転生ダイの大冒険 作:ジャガン大好き民
俺は1人で海岸まで戻った。
突如として現れた俺の姿にブラス爺ちゃんもテムジン達も驚きを隠せない様子だ。
そして俺は口を開く。
「テムジン司教、大変です! 奥地でレオナ姫がモンスターに襲われて…」
「なんじゃとぉ!?」
「む、それは本当ですかダイくん?」
「はい……。せめてご報告をと思い、俺だけでも戻ってきました」
俺の言葉に爺ちゃんは純粋に驚いているが、テムジンは隠しきれないほどに笑みを浮かべていた。
演技が下手だな。
「よくやったぞバロン! レオナは死んだ! これで計画は成功したも同然、つまり後継者を失ったパプニカの実権はワシものよ!」
「な、なんと!?」
「さて、念には念を。貴様らも始末しておかねばな。お前達!」
テムジンの命令に従い、彼の部下である7人の兵士達が手に槍を持ち俺達を取り囲む。
普通の兵士ごときが
「ぬぅ……!」
「クックックッ……! 怪物島と呼ばれたこの島ならば、姫が襲われても不思議ではあるまい? そして、お前達は姫を殺した野蛮なモンスターとして処分される。素晴らしい筋書きじゃろう?」
俺達が処分されるのは良いとして、テムジンやバロン達も姫を守り切れなかった責任を取らされると思うんだよね。
どうやってパプニカ王国の実権を握る気なのだろうか?
「神に仕える身でありながら己の欲望の為、主君の生命を奪おうとは…許せんわい!」
「そうよねぇ、本当に許せないわ」
激昂するブラス爺ちゃんの言葉に便乗する少女の声が海岸に響く。
それを聞いたブラス爺ちゃんとテムジンの老人コンビは動きを止めた。
なぜなら、その声は聞き覚えのあるものだったからだ。
「まさか……! この声は!?」
すると物陰からレオナと共に護衛の兵士が姿を現した。
「な、何故生きている!?」
「誰もアタシが死んだなんて言ってないわよ」
レオナ姫は笑顔でテムジンに返答する。
俺の策、それはレオナを殺されて逃げて帰って来た風を装い、テムジンの失言を引き出させるというものだ。
ちなみに本来の報告役は俺ではなく護衛の兵士の誰かになるはずだったのだが『自国の姫が死んだと冗談でも口にしたくない』と彼らに言われたので、俺が担当することになった。
大した忠誠心である。
「それにしてもペラペラと計画を話すなんて……。手間が省けて助かったわ」
本当にな。
原作通りテムジンが喋ったおかげで白状させる必要もなくなった。
後は彼らを倒すだけだな。
「ぐぐぐ……。もはや、こうなっては! ええいっ!! 貴様らっ! そいつらを殺せ! 殺すのだ!」
追い詰められたテムジンは部下の兵士に抹殺命令を下す。
部下達もこのままでは重い処罰は免れないと悟り、命令に従い槍を構える。
するとブラス爺ちゃんが前に立ちはだかる。
「ゴメよ、島のモンスターを集合させるのじゃ!」
「ピピー!」
爺ちゃんがそう言うとゴメちゃんは空高く飛び上がり、輝く体を使い太陽光を乱反射させる。
これは島のモンスターに敵が来たことを伝える合図だ。
しばらくすると海岸に大量のモンスターがやってきた。
「今じゃ! 総攻撃!」
その合図と共に島のモンスター達はテムジンの部下を袋叩きにする。
思ったよりも弱いな。
レオナ姫の護衛といい、パプニカの兵は弱卒しかいないようだ。
まあ今は平和な時代だし軍備に予算を割いてないんだろうな。
「どうじゃ、覚悟せい!」
「クッ……! バ、バロン! バロンはどこに行ったのだ!? 肝心な時におらん役立たずめ!」
「そういえばバロンがどこにもいないわね」
確かに実行犯である賢者バロンがいないな。
策が上手く行き過ぎた故に存在を忘れかけていた。
この場に賢者である彼がいれば島のモンスター達であっても敵わなかったはずだ。
もっとも、そうなったら俺が倒すけどね。
「私ならここにいる!」
その言葉と共に爆発音が鳴り響く。
俺達は音のした方向に目を向けると、そこに沖合に停泊した船から煙が上がっていた。
そして煙と共にソレは姿を現す。
あれは……
「キラーマシン!」
爆煙から現れたのは、巨大な機械系のモンスターだ。
