転生ダイの大冒険 作:ジャガン大好き民
「よくぞ、魔王軍の陰謀を見抜き打倒した! 流石はロモスの英雄じゃの!」
ロモス王は俺達を称賛する。
普通の英雄ではなく『ロモス』の英雄か。
俺はパプニカと距離が近いから、ここらでロモスが先に英雄認定をしたと主張しているのかな?
いや、王様はマジの善人だから裏の意図とかはないか。
「よって覇者の剣を贈呈しよう!」
「待ってください、それは武術大会の優勝景品では?」
「武術大会はザムザが発案したもの、故に中止しようと思う」
おいおい、それはないだろう。
俺としては是非とも武術大会に参加したい。
「ですが中止すれば開催費用が全て無駄になります。それに魔王軍の提案だとはいえ、ロモスの戦力強化になるというのは間違っていません。そして俺としても武術大会に参加したいです。ですの俺への褒美は武術大会の滞りない開催にしてくれませんか? そして景品は依然変わりなく覇者の剣にしてください」
どうせ武術大会は俺か仲間達が優勝するだろう。
覇者の剣が手に入るのは先か後かの違いだ。
なら後で手に入れて全力で大会を楽しむとしよう。
そうした方が色々とお得だ。
「オヌシがそこまで言うのなら、そのようにするとしよう」
というわけでロモス王は掌を返して武術大会を行うことにした。
なので俺達は明日の大会に備えて今日は王宮の客間で休むことにした。
そして夜が明けた。
というわけで俺達は人混みをかき分けて何とか受付に行き予選に参加する。
まあ予選突破は確実だとして問題は本選だな。
今の俺には
なので常に手加減した状態で戦わないといかないのだ。
その状態だと仲間達に勝てるか怪しいな。
まあ覇者の剣は確定で入手できるけど負けるのは嫌だ。
『ただいまより予選を開始いたします! 出場選手はただちに控室に集合してください!』
武術大会の司会からのアナウンスがあったので俺達は
そこにはゴーストくんなどの原作で見覚えのある参加者達がいた。
もちろん彼もいる。
「マァムさん! ダイくん! 久しぶりだね!」
「お前はチウか!」
「キミ達も参加するとはね。やはり強者というのは惹かれ合うようだ!」
そこには大ネズミのモンスター、チウがいた。
少し前まで魔王軍の侵攻を受けたのにモンスターの参加を認めるとかロモス王ってば懐広すぎだろ。
それはいいとして、彼以外にも見覚えのある参加者がいた。
「お前は……!」
「かっ……怪物小僧ッ!」
偽勇者が声を上げる。
お前までいるのかよ。
「こいつらは誰だ?」
「デルムリン島を襲撃した偽勇者だ。なんやかんやあって撃退したんだけど、まさか武術大会に出てたとはな」
「ま……待てよ。オレたちゃ悪事からは足を洗ったんだ!」
「具体的には?」
「例えば自分よりなるべく弱いモンスターを倒して褒美をもらうとか……魔王軍にやられた廃墟へ行って宝箱を開けるとか……てきとうな武術や魔法を教えるとかだな」
……割と善行をしているな。
「それにしても怪物小僧がいるんじゃあ、優勝できないかもな」
「安心してよ、俺はナイフ1本で出場するつもりだから」
「お前、そんなので出るのか!? へっへっへっ! それなら勝てるかもしれねぇな! 覇者の剣は俺がいただきだぜ!」
武器がパプニカのナイフだけと聞くと偽勇者は余裕の笑みを浮かべる。
確かにリーチの短いナイフで出場するとか武術大会を完全に舐めているな。
まあ最悪、
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「おらぁっ!!」
雄たけびと共に振り下ろされた斧を俺は紙一重で避ける。
その距離は僅かであり産毛が斬れるほどに近い。
「チョロチョロしやがって!」
目の前の大柄な男は斧を思い切り振り上げて斬りかかって来たが今度は敢えて避けない。
右手でソレを受け止めた酔うとしたら……斧が粉砕された。
ありゃりゃ、今回は失敗だ。
「なっ……!?」
「隙あり!」
俺は左手で相手を思い切り殴りつける。
もちろん
とはいえ相手は普通の人間なので手加減はしている。
その証拠に紋章がある右手ではなく左手を使った。
「グハァッ!」
相手の男は物凄い勢いで武舞台の外に吹き飛ぶ。
すると審判が声を上げる。
『勝負あり! ダイ選手の勝利!』
その言葉が闘技場に響き渡ると観客達は大いに沸いた。
小柄な俺と大柄な男の戦い、それは一見すると前者の負けだと思うだろう。
だが蓋を開ければ小よく大を制した見事な逆転劇である。
そして俺は武舞台から立ち去る。
まずは武術大会の予選で1勝を飾った。
それはともかくとして、今回の戦いは反省点が多い。
例えば先程の右手で斧を壊したのは明らかに過剰火力である。
本来なら弾くつもりだったが調整をミスってしまった。
紋章を拳に発現させた時の俺は常に
それでは直ぐに力尽きてしまい、戦いが不利になってしまうだろう。
なので必要な瞬間にだけパワーを注ぎ、それ以外の時は無駄な消耗を避ける練習をしていた。
具体的には攻撃に使うときは最小限の力で相手を倒すように、防御の時は最小限の力で防御している。
そうすれば
武術大会は紋章の細かな制御を習得するのに都合の良いイベントだ。
戦う相手の強さにはバラつきがあるので、攻防に費やすパワーが毎度違う。
