「けどまあ、どっちにせよ川に行く必要があるんだよ。どーせ家を作る木も川沿いに生えてるからな。ライリー、川はどっちにありそう?」
「んー、前と同じ場所っぽいぜェ」
「じゃあまあ谷か。皆行こう」
精霊馬を消し、車輪に車止めをつけてシートでしっかり獣よけをしてから川に向かう。
「川はだいたい谷の底にある。水が地面を削って谷を作るからな……前と同じ場所なら……あった!あの丘だ。丘の先に谷があったはずだ」
丘はすんごいなだらかで、家を建てるにはちょうどよさそうな傾斜だ。
谷も歩いて降りれる勾配だね。
「見てみ。このハリネズミみたいに枝がバーッと生えてるのはチョークチェリー。甘い実をつける。食用だ……そっちの草はアローウコン。根っこは芋みたいに太っててちゃんと食える。小麦粉の代わりになるんだよ。その上に枝はまっすぐだし乾燥させるとスゲエ強い。今週中にはこれで家の屋根を作る」
「へー、すごいわね。川は?」
サニーがめんどくさそうに答える。
ごめん、早口になりすぎたね。サバイバルマニアの悪い所だ。
まあ……半年でだいぶお互い馴染んだよ。悪くない関係だ。
「もうちょい進めば……あった!あれだ!」
「小さくない?」
「俺たちが使う分には十分だろォ?」
川って言うか小川だね。
深さは足首くらいまで、深い所でもひざ下くらいだろう。
幅は俺が腕広げて2人分くらい。
だが十分な水の量がある。
「水だわ!」
「やったー!もー暑いもん!」
サニーとキキが走りだそうとするが、ガレンが大声で止めた。
「待たれよ!この辺りには毒蛇もいる。はぐれてはならん」
「マジ?」
「大マジ。俺の腕くらいあるの普通にいた」
「……わかったわ」
「ちぇーっ」
というわけでゆっくり下っていく。小川は目の前だ。
「動物のフンがわりとあんなァ。二十面鳥に枝角シカ、こいつはカワウソモドキ。ついてるぜェ。こんだけいりゃァ肉には困らねェ。カワウソモドキはウメエし毛皮も使える万能食材だァ」
「家はこの辺の斜面掘って作るのがいいね。レンガ代わりに使える石も多いわ」
「では別れるか?」
「ほんじゃ俺らはひたすら家作るから、ライリーは女の子たちと食べもんとってきて」
俺たち男衆はこういうの慣れてるし好きだからまあ大丈夫だが、女の子たちはそろそろ水浴びくらいしなきゃダメそうだし。
まあライリーなら大丈夫だろ。
「わ、わかりましただ。おらは水くんでくるだ」
「じゃあ私は木の実でも取ってくるわ」
「えー、僕?僕は魚探そうかな……」
「OK、ご安全に!」
『ご安全に!』
俺たちは大きくうなずいてそれぞれに分かれて作業を開始した。
■
まず俺は左手の魔方陣を起動する。
俺の左手に魔力光が集まり、ちょっとした柱くらいのぶっとい腕を纏う。
これが俺のもう一つの攻撃魔法『巨人の腕』だ。
「で、こいつとお前でまず斜面掘って平らにするわけよ」
「うむ。どのくらいの広さだ?」
「6人住むからなあ。20
ちなみに
20
「心得た。ここからあちらの木くらいだな?」
「よーしやろうか」
「うむ!」
ガレンがシャベルを、俺が魔法の手を使ってガンガン掘って平らにしていく。
まあ……夕暮れになるころにはだいたい平らになったわ。
そんで日が暮れる前に馬車をそこに移動させておく。
ここが俺たちの家になるんだからな……
「おォ!いい更地になったじゃねェか!」
「だろぉ~?とりあえず真ん中にコンロも作ったよ」
「やるなァ!こっちは果物が籠一個分とカワウソモドキが2匹だ!」
「おお!心強いな!」
「さらにビッグニュース!洞窟に温泉あるぜ!さっき足だけつけてみたんだけどよォ。ぬるくてちょうどよさそうだ!」
「ご飯の前に行きましょうよ。さすがに汗を流したいわ」
「OKわかった。さすがに俺たちもどろどろだしな……行こうぜ温泉!」
結論から言う。
温泉入ったら全員ふたなり化した。全員だ。
当然エライことになったが、まあそこはみんなパートナーいるからさ。
とりあえずムラムラは収まったとだけ言っておく。
■
一晩明けて、朝だ。
「あ~……まあ、何だ……とりあえず……とりあえず体に害はないみたいだから。むしろ若返ってねえか俺ら」
魔力の感じで軽く診察してみたけど大丈夫そうだわ。
魔法戦士じゃなくってこれじゃ魔女だよ。とんがり帽子だし。
髪まで長くなっちまった。
「う、うむ……そうだな」
ガレンは筋肉ダルマから筋肉娘になっちまった。髪まで長くなってサラサラに……
まあ胸囲がほぼ同じだったおかげで胸当ては捨てずに済んだ。
「お、おう……思い返しゃァ、洞窟がドピンクな時点でなんかおかしいと思うべきだったなァ……」
ライリーは相変わらずマズルのある狼面だが、あきらかに乳と尻がでかい!
腰にくびれがある!顔までメスっぽく……
俺らは美少女になっていた!!まあ棒も穴もあるんだけど!パイも!
でっけぇ~。ぷるんぷるんだよ。全員。
マジかよ……いやでもまあ、若返りによる強化とふたなり化による筋力の低下がちょうど釣り合ってパワー的には問題ない。
むしろ関節の痛みとかけだるさが消えてて、体が軽い。
お肌がピカピカしてる!!
スゲエよ。自然の奇跡だよ……
「そーいえば聞いたことあるわ。たまーに『そういう地形』があるって。ド派手な鉱石のあるところだと独特な効果のある水が湧き出るとか」
「そいつァ、入る前に思い出してほしかったなァ……」
「悪い事ばかりではあるまい。若返りの湯だ。値千金といえよう」
「……そうだな!」
「あ、あァ!それに女たちともさらに『親密』になれたしなァ!」
女たちは女たちで興奮気味になんか語り合ってるが聞きたくねえ。
「……男の性欲って、いいわね……」
「あ~、うん……いいよね。ごすずんたちかわいかったね~」
「お、おらたち怒られないだか?」
「まあ、お互い楽しんだし大丈夫じゃない?」
「そーそー、ふかこうりょく?ってやつだよ!事故事故!」
まあ……俺たちの体がこうなったのはいいとして、あの温泉マジヤバイな。
利用価値はあるだろうが、外にバレたら本当にまずい。
若返りと性転換だぞ?使い道がありすぎる……
「ハイ!とりあえず全員注目!想定外の『事故』はもういいとしてだ!予定通り家作っていこう!それから考えよう!飯も食おう!」
『おー!』
俺が号令をかけ、とりあえずややこしい事は先送りにすることにした。
こんなデカい問題かかえきれねえ!だからとりあえず今!できることをする!