安定性を高めるために脚部は四本も存在しており、右手には巨大な曲刀を持ち、左手は手甲と一体化したボウガンを装備している。
これこそ偉大なる創造神、鳥山明が考案した完璧なフォルムだ。
「な、なんじゃと! キラーマシンは魔王が勇者を殺すために造り上げた殺人機械! 魔王が死んだ今、なぜ動く……!?」
キラーマシンの動力は魔王の邪悪な意思なので魔王がいなくなれば活動することはない。
だが眼前のキラーマシンは元気に此方に向かってきている。
なぜならばモノアイの中で賢者バロンが操作しているからだ。
「ハッハッハッ! でかしたぞ!」
「バロンの魔法力で動かしていたのか!?」
「そうだ! ただのガラクタに過ぎなかったコイツをワシの手で改造したのだ。搭乗者の意思で自在に動くようになっ!」
「なんという恐ろしいことを……!」
ブラス爺ちゃんの言う通り本当に恐ろしいわ。
序盤に出てくる敵じゃないんだよね。
シリーズ最難関のドラクエⅡであっても
「今のお前は地上最強だ! けちらせ、バロン!」
こうしてキラーマシンは俺達を殺すべく向かってくる。
それに対抗して暴れ猿と大王イカが食い止めようとするが一蹴されてしまう。
島内でも屈指の肉体派である2匹が簡単にやられたことで他のモンスターはビビってしまう。
だが旧魔王幹部であったブラス爺ちゃんは別だ。
「ぬぅぅぅっ! メラミ!」
「ギラ!」
ブラス爺ちゃんの
これを受けたら並のモンスターなら一瞬で黒焦げになるだろう。
だが目の前にいるのは魔王が作り出した強豪モンスター、つまり相手が悪すぎる。
なのでノーダメージだ。
「フフフッ、バカめ。貴様程度の魔力なぞ通用するかあーっ!」
キラーマシンの魔法耐性が高すぎる。
確か
まさしく強敵だ。
流石はガンガディアがパプニカを滅ぼすのに最適と評しただけはある。
原作では
つまり素の状態で倒さないといけないと。
割と無理ゲーでは?
「くらえっ!」
「くだらん!」
パプニカのナイフとキラーマシンの曲刀がぶつかり合い衝撃波が発生する。
大地斬で斬りかかったのにヒビすら入らないか。
やはり正攻法じゃ難しい。
実際、先の大戦では戦士ロカを殺しかけたわけだしな。
ならば搦め手で行こう。
「パペットマン、不思議な踊りだ!」
「カカカッ!」
物理も魔法も通用しないなら踊れば良いじゃない。
不思議な踊りは視覚に作用する特技なので装甲が分厚くても防げない。
そしてキラーマシンはバロンの
つまりMPが枯れれば勝ちだ。
「小癪なぁっ! ソイツを倒せばよい話よ!」
「させないよ!」
「グッ! 小癪な!」
もちろん俺はパペットマンを守る為にキラーマシンを足止めする。
今のところは此方が優勢だが少しでも気を抜けば殺されてしまう。
それにバロンは賢者なだけあって
むしろ先に俺の
もちろんソレは想定済みだ。
ということで俺は懐から2本の筒を取り出す。
「デルパ!」
その言の葉により筒からはキングスライムとドラゴンが出現した。
これが魔王時代のハドラーがブラス爺ちゃんに託したモンスター2匹だ。
原作では偽勇者との戦いで使ったが、この世界ではキラーマシンとの戦いで使う。
「そこのキラーマシンを倒せ!」
「グオオオオ!」
指示を出すと2匹はキラーマシンに突撃をかました。
キラーマシンは強いとはいえ彼らも負けてはいない。
なので互角に渡り合っている。
「ゴメちゃん!」
「ピピィ!」
「グワッ!」
更にはゴメちゃんが太陽光を反射してモノアイを照らす。
これにより操縦者である賢者バロンの視界は一時的に潰された。
この技は魔のサソリ戦で見せているので警戒されている可能性がある。
なのでドラゴン達で足止めをして確実に当てれるようにした。
「今だ!」
俺はキラーマシンの身体をよじ登っていく。
もちろんバロンも近づけさせないように動くわけだが、視界が潰されている状況では満足に抵抗できない。
そしてモノアイ付近に到着し俺は大地斬でモノアイを切り裂いた。
……曲刀部分と比べたらかなり柔らかいな。
確かモノアイは先の大戦でアバンとロカのW豪破一刀で破壊されていた。
所詮は人間の技術なので補修が甘かったのだろう。