それでいて戦う敵は基本的に格下ばかりなので余裕を持って調整できる。
大会参加者達を相手に練習すれば、これから先に待ち受ける魔王軍との強敵との戦闘でも優位に立てるはずだ。
そして熱闘続くロモス武術大会予選。
俺は
とはいえ中々に歯ごたえのある相手もいた。
特に今大会の優勝候補と目されていた怪力無双の戦士には苦戦した。
力を制限していたとはいえ闘気を籠める量を読み違えて手傷を負うくらいには強かった。
まあ本気を出して勝利したんだけどさ。
そして予選も終わり、決勝に進出する選手が出揃った。
ちなみにロモス王曰く、予選から決勝までは1日で終わらせる予定らしい。
前世なら選手が疲弊してしまうので絶対に不可能だが、この世界は回復呪文と魔法の聖水で疲弊を治せるので実行可能だ。
『会場の皆さんっ! 遂にロモス武術大会も大詰め! 決勝進出選手が決定いたしました!』
アナウンスがコロシアム全体に鳴り響く。
今は決勝進出となった選手達の顔見せを行っている。
俺としても誰がいるかは非常に気になる所だ。
『それでは我が国で最強を誇る8名のファイター達をご紹介しましょう!』
選手達はアナウンスの紹介と共に武舞台へと姿を現す手筈だ。
誰が来るか分からないという期待感で観客を盛り上がらせる為だ。
『まずはロモスを魔王軍から救った小さな勇者、ダイだぁ!』
司会がそう言うと大歓声が沸き上がる。
もちろん決勝には進出させてもらった。
優勝景品である覇者の剣を入手しなきゃいけないからな。
それと俺は勇者じゃないからな。
まあ折角の大会に水を差したくないから何も言わないけど。
『続いて勇者の仲間にして今大会の紅一点、武闘家マァム!』
やはり女性の参加者というものは珍しいのだろう。
それでいて美少女でもある。
なので俺が登場した時以上の盛り上がりを見せた。
『勇者の仲間はまだまだいるぞ! 魔法使いポップ!』
そう言うとポップは掌から火球を出してみる。
こういうパフォーマンスは盛り上がるよな。
『強いのか弱いのか、全くわからない! 謎の実力者ゴーストくん!』
穴が開いた白い布袋を被っただけという、明らかに怪しすぎる人物が出て来た。
彼の正体はブロキーナ老師だ。
要するに『ドラゴンボール』のジャッキー・チュンと同じ感じである。
『なんとモンスターが殴り込みをかけてきた! 空手ネズミのチウ!』
モンスターが決勝進出したという事実に観客席は衝撃を受ける。
いつの間にか決勝に進出しているな。
もしかしたら原作よりも強くなっていたり?
『強大な呪文を誇る魔法使いフォブスター!』
確か原作で黒の
地味に重要人物である。
『かつて勇者と呼ばれた男が復活したぞ! ニセ勇者でろりん!』
アナウンスにまで偽物扱いされているのは少し可哀そうだ。
別に悪いことはしてないのにね。
『旋風のごとき県の使い手! 騎士バロリア!』
この人って誰だっけ?
たぶん原作キャラなんだろうけどさ。
まあ脅威にはならないはずだ。
『以上の8名が決勝に臨みます! 果たして優勝景品である覇者の剣を手に入れるのは誰か! より一層のご声援を……!』
決勝はトーナメント形式だ。
最後まで残った者が覇者の剣を手にする。
『それでは対戦相手を決めたいと思います。選手の皆さんは武舞台の端々に置いてある8つの宝玉を選んでください!』
司会に言われるがままに俺は武舞台の上に転がっていたビー玉サイズの宝玉を手に取り見つめた。
そこにはAと書いてある。
「Aか……」
「……じゃあワシとだね」
するとブロキ……ゴーストくん俺に見えるように自分の持っている宝玉を突き出した。
それには、はっきりAと書かれていた。
初戦から彼と戦うのか……まあ腕試しには丁度良いな。
そしてトーナメントの組み合わせは
・Aブロック
第1試合:ダイ VS ゴーストくん
第2試合:ポップ VS フォブスター
・Bブロック
第3試合:マァム VS バロリア
第4試合:チウ VS でろりん
という感じになった。
「前菜にゴーストくん、メインデッシュがポップ、デザートはマァムか……」
『ではダイ選手とゴーストくん選手以外は武舞台から降りてください!』
司会に勧告により他の選手は控室や観客席へと移動する。
そして武舞台には俺とゴーストくんのみが残った。
「ブロキーナ老師、全力で行かせてもらいますよ」
「なんのことかな? ワシの名前はゴーストくんだよ」
流石に無理があるだろ。
まあ、いいか。
というわけで俺は息を大きく吸い込んだ。
『さあ、それでは第1試合! ダイ選手VSゴーストくん選手の試合を開始します! それでは……スタートォ!』
開始の合図が闘技場に響き渡る。
だがゴーストくんはフラフラとしているだけだ。
つまり、かかってきなさいということか。
じゃあ遠慮なく行かせてもらおう。
「せいっ!」
まずは小手調べに全力の右ストレートをお見舞いする。
もちろん無駄に力を消耗しないように当たりそうな瞬間にのみ
俺は武術大会予選を経験することで完全に紋章の制御に成功している。
しかし、その攻撃は当たらない。
「おりゃあっ!」
今度は左手で手刀を放つ。
もちろん、それもギリギリで回避された。
まるで流れる水を相手にしているかのようだ。
格闘の教科書みたいな闘い方である。
ならば、これはどうかな!
