掌で焔を握りつぶした。

 

「フフフッ! ウヒヒヒッ! キィ~ッヒッヒッヒッ! す、凄いッ! 素晴らしいっ! これこそ本物の(ドラゴン)の騎士の力だぁ!」

 

「やけに嬉しそうだな」

 

「そうだな、お前が正体を言い当てた時は内心ドキリとしたが本物の(ドラゴン)の騎士が見られるならこれほどありがたい偶然はない! 我らの研究目標は……その力を得る事なのだから!」

 

 なんかザムザは語り始めた。

 まあ時間を稼げれば王様が避難できるので話に付き合うとしよう。

 というわけで攻撃の手を止める。

 

「いかにも! 我らが妖魔士団は魔力においては他軍を圧倒するがパワーと生命力が無い! それを補う為に父であるザボエラの発案で俺が秘かに研究を続けていたのが超魔生物学なのだ!」

 

「超魔生物学だと?」

 

「超魔、すなわち魔族を超えうるもの! 我々はありとあらゆるモンスターの長所を移植手術することによって魔工的に超魔生物を誕生させることを思いついていたのさ! そしてお前の父であるバランが竜魔人の姿を見せた時、我々は確信した。これこそが超魔生物学の到達点なのだと! まさに神が作りたもうた究極の生物兵器と呼べる存在だっ!」

 

 兵器か、的を射ている表現だ。

 だけど意思のある兵器って運用が大変じゃないかなぁ?

 実際、バラン父ちゃんは裁定者としての仕事をするどころか乱す側の存在である魔王軍に加入したし。

 やはり核兵器のように意思のない兵器こそ至高だ。

 

「なるほど、つまり実験材料として大会の出場者を誘拐するつもりだったんだな」

 

「如何にも! いちいち実験の為に我が魔族の手下を犠牲にするわけにはいかんのでな。使い捨てのモルモットには下等な人間がピッタリなんだよ! ウヒャハハハハ!」

 

「なんてことを!」

 

 それを聞いたマァムは嫌悪感を露わにする。

 だけど同胞ではなく敵を実権に使うのは割とまともよりだよな。

 父親のザボエラなんか同胞を平気で犠牲にする外道だし。

 

「ヒヒ……まあせいぜい怒って戦うんだな。オレは見たい! お前が本気を出した時の力を……! お前は正に飛んで火にいる夏の虫! 最高のサンプルなんだ! お前の親父みたいな化け物を造る為のなぁっ! キィ~ッヒッヒッヒッ!」

 

「いいだろう、見せてやるよ!」

 

 こうしてロモス城の玉座の間にて戦いが始まった。

 

「エビルデイン!」

 

「ガアアアアッッ!!」

 

 黒い稲妻(エビルデイン)がザムザを貫く。

 コイツは暗黒闘気が練り込まれているので回復呪文で治癒は不可能だ。

 それにしても魔族が人族よりも強い身体を持っているからって、俺の必殺技を喰らって倒れないか。

 

「ヒッ、ヒヒヒヒッ!」

 

「流石にタフすぎだな。さては自分に改造を施しているな」

 

「そうだとも! 超魔生物は既に90%近くまで完成していたのだ! このザムザ自信をベースとしてな! 見るがいい! 100種類以上のモンスターの長所ばかりを取り入れて造り出された究極の魔獣の力を!」

 

 そう言い放った途端、ザムザの身体が巨大な異形の化け物へと変化していく。

 これが超魔生物としての姿か。

 知っていたとはいえ実際に見ると思ったよりもデカいな。

 ここまで巨大な敵と戦うのはキラーマシン以来かな。

 

「さあかかってこいダイ! 不完全な(ドラゴン)の騎士であるオマエを超魔生物ザムザ様の名誉ある対戦相手第1号に選んでやったのだ精々ありがたく思うがいいわ! グハハハッ!」

 

「それは光栄だねっ!」

 

 俺は紋章を全開にして殴りかかるがザムザは軽く躱した。

 図体がデカいというのに速いな。

 そして、お返しとばかりに左手にある巨大なハサミで挟んできた。

 もちろん俺は体が両断されないように竜闘気(ドラゴニックオーラ)を全開にして抵抗する。

 

「ほう、やるな……流石のパワーだ」

 

「そっちもな、ルーラ!」

 

 俺は移動呪文(ルーラ)で緊急回避した。

 これは武器なしで勝てる相手じゃない。

 しかも竜闘気(ドラゴニックオーラ)は消耗が激しいので手早く終わらせないといけない。

 早いとこ覇者の剣が来てほしいな。

 

「ギラッ!」

 

 するとポップの指先から閃熱(ギラ)が迸りザムザの身体を貫いた。

 

「ムウウッ! ここまで破壊力を収束させた魔法を使うか! 見かけによらず大した魔法使いだ」

 

 そう言いながらザムザの身体は自己修復を始める。

 

「傷が治りやがった!?」

 

「言ったはずだ。超魔生物は究極の魔獣だと! ボストロールの体組織を移植したことで、いかなる外傷もすぐさま治癒してしまう! 残る課題は変身すると魔法が使えなくなる点だが……お前達を倒してから研究して完成させればよい!」

 

 この再生能力は厄介だな。

 だけどマァムの閃華裂光拳は使わせたくない。

 なぜならザボエラが対策として超魔ゾンビを開発するからな。

 出来る限り敵の強化要素は排除しておきたいのだ。

 

「マァム、閃華裂光拳は使わないでくれ。そして例の魔弾をザムザの右腕に命中させてくれ」

 

「魔弾……情報によると銃からバシルーラを放つらしいな。しかし、ここは室内だから通用せんぞ!」

 

「それはどうかしら!?」

 

マァムはそう言うと、魔弾をザムザの右腕に命中させる。

これにより彼の腕は竜化してしまう。

先程の魔弾には竜化呪文(ドラ)が充填されていたのだ。

 

「今だ! 総攻撃!」

 

「ベギラマ!」

 

「紋章閃!」

 

すかさずポップと俺が竜化した右腕を重点的に攻撃する。

これにより右腕は使い物にならなくなった。

 

「無駄だ! 超魔生物の回復力によって……治らないだと!?」

 

「さっきの魔弾のおかげさ」

 

超魔生物の再生能力は厄介なので肉体を竜へと変質させて無力化させてもらった。

 

「強化系の魔法が弱体化の魔法になるんだから面白いよな」

 

「そこは同意しよう。だが右腕を失っただけだ!」

 

「割とデカいだろ。その左手のハサミじゃあ器用にフォークを持てないぜ」

 

 そう言ってポップへ目配せをした。

 すると彼は意図を察したのかコクリと頷いた。

 さあ、頼んだぜ。

 

「メラマータ!」

 

「グギャァアアアッ!」

 

 連続火炎呪文(メラマータ)がザムザの顔に着弾し燃え上がる。

 この魔法は俺がポップに教えた異世界(モンスターズ)の魔法だ。

 その効果はメラ系の魔法を連続で8発も放つというもの。

 つまり五指(フィンガー・)爆炎弾(フレア・ボムズ)の亜種みたいなもんだ。

 それでいて寿命を削らないというノーリスクハイリターン魔法だ。

 

 しかもポップの炎はちょっとやそっとじゃ消えない。

 そして左手がハサミで右腕が欠損したので炎を剥ぎ取ることも出来ない。

 つまり攻撃するなら今だな。

 俺はアイスソードを逆手に構えた。

 

「アバンストラッシュ!」

 

 黒く光る斬撃(アバンストラッシュ)によりザムザの首が刎ねられた。

 流石に超魔生物も頭だけは再生できないだろう。

 しかも暗黒闘気による回復阻害効果のオマケ付きだからな。

 

「ウオオオッ!」

 

 ザムザは叫び声を上げながら魔族の姿に変化していく。

 つまり超魔生物として敗北したのだ。

 

「流石は(ドラゴン)の騎士だな……。超魔生物以上の化け物だ」

 

「いや、お前も大した化け物だったぞ。タイマンだったら結果は分からなかった」

 

 原作のように消耗度外視で戦っていれば普通に負けていただろう。

 俺は常に全力で竜闘気(ドラゴニックオーラ)を発動している、つまり無駄のある戦い方をしているので直ぐに時間切れになってしまう。

 理想はバラン父ちゃんのように攻撃の一瞬だけに全パワーを集中して爆発させる効率的な戦い方だ。

 ここら辺は今後の課題だな。

 

「そう言ってくれて光栄だ。そして記憶チップを我が父に献上できれば俺の使命は終わる! バシルーラ!」

 

 ザムザは額当てを引きちぎると追放呪文(バシルーラ)でソレを空の彼方にまで投げ飛ばした。

 

「てっ……てめぇっ! 何をしやがった!?」

 

「ククッ……我が父に研究成果と知識を送ったのだ。あれさえあれば残りの研究は妖魔士団が引き継いで完成してくれる」

 

 つまり魔王軍に内通者がいるという俺の大嘘もザボエラに届いたというわけか。

 せいぜい疑心暗鬼になるんだな。

 

「バ……バカ野郎! てめぇの親父ってのはザボエラだろうが! あいつがそんなことやって感謝するようなタマかよ!」

 

「フッ……分かっているさ。あの父は自分以外を道具としか見ていない。俺が死んでも涙一つ流さないだろう。だが俺の父であることには変わりない」

 

 そう言い残すとザムザの身体は黒き灰と化す。

 するとポップは神妙な顔つきになった。

 

「コイツ、親父に褒めてもらいたかったんだろうな」

 

「ピピィ……」

 

「気持ちは分かるよ」

 

 こうして俺達は魔王軍の奸計を事前に防ぐことに成功した。

 

「ダイ殿! 覇者の剣です!」

 

「あっ、もう大丈夫です」

 

 そして今頃になって覇者の剣が届いた。

 持ってきた兵士はここまで全力で走ってきたようで息も絶え絶えだ。

 無駄足だったけど良く頑張ったな。




 まあ原作を知っていたらこうなりますよね。
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