「おのれぇ! イオラ!」
コックピットにいるバロンは俺に向けて
どうやらパペットマンの不思議な踊りによって中級呪文を放つ
これが下位呪文のイオあたりだったら手痛い反撃を貰っていたかもしれない。
要するに相手のプレミである。
「これで詰みだ! メラ!」
「ガッ!」
そう言って俺はゼロ距離で
すると奴は白目を剥いて気絶した。
つまり俺達の勝ちである。
「今のうちよ!みんな、彼らを捕らえて!」
その後はテムジンとバロン、その部下の兵士達はレオナ姫の護衛により捕縛された。
そして姫の儀式も無事に済んだ。
めでたしめでたしって感じだな。
「ありがとうダイくん。命の恩人ね」
海岸で俺とレオナ姫は友好の握手を交わし、それを見た役人たちは拍手を送った。
「姫も無事でよかったです」
「姫じゃなくてレオナって呼んでちょうだい。今度からそんな他人行儀な呼び方したら口きかないわよ!」
「分かったよ、レオナ!」
これで俺とレオナはダチ公だな。
「ところで、バロンが載ってたキラーマシンってどうするの?」
「さあ? 魔王が使役した忌まわしい兵器だし処分するんじゃないかしら」
原作でこの後、キラーマシンの影も形も無かった理由はそういう事か。
あんな凄い存在を簡単に処分していいわけがない。
「なら今回の褒美として俺にくれないかな?」
「一体何に使うつもりよ、あんなの?」
「内部の仕組みとかに興味があるんだ。それにパプニカに持って帰ると誰かに悪用されるかもしれないし、デルムリン島に置いておいた方が安全じゃないかな?」
ビルダーズ2では主人公がキラーマシンを解析することで、超スーパーカーという破壊神を破壊する超兵器を作っていたしな。
同じように内部を解析すれば何かを得れるかもしれない。
それにキラーマシンをそのまま操るだけでも十分に強力だ。
「いくらダイ殿の頼みとはいえ、それは聞くわけにはまいりませんな。そのキラーマシーンは罪の証の1つですので」
パプニカの役人がそう言う。
あらら、じゃあ仕方ないか。
だけど用件はそれだけじゃない。
「それは理解しました。ではパプニカに持ち帰った後はどうするつもりですか?」
「キラーマシンとは魔王が作り出した邪悪な兵器にして姫の暗殺に使われた存在。こんなものを残しておけませぬ。即刻、破壊すべきかと」
確かに役人の言うことは理解できる。
だけど、それは悪手だろう。
「キラーマシンは有用な道具です。魔王の技術であろうと優れた物は積極的に取り入れるべきでは? 技術そのものに善悪の評価をするのはおかしいですよ。例えば勇者の仲間がキラーマシンを使っていれば聖なる兵器として絶賛されていたと思いませんか?」
「むぅ……!」
「それにこの先、第二第三の魔王が出現する可能性もあります。そんな時にキラーマシンがあれば国土を犠牲にしなくても済むかもしれません。魔王が作り上げた技術で魔王に打撃を負わせる、なんて面白い意趣返しになりませんか?」
色々と理屈をつけているが本音としては、パプニカが大魔王バーンの侵攻に少しでも対抗できるようにする為だ。
俺の助言1つでパプニカの民が救われる可能性が上がるなら安いもんだ。
「ダイくんの言う通りね。魔王が扱った技術だから禁忌とするのはよくないわ」
「ひ、姫様!?」
「というわけでキラーマシンは軍事利用することにしたわ!」
流石はレオナだ、話が分かるぜ。
これで少しは原作より状況がマシになるだろう。
「将来、立派な勇者になったらパプニカにいらっしゃい。アタシのボディーガードか何かで使ってあげるから。その時にキラーマシンにも乗せてあげるわ」
「喜んで!」
こうして俺達は話に華を咲かせた。
だが、名残惜しいもので出航の時間となった。
「さようなら、レオナ」
「ええ、再会の日を心待ちにさせてもらうわ!」
そう言ってレオナは聖なる船と共にパプニカへと帰還する。
彼女とはバルジ島で再開することになるだろう。
俺はソレを待ち遠しにしながら船を見送った。
さあ、鍛錬でもするか!
原作では『キラーマシーン』表記ですが、この二次創作はアニメ版準拠なので『キラーマシン』です。