きっかけは何だったろうか……そうだ俺だわ。
「このドラゴン倒したらさあ、そろそろ引退して開拓村でも作らない?」
「悪くねェ。そういや何年も前に土地貰わなかったか?依頼料で」
「うむ、権利書は今も私が保管している。そう悪くない土地と聞いた」
……って言ったんだった。
倒せちゃったよドラゴン。
目の前には十分な金、三十路すぎて全盛期過ぎた体。すんげえ広い荒野の権利書。
それらを目の前に俺たちはギルドの酒場で駄弁ってた。
「あー……なんか倒せちまったなァ。どうする?」
このチンピラっぽい口調のやつが狼男のライリー。
パーティーの頼れる戦士だ。
「……やってみようか!?開拓村!」
俺がリーダーのジェイクだ。一応魔法戦士やってる。
「……うむ、悪くはあるまい。して、準備はどのように?」
この騎士みたいな口調のやつがオークの剣士ガレン。
パーティーの頼れるタンクだ。
そう!このパーティー、前衛しかいないのである!
まあドラゴン倒したが?
「そうだなあ……まず、メスガキゴブリン買いに行こうぜ!」
「賛成!ムチムチコボルトもいるよなァ?」
「当たり前だろぉ!?」
俺とライリーがハイタッチする。
「貴公ら……」
ガレンが呆れたように鼻を鳴らした。
「たしかアマゾネスオーガも売ってた気がする」
「まずは話を聞こうではないか」
ガレンが酒場の椅子にすわりなおした。
遠くの方で女冒険者が汚物を見る目で俺たちを見ているがそんなんは気にしない。
つまりはまあ……俺たちはそういうパーティーだ。最高だろ?
「いや、理由ないわけじゃないんだよ。まず俺たちは銀級パーティーで装備はそれなりにちゃんとしてるだろ?」
「まァな、そんじょそこらの森じゃ遭難しても帰れるぜ」
「違いない」
俺たちは酒場の丸テーブルに座ってつまみのムール貝をモリモリ食いながら麦酒をグビグビ飲む。
「それで俺はそこそこ斥候もサバイバルもできる。キャンプ設営から小屋を作るくらい楽勝だ」
「うむ」
「オレがいればそこらへんのシカとか取ってこれるしなァ」
「つまり後必要なのは女だけだってわけだよ!」
「なるほど……いい案だ!乗った!」
俺たちは三人でハイタッチした。
あっ、女冒険者パーティーが唾吐きながら店出て行った。
「もちろん食料とか工具もばっちり準備してさあ、引退ついでに作っちまおうぜ!俺たちのパラダイスを!」
「ガッハッハ!賛成だ!」
「異議なーし!」
まあそんなノリで始まったんだよ。
■
てなわけで早速買い物よ。
食料、サバイバル教本、工具。あとは馬車につなぐ荷台くらいかな。装備で必要だったのは。
物資すべてを荷台にのっけて、信頼できる知り合いにお賃金わたして複数見張りに立たせておいてだ。
俺たちは意気揚々と「店」に行った!
