転生ダイの大冒険   作:ジャガン大好き民

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レベル41 北の勇者

 俺はメルルの占いでバラン父ちゃんに会おうとしていた。

 しかし目の前にいるのは獣王クロコダインである。

 

「えっと……獣王さん?」

 

「今のオレは海戦騎クロコダインだ。そしてコイツは空戦騎ガルーダだ」

 

「クワワァッ!」

 

 クロコダイン達は魔王軍に所属できなくなったからバラン父ちゃんの部下、竜騎衆になったのか。

 前任者を殺したら称号を襲名できるとか幻影旅団かな?

 それにしてもガルーダが空戦騎は色々と無理があるだろ。

 

「それで我らと戦いに来たのか?」

 

「今回は交渉だ。だから戦う気はない」

 

「……了解した、ならば案内しよう」

 

 というわけでガルーダに乗り、俺達はバラン父ちゃんがいる辺境の山奥へと向かった。

 

「……ディーノか。なんのようだ?」

 

「父ちゃん、同盟を結ばないか?」

 

 この世界は原作とは大きくかけ離れ過ぎた。

 なのでバラン父ちゃんがヒュンケルの兄者の犠牲(後に何事もなかったかのように復活)で俺と協力する展開なんて無いかもしれない。

 だから先手を打って同盟を組む。

 ちなみに父ちゃんに祖国を滅ぼされたバウスン将軍にも許可は取ってある。

 

「……冗談はそこまでにしろ」

 

「ふざけてないよ。大魔王バーンの目的は地上を破壊して魔界に太陽を齎すこと。竜の騎士として動かなきゃいけないと思うんだけどな」

 

「証拠はあるのか?」

 

「実は神の涙の奇跡で未来の展開を知っているんだよね」

 

「それを信じるとでも?」

 

「冥竜王が地上侵攻を開始したのは大魔王に地上を破壊させないようにするためだよ」

 

「確かに筋は通っているが、協力は出来ん」

 

 そう簡単に味方にはなってくれないよな。

 いまさら生き方は変えられないというわけか。

 ならば此方も考えがある。

 

「……賭けをしようよ。1か月以内に死神キルバーンが父ちゃんを襲ってきたなら同盟を組んでもらう」

 

「襲ってこなかった場合はどうなる?」

 

「俺が父ちゃんの軍門に下る」

 

「なっ!?」

 

 ヒュンケルの兄者がそう言って驚愕する。

 父ちゃんと同盟を組めなかったら大魔王に負ける可能性が高い。

 じゃあ軍門に下った方がマシである。

 

「つまり私の為に人間を滅ぼすということだな?」

 

「そうなるね」

 

 賭けに勝ったら人間と地上の両方を守れるし、負けても地上だけは守れる。

 一方、バラン(父ちゃん)が味方じゃないと大魔王に負けて全てを失う。

 それに原作知識が正しければ死神キルバーンは父ちゃんを殺しにかかるはずだ。

 勝つ可能性は高いのなら賭けに出るべきだろう。

 

「その言葉に嘘はないな?」

 

(ドラゴン)の騎士に二言はないよ」

 

「……いいだろう。お前にはラーハルトを生き返してくれた恩もある。賭けにのってやろう」

 

 こうしてバラン父ちゃんとの交渉は成功に終わった。

 まあ父ちゃん視点だと損はないしね。

 賭けに勝ったら人間を滅ぼせて、負けても地上を守れる。

 そして俺達はパプニカへと移動呪文(ルーラ)で帰還した。

 

「これで本当に良かったのか?」

 

「まあ原作に無い展開だけど仕方ないでしょ。それに賭けに負けても従わなければいい」

 

「……流石に武人としてどうかと思うぞ」

 

 ヒュンケルの兄者は苦言を呈した。

 (ドラゴン)の騎士はルール無用だろ。

 

 ■□■□■□■□■□■□■

 

 訓練場の中央で俺とヒュンケルの兄者が対峙している。

 今は兄者に剣術を指南してもらっている最中だ。

 もちろん殺し合いではないので互いの武器はヒノキの棒だが、周囲には触れれば切れそうなほどに研ぎ澄まされた闘気が漂っている。

 

