ゲラート召喚〜Flight to another world〜   作:大公と愉快な仲間達

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第三話です!


第三話『接触』

 

中央暦1639年1月24日午前8時頃

クワ・トイネ公国軍第6飛龍隊

 

 その日は快晴な空が広がっていた。

 竜騎士であるマールパティマは、ワイバーンと呼ばれる飛行生物を操り、公国北東方向の警戒飛行任務についていた。

 公国北東方向には国はないのだが、最近隣国のロウリア王国と緊張状態が続いているため、軍船による迂回、奇襲が行われた場合に早期に探知するために哨戒飛行が必要なのだ。

 マールパティマは相棒を公国北東の空へ飛ばし、海に差し掛かった。その時だった。

 

「ンっ!?」

 

 彼は何かを見つけた。自分以外にいるはずのない空に、何か光るものが見える。

 

「なんだあれは」

 

 味方のワイバーンとも考えたが、可能性は低い。ロウリア王国のワイバーンだとしても航続距離が足りないだろう。

 そしてそれが近づくにつれ、それがワイバーンでは無いことを確信する。

 

「羽ばたいていない?」

 

 光る点が徐々にシルエットが明らかになると、それが生物のように羽ばたいていないことが明らかになった。

 不審に思ったが、とりあえずマールパティマは、通信用魔法具を用いて司令部に報告を行う。

 

「我、未確認騎を確認、これより要撃し、確認を行う。現在地は──」

 

 その時だった。かの未確認騎と高速ですれ違った。高度差はほとんど無い。マールパティマは衝撃波で振り落とされそうになり、相棒をどうどうと諌めた。

 彼は、即座に反転して、愛騎を羽ばたかせた。風圧が重くのしかかり、吹き飛ばされそうになる。

 だが、全く追いつけない。ワイバーンの最高速度時速230km以上。生物の中では最速の部類に入るワイバーンが、まるで蚊蜻蛉のように引き離されている。

 相手は、生物なのか何なのかも全く解らない。

 

「くっ、なんなんだ、あいつは!!」

 

 驚愕を抑え、彼は司令部に続報を通達した。

 

「司令部!司令部!我、飛行騎を確認しようとするも、速度が違いすぎる!追いつけない!飛行騎は本土マイハーク方向へ進行、繰り返す!マイハーク方向へ進行した!」

 

 その報告を受けたワイバーン隊の司令部では、蜂の巣をつついたような騒ぎになっていた。

 ワイバーンでも追いつけない未確認騎が、港湾都市のマイハーク*1に向かって飛んで来ると言う。

 もし攻撃を受けたら、公国の国防の危機に関わる。

 機は速度からしておそらくすでに本土領空へ進入しているはず。

 通信魔法で、指令が流れる。

 

「第6飛龍隊は全騎発進セヨ、未確認騎がマイハークへ接近中、領空へ進入したと思われる。発見次第撃墜セヨ、繰り返す発見次第撃墜セヨ」

 

 滑走路から、どんどんワイバーンが発進する。その数13騎、一個中隊に相当する全力出撃である。

 彼らは透き通るような青い空に向かい、舞い上がっていった。差し違えてでも落とすという、確かな覚悟を胸に背負って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結論から言えば、第6飛龍隊の全力出撃は無意味に終わった。

 マーク大公の信頼する提督、アドミラル・ワン指揮下の航空母艦から発艦したT-7戦闘機は、レーダー上で第6飛龍隊のスクランブルを確認したため、パイロットは警戒して高度を5000mにまで上昇させた。

 こうなると、ワイバーンでは高度制限により追いつけないのである。空気も薄くなるため、公国のワイバーンでは迎撃不可能となってしまった。

 そもそも最高時速1280kmで飛行し、複数の武装を搭載可能な最新新鋭機T-7に勝る航空戦力はなかなか無いであろう。この異世界なら尚更だ。

 そして偵察ポッドを搭載したT-7戦闘機は、マイハーク市を大混乱に陥れた後、街の写真を撮って空母〈ノヴォロシスク〉に帰還した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

偵察機の帰還後

アドミラル・ワン指揮下 コルモラン級補助型軽巡洋艦〈コルモラン〉

 

