転生ダイの大冒険   作:ジャガン大好き民

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レベル38 鬼岩城襲来

「ねぇ、レオナ……俺も参加しないとダメなのかい?」

 

「当然じゃない! この世界会議の目的は各国の垣根を超えて協力しあって魔王軍に立ち向かうためのものよ! その最前線にいるダイくんが参加しないでどうするのよ?」

 

 でも俺ってば単なる暴力装置に過ぎないから参加した所でなんだよね。

 餅は餅屋に任せるに限る。

 まあ国家元首に命令されたのなら最善を尽くすしかないが。

 

 というわけで大礼拝堂の最上階へと向かうと、そこには現存する各国の首脳が集まっていた。

 参加者は主催であるパプニカ王国第1王女レオナ姫を筆頭に、ベンガーナ王国クルテマッカⅦ世、ロモス王国シナナ王、テラン王国フォルケン王、リンガイア王国のバウスン将軍だ。

 そして彼らは中央に設置されたテーブルを囲むように席に着いていた。

 

「これより世界会議(サミット)の開催を宣言します」

 

 集まった各国の代表者を前にレオナは堂々と宣言した。

 その様子は成人前の娘とは思えないほどである。

 

「まずは急な要請にも関わらず集まってくれた皆様に、開催国として感謝の言葉を述べさせていただきます」

 

「それは良いのだがレオナ姫に尋ねたいことがある」

 

 ベンガーナ王はそう言うと俺へと目線を向けた。

 

「キミは誰かね?」

 

「ダイと申します。今回はレオナ姫からの特別の依頼を受けて、この場に参加させていただきました。辺境育ち故にご無礼な言い方をするかもしれませんが、ご容赦ください」

 

 尋ねられたので名乗った。

 そしてロモス王とレオナが自国を救ってくれた英雄であることを説明する。

 すると、それを聞いたベンガーナ王は口を開く。

 

「レオナ姫、これからは勇者ではなく兵器の時代だよ。大砲の前には剣も魔法も無力だ。彼を参加させる意味があるのかね?」

 

「そんなことはありません! パプニカは英雄ダイの手によって救われました!」

 

「そうじゃよ! 我がロモスも彼のおかげで救われた!」

 

「だが我らベンガーナは魔王軍を単独で退けているぞ! 軍事力があれば勇者がいなくても勝てる時代なのだ」

 

「ベンガーナ王……我らリンガイアも城塞王国と呼ばれた強国でしたが魔王軍の超竜軍団によって1週間で滅ばされてしまったのです。あの恐ろしさは戦った者にしか分からないッ! 失礼ながら貴国が健在なのは敵の戦力が本腰では無かっただけの事でありましょう……」

 

 するとバウスン将軍がベンガーナ王を諭す。

 この人ってバラン父ちゃん相手に1週間も戦えて生き残っているんだよな。

 しかも北の勇者ノヴァ抜きで。

 もしかしたら滅茶苦茶に凄い人なのでは?

 

「無礼なッ! 我が軍の戦力を知らぬのかッ!?」

 

「それでも超竜軍団には敵わないでしょう」

 

「なんだとっ!?」

 

 俺の言葉にベンガーナ王は反応した。

 

「陛下はベンガーナを攻めている相手の詳細をご存じですか?」

 

「敵の詳細、だと……?」

 

「貴国を攻めているのは妖魔士団、そして軍団を束ねているのは妖魔司教ザボエラと言います」

 

「ほう?」

 

「彼は他の軍団長に取り入ることに熱心であるので侵略行為そのものには力を入れていません。必要最低限の攻勢しか行わず自軍団の力を温存させているのだと思います」

 

 ザボエラはよほどのことが無い限りは前線に姿を現すことすらない。

 ならばベンガーナ王が敵の軍団長の名前を知らないのも道理だ。

 ちなみに軍団を温存させているのは完全に推測だが、性格的にあり得る話だろう。

 

「もし侵攻する軍団が違えば、この場にはベンガーナ王の代わりにオーザムやリンガイアの王がいても不思議ではなかったでしょう」

 

