雪の降る真冬はどうせ大したことはできない。
そしてゴブリンの妊娠期間もコボルトの妊娠期間もおよそ3か月。
春までには生まれる計算だ。
冬の間は呪符や細々した布製品、陶芸品などの商品を暇つぶしにつくっていく。
雪を氷室に放り込んだり。どうせやることたいしてないしね。
トレイルを行く客も本当に少なかった。雪道は死ぬから。
冬至祭の時期にはフルーツを乗せたカップケーキを焼いたりしてささやかなお祝いをしたり。
そして年が明けてしばらくすると、俺とキキが子供を産んだ。
「んぎぃぃぃ……!やっぱこれ無理があるってぇ……!」
「あと一人っぽいからがんばりなァ。先に生まれた子たちはまあ大丈夫そうだしよォ」
「うぎーっ!」
「だ、大丈夫よ!たぶん!はいひっひっふー。手を握っててあげるから」
「ウーッ!」
俺が三人、キキが四人だ。
ずいぶん産んじゃったなあ……
可愛らしい顔で笑う我が子を見ていると母性と母乳があふれるよ。
名前は女の子がリナ、ふたなりがルー、男の子がソルにした。
そう、それぞれ性別がキッチリ別れた3つ子だ。
もちろんメスガキゴブリンで、肌は緑色。髪はソルが俺と同じ黒、残りはサニーと同じ茶色だ。
メスガキゴブリンにも男は生まれるのかって?そういうときはショタガキゴブリンというんだ。
春先になると、俺の身体も元通り動けるようになった。
そして、子供たちも立って歩けるようになった。
つまり混沌である。
あちこち走り回る子供たちを追いかけたりそういうのだ。
大変だったよ……
妊娠してないやつがその間何やってたかと言えば畑の種まきだ。
イモが取れるビスケットウコン。核にシロップが詰まったレッドアガベ。メスカ豆の木。あとは果物としてハックルベリーの苗木をそれぞれ植える。
そう、どれも苗木とかなんだ。
灌漑用の貯水槽で貯めた水をほとんど使うことになる。
その上、木になるまで年単位でかかる……その分収穫は期待できるけどな。
まあ、そろそろトレイルを通る客も増えてくるし、交易した穀物や野菜も植えていくけどな。
しかしまあ、こんな荒野でも春になると緑が増える。
ちょっとした草原や緑地みたいだ。
ハーブも果物もとれるし、動物も増える。
ライリーはいずれ狩りに子供たちを連れていくつもりらしい。
幸い、食う物には困らなかった。
そして、新たな入植者がやってきた。
ギルドに出していた募集の手紙の成果が出たんだ。
「ガハハハ!お前らふたなりになっちまったのか!ガキまでできちまうとはな!」
「親方!この村だいじょうぶなんですか!?」
「親方!おもったより畑あります!」
ドワーフの鍛冶屋アイザックと、炭鉱メスガキゴブリン共だ。
炭鉱メスガキゴブリンは、墨色の肌でちびっこくもハイパワー、職人気質。
ドワーフとの混血種だ。
「まあ、そういうと思ってた。笑うのはしかたないね」
「まあちと驚いたが……村ができたんなら鍛冶屋は必要だろ!?」
「トレイルから客がわりと来るからね。助かるよ」
「おう!稼いでやるから頼りにしてろ!」
アイザックはガレンと鍛冶用の炉を作ってた。
家はできるまでテントだそうだ。
マジかよ。早めにつくってやらなきゃな……
■
思ったより早く村らしくなってきた。
収穫も輸入も安定してきたし、気候がいいうちに交易会にいっておきたい。
そう思ってたら新聞で近くの村、つっても100哩くらいあるんだけど、まあそこでやるそうだ。
いくか……!交易会!