人身売買じゃないのかって?そこは法の抜け穴ってやつでさ。
そもそもメスガキゴブリンはゴブリンを『いろいろ』やって品種改良したものだ。
元は害獣なんだよ。
ムチムチコボルトとかアマゾネスオーガとかもそうだ。
言葉や文明を持たず人間を見かければ襲って食ってくる連中を捕まえて品種改良してやったわけで……
でもまあ……コボルトが人間化するには先に獣人がいて、オーガが人間化するには先にオークがいた。
つまり種族としての進化の方向性を間違えた祖先を恨むんだな。
「店」はなんていうか……いかにもって感じだ。
石造りの頑丈な建物に、鉄格子のはまった広い「檻」だ。
「へえ、こりゃあ冒険者の旦那。うちの従魔がご入用ですかい?」
「あー、うん。実はさあ引退して開拓でもしようかなって思うからメスガキゴブリン買おうかなって」
「俺はムチムチコボルト」
「私はアマゾネスオーガを」
痩せたハゲの店主は卑屈そうな顔にへつらいの笑みをうかべて『わかってる。すべてわかってる』という顔でカーテンのかかってる裏口の売り場に案内してくれた。
「へえ、それじゃあ案内しますぜ。お好みの子は?」
「そーだな……まず前提として俺たちはピーピーやかましいヒステリックな子は嫌だ」
「もちろんですぜ!みんな素直ないい子でさあ」
「その上で開拓するからあまり清楚すぎたりしても困る」
「へえへえ、要は落ち着いた子でさあね?」
俺たちは大きくうなずく。
「あとはまあ……見た目だよな。俺はこう、おっぱいは大きさより形がいい子で……処女じゃなくてもいいから若くてスケベな子で!」
「俺はそーだな……ダックス種みたいにたれ耳で短毛な子がいい。あと毛並みはつやつやだ」
「私は……ふむ、やはり筋肉と尻がデカい女がよかろう」
商人はうんうんとうなずいた。
「へいへい……そういうのだったらいい娘いますぜ。おい丁稚!こっちのお二人を案内しろ!」
「ヘイ!」
で、買ったのがこいつってわけ。
うん、いいかんじにちびっこい緑肌の女の子だ。
「サニーよ。あなたがマスター?よろしくね」
「ジェイクだ。とりま開拓村作る感じだけど大丈夫?」
「大丈夫なわけないけど、行くしかないでしょ。まーそこはマスターはちゃんとした冒険者みたいだから五体満足で帰れればそれでいいわ」
「いいねー図太いねー」
サニーは肌は緑で、おさげにした髪は栗色。
身長は俺より頭二つ低いくらいで、けだるい雰囲気の子だ。
胸は小さいが張りが良くて形がいい。何よりほどよく若そうなのが気に入った!
まあ、服は無地の布で作ったワンピースよ。
「ライリー!ガレン!いい子買えたー?」
「おう!」
「うむ!」
二人も同じく意気揚々と戻ってきた。
ワンピース着たコボルトの子とオーガの子がいる。
ちょっと話したところコボルトはギャルで、オーガは田舎娘だった。
よし……そろったな!行くぞ!!
■
女たちのために3人分の服と靴を買う必要があり大幅に時間を食ったがまあ必要経費だ。
夕方になっちまった……
小遣い渡して警備させてた馬車に戻る。
「おっ、見張り助かったわ。世話になったな」
「行くのか。まあ無理そうだったら戻ってきたらいい。いつでも待ってるぜ」
こいつは見張りさせてた同期だ。うらやましいか?悪いな。
でも嫉妬をちゃんとかくしてその上で気遣ってくれるんだからスゲエいい奴だよ。
「ああ、やるだけやってみる」
「……がんばれよ」
「ああ!」
俺は指輪をなでて魔力を通すと、精霊馬を呼び出した。
こいつはネクロマンシー的な技術で生み出される骨の馬だ。
召喚するときにそれなりに魔力を持っていくし、1日ごとに魔力補充が必要だが、それでも生きてる馬よりずっと安上がりだ。
その上、こいつは俺たちの愛馬の骨を使って作られている。
記憶もある程度残ってるようで頼りになるやつだ。
「いくぞ、クロ。今度はかなり長い旅になる」
「フルル……」
精霊馬の骨の身体を撫で、馬車につなぎ、手綱を引いてゆっくりと歩きだす。
これが俺たちの青春の終わり。新たな冒険への旅立ちだ。
やあ。
このテキーラはサービスだから、まずは飲んで落ち着いて欲しい。
うん、「また」なんだ。済まない。いつものやつだ。
でも有効打は何度でも擦り倒せと言うしね。
今度は前回の反省を生かして変な敵は出さずにこのテイストで最後まで行くよ。
このタイトルを見たとき、君はきっと言葉では言い表せない「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい。
私も、その期待にできるだけこたえようと思う。
さあ、開拓をはじめようか。