「我がベンガーナが相手に恵まれただけだと!? 取り消せ!」

 

「……話は変わりますが、アルキード王国を消滅させたのは誰だと思いますか?」

 

「あれは天変地異で滅んだのだろう。それがどうしたのだ?」

 

 アルキード王国は対外的には天変地異で滅んだことになっているようだ。

 地味に初耳である。

 

「違います。あれは超竜軍団長である竜騎将バランによるものです」

 

「なっ!? ただの個人が国を滅ぼすだとぉ!?」

 

「彼は(ドラゴン)の騎士と呼ばれる神々が創り出した生物兵器ですので。テラン王は御存じでしょう?」

 

「知っているが、まさか(ドラゴン)の騎士様が魔王軍に!?」

 

「今は魔王軍から脱退しましたがね」

 

「なにっ!?」

 

 そう言うとバウスン将軍が衝撃を受ける。

 自国を滅ぼした存在が謎に脱退したとか意味不明を超えた意味不明だもんね。

 魔王軍情勢は複雑怪奇なり。

 

「それに戦車は市街戦に弱いでしょう。なぜなら市街地では視界が狭く、物陰に隠れた歩兵に近寄られたら対応できませんから」

 

「……確かに事実だが、それがどうしたというのだ? 平地で敵を倒せばいいだけのことよ」

 

「魔王軍はルーラと魔法の筒を駆使して神出鬼没に市街地を襲うはずです。戦車が強くとも対応するには限界があるでしょう。それに魔王軍の本拠は不明である以上は戦車で叩くこともできない」

 

「ムゥゥ!」

 

 やはりベンガーナ王は暗愚なわけではないので理論立てて説明すれば納得してくれる。

 魔王軍の基本方針は無差別テロなので戦車で勝つのは難しい。

 

「それに戦車では魔王軍の兵器には勝てないでしょう」

 

「魔王軍の兵器?」

 

「例えば、ベンガーナ王が乗って来た軍艦、あれは礼拝堂からも見えるほどの大きさですね」

 

 窓ガラスを隔てた先にはパプニカの港町が見える。

 そして俺の言う通り、港にはベンガーナ王国所有の軍艦が停泊している。

 それは既存の船よりも遥かに巨大であった。

 

「あの軍艦を片手で持ち上げることのできる大きさの移動要塞が魔王軍にはあります」

 

「流石にそれは大げさ過ぎでは? いくら何でもそのような相手など……」

 

 バウスン将軍がそう言った瞬間、突如として轟音が鳴り響き黒煙が立ち上る。

 その様子に会議場の出席者は窓の外を見る。

 

「あああ……あうっうっ!」

 

 そこで彼らは目撃することになる。

 

「こっ……こんなっ……バカなッ!」

 

 巨大な人影が軍艦を片手で持ち上げている。

 ソレは海上に立っているにも関わらず、水面はその巨体の膝よりも下に位置している。

 つまり、それだけ大きいということだ。

 そして全身が武骨な岩塊で出来ており、顔は悪魔のように凶悪だった。

 

「あれが魔王軍の兵器、鬼岩城です」

 

 本当にタイミング良く来てくれたな。

 すると鬼岩城は軍艦を港町に投げる。

 復興したばかりの町を無茶苦茶にしやがって。

 

「な……なんという化け物じゃっ!」

 

「信じられぬ……もはや人智の及ぶ相手ではない」

 

「きっと、あたし達を全滅させるのが目的です。この会議の事を知っているんだわ」

 

「まあ何処かの国が堂々と来たせいでしょうね」

 

 シレっと嫌味を言うとベンガーナ王は汗を流しながら唸る。

 そして彼はテラスに乗り出して、こう叫ぶ。

 

「おのれェィ! アキームッ! 戦車部隊を出撃させろッ! 我がベンガーナ軍の真価を見せてやるのだ!」

 

「ハッ! かしこまりました!」

 

「無茶ですよ!」

 

 そう言って俺は礼拝堂から飛び降りてアキームと呼ばれた男を止める。

 