 補助型軽巡洋艦の〈コルモラン〉は、見た目を一言で表すなら「箱」のように見える。

 前後を装甲で覆われ、外周にエンジンと主砲、艦中央にはミサイルと3×3の大型燃料タンクが搭載されている。

 速力こそ120kmと非常に低速だが、その武装は強力であり、ワン提督の愛用する船でもあった。また、船体が大きいため艦隊旗艦としても運用可能だ。

 

「皆の者、この都市についてどう思うか?」

 

 そんな〈コルモラン〉の艦内会議室にて、偵察艦隊の司令官を任されたアドミラル・ワンは、古くから彼に付き従う艦隊参謀達に問いかけた。

 アドミラル・ワンは、元は諸侯軍にいた提督である。だが紆余曲折あって諸侯軍を離脱、その後マーク大公と出会い、彼に付き従うようになった。

 艦隊指揮運用の手腕は相当なものであり、どんな船でも艦隊でも、まるで手足のように操ってくれる。

 今回彼の指揮下には航空型重巡洋艦の〈ノヴォロシスク〉が組み込まれ、偵察によって帝都のある場所へ向かっていた。

 そしてその偵察機が、地図にない緑豊かな地域を発見し、未確認の都市を発見したのだ。これについては艦隊で意見が分かれた。

 

「見慣れない都市です。帝都があった場所にこんな都市があるとは、信じられませんな……」

「私にはここがハラベラ*2のように見えます。しかし、かの地域は西の端にあったはずです」

「極め付けはあの飛行生物です。我々はあんな空飛ぶ生き物を見たことがない。ここには未確認の勢力がいる可能性があります」

 

 冷静な参謀達が口々に己の見解を述べた。アドミラル・ワンはマスクの上から顎に手を当て、少し考え込む。

 

「すなわち、ファーストコンタクトか……」

「慎重に行くべきです。大公からは、未確認の勢力がいても刺激するべきではないと言われております」

「しかしどうする?彼らは偵察機に対して飛行生物でスクランブルを掛けてきている。これは明らかに撃墜する気がある証拠だ。彼らは今ピリピリしているだろう」

「空中艦隊で接触すれば、彼らを警戒させることとなり、最悪の事態も……」

 

 アドミラル・ワンは、傍にいるファジル王子に尋ねる。彼はマーク大公に頼まれ、特使として艦隊に派遣されていた。

 

「ファジル王子、どうしますか?」

「ふむ。要は何かしらの手段で相手とコンタクトを取り、誤解を解ければいいのだろう?」

「そうですな。ならば──」

 

 アドミラル・ワンは、そうファジル王子に確認を取ると、通信参謀の方を向く。彼はマーク大公のやり方を見習うことにしたのだ。

 

「……通信参謀殿、さっきからELENT*3が反応しているが、相手の通信を傍受しているのか?」

「ん、ええ。おそらくですが、相手にも何かしらの通信手段があるかと思われます」

「周波数を割り出し、コンタクトを取ることは可能か?」

「おそらく可能です」

 

 アドミラル・ワンはそれだけ確認すると、すぐに命令を下す。

 

「やってみろ。割り込み次第、ファジル王子がコンタクトを取る」

「ですが、言語が通じるかは不透明ですよ?」

「それに関しては一か八かだ」

 

 命令を聞いた通信参謀は、静かに頷くと、通信への割り込みを開始しようとELENTを操作し始めた。

 受話器を取り、まず周波数を合わせるべくダイアルを回す。そして合わせられたのが確認されたのち、方角を修正、ターゲットに合わせて無線を放つ準備を整えた。

 

「出来ました。通信いけます」

「感謝する」

 

 ファジル王子はそれだけ告げると、通信参謀から受話器を取り、通信を開始した。

 

*1
クワトイネ公国の経済の中枢都市

*2
ロマニ帝国の西部にある緑豊かな地域

*3
通信やレーダー波などを探知する逆探知装置




ちなみに会話内に出てきたハラベラとは、High Fleetの大型MOD「Fight to Hara Vera」に出てくる西方の地域です。
これからもMODネタはちょくちょく出していきたいと思います。

解説
『T-7戦闘機』
ロマニ帝国の迎撃戦闘機。最高時速は1280km。
下位互換の軽戦闘機LA-29と比べて500ゴールド高いだけなのにめちゃくちゃ高性能。その代わりゲーム内ではスペースを食う上売ってる街も少なく、搭載機数や入手頻度は限られる。
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