「ぜりゃああっ!」

 

 先に仕掛けたのは俺の方だ。

 一足飛びに距離を詰めると、そのまま真っ直ぐに刺突を繰り出す。

 対する兄者はソレを力の向きを逸らすように武器で軽く弾く。

 

「甘いッ!」

 

「うっ!」

 

 やはり純粋な剣術ではヒュンケルの兄者には敵わない。

 流石はアバンの使徒の長兄だ。

 そして先ほどの攻防で俺の姿勢が崩れる。

 続けて兄者は右手に持った武器を俺に向けて振り下ろした。

 

「まだまだぁッ!」

 

 崩れた体制のまま武器を引き戻して兄者の攻撃を受け止める。

 そして攻撃の勢いを利用して距離を取る。

 

「次は此方から行くぞ!」

 

 今度は兄者が距離を詰めて刺突を繰り出してきた。

 もちろん威力も速度も俺より上である。

 なので防御しきれずに吹き飛ばされてしまう。

 

「攻撃が単調すぎる! それでは相手に行動を読まれてしまうぞ!」

 

 そう言いながら兄者は嵐のような連撃を叩きこんでくる。

 もちろん俺も対抗して攻撃を受けてからカウンターを狙う。

 

「甘いッ!」

 

 だがカウンターはあっさり受け止められて逆に鋭い蹴りを腹に叩きこまれてしまった。

 

「お前は小柄だから相手よりリーチが短い。ならば、どう戦う?」

 

「スピードで翻弄ッ!」

 

「正解だっ!」

 

 こうして俺はヒュンケルの兄者と模擬戦を繰り返す。

 俺はアバン先生に3日しか師事していないから剣術の基礎がおざなりになっていることが分かった。

 ぶっちゃけ今までの戦いは竜闘気(ドラゴニックオーラ)と魔法のゴリ押しだったもんな。

 

「これで今日の指南は終わりだ」

 

 まだ昼過ぎだがヒュンケルの兄者はそう宣言する。

 ずっと同じ相手と戦い過ぎても変な癖がついてしまうからね。

 なので残りの時間は自主練に費やすつもりだ。

 すると兄者は俺の方へと近づいた。

 

「時に……ダイよ」

 

「どしたん?」

 

「オレが指摘するのはどうかと思うが暗黒闘気を使うのは良くないと思う」

 

 確かに正論だけど親殺しの罪悪感を拭うのは難しい。

 それに黒い稲妻(エビルデイン)は通常の雷撃呪文(ライデイン)を上回る威力を持つ。

 心情的にも実利的にも手放したくないというのが本音だ。

 ということをヒュンケルの兄者に伝えた。

 

「だが暗黒闘気は自らの精神を蝕む。今は良いのかもしれんが、後々になって取り返しのつかない事態になるぞ……」

 

「まあ大魔王バーンを倒したら戦いは終わるからさ」

 

 ぶっちゃけ魔王軍を倒して終わりになるのかは不明だ。

 なぜなら幻の魔界編があるかもしれないからな。

 確かソレは冥竜王や大魔王に続き地上への侵攻を決意した第3の実力者と戦うというものだ。

 まあ流石にないと思うけどね。

 

 更には魔界に第2第3の大魔王が現れる可能性がある。

 その時になって俺が戦えるとも限らないから、戦後のことも考えておかないとな。

 既に聖母竜(マザードラゴン)は邪悪な力によって、新たな(ドラゴン)の騎士を生みだす力を失ったはずだし。

 

「……ん?」

 

 兄者と別れて1人で休憩をしていると覚えのない気配を感じる。

 邪悪なエネルギーは感じないので魔王軍ではないな。

 

「なんのようだ?」

 

「へぇ……少しはできるようだね」

 

 物陰から人間の少年が姿を現す。

 年の頃はポップと同じくらいで黒色が混じった水色の髪を靡かせている美形だ。

 しかし不機嫌そうな表情が近寄りがたい雰囲気を醸し出している。

 

「……なんだノヴァか」

 

「なんだとはなんだ! 初対面の相手に失礼だろう!」

 

 冗談はともかくとして、なんでノヴァがパプニカにいるの?