「国王陛下はベンガーナ軍の真価を見せよ、と言われた。勝敗はどうあれ世界の先陣を切って戦う勇気を見せねばならんのだッ! どいてくれッ!」

 

 そう言うとアキームさんは冷や汗を流しながら馬に騎乗する。

 彼も絶対に勝てないことは分かっているだろうに、それでも相手に立ち向かう気だ。

 見事な勇気である。

 

「俺も行くか!」

 

「ダイー! おれ達も忘れんなよ!」

 

 すると礼拝堂の中で待機していたポップとマァムとチウがやってくる。

 俺達ならば鬼岩城とミストバーンを余裕で撃退することが出来るだろう。

 

「デルパ!」

 

 チウは魔法の筒からモンスターを出現させる。

 コイツらは獣王の笛によってチウの配下になったモンスター、つまり獣王遊撃隊である。

 おそらくポップがロモスの山奥から輸送してあげたのだろうな。

 

「さあ、行くぞ!」

 

 こうして俺達は戦場へと向かう。

 

「発射用意ッ!」

 

 既にベンガーナ戦車部隊は鬼岩城を攻撃する為に一列横隊で等間隔に並んでいた。

 

「撃て―ッ!」

 

 アキームさんが合図を出すと戦車から次々と砲弾が発射される。

 ソレ(砲弾)はそのまま一直線に迫り、鬼岩城の腕や肩や胴体に確実に攻撃を与えていく。

 これにより鬼岩城の上半身は爆炎に包まれた。

 おそらくベンガーナ王は礼拝堂で高笑いをしていることだろう。

 

「コイツはスゲェや……!」

 

 ポップは思わず感嘆の声を漏らすが、戦車部隊が勝つことは無い。

 なぜなら鬼岩城を覆う爆炎の中から光線が放たれたからだ。

 それにより戦車の殆どは吹き飛ばされる。

 

「大丈夫ですか?」

 

「ああ、此方は問題ない……ありがとう」

 

 アキームさんは俺に礼を言う。

 なんとか近くにいる戦車は守れたけど、残りは壊滅だな。

 そして爆炎が徐々に晴れていくと、そこには岩石の鎧を脱ぎ捨てた鬼岩城が鎮座している。

 腹部に巨大な城門を備え、胸部に無数の大砲を構えた姿は、まさしく人型の城そのものだ。

 おそらく先程の光線は、あの大砲から放たれたな。

 すると突如として聞き覚えのある声が轟く。

 

「パプニカ王女レオナに世界の指導者……そして勇者ダイよ! オレは魔軍司令ハドラーである!」

 

 ハドラー?

 

「この日の為にオレは誇りを捨て魔族の肉体すら捨てた! オレの望みはいまやただ1つ!」

 

 ハドハド、ハドラー?

 ハドラー、ハドラー?

 

「我が生涯の宿敵アバンが残した、お前達を打ち倒すことだけだっ!」

 

 ……衝撃的すぎて脳みそがバグっていた。

 つまりバタフライエフェクトが起きて展開が早まったと。

 しかも超魔生物にもなってやがる。

 おそらく鬼岩城の襲撃が原作よりも遅くなったせいだな。

 

「オレは鬼岩城前で待っている。パプニカを壊されたくなかったら来るのだな!」

 

 ハドラーが言い終わると城門が開くと、そこには夥しい量のモンスターがいた。

 魔軍司令親衛隊であるアークデーモンやガーゴイルは当然として、彷徨う鎧やメドーサボールなどもいる。

 モンスターの種類的にミストバーンやザボエラも来ていると。

 

「マァム、頼みがあるんだが」

 

「なにかしら?」

 

 俺はマァムに頼みごとをする。

 これで準備万端だ。

 

「突撃ッ!」

 

 というわけで俺達は城へと乗り込もうとする。

 もちろん敵側も対抗して鬼岩城の掌を介してモンスター達を地上に派遣した。

 鬼岩城も止めたいがモンスターを放置するわけにもいかないな。

 

「俺は鬼岩城を相手する。みんなは邪魔する敵を倒してくれ!」

 

「「「了解!」」」

 

 こうして俺は飛翔呪文で(トベルーラ)で城門を目指すことにした。

 

「キィ~ッヒッヒ! そうはさせんわい! メラゾーマ!」

 

 すると、どこからともなく火炎呪文(メラゾーマ)が飛んで来た。

 あの笑い声はザボエラだな。

 今更、アイツの相手をしてられるかよ。

 ということで頼んだぜ、相棒!

