「秘密って言ったじゃん!秘密って言ったじゃん!」
「う、うむ……すまぬ……相手が思ったより察しがよくてのう……」
緊急会議だ!皆を集めてサルーンで話す。
「いかにする?おそらくこのままでは鉱山町のようにブームタウンになると思うが」
ガレンが渋い顔で切り出した。だよなあ……
「俺は……正直いやだなあ~。そういう感じで始めたアレじゃないじゃん」
ライリーがうなずいた。
「だよなァ?何もでけえ街にしてえって話じゃねえんだ。このままじゃァすぐに乗っ取られちまうだろうしなァ」
「だろ~?あっちの方が人数多いもん……」
大学の研究チームがこれからも来ればあいつらに村は乗っ取られる。
相手に悪意があろうとなかろうと数って言うのはそういうものだ。
そこで俺は嫁たちに頭を下げた。
「ごめん!マジでごめん!この村売ろう!その金で引っ越そう!」
「ええ……?」
「次はもっと楽な場所買うから!森買おう森!金出してくれるよなソウザブロウ!?」
おめーのせいだぞ!?クソ幼女が……!
「う、ううむ……とりあえず、額面や要求を大学と話し合うのじゃ……」
「だなあ……一番高い時に一番高く売りつけなきゃ損だろ」
そして、大学側と長い長い交渉が始まった。
まあ売るからそれなりの金出してくれってのは通ったよ。
補填で買う土地がもうもめにもめた。
次の村を買うわけだからな。必死だよ。
方々に事情を書いた手紙を送ったりした。
その中で頼りになりそうなものがあった。
スチームレッド村……あのドワーフの婆さんの工房のある村だ。
その近くの土地はどうか?とのことだ。
条件を聞く限り、ちゃんと暮らしていけそうな森だ。
その分、野生の獣に注意しろとは書いてあったが……
でもすぐ近くでドワーフの村があるくらい住めるのは確かなようだ。
か、買うか!
大学側との交渉で引っ越し費用や人出は全部出してもらうことになった。
サルーン用のキッチンストーブは無駄にならなさそうだ。
「じゃまあ……今回はいろいろ本当にすまなかったのじゃ。十分な用意ができるだけの金を払えたんならいいんじゃが……」
「まー、まあ。しょうがないさ。穀物も十分買えたしな……いい商売だった。せいぜい研究を頑張ってくれ」
「うむ、世話になったのじゃ」
俺たちはこの1年慣れ親しんだスリー・ジョリー・フェローズ村を後にする。
馬車も荷物が増えて護衛付きで3台だ。
俺は先頭を行くが……遠ざかる村とソウザブロウたちに何とも言えない気持ちになる。
「ジェイク……」
「あー、ごめん。やっぱなあ……離れたくはなかったけどさ……仕方ないんだけど」
「きっと、大丈夫よ。次でも私たちはやっていけるわ。そんな気がする」
「……ありがとう」
ハンカチ出してくれた。
子供たちは初めての遠出ではしゃいでいる。
……がんばろう。俺がこの子たちを守らねば。
■
また何か月もかけて村の予定地についた。
落ち葉が深く、高い木がそびえたつ大きな森だ。
「またしても何もないじゃない?」
「ああ、でもだからこそやる意味がある」
俺たちの開拓はこれからだ!
■
なお、森には人外娘がうじゃうじゃいて、開拓はとても大変だった。
野良メスガキゴブリンとかあいつらここから出てきてたの!?
大変だったが……俺たちは今度こそ自分たちの村を手にしたとだけ付け加えておく。
森の恵みはおもったよりちゃんとあって、どんぐりとか木の実、森の獣を狩るだけでだいぶ食料は心配いらなかったし、豊富な木材であっという間に家が建てられたのも大きかった。
そして、いま俺たちは……
「この村も三年目かァ、いろいろあったなァ」
「ああ、まこといろいろあっただが……家があり、食えている」
「そうだな。ずいぶん人口も増えたしな」
ガレンはミラとの間にもう一人の子を、ライリーは自分が妊娠してた。
たくさんの子供たちに囲まれて、俺たちは丸太づくりの大きなサルーンでささやかに冬至祭りを祝っている。
「じゃあ、ジョリー・フェローズ村の発展を祝って!」
「ああ、メリー・ユール!」
最近ようやく余裕ができて交易会で買えたワイングラスを俺たちは打ち鳴らした。
窓の外には雪が積もって、大きな森の小さな丸太づくりの家々。
まるで童話の中のようだ……いい村になった。
俺たちの開拓は、これからだ。
すいません、いったんこれにて最終話です。
どうも今回はあまり筆が乗らず……ご期待に沿えず、申し訳ないです。
次もすぐ書きます。
新しい作品でまたお会いしましょう。