 原作の展開とは大きく違うわけだが。

 

「それで北の勇者様がなんのようで?」

 

「父さんからボクのことは聞いているようだね。そしてキミは自称・勇者のダイだね」

 

「いや、俺は勇者じゃないね」

 

「え!?」

 

 俺の返答にノヴァはハトが豆鉄砲を食らったような顔になる。

 まあ育ての親を殺してる男が勇者なわけないからな。

 

「……まあ、いいさ。キミは我がリンガイアを滅ぼした竜騎将バランと同盟を結んだのは本当か?」

 

 そう言うとノヴァから殺気が漂い始める。

 なるほどね、彼が原作と違ってパプニカに来た理由が分かった。

 勇者と噂される人物が祖国(リンガイア)を滅ぼした怨敵と手を結ぼうとするのが許せないのだろう。

 もちろん誤魔化すことは出来ないので正直に答えるしかない。

 

「正確には同盟を結ぼうと画策している途中さ。そしてソレは成功する可能性が高い」

 

「……ふざけるなよ! ボクはそんなの認めない!」

 

「安心しろ、魔王軍を倒したら敵になるから。その時は俺の手で殺す」

 

 なにせアルキード、リンガイア、カールの3国を滅ぼしたわけだからな。

 正直、殺したくないけど野放しにするわけにもいかない。

 まあバウスン将軍とフローラ女王が許すのなら半殺しで済ませるつもりだ。

 

「そ魔王軍を……悪を利用するのかッ!」

 

「面子じゃ世界は守れない。悪を倒すのに悪を利用する事を俺は悪だと思わないね」

 

 まあノヴァの気持ちも分かるけどね。

 とはいえ此方も余裕が無いんです。

 

「こんな相手と同列に扱われていたなんて……考えただけで腹が立つ!」

 

「それで、どうする気だい?」

 

「そんなの決まっているだろう! キミを倒して同盟を辞めさせる! ボクさえいれば魔王軍は倒せるんだ!」

 

「決戦前に仲間割れはダメでしょ」

 

「……それもそうだね。なら相手を殺さない為にヒノキの棒を装備して模擬戦を行ってもらう。敗者は勝者に従うというルールさ! いいえとは言わせないよ!」

 

 こうして俺は強制的にノヴァと模擬戦を行うことになった。

 本人にその気はないとはいえ、武器がヒノキの棒なのは俺にとって不利だな。

 なぜならヒノキの棒では竜闘気(ドラゴニックオーラ)に耐え切れない。

 アイスソードにすれば1回だけ使えるとはいえ、壊れる度に補修するのも割と手間だし、雷撃呪文を纏うのは不可能だ。

 一方のノヴァは闘気の剣(オーラブレード)があるので武器を選ばないときた。

 

 まあ、それでも負ける気はしない。

 俺もヒュンケルの兄者との鍛錬で強くなっているしな。

 それに武器が無くても素手と魔法で戦えばいい。

 というわけで両者共に武器を構える。

 

「いつでもどうぞ」

 

「その余裕……必ず後悔するぞ!」

 

 ノヴァは激しく怒りながら勢いよく斬りこんできた。

 その剣筋は鋭く力強いが俺も負けてない。

 天性の才能をアバン先生により開花させ、数多の強敵との戦いで技量を磨いたからな。

 今までの努力が俺の背中を押している。

 

「くっ!」

 

 何合も撃ち合う内にノヴァは徐々に追い詰められていく。

 このまま勝てれば楽なんだけど、そうはいかないよな。

 剣を握るノヴァの手が輝き次第に光は武器を包み込む。

 

闘気の剣(オーラブレード)!」

 

 光の正体はノヴァが生み出した闘気だ。

 闘気を剣に纏わせることによってその切れ味は飛躍的に上昇する。

 模擬戦で使うのはルールで禁止スよね?