 

「イオラ!」

 

「なっ……なんじゃあッ!?」

 

「おれが相手だ! 妖怪ジジイ!」

 

 ポップがザボエラに向けて攻撃をした。

 まあ彼なら負けることは無いだろう。

 

「……行けっ! 我が魔影軍団最強の鎧兵士デッド・アーマー達よ!」

 

 するとデッド・アーマーとミストバーンが出撃する。

 

「勝負だ、ミストバーン!」

 

 いつの間にかヒュンケルの兄者が戦場にいた。

 兄者の武器はデパートから失敬した鋼鉄(はがね)の剣なわけだがミストバーン達を足止めくらいは出来るだろう。

 そしてマァム、チウ率いる獣王遊撃隊、キラーマシンに搭乗したバダックさんは雑魚モンスターの相手をする。

 これで心置きなく超魔ハドラーと戦えるな。

 

「頼んだぜ!」

 

 邪魔者がいなくなった俺は鬼岩城の近くへと向かった。

 そこには異形(超魔生物)と化したハドラーがいる。

 分かっていたとはいえ今までとは完全に違う。

 

「来たな……ダイ!」

 

「超魔生物になったのか」

 

「戦ってみれば分かることだ。その目で確か見てみるがいい……このオレが全てを失った代償として手に入れた力を!」

 

 ハドラーの言葉を聞いた瞬間、剣の封印が勝手に解かれた。

 アイツはヤバすぎるから使ってくれということだな。

 

「いいだろう!」

 

 そう言って俺は剣を抜き竜闘気(ドラゴニックオーラ)を全開にする。

 こうでもしないと殺されてしまうぐらいにはハドラーは手強くなった。

 

「それでこそ……アバンの使徒よッ!」

 

 ハドラーは地獄の爪(ヘルズ・クロ―)を展開して正面から襲い掛かってきた。

 あの攻撃は竜闘気(ドラゴニックオーラ)の防御膜を貫いてくるだろうから回避するしかない。

 そして躱したら側面から斬りかかる。

 

「大地斬!」

 

「ぬおおおっ!」

 

 ダイの剣と地獄の爪(ヘルズ・クロ―)が激突した。

 もちろん結果は前者の勝利だ。

 4本の爪は根元から切断されて地面にポトリと落ちる。

 ロンさんが鍛えたオリハルコンが負けるわけないんだよね。

 

「ホウ……それがお前の新しい武器か!」

 

「ちなみにハドちゃんはオリハルコン製の武器とか持ってないよね?」

 

「……残念ながら持っていないな」

 

 流石の魔軍司令であっても神が授けた金属は持っていないか。

 ダイの姉に転生する某二次創作では普通に持っていたから割とビクビクしていたんだ。

 これで武器においては俺が圧倒的に有利になる。

 だが肉体のスペックでは超魔生物と化したハドラーの方が上なはず。

 

「それでも、お前には勝つぞ!」

 

「エビルデイン!」

 

 ハドラーは啖呵を切ると掌から高熱を発する暗黒闘気、魔炎気が放出される。

 負けじと俺は邪悪な雷霆(エビルデイン)を剣に充填した。

 暗黒闘気と竜闘気(ドラゴニックオーラ)は同時に使用するのは不可能だが、前者を魔法に後者を剣に使うことで併用可能となるのだ。

 さあ、行くぞ!

 

「アバンストラッシュ!」

 

「超魔爆炎覇!」

 

 鬼岩城内で勇者(アバン)魔王(ハドラー)の奥義が激突した。




鬼岩城だけだと退屈でしょうからハドちゃんを追加しました。
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