「紋章閃!」
右手にある紋章から
流石のブロキーナ老師であっても、いきなり相手がビームを放ってくるとは思ってもいないだろう。
なので攻撃が命中する……が老師は何事も無かったかのように立っている。
マジですかい。
「……ふふふっ! ワシのこの鍛えぬいた枯れ木のようなぼでぃは風に舞う木の葉の如く相手の攻撃を吸収し受け流す! 例えビームだとしてもね」
「流石ですね」
必殺の紋章閃すら無効化するか。
これは困ったな。
どんな強力な攻撃だろうと簡単に受け流されてしまう。
だが、ちゃんと弱点もある。
ゴーストくんは老人なのでスタミナがなく数分しか本気を出せない。
そこまで耐えれば俺の勝ちだ。
だが、それは相手も理解しているはず。
つまり時間制限までに仕掛けてくるのは必定。
一応、
だが、この戦いは殺し合いではなく興行だ。
観客が盛り下がるような塩試合をするべきではない。
それに俺としても戦いを経て成長したいので真正面から戦うべきだろう。
「ワシの目的は弟子と戦うこと。だから本気で行かせてもらうよ!」
「ええ、お願いします!」
そうして俺はゴーストくんを掴みにかかる。
枯れ葉のように攻撃を躱すのなら掴んで引きちぎればいい。
なので足に
だが、それすらも躱された。
そしてカウンターで顎に重い一撃を貰う。
ヤバい、脳が揺れる。
『ゴーストくん選手による怒涛の連撃だぁ!』
豪雨の如き拳の連打が俺の身体を襲う。
もちろん攻撃を受けた箇所に
これが試合ではなく殺し合いだったら閃華裂光拳まで飛んでくるんだから恐ろしい。
魔王時代のハドラーはよく17年も若い状態の老師と渡り合えたな。
「武神流! 土竜昇破拳!」
ゴーストくんは闘気を武舞台へと送り込んだ。
次の瞬間、火山が噴火するように床が爆発して俺の身体が宙に舞う。
おそらく俺が宙に舞ったタイミングで必殺技を出す気だな。
もちろん、そうはさせないぞ。
「トベルーラ!」
全身から魔力を噴射して空中を自在に動く。
これならば攻撃をいつでも避けられる。
「はあっ!」
「甘い!」
俺は身体を捻じりゴーストくんの攻撃を躱した。
もうそろそろ時間制限も近いはず。
これで俺の勝ちだ。
「うーん、やっぱ勇者は強いネ」
「当たり前でしょう!」
「じゃあこれを使おうか、閃華裂光拳!」
「なッ!?」
閃華裂光拳、それは拳聖ブロキーナが編み出した武神流憲法の奥義だ。
回復系の魔力を拳に乗せて強制的な過剰回復を引き起こし標的の生体組織を破壊する恐ろしい技である。
俺は魔法を弾く
そして、その一瞬が命取りに繋がる。
「隙あり! 猛虎破砕拳!」
「うおおおっ!!」
もちろんゴーストくんが対人相手に閃華裂光拳を使うわけが無かった。
なので先程の拳は俺を驚かせるためのブラフであり、本命は猛虎破砕拳だ。
そして俺は躱し切れずモロにソレを喰らってしまう。
「ガハッ!」
なので俺は武舞台の縁に大きく吹き飛ばされて吐血する。
中々に効いたが俺を倒すには至らない。
「ゼェ……ゼェ……。これでも倒れないか。流石だね」
「まあ若いですからね。それで降参します? おそらくフルパワーを使い切ったようですけど」
「武闘家として降参はしないよ」
「ですよね」
というわけで俺はヒノキの棒を逆手に構えた。
「アバンストラッシュ!」
もちろん武器が武器なので大したダメージではない。
『勝負あり! ただいまの試合は勇者ダイ選手の勝利です!』
大歓声が闘技場から沸き起こる。
こうして第1試合は俺が制することになった。
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