 

「ザバ、ヒャド、バギ!」

 

 もちろん俺も対抗してヒノキの棒を骨組みにアイスソードを作り出す。

 これならば竜闘気(ドラゴニックオーラ)を纏わせても1回だけ耐えられる。

 さあ、ここから本当の戦いだ。

 

「はあああああっ! ノーザン・グランブレード!」

 

 跳躍すると同時に剣を大上段に構えて斬りつける。

 そして圧倒的な闘気がノヴァを中心として十字に輝きだす。

 

「ザバラ―ン!」

 

 アイスソードに竜闘気(ドラゴニックオーラ)水流呪文(ザバラ―ン)を纏わせて防御を選択する。

 そして互いの剣が激突すると、ノヴァは武器はポキリと折れた。

 

「なにっ!?」

 

 前もってアイスソードの峰に櫛歯の様な凹凸を作っておいた。

 それで相手の刃を絡めとった後、テコの原理で刀身を折ったのだ。

 原理としてはソードブレイカーと同じである。

 

 まあ武器を1から作れるからこその芸当だな。

 更には刀身に高圧水流(ザバラ―ン)を纏わせたことで相手の闘気を削り取ったのも大きい。

 水流は金剛石(ダイヤモンド)すら破壊するからな。

 

「ありえない……ボクの一撃が……」

 

 ノヴァは目を丸くして声を荒げる。

 実際、正面からは打ち破ることは出来ないわけだし大したもんだと思うよ。

 それにノーザン・グランブレードの方が俺の一撃よりも燃費は良いわけだし、長期戦になると俺の方が不利だ。

 

「俺も魔法を使ったわけだし、魔法は使用しても良いよ」

 

「舐めるなッ! マヒャド!」

 

竜闘気(ドラゴニックオーラ)!」

 

 相手は氷系呪文(マヒャド)を放つが俺には通用しない。

 まともダメージを与えたいのなら極大呪文級の魔法が必要だ。

 

「ザバ、ヒャド、バギ!」

 

 そして俺はアイスソードを再生成した。

 するとノヴァはニヤリと笑った。

 ……これは弱点に気付いたな。

 

「マヒャド!」

 

 今の氷系呪文(マヒャド)によりアイスソードの凹凸は消滅する。

 つまりソードブレイカーでは無くなったわけだ。

 真正面じゃあ闘気剣(オーラブレード)を受けきれないぞ。

 

「喰らえッ! ノーザン・グラ……」

 

「エビルデイン」

 

「グワアアアッ!!」

 

 ノヴァの身体を黒い稲妻(エビルデイン)が貫く。

 流石にオリハルコンに傷を入れる斬撃を竜闘気(ドラゴニックオーラ)で受けきれる自信がないからな。

 なので使われる前に攻撃しておいた。

 ぶっちゃけ最初からコレ(エビルデイン)を連打すれば楽に勝てたと思うが新戦法を試したかったのだ。

 

「ウウウッ……」

 

「リンガイアを滅ぼしたバラン父ちゃんは俺よりも圧倒的に強いよ。だからこそ同盟を結ぼうと思っている。納得してくれたかい?」

 

「……ああ、ボクの負けだ。それにノーザン・グランブレードは間違っても味方に使うような技じゃない……手合わせだというのに、下手をすればキミを殺していたかもしれない……ボクは勇者失格だな……」

 

 ノヴァの声は震えている。

 何しろ勇者としての矜持が根底からたたき折られたからな。

 その気持ちは痛いほど分かるよ。

 だけど俺と違って取り返しがつくはずだ。

 

「気づけるだけ立派さ。それに互いに未熟な部分を埋めていくのが模擬戦の目的だし。次に活かせば良いだけだよ」

 

「そう……なのかなぁ……?」

 

「それに故郷のリンガイアでは皆が北の勇者と呼んでくれてたんだろ。なら味方の勇気を沸き起こさせる者として頑張ってよ!」

 

「ありがとう……!」

 

「というわけで模擬戦をしようよ」

 

 ちょうどヒュンケルの兄者以外の練習相手が欲しかった所なんだ。

 それにアバン流以外の剣術も体験してみたい。

 というわけで俺とノヴァは模擬戦を繰り返した。




 エビルデインで倒すことは簡単なんですが、それだと塩試合になるんで工夫を